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セキュリティ要求工学の実効性:0.編集にあたって

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Academic year: 2021

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(1)1. セキュリティ要求工学の概要と展望 2. SQUARE ではじめるセキュリティ要求工学 3. セキュアトロポス(Secure Tropos)概論 4. KAOS によるセキュリティ要件の獲得・分析 5. 実践的セキュリティ要求工学に向けて 6. 日本ユニシスにおけるエンタープライズ・ セキュリティ・アーキテクチャ (ESA) 7. コモンクライテリアにおけるセキュリティ要求の 規定の現状と課題. 8. 企業におけるセキュリティ分析技術の実効性. 特集. セキュリティ要求工学 の 実効性 編集にあたって. 紹介したのち,方法論の紹介を行い,後半では,企業に おける事例や研究例を紹介し,その実効性について論 じる.. 吉岡 信和 田口 研治.  方法論としては,SQUARE と,セキュアトロポスと. 国立情報学研究所. KAOS を取り上げた.これは,プロセス指向,エージェ ント指向,ゴール指向という 3 つのパラダイムを代表.  本特集では,システム開発における要求獲得・分析工. する方法論を取り上げることで,さまざまな異なるアプ. 程において,セキュリティ要件をいかに獲得・分析する. ローチを概観できることを目指している.本特集では,. かについての方法論を中心に,企業におけるセキュリ. それらを,各方法論の提案者自身と我が国の事情に詳し. ティへの取り組みを含めて現在の状況を概説する.セ. い日本人研究者との共同で執筆することにより,読者に. キュアなシステムの開発は現代社会にとり,非常に大き. とって分かりやすい解説となることを狙った.さらに,. な課題であるが,必ずしも開発現場においては,そのた. 後半の事例紹介では,企業の第一線で活躍されている. めの方法論が積極的に導入されているわけではない.そ. 方々に解説いただいた.このような取り組みは世界でも. のため本特集では,まずセキュリティ要求工学の概論を. 例をみない試みであると思う. 情報処理 Vol.50 No.3 Mar. 2009. 185.

(2) 特集. セキュリティ要求工学 の 実効性  本特集は,次の 8 つの観点からの解説となっている.. み事例について解説している.そして,現場で使える実.  まず, 「セキュリティ要求工学の概要と展望」 (吉岡と. 践的セキュリティ要求工学とは何かを論じている.. Bashar Nuseibeh 氏)として,セキュリティ要求工学.   「日本ユニシスにおけるエンタープライズ・セキュリ. の必要性,定義,そして,その課題を整理している.セ. ティ・アーキテクチャ(ESA) 」(平岡昭良氏)において. キュリティ要求工学は,セキュリティに関する要求工学. は,企業が戦略的に情報セキュリティに取り組むため. であり,通常の要求工学と同様の部分も存在するが,複. のフレームワークとしてのエンタープライズ・セキュリ. 雑性や変化,トレードオフなど独自の難しさも存在する.. ティ・アーキテクチャについて自社の取り組みを紹介し. 本稿でこれらを整理し,以下の解説記事のガイダンスと. ている. セキュリティガバナンスから始まり, 情報セキュ. なっている.. リティ対策,セキュリティ組織レイヤなど,非常に詳細.   「SQUARE ではじめるセキュリティ要求工学」 (Nancy. かつ体系的に,企業としてのセキュリティ活動について. R. Mead 氏と吉岡)では,セキュリティに関するシ. 説明している.. ステムの品質を高めるためのプロセスモデルである.  「コモンクライテリアにおけるセキュリティ要求の規. SQUARE を紹介している.これは,カーネギーメロン. 定の現状と課題」(金子浩之氏)では,IT 製品に関する. 大学で開発された,セキュリティ要求を獲得し,分類,. セキュリティ保証の国際標準であるコモンクライテリア. 優先度付けするための 9 つの手順を規定している.. に関する現場の状況と,実際のシステム開発における要.  「 セ キ ュ ア ト ロ ポ ス( Secure Tropos ) 概 論 」. 求工学からのセキュリティ保証へのアプローチについ. (Haralambos Mouratidis 氏と田口) においては, セキュ. て,ミスユースケースを用いたモデル化手法を基に論じ. リティ要件の獲得・分析方法論の 1 つであるセキュア. ている.. トロポスについて,事例を基に紹介している.本方法論.   「企業におけるセキュリティ分析技術の実効性」 (大久. は,アクターとその間の依存関係とその関係上のセキュ. 保隆夫氏) では, 企業のソフトウェア開発におけるセキュ. リティの制約を記述することで,対象システムに関する. リティ要求分析, 設計の現状と課題について論じている.. セキュリティ要件の獲得・分析を行うという特徴を持つ.. 特に,実用的なセキュリティ分析手法として提案されて. 基本であるアクター図とゴール図を用いていかにモデル. いる脅威モデリング手法に関して,その有効性と問題点. 化を行うかについて説明を行っている.. について議論している..  「KAOS によるセキュリティ要件の獲得・分析」 (田原.   こ の 特 集 は, 筆 者 ら が 中 心 に 国 立 情 報 学 研 究 所. 康之氏,Axel van Lamsweerde 氏,Emmanuel Letier 氏)では,ゴール指向要求分析方法論である KAOS に. GRACE センターで行っているセキュリティソフトウェ ☆1 ア工学に関する研究プロジェクト の成果の 1 つでも. よるセキュリティへの取り組みについて,通常のゴール. あり,お願いした執筆者のほとんどは,このプロジェク. の概念の逆である攻撃者の持つ反ゴールを考慮した反モ. トで開催されたチュートリアル・シンポジウムの講演者. デルによる手法について説明している.. である.特に 2008 年 6 月に行ったセキュリティ要求工.   「実践的セキュリティ要求工学に向けて」 (山本修一郎 氏)では,投資対効果の評価手法,セキュリティ要求工. 学に関するシンポジウムでは,Bashar Nuseibeh 氏, Nancy R. Mead 氏,Emmanuel Leiter 氏,山本修一. 学プロセスの事例,企業情報システムのセキュリティ・. 郎氏らとでパネルディスカッションを行い,本特集の内. アーキテクチャ,セキュリティ専門家とのチームワーク. 容はその議論結果をふまえた内容となっている.これを. を考慮したプロジェクト管理など,主に海外での取り組. きっかけに,セキュリティソフトウェア工学に関する研 究,および,その実践が進み,IT 技術を活用した安全・. ☆1. 186. 安心な世界を実現する助けになれば幸いである. http://www.grace-center.jp/prj_sse.html. 情報処理 Vol.50 No.3 Mar. 2009. (平成 21 年 2 月 9 日).

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