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<論文>中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究. 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究 帝京科学大学. 松井 高光 鳥取県立倉吉農業高等学校. 德山 英仁 防衛大学校. 中村 一成 教育学研究科. 木村 昌彦. Ⅰ.研究背景. 進のための実践力の育成と体力の向上を図り,明るく豊 かで活力ある生活を営む態度を育てる」としている.さ. 日本におけるスポーツ振興は, 1961 年に制定されたス. らに, 2017 年に改訂された中学校学習指導要領保健体育. ポーツ振興法を基に「国民の心身の健全な発達と明るく. 編の教科目標では,「体育や保健の見方・考え方を働か. 豊かな国民生活の形成に寄与する」ことを目的として,. せ,課題を発見し,合理的な解決に向けた学習過程を通. 進められている.スポーツ振興法の規定に基づき策定さ. して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の. れた「スポーツ振興基本計画」は,政策目標として「生. 健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するため. 涯スポーツ社会の実現」を掲げ,国民の誰もが,それぞ. の資質・能力を育成することを目指す」 と示されている.. れの体力や年齢,技術,興味,目的に応じて,いつでも. これらのことから,学校体育は生涯スポーツ社会の実現. どこでも,いつまでもスポーツに親しむことができる社. に向けて大きな役割を担っていると認識すべきであろう.. 会づくりを目指している. 2011 年にはスポーツ振興法に. しかし,文部科学省の調査では,一週間の体育以外で. 変わり,スポーツ基本法が成立し,スポーツ基本法の規. の運動やスポーツの実施時間は小学生よりも中学生が少. 定に基づき制定された「スポーツ基本計画」で生涯スポ. なく,特に中学生女子が少ないと報告されている.その. ーツ社会の実現が謳われている.その実現に向けた施策. ため,運動離れが進むと考えられる中学生以降に運動習. 目標では,「児童生徒の健やかな心と体をはぐくみ,生. 慣を身に付けることが重要であると考えられる.. 涯にわたってスポーツに親しむ資質・能力を育てるため,. 岡澤ら(1996)は,運動を継続的に行うためには内発. 学校体育の充実を図る」ことを挙げており,学校体育は. 的動機づけが重要であり,それを測る指標として運動有. 生涯スポーツ社会を実現する上で重要であると位置付け. 能感測定尺度を報告している.また,体力の高い者は,. られている.. 運動有能感が高く,生涯スポーツ社会の実現には運動有. 2008 年に施行された中学校学習指導要領保健体育編. 能感を高めることが必要であることが報告されている. では,教科の目標を,「心と体を一体としてとらえ,運. (武田,2006).しかし,体力・運動能力が高くても運. 動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を. 動有能感は低い者や,体力・運動能力が低いが運動有能. 通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育て. 感は高い者など,運動有能感を決定する状況は複雑であ. るとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力. ると言える.そこで,体力・運動能力と運動有能感に影. の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てる」. 響を及ぼす要因の違いを明らかにすることによって,運. としている.また,2009 年に施行された高等学校学習指. 動有能感を高めるための授業構築の一助となると考えた.. 導要領保健体育編では,「心と体を一体としてとらえ, 健康・安全や運動についての理解と運動の合理的,計画. Ⅱ.研究目的. 的な実践を通して,生涯にわたって豊かなスポーツライ フを継続する資質や能力を育てるとともに健康の保持増. 本研究では,体力・運動能力と運動有能感の違いを明 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 133.

(2) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究. らかにした知見が少ない中学生を対象として,体力・運. 導入した,「新体力テスト」を実施した.調査項目は,. 動能力と運動有能感に影響を及ぼす要因の違いを検討す. 握力,上体起こし,長座体前屈,反復横とび, 50 メー. ることで,生涯スポーツ社会の実現に必要な運動有能感. トル走,立ち幅とび,ボール投げであり,選択制である. を高めるための授業の構築をするための一助となる知見. 全身持久力の評価には,20m シャトルランを採用した.. を得ることを目的とした.. 研究対象者の全員が全 8 種目を実施した. 3.分析方法. Ⅲ.研究方法. a. 本研究における運動有能感調査の内的整合性を検討す るために,クロンバック α 係数を算出した.. 1.研究対象者 研究対象者は,東京都内,および神奈川県内に在学す. b. 運動有能感調査の合計点に関して, 平均以上を上位群, 平均未満を下位群として 2 群に分けた.. る健常な中学生 122 名(男性 81 名,女性 41 名)とし. c. 新体力テストの合計点に関して,平均以上を上位群,. た.. 平均未満を下位群として 2 群に分けた. d.運動有能感を構成する 3 因子(身体的有能さの認知,. 2.調査方法. 受容感,統制感),および新体力テストのテスト項目で. a.運動有能感調査. ある 8 項目(握力,上体起こし,長座体前屈,反復横と. 調査期間は 2017 年 4 月から 5 月であり,運動有能感. び,20 メートルシャトルラン,50 メートル走,立ち幅. 尺度を用いた質問紙調査(岡澤ら,1996)を実施した.. とび,ボール投げ)に関して,運動有能感の合計点の高. 本研究における質問紙の回収率は 100%であった.. 低,および新体力テストの合計点の高低による二要因分. 回答法は評定尺度法を用い,5 件法によって調査した.. 散分析で比較・検討した.. この質問紙は,下位尺度として「身体的有能さの認知」,. すべての統計処理にはエクセル統計 for Windows(社. 「統制感」,「受容感」があり,3 因子とも各 4 問(全. 会情報サービス社製)を用いた.また,各群の平均値に. 12 問)で構成されている.各質問に対して「よくあては. 関しては,全て平均値±標準偏差で示した.. まる(5 点)」,「ややあてはまる(4 点)」,「どち らともいえない(3 点)」,「あまりあてはまらない(2. 4.倫理配慮. 点)」,「まったくあてはまらない(1 点)」のいずれか. 取り込みに際して,ヘルシンキ宣言に基づき,①研究. を選択させ,その総得点を算出した.そのため,運動有. の背景と目的,②研究の方法,③研究の場所と期間,④. 能感尺度は総得点が 12 ~ 60 点の範囲となり,得点が. 研究対象者の属性,⑤研究に関する資料・情報の開示,. 高いほど運動有能感を高く認知していることを示してい. ⑥研究への参加が任意であること,⑦研究への参加を依. る.なお,身体的有能さの認知は「自己の運動能力,運. 頼した理由,⑧本人の意思以外で研究への参加を中断す. 動技能に対する肯定的認知に関する項目」である.統制. ることになる場合について,⑨研究の参加に伴う危害が. 感は「自己の努力や練習によって運動をどの程度コント. ないこと,⑩対象者が得られる研究参加により期待され. ロールできると認知しているかという項目」であり,統. る便益,⑪個人情報の取り扱い,⑫研究終了後の対応と. 制感が高いということは,自ら進んで運動に参加し, 上. 研究成果の公表について,口頭と書面で十分に説明を行. 手くなりたい,努力すれば上手く出来るようになるとい. い,倫理的配慮を行ったうえで,インフォームド・コン. う見通しがあると言える.受容感は「運動場面で教師や. セントを得た.なお,本研究の実施に際しては,帝京科. 仲間から受け入れられているという認知に関する項目」. 学大学倫理審査委員会の承認を得た.. であり,中学生くらいまでは集団遊びやチームプレイ, 仲間集団での成員性が発達の中心的な課題として存在し,. Ⅳ.研究結果. 中学校では体育授業において,社会性の育成をねらいと した学習が多いとされている(岡澤ら,1996). b. 体力・運動能力調査 文部科学省が平成 11 年度の体力・運動能力調査から. 1.運動有能感調査の内的整合性の検討 中学生の運動有能感調査のクロンバック α 係数は α=0.942 であり,本調査の高い内的整合性が確認された. 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 134.

(3) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究. また,下位尺度である 3 項目に関しても,男女それぞれ. 運動能力の交互作用は認められず,体力・運動能力と運. で高い内的整合性が確認された(男性・身体的有能さの. 動有能感の主効果が認められた.また,統制感,受容感. 認知 α=0.903,男性・統制感 α=0.791,男性・受容感. では,運動有能感と体力・運動能力の交互作用は認めら. α=0.838,女性・身体的有能さの認知 α=0.940,女性・統. れず,運動有能感の主効果が認められた.新体力テスト. 制感 α=0.945,女性・受容感 α=0.733).. のテスト項目で分析を行った結果,全ての項目で運動有 能感と体力・運動能力の交互作用は認められなかった.. 2.各群の人数 本研究においては,上述のように,被験者を体力・運 動能力,および運動有能感の平均値で上位群と下位群に. 反復横とび,20 メートルシャトルラン,50 メートル走, 立ち幅とび,ボール投げで体力・運動能力の主効果が認 められた(表 3,4).. 分けた.男性では,運動有能感,および体力・運動能力 がともに平均以上の群が 21 名,体力・運動能力のみ平 均以上の群が 15 名,運動有能感のみ平均以上の群が 19 名,運動有能感,および体力・運動能力ともに平均未満 の群が 26 名であった.女性では,運動有能感,および体 力・運動能力がともに平均以上の群が 18 名,体力・運動 能力のみ平均以上の群が 2 名,運動有能感のみ平均以上 の群が 5 名,運動有能感,および体力・運動能力ともに 平均未満の群が 16 名であった. 3.体力・運動能力と運動有能感の調査結果 調査項目である運動有能感を構成する 3 因子(身体的 有能さの認知,受容感,統制感)と新体力テストのテス ト項目である 8 項目(握力,上体起こし,長座体前屈, 反復横とび,20 メートルシャトルラン,50 メートル走, 立ち幅とび,ボール投げ)に関して,運動有能感の合計 点の高低,および新体力テストの合計点の高低による二 要因分散分析で比較・検討した(表中では体力・運動能 力を体力,運動有能感を有能感と表記した.). 男性に関して,運動有能感を構成する因子で分析を行 った結果,身体的有能さの認知では,運動有能感と体力・ 運動能力の交互作用は認められず,体力・運動能力,お よび運動有能感の主効果が認められた.また,統制感, 受容感では,運動有能感と体力・運動能力の交互作用は 認められず,運動有能感の主効果が認められた.また, 新体力テストのテスト項目で分析を行った結果,全ての 項目で運動有能感と体力・運動能力の交互作用は認めら れなかった.20m シャトルランとボール投げで体力・運 動能力と運動有能感の主効果が認められた.また,その 他 6 項目で体力・運動能力の主効果が認められた (表1, 2). 女性に関して,運動有能感を構成する因子で分析を行 った結果,身体的有能さの認知では,運動有能感と体力・ 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 135.

(4) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究 表 1 男性の各群における平均値. 表 2 体力・運動能力と運動有能感の違いによる男性の各項目の得点. n数 平均. SD. 体力低い 有能感低い. 26. 6.31. 2.20. さ 体. 体力低い 有能感高い. 19. 10.58. 2.50. 点 の 的. 体力高い 有能感低い. 15. 8.87. 3.27. 体力高い 有能感高い. 21. 13.29. 2.85. 体力低い 有能感低い. 26. 11.85. 1.97. 知 能 身 ( ). 認 有. (. 統. 点 制 ). 感. (. 受. 点 容 ). 感. ( ). ㎏. 握 力. (. 上 体. ). 回 起. ( ) ( ). ). 16.33. 2.03. 体力低い 有能感低い. 26. 10.50. 3.73. 体力低い 有能感高い. 19. 15.89. 1.85. 体力高い 有能感低い. 15. 11.27. 3.28. 体力高い 有能感高い. 21. 15.81. 2.32. 体力低い 有能感低い. 26. 23.58. 5.48. 体力低い 有能感高い. 19. 24.53. 5.16. 体力高い 有能感低い. 15. 33.13. 7.51. 体力高い 有能感高い. 21. 33.10. 7.22. 体力低い 有能感低い. 26. 19.54. 4.57. 体力低い 有能感高い. 19. 20.21. 3.08. 26.20. 4.72. 29.00. 4.51. 長. 体力低い 有能感低い. 26. 33.81. 8.29. 体力低い 有能感高い. 19. 32.21. 8.75. 座. 体力高い 有能感低い. 15. 41.00. 9.76. 屈. 体力高い 有能感高い. 21. 39.90. 5.17. 反. 体力低い 有能感低い. 26. 40.19. 7.19. 体力低い 有能感高い. 19. 43.26. 6.71. 体力高い 有能感低い. 15. 52.73. 3.31 4.58. 前. 復 と. の 認 知. 8.25. 0.69. ) ( ). 体力. 2.26. 1. 0.26. 0.6113. 480.85. 1. 55.39. P < 0.001 **. 3.53. 1. 0.41. 0.5254. 誤差. 668.46. 77. 体力. 1599.62. 1. 40.22. P < 0.001 **. 4.04. 1. 0.10. 0.7507. 0.12. 0.7307. 有能感 交互作用. 有能感 交互作用. 4.75. 1. 誤差. 3062.63. 77. 体力. 1162.41. 1. 63.39. P < 0.001 **. 58.70. 1. 3.20. 0.0775. 1.20. 0.2763. 22.05. 1. 誤差. 1412.02. 77. 体力. 1079.03. 1. 16.74. P < 0.001 **. 35.30. 1. 0.55. 0.4615. 0.02. 0.8906. 1.23. 1. 誤差. 4963.01. 77. 体力. 2681.69. 1. 77.22. P < 0.001 **. 99.83. 1. 2.87. 0.0940. 0.37. 0.5475 P < 0.001 **. 12.68. 1. 誤差. 2673.89. 77. 2. 体力. 23550.96. 1. 62.71. ラ. m. 有能感. 1600.45. 1. 4.26. 0.0424 *. 0.24. 0.6226. 0. シ. 交互作用. 91.69. 1. ト. 誤差. 28919.92. 77. 体力. 29.19. 1. 50.94. P < 0.001 **. 0.68. 1. 1.19. 0.2783. 0.28. 0.5966. 5. 0 m 走. 立. 有能感 交互作用. 0.16. 1. 誤差. 44.11. 77. 体力. 25232.04. 1. 53.67. P < 0.001 **. 407.19. 1. 0.87. 0.3550. 2.94. 0.0902 P < 0.001 **. ). 19 168.58 20.23. ち. 有能感. 体力高い 有能感低い. 15 200.00 23.35. と. 交互作用. 体力高い 有能感高い. 21 196.14 19.09. 体力低い 有能感低い. 26. 12.27. 4.86. ボ. 体力低い 有能感高い. 19. 16.16. 3.39. 体力高い 有能感低い. 15. 19.47. 4.50. ル. 体力高い 有能感高い. 21. 19.71. 3.84. 幅 び. ー. ー. (. げ. 77. 交互作用. 15. 投. 332.07. び. 体力高い 有能感低い. m ル. 誤差. と. m. ボ. 0.4045. 有能感. 0.83. び. P < 0.001 **. 0.70. 横. 9.29. と. 76.95. 1. 復. 19. 体力低い 有能感高い. 1. 3.03. 反. 体力低い 有能感高い. ㎝ 幅. 331.85. 有能感 交互作用. 交互作用. 0. 26 155.58 23.60. 0.4474. 屈. 0.89. 体力低い 有能感低い. 0.58. 前. 9.57. ち. 1. 有能感. 26. 立. 2.52. 体. 体力低い 有能感低い. 0.51. 体力. 座. 88.76 20.46. 8.16. 77. 長. 21. 21. 546.19. 交互作用. 体力高い 有能感高い. 体力高い 有能感高い. 誤差. し. ン. 走. さ. こ. 81.87 21.44. 5. 0.9029. 能. 有能感. 15. シ. P < 0.001 **. 0.01. 起. 体力高い 有能感低い. ン. 51.84. 1. 体. 56.16 19.41. m. 1. 0.11. 上. 19. ラ. 367.72. 交互作用. 力. 体力低い 有能感高い. ル. 有能感. 有. 握. ル. 0. 的. 感. 54.19. 2. P < 0.001 **. 容. 44.92 17.12. ト. 19.03. 受. 21. P 値. 1. 感. 26. F 値. 135.01. 制. 体力高い 有能感高い. 自由度. 体力. 体. 統. 体力低い 有能感低い. 平方和. 身. ャ. ( 秒. 21. 15. ャ. し. 体力高い 有能感高い. 21. ( 返. 1.95 2.44. 体力高い 有能感低い. び. り. 16.37 12.60. 体力高い 有能感高い. 点 横. 数. 19 15. し. こ. ㎝ 体. 折. 体力低い 有能感高い 体力高い 有能感低い. 要因. 投 げ. 1383.94. 1. 誤差. 36203.55. 77. 体力. 563.08. 1. 31.52. 83.30. 1. 4.66. 0.0339 *. 64.55. 1. 3.61. 0.0611. 1375.66. 77. 有能感 交互作用 誤差. *:p<0.05,**:p<0.01 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 136.

(5) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究 表 3 女性の各群における平均値. 表 4 体力・運動能力と運動有能感の違いによる女性の各項目の得点. n数 平均. 要因. SD. 体力低い 有能感低い. 16. 6.06. 2.32. さ 体. 体力低い 有能感高い. 5. 10.80. 2.28. の. 点 の 的. 体力高い 有能感低い. 2. 9.50. 3.54. 知. 知 能 身 ( ). 認 有. (. 統. 点 制 ). 感. ( ). ) ( ) ( ) ( ). 3.63. 体力低い 有能感高い. 5. 15.40. 3.13. 体力高い 有能感低い. 2. 9.50. 2.12. 体力高い 有能感高い. 18. 16.50. 2.31. 1. 5.11. 0.0298 *. 的. 有能感. 74.24. 1. 11.51. 0.0017 **. 0.54. 0.4687. 0.05. 0.8260. 有. 交互作用. 3.46. 1. さ. 誤差. 238.68. 37. 体力. 0.44. 1. 187.96. 1. 3.13. 1. 誤差. 332.20. 37. 体力. 0.85. 能. 統 制 感. 有能感 交互作用. 20.93 P < 0.001 ** 0.35. 0.5585. 1. 0.10. 0.7521. 67.52. 1. 8.08. 0.0072 **. 0.26. 1. 0.03. 0.8622. 誤差. 309.18. 37. 14.80. 2.59. 体力高い 有能感低い. 2. 11.50. 4.95. 体力高い 有能感高い. 18. 15.44. 2.48. 体力低い 有能感低い. 16. 21.94. 5.40. 体力. 75.78. 1. 3.14. 0.0845. 握. 体力低い 有能感高い. 5. 19.80. 3.27. 有能感. 2.85. 1. 0.12. 0.7330. 力. 体力高い 有能感低い. 2. 24.50. 0.71. 交互作用. 9.24. 1. 0.38. 0.5398. 体力高い 有能感高い. 18. 25.11. 4.92. 誤差. 892.02. 37. 感. 体. 体力低い 有能感低い. 16. 16.94. 4.34. 体力低い 有能感高い. 5. 22.00. 2.55. こ. 体力高い 有能感低い. 2. 22.00. 1.41. し. 体力高い 有能感高い. 18. 23.33. 3.20. 長. 体力低い 有能感低い. 16. 36.94 10.96. 体力低い 有能感高い. 5. 39.00. 8.66. 41.50. 2.12. 上. 座. 体力高い 有能感低い. 2. 屈. 体力高い 有能感高い. 18. 42.22 12.32. 反. 体力低い 有能感低い. 16. 40.88. 5.00. 体力低い 有能感高い. 5. 42.40. 2.88. 体力高い 有能感低い. 2. 45.50. 4.95 3.26. 前. 復 と. ( ). ト ル ン. 0. m シ. 体力高い 有能感高い. 18. 47.94. 体力低い 有能感低い. 16. 37.06 11.58. 体力低い 有能感高い. 5. 54.40 10.26. 体力高い 有能感低い. 2. 65.50. 体力高い 有能感高い. 18. 7.78. 65.22 14.57. 受 容 感. 握 力. 50.00. 1. 3.82. 0.0584. 有能感. 50.00. 1. 3.82. 0.0584. こ. 交互作用. 17.00. 1. 1.30. 0.2621. 誤差. 484.94. 37. 体力. 74.08. 1. 0.59. 0.4492. 9.48. 1. 0.07. 0.7859. 0.02. 0.8959. 起 し. 長 座. 有能感. 前. 交互作用. 体 屈. 反. ル ラ ン. ) ( ). 2.16. 0.1503. 交互作用. 379.31. 1. 2.30. 0.1378. ト. 誤差. 6099.75. 37. 体力. 4.86. 1. 7.81. 0.0082 **. 有能感. 0.10. 1. 0.15. 0.6973. 交互作用. 0.84. 1. 1.34. 0.2540. 誤差. 23.03. 37. 体力. 1812.31. 1. 6.42. 0.0157 *. 72.56. 1. 0.26. 0.6152. 0.19. 0.6652. 8.91. 0.64. 体力低い 有能感低い. 16 147.06 19.42. ). 投 げ. 体力低い 有能感高い. 5. 7.60. 1.67. 体力高い 有能感低い. 2. 12.00. 0.00. 体力高い 有能感高い. 18. 12.67. 4.10. 0 走. 立 ち. 有能感. と. 交互作用. 幅 び. ボ. ー. ー. (. m ル. 0.0017 **. 1. 18. 2.64. 0.8044. 355.76. 体力高い 有能感高い. 8.06. 0.06. 有能感. m. 16. 1. シ. 0.29. 体力低い 有能感低い. 1.0334. m. 8.36. ボ. 0.2885. 11.43. 2. 18 170.17 15.20. 1.16. 1. 0. 体力高い 有能感低い. 体力高い 有能感高い. 1 37. m. び. 19.2609. 1884.13. 5. と. 0.0090 **. 614.3944. 1.02. 5 147.60 11.95. 7.61. 体力. 0.36. 2 163.00 16.97. 1. 誤差. 9.77. 体力低い 有能感高い. 126.4188. 2. 9.49. 体力高い 有能感低い. 体力 交互作用. び. 5. ㎝ 幅. 37. と. 16. ち. 1. 4684.55. 有能感. 横. 体力低い 有能感低い. 立. 2.20. 誤差. 復. 体力低い 有能感高い. 走. 交互作用. 体力. 0. 5. 有能感. 体. 上. ャ. ラ. 2. ャ. ( 秒. 10.00. 32.97. 5. ( し. 16. 体力. 体. 体力低い 有能感高い. び. 返. 体力低い 有能感低い. 身. 3.20. 点 横. り. 2.71. P 値. 11.31. ㎝ 体. 数. 12.56. F 値. 16. 回 起. 折. 18. 自由度. 体力低い 有能感低い. 受. 点 容. ㎏. 体力高い 有能感高い. 認. 平方和. ル 投 げ. 53.72. 1. 誤差. 10444.64. 37. 体力. 99.11. 1. 9.12. 0.0046 **. 有能感. 0.05. 1. 0.00. 0.9458. 交互作用. 1.56. 1. 0.14. 0.7071. 402.14. 37. 誤差. *:p<0.05,**:p<0.01 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 137.

(6) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究. Ⅴ.考察. 果が認められた.努力して出来るようになったという実 感が得られる体育授業の不足が統制感の低下に関与して. 1.運動有能感. いると考えられており(岡澤ら,1996),統制感を向上. 運動有能感に関して,男性では,受容感や統制感は,. させるために,体育の授業を行っていくうえで,段階的. 体力・運動能力の主効果が認められなかったものの,身. 学習や課題解決型学習をより細分化して行い,毎授業で. 体的有能さの認知において,運動有能感と体力・運動能. 達成感が体感できるよう学習計画を積極的に取り入れて. 力の両方で主効果が認められた.. いくことが,男女で共通した方策であると考えられる.. 先行研究において,身体的有能さの認知に関しては, 小学校高学年で顕著な低下がみられると報告されている. それにより,生涯にわたってスポーツに親しむことが出 来るようになるのではないだろうか.. (岡澤ら,1996).また,中学生は経験に根ざしたそれ. 受容感に関しては,「身体的有能さの認知」や 「統制. までの自己像に加えて,他者からどう見られているかを. 感」が低下することで運動への参加が消極的になり,運. 把握した上での自己認識となると報告されている (萩野,. 動場面で受容感を感じるチャンスが少なくなると考えら. 2012).そのため,自己の運動能力・運動技能が他と比. れている(岡澤ら,1996).身体的有能さの認知と統制. べて優れている場合,それを認識することは本研究対象. 感は, 小学生から中学生に進む際に有意に低下する一方,. 者である中学生にとっては可能だと推察される. つまり,. 受容感に関しては,中学生から高校生に進む際に有意に. 体力・運動能力の高い群が身体的有能さの認知の得点が. 低下することが報告されている(岡澤ら,1996).この. 高い要因の一つとして,体力・運動能力が高いことで,. ことから,受容感では,運動有能感の主効果が認められ. 「他者と比べて自己に関する認知を決定」し,身体的な. ないことも予想されたが,本研究の分析結果からは,運. 有能さを感じているために,このような結果になったと. 動有能感の主効果が認められるという結果が得られた.. 示唆される. このことから, 受容感や統制感に比較して,. 子どもを取り巻く環境問題として,スポーツや外遊びに. 体力・運動能力の影響を受けやすいことが考えられる.. 不可欠な要素(時間,空間,仲間)が減少していること. つまり,中学校段階では,体力・運動能力と運動有能感. が示されている(文部科学省,2002).その結果,運動. の「身体的有能さの認知」には密接な関りがあると推察. への参加が消極的となることが,受容感の低下をまねい. される.. ている要因の一つであると推察される.つまり,運動が. 運動有能感を高めるための授業を構築するために,体. 出来ないことや運動に関する達成感の不足により運動場. 力・運動能力が比較的劣るものに対しては,自己の運動. 面を遠ざけてしまうことで,受容感が低下するのではな. 能力,運動技能に対する肯定的認知が出来る授業計画を. く,スポーツや外遊びに不可欠な要素の減少などの理由. 検討する必要があるだろう.新学習指導要領では,学習. により運動場面から遠ざかってしまうケースもあること. の質を一層高める授業改善の取り組みとして,「対話的. が考えられる.岡澤ら(1996)は,中学生にとっては,. な学び」をかかげているが,ここで求められている「自. 集団遊びやチームプレイ,仲間集団での成員性が発達の. 己の思考によって意見交換や議論をすることで,新たな. 中心的な課題として存在しており,体育授業は社会性の. 考え方に気が付いたり,自分の考えをより妥当なものと. 育成をねらいとした学習が多いこと報告している.集団. したりする」という学びを深めることにより,体力・運. で運動に親しむ過程で受容感を感じることが出来るよう. 動能力が劣っていたとしても,運動場面での思考力に関. な教材の提案が必要であると考えられる.. して肯定的な認知をすることにより,「運動について自 信をもっている」という項目を含む身体的有能さの認知. 2.体力・運動能力. の得点が向上する可能性があると考えられる.近年は. 体力・運動能力に関して,男性では 20 メートルシャ. 様々な競技でスポーツアナリストが活躍をしているが,. トルランとボール投げで体力・運動能力と運動有能感の. 授業レベルでも情報収集・分析力や伝達力を育成するこ. 主効果が認められた.. とで,体力・運動能力が劣っていても身体的有能さが認 知できる授業となりえることが考えられる. 統制感に関しては,男性,女性共に運動有能感の主効. 長距離走は,運動に苦手意識を持つ生徒が,他者と比 べて,自分が劣っているという認識を持ちやすいことが 報告されている(新冨ら,2010).こうしたことを考え 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 138.

(7) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究. 合わせると,長距離走に対する得意意識があることによ. となった.. って運動有能感が高まることが示唆された.杉原(2003) は,運動嫌いの子どもたちに個人の中で「できる」とい. ・運動有能感に関して,男性では,受容感や統制感は,. う自信感を味わわせることの重要性を報告しており,い. 体力・運動能力の大小による影響が認められなかったの. つまでもスポーツに親しむことを目指した体育授業を展. に対して,身体的有能さの認知においては,体力・運動. 開するためには,長距離の走力に関する統制感が向上す. 能力の大小による影響が認められた.. るような授業展開が必要であると示唆される.. ・体力・運動能力に関して,男性では,20 メートルシャ. 投技能に関しては,特に練習の程度や関心度に加え,. トルランとボール投げで体力・運動能力と運動有能感の. 社会的・環境的条件が大きく影響すると報告されている. 主効果が認められた.長距離走は,運動に苦手意識を持. (出村,1993).文部科学省の調査では,運動習慣があ. つ生徒が,他者と比べて,自分が劣っているという認識. る,つまり社会的・環境的条件が比較的良い者は体力・. を持ちやすいことが影響していること示唆された.投技. 運動能力が高いことが報告されている.これらのことか. 能に関しては,練習の程度や関心度に加え,社会的・環. ら,社会的・環境的条件が他のテスト項目に比較して運. 境的条件が大きく影響していると考えられた. 動有能感に大きく影響したことで,運動有能感に主効果. ・体力・運動能力に関して,女性では,握力,上体起こ. が認められたことが示唆される.つまり,運動に親しめ. し,長座体前屈の 3 項目で体力・運動能力の主効果が認. る環境の提供をし,それを活用することが出来る教材を. められなかったことから,「社会的・環境的条件」だけ. 体育授業で提案することが,運動有能感の向上に寄与す. ではなく,「発育発達の個人差」が結果に影響を及ぼす. ることが示唆される.. こと考えられた.. 女性では,筋力の評価項目である握力,筋力・筋持久 力の評価項目である上体起こし,柔軟性の評価項目であ. これらの結果をもとに,運動有能感を高めることで運. る長座体前屈の 3 項目で体力・運動能力の主効果が認め. 動習慣が身に付き,生涯スポーツの獲得に寄与するよう. られなかった.この時期の女性は,筋の発育発達が顕著. な体育授業の構築をすることが必要である.. であり(大澤,2015),個人差も大きく,運動習慣によ って筋の発達に差が出ることが報告されている(小泉,. Ⅶ.引用・参考文献. 2007).また,柔軟性に関しても,12 歳から 15,16 歳 で明らかに増すと報告されている(川端,1956).この. 岡澤祥訓, 北真佐美, 諏訪祐一郎(1996).「運動有能感. ことから,男性では全ての新体力テストの項目で体力・. の構造とその発達及び性差に関する研究」.スポーツ. 運動能力の主効果が認められたものの,女性では先行研. 教育学研究.16.pp.145-155.. 究で言われている「社会的・環境的条件」だけではなく, 「発育発達の個人差」が結果に影響を及ぼすと考えられ. 武田正司(2006).「児童における体力と運動有能感と の関係(第 2 報)」.盛岡大学紀要.23.pp.67-74.. るため,握力,筋力・筋持久力の評価項目である上体起. 萩野佳代子(2012).「小・中高生における自己概念の. こし,柔軟性の評価項目である長座体前屈の 3 項目で体. 発達Ⅱ-自尊感情育成における他者との関係に焦点を. 力・運動能力の主効果が認められなかったと示唆される.. 当てて-」.神奈川大学心理教育研究論集.32.pp.37-. そのため,体育授業を行う際には,女性は筋や柔軟性の. 42.. 発育発達の差があることを理解し,自己の運動能力の限. 文部科学省(2002).「子どもの体力向上のための総合. 界を感じさせないために,個々の能力に応じた課題設定. 的な方策について(答申案)」.中央教育審議会(第. が重要であると考えられる.. 24 回)配付資料 資料 5‐2. 新冨康平,中田富士男,小原達朗,木下信義,呉屋博. Ⅵ.まとめ. (2010). 「運動有能感を高める体育の授業の工夫 ~ 長距離走の授業実践~」 . 教育実践総合センター紀要.. 中学生において体力・運動能力と運動有能感に及ぼす 要因の違いについて検討した結果,以下のことが明らか. 9. pp.197-206. 杉原隆(2003).「運動指導の心理学 -運動学習とモチ 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 139.

(8) 中学生における体力・運動能力と運動有能感に関する研究. ベーションからの接近-」.東京・大修館書店. 出村慎一(1993).「幼児期におけるボール遠投に対す る体力及び投動作の貢献度とその性差」 . 体育学研究. 37.pp.339-350. 小泉佳右(2007).「現代における女子短期大学生の体 力と運動経験の有無による体力差」.植草学園短期大 学紀要.8.pp.35-46. 岡澤祥訓(1998).「なぜ、有能感なのか」.体育科教 育.46(6).pp.70-72. スポーツ庁健康スポーツ課(2017).「体力・運動能力 調査」. スポーツ庁健康スポーツ課(2017).「運動・スポーツ の実施状況と体力」. 文部科学省スポーツ・青少年局(2012).「子どもの体 力向上のための取組ハンドブック」. 大澤清二(2015).「最適な体力トレーニングの開始年 齢:文部科学省新体力テストデータの解析から」.発 育発達研究.69. pp.25-35 川畑愛義(1956).「日本女性の身体柔軟性に關する研 究 第 1 報」.体育学研究.2 巻 1 号 pp.31-35.. 教育デザイン研究. 第 10 号(2019 年 3 月). 140.

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