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<研究ノート>複式簿記から三式簿記へ : 井尻雄二著「三式簿記の研究」を中心にして

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Academic year: 2021

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(1)96 (296). 横浜経営研究. 第V 巻. 第 3 号 (1984). う. p.123. 同様なことが 英語による名称についても 言え. "nonpyramided. る。 当初は番場教授により. method". 6 78. ]. 上. 3. 19. 4. 2 2. 清,『原価計. 22. ゴ. (国元書房, 1971 年 ),. p,125. 佐藤. 進 ,『基準原価計算精読 , ゴ. (中央経済社,. 1982 年 ), P.414. エ. 番場嘉一郎,「双掲稿 」, (1959, Ⅱ -6), p.32. 番場嘉一郎, 「新調原価計算』, (中央経済社, 1975 年 ), p.172. ただし, 下 線は拙者が施した ものであ る。. l Ⅰl 上 Ⅰ・ 上. 士淵. 建二「双掲 稿 」,. (1971.. 11),. p.80. /@l申ヒ-. こ@. 34. 90. 松木雅男,『原価計算 ,. 2. 8. (1979. 5), P.20.. F 前掲 書 』, (中央経済社, 1981 年 ), 204-206. における計算過程を 参考にした ものであ る。 小林健吾, 『最新原価計算論 , (中央経済社,. 桜井適時,. コ. Ⅰ. 67. 」. ( 中央経済社, 1981 年 ). 1981 年 ), pp.204-206. における計算過程を 参. 算 ( 三計 版 Ⅱ, (国元書房, 19 初年 ), pP. 344 346), 番場嘉一郎,「双掲稿 」, (1959. 11 づ ), p,32.. 拙稿,「双掲稿. 』. pp. 20. 5. 文を参考にして 作成しだ。 岡本. 場嘉一郎,「双掲稿 」, p.26.. のであ る。. 実務』, (1979. 5) 調査 票 の股間や図表については 岡本教授,非累 加法の利点については 番場教授の書物および 論. 特徴は佐藤 ( 精 ) 教授によって 明確に図示され ている。 佐藤精Ⅰ『最新原価計算 ( 改訂版Ⅱ, (中央経済社, 1979 年 ), p,114. G. H. Newlove, Fop. cit.コ , (1958 年 ) P. 17 (5). および,番場嘉一郎,「双掲 稿 」, (1959. 11 Ⅱ), p. 26. なお, 番場教授の論文では , Ⅰ Usual" nonpyramided inVentoワ valuation method 」と記されてあ るが, 原文では「… va. luation schedules」と記されていだだめ , これ を用いた。 しかし, method としても sche. duIes としても内容的に 異なるところはなく , 理解しやすい 点を考えると 番場教授のように method を用いるべ き かもしれない。 G. H. NewIove, luIbidJl,P. 18(5). および番. 土淵健 Ⅰ「双掲 稿 」, (1971. u), p,81. 岡本 清, F 前掲 書 』, (国元書房, 19 初年 ) pp.347-348. における計算過程を 参考にしたも. ェ. 拙稿, 「昭和 53 年度原価計算実態調査」,『経営. p.279. 累加法と非累加法による 工程 別 総合原価計算の. 桜井通情, F 前掲 書 p.226.. Ⅰ土井Ⅰ. 「経営原価計算論 ( 増補版Ⅱ, (中央経済社, 1981 年 ), p. 226, 上棚 健 Ⅰ「原価計算の 重点 研究」, F 会計八コース』, (1971. 1), p.81. George HiIIis Newlove, Process Costs(ActuaI, Estimated, and Standard), Distributed by Hemphill Book Stores, Austin, Texas, 1958.. 5. コ. ・ イ上. と名称されていたが ,最近では吉田 教授に よ る 2 5 。 こ "non-cumulative method" が 一般に用いられている。 吉田 彰, F 現代原 価計算論 , (同文館,昭和53 年 ), P.113. まだ計算方法 は 番場教授によって「通常の 計 算方式」と「改正計算方式」の 2 種類に大別さ れているが,桜井教授による 折衷 法 と土 淵 教授 による計算方法などもみられる。 桜井通情,. び. 甘・Ⅰ. 4. し,最近では「非累積 法 」という名称も 用いら れるよ 。 こ なった。 小林哲夫, 『原価計算一一 理論と計算 例 J, (中央経済社, 1983 年 ),. 累る書. げると,当初から 番場教授をはじめとして「非 累加法」とし 5 名称が用いられていた。 しか. はも. 3. 上﹁. 2. N0. 1, (1959. 11-6), pp. 25-33. 非累加法という 呼称,すなわち形式面を取り 上. ,練木 し 下岡. 2Ⅰ Ⅰ. 注 Ⅰ. 番場嘉一郎,「非累加法の研究」,『原価会ぎ十ゴ,. 者 にしだものであ る。 小林健吾, F 前掲富山, pp.202 づ 04. における計 算過程を参考にしたものであ る。 佐藤精一「双掲 書 』, (中央経済社, 1979 年 ), pp. 163-165 で述べられているインプット 法 お よびアウト ブ ,. ト. 法は大へん参考になる。. 拙稿,「双掲稿 」, (1979. 5), P.27. アウトプ ". 形式について , 第 1 法の先人先山 法 ,平均法および第 2 法の先人先世法 は 岡本教 授による形式を ,第2 法の平均法 は 小林 ( 健 ) ト. 教授の形式を 一部参考にしだものであ る。 岡本 清「双掲 菖山 (国元書房, 1980 年 ), p. 348. 小林健吾「双掲 書 』, (中央経済社, 1981 年 ). p.. 202. ( 横浜国立大学経営学部助教授. コ.

(2) く. 研究ノートノ. 複式. 簿. 二 Ⅱ己. 藪. Ⅰ リ. へ. 俊. 哉. 式. (資産 一 負債主資本 ) を次のように 簡単にする. はじめに. ル力・パチオ. @-Ⅰ. 一一井尻雄二者「 三式 簿記の研究」を 中心にして一一. 大. 1.. ら三式簿. カ. と. ろから出発する。)。. の「 ズ ンマ」 (1494 年 ) 以来, 複式. 簿記の基本構造は 不変のまま延々と 今日まで引き 継が れているが, 「それは複式簿記がその 内部の論理にお いて『絶対完全山なものであ り,それが最初に ぅ まれ. 財. 二 で財産は資産と. 産二資. (Ⅰ ). 本,. 負債の差額であ ると規定され. る。 上記の簿記等式に 基づいて,複式簿記は「財産の 変. たときより改善や 拡張の余地をのこさないものだった. 動はすべて借方で 資本の変動はすべて 貸方で佳詞記入. からであ ろうか。1)」複式簿記の 完全仮設を否定し ,三 式 簿記あ るい ほ 高次元簿記へ 拡張することが 可能であ. する 6) システムであ ると思考されている。 すなわ ち,「こ う い うふう に記録をやっても 不都合なところ. るとすれば,その 論理的展開また 実践化への手順ほ い かなるものであ ろうか。 そして三戒簿記を 基底にする 3 次元会計における 財務諸表は,現行の 複式簿記を基. はなにもない。 というのは財産や 資本の増減が 在来の 方法でほ仕訳の 位置によって 増分であ るか 減公 であ る かを表わしだが ,それがプラスとかマイナスとかの 証. 底 にした. 研究一一複式簿記の 論理的. 号にお き かえられだにすぎないからであ る。 しかもこ の 新しいやり方では ,仕訳の意味がょり 一層はっきり する。 仕訳の一方は 財産とその変動のみをとりあ っ か. 拡張をめざして 一一 2) ( 中央経済社,昭和 59 年 5 月 ) は ,「複式簿記の完全仮説」に 敢然と立ち向かった ェ. い ,その他方は資本とその変動のみをとりあ っ かぅか らであ る ガ. 2. 次元会計のものと 同じか , 異なるとすれば. 何がどのように 昇-なるのであ ろうか。. 井尻雄二 苦. 「姉夫簿記の 」. ポックメーキンバな 研究書であ る。. 」. 」. この ょう に財産と資本を 対上ヒして複式簿記の 2 元性. 本稿は,本書を手掛りとして ,三夫簿記をめぐる 研 究の課題と方向を 探ることにあ る。 @よ@ よ<f0@ . 本 楠は拙稿 汀 温式簿記の研究』を 読んで aリと 重複する箇所のあ. を解明し , 新しい次元を 績 緯 する。 この場合,だと え は 「財産の側は 実体,資本の側は名目 ( まだは抽象 ) の 勘定であ る 8) と考えることは ,従来からもいわれて. ることをお断りしておきたい。. きているし,有意であ るが,実体,名目,そしてその. ヰ. 次に何がくるがという 次元への拡張に 行き詰ま。って し. 2. 時制的 三式 簿記とその特徴. 記. 月一. 2. 次. 元を拡張すると 当然あ るべき第 3 の次元 @こぶっかるこ とを示せばかり わ げであ る。4)」この ょう な観点がら 井尻教授は,複式簿記に 現存する借方と 貸 方 という よ. 元から "3. 。 これを打開するためには ,財産と資本の 木質を もっと深くほりさげて 検討する必要があ る 9)。. まぅ. 「複式簿記の 完全仮説を否定するためには ,複式簿. に現存する 2 次元を結びつけ ろ 論理を解釈する からはじまる。 そしてその解釈のもとで 現存ずる. 」. の次元を " 理 的に紙縄するために ,猪本;:;;. 財産も資本もともにあ る企業のあ る 時 , 点、 に 才 引する 財. 政 状態を表わすものであ るといわれている ", 確かに. ぅ. 財産についてはそうであ る。 しかし, 笘本は只 してそ. 複式年記. であ ろうか。 井尻教授 は 次の. とフ. .@@;@-c. る,0) 。. C. 洋式の両 倶 " ま 同じけ寺,。 黒こガ;. ハ %. 。㌧ ゲ @""-@@イ@.

(3) 98 (298). 第 V 巻 第 3 号 (1984). 横浜経営研究. ないと等式がなりたたないということから ,資本も. 財務諸表とを 結びつげる鍵をなすもの 'め 」と考えられ. 現状を表わすのが 当然とも考えられるが , これを皮. ている。 これを未来の 次元にあ てはめて考えると ,期. 相的にみないでもう. 首資本勘定に 相当するものは ,. 少し突っ込んで 考えると,実は. 資本が企業の 財政状態を表示すると 考えるにはいさ さか無理のあ ることに気がつく。 これほ資本勘定が 一般に無形勘定で , これと指定. 「来たる 1 期間に事象. が予算に組まれたとおり 起ったとしたらその 期末に達 成しえるであ ろうという『目標資本』とし もの⑥」 ぅ. になる。. されえないという 点にあ る。 このような無形勘定を 指定したり表示したりするためにはその 過去の歴史 が不可欠なのであ る。 いやむしろ資本勘定の 存在目. 従来,予算による 管理的思考の 有用性は,管理会計 の分野のみならず 財務会計においても 十分に認識され ているものの ,予算が簿記機構の 中に組み込まれるこ. 的が現状を表示するとい. ことよりも過去の 事象を. とはあ ってもその一部にすぎなかった。 時制的温式 簿. 総括表示することにあ ると考えるのも 不合理ではな. 記は ,予算を簿記機構に 組織的に組み 込んだところに. いようであ る。 もし現在が過去でもれなく 釈明 (accountfo,) されたならば , 与えられた測定構造 のもとに過去の 累積が現在と 一致することになる。 財産勘定はもし 必要とあ ら ぱ 企業の過去の 記録が なくとも,あ る一時点において 企業のもっ資産と 負 債の総目録を 作り,それにその 時点でとられる 適当 な価格を掛けて 計算することほ 可能であ る。 これが 資本勘定の場合にはその 過去を知らずに 残高を計算 することは全くできないのであ る。. その特徴があ るといえ よう 。. 5. 3. 微分的温式簿記とその 特徴 王戎簿記に「時制的」とし. ぅ. 形容詞がついているこ. とは, これ以外にも 三式 簿記が存在することを 意味し. かくして「資本勘定 (留保利益の細目勘定であ る 損 益 勘定もすべてふくめて ) はもっぱら過去を 記録表示. ている。 井尻教授は, これを高次元簿記への 拡張も可 能な微分的温式簿記として 提唱されている。 時制的 三式 簿記 は , 「実は姉六簿記ではなく 複式 簿 」ものであ り, 記 さ 2 度適用したものにすぎない '7) 「それは在来の 複式簿記をこれまで 開拓されていなか った半平面 (過去にたいして 未来の半面 ) へ 同じ 2 次. する よう に志向されているのにたいして ,財産勘定は. 元のなかで延長じたものであ るといえる。 18). 企業の現在を 記録表示することに 志向されているとい. 「本当の 3 次元を創りだすためには ,第1 と第 2 の 次. える。 この 2 つが統合された 金額において 一致するこ. 元の関係を抽出してそれを 第 2 と第 3 の次元の関係に あ てはめて適用することが 必要であ ろう。 そ う すると. とによって,. 『現在が過去によってもれなく. 釈明され. る コ ということが 可能になるのであ る。、, )」. とすれば,簿記等式㈲は , 次のように表現し 直すこ 在 ニ 過. そこで. 第 3 の次元が第 2 の次元に対して ,第2 の次元が第 1. とができる,2) 。. 現. 」. (2). 去. 財産と資本との 対比による複式簿記の 2 元性を上記. の次元に対するのは 同じ関係にたつことになる。 上記 の三夫簿記 (時制的温式簿記……筆者 注 ) では,第3 0 次元が第 1 の次元に対するのと. ,第2 の次元が第 1. の次元に対するのと 同様の関係になっている。 これで. のように「現在」と「過去」とし 9 2 元性に置き換え. は 全く新しい次元を 創ることはできない。19)」. ると, 「未来」という 次元が忽然と 現われてくる。. 「過去,現在,未来 03 対はまず完全であ り,あと. こ. 加えて は. によって拡張した 簿記を,時間の 次元で拡張したもの. せいぜい過去と 未来を会計期間によりいくつか 細分す る 程度で,それをたとえば 四式 簿記に拡張することは 3 次元の内部の 論理構造を打ちこわすことなしにはで. であ るから,時制的三六簿記. きないであ ろう。20り. のようにして ,簿記等式を, 未. 来二現 在二過 と. (3). 去‥. 名づける ") 。. 時制的三夫簿記等式 (3油 ,現在が過去,未来によっ てもれなく釈明されることを 意味している。 もちろ ん,過去への遡及範囲および 未来への追求範囲は 一般 的に 1 年という会計期間が 考えられている 壌 。. 「. 1年. をこえた過去の 歴史は,期首の 資本勘定にすべてふく まれており, それが与えられた 財務諸表とその 以前の. そこでも. う. 一度,簿記等式㈲に 立ち戻って , 別の観. 点から検討し 直す必要にせきられる。 財産勘定はスト 勘定であ り,資本勘定はフロー 勘定であ るという 観点がそれであ る ") 。 この観点に立つと ぎ ,簿記等式 ". ク. (lHは次のように 表現し直される。 ヌ、. トック. ニ フ. p. 一. (4).

(4) (299)@99. 複式簿記から 三戒簿記 へ (大藪俊哉, ここで「スト , クと フローとの関係」が 吟味され る。 すなわち,. 「フローはスト , ク の値の変動を 意味. する。 フローは ヌ、 トックの 2 時点、. たとえばあ る事. 象のおこるまえとあ と,あるいは期首と 期末. 学 における加速度概俳に 相当するものが 利力であ り, 微分的三夫簿記は ,. んだところにその 特徴があ る,. にお. 4.. ける値の差を 認識して決められるものであ る。 もし ヌ、 トックが連続的にその ト. ". ク. 値をかえる場合は ,. フローはス. を微分してえられる 導関数として ,その変動率. を表わすものとして っ かむことができる 22)」とし. ぅ. こ. ねを簿記機構に 組織的に組み 込. こ. 三式 簿記の記入. 複式簿記でほ ,負数の記,を勘定の反対側に 正数と しておこなうが、 井尻教授によれば , これは 負 値の忌 避によるもので ,. LhT がえ・。 - つて 複式簿記の論理構造. とで,財産の 導関数として 資本を考えれば ,資本の導. を困難もしくは 複雑にしていると 思考されている 29)。. 関数というものが 考えられる筈であ る 糊 0 つまり プ. このため温式簿記への 拡張は,財産と 資本との対比. ロ. 一の 2 期間の値の差を 認識して決められるものがあ っ. (等記 等式㈹ ) をその起点としたのであ る。 そして財. ていた筈であ ると思考されている。 かくして,資本の. 産・資本とい シ性質の異なる 屯のの純粋性を 保つため. 導関数,すなわち財産の 2 次導関数を第 3 の次元とし. に,財産勘定の 変動はすべて 信力 に ,資本勘定の変動. て論理的・数学的に 導く。 この次元 は 利益 (収益およ. はすべて貸方に 記入する方法を 採ったのであ る。. び費用 ) の 2 期間における 差異分析をおこな. う. ことを. 意味するところから ,利刀と名づける 24)0. は ,財産内取引,資本内取引,財産資本取引の 3 つの. このような考え 方によって拡張した 二次簿記の等式 は次のように 表現される 2s)。 財. 産二資. 本. = 利. このような 記フ、 方法を採る場合,複式簿記の 取引. (5). カ. この簿記等式は ,財産勘定の変動原因を釈明するも. ヵ. テゴリ一に分類 冊). さ拍る ,. 」. 「財産内取引」とは ,財産の次元のみに 記入される もので,財産相互間の 交換取引をいい ,「資本内取引」 とは,資本の 次元のみに記入きれるもので ,資本相互. のが利益その 他の資本勘定であ り,利益 (その他の資. 間の交換取引を・. 本 ) 勘定の変動原因を 釈明するものが 利力勘定であ る. 「資本内取引」。,その証フ、の 結果はその合計が 0. ことを意味している。 もっとも資本は 財産の導関数で. なる。 これに対して・ 「財産資本取引」は ,財産と資 本の両次元に 記入されるもので ,損益取引および財産. あ り,利力は 資本の導関数であ るといっても ,上記の. 簿記等式が等号で 結ばれるためには ,資本と利刀は積 介 されなければならない 26)0 いずれにしてもこ・のよう. て. 資本間の交換取引を ぃ ; ,. ニ. 「財産内取引」も と. の場合,記入の 結果,両. に微分の次元で 拡張しだ温式簿記を 微分的 三式 簿記と. 次元の合計は 平均する, 複式簿記から 時制的三大簿記入拡張されると ,上記. 呼ぶことはすでに 触れたとおりであ る。. の三つの ヵテゴ " 一の取引の他に ,予算の次元にのみ. 微分的三大簿記において 利カというのは ,すでに述 べたとおり, フロー勘定の 2 期間の値の差を 扱. う. 概念. 記入されるもので , 記フ、の 結果その合計が 0 となるよ う. な「予算内取引」が. また上記の「財産 資. 加. で用いられている。 利方という言葉そのものは 新しい. 木 取引」を「財産資本予算取引」に 拡張した ヵ テゴリ. ものであ るが, このような概念は 従来の会計にも 存在. 一にする必要があ る "",. している。. 「たとえば収益や 費用の今期と 前期の差. 「. と,、 ぅ のはあ る取引が財産. の純額を増減させるとそ 荻は同時に資本の 純 額 および. は,差異分析でいくつかの 差異,たとえば価格差異,. 予算の純 額 をも同額だ け 増減させたければ 切 」,. 数量差異,操業度差異などに 分類される 27)」場合を考. 等式 (3)が成立しなくなるからであ る。. えれば明白であ ろう。 しかしこれらも 考えられ・ る 差異, を 総合的に扱っているわ。ナ ではなく, また簿記機構の. ではあ るが,木暮に示き左て. 中に組み込まれているわけではない。. ておこう 33)0. 動態会計では 損益の分析を 重視するが, 本来「動い ているシステムの 動的面を記述するのにその 位置とそ. 薄青". 次に時制的三戒簿記の 記 ,、を 示すために, 簡 ¥-な例 、 るものを要約的に 掲げ. 期首資料. 」. :. (イ ). 現金的 胤 , 江 不動産賃貸業の 会社を設立し. ( ロ). 期 申の予想 宮業 取引は次のとおりであ る ". の時点における 速度だけでほ 不完全であ る。 速度が変. 化する率をあ られすところの 加速度がそのシステムを 記述するのに 不可欠な情報であ る。28)」 ニ,一 トシカ. 己. 1.. 現金 40 億 ドを惜 . へれる。 フ.

(5) 1 ㏄ (300). 第 V 巻 第 3 号 (19%). 横浜経営研究. 2, 土地㏄億円を 現金で購入する。 3. 地代収入 30 億円を現金で 受取る。 4. 諸費用 10 億円を現金で 支払、 。. と. 以上は時制的三戒簿記の 記入についてであ るが,微. 分的温式簿記の 場合その記入手続はどのように 変 るの. ぅ. 期中資料. であ ろ 5 か 。 財産勘定,資本勘定の 記入手続は上記. :. (イ ). 仕訳記入の金額との 算術的和 ) が表示されている。. と. 上記 1, 2 の取引は予想どおり 実行され. 変 るところはない。 利力勘定は,毎期末に 一括して 記 入する方法と 期中にフローとフローとの 対応計算によ. ただし上記 3, 4 の取引は予想と 異なり,. って継続的に 記入する方法とが 模索されているよ 5 で. た. (ロ). 次のとおりとなった。. あ る 8の。 簿記記録が財務諸表の 作成を目ざすものであ. 3.. るとはいえ,記入方法としては 後者を考えるべきであ. 地代収入は予算より 10 億円上まわった。. 4. 諸費用の支出は 予算より 5 億円上まわっ. ると思われる。 簿記記録が期中における 財産・損益 管 た 理 に機能するという 側面を軽視できないからであ る。 上記の資料によって ,期首試算表,期中仕訳記入,いずれ。こしても,その具体的方法が 明示されていない のは残俳であ る。 期末試算表を 示せば,次のとおりになる。 期首試算表 予. 算. 財. 目標資本. 70. 予想収益. 一 30. 予想費用 予算 純額. 50. 現. 5.. (単位億円 ). 産. 資. 金. 本. 資本金 50. 丈. 温式簿記の課題. 最後に三 式 簿記をめぐる 今後の研究課題とその 実践 化に伴 う 問題点をいくつか 挙げておこう。 (1) 井尻教授は複式簿記の 拡張にあ たって , 二つの条. Ⅲ 財産 純額 50. 件を満たさなければならないとされている。 旧 システ. 資本 純額 50. ムの保存性と 新システムの 必然性がそれであ る。 すな わち, 「あるシステムを 旧 システムの拡張とよぶ ため. 期中の仕訳記入 - 」. .借 入. 2.. 財 産 現 金 40 借入金一 40. れ. 土地購入. 土. 地. 本. ェ. 算. 資. 予. Ⅴこは, 旧 システムに存在していたものをすべて 保存す. (単位億円 ). 」. ㏄ 05 4 丁. 盗用 収費. 現 金一㏄ 3. 地他 収入予想収益 40 現 金 40 4. 諸費用支出予想費用 一 15 現金一仏. るものでなければならない。,5). に新しく加えられて 新システムとなる 次元は,同次元 の与えられた 解釈のもとで 論理的に唯一無二のものと して導き出されるものであ り, したがって新システム の次元の必然的な 一部をなすものでなければならない という要求であ る。8の」 本書はこのような 意味で ,複 式 簿記の二元性の 解釈から,第3. 婚 した研究書といっても. 算. 目標資本 予想収益 予想費用. 財. 70 10 一5. 予算 純額 一 75. 現 土. 産 金 地. 資. 本. 35 資本金. ㏄. 益 40 用一仏 財産 純額"" 75@ 資本 純額 75 ㏄. 借入金一 40. 収 費. の新次元の誘導に 終. 敢えて過言ではなかろう。. 複式簿記の二元性に 関する解釈は , 二つの次元間に. 期末試算表 (単位億円 ). 予. そして「 旧 システム. -. 内在する関係によって 変ってくる。 井尻教授は,財産 解釈しなおし 二盗木の簿記等式㈲を ,現在ニ過去,に て未来という 次元を論理的に 求め,時制的王戎簿記を 展開された。 また簿記等式㈲を ,. ストックニフ. ロ. 一に. 解釈しなおして , ニュ一トン力学の 諸概念を援用する. ことにより,利刀という 次元を論理的,こ 求め,微分自・9 期首試算表の 予算 欄 でほ, 目標資本 70 億円 (=50 億 同士予想利益 20 億円 ) から, 予想収益 30 億円を減算. 王戎簿記を展開され・だのであ る。 しかし教授自身が 述べているよ. う. に時制的三夫簿記. し ,予算費用10 億円を加算して 期首肯 高 050 億円に調. は, 実は三戒簿記ではないことがわかった。 だだし,. 整 されている。 これ・に対して ,期末試算表の 予算 欄で. 「予算を財務 " 衷に結びつげることから 理論的に興味. は ,目標資本は期首予想 額 をそのまま表示し ,収益・. 深く,実務的に有用な幾多の 面をもっているⅥ」の. 費用については 予定と実績との 差 (期首試算表の 金額. で, これを三大簿記の 一種として取り 扱わ " ているに.

(6) 複式簿記から 三六簿記へ (大藪俊哉 ). (301). 101. すぎない。 とすれば保存 牲と 必然性の条件を 満たした 温式簿記は微分的温式簿記であ るということになる が,そのためにも 微分的三太簿記の 多角的な検証が 尚. かしこれでもなお 不完全であ る。 「加速度」に 相当す. 一層強く求められよ 5 。 また複式簿記の 二元性に関す. 勘定を導入しているのであ る。。 )。. る別の解釈によって , 別の次元が必然的に 求められる. るものが不可欠なのであ る。 この 2 5. ヤ. こ. ,微分的温式. 簿記では,加速度に 柑当 する 利 力の概念を導 き,利カ ところであ るものの速度ほその 位置が時間関数との. かも知れない。 今後の研究課題であ る。. 関係で変動する 率であ. (2) 井尻教授は,複式簿記の 二元性に関する 解釈の基. 数との関係で 変動する率であ る。 いま一定率で 利益を. 礎として貸借対照表等式を 用いることは 資本と負債と. 生みつづける 企業の能力を ,慣性の法則にちなんで ,. い. 利益慣性と名づけると ,利益慣性の 変動を釈明するも. う. 異質のものを 同一視しなければならない 困難性が. り. ,. まだ加速度は 速度が時間関. あ るということで ,資本等式を 用いられ だ よさであ. のが 利力 であ ること 力 ;判る。。 )。 理論の構築プロセスで. る 38)。 しかし現在は ,複式簿記の 二元性 は 貸借対照表. は ,利益慣性は不変であ るという仮定を 設けることが. 等式で示されるのがむしろ 普通であ る。 とすれば,貸. できる。 しかしこれをこのままでは 現実に適応できな. 借対照表等式を 基礎として複式簿記の 二元性の追求を あ らためて試みるのも 必ずしも無駄ではないと 思われ. い。 理論と現実との 乖離をできるだ け 少なくしなけれ. る。 これほ物的 2 勘定学説における 資本等式 説 と貸借 対照表等式 説 との関係に一脈通ずる 研究課題でもあ. る研究は,微分的三戒簿記の 実践化に先立って 十分に. る。. (3) 予算の概念は 実務で広く馴染んでいるので ,時制. 用,収益は経常的なものと ,非経常的なものとに 分類 されるのが普通であ るが,経常項目についてはさらに. 的温式簿記のほうが 実践化し易い '9)。 その「第 10. ス. 退化する " クーシを考察し 利益慣性の予想される 退化. テ,プは,予算,財産,資本の 3 次元を包括する 統合 的な財務諸表の 標準フォームを 作ることであ ろう。40U. 事 あ るいはまさつ 事といったものを ,だとえば・減価償. 時制的三戒簿記における 基本財務諸表は ,貸借対照. る 48). 表,損益計算書,資本勘定計算書および 予算計算書で あ る 41)。 しかし本書 こおいても, ヰ. これら財務諸表間の. 相互関係の倹 討 , まして標準フォームの. 提示は本書の. ばならないからであ る。 利益慣性の認識・ 測定に関す なされなければならない 課題であ る 4の 0 すなわち,費. 却の例にならって 算定するなどの 研究は是非必要であ. 5.. むすびにかえて. ル力・バチオ. リ. の「 ズ ンマ」以来 5 世紀にも及ぶ 複. 性格からいって 当然であ るが,なされていない。 もち ろん,それがなされたとしても 未だ不十分であ る。 「仕訳もふくめて 財務記録がすべて 予算の次元を 含む ようにならなければならない。何」したがっで ,「会計 基準も予算の 次元をふくめる よう に拡張することが 必. 式簿記の利用を 考えると,姉戒簿記システム 実践化へ. 要 であ る。43). ことに注目すべぎであ. 」. 予算計算書の 監査と公表をめぐる 諸問. を 夢みて根気よく 努力することによって , 少なくとも. 「これまで見すごされていた ,まったく新しい 面を簿 記システムの。 に発見するという 可能性が大いにあ る 本書は,. 題 をも含めて解決されなければならない 課題が山積さ. 「. る。49り. 復式 簿記システムとは 何か」とし. ぅ. 問い. かげをあ らためて考えさせる 典書であ る。. (4) 微分的温式簿記は 極めて論理的であ るが,その実 践化 ほかなり困難であ る。 というのは馴染みのない. 「新しい次元の 概念, 勘定, 測定を要求するからであ る。。4)」. ニュートシ力学では ,物体の運動を 位置,速度およ び加速度という 三つの概念で 説明している。 これを 会 計の構造に関連させると ,企業活動の 評価 は ,「位置」 う. こ. とはでぎず, 「速度」に相当する 動的・期間的な 利益 勘定 (費用・収益勘定 ) が必須であ ることが判る。 し. 主 5. れている。. に相当する静的・ 時点的な財産勘定だけでおこな. の道程は極めて 遠く, また険しい 0 しかしその実践化. 1) 井尻雄二苦「温式簿記の 研究」 (中央経済社, 昭. 和 59 年 ) 4 頁。 2) 本書はアメリカ 会計学会から 1982 年に出版された Yuji Ijiri,Triple-EntryBook.keeping and In. come Momentum (Studies in Accounting Re. ㏄ arch #l8) の日本語版であ る 0 ただし,補遺と して, 1983 年 3 月に大阪学院大学で 開催された日 本会計研究学会第 42 回大会における 公開講演会の. 同氏講演原稿「アメリカ されている。. 会計の発喪事情」が 収録.

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