社会
系教科教育学会
『社会
系教科教
育学研究』第
n号 1999
(pp.53-60)
「 ̄
国際的な見方・考え方」を育成する中学校社会科異文化理解学習
一
単
元
「 ̄
日本
とシ
ン
ガポ
ー
ル
」
の
授
業
開
発
−
On Constructing
a Lesson Plan for Understanding F
oreign Cultures
in Social Studies of Junior
"Japan and Singapore"
for Fostering International Perspective
H毎
h
S
c
h
o
o
1:
A Case Study
of
Unit
鴛
原 進
(徳
島
県佐
那河
内村
立
佐
那
河
内
中学校)
1。は
じめに
21世紀
を目前に
している現代社会は
,地球化社
会
・国際化社会になってきている。このよ
うな社
会の変化に
,主体的に対応
していくことができる
能
力や資質の
育成が
,これか
らの社会科教育に求
め
られ
ている。
筆者はその
ような社会科教育の
中心となるもの
と
して
,異文化理解学習を事例
と
して取
り上げ考
察
した
。その結果,社会科異文化理解学習は,
「異文化社会内
,異文化社会間の問題に対する判
断力を学習内容とすることが必要
」1
)
であり,
匚
その学習内容を習得するための教材と
して
,そ
の社会の文化的特質と
,その社会が抱えている問
題
を取
り上げること
」2
)
が必要であるという結論
をえた
。つま
り,社会科異
文化理解学習の
目的は,
地球化社会
・国際化社会の諸問題に対する判断力
を児童
・生徒に育成することである
。
しか
し
,この複雑
な地球化社会
・国際化社会に
おける諸問題に対
して
,合理的な判断を生徒が下
していくためには
,判断の根拠となるものが必要
である
。その根拠こそ
,合理的
・科学的で説明力
が大き
くなければならない
。また
,その
ような説
明力の
大きい根拠
を見
つけていくため
には
,地球
化社会
・国際化社会に対する見方
・考え方
を育成
する
ことが必要である
。その見方
・考え方
を,こ
こでは
,
「 ̄
国際
的な見
方
・考
え方」と
してお
く。
そ
こで
,厂
国際的な見方
・考
え方」を育成す
る,
中学校
段階の社会科異文化学習の授
業を開発する
ことを本研究の
目的とする
。その場合
,以下の
3
点を中心に考察を行ってい
く。
①
国際関係論の成果を手がか
りと
した厂
国際
的な
見方
・考え方」の概念規定
②
①
をふま
えた社会科異文化理解学習の授
業
構成
③
②にもとづいて開発
した中学校社会科
「 ̄
日
本とシンガポール
」の授
業展開
2
。
「国際的な見方
・考え方」の概念規定
(1)
「国際的な見方
匚
国際的な見方
・考
・考
え方」は,
え方」の再考
「 ̄
国際的な
」と
いう部分
と厂
見方
・考
え方」という部分の2つに
分けることが
できる
。前者は厂
地球化社会
・国際
化社会における
」という空間的限定部分である。
後者は
匚
社会事象の何
を,どの
ように説明
してい
くか
」という思考対象部分で
ある。つま
り,判断
の根拠を見つけていくための匚
国際的な見方
・考
え方
」は
,匚
複雑な国際化社会
・地球化社会の問
題解決のために
,多くの社会的事象の
中から,ど
の
ような内容をとり上げ
,どの
ように説
明してい
くか
」ということになる。
したが
って,社会
的事
象からと
り上げる
(視
点とする)内容的側面と
,
匚
説明」していくという方法的側面の2つの側面
が
ある。
「 ̄
見方
・考
え方」の英訳と
しては
,思考の
内容
的側面と方法
的側面の
という
,一応の
区分は
あ
り
なが
ら
,それ
らがお互
いに関連
して
いるもの
とい
う意味をふまえて,
perspective
を用いる
。
社会科異文化理解学習において
,
「国際的な見
方
・考
え方」を,厂
地理的な見方
・考
え方」の
延
長線上にあるもの
ととらえてきた3
)
。当然,
「国
― 53
際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 の 内 容 的 側 面 ・ 方 法 的 側 面
に は, 地 理 学 や 文 化 人 類 学 の 成 果 か らえ た, 内 容
が 当 て は め ら れて い た と い え る。
し か し , 複 雑 な 地 球 化 社 会 ・ 国 際 化 社 会 に お け
る諸 問 題 に 対 し て , 合 理 的 な判 断 を 生 徒 が 下 し て
い く た め の 根 拠 を 導 く「 ̄
国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」
の 育 成 に は, 地 理 学 や 文 化 人 類 学 の 成 果 の 上 に,
地 球 化 社 会 ・ 国 際 化 社 会 を シ ス テ ム と し て 研 究 し
て い る 国 際 関 係 論 の 成 果 を と り 入 れ て い く こ と が
重 要 で あ ろ う。 そ う す る こ と に よ り , 今 ま で以 上
に , 匚国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 が 合 理 的 ・ 科 学 的
に な る。
(2) 「国 際的 な見 方・考え 方」 の内容 的側面
社会 科異文 化理 解学習 におい て は, 国際 関係論
のい う, 国 際関係 の 匚
文化 的接 触の断面 」4)が,
学 習 する内容 にな る。 そ の断面 は,学 問領域 によ
り, 5つ に分 け ることがで き る。 そ れをま とめ る
と, 図 1の ような 側面か お る5)
。
文 化 的 接 触 の 斷 面
社 会 科 学 的 内 容
人 文 科 学 的 内 容
法
制
度
政
治
経
済
社
会
文
化
図 1 「 国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 の 内 容 的 側 面
今 まで の 異 文 化 理 解 学 習 の 実 践 で は, 人 文 科 学
的 な 内 容 で あ る, 狭 義 の 匚社 会 」, 匚文 化 」 を と り
上 げ た も の が 中 心 で あ っ た と 考 え ら れ る6)。 そ れ
は, 異 文 化 社 会 に お け る 匚文 化 的 接 触 の 断 面 」 の
中 の一 部 分 で し か な い。 し た が っ て , 今 ま で の 内
容 に 加 え て , 社 会 科 学 的 内 容 で あ る 匚法 制 度 」
「 ̄
政 治 」 厂経 済 」 を 異 文 化 理 解 学 習 の 中 に と り 入 れ
て い か な け れ ば な ら な い 。
(3 ) 「 国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 の 方 法 的 側 面
国 際 関 係 論 の 研 究 方 法 と し て は ,「 ① 資 料 ・ 文
献 研 究(research on materials and doc
uments),
② 情 報 検 索 (date and information
surve
y),
③ 現 地 実 態 調 査(field work
も し く はfield
sur-vey)
と い う 作 業 を 有 機 的 に 結 び っ け て 」7 )行 う
こ と に な る 。 ま た , そ れ を 通 じ て , 思 考 対 象 を
「 ど の よ う に 説 明 す る の か 」 と い う ,「 国 際 的 な 見
方 ・ 考 え 方 」 の 方 法 的 側 面 は , 表 1 の よ う に な る 。
こ れ ら は , 図 1 の す べ て の 側 面 に お い て 行 わ れ る 。
そ の 社 会 事 象 を 社 会 の 文 化 的 特 質 を ふ ま え て 「 説
明 」 す る , す な わ ち , 社 会 的 な 意 味 付 け を 行 う こ
と に な る 。 し た が っ て , 異 文 化 社 会 内 の 社 会 的 事
象 の 中 で も , 厂法 制 度 」,「 政 治 」,「 経 済 」, 狭 義 の
「 社 会 」,「 文 化 」, の す べ て に 関 わ る 問 題 を と り 上
げ , そ れ ぞ れ に 追 求 す る 。 最 後 に , そ れ ら の 追 求
し た 結 果 を も と に , そ の 問 題 を 意 味 付 け て い く こ
と に な る 。
表 1 「 国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 の 方 法 的 側 面
① 異文化社 会と自文化社 会の社会 事象 (問題 や
事実) の明 確化
② ①の原因追求
③ 原 因によ るその文化社 会で の社 会事象の社 会
的 な意味付 け
④ 異 文化社 会と自文化社 会での,社 会事象 に対
する社会的意 味付け の共 通点 と相違点 ,そ れか
ら見 た 2つ の文 化社会 の関係
⑤ ④の原因追求
3。 「国 際的な 見方・ 考え 方」 を育 成 する
中学 校社会 科異文 化理 解学習 の授業 構成
(1) 「国 際的な 見方・ 考え 方」 育成 をふ まえ た授
業構成 の視点
そ のような「 国際的 な見方 ・考え 方」 の育成 を
ど のよ うに考え てい けばよ いので あろ うか。図 2
で 示 して い るよ うに,「国 際的 な見方 ・考 え 方」
の育 成を捉 えて いく とき の授業 構成 の視点 と して
は,以 下 の 3点を 指摘 す ることがで き る。
第 工は, 自文化 と関 係が深 く, その関 係に変動
が ある異文 化社会 を とり上 げ, 児童 ・生 徒に 出会
わせるよ うにす るこ とで あ る。 そ の 2つ の文化 社
会 を「比較」 す るこ とによ り, 事実 とそ の背景 を
考え る ことがで きるO こ れは, 単元 の導入 にお い
て行 わ れる。
第 2は, 異文化 社会 の事実 であり, 自文 化社会
と 関 係 が あ り , そ の 関 係 が 変 動 し て い る よ う な 問
題 を 追 求 す る よ う に す る こ と で あ る 。 こ れ が , 単
元 の 展 開 に お い て 行 わ れ る 。 そ の 問 題 の 原 因 ・ 背
景 を ,「 法 制 度 」
,「 政 治 」,「 経 済 」, 狭 義 の 「 社 会 」
,
「 文 化 」 の 視 点 で 明 ら か に し , 社 会 的 に 意 味 付 け
る こ と に よ り ,「 国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 が 獲 得
で き る 。
第 3 は , 自 分 な り の 社 会 的 意 味 付 け を , 友 だ ち
同 士 で 批 判 し あ い , 吟 味 し て い く こ と で あ る 。 こ
れ が 単 元 の 終 末 に な る 。 そ し て , よ り 説 明 力 の 大
き い 根 拠 を 導 く , 匚国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 に 修
正 さ れ て い く 。
(2) 授 業 構 成 上 の 特 色
以 上 の よ う な 授 業 構 成 の 視 点 に も と づ け ば , ど
の よ う な 特 色 が で て く る の で あ ろ う か 。 単 元 を ,
学 習 内 容 ( 目 標 ), 学 習 材 , 学 習 過 程 , 学 習 活 動 ,
学 習 形 態 と い う 観 点 で ま と め る と , 表 2 の よ う に
な る 。 そ し て , こ れ ら の 観 点 か ら 見 た 授 業 構 成 上
の 特 色 と し て は , 以 下 の 5点 が 指 摘 で き る 。
第 1 は , 単 元 を 通 し て の 学 習 内 容 ( 目 標 ) を
匚国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 の 育 成 に お く こ と で あ
る 。 具 体 的 に は , 異 文 化 社 会 内 の 問 題 に 対 す る 社
会 的 な 意 味 付 け が で き る よ う に な る こ と で あ る 。
第 2 は , 第 B こ も 関 わ る が , 学 習 材 と し て ,
「 ̄
法 律 」 匚政 治 形 態 」 匚経 済 状 況 」 厂社 会 状 況 」「 文
化 」 の す べ て に 関 わ っ て い る 問 題 と , そ れ ら を 研
究 す る 方 法 を と り 上 げ る の で あ る 。 ま た , 単 元 の
後 半 に は, 自 己 の 考 え も 学 習 材 と し て と り 上 げ る
の で あ る。
第 3 は, 学 習 過 程 が 「 異 文 化 社 会 と 自 文 化 の比
較 」 → 「 ̄
異 文 化 と 自 文 化 の 再 認 識 」 → 「 ̄
異 文 化 社
会 内 の 問 題 の 追 求 」 → 厂問 題 の 説 明」 → 匚自 己 の
根 拠 の 吟 味」 と い う段 階 で 組 織 さ れ て い る こ と で
あ る。
第 4 は, 資 料 か ら読 み と る, 比 較 す る, 問 題 の
原 因 を 追 求 す る, 研 究 法 を 考 え る, 自 分 の 考 え を
振 り 返 る, な ど , さ ま ざ ま な学 習 活 動 を と り 入 れ
る点 て あ る 。 そ う す る こ と に よ り ,「 国 際 的 な 見
方 ・ 考 え 方 」 が 体 験 を 通 し て, 生 徒 に育 成 さ れ る
の で あ る。
第 5 は, 個 別 学 習 , 班 別 学 習 , 一 斉 学 習 な ど,
さ まざ ま な 学 習 形 態 を と り入 れ て い く こ とで あ る。
匚異 文 化 社 会 や 自 文 化 社 会 を 知 る ・ わか る」 段 階
は, 一 斉 学 習 の 形 態 を と る 。 匚問 題 の 追 求 」 段 階
で は , 全 体 で の 学 習 や 班 別 の 学 習 形 態 を と る 。
「 ̄
自 己 の 見 方 を 知 る ・ 吟 味 す る 」 段 階 で は , 個 人
で の 学 習 を 行 う。
4。 「国 際的な 見方・ 考え方」 を 育成 する
中学 校社会科 異文 化理 解学習 の授業展 開
一 単 元「日本 と シンガ ポ ール」 の場合 一
こ こで は,中学 校 社会科地 理的 分野で のい わゆ
る課 題学 習 として の単 元「 日本 と シンガポ ール」
「 国 際的 な 見方 ・ 考 え 方」 へ の接 近 ( 導入 ) 異 文 化 と の 出 会 い ・ 自 文 化 以 外 の 文 化 と の 出 会 い ( 自 文 化 社 会 と 関 係 が 深 く ,そ れ ぞ れ の 文 化 の 関 係 の 変 動 か 続 い て い る 社 会 を 取 り 上 げ る。) − -y 自文 化 と 異 文 化 の 比 較 ・共 通 点 と 相 違 点 の 発 見 - ↓ 一 異 文 化 と自 文 化 の 再 認 識 ・ 事 実 , 問 題 の 背 景 や 関 係 の経 緯 を 踏 ま え て の 認 識 「 国 際 的 な 見方 ・ 考 え 方 」 の 獲 得 ( 展開 ) → 異 文 化 社 会 と 自 文 化 社 会 の 中 で 追 求 す べ き 内 容 の決 定 一卜 ・ 「 法 制 度 」 厂政 治 」「 経 済 」 「 社 会」「 文 化 」 の すべ て に 関 わ る, 現 在 の 事 実 とし て の問 題 の発 見 ( 内 容 的 側面 ) 追 求 す る 内 容 に 対 す る 追 求 の 方 法 ・ 情報 収 集, 文 献 分 析 , 現 地調 査( 現 地 に 行 っ た 人 へ の 聞 き 取 り ) な ど の 中 か ら適 切 な方 法を 選 択問 題 に 対 す る
追求
①異 文 化 社 会 と自 文 化 社 会 の問 題 の明 確 化 ②原 因 の追 求 ③原 因 によ るそ の 文 化 社 会 で の問 題 の意 味 付 け ④異 文 化 社 会 と自 文 化 社 会 で の意 味 付 け の共 通 点 と 相 違 点 , 関 係 ⑤ ④ の原 因 追 求 (方 法 的 側 面)図 2 「 国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」 育 成 の モ デ ル
-55 −
匚国 際的 な 見 方 ・ 考 え方 」 の吟 味 ( 終 末) 追 求 し た 結 果 の 発 表 →・各 自 が 行な った , 問 題 に対
す る, 異文 化 社会 と 自文 化
社 会で の意 味付 け の共 通点
と 相違 点, そ れ から 見 た 2
つ の文 化 社 会の 関係 , その
原因 の発表
・ そ れ ぞ れ の 発 表 に対 す る , 質 疑 応 答 ・ 自 己 の意 見 の吟 味 (修 正 ま た は 補 強)表 2 「 日 本 と シ ン ガ ポ ール 」 の 授 業 構 成
卜
学 習 内 容 ( 目 標 ) 学 習 材 学 習 過 程 学 習 活 動特 膸
国 際 的 な 見 方 考 − 兄 方 ヘ の 接 近 導 入 I 異 文 化 と の 出 会 い ① シ ンガ ポ ー ル は 東 南 ア ジア に属 し て い る。 ( マ レ ー 半 島 の 先 端 に 位 置 す る。 ) ② シ ン ガ ポ ー ル は日 本 と同 じ 島国 で あ る が , 大 部 分 が平 坦 で あ る。 ③ シ ンガ ポ ール は 日 本 の 淡 路 島 と同 じ ぐ らい の大 きさ で あ る 。 ④ シ ン ガ ポ ー ル は赤 道 付 近 に 位 置 し, 日 本 と比 べ る と 四 季 が な く, 一 年 中 高 温多 雨 で あ る 。( 熱 帯 雨 林 気 候で あ る。) ⑤ シ ン ガ ポ ー ル は日 本 のよ う に加 工 貿 易 を 行 って い た が, 今 は観 光 立 国 で あ り, 外 国 資 本 に よ る商 業 国 と な って い る。 ⑥ シ ンガ ポ ー ル は 日 本 と 比 べ て 多 民 族 国 家 と な って い る。 ( 中華 系 , マ レ ー系 , イ ンド 系 , な ど が い る。) ⑦ シ ン ガ ポ ー ル は日 本 と比 べ る と 人 口 は 少 ない が, 面 積 が 狭 い た め人 口 密 度 は 高 い 。( 人 口 密 度 は世 界 第 2位 で あ る。) ⑧ シ ン ガ ポ ー ル は 東 西 の 中 継 ぎ貿 易 によ り 栄 え た。 シ ンガ ポ ー ル の位 置,自然 社 会 的 事 象 日 本 と の 比 較 に お け る シ ン ガ ポ ー ル の「 理解」 ・ 地 図 や 雨 温 図 , 統 計 資 料 を 読 み と る。 ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ルを 比 較 す る。 ・共 通点 と 相 違 点 の 原 因 を 考 え る。 一 斉 学 習 導 入 皿 自 文 化 と の 比 較 再 認 識 ① 日 本 は東 ア ジ ア に 属 し て い る 。 ( ユ ー ラ シ ア 大 陸 の 東 に 位 置 す る。) ② 日 本 は シン ガ ポ ー ル と同 じ 島 国 で あ る が , 大 部 分 が 山 地 で あ る。 ③ 日 本 は シ ン ガ ポ ール の 約600 倍 の広 さ で あ る。 ④ 日 本 は, シ ンガ ポ ー ル と比 べ る と 四 季 が あ り , 一 年 中 で 温 度 や 降 水 量 に 変 化 が あ る 。 ⑤ 日 本 は シ ンガ ポ ー ル のよ う に 加 工 貿 易 を 行 っ て い た が , 今 は 産業 の 空洞 化 が 問 題 と な って い る。 ⑥ 日本 は シ ンガ ポ ール と 比 べ て多 民 族 国家 と はな って い な い 。 ( し か し, 近年 さ ま ざ ま な 国 籍 の人 が 増 え て き て い る。) ⑦ 日 本 は シ ンガ ポ ー ル と比 べ る と 人 口 は多 い が, 面 積 が 広 い た め人 口 密 度 は 低 い 。 ( し か し , 山 地 が 多 い た め, 大 都 市 に人 口 が 集 中 し 過 密 状 態 で あ る。 山 間 部 は過 疎 状 態 にあ る。) ⑧ 日 本 は 中 国 な ど , ア ジ ア 諸 国 と の貿 易 を 行 っ て き た 。 し か し, 江戸 時 代 は諸 外 国 と の関 係 を 制 限 し て い た。 日 本 の位 置 自然 社 会 的 事 象 シ ン ガ ポ ー ル と の 比 較 に よ る 日 本 の 「理 解」 ・ 地 図 や 雨 温 図 , 統 計 資 料 を 読 み と る 。 ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ルを 比 較 す る。 ・ 共 通 点 と 相 違 点 の原 因 を 考 え る。 ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の現 在 の 様 子 の 原 因 を 振 り 返 る。 一 斉 学 習 国 際 的 な 見 方 考 え 方 の 獲 得 展 開 I 追 求 内 容 追 求 方 法 ① 日 本 と 東 南 ア ジア は朱 印 船 貿 易 に より 関 係 が あ っ た 。 ② 日 本 は シ ンガ ポ ール を 太 平 洋 戦 争 中, 占 領 し た。 ③ 現 在, 日 本 の 企 業 や 資 本 が シ ン ガ ポ ー ル へ 進 出 し て い る。 ④ 日 本 の 地 方 自 治 体 の 中 に は 事 務 所 や 出張 所 を シ ンガ ポ ー ル に 置 い て い る とこ ろ もあ るo ⑤ 現 在, シ ンガ ポ ー ルを , 多 く の日 本 人 観 光 客 が 訪 れて い る。 ⑥ シ ンガ ポ ー ル は観 光 客 を 増 や す た め, 東 京 と 大 阪 に政 府 観 光 局 を 設 置 し て い る。 ⑦ 日 本 に シ ンガ ポ ー ル か ら留 学 や 研 修 で き て い る 。 ⑧ シ ンガ ポ ー ル に は反 日感 情を 持 っ て い る 大 もい る。 ⑨ シン ガ ポ ー ル と 日本 は経 済 的 に発 展 し た 。 そ の こ と に よ り, 今 で は問 題 も 起 こ って い る。 ⑩ シ ンガ ポ ー ル で は 観 光 が 基 幹 産 業 の 1 つ で あ るが , こ れ に 関 わ って , 問 題 が 起 こ っ て い る。 ⑥ 都 市 問 題 は, ⑨, ⑩ の代 表 的 な も の の 1 つ で あ る。 日 本 と シ ン ガ ポ ー ル の 関係 両 国 共 通 の 問 題 日 本 と シ ンガ ポ ー ル と の 関 係 の 「 理 解」 追 求 す べ き問 題 の 発 見 ・ 年 表 を 読 み と る。 ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 歴史 的 な 関 係 , そ の変 動 につ い て 知 る。 ・ 日 本 と シ ン ガ ポ ー ル に お け る 共 通 の重 要 な 問題 を 発 見 す る。 一 斉 学 習 ⑩ 問 題 に対 す る 研 究 法 に は, 情 報 収 集, 文 献 分 析 , 現 地 調 査 (現 地 に行 っ た人 へ の 聞 き 取 り), が あ る。 研 究 方 法 研 究 方 法 の 冂ミ解」 ・ 研 究 法を 考え る。監
展 開 H 問 題 の 追 求 ① 現 在 の 日本 と シ ンガ ポ ー ル に は, 都 市 問 題 に代 表 さ れ る よ う な 同 じ よ う な問 題 が 起 こ っ て い る。 ② そ れ ら の問 題 の 原 因 も, 日 本 と シ ン ガ ポ ー ルで は ほ ぼ同 じ で あ る。 ③ 問 題 に対 す る 対 応 が , 日 本 と シ ン ガ ポ ール で は異 な っ て い る。 そ れ は, そ の問 題 の そ の社 会 に対 して もつ 意 味が 異 な っ て い る か らで あ る。 ④ 日本 は シン ガ ポ ー ル に習 っ て 都 市 問 題 の一 部 を 法 律 や 条 例 で 解 決 し よ う と し て い る 面 もあ る。 ⑤ 日本 の 規 制 と シ ンガ ポ ー ル の 規 制 は, そ の文 化 社 会 の 特 色 を 考 え る と 意 味 合 い が 異 な る 。 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 問 題 問 題 の原 因 異 文 化 社 会 , 自 文 化 社 会 の 問 題 に対 す る原 因 の「 説明」 ・ 問 題 の 原因 を 探 求 す る。 ・ 問 題 に対 す る, 日 本 と シ ンガ ポ ー ル, そ れ ぞ れ の意 味 付 け を 考 え る。 個 別 班 別 全 体 吟 味 終 末 発 表 ① シ ン ガ ポ ール 的 な 物 事 へ の 考え 方 に 対 し て 自分 は ど の よ う に考 え , 判 断 す る の か。 ②判 断 す る 場 合, そ の 根 拠 が 重 要 で あ る。 ③ 根拠 は, 友 だ ちを も説 得 で き る 説 明 力 の大 き な も の で な け れ ば な ら な い。 自 分 の意 識 「 国 際 的 な見 方 ・ 考 え 方」 の「 理 解」 ・ 自 分 の 考 え を ま と める 。 ・ 自 己 の 「 国 際 的 な 見 方 ・ 考 え 方」 を ふ ま え て , 説 明 す る。 ・ 友 だ ち の 意 見 に 対 し て 質 問 を す る 。 個 別 学 習表 3 導 入 I 「 シ ン ガ ポ ー ルを 知 ろ う 」 の 展 開 ( 1 時 間 扱 い )
教 師 の 発 問 ・ 指 示熊
生 徒 の 学 習 活 勁詔詣
生 徒 か ら 引 き出 し たい 認 識 「 こ の写 真 は 何で し ょう か。 ま た, ど こ の国 に あ る の で し ょう か。 」 厂シ ン ガ ポ ー ル は地 球 上 の ど こ に あ る の で し ょ う か。 」 「 シ ンガ ポ ー ル の国 の 形 や よ う す は ど の よ う に な っ て い ます か。 」 「 シ ンガ ポ ー ル の 雨 温 図 と 日 本 の 雨 温 図 を 比 べ て , ど ん な こ と に気 づ き ま す か。 」 ① ② ③ ④ ・ マ ー ライ オ ン と シ ン ガ ポ ール を 結 びつ け る。 ・ シ ンガ ポ ール の 場 所 を 地 図 帳 で 探 す。 ・ 地 図 帳 か ら シ ン ガ ポ ー ル のよ う すを 読 み と る 。 ・ シ ンガ ポ ー ル と 日 本 ( 東 京 ) の 雨 温 図 を 比 べ る。 一 斉 ・ シ ン ガ ポ ール は 東 南 ア ジ ア に 属 し, マ レ ー半 島 の 先 端 にあ り , 赤 道 の そ ば に 位 置 して い る。 ・ シ ンガ ポ ール は島 国 で , 平 坦, せ まい 。 ・ シ ン ガ ポ ール は赤 道 付 近 に 位 置 し , 日 本 と 比 べ る と 四 季 が な く, 一 年 中 高 温 多 雨 で あ る。 「 シ ンガ ポ ー ル の主 な 産 業 は何 で し ょ う か。」 ⑤ ⑥ ・ 資 料 か ら シ ン ガ ポ ール の主 要 産業 を 読 み と る 。 一 斉 ・ シ ン ガ ポ ール は日 本 の よ う に 加 工 貿 易 を 行 っ て い た が , 今 は 観光 立 国 や 外 国 資 本 に よ る 商業 国 と な っ て い る。 「 シ ンガ ポ ー ル に は ど ん な 人 た ち が 住 ん で い る のか な。 」 「 シ ンガ ポ ー ル の人 口 密 度 は 日 本 と 比 べ て ど う か。 な ぜ そ う な っ て い る の だ ろ う か。 」 ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑩ ・ 人 々 の服 な どか ら, 民 族 を推 測 す る。 ・ シ ンガ ポ ー ル の 人 口 ・ 人 口 密 度 と 日 本 の 人 口 ・ 人 口 を 密 度 を 比 べ る。 そ の 原 因 を 考 え る。 一 斉 ・ シ ン ガ ポ ール は 日本 と 比 べ て 多 民 族 国 家 と な っ て い る 。( 中華 系 , マ レ ー系 , イ ン ド系 , な ど が い る。 ) ・ シ ン ガ ポ ール は 日本 と 比 べ る と人 口 は 少 な い が, 人 口 密 度 は 非 常 に 高 い 。 厂シ ンガ ポ ー ル は 昔 はど ん な こ と で 有 名 だ っ た の で す か 。 そ れ は な ぜ で し よう か。 」 ⑩ ・ 東 西 中継 ぎ貿 易 が 発 達 し た 理 由を 考 え る。 一 斉 ・ シ ン ガ ポ ール は東 西 の 中 継 ぎ 貿 易 に よ り 栄 え た 。 ( ア ジ ア と ヨ ーロ ッパ の交 差 点 で あ っ た。 ) 資料 : ① マ ー ライ オ ン の写 真 ② 世 界 地 図 ( 地 図 帳 , 帝 国 書 院, 1997, pp.1 ∼3.) ③ シン ガ ポフ ル の雨 温 図 ( 地 図 帳 ,p.7) ④ 東 京 の雨 温 図 ( 地 図 帳 ,p.7) ⑤ シン ガ ポ ール と日 本 の貿 易 の表 (「 日 本国 勢 図 絵 」1992 年 ) ⑥ 国 別 訪星 客 数 ト ップ10 ( シ ンガ ポ ール 日 本 人学 校中 学 部 『資 料 集 シン ガ ポ ールエTOPPAN PRINTING C0.(S ), ⑦ 華 僑 の写 真 (同 上 書, p.104 ) ⑧ マ レ ー人 の写 真 ( 同 上 書, p.108 ) ⑨ イ ンド 人 の 写 真 ( 同 上 書 ,p.106 ) ⑩ シ ンガ ポ ー ル の人 口 と人 口 密 度 ( 地 図 帳, p.122) ⑥ 日本 の人 口 と 人 口 密 度 ( 地 図 帳, p.122) ⑩ シ ンガ ポ ー ル歴 史 年 表 ( 同上 書, pp.30 ∼31.)表 4 導 入 H 「 シ ン ガ ポ ー ル と 比 べ な が ら 日 本 を 知 ろ う 」 の 展 開 ( 1時 間 扱 い )
1994, p.26) 教 師 の 発 問 ・ 指 示熊
生 徒 の 学 習 活 動詔 膸
生 徒 か ら 引 き 出 し た い 認 識 匚日 本 は 地 球 上 の ど こ に あ る の で し ょう か。 」 「 シ ン ガ ポ ール と 比 べて , 日 本 の 地 形 は ど うな って い ま す か。」 「 シ ン ガ ポ ール の 雨 温 図 と 日 本 の 雨 温 図 を 比 べ て , ど ん な こ と に 気 づ き ま す か。」 ① ② ③ ④ ⑤ ・ 地 図 帳で 日 本 の 位 置 を 探 す。 ・ シ ン ガ ポ ール と 比 較 し な が ら, 日 本 の地 形 的 特色 を 見つ け る。 ・ シ ン ガ ポ ール と 日 本 ( 東 京) の 雨 温 図 を 比 べ る。 一 斉 ・ 日 本 は 東 ア ジア に属 し て い る。 ( ユ ーラ シ ア大陸 の東 に位 置 して い る。) ・ 日本 は シ ンガ ポ ール と同 じ島 国 で あ る。 し か し, 大 部 分 が 山 地 で あ る。 ・ 日 本 は シ ンガ ポ ール と 比 べ る と四 季 が あ り , 一 年 を 通 じ て, 温 度 や 降水 量 に 大 き な 変 化 が あ る。 厂日本 の 産 業 はど の よ う な 特 色 を も って い ま す か。」 ・ 知 っ て い る こ とを 発 表 す る。 教 師 の説 明 を 聞 く。 一 斉 ・ 日 本 は シ ン ガ ポ ール の よ う に加 工 貿 易 を 行 っ て い た が, 今 は産 業 の空 洞 化 が 問 題 と な って い る。 「 日本 は シ ンガ ポ ー ル と 比 べ て , 多 民族 国 家 といえ るので あ ろう か。」 「 日本 の 人 口 は シ ン ガ ポ ール の 人 口 と比 べ て ど う のよ う に な っ て い る か。 統 計 上 の数 字 と 実 際 の 生 活 の よ う す で は , ど う ち が う の だ ろ う か。」 ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ・ 日 本 の 民 族 構 成 と シ ン ガ ポ ー ル の民 族 構 成 を 比 較 す る。 ・ シ ン ガ ポ ール の人 口 , 人 口 密 度 と日 本 の 人 口, 人 口 密 度 を 比 べ る。 ま た, 日 本 の 過 疎, 過 密 問 題 を 考 え る 。 一 斉 ・ 日 本 は シ ン ガ ポ ール と 比 べ て 多 民 族 国 家 と な っ て い な い 。 ・ 日 本 は, シ ン ガ ポ ー ルよ り 人 口 は多 い が , 面 積 が広 い た め 人 口 密 度 は 低 い。 し か し , 山地 が多 い た め, 平 野 の 都 市 に 人 口 が集 中 し 過 密 状 態 と な って い る 。 山 間 部 は過 疎 と な って きて い る。 「 日 本 の 貿 易 の歴 史 は シ ンガ ポ ー ル の貿 易 の 歴 史 と比 べ て, ど のよ う に異 な って い ま す か。」 ⑩ ⑥ ゜日 本 の貿 易 の 歴史 を 振り 返 り, シンガ ポ ー ル の 歴史 と 比 較 す る 。 一 斉 ・ 日 本 は中 国 な ど, ア ジ ア諸 国 と貿 易 を 行 って き た。 し か し , 江 戸 時 代 に は , 海 外 貿 易 を 制 限 して い た。資料 :①世 界地図( 地図帳,帝国書院, 1997, pp.1∼3.) ②日本の地 図(地図帳, pp.59∼60.)
③シンガ ポールの地図( シンガポール日本人学校中学部『資料集 シンガ ポール』,
TOPPAN PRINTING CO.(S),
1994, p.10)
④シンガポールの雨温図(地図帳,p.7) ⑤東京 の雨 温図( 地図帳,p.7)
⑥日本の民 族別人口構成(自作)
⑦シンガポールの民 族別人口構成(
『資料集 シ ンガ ポール』
,p.15)
⑧日本の人 口と人口密度(地図帳, p.122) ⑨シンガポールの人口と人口密度(地図帳, p.122)
⑩シンガポール歴史年表(
『資料集 シンガポール』
,pp.30∼31.)
0 日本の貿 易年表(日本歴史大辞典編集委員 会編『日本史年表』河出書房新社, 1988, をもとに自作)
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表 5 展 開 I 「 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の関 係 を 知 ろ う 」 の 展 開 ( 2 時 間 扱 い )
教 師 の 発 問 ・ 指 示詐
生 徒 の 学 習 活 動物 詣
生 徒 か ら引 き 出し た い認 識 「 日 本 と 東 南 ア ジ ア, シ ンガ ポ ー ルと のつ なが り はど の 時代 か らあ っ た の だろ う か。」 ① ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 関 係 を 年 表 か ら 読 み と る。 一 斉 ・ 日 本 と 東 南 ア ジア は朱 印 船貿 易 によ り 関 係 が あ っ た。 ・ 日 本 は シ ン ガ ポ ー ルを 太 平 洋 戦 争 中 , 占 領 し た。 「 日 本 が 起 点 とな る シ ンガ ポ ー ル へ のつ な が り に は ど の よ う な も の が あ る だろ う か。」 ② ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 結 び つ きを 資 料 か ら読 み と る。 一 斉 ・ 現 在 , 日 本 の 企 業 や 資 本 が シ ン ガ ポ ー ル ヘ 進 出 し て い る。 ・ 日 本 の地 方 自 治 体 の中 に は事 務 所 や 出 張 所 を シ ン ガ ポ ール に 置 いて い る と こ ろ も あ る。 ・ 現 在 , シ ン ガ ポ ール を , 多 く の 日 本 人 観 光 旅 行 客 が 訪 れて い る。 「 シ ンガ ポ ール が 起 点 と な る 日 本 へ のつ な が り に はど の よ う な も の が あ るだ ろ うか。」 ② ・ 日本 と シ ンガ ポ ー ル の 結 びっ き を 資 料 か ら読 み と る。 一 斉 ・ シ ンガ ポ ー ル は 政 府 観 光 局 を 東 京 と 大 阪 に お い て い る。 ・ 日 本 に シ ンガ ポ ー ル か ら 留 学 や 研修 , 観 光 で き て い る。 匚日 本 と シ ン ガ ポ ール の 結 び つ き の 中 で 問 題 に な っ て い る こ と は な い だ ろ う か。 」 匚日 本 と同 じ よ う な 問 題 は シ ン ガ ポ ール に はあ る の だ ろ う か 。 な い の だ ろ う か。 」 ③ ・ シ ンガ ポ ー ル が 抱 え て い る 問 題 を 見 つ け る。 ・ 多 く の 規制 が 法 律 で 決 ま っ て い る こ とを 見 つ け る。 一 斉 ・ シ ンガ ポ ー ル の老 人 愬 の 中 に は 日 本人 を良 く 思 っ て い な い 人 が い る。 ・ 日 本人 の観光 旅 行 は シ ンガ ポ ール にと っ て 歓 迎 す べ き こ と だ が, 手 放 し で 喜 べ な い こ と も あ る。 (環 境美化 ・整 備政 策, 産業 構造 の変化) ・ シ ン ガ ポ ー ル の場 合 観 光 と 関 わ って い るが , 日 本 と共 通 す る も の と し て , 交 通 渋 滞 な ど の 都 市 問 題 が あ る。 「 シ ンガ ポ ー ル に お け る 都 市 問 題 を 調 べ る た め に は ど う し た ら よ い だろ う か。」 ・ 研 究 方 法 を 探 る。 一 斉 ・ シ ン ガ ポ ール にお け る 都 市 問 題 を 調 べ る た め には, ① 情報 収 集 , ② 文 献 分 析, ③現 地 調 査 ( ここ で は, 現 地 に 行 っ た 人 へ の 聞 き取 り), が あ る。資 料:①日星関係年表(日本歴史大辞典編集委員 会編『 日本史年表』河出書 房新 社, 1988, を もとに自作)
②日本 と シンガ ポール( シンガ ポール日本人学 校 中学部 『資 料集 シ ンガポ ール』,
TOPPAN PRINTING CO.(S),
1994,
pp.69∼71.)
③罰 金 とな る禁 止 事 項 ( シ ンガ ポー ル政 府 観 光 局 『 新 し い ア ジ ア の風 を 体 験 し よ うS 工NGAPORE CONVENT工
ON &
INCENTIVE
MANUAL』1996,p.28.)
を 開 発 し た8 )。
単 元 の導 入 I で あ る 「 シ ンガ ポ ー ルを 知 ろ う」
は, 表 3の よ う に な っ て い る。
1 時 間 で 扱 う 。 主
に, シ ン ガ ポ ー ル の 位 置 ( 赤 道 直 下 , マ レ ー半 島
の 先 端 ), 自 然 的 特 色 ( 熱 帯 雨 林 気 候 , 平 坦 な 島
国 ), 社 会 的 特 色 ( 中 国 系 ・ マ レ ー系 ・ イ ンド 系
に よ る多 民 族 国 家 , 美 し い 国 , 経 済 的 発 展 , 外 国
資 本 の 参 入 , 観 光 立 国 ) を , 生 徒 た ち は, 資 料 か
ら読 み 取 り , 認 識 す る。
単 元 の導 入 n で あ る 匚シ ン ガ ポ ー ル と比 べ な が
ら 日 本 を 知 ろ う」 は, 表 4 の よ う に な って い る。
N 寺間 で 扱 う 。 導 入 で 学 習 し た 内 容 を も と に , 同
一 の 素 材 や 観 点 を 通 し て, 日 本 を シ ンガ ポ ー ル と
匚比 較 」 し な が ら, そ の 共 通 点 と 相 違 点 を 発 見 し
て い く。 そ の 場 合 は, 位 置 , 自 然 的 特 色 , 社 会 的
特 色 と い う 3つ の 観 点 で , 自 文 化 で あ る 日 本 を 知
る こ と に な る。 ま た , 異 文 化 と 自 文 化 の再 認 識 と
な る。
単 元 の 展 開 I で あ る 「 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 関
係 を 知 ろ う 」 は, 表 5 の よ う に な っ て い る。
2 時
間 で 扱 う。 主 に, 歴 史 的 経 緯 を 追 い な が ら, 現 在
まで の 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 「 関 係 」 を 取 り 上 げ
る。 ま た, 現 在 に お け る, 日 星 関 係 を 取 り 上 げ て
い く。 そ の 場 合 , ① 日 本 → シ ンガ ポ ー ル, ② シ ン
ガ ポ ー ル→ 日 本, と い う 2つ の 観点 で 取 り 上 げ る。
両 国 は, ア ジ ア の 中 で もい ち 早 く経 済 的 に 発 展 し
た国 で あ る。 そ れ 故 に, 共 通 の 問 題 が , 両 国 に は
存 在 す る。 し たが って, 日 星 に共 通 し て 問 題 と な っ
て い る が , そ の問 題 の 社 会 に 対 す る 意 味 合 い の 異
な る も のを 取 り 上 げ る。 こ こ で は, 都 市 問 題 を 取
り 上 げ て 考 察 す る。 そ の 問 題 発 見 過 程 と問 題 追 求
方 法 発 見 過 程 で も あ る。
単 元 の展 開II で あ る 「 日 本 と シ ン ガ ポ ー ル の問
題 につ い て 調 べ よ う 」 は, 表 6の よ う に な っ て い
表 6 展 開 H 「 日 本 と シン ガ ポ ー ル の問 題 に つ い て 調 べ よ う 」 の 展 開 ( 2 時 間 扱 い)
教 師 の 発 問 ・ 指 示熊
生 徒 の 学 習 活 動詔 膸
生 徒 か ら引 き 出 し た い 認 識 「 都 市問 題 は 日 本 と シ ンガ ポ ール に共 通 す る 問 題 で あ る。 そ の 原 因 は何 で あろ う か。」 「 都 市 問 題 に は ど の よ う な 問 題 が あ る の だ ろ う か。」 ① ② ・ 都市 問 題 の 原 因 を 探 る。 個 別 ↓ 班 ↓ 全 体 ・ 都 市 問 題 の 原 因 は人 口 の集 中 に あ る。 ・ 交 通 渋 滞 , ゴ ミ 問 題, な どが 都 市問 題 と し て あ げ られ る。 「 シ ン ガ ポ ー ル は都 市 問 題, 特 に 交 通 問 題 に 対 し て ど の よ う に 対 応 し よ う と し て い る の か。」 ③ ・ シ ン ガ ポ ー ル の交 通 問 題 の 原 因 と政 府 の 対 応 を 探 る。 班 ↓ 全 体 ・ 交 通 問 題 は 自家 用 車 の 極 度 の普 及 と利 用 の し す ぎ にあ る。 ・ シ ンガ ポ ー ル 政 府 の対 応 とし て は, ① 公共 交 通機 関 の整 備 , ②道 路 網 の整 備, ③ 中 心 部 へ の乗 り 入 れ の制 限 , ④ 車 両 台 数 の 制 限 , が 行 わ れて い る。 「 シ ン ガ ポ ー ル は ゴ ミ問 題 に対 し て ど の よ う に 対 応 し て い る ので あ ろ う か。」 ④ ・ シ ン ガ ポ ー ル の ゴ ミ問 題 の 原 因 と政 府 の 対 応 を 探 る。 班 ↓ 全 体 ・ ゴ ミ問 題 の 原因 は 人 々 の ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 , ゴ ミ の 単 純 増 加 , ゴ ミ に 対 す る モ ラ ル の低 下 , な ど が あげ ら れる。 ・ シ ンガ ポ ー ル 政 府 は, ゴ ミ に対 す る モ ラ ル につ い て, 厳 し い 罰 則 規 定 を 設 け る こ とで 解 決 し よ う と し て い る。 こ れ は , 観 光 旅 行 者 に も適 応 さ れ る。 「 ̄日 本 の 交 通 渋 滞 や ゴ ミ問 題 に対 す る 対 応 はど う な っ て い ま す か。」 ・ 日 本 の対 応 を 探 る 。 班 ↓ 全 体 ・ 交 通 渋 滞 に対 し て は, 交 通 網 の 整 備 を 中 心 にす え て い る。 ・ ゴ ミ問 題 に対 し て は, 分 別 収 集 , リ サ イ ク ルな ど, ゴ ミ の少 量 化 , 再 資 源 化 を 進 めて い る。 「交 通 渋 滞 , ゴ ミ 問 題 へ の シ ンガ ポ ール 政 府 の対 応 と 日 本 の 対 応で 異 な って い る点 は ど こで し ょうか。」 「 な ぜ , そ の よ う な 違 い が 出 て く る の で し ょう か 。 そ の 原 因 を 探 る た め に はど ん な こ と が わか れ ば よ い の で し ょ う か。」 「 今 ま で 学 習 し て き た こ と を ふ ま え て , 交 通 渋 滞 と ゴ ミ問 題 は シ ン ガ ポ ー ル に と っ て ど れ ぐ らい 重 要 な 問 題 な ので し ょ う か。 な ぜ, 重 要 な 問 題 な の で し ょ う か。」 ・ 日 本 と シ ンガ ポ ー ル の 政 府 の 対 応 を 比 較 す る。 ・ 日本 と シ ンガ ポ ール の状 況 が大 きく異 な っ て い る 点 を 指 摘 す る。 ・ シ ンガ ポ ー ル に お け る 交 通 渋 滞 と ゴ ミ問 題 の 意 味 を , 学 習 し た 事 項 を 結 びつ け な が ら, ま た, 日 本 と 比較 し なが ら考 え る。 個 別 ↓ 班 ↓ 全 体 ・ シ ンガ ポ ー ル は 日 本 に比 べて 政 府 の 監 視 や 制 限 , 罰 則 が 政 策 の大 き な 役 割 を 占 めて い る。 ・ 日 本 の産 業 や人 々 の生 活 に対 す る 問 題 と シ ンガ ポ ール の 場 合 で は, 意 味 合 い が ち が う 。( 民族 構成, 産 業構 造 の観点 ) ・ シ ン ガ ポ ー ル は 観 光 立 国 な の で 交 通 渋 滞 や ゴ ミ な ど の 環 境 美 化 に反 す る 問 題 は, 国 の経 済 に と って 致 命 的 で あ る。 ・ 多 民 族 国 家 で多 価 値 社 会 な の で, 罰 則 を と も な う 規 則 に よ り , 価 値 の 一 元 化 を 図 らな け れ ば な ら な い。 匚日 本 に もい わ ゆ る 『 空 き缶 や た ば こ ぽ い すて 禁 止 条 例 』 が あ り ま す。 こ れ は, シ ンガ ポ ー ル の 禁止 事 項 と よ く に て い ま す。 」 厂日 本 の場 合 と シン ガ ポ ー ル の両 国 と も , 法 に よ る 規 制 に のり だ し て い る と い う点 で は一 緒 で す が, そ の 他, 違 い はあ り ま せん か。 」 ⑤ ・ 日 本 ( 愛 知 県 西 春 町) の 条 例 を 読 み, 日 本 で も, 罰 金を 課 す 規 制 が 行 な わ れ て い る こ と を 知 る。 ・ 日 本 と シ ンガ ポ ール の規 制 の意 味 付 け を, 自 分 な り に 行 な う 。 一 斉 個 別 ・ 日 本 は, シ ンガ ポ ー ル に習 っ て , 都 市 問 題 の一 部 を, 罰 金 を 課 す と 定 め た 条 例 によ り , 解決 し よ う と し て い る。 ・ 日 本 の場 合 は, モ ラ ル の 低下 を , 法 に よ り 防 ご う と し て い る。 シ ン ガ ポ ー ル のよ う に 経 済 効 果 や 価 値 一 元 化 を 図 ろ う とい う も ので は な い。 資 料 : ①交 通 渋 滞 の 写 真 ② 山 の よ うな ゴ ミ の写 真 ③ シ ンガ ポ ール の交 通 ( シ ンガ ポ ール 日 本 人学 校 中学 部 『資 料 集 シ ンガ ポ ー ル』, TOPPAN PRINTING CO.(S), 1994, pp.79 ∼82.)④ 罰 金 と な る 禁 止 事 項 ( シ ン ガ ポ ー ル 政 府 観 光 局 『 新 し い ア ジ ア の 風 を 体 験 し よ う SINGAPORE CONVENTION & INCENTIVE MANUAL』1996, p.28.) ⑤愛 知 県 西 春 町 の い わ ゆ る 環 境 3条 例( 抜 粋 ) 表 7