• 検索結果がありません。

「三次元光デバイス高効率製造技術」を活用した回折光学素子の作製

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「三次元光デバイス高効率製造技術」を活用した回折光学素子の作製"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1.はじめに NEDO「三次元光デバイス高効率製造技術プ ロジェクト」については,過去7回にわたって 連載され,また京都大学における研究体制と研 究の現状についても,本機関紙「NEW GLASS」 シリアル番号88号,89号,93号に3回掲載さ れている。本稿では,その中に記載された「三 次元光デバイス高効率製造技術」を活用した回 折光学素子の作製について詳述する。 2.回折光学素子 回折光学素子(DOE)は,光波の回折現象 を利用した光学素子で,回折格子はその代表的 な光学素子である。近年,ホログラフィー技術 やリソグラフィー技術の発展とともに多機能化 が進み,多くの光学素子が出現している。具体 的には,光分岐素子,ビーム整形素子,球面収 差補正レンズ等であり,身近なものとしてはC Dプレーヤーの光ピックアップがある。また, 遠近二焦点のコンタクトレンズ,安価なカード 型ルーペにも応用されている。 これらの回折光学素子はいずれも表面凹凸素 子である。この表面凹凸素子は,生産上金型等 による複製が容易である反面,一つの素子の両 面2か所にしか凹凸を形成できないという制限 がある。もし,この回折型構造を材料の内部に 任意に高効率で創製することができれば,画期 的な三次元デバイスが実現する。 NEDO「三次元光デバイス高効率製造技術プ ロジェクト」で開発されたフェムト秒レーザー によるガラスへの一括加工技術は,ガラス中の 任意の位置に高効率で回折現象のベースとなる 異質層を発生させる技術であり,今後回折光学 素子の応用発展に無限の可能性を与える。 本稿では,この回折光学素子の中から光分岐 素子を取り上げ,数値シミュレーションによる 評価,さらに実際にフェムト秒レーザーによる 一括加工でガラス中に作製したその光学素子に ついて現状を報告する。 3.光分岐回折光学素子の数値シミュレー ションによる評価,設計 1本の光ビームを多くの光ビームに分岐する 回折光学素子の代表的なものがダンマン格子と 言われる回折格子1)である。このダンマン格子 〒615―8510 京都市西京区京都大学桂 A3―120 TEL 075―393―3851 FAX 075―393―3861 E―mail : [email protected]

三次元光デバイス高効率製造技術・研究最前線

「三次元光デバイス高効率製造技術」を活用した

回折光学素子の作製

(社)ニューガラスフォーラム 京都大学

澤 野

勉,三 浦

清 貴,坂 倉

政 明,平 尾

一 之

Fabrication of Diffractive Optical Element by“High―Efficiency Processing

Technology for Three―Dimensional Optical Devices”

Tsutomu Sawano, Kiyotaka Miura,

Masaaki Sakakura,

and Kazuyuki Hirao

New Glass Forum, Kyoto University

(2)

は,過去多くの研究者によって研究され,分岐 数に応じた回折格子パターン2)が見出されてい る。そ の 中 か ら 図1に16分 岐(4×4),81分 岐(9×9),289分 岐(17×17)の 格 子 パ タ ー ンを示す。図1において,黒の領域と白の領域 の光の位相差はπ となっている。この時,こ れらの回折格子は0次光の存在しない等しい強 度の光分岐を実現させる。当該位相差がπ か ら逸脱すると,0次光が出現する。 図1の16分岐格子パターンを例に,数値シ ミュレーションで評価した種々の位相差のとき の光分岐の様子を図2に示す。図2から,位相 差がπ の時は0次光が完全消失するものの,π から逸脱するにつれて回折光が弱くなると同時 に0次光が強く出現する。 図1に示す16分岐のダンマン格子パターン を用いた場合,こうした0次光発生の問題に加 えて,16の分岐光が完全には等しい強度にな らず,図2に見られるように一部の分岐光が分 裂する問題が発生する。こうした問題を解決す るためには,ダンマン格子パターンの微調整が 必要であり,それはたとえば遺伝的アルゴリズ ムを用いた手法等でなされるが,本稿では割愛 する。 4.三次元一括加工システムを用いた回折 型光学素子の作製 光16分岐回折格子(ダンマン回折格子)を, 289分岐(17×17) 16分岐(4×4) 81分岐(9×9) 図1 種々のダンマン回折格子パターン 位相差 π の時 位相差 0.8π の時 位相差 0.5π の時 図2 16分岐ダンマン格子による光分岐の様子(数値シミュレーションによる画像) NEW GLASS Vol.25 No.12010

(3)

図3に示す本プロジェクトで開発されたフェム ト秒レーザー一括加工システム(機関紙「NEW GLASS」シリアル番号93号に掲載済)で作製 した。ガラス中の集光点において光励起が起こ り,密度変化や組成変動領域が形成される。そ の結果生じる屈折率変化による位相差を利用し た回折光学素子や高屈折率化を利用した光導波 路3)描画が可能となる。 ガラス中に作製したダンマン回折格子および それによる光の16分岐を図4に示す。光の分 岐はビームプロファイラーで測定した。 図4では,中心に強い0次光(入射光強度の 約50%)が出ており,数値シミュレーション との比較からこの時の位相差は0.6π であるこ とが判明した。0次光消失のためには,π まで 高める必要があり,フェムト秒レーザーの周波 数,パワーの最適化,多層描画,高屈折率変化 を生み出すガラスの採用等の工夫を実施するこ とで,図5に示されるように0次光が激減(入 射光強度の約3%)した光分岐回折格子の作製 が可能になった。 5.おわりに 「三次元光デバイス高効率製造技術プロジェ クト」で開発された一括加工システムを用いて 従来にはない「ガラスの中に高効率で回折光学 素子を作製する」ことを試みた。最大の課題で あった0次光の消失,言いかえれば,数値シミ ュレーションによる設計どおりの回折光学素子 を実際にガラスの中に実現することが概ね可能 になった。このことは本稿で取り上げた光分岐 素子にとどまらず,本加工システムが多くの回 折光学素子の作製に適用可能であり,ガラス中 の任意の位置に複数の回折光学素子を一括作製 するという夢の三次元デバイス実現に大きく貢 献するものと期待できる。 図5 0次 光 が 激 減 し た 光 分 岐(16分 岐 の 内,中央4分岐を拡大) 図3 本プロジェクトで開発されたフェムト秒レーザー 一括加工システム 図4 ガラス中に作製したダンマン回折格子および実際に16分岐した様子

NEW GLASS Vol.25 No.12010

(4)

謝辞 本稿で記載された内容は,新エネルギー・産 業技術総合開発機構(NEDO)三次元光デバイ ス高効率製造技術プロジェクトの中でなされた ものであることを付記し謝意を表します。 参考文献

1)H.Dammann and K.Gortler,Opt.Commun.,3(1971) 312

2)C.Zhou and L Liu,Appl.Opt.,34(1995)5961 3)M.Sakakura,T.Sawano,Y.Shimotsuma,K.Miura

and K.Hirao,Jpn.J.Appl.Phys.,48(2009)126507 NEW GLASS Vol.25 No.12010

参照

関連したドキュメント

9.ATR-IR 分析 (Attenuated total reflectance-Infrared analysis)  螺鈿香箱の製作に使用された漆の種類を明らかに

機械物理研究室では,光などの自然現象を 活用した高速・知的情報処理の創成を目指 した研究に取り組んでいます。応用物理学 会の「光

 がんは日本人の死因の上位にあり、その対策が急がれ

び3の光学活`性体を合成したところ,2は光学異`性体間でほとんど活'性差が認め

それゆえ、この条件下では光学的性質はもっぱら媒質の誘電率で決まる。ここではこのよ

EUで非原産材料の糸から製織した綿製織物(第 52.08 項)を使用し、英国で生産した 男子用シャツ(第 62.05

小結 : 材質との相関関係 材質と形態には明確な対応性を看取できる。まず、鍬形石については 明緑灰色を呈する材質 A・B

On-off study of manganese administration to adult patients undergoing home parenteral nutrition : New indices of in vivo manganese level. And Jarl A.: On the relative safety