国際ビジネスにおける物流の発展 : 3PLとVMIサービス
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(2) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス を集中し、自社内で処理してきた企業内物流を外部に委託する3PL サービスを 活用するようになった。こうして3PL 事業者が登場し、次いで3PL の発展的な ビジネス形態としての VMI が誕生している。いま、国際企業はこうした3PL や. VMI を自己の国際事業展開に最適化した形で物流システムを構築し、国際物流業 者とともに新たなロジスティクス・システムとして運営している。 本論文では、まず、物流システム発展の経緯と3PL ビジネスの定義、ビジネ ス方式および発展形態などを述べる。次に、 3PL ビジネスの発展形態としての 新たな総合物流サービスである VMI を詳しく検討していく。そして、VMI シス テムを利用している国際企業の事例分析を通じて、各企業がどのようにコスト削 減、ロジスティクスの効率化を実現しているかを述べた上で、VMI サービスの展 望と、企業物流に係る既存の問題を明らかにし、その問題解決について筆者とし ての見解を述べたい。将来、国際ビジネスに携わることを目的として、本論文を 通じて、国際商取引と国際物流システムの高度化との関係を検証し、これを今後 のビジネス社会で生かしていくこととしたい。. 2 . 物流システム発展の歴史 物流が企業の経営機能の一つであると認識されるまでには、生産・販売・財 務・企画などの経営機能と比べると、随分と時間を要した。しかし、今日におい て、小規模な企業の場合はともかく、大企業の中では物流を以前のように単なる 「運搬屋」 、「倉庫屋」としか扱わない企業はもはやないと言ってよい。分業関係 に基づく諸経営機能の確立とそのシステム化は、近代企業の特徴の一つとされ、 また、このシステム化と機能確立の両過程は一致する。言い換えれば、システム 化は経営機能の確立の必須条件とも言える。企業物流をシステムとして捉えなけ ればならない理由は、実はここにある。 2.1 物流定義から捉える米国の物流システム 塩見(1 9 9 8)によれば、物流( Physical Distribution )が学問的な研究対象に なったのは、 1 9 20年代の不況期の米国で、クラーク( F.Clark )が、Physical. distribution をマーケティングの一要素として、研究対象にしたのが始まりであ る。 1 9 40年 代 に 米 国 マ ー ケ テ ィ ン グ 協 会 が、Physical Distribution は、生 産 地 点から消費地点までの商品の移動とハンドリングを意味するという位置付けを 行っており、それまではマーケティングの一部として捉えられていた。 19 5 0年代からは、大学において物流の研究が始まり、オペレーションズリ 100.
(3) 陳 尾 雲 サーチ等の計量的な手法で、物流の合理的活動方法が考えられるようになった。 1 9 60年代には、P. ドラッカーが、 「コスト削減の最後のフロンティア」と指摘 し、物流に対する関心が産業界で高まった。 1970年代には、米国の企業経営にお いて、物流の重要性がかなり認識され始め、この頃の米国マーケティング協会に 「生産から消費または利用に至るまでの財貨 よる Physical Distribution の定義は、 の移動及び取扱いを管理すること」であり、抽象的な捉え方であった。 19 7 0年 代 の 後 半 か ら8 0年 代 の 初 め に か け て、Physical Distribution に 替 え て、ロジスティクス( Logistics )という用語が使用されるようになった。 1 9 84年 に、全米物流管理協議会( NCPDM )が自ら、米国ロジスティクス・マネジメン ト協議会( CLM )へと名称変更を行い、正式にロジスティクスという言葉を定義 した。ロジスティクスは、「顧客ニーズに適合させるため、原材料、半製品、完 成品ならびにその関連情報の発生地点から消費地点に至るまでのフローと保管を 効果的かつコスト効果があるように計画、実施、統制することである。この定義 は、入出荷、社外での移動を含む」とされている。 それまでは、輸送、保管、在庫管理がばらばらに考えられていたが、総合的に 物流を考えていこうとするのが、ロジスティクスの考え方である。 1 990年頃には サプライチェーンマネジメント( SCM )が生産流通活動に導入され、さらに高度 なロジスティクスへと発達しつつある。 2.2 日本での物流システム発展の過程 日本における物流の発展過程に幾つかの段階があると多くの論者が指摘してい る。しかしながら、発展段階に関する体系的な研究はまだ確立しているとは言い がたい。初期の日本の物流発展の整理に関するものとしては、西澤(1 988)と唐 澤(1 98 9)の研究がある。両氏は、日本経済の発展過程について、物流の転換と いう観点から、社会的時代区分を試みた。この研究によれば、流通体系図 1)が発 表され物流行政がスタートを切ったと思われる196 5年と、通信・運輸にかかわ 1)流通体系図:. 1 9 6 5年5月統計審議会の流通統計部会の「物資の流通消費に関する統計整備についての答申」 で、流通活動とは「物流的ないし社会的な“ものの流れ”に関する経済活動のことで、その範囲 は、いわゆる運輸・通信活動ならびに商業活動のことである」と定義されており、その活動範囲 を一つの纏った表の形で呈示した。この流通体系図は、 流通のもう半分という考え方を取り入れ、 物流の基本を体系化し、経済における物流の位置付けを明確に示したものである。. 101.
(4) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス る規制が大幅に緩和され、VAN( Value Added Network, 付加価値通信網)元 年とも呼ばれている1 985年の2つの転換点を中心に、日本の物流史を、①物流 黎明期、②パーシャル・システム化時代(物流サブシステムの時代、企業内物流 システムの時代) 、③物流トータルシステムの時代(企業間物流システムの時代) の3段階に分けている。両氏は、物流をシステムとしてとらえ、そのシステムは まず企業内に生成し、徐々に企業間に広がり、最後に社会的なシステムへと発展 していったと分析している。このようなシステムに準拠した時代区分の方法論 は、物流の進化過程を考察する上で、極めて有効な視点を提示した。しかしなが ら、両氏の議論の中では、物流システム進化の契機が規制緩和と物流行政の動き という環境変化にあったと捉え、企業物流の進化の必然性が明らかにされていな い。またシステムの目的と機能が、システムの進化とともにどのような変化を遂 げていったのかについては、殆ど論及していない。一方、阿保(1 99 0) 、阿保・ 矢澤(2 0 0 0)は、物流管理の領域拡大と取組みの方向性の変遷に着目して、物流 の発展を次の5段階に区分している。①輸配送、保管、荷役、包装、流通加工、 物流情報などの活動を個別に管理し、それぞれの合理化を図る。②それらの物流 活動を統合し物流システムとして管理する。物流の個別活動とシステム効果との 間にあるトレードオフを克服するために、システムとしての合理化を図る。③調 達や生産管理をも統合して、ロジスティクス・システムとして管理するとともに、 物流を経営戦略展開のツールと認識し、その有効性を発揮できるようなシステム の構築を目指す。④個別企業に留まらず、調達・生産・販売の供給連鎖全体を管 理する SCM( Supply Chain Management )に至る、いわゆるサプライチェー ン・ロジスティクスの段階へ進む。⑤環境ロジスティクスと称して、環境に配慮 する物流システムを目指す。 このような個別管理⇒物流システム⇒ロジスティクス⇒ SCM ⇒環境ロジステ クス、という段階的進化論は、現在ではほぼ社会的に合意され、広範に受け入れ られていると思われる。阿保の段階論によると、合理化のために、別々となって いた保管や運送などの活動を統合して、企業物流システムが出来上がる。それ は、流通のサブシステムでありながらも、やがて調達や生産など既に確立してき た経営機能を取り込むとしている。そうすることによって物流システムがロジス ティクス・システムに拡大し、経営戦略の重要なツールとして有効性を発揮する ようになり、さらに SCM という経営理念及び経営手法にまで発展し、調達・生 産・販売の供給連鎖を構成する企業群の全体的プロセスを管理する。最後に環境 102.
(5) 陳 尾 雲 や社会に配慮し、社会にとって最適な物流システムを構築していくという段階に 発展していくと思われる。物流システムが段階的に進んでいくと、経営戦略に新 たな役割を演じる3PL が生じる。. 3.. 3P L ビジネス. 日本の「総合物流施策大綱」では、 3PL を「荷主に対して物流改革を提案し、 包括的な物流業務を受託する業務」としている。「物流改革の提案」というのは顧 客となる企業の物流システムについて、物流にかかる現状のコストや業務レベル などを診断して、より効率の良い新たな物流システムを提案することである。こ れは一般的コンサルティングと呼ばれる業務をさす。次に「包括的な物流業務」 とは、荷主企業が社内で行う物流機能としての輸送、保管、荷役、包装、流通加 工、情報を対象として、それらのすべて、もしくは複数を組合せたものを荷主企 業に提供することを示している。すなわち、 3PL とは、まず物流事業のコンサル ティングに基づき物流効率化の提案を行い、それに基づいて、次に、輸送、保管、 荷役、物流加工、情報などを束ねて有機的で複合的な物流サービスを荷主企業に 提供することである。それをもって、 3PL ビジネスを行う物流業者が顧客企業 に対しより高度の物流システムを運営することであると理解される。 3.1 3P L のビジネスモデル 図表1 3P L ビジネスの業務モデル. PL. 出典:斎藤実(2 0 05) 『3PL ビジネスとロジスティックス戦略』白桃書房、p.30. 103.
(6) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス 3PL ビジネスは、メーカー、卸売業者、小売業者といったユーザー企業の輸 送・保管・物流システムについて、それを統合・効率化するためのコンサルティ ングを行い、そのコンサルティングに基づいて、実際に物流システムの全体もし くは一部を提案し、ユーザー企業の運営委託をうけて、これに代わって物流業務 を遂行することである。その機能には、輸送、保管、荷役、物流加工、包装、情 報提供があり、 3PL 事業者はそれらの機能の全体もしくは複数の機能を何らか の形で担うことになる。 3PL ビジネスの業務モデル(ユーザー企業が流通業者の 場合)は図表1の通りである。 3PL 事業者がユーザー企業の物流システムの運営を委託されることの意味を より立体的に把握すると、第1に、EDI(電子データ交換取引)などの情報システ ムを用いてユーザー企業/3PL 事業者/ベンダー間のネットワークを構築して ユーザー企業から物流業務と全体管理の注文を受ける。第2に、物流センターに おいて、部品/製品の保管、在庫管理、物流加工(店舗別仕分け、値札付け、検 品・検針)などの個別物流業務を行う。第3に、輸送、配送を行う。配送によっ て、ユーザーの事業所(又は店舗)などに最終的に部材または製品が届けられ、一 連の物流業務が完了する。 3.2 3P L ビジネスの発展と物流改革 3PL ビジネスが急速に拡大する背景には、一般の企業物流に対する事業運営上 の大きな変化が存在している。それがアウトソーシングである。アウトソーシン グとは「外部委託」のことであり、企業がそれまで自ら行っていた一定の業務を外 部の事業者に委託することである。多くの企業は物流をアウトソーシングしたい という意向を強めている。このため3PL に対する潜在的需要は高まりつつある。 こうした潜在的需要を着実に引き出していくため、企業が求めている物流システ ムの具体的な要求を3PL 事業者が確実に満たしていかなければならない。 その際、現代の企業が求めているものを明確にする必要がある。まず、物流ア ウトソーシングの理由として、最終的に企業が求めているのは自社の物流業務の 効率化である。市場における競争激化に対応して、持続可能な競争力維持を図る ために、既存の物流業務をいかに効率的なものに変えていくことができるのか、 を求めている。すなわち、 3PL を通じた物流改革を企業は求めている。 物流改革を実現するための物流効率化とは、ユーザー企業のより高度な物流 サービスの要求に対して弾力的に対応できることであり、更に全体の物流コスト 104.
(7) 陳 尾 雲 の上昇を抑えるか、または積極的にコストを削減することである。その時に、 3PL は物流ビジネスモデルとして経済的根拠を持ち、経済価値のあるビジネスと なる。 3.3 3P L ビジネスの発展形態:V M I 日本の3PL ビジネスの発展過程について、国土交通省は、運送、保管などの 個別の業務を提供する「ゼロステップ」、作業レベルでの複数サービスを受託して いる「第1ステップ」 、特定企業からの物流全体の管理、運営の肩代わりを中心と した受託を行う「第2ステップ」 、管理、運営を超えた物流の企画、立案と物流の 受託を行う「第3ステップ」に分けている。 3PL 事業者は増加傾向にあり、輸送 業者、倉庫業者、商社、物流子会社などがゼロステップから第3ステップへと受 託サービスのレベルを高めながら、 3PL 市場に参入しているのが現状である。 3PL は、顧客に対して、常に最適な商品を、最適な時期に、最適な方法で提 供しなければならず、かつ多くの在庫を抱えることは許されない。そして、 3PL の進展によって、物流業者も提供するサービスのボリューム、品質、システム構 成とその精度、及び情報処理能力について変革を迫られる。例えば、倉庫事業で は、荷物を預かることだけではなく、 24時間、顧客の要望に応えるピックアップ 体制、在庫管理に加えて、在庫する商品の品揃え等の調整まで請負う事業を拡大 している。その中で、在庫の最適化とコスト削減のため、新たな物流ビジネスの 新事業形態として VMI( Vendor Management Inventory, 以下 VMI という)が 生じてきた。. 4 . V M I への発展 4.1 V M I 出現の背景 VMI が出現する以前には、自動車産業を中心に発達したトヨタのかんばん方 式等に代表される JIT 方式という仕掛り品在庫を管理する生産管理方式が存在し ていた。やがて、POS などの販売時点情報を適宜収集できる情報電子機器や情 報ネットワーク技術の発達により、食品業界では ECR( Efficient Consumer. Response )、繊維業界では QR( Quick Response )といった流通管理手法が出現 するようになる。 VMI 以前の JIT、QR、ECR といった生産/流通管理手法においては、それら 105.
(8) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス に共通する課題として SCM という共通の管理が必要とされている。そこで、以 下では、① SCM という管理方式を必要とした背景を概観しながら、② SCM の サブ・システムである在庫管理システムとしての VMI の機能について述べる。 VMI は SCM の要素技術の1つに挙げられている。SCM の川上にあるサプラ イヤーやベンダーがその下流にある小売店の POS データより商品や部品の在庫 補充量を計算し、サプライヤーやベンダー側が店舗や生産に供される商品や部品 の在庫管理を代行することにより、サプライチェーン内全体の在庫の適正化を図 るというのが主な考え方である。つまり、従来は小売店や生産(メーカー)側が 行っていた発注、仕入れ業務を商品や部品の供給メーカーであるサプライヤーや ベンダーが、その業務を代行するという斬新な手法が考えられるようになった。 では、なぜ、サプライヤーやベンダー側が発注、仕入れ業務を代行するとサプラ イチェーン全体の在庫の適正化が図られるのか、また、どのようにして VMI が 実現しているのかについて触れ、VMI 出現の背景について論じる。 4.2 V M I の出現 SCM はサプライチェーン全体の在庫の最適化を一つの眼目としているが、ここ では、①部品供給メーカーと組立メーカー間の VMI、②小売業における VMI の ケースに分けて、その特徴や出現の背景について論じてみる。 4.2.1 部品供給メーカー(ベンダー)とセットメーカー間の V M I VMI の出現について述べる前に、主な製造業の分業構造について触れ、それが どう VMI の出現に関わるかについて述べる。自動車産業に見られる垂直的分業 構造は完成車メーカーを頂点とし、ベンダーとさらにそれらの発注を受ける下請 け企業群により構成される。一方、電子機器業界や家電業界に見られるピラミッ ド型分業構造は、自動車産業の重層構造に比べ、規模の小さな企業で構成される ものであり、主従関係の度合いが強くない。 自動車業界では、既に、かんばん方式に見られるようにプル型 2)の供給体制が サプライチェーンの中である程度完結しており、各サプライチェーンの連鎖の仕 方が直列的であるという特徴を持つ。つまり、自動車産業では、かんばん生産方 2)プル( PULL )型とは消費者の需要に応じて商品を供給するという生産方式のこと。消費者の購買 行動が商品の供給を引っ張ることから、このように呼ばれている。その一方で、消費者の需要を 予想して、それに基づき製造を行い、商品を物流センターへ保管しておき、それを適時市場へ供 給する方式を「プッシュ( PUSH )生産方式」という。. 106.
(9) 陳 尾 雲 式の仕組みがある程度完成しているため、VMI に頼らなくてもよい生産分業構 造が確立されている。これに対し、電子機器メーカー等の業界では、機種変更や 新製品製造の都度、その要素部品が頻繁に変更され、また、ベンダーもその都度 変更されるため、変動パターンに対応しやすいバイパス型の生産方式になる点に その特徴が見られる。 つまり、電子機器業界では、競争入札の結果で部品供給メーカーが変わり、そ の都度新たな部品メーカーとプル型供給体制を実現すべく協業関係を構築する必 要があるため、VMI 方式を取り入れて在庫圧縮を実現していくという特徴が見 られる。そのためには、ベンダーとセットメーカーとの間で、綿密な情報の共有 や協業関係が必要となる。例えば、部品の出荷状況(輸送途上情報も含む)など の物流情報や生産ラインの部品消化情報、生産計画情報などの実務上必要な細か な情報が必要となる。また、それらを相互に結ぶ情報ネットワークと、リアルタ イムで検索・入力できる情報技術を駆使したソリューションが求められる。 4.2.2 小売業における V M I 早くから小売業では、小売店に導入された POS 端末という情報機器の利用が 発達していたため、VMI や CRP(連続在庫補充方式)の実現が比較的早くから試 行されてきた。つまり、POS の販売データから実需を捕らえることにより、納品 者側は店頭在庫量を把握できるので、必要量を計算し補充することが可能となっ た。特に定番商品のように需要が安定した商品は、その導入がしやすい。中でも 食品・雑貨業界では、ECR の代表的な仕組みとして VMI が発展した。それは、 小売企業がサプライヤーに POS 情報を転送することにより、サプライヤーが小 売企業の在庫状況を判断して、商品の補充納入を行う仕組みとして登場した。 4.3 V M I の類型 ここでは、さらに VMI、CRP といった同種の在庫補充発注方式を採用してい る事例を取り上げる。その業種別の取組み方を通して、その共通点や相違点を探 りながら、VMI を分類し、その事例を検証していく。VMI は大きく分けて次の 2つの類型に分けることができる。 ①メーカー型(ベンダー&セットメーカー型)VMI 電子部品メーカーが電子機器組立メーカーに補充する方式を採用したもので、 通常はセットメーカーとベンダーの共同倉庫をセットメーカーの製造ラインの近 107.
(10) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス 辺に用意して、ベンダーからセットメーカーに対する部品補充のためのロジス ティクスが実現される。この型の VMI はベンダー主導という本来の VMI という より、セットメーカー主導で構築される CRP に近い。つまり、組立製造ライン に部品を必要数量だけ都度補充する方式を採用している。 ②製販同盟型(消費財メーカー&小売店型)VMI 定番商品を主な対象として POS データから自動補充数量を計算して、納入業 者である消費財メーカー又は卸売商が小売業者(ユーザー側)の発注業務を代行 して商品を補充するものである。本来のベンダー主導という意味合いが強い型で ある。また、この型の補充方式には、大きく3つの方式が見られる。つまり「在 庫維持型」、 「売上充足型」、「需要予測型」である。 在庫維持型は、店頭在庫が安全在庫(基準在庫)水準を割り込んだときには、安 全在庫を満たす水準まで商品を補充する方式である。これは、絶対に品切れを発 生させてはならない定番商品向きである。売上充足型は、店頭で売れた分だけ補 充して基準在庫を保つ方式で、ファッション性やシーズン性が強い商品向きであ る。需要予測型は、店頭で売れそうなときを見越して補充し、基準在庫を保つ方 式である。これは、過去の売上、在庫の推移や季節性などを勘案して、補充数量 が決定される。 在庫維持型は発注頻度が売上補充型より少ないため、発注費用や物流コストが 抑えられるが、商品ごとの厳密なマスター管理に手間がかかる。一方、売上充足 型は在庫維持型と反対の関係にあり、商品ごとの管理がしやすいが、発注頻度が 増えて物流コストが膨らむなどの欠点がある。需要予測型は、過去の売上、在庫 の推移や季節変動などを考慮して補充数量を決定する。この需要予測型は、メー カー型 VMI でも共通して利用される方式でもある。 4.4 V M I ビジネスのメリットとデメリット 4.4.1 メリット メーカー型 VMI の場合は、第一に、市場ニーズに見合う生産計画を立て、生 産数量の最適化が可能である。これは、供給側(ベンダー)が部品を必要な数量し か製造しないために VMI 導入前と比較し、無駄な生産をしないで済むからであ り、物流負荷の軽減につながる。また、在庫管理費用の削減や環境負荷削減に寄 与することにもなる。 第二に、ユーザー側は、無在庫または最小限の在庫による生産の実行が可能に 108.
(11) 陳 尾 雲 なる。通常の場合、セットメーカーであるユーザー側は、商品を企画・設計し需 要予測を行う。また、それと並行して、その商品を構成する部品の購入計画を立 てる。VMI の場合、部品は生産ラインへの投入直前までベンダーの在庫として 保管・管理されているため、ユーザーの部品在庫は極端に少なくなる。これは、 キャッシュフロー経営の改善に繋がるということになる。 第三に、物流をアウトソースすることで、本業のコア業務への経営資源の投入 が可能になる。 4.4.2 デメリット VMI のデメリットとしては、メーカー型 VMI と製販同盟型 VMI の双方に言 えることであるが、第一に、IT への投資額が大きいことが挙げられる。初期費 用が大きいために、資本力のある、または、資金を集めることができる総合物流 企業でなければ VMI の情報システムを構築することができない。 第二に、ユーザー側では、高い精度の需要予測が要求される。これは市販され ている各種需要予測ソフトでカバーすることができるが、その運用とデータ管理 については高い専門性が要求される。 第三に、ユーザーとベンダー(または商品納入業者、以下商品納入業者を含め てベンダーという)間の詳細な契約書の取り交わしが必要であり、両者が対等の 立場に立って、相互の信頼をベースに、フランクに話し合い、緊密なコミュニ ケーションを持つことによって、win-win(相互利益)の関係を築くことが重要だ と考える。なぜならば、需要動向に大きな変化が生じ、ユーザーであるセット メーカーが商品生産を削減又は中止する場合、あるいは小売業者が調達商品を変 更した場合、ベンダー(または納入業者)側で過剰在庫が発生するため、それを 取引当事者がどのように解決しておくかを取り決めておく必要があるからであ る。この場合、ユーザーの需要予測がぶれた際には、余剰在庫に対するベンダー への補償問題の取り決めを契約に入れることによって、ベンダーが一方的に不利 にならないような手段を講じなければならない。 4.5 V M I の構築 4.5.1 V M I 構築の条件 サプライチェーンにおける VMI では、川上(生産領域)と川下(流通・消費領 域)の2つの領域において、VMI を活用した調達・生産・販売の最適化が行われ 109.
(12) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス ている。基本的には両方ともその仕組みは同じであり、ベンダーがセットメー カーまたは小売業者の在庫を管理する点にある。VMI 構築に必要な条件として 最も重要なものは情報の共有化である。もちろん、ベンダーがユーザー側と生 産/販売計画を常に共有することが大前提となる。生産/販売計画は、ユーザー 側からすれば企業の機密事項であるが故に、ベンダーとのパートナーシップの確 立が重要となってくる。一方で、ベンダーからすれば、部品供給のタイミングは 生産/販売計画の精度に依存しているため、ユーザーとの信頼関係の確立、継続 が不可欠である。 一般的には VMI 構築により、ベンダーはいち早くユーザーサイドの必要数量 を把握して自身の無駄な生産や物流費の発生を食い止めることができることか ら、“ Win-Win ”の関係が確立できると言われている。しかしながら、VMI の導 入においては、ユーザー側は VMI を導入するという確固たる意思を持ち、かつ. VMI に対応できるベンダーを選択すればよいが、ベンダー側では VMI の新しい 仕組みを構築し実行するための IT、人的資源が必要になり、両者の間にはシステ ム構築上の立場の違いが存在する。この点を考慮すれば“ Win-Even ”の関係の確 立に落ち着くといえるのではないであろうか。実際には、ユーザー側がベンダー に教育を実施して、VMI 導入のサポートをするケースが多い。 4.5.2 成功のための要素 情報の共有がなされたとしても、その情報の中身が問題となる。ユーザー側で あるセットメーカーまたは小売業者の需要予測が外れてしまえば、情報共有の意 味がなくなってしまうからである。ベンダーが VMI のメリットを得るためには、 セットメーカーあるいは小売業者の需要予測精度の向上と生産計画サイクルの明 確化が必要条件となる。また、計画変更に柔軟に対応できるアプリケーションソ フトや IT ツール、特にインターネットをベースとした Web-EDI 導入は必須で ある。 また、ユーザー側とベンダー間での契約のあり方も一つのキーポイントとな る。“ VMI はベンダー泣かせ”とのイメージは、ベンダーが供給した部品/商品 の余剰在庫分の引取責任の問題から発している。急に、ある最終製品の製造がな くなったからといって VMI 倉庫の在庫を全てベンダーが引き取り、全てのリスク を負担するということでは、VMI におけるユーザーとベンダーの協業関係が成 り立たない。この点を明確化することは、お互いの信頼関係を成立させ、かつ 110.
(13) 陳 尾 雲. VMI 構築を成功させるための重要な要素と考える。 4.5.3 V M I 構築における留意点 VMI 導入に際しシステム要件の確立と共に、どのように実際の業務を動かし ていくのか、運用上の課題を明確にすることも重要なポイントである。ベンダー として留意しなければならない点は、タイムリーな納品である。在庫管理におい ては、ユーザー側から提供される在庫データを常に監視し適正状態になるような 管理方法の実施、需要変動情報の吸い上げと的確な生産スケジュールへの反映、 リードタイム短縮などによる在庫補充への柔軟な対応力の向上などにも留意して いかなければならない。一方で、ユーザーサイドの留意点はまず、第一に需要予 測精度の向上があげられる。また、需要変化時におけるユーザーからベンダーへ の連絡要領の確立、引取責任を明示した生産計画の提示と契約の締結、ハイレベ ルの在庫管理と結果情報(在庫情報、使用実績)の提供が必要である。. 5.. V M I の事例研究. 5.1 パナソニックロジスティクスの V M I 導入 5.1.1 V M I 導入の経緯 パ ナ ソ ニ ッ ク ロ ジ ス テ ィ ク ス は、 1966年 に 松 下 倉 庫 株 式 会 社 と し て 発 足、 2 0 01年1 0月現在の社名に変更した。物流サービスの8割はパナソニック・グ ループの物流が占め、他の2割は一般企業に物流事業のサービスを提供してい る。取扱う商品は約2万点、主に情報機器とその関連部品である。 急激に変化している消費市場では、グローバルな企業間の競争も激しくなって いく。そのような世界では市場の変化に柔軟に対応していくために、一連の業務 プロセスに関わる企業群が組織の枠を超え、情報を共有化し、サプライチェーン 全体の効率を高めていくことが求められている。約2万点の商品を取り扱ってい るパナソニックロジスティクスは、物流サービスのユーザー企業のために、在庫 削減、リードタイム短縮、ローコストオペレーションを含むトータルな総合物流 サービスを提供している。同社は、ユーザー企業に対して、セル生産をはじめと する調達・生産改革の支援から受発注業務の代行まで、物流の枠組を超える幅広 い企業活動を行っている。 パナソニックスロジスティクスでは、市場の変化に対応するため、以前の 111.
(14) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス. PUSH 生産方式で取られていた物流体制 PSI( Production-Sales-Inventory )を ベースとした物流サービス体制を改め、PULL 生産方式に対応する物流サービス 体制である ISP( Inventory-Sales-Production )へサービス内容を変革させた。同 社は、親会社であるパナソニックの工場が求める部材を必要な場所、必要な時間 に、必要な量だけ的確に供給するという新たなニーズに対応するため、PULL 型 の JIT 供給に対応する部材供給システムとしての VMI を導入した。 5.1.2 V M I 導入による効果 この VMI システムに参入しているパナソニックロジスティクス、ベンダー(部 品会社)及びパナソニックは、結果としてそれぞれメリットを受けている。 パ ナ ソ ニ ッ ク ロ ジ ス テ ィ ク ス で は、 2006年3月か ら2 00 8年3月 ま で の2年 間 に「1円、 1人、 1cm 」に拘った合理化に注力している。VMI システムの導入に よって、 2時間毎に部材を供給することができるようになったことで、部材の調 達・保管・供給の業務効率は5 8%向上した(パナソニックの関係者へのヒアリン グによる) 。同時に同社では、人員に関わる固定費用も1 5%削減することができ た。この1 5%の削減は、主に VMI システムに投入している社員の有効活用と外 部社員の適正配置によるものである。また、VMI のもう一つの大きな効果とし て、在庫の削減により保管面積が5 0%縮小した。次に部材の輸送・配送につい ては、VMI 倉庫の設置と同倉庫への部材の集中化によって輸送に要する時間は 3 3%短縮されている。 ベンダーとしての部品会社は主に納品作業、受注/出荷の点から VMI のメ リットを得ている。まず、納品作業の点から見ると、一括搬入による輸送費用削 減、少ロット納品対応作業の削減、簡易包装化による包装材費用の抑制、通い箱 の一括発注、低コストの包装材購入、輸送手段(トラック等)のコントロールがし 易くなったことなどの効果があった。部材の受注/出荷については主に事前管理 へシフトし、直近での納期督促と納期調整の削減、Web システム管理による納期 管理業務の極少化(不足部品は事前に情報提供)、納品受付の待機(路上、構内) 時間の緩和などの利点を獲得している。また、ベンダーにとっては VMI に参入 することで、ユーザー側であるパナソニックの事前情報開示により、生産の安定 というメリットを得るとともに、近郊の自社倉庫、営業所の廃止によるコスト削 減、デリバリー、倉庫作業、書類作成等の業務作業の効率化も実現できた。 パナソニックは、部品会社と同じように事前管理へシフトし、直近での納期督 112.
(15) 陳 尾 雲 促と納期調整の削減、WEB 管理による納期管理業務の極少化及び事前情報開示 を通じて、部品会社と自社双方の生産が安定するという利点を受けているが、一 番良い利点は自社の部品在庫を持つ必要がないことにある。 5.1.3 パナソニックロジスティクスの V M I モデルの特徴 パナソニックロジスティクスの VMI システムは、主にパナソニックのベン ダー(部品会社)と契約を行い、同社が設置した VMI 倉庫にベンダーから納入さ れる部品を保管・管理して、パナソニックの工場に対する JIT 納品を3PL 事業 者であるパナソニックロジスティクスが代行する機能に特徴がある。パナソニッ 3社 クロジスティクスの VMI システムでは、Web データベースの使用により、 間(ベンダー、パナソニック工場、パナソニックロジスティクス)での情報共有が 可能となった。複数の部品をパナソニックからの指示に従って、VMI 倉庫から. JIT で配送することにより、ベンダーの物流コストを低減する効果をも生じた。 また、パナソニックロジスティクスでは一定程度の基準在庫を持つことにより、 パナソニックの生産変動に対して、柔軟に対応でき、かつ調達リードタイムの短 縮化にも対応することができるようになった。パナソニックロジスティクスの. VMI の仕組みは図表2の通りである。 図表2 パナソニックロジスティクスの V M I の仕組み. 出典:パナソニックロジスティクスのホームページによる. 113.
(16) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス 同社の VMI システム事例が実現した要因を主に以下に3点でまとめる。 まず、VMI を成功させるためには現状分析をしなければならない。現状分析 の第一段階は実業務プロセスを熟知することから始まる。同社では、実業務プロ セスは受発注、調達の仕組み、部材供給の仕組み、物流人員、運搬ルート、もの づくりというステップに基づいて行う。受発注は、主に年間予測に基づく受発注 方式による。受発注方式は、在庫引当て方式と所要量方式の二つがある。部材供 給の仕組みは、手配計画と実生産の差異に対する対処と変化への対応力を中心に 取り組んでいる。ものづくりについては、VMI システムを成功させる前に、主に ものづくり革新の進捗状況、効率的生産の推進状況と生産レイアウトを分析す る。このような状況の把握によって、同社では物流革新としての VMI システム の構築に進むことができる。VMI システム決定のポイントは、工場のモノづく り革新との連動、調達・生産・配送プロセスの全般の見直し、及びベンダーとの 合意形成の3つからなる。 この VMI システムに参入しているベンダー、パナソニックとパナソニックロ ジスティクスは、市場に柔軟に対応できる業務プロセスの効率化という明確な共 同の目標を実現するため、 「共通のパートナー」という意識を共有し、本気で. VMI システムを成功させる意欲を有していた。このパートナーという認識の共 有が各部門の連携を通じて VMI システムを成功させることになった。 また、情報共有 WEB システムの立ち上げにより、 「見える化」を実現すること ができ、在庫の可視化、部品の欠品を事前に一目で把握することができるように なった。具体的には、図表3により、まず、パナソニックは生産管理システムを 通じて先に生産、予約確定注文などの情報をベンダーである部品購入先の生産管 理システムに流す。そして、各生産管理システムは、VMI 倉庫の管理システムか ら出された欠品予測照会、在庫推移検索、入庫履歴照会、入庫予定などの情報に 基づき、部品在庫と所要数量のバランスをとることができる。その共有 WEB シ ステムを利用することによりベンダーは納期管理の効率化、システム投資の抑制 と物流管理の効率化という効果を出すことができた。パナソニックでも、調達業 務の効率化、納期督促の削減、調達プロセス管理がしやすくなるなどのメリット がうまれた。. 114.
(17) 陳 尾 雲 図表3 情報共有 W E B システム. VMI. 出典:パナソニックロジスティクス企業訪問時の資料による. 5.1.4 V M I 構築と関係企業間の問題点 パナソニックロジスティクスが導入した VMI システムに参加している企業は、 パナソニックの工場をはじめとして今まで様々なメリットを受けている。VMI システムの導入によって、企業間の信頼を構築する上で長期的な WIN-WIN 関係 を維持することができる。そして、煩雑な部材調達業務の効率化を目指し、VMI オペレーションの改善を通じて、物流に掛かる業務・管理コストを合理化するこ とができる。しかし、一方において、パナソニックロジスティクスの VMI 倉庫 からパナソニックの工場へ生産用の部材が納入されるまで、ベンダーは VMI 倉 庫に納入した部材を自己の資産として在庫し、かつ在庫に係る管理コストとリス クを負担している。このようなベンダー側のコストとリスクを緩和していくこと も、今後の VMI システム導入上の課題である。 5.2 N E C の上海 V M I システム 5.2.1 ビジネス P C 事業の国際調達領域で直面する課題 PC 業界では製品の標準化が進み、部品の価格は激しく変動し、グローバル競 争が激化するという現象が起きている。このような業界では、製品生産に使用し ている部品は、その地理的ソースが世界に分散している。このような部品の調達 環境では、PC の受注ビジネスの変動、仕様の多様性、保守及びアフターサービ スなどに機動的に対応すること、すなわち顧客満足度向上のためには、在庫を 115.
(18) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス 持ったり、これらの変動要素に対して費用をかけたりして対応策をとることで解 決することができるが、これらの対応では、キャッシュフローの悪化や対応策に 掛かるコスト増加などのマイナス効果が生じて、業績の悪化につながる。さら に、海外から部品を調達する時、「大きな発注ロットサイズ」と「長いリードタイ ム」という問題にも直面している。 5.2.2 上海 V M I の導入モデル 現在、NEC の PC 生産の主力拠点では、山形県米沢の生産拠点のほかに、中国 上海の部品生産拠点において基幹部品生産を強化している。このような調達環境 においては、海外から部品を調達する時、PC 製品の生産状況に応じてタイム リーに購買すること、国際輸送・配送及び物流に掛かるトータルコストと、PC 製品の切替時における調達部品の余剰在庫の発生のことを考えなければならな い。NEC の PC 事業では、部品の調達から商品の生産、販売までのリードタイム 及び業務効率をトータルに最適化するために、部品の調達と生産をつなぐ VMI の 仕組み構築に取り組んでいる。図表4は上海 VMI オペレーションの概要である。 NEC の PC 生産における VMI システム構築の特徴は、中国上海に基幹部品生 産のための VMI 倉庫を設置、活用している点にある。上海では、ノート PC の生 産委託先として3社の ODM 3)会社、デスクトップ PC では1社の ODM 会社を 活用している。この4社はいずれも台湾資本の ODM 会社である。同社が VMI に取り組んだのは2 004年7月のことである。上海 VMI の仕組みでは、上海の外 高橋保税区の保税倉庫を活用するなど、中国の保税制度をうまく利用した仕組み として構築している。 3PL 事業者が上海外高橋保税区に VMI 倉庫を設置、そこ にベンダー(部品会社)資産としての調達部品を一元的に保管・管理して、この. VMI 倉庫から上海地区の生産拠点向けに、基幹部品生産用の部材を JIT で配送、 納入している。これら上海地区の生産拠点で生産された基幹部品はミルクランに よって再び外高橋保税区の VMI 倉庫に集荷され保管される。次に、日本の米沢. PC 生産工場から WEB を通じて指示された出荷、指示に基づき、米沢工場あて に基幹部品をプル単位で国際輸送している。. 3)ODM( Original Design Manufacturing )とは発注元企業のブランドで販売する製品を、設計段階 を含めて請負、生産・供給すること。. 116.
(19) 陳 尾 雲 図表4 上海 V M I のオペレーション概要. HUB LCD. HDD ODD. PULL. EPZ. ODM A. VMI. PULL. ODM B. 出典:NEC 企業訪問時の資料による. 5.2.3 上海 V M I 導入のメリット 従来の部品調達の仕組みでは、ベンダーごとに通関することが通常だったた め、物流費用などが、その都度かかる仕組みであった。また、中国の税関を通過 するまでに3日間程度要することもあるため、特定の部品は ODM 会社に供給さ れても、別の部品は、まだ通関していないというようなタイムラグが発生するこ ともあった。新たに構築した上海 VMI の仕組みでは、保税倉庫を利用すること で、ここで一度部品をストックし、必要な時に必要な分量の部品をまとめて共同 通関するということが可能になった。これにより、ODM 会社に対して基幹部品 生産用の部材を毎日、必要な量だけを共同通関、共同配送することができ、物流 費用面でのコスト削減メリットとともに、不要な生産タイムラグの削減も可能に なった。 もうひとつのポイントは、生産量に合わせた部材の供給が可能になった点であ る。これまでは、一度 ODM 会社に部材が入庫されてしまうと、当該部材が不足 している別の ODM 会社に移送するためには、煩雑な手続きが必要であるととも 117.
(20) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス に、 1 8%の関税を課税されるという問題があったが、これも保税倉庫を活用する ことで、必要な量を必要な ODM 会社に対してタイムリーに供給できるように なった。これによって複数の ODM 会社に対しても、適正な在庫量を維持できる ほか、それに伴う生産委託先間の部材の移動といったこともなくなった。 上海 VMI システムでの更なるメリットが、生産リードタイムの短縮である。 海外生産の最大のデメリットは国内生産に比べて、調達から生産までのリードタ イムが長いという点である。これまでは、事前に余裕を持って部品を調達し、こ れを ODM 会社に入庫し、その後、生産に3日間、輸出手続に2日間、船便での 日本の米沢 PC 工場への国際輸送に2週間というように、かなりの時間がかかっ ていた。具体的には、部品発注の段階から見れば6週間以上、部材が ODM 会社 の倉庫に入ってからでも約4週間かかっていたという計算になる。上海保税区に おける VMI 倉庫の利用が可能になったことで、適正在庫量での保管・管理、共 通通関、共同の国際輸送が現実化したことにより、部材調達のための時間的制約 (調達時間の延長の必要性)が不要になり、結果としてリードタイムにおける2.5 週間の時間短縮が可能になった。 5.2.4 上海 V M I 倉庫の問題点 上海 VMI 倉庫を利用する時、部品在庫の資産は NEC の資産にもならないし、. ODM 会社の資産にもならない。それは、NEC と ODM 会社にとって PC 組立て 以前に仕入れコストが発生しないという良い点であるが、ベンダーには在庫の負 担となる問題があると考える。その在庫コストの負担により、金利の問題も出て くるし、資金調達の問題に繋がる。とくに、多くのベンダーは中小企業であり、 原材料調達のための資金を調達する時、NEC のような大企業に比べ、金利が高 く、銀行からの融資も受けにくい。NEC や ODM 会社は、部材の在庫負担、資 金負担をベンダーに移すことでメリットを享受することができるが、サプライ チェーン全体を考えた場合は、ベンダーの原材料コスト、資金調達コスト等が上 昇することにつながり、結果としてトータルの生産コストの一部を押し上げてい ると考えられる。 5.3 D H L ジャパンの事例分析 5.3.1 サプライチェーン・インベントリ・オーナーシップの導入 世界最大の物流企業グループであるドイツ企業の DHL は、中国で生産された 部品を日本に運び、保税状態のまま VMI 倉庫で一時保管した上で、外資系メー 118.
(21) 陳 尾 雲 カーの工場に JIT 納入するまでの一連のロジスティクス業務を一括で請け負って いる。 20 0 5年1月に VMI 向けの新商品として、サプライチェーン・インベント リ・オーナーシップ( SCIO:Supply Chain Inventory Ownership、以下、SCIO という)を開発した。SCIO の特徴は、ロジスティクスのオペレーション機能に 加え、新たな決済・金融機能を提供している点である。 決済・金融機能付きの V M I システムの事例:G E キャピタル VMI プロジェクトを推進するにあたって最大のネックとなるのは、ベン ダー側の在庫保有リスクが高まってしまうことである。VMI では、契約に よりユーザーが倉庫に保管されている部品/商品などの在庫について使った 分だけ代金を支払う。そのため、ベンダーにとっては、ユーザー企業が商 品/部品を一括で購入していた従来の取引に比べ、在庫が現金化されるまで のサイトが延びてしまうという不都合があった。こうした問題を解消し、ベ ンダーとユーザーの両者を「 Win-Win の関係」に改めることで、VMI 導入を サポートする目的で開発された方法が「サプライチェーン・インベントリ・ オーナーシップ( SCIO:Supply Chain Inventory Ownership )である。具 体的には、両者の取引の間に金融機関が介在し、VMI 導入の足かせとなって いた在庫リスクを肩代わりして、ベンダーへの支払いを短縮することで、ベ ンダーが VMI を受け入れやすい環境を整える。 実際、 「 SCIO 」を先行導入している欧米では財務改善の視点から、こうし たスキームを取り入れる動きが活発化している。日本では依然として煩雑な 調達業務の効率化を目指すなどのオペレーション改善に重点が置かれた取り 組みが圧倒的に多いから、「 SCIO 」を導入する企業は少ない。これからは、 ベンダー側が SCIO を活用することによって、現金化の短縮というメリット を通じて、 ファイナンスの観点から VMI を展開したいというニーズが出てく る可能性が高いと考える。 この VMI モデルでは、DHL と本システムを共同開発した金融会社の GE キャ ピタルが早い段階でベンダーから在庫を買い取る。そして、GE キャピタルはそ の代金を短いサイトでベンダーに支払う。一方、外資系メーカーは DHL が運営 する VMI 倉庫から部品/商品を引き取った分だけ GE キャピタルに代金を支払 う。SCIO を利用することで、ベンダーは在庫を現金化するまでのサイクルを大 幅に短縮できる。これによって、在庫回転率が向上し、キャッシュ・フローの改 善にも繋がる。 DHL はベンダーの工場から VMI 倉庫までの輸送や VMI 倉庫の運営といった ロジスティクス業務を一括受託することで収益を上げる。一方、GE キャピタル は代金支払いサイトの短縮化と引き替えにベンダーに対して納価引き下げを要求 119.
(22) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス する。GE キャピタルはユーザー企業との間で「在庫の全数買取り責任」契約を交 わすため、ベンダーは在庫リスクを負わないで済む仕組みになっている。 5.3.2 S C I O 導入の効果 次に、事例を挙げて、SCIO 導入の効果を検証する。 図表5にみられるように、ベンダー A 社は、ユーザー B 社に対して部品を納入 している。A 社の工場から B 社向け VMI 倉庫までの輸送日数は10日である。B 社から出荷指示が出る(部品の販売が成立する)まで部品が在庫として VMI 倉庫 で寝ている日数を7日とする。販売が成立して B 社が A 社に代金を支払うまで のサイトが20日と設定されている場合、ベンダー A 社が部品を工場出荷してか ら倉庫で保管された上、現金化されるまでに掛かる日数は37日となる。 図表5 S C I O を利用した V M I 取引の事例. VMI B S C I O. GE. GE. GE GE. 出典:ライノス・パブリケーションズ(2 0 0 6) 『月刊ロジスティクス・ビジネス』. これに対し SCIO を利用すると、A 社は GE キャピタルに部品を販売した10 日後にはキャッシュを手に入れることができるようになり、VMI 倉庫出荷後、現 金化までの回収サイクルを大幅に短縮できる(工場渡しの場合は最大27日短 縮)。そしてこの場合、ベンダー側の在庫リスクは GE キャピタルに移転する。こ れだけの効果を期待できることで、ベンダー側の VMI に対する抵抗力を緩和す ることができると考える。 SCIO のビジネスモデルでは、ベンダーとセット・メーカーといった組み合わ せの川上での VMI だけでなく、アパレルメーカーと小売業者など川下領域の. VMI においてもベンダー側の在庫リスクを軽減するために、SCIO を導入するこ とができると考える。 120.
(23) 陳 尾 雲 5.3.3 事例の比較 パナソニックロジスティクスの VMI 事例では、ユーザー企業がセットメー カーであるケースについてその VMI の仕組みと当事者間の運用、及びメリット について述べた。一方、NEC の VMI 事例では、中国の特別な保税制度を利用し て、中国にあるベンダーと上海外高橋保税区に設置された VMI 倉庫が、NEC 側 の部材納入指示に基づいて JIT で上海周辺の基幹部品生産者( ODM 会社)に「必 要な部品を、必要な時に、必要なだけ」納入する効率的な国際型の VMI 運用シ ステムの機能とメリットを分析した。双方の VMI 事例においては、VMI システ ムに参加している各企業が様々なメリットを享受している一方、ベンダー側では 在庫コストの負担がかかり、かつ最終的にセットメーカーから代金を回収するま での資金立替が発生することを指摘した。このような問題を緩和するために、. VMI システムに参加している各企業では、契約により、在庫リスクをセットメー カー側が負担するケース、あるいは、在庫管理と煩雑な調達業務の効率化を目指 して、オペレーションの改善を通じてベンダー側の業務コストを合理化するよう なケースもある。一般的には、ベンダー側がセットメーカーに部品を納入するま で在庫を抱え、資金回収が遅れるケースが多い。DHL ジャパンの事例では、本 問題の解決策の一つとして、GE キャピタルとビジネス上の協力関係を構築し、 ファイナンスの視点からサプライチェーン・インベントリ・オーナーシップを導 入して、GE キャピタルのファイナンス機能を通じて、ベンダー側が早期の代金 回収を行う改善策を例示した。DHL ジャパンの事例は、金融機関が介在するこ とにより、VMI システムの欠点を補完する新たなビジネスが行われていること を示すものである。特に国際型の VMI システムでは、輸出・輸入というプロセ スが存在し、納入までのリードタイムが長いため、ベンダーの部品納入にかかる 代金回収を確実にして、ベンダー側のメリットを確保することも重要である。. 6.. まとめ. 物流企業が、ユーザーの物流システムの中核的な部分に踏み込んで事業を展開 する3PL ビジネスは、運送、保管などの個別の業務を提供する初期の段階から、 物流の企画・立案と当該企業の物流業務全体をシステム的に請負う方式へ、さら には情報システムを駆使して、高度な物流システムを構築し、トータルサービス を提供する段階へと発展してきた。この3PL ビジネスでは、ユーザー企業に対 121.
(24) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス して、常に商品を最適な時期に、最適な方法で提供しなければならない。そして 物流企業は多くの在庫を抱えることも許されない。 本論文では、 3PL ビジネスの発展を述べる上で部材の調達、在庫の最適化とコス ト 削 減 の た め 新 た な 物 流 戦 略 と し て VMI を 試 用 し た 物 流 ビ ジ ネ ス の 発 展、. VMI システムを利用するメリットとデメリットを明らかにした。そして、事例分 析を通じて VMI システムを成功させるための現状分析、情報共有、およびパー トナーシップが重要であるという点を強調した。また、国際調達においては、. VMI システムを利用することで、生産量に合わせた部品の調達・供給が可能に なった点と、生産リードタイムの短縮のメリットを受けていることも明らかにし た。そこで、VMI システムを利用するとき、ベンダーがユーザー企業への部材供 給の代金をいかに確実かつ早期に回収するかという問題点について、金融機関の 介在および代金決済システムとの融合で、ベンダーが VMI を受け入れやすい環境 を整えているという解決方法も提示した。 将来的に、日本においても、中国においても、市場の需要変化に対応するた め、VMI サービスの需要度がますます高まってくると思う。新しいビジネスモ デ ル と し て、 3PL 事 業 者 は VMI サ ー ビ ス の よ う な ベ ン ダ ー と ユ ー ザ ー が. WIN-WIN、または、少なくとも、WIN-EVEN となるような高度な物流サービ スを提供していくことになるが、そこでは以下の課題を抱えていると考える。 6.1 パートナーシップの強化 3PL 事業者は自分だけの最適化を考えるだけでは、物流全体の最適化を実現 することができない。ベンダーとセットメーカーでは、物流管理、部品調達など の業務を3PL 事業者に委託することで、物流業務に対する社内の負担が減りつ つある。各企業は物流業務をアウトソースし、 3PL 事業者に委託して物流シス テムを構築する際に、自己に都合のよいシステムを3PL 事業者に要求するきら いがある。例えば、VMI サービスを受ける時は、ベンダーの立場を尊重したシス テムを考慮すべきである。ベンダーとしての部材供給の立場をシステム上考慮し なければ、それは、VMI システムを利用して物流効率化を実行する際に障害とな る要因である。したがって、 3PL 事業者は完璧な業務の達成をめざすことは非 常に難しいと思う。VMI システムに参入するベンダーとセットメーカーが、全て 物流サービスの高度化や生産性向上に対する意識を常に持ち続けて、共通のゴー ルに向けて業務達成と物流効率化の実を上げることが成功への第一歩となる。 122.
(25) 陳 尾 雲 ユーザー企業との良好なパートナーシップを維持するためには、 3PL 事業者は、 相互の親密な情報交換が必要不可欠である。今の段階では、在庫レベル、入出庫 の情報共有を基に、大きな需要変動時、密接な連携を図り不足部品や余剰在庫へ の対応をタイムリーにベンダーとセットメーカー間で協力することが可能であ る。 本論文では、パナソニックロジスティクスの VMI システムの事例を通じて、 パートナーシップの意識が大事であるという点も指摘している。パナソニックロ ジスティクスでは「強力なパートナー」という意識の重要性を認識して、物流シ ステムの高度化のために本気で取り組む意欲が強い。WEB システムでの情報共 有により、参加している企業がタイムリーに在庫状況をチェックし、欠品も迅速 に把握することができることで、市場に柔軟に対応できる物流管理業務の実現と そのプロセスの効率化という共同の目標を実現することができた。これからパナ ソニックロジスティクスと同じような3PL 事業者は、さらにパートナーシップを 強化し、情報を共有化し、WIN-WIN 関係を構築すべきだと考える。 6.2 グローバルな V M I 展開の課題 VMI のグローバル展開は、通常のグローバル物流ネットワーク、国内の VMI システムを更にアップグレードする点にあり、投資にもかなりの資金が必要であ るから、生産拠点、物流拠点、VMI 倉庫の配置構想を基に構築されるべきと考え る。究極的に言えば、どこの VMI 倉庫にどのベンダーの部品がどこの国から、 いつ納入されるのか、その在庫はどうなっているのかなどの管理業務をマネッジ しなければならない。各生産拠点のグローバルベースでの需要予測、情報共有の 他に部品管理も重要であり、物流システムの可視性が不可欠となる。VMI 倉庫 の立ち上げを行い、業務運用が軌道に乗ったことを確認し、グローバルに統合す るステップを踏むのが望ましい。 世界規模での全体最適化による在庫削減計画を構築するには、その仕組みもか なりダイナミックなものが要求される。そして、各国の物流政策及びインフラを チェックして、現実に可能な最適なシステムを作りあげることも VMI のグロー バルな活用に重要である。 本論文では、NEC 上海の VMI 事例を通じて、保税倉庫の活用により、ユー ザーである NEC だけではなく、ベンダーもメリットを享受できることを指摘し た。これからは、 中国における VMI 展開の戦略も変わっていくと思う。したがっ 123.
(26) 国際ビジネスにおける物流の発展:3PL と VMI サービス て、中国においても、他の国においても、VMI のような高度な物流システムを展 開していくためには、新しい VMI ソリューションが必要であり、投資額と VMI システムの構築によってもたらされるメリットのバランスを最適化するような. VMI ソリューションを導入することも検討しておくべきである。 (筆者は、関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了). 124.
(27) 陳 尾 雲 参考文献・資料 【1】阿保栄司(1 990)『物流サービスの戦略的展開』白桃書房 【2】阿保栄司・矢澤秀夫(2 000)『サプライチェーン・コストダウン』中央経済 社 【3】ジェイアール貨物リサーチセンター編(2 004) 『日本の物流とロジスティク ス』成山堂書店 【4】唐澤豊(1 98 9)『物流概論』有斐閣 【5】斉藤実(2 00 5)『3PL ビジネスとロジスティクス戦略』白桃書房 【6】塩見英治(1 998)『現代物流システム論』 中央経済社 【7】鈴木邦成・遠藤八郎(2008)『商品管理・物流管理』日刊工業新聞社 【8】高橋輝男(1 997)『ロジスティクス―理論と実践』白桃書房 【9】西澤脩(1 98 8)『物流費の会計と管理』白桃書房 【10】日本総合研究所編『図解サプライチェーン・マネジメント』日本実業出版社 1 9 99年 【11】日本ロジスティクス・システム協会編『日本のロジスティクス』日本能力協 会マネージメントセンター 1994年 【12】水野真澄(2 005)『中国保税開発区・倉庫活用実践マニュアル』株式会社エ ヌ・エヌ・エー 【13】湯浅和夫(2 009)『物流とロジスティクスの基本』 日本実業出版社 【14】SCM 研究会編『サプライチェーン・マネジメントがわかる本』日本能率協会 マネージメントセンター 19 98年 【15】ライノス・パブリケーションズ『月刊ロジスティクス・ビジネス』 20 0 6年 1 1月 North Carolina State University:http://scm.ncsu.edu/public/lessons/less030 3 05.html Datalliance:http://www.datalliance.com/ 1 2Manage:http://www.1 2manage.com/methods_vendor_managed_inventory.html ア ジ ア 経 済 研 究 所:http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/ 2 0 06_0 4_1 1_0 8.pdf パナソニックロジスティクス株式会社ホームページ:http://panasonic.co.jp/plc/ company/ NEC ロジスティクスホームページ:http://www.necl.co.jp/. 125.
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