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清水寺後背斜面における地中音測定を用いた地下水流動の把握

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特に、全配合比において、養生7日までに大きく低下する。ここから、生石灰による脱水反応で改良土が締 め固まり、延性が小さくなることが考えられる。養生14日以降は、どの配合比でもほぼ同様の値をとってい る。このことから、破壊ひずみの大きさは試料または生石灰の配合比に依存すると考えられる。 図7に、変形係数と養生日数を全配合比で比較したグラフを示す。変形係数E50[MN/m2]は材料の変形しに くさを示すパラメータであり、以下のように算出される。 𝐸𝐸50= 𝑞𝑞𝑢𝑢 2 𝜖𝜖50 × 1 10 (5) ここに、𝑞𝑞𝑢𝑢:一軸圧縮強さ[kN/m2]、𝜖𝜖50: 圧縮応力が一軸圧縮強さの12のときのひずみ[%]、である。同じ力を 与えたときに、変形係数が大きいほうがひずみ、すなわち変形が小さい。 籾殻灰配合比0 %においては、養生28日までは変形係数が増加傾向にあり、養生56日で減少している。籾 殻灰配合比5、15 %においては養生7日までは増加し、それ以降、減少傾向にある。籾殻灰配合比10 %におい ては、養生28日でわずかに減少するが、養生28日から56日で大きく増加している。養生56日の最終的な変形 係数は籾殻灰配合比10 %が最も大きく、他の配合比はほぼ同じ値をとっている。このことから、変形係数の 観点からも、本試験においては生石灰5 %に対して籾殻灰配合比10 %が最適な配合比率であると言える。

4.おわりに

本研究では、発展途上国において安価で大量に入手可能な生石灰とイネ籾殻灰を用いた地盤改良工法の開 発を目的として、生石灰とイネ籾殻灰による地盤改良の可能性、イネ籾殻灰の配合率および養生日数が改良 土の強度特性、変形特性に与える影響を実験的に検討し、生石灰と籾殻灰による地盤改良の有効性と、生石 灰5 %に対する籾殻灰配合比が与える影響について明らかにした。 具体的には、一軸圧縮試験を行い、一軸強さ、破壊ひずみ、変形係数を求めることで石灰と籾殻灰の配合 率と養生期間が与える改良土の強度特性、変形特性への影響を評価した。その結果、適量の籾殻灰を加える ことで一軸圧縮強さが向上し、混合土は硬化し、文化財保護のための地盤改良工法として適用できると考え る。籾殻灰配合比5、10 %においては、養生期間に比例して一軸圧縮強さが増加する。養生期間を56日とし た場合、籾殻灰配合比10 %において一軸圧縮強さが最も大きいという結果がえられた。その一方で、養生日 数を重ねるごとに、破壊ひずみが減少し、脆性破壊が生じることがわかった。また、変形係数は籾殻灰配合 比10 %では、養生期間に比例して大きくなり、最終的に養生56日で他の配合比よりも大きな値をとり、変形 係数の観点からも、生石灰5 %に対して籾殻灰配合比10 %が今回の試験条件の中では最適な配合比率である と言える。 今後、材料の他の配合比で試験を行うことによって最適な配合比を求める。そして、様々な配合比の改良 土の土質パラメータを取得し、数値解析によって改良効果の検証を行い、具体的な目標強度の設定をする。 また、脆性破壊への対策も今後の課題として挙げられる。 参考文献

1) 森實千惠,酒匂一成,Ha Hong Bui,水田哲生,深川良一,里深好文: 河岸の侵食による文化財への被害の軽減を目指

したSPH法を用いた数値シミュレーションの開発,歴史都市防災論文集,Vol.4,pp.99-106,2010.

2) 日本石灰協会石灰安定処理委員会:石灰による軟弱地盤の安定処理工法,鹿島出版会,1983.

3)D. H. PHAN, T. A. LE and M. V. KHUC, Study on effect of blast furnace slag and rice husk ash on compressed cement-soil materials, Proceedings of the 4th Vietnam/Japan Joint Seminar on Geohazards and Environmental Issues, Paper No.S3-6, 2014. 4) 杉田修一,庄谷征美: ポゾラン材としてのもみがら灰の有効利用に関する研究,土木学会論文集,No.526,V-29,

pp43-53,1995.

5) 李徳河,安定処理した土の強度とその浸蝕特性について,国立成功大学土木工程研究所修士論文,1976年4月. 6) Ministry of natural resources and environment, Ministry of foreign affairs of the Netherlands: Climate Change Impacts in Houng

River and Adaptation in its Coastal Phu Vang, Thua Thien Hue province Final report, 2008.

7) 嘉門雅史,乾徹,東海林寛:セメント固化を用いた地盤改良工法における地盤環境影響の実験的検討,京都大学防災研

究所年報,第48号B,2005.

歴史都市防災論文集 Vol. 8(2014年7月) 【論文】

清水寺後背斜面における地中音測定を用いた

地下水流動の把握

Detection of groundwater movement using a measuring method of sound of groundwater flow on

the hillslope behind Kiyomizu Temple

藤本将光1・檀上徹2・土山拓也3・木村亘4・深川良一5

Masamitsu Fujimoto, Toru Danjo, Takuya Tsuchiyama, Toru Kimura and Ryoichi Fukagawa

1立命館大学助教 理工学部都市システム工学科(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1)

Assistance Professor, Ritsumeikan University, Dept. of Civil Engineering

2独立行政法人防災科学技術研究所 特別研究員(〒305-0006 茨城県つくば市天文台3-1)

Fellow, Natinal Research Institute for Earth Science and Disaster prevention, Dep of Storm, Flood and Landslide Research

3元立命館大学学部生 理工学部都市システム工学科(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1)

Former Student, Ritsumeikan University, Dept. of Civil Engineering

4立命館大学大学院博士前期過程 理工学研究科環境都市専攻(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1) Graduate Student, Ritsumeikan University, Master’s Course of Science and Engineering

5立命館大学教授 理工学部都市システム工学科(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1)

Professor, Ritsumeikan University, Dept. of Civil Engineering

We evaluated the groundwater movements based on the measurement of a sound due to groundwater flow in soil. The results indicated that there were specific movement of groundwater flow and groundwater area. Considereing the pore-water pressures in soil layer, these groundpore-water flow paths may exist in weathered bedrock zone below the soil layer. Our findings were mainly corresponded to the presious results obtained by the measurement of groundwater temperature at one meter depth in the soil, indicating that measurement method of sound by groundwater flow is good indicator to detect the groundwater flow path.

Keywords : groundwater movement, sound of groundwater flow, slope failure

1.はじめに

近年豪雨の頻度の増大に伴い、斜面崩壊が多発、大規模化する傾向にある。2013年9月の台風18号では近 畿地方でも土砂災害が多発し、清水寺においては大小あわせて5箇所の斜面崩壊が発生した。降雨が夜間に 集中しため観光客の人的被害は発生しなかったが、音羽の滝周辺の茶屋の屋根に土砂が被る被害(写真1) や子安の塔下の斜面が崩落する被害にみまわれた。降雨の規模やタイミングが少しでも異なれば、観光客が 被災する危険も危惧された。 斜面崩壊を発生させる要因として地盤内の地下水の動態が重要であることが指摘されている。実際に、地 盤内の水移動の不均一性やその斜面崩壊に与える影響は実験レベルや現場観測において検証されている1) 2) 3)。 しかし、地盤内の構造が不均一であり、それに支配される水の流動を原位置で把握することは非常に困難で ある。清水寺後背斜面では土層内の間隙水圧をモニタリングするシステムを構築し、地盤内の水分量動態の

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写真 2 ピックアップセンサと固定用ス テンレス棒 計測が継続して行われてきた4) 5)。また、広範囲を面的に把握する ために、1m深地温調査に基づいて水みちの推定が行われた6) 7)。し かし、テンシオメータによる間隙水圧の計測には深度方向や計測 密度の面で限界があることや1m深地温計測手法には計測上の課題 があることが指摘され、異なる手法を用いた多角的な地下水流動 の評価が求められている。そこで本研究では、比較的に簡易に調 査を行うことが可能であり、広範囲の詳細な地下水流動を把握す ることが可能である、地中音測定法を用いて清水寺後背斜面にお ける地下水流動の把握することを目的とした。

.調査方法

 () 地中音測定法  地中では流れる水が岩盤の亀裂や土粒子の間隙に存在する空気と 交換されることで気泡が発生し、また、その気泡が割れることで曝 気音が発生する。地中音測定はこの曝気音を地中音測定装置によっ て測定し、音の強弱によって地下水の存在を判別することで、水み ちの位置を特定させる手法である3)。  本研究では、株式会社拓和製のGAS-03 を用いて測定を行った。 地下流水音測定装置は、ピックアップセンサ、測定部、ヘッドフォ ンで構成されている。測定時に確実に固定を行うために、 φ0.8× 100mm から 200mm のステンレス棒をピックアップセンサ(写真-2)へ取りつけ、 これを地表面から土中に挿入することで地表面で 捕らえられる地下流水音(振動)をセンサ部で計測する。測定部は ピックアップセンサで捉えた地下流水音を増幅させるアンプ、風等の雑音を遮断するノイズカットフィルタ ーが搭載されている。ノイズカットフィルターはピックアップセンサで捉らえた音のうち特定の周波数帯の 音を取り出すことで、現場に応じて測定対象となる地下水の流水音のみを聞くことが可能となる。現地では ヘッドフォンを使って実際に音を確認しながら良好に計測ができているかを判断する。  () 地中音測定の概要 測定は清水寺現地モニタリングシス テムとして使用しているM地点を基準 として、測定可能な場所を選びながら 約5m間隔で等高線に沿って12点を設定 し、等高線に垂直に3点の測定地点を設 定した。また、より詳細な結果を得る ために設定した測定点以外の点におい ても計測を行った。全計測点を図1に示 す。計測は2013年12月20日、2014年1月 10日、1月16日、1月17日の4日間で行っ た。2013年12月20日、2014年1月10日は 主として設定した測定点で計測を行い、 2014年1月16-17日はより広範囲で計測 を行った。計測点数は、2013年12月20 日に35点、2014年1月10日に38点、2014 年1月16-17日の2日間で28点であった。 なお、計測日前の5日間の降雨量は、2013年12月20日で総降水量2mm、時間雨量1.4mm、2014年1月10日で総 降水量11.4mm、時間雨量0.8mm、2014年1月16日で総降水量2mm、時間雨量0.2mmであった。計測期間中は 写真 1 2013 年台風 18 号における斜面崩 壊の様子 B P1 M P2 雨量計 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 図 1 調査対象斜面の地形図と計測点の位置図 固定用ステンレス棒 ピックアップセンサ さ

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写真 2 ピックアップセンサと固定用ス テンレス棒 計測が継続して行われてきた4) 5)。また、広範囲を面的に把握する ために、1m深地温調査に基づいて水みちの推定が行われた6) 7)。し かし、テンシオメータによる間隙水圧の計測には深度方向や計測 密度の面で限界があることや1m深地温計測手法には計測上の課題 があることが指摘され、異なる手法を用いた多角的な地下水流動 の評価が求められている。そこで本研究では、比較的に簡易に調 査を行うことが可能であり、広範囲の詳細な地下水流動を把握す ることが可能である、地中音測定法を用いて清水寺後背斜面にお ける地下水流動の把握することを目的とした。

.調査方法

 () 地中音測定法  地中では流れる水が岩盤の亀裂や土粒子の間隙に存在する空気と 交換されることで気泡が発生し、また、その気泡が割れることで曝 気音が発生する。地中音測定はこの曝気音を地中音測定装置によっ て測定し、音の強弱によって地下水の存在を判別することで、水み ちの位置を特定させる手法である3)。  本研究では、株式会社拓和製のGAS-03 を用いて測定を行った。 地下流水音測定装置は、ピックアップセンサ、測定部、ヘッドフォ ンで構成されている。測定時に確実に固定を行うために、 φ0.8× 100mm から 200mm のステンレス棒をピックアップセンサ(写真-2)へ取りつけ、 これを地表面から土中に挿入することで地表面で 捕らえられる地下流水音(振動)をセンサ部で計測する。測定部は ピックアップセンサで捉えた地下流水音を増幅させるアンプ、風等の雑音を遮断するノイズカットフィルタ ーが搭載されている。ノイズカットフィルターはピックアップセンサで捉らえた音のうち特定の周波数帯の 音を取り出すことで、現場に応じて測定対象となる地下水の流水音のみを聞くことが可能となる。現地では ヘッドフォンを使って実際に音を確認しながら良好に計測ができているかを判断する。  () 地中音測定の概要 測定は清水寺現地モニタリングシス テムとして使用しているM地点を基準 として、測定可能な場所を選びながら 約5m間隔で等高線に沿って12点を設定 し、等高線に垂直に3点の測定地点を設 定した。また、より詳細な結果を得る ために設定した測定点以外の点におい ても計測を行った。全計測点を図1に示 す。計測は2013年12月20日、2014年1月 10日、1月16日、1月17日の4日間で行っ た。2013年12月20日、2014年1月10日は 主として設定した測定点で計測を行い、 2014年1月16-17日はより広範囲で計測 を行った。計測点数は、2013年12月20 日に35点、2014年1月10日に38点、2014 年1月16-17日の2日間で28点であった。 なお、計測日前の5日間の降雨量は、2013年12月20日で総降水量2mm、時間雨量1.4mm、2014年1月10日で総 降水量11.4mm、時間雨量0.8mm、2014年1月16日で総降水量2mm、時間雨量0.2mmであった。計測期間中は 写真 1 2013 年台風 18 号における斜面崩 壊の様子 B P1 M P2 雨量計 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 図 1 調査対象斜面の地形図と計測点の位置図 固定用ステンレス棒 ピックアップセンサ さ 阿弥陀堂、奥の院の工事が行われており、工事に伴う音が大きかったため、その影響をなくすために早朝に 計測を行った。本研究では300~1200Hzの周波数の範囲で地下水音(振動)を計測した。また、測定は各地 点で10回程度行い、得られた結果(最大値)の平均値を求めた。本研究では、計測した結果を加速度に変換 して用いた。 () 降水量と間隙水圧の計測  清水寺後背斜面では、2004年度より土層中の間隙水圧の計測を行っている4)5)。また、地下水帯は不透水 地盤面で形成されるため、土層-基盤境界面における間隙水圧の計測を2012年より行った。本研究では調査 期間中に良好なデータが得られたB、M、P1、P2地点の計測結果を取り扱った。B、M、P1、P2地点の計測 深度はそれぞれ200cm、190cm、65cm、200cmである。また、対象斜面において雨量の計測を行った(図1中 赤丸地点)。 

 結果と考察

 () 地中音測定法を用いた水みちの推定  図2に2013年12月20日、図3に2014年1月10日の計測結果を示す。計測結果を面的にわかりやすく表示する ために、各点の計測結果を円の大きさで示した。12月20日の結果では北ブロックと中ブロックの境界付近か ら南方10m程度の範囲と中ブロックと南ブロックの境界付近で高い値を示した。1月10日の結果では、中ブ ロックの中央に等高線に垂直に高い値を示すラインが認められた。北ブロックの北端の計測点のライン上で 大きな値を示した。南ブロックは値の大きさにばらつきが見られず、全体的に高い傾向を示した。異なる計 測日の結果を比較すると、全体的に計測結果に大きな差が見られなかった。しかし、例えば、図3のa、b、c、 d地点のように計測日によって値が大きく異なり、明瞭に地下水音が確認できる、7.0×10-5m/sec2以上の加速 度の値を示す場合とほとんど地下水音が検知できない、3.0×10-5m/sec2以下の加速度の値を示す場合が認めら れた。また、特定の計測日の結果が大きくなる傾向も見られなかった。本研究の対象斜面の土壌には粒径の 大きな礫が多く含まれているために、センサ面と土壌の接触が不十分であったことが計測日の違いによる結 果の差異につながったと考えられる。 12月20日、1月10日の計測結果で高い値を示した点を中心に2014年1月16-17日に測定を行った(図4)。 中ブロック中央では等高線に直行する方向に加速度の値が6.0×10-5m/sec2を超えるラインが存在した。2014年 1月10日の計測結果とよく似ており、直線状に地下水が存在していると考えられた。北ブロックの北端では 値の強弱はあるものの、加速度の値が5.0×10-5m/sec2を超える地点が直線状に存在していることから、地下水 流動の可能性が推測された。また、南ブロックでは計測した全地点で加速度の値が5.0×10-5m/sec2より高く、 地下水の存在が推測された。                図 2 2013 年 12 月 20 日における地中音測定の結果 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5

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               図 3 2014 年 1 月 10 日における地中音測定の結果               図4 2014年1月16-17日における地中音測定の結果                図5 地中音測定結果(各計測点の最大値)と推定された水みちと地下水帯の分布 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5

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北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m ① ② ③

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               図 3 2014 年 1 月 10 日における地中音測定の結果               図4 2014年1月16-17日における地中音測定の結果                図5 地中音測定結果(各計測点の最大値)と推定された水みちと地下水帯の分布 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5

a

b

c

d

北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5 加速度 (m/sec2 7~ ×10-5 6~7×10-5 5~6×10-5 4~5×10-5 3~4×10-5 2~3×10-5 1~2×10-5 北ブロック 南ブロック 中ブロック 15m ① ② ③ (b) B-200 -500 -400 -300 -200 -1000 100 200 (c) P1-65 Por e-water pr es sur e (cm H2 O) -500-400-300 -200 -1000 100 200 (d) M-190 -500 -400 -300 -200 -1000 100 200 (a) Rainfall Rainf all ( mm /hr) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 (e) P2-200 12/20/13 12/24/13 12/28/13 01/01/14 01/05/14 01/09/14 01/13/14 -500 -400 -300 -200 -1000 100 200 図 6 B, P1, M, P2 地点における間隙水圧の変動 本研究の計測は3回に分けて行われたが、計測日前の降水量に大きな差は見られず、計測日にかかわらず 地盤内の水分状況にも大きな差が見られないと考えられる。また、計測日によって結果に差異があるとき、 センサ面と土壌の接触が不十分であるために計測結果の値は小さくなることが原因であると考えられる。こ のため、複数の計測日の結果を比較する場合、計測点での最大値を用いることで地下水の存在を推定するこ とが可能となる。図5に各計測点の結果の最大値を示した。計測結果の最大値を用いた場合、図5中の①、② に示す水みちが推定された。中ブロックでは幅10-15m程度の水みちがあると考えられる。また、斜面末端 では値が小さくなる傾向があることから、流動した地下水が深部に浸透したために、地中音測定では地下水 の存在を捉えられない可能性が挙げられる。図5中の③赤丸で示した南ブロックでは全体的に値が高い傾向 にあり、水みちという特定の流路ではなく広い面積で地下水帯が存在していると考えられる。  () 間隙水圧値による水みちの検証  図6にB、P1、M、P2地点の土層-基盤境界面の 間隙水圧値を示した。地中音測定の結果と比較す るために、2013年12月20日から2014年1月15日の結 果を示した。全地点で降雨に対して間隙水圧は鋭 敏な反応を示し、正圧に達する傾向が認められた。 この結果から、無降雨時には土層内は不飽和であ るが、降雨中・降雨後には一時的に地下水帯が形 成されることが示された。2014年1月10日は全地点 が不飽和であるが、地中音測定の結果では全地点 で地下水音(加速度)の値が5.0×10-5m/sec2より大 きく、地下水流動が推定された。地中音測定の計 測適応範囲は深度5m程度であるので、土層65cm~ 2mの範囲には恒常的な地下水帯はなく、少なくと も深さ方向2mから5mの範囲に地下水の流れがある ことが推察される。土層内の間隙水圧の計測結果 を考慮すると、本研究において地中音測定から得 られた水みち、地下水帯は土層中ではなく比較的 浅い深度の基岩中の地下水であると考えられる。  () m深地温結果との比較  これまで対象斜面では1m深地温測定によって水 みちの推定がなされてきた。図7に対象斜面で行わ れた仲矢ら7)の結果を引用した。この結果は2012 年2月に行われた測定の結果である。同一の計測範 囲を比較すると仲矢ら7)が推定したⅠ、Ⅱ、Ⅲ(図 7)の水みちは地中音測定から得られた図5の①、② の水みちとよく似た結果となった。また、地中音 測定で得られた図5中の②の水みちは1m深地温の結 果の中~高温度帯と一致している傾向も認められ、 基岩内の地下水の状態が地表面下1mの地温、地 中音に反映されている可能性が認められた。一方、1m深地温で得られた図7のⅣの水みちは地中音測定の結 果では特定の水みちではなく、面的に広がる地下水帯(図5中の③)として判断された。このため、地中音 測定法と1m深地温測定法によって推定された地下水流動の差異について今後検証する必要がある。  4.おわりに   本研究では地中音測定法を用いて清水寺後背斜面の地下水流動の把握を行った。その結果、斜面内に選択

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                 図7 1m深地音測定によって想定された水みち(仲矢ら7)から引用・加筆) 的な水みちと地下水帯が分布することが認められた。土層内の間隙水圧の計測結果と比較した結果、推定さ れた水みちは土層より深い基岩内の地下水流動であることが示唆された。また、本研究によって推定された 水みちは1m深地温測定によって推定された水みちとよく似ており、地盤内の地下水流動が明確化されたと 考えられる。しかし、手法によって推定される地下水流動に差異が認められる範囲があり、今後の詳細な検 証が必要とされた。 謝辞:本研究を追行するに当たり、森林総合研究所関西支所の多田泰之様には現地での計測方法やデータの 取り扱いについてご指導・ご協力いただいた。ここに記して深く感謝を表します。 参考文献 1) 多田康之・奥村武信・久保田哲也:パイプの存在が斜面安定に与える影響の実験的検討,砂防学会誌,Vol. 55, No.3, pp. 12-20,2002. 2) 堤大三・岩嵜俊彦・藤田正治・SIDLE Roy C:パイプ流に関する数値・計算モデルと人工斜面実験による検証,砂防 学会誌,Vol. 58,No.1, pp. 20-30,2004. 3) 多田康之・藤田正治・堤大三・小山敢・落合隆行・奥村武信・本田尚正:地中水みちと崩壊発生位置の関連性,砂 防学会誌,Vol. 60,No.4, pp. 25-33,2007. 4) 酒匂一成・深川良一・岩崎賢一・里見知昭・安川郁夫:降雨時の斜面防災防止のための重要文化財周辺斜面におけ る現地モニタリング,地盤工学ジャーナル,Vol. 1,No.3, pp. 57-69,2006. 5) 酒匂一成・里見知昭・菅野智之・安川郁夫・深川良一:降雨時の斜面崩壊に対する防災システムの確立に関する研 究,歴史都市防災論文集,Vol.1,pp. 167-17,2007. 6) 仲矢順子・酒匂一成・光谷俊祐・深川良一:急勾配斜面表層における水文環境-清水寺後背斜面における地下水流 路調査-,歴史都市防災論文集,Vol.4,pp. 83-90,2010. 7) 仲矢順子・深川良一・酒匂一成:清水寺後背急勾配斜面における地盤表層地下水流路の調査と分析,歴史都市防災 論文集,Vol.5,pp. 271-278,2011.

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