7.特発性筋肉内血腫を発症したアルコール性肝 変の 一例 豊田 満夫,五十嵐隆通,田中 秀典 上野 敬 ,榎田 泰明,濱野 郁美 大塚 修,橋爪 真之,新井 理記 橋爪 真之,新井 理記,森 一世 佐川 俊彦,清水 尚,荒川 和久 新井 弘隆,田中 俊行,富澤 直樹 安東 立正,高山 尚,小川 哲 阿部 毅彦 (前橋赤十字病院 消化器病センター) 【緒 言】 肝 変患者では出血傾向を有するものの深部 出血である筋肉内出血を認めることはまれである. 明ら かな誘因を有さず繰り返し筋肉内出血を来たし, 経カ テーテル的動脈塞栓術 (TAE) が有効であったアルコー ル性肝 変の一例を経験したので, 文献的 察を加え報 告する. 【症 例】 61歳 男性. アルコール性肝 変 にて近医経過観 察 さ れ て い た. 2009 年 9 月 14日 右 上 肢・左下 の出血斑,黄疸のため当院紹介入院.保存的加 療にて改善し, 10月 3日退院後外来経過観察となった. 10月 27日左大 部の皮下出血・腫脹を主訴に来院. Hb 3.8g/dlと著明な 血を認め, 精査加療目的に入院となっ た. CT により大 部への出血と診断. 輸血などの保存的 治療を行うも止血されなかったため, 11月 2日経カテー テル的動脈塞栓術を施行. 浅大 動脈 枝より縫工筋内 への出血を認め, コイルとゼラチンスポンジにて塞栓・ 止血した. 11月 12日血腫除去術施行後, 状態は安定して いたが, 12月中旬より左殿部の増大する出血斑を認め, CT 上大殿筋への出血と診断. 12月 18日 TAE 施行. 下 殿動脈 枝より出血を認め, コイルとゼラチンスポンジ にて塞栓・止血した. その後再出血はなく, 軽快退院と なった. 【 察】 本邦における肝 変に合併した特 発性筋肉内血腫は自験例を含め 20例と比較的稀な病態 である. アルコール多量摂取に伴う血管の脆弱性が一因 とされるが, 原因ははっきりと同定されていない. 出血 部位は腸腰筋が多く腹直筋への出血例も散見された. 治 療については保存的治療例が多かったが, 死亡率は高 かった. TAE を施行された症例では死亡率は低く, 施術 に伴う重篤な合併症もなかった. 【結 語】 肝 変に 合併した特発性筋肉内血腫に対する TAE は有効であり, 保存的治療にて止血されない場合には早期に検討すべき 治療法と えられた.
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8.乳癌の膵転移により急性膵炎をきたした1例 星野 崇,乾 正幸,長沼 篤 工藤 智洋,高木 (国立病院機構 高崎 合医療センター 消化器科) 【症 例】 44歳女性 【主 訴】 心窩 部 痛 【既 往 歴】 H17年 9 月左乳癌に対し, 手術 (乳房温存術). H19 年 11 月乳癌の胸骨転移に対し, 放射線療法. H20年 2月多発 肺転移を指摘. 【現病歴】 H21年 4月中旬より心窩部 痛が出現し, 同月 21日に当院当科を受診した. 血清アミ ラーゼの上昇, 腹部造影 CT にて急性膵炎の所見と膵頭 部に 12mm大の腫瘍を認め, 精査加療目的に入院となっ た. 【入院後経過】 入院後, 輸液やメシル酸ガベキサー ト 400mg/日などの保存的治療により, 膵炎は改善し, 同 年 5月 2日に退院となった. しかし, 同月中旬より心窩 部痛が再燃し,同月 18日に再入院し,ERCPを施行した. 膵頭部主膵管の狭窄を認め, 膵腫瘍による膵管閉塞によ る急性膵炎と判断し, 膵管ステントの留置を行ったとこ ろ, その後心窩部痛は改善した. 同年 6月, 膵管ステント の 換目的に ERCPを行ったところ, 下部胆管にも狭窄 を 認 め て お り, 膵 管 ス テ ン ト の 換 と 同 時 に EBD チューブの留置を行った. 以降, 定期的な膵管ステント や EBD チューブの入れ替えにより, 膵炎や胆管炎のコ ントロールを行っている. また, 同年 9 月の ERCP施行 時には十二指腸乳頭部への腫瘍の浸潤を認めており, 同 部位の生検にて組織学的に乳癌の膵転移の診断とされ た. 【まとめ】 乳癌の膵転移により急性膵炎をきたし た 1例を経験した. 乳癌の膵転移や, 転移性膵腫瘍によ り急性膵炎をきたす症例は比較的稀であり, 若干の文献 的 察を加えて報告する. 9.本態性血小板血症の経過観察中に併発した自己免疫 性膵炎の1例 土田 浩之,吉田佐知子,田中 良樹 水出 雅文,下山 康之,河村 修 森 昌朋 (群馬大医・附属病院・消化器内科) 草野 元康 (同 光学医療診療部) 【症 例】 75歳, 男性. 【既往歴】 前立腺肥大症, 左腎 細胞癌 (腎摘). 【家族歴】 , 兄 : 脳梗塞, 姉 : 糖尿病. 【経 過】 平成 18年より本態性血小板血症にて当院血 液内科および糖尿病にて当院内 泌内科通院中であっ た. 平成 20年 4月より徐々に肝胆道系酵素の上昇が出 現し, 外来で施行された MRCPにて下部 胆管, 膵頭部 膵管の狭窄所見を指摘された. 同年 7月に当科入院精査 にて IgG4: 820mg/dlと高値であり, ERCP上も膵頭部 278 第 28回群馬消化器病研究会膵管・下部胆管の狭細像を認め自己免疫性膵炎 (AIP)と 診断された. その後, 血液検査上の肝機能障害の増悪に 伴いステロイド内服治療も検討されたが, 本人希望によ り外来にて経過観察となった. 以後, 臨床症状などの出 現はなかったが,IgG4値および肝胆道系酵素の高値は継 続して認められた. 外来経過観察中の平成 20年 12月頃 より徐々に血液検査上は改善傾向を認め, 画像所見では 膵胆管の狭細像は残存するもやや改善傾向を認めた. 平 成 21年 9 月には IgG4値も正常化し, 症状も安定してお り, 現在当科外来にて経過観察中である. 【結 語】 今 回, 我々は自然緩解を認めた自己免疫性膵炎の 1例を経 験した. 慢性骨髄増殖性疾患と AIPとの関連は明確では ないが, 貴重な症例であり報告する. また, AIPはステロ イド治療に良好に反応する病態と えられているが, 再 燃および維持療法の課題もある. 一方で無治療や一時的 な胆道ドレナージにて自然緩解する症例も報告され今後 もさらなる症例の蓄積による検討が必要である. 10.当院における急性膵炎治療の現状 古谷 介,伊島 正志,鏑木 大輔 新井 洋佑,入江 江美,平野 裕子 高草木智 ,迫 陽一,嶋田 靖 飯塚 賢一,廣川 朋之,増尾 貴成 押本 浩一,荒井 泰道 (伊勢崎市民病院 内科) 【目 的】 平成 20年 10月より急性膵炎重症度判定基準 が改訂され, 9 つの予後因子及び造影 CT Gradeによる 判定がなされることとなった. 今回, 当院において過去 3 年間に入院加療を要した急性膵炎患者を対象として, 改 訂基準の有用性, 問題点などを retrospectiveに検討した. 【対象・方法】 平成 18年 4月から平成 21年 3月の 3年 間に急性膵炎の診断にて当院当科で入院加療を要した 92例を対象とした. 改訂基準に当てはめ, 重症度や絶食 期間, 入院期間などについて検討を行った. 判定は入院 後 48時間以内の最重症時のスコアで行った. 【結 果】 全 92症例数のうち, 男性 57例, 女性 35例であった. 改 訂基準での軽症例は 80例, 重症例は 12例であった. 平 年齢は 57.4歳であり, 平 入院日数は 16.0日であっ た. 重症例のうち 1例は敗血症により死亡した. 成因と してはアルコール性が 24例, 胆石性が 31例と多く, ア ルコール性は全例男性であった. 胆石性では男性 16例, 女性 15例と性差は認めなかった. 軽症例と重症例の比 較では平 入院期間が軽症例では 13.0日であったのに 対し, 重症例では 40.0日と, 重症例で入院期間が長くな る傾向にあった. 重症 12例のうち, 蛋白 解酵素阻害 薬・抗菌薬持続動注療法 (CRAI), 持続的血液濾過透析 (CHDF) をそれぞれ 6例施行していた. 手術施行例は 2 例であった. CT Gradeのみで重症と判定した症例は 4 例, 予後因子スコアのみで重症と判定した症例は 4例, CT・スコア両者とも重症と判定した症例も 4例であっ た. 平 絶食期間はそれぞれ 8.5日, 21.0日, 33.3日で あった. また, 平 入院期間はそれぞれ 15.6日, 39.3日, 65.0日であり,CT・スコア両者での重症例は絶食期間,入 院期間ともに長くなる傾向があった. 【 察】 改訂 基準では前基準と比較し, 重症例が 30例から 12例と減 少した. 前基準項目で予後因子項目として採用されてい た空腹時血糖 (FBS) は糖尿病患者で陽性となりやすく, また,ヘマトクリット (Ht)や 蛋白は補液の影響を受け やすい. これらの項目が改訂基準では削除されたことが, 重症例減少の要因の一つと えられた. また, 平 入院 期間について, 改訂基準と前基準とを比較すると, 改訂 基準の方が軽症例と重症例での差が大きくなった. これ は, 改訂基準でより重症な症例を検出することができる ようになったことを示唆するものであった. 急性膵炎は 疾患概念の啓蒙や医療技術の進歩により, 以前と比較し 死亡率の改善を認めているが, 重症例では死亡率 8.9% との報告があり, いまだに良性疾患としては死亡率の高 い疾患である. 重症度判定を用いて, 死亡する確率の高 い症例を検出することにより, 速やかに高次医療施設へ の転送や特殊治療の開始などを決定することができる. さらに, 重症急性膵炎は厚生労働省の難病指定疾患であ り, 費負担の基準として改訂基準は軽症例を除外する 点で有用と えられた. 11.当院における切除不能膵癌の治療成績と予後因子の 検討 鏑木 大輔,伊島 正志,新井 洋祐 入江 江美,平野 裕子,古谷 介 上野 裕之,高草木智 ,迫 陽一 嶋田 靖,飯塚 賢一,廣川 朋之 増尾 貴成,押本 浩一,荒井 泰道 (伊勢崎市民病院 内科) 【目 的】 当院における切除不能膵癌治療の現状把握を 目的として, 生存期間および予後因子の検討を行った. 【対象および方法】 2006年 4月 1日から 2009 年 3月 31 日までに当院で診断・治療を行った切除不能膵癌全 76例 を対象に検討をおこなった. この内の大多数を占める StageⅣ膵癌の中で Performance status (PS) が 0または 1の全 64症例について, 各因子 (化学療法の有無, 性別, 年齢, 腫瘍占拠部位, PS, 病期, 他臓器転移の有無 (M 因 子), 腫瘍径) での生存期間の比較と多変量解析をおこ なった. 生存 析は Kaplan-Meier法を用い, 有意差につ いての検討は Logrank検定を用いた. 多変量解析には Cox比例ハザードモデルを用いた. さらに 64症例の内, 279