プレキャスト床版の設計・製造
-羽田空港
D 滑走路新滑走路島桟橋部プレキャスト床版-
東京支店 土木工事部 熊谷善明 東京支店 土木工事部 武田哲郎 東京支店 土木工事部 園田強介 東京支店 土木営業部 栗田朋樹 概要:羽田空港 D 滑走路の建設にあたり,桟橋部は鋼管杭とジャケットとプレキャ スト床版を合成した構造が採用された.桟橋部 PCa 床版構造は,100 年間の設計供 用期間に対する長期耐久性,疲労耐久性を確保するため,施工数量の約7 割に相当す る部分を工場製作のプレキャスト床版とし,プレキャスト床版同士を現場打ちの間詰 めコンクリート(RC 構造)で連続化する構造である.桟橋構造は,目地のない 1 枚 の大規模な床版構造となり,高次不静定構造として設計照査を行った.製造に際して は,品質の均一化・工程遵守を全体目標とし,総枚数10,697 枚を製造・出荷した. Key Words:桟橋部 PCa 床版構造,ジャケット,プレキャスト床版,製造1.はじめに 1.1 緒言 羽田空港D 滑走路の再拡張事業案は,既存ストックの有効活用とアクセスの優位性を目的として,平成 13 年8 月に都市再生プロジェクトにおいて「国際化を視野に入れつつ羽田空港の再拡張に早急に着手し 4 本目 の滑走路に着手する.」とされた.平成14 年 3 月,羽田再拡張事業工法選定会議において 1)桟橋工法 2)埋立・ 桟橋工法3)浮体工法での検討方針が打ち出され,平成 16 年 10 月に技術提案書の提出,平成 17 年 3 月に埋 立・桟橋工法での入札・契約がなされた.入札・契約方式の特徴としては,設計施工一括発注,入札前・契 約後VE の導入,異工種共同企業体(JV)を構成などが挙げられる. 技術提案書は,要求水準書に基づき作成され,契約時の桟橋部床版構造の提案内容は底鋼板とパーフォボ ンドリブを有する場所打ちRC 合成床版構造であった.これに対して,契約後 VE によってプレストレスを 導入したPCa 床版構造の技術提案書を作成し,詳細設計ならびにプレキャスト床版の製造を実施した. 本稿では,桟橋部PCa 床版構造の設計およびプレキャスト床版の製造概要を報告する.なお,プレキャス ト床版とPCa 床版の表現は,ヤードで製造された床版自体を「プレキャスト床版」とし,桟橋構造全体を表 すときには「PCa 床版構造」と表記が統一されている. 1.2 D 滑走路計画・実施 前述したように,羽田D 滑走路は埋立・桟橋構造が採用された.埋立・桟橋構造のうち,多摩川の透水性 を確保することを目的として河口に約51 万 m2の桟橋構造が構築された.桟橋構造の上部構造はコンクリー ト床版構造であり,PCa 床版エリアが約 31 万 m2,UFC 床版エリアが約 20 万 m2である.
工事は,鹿島・大林・五洋・佐伯・清水・新日鉄エンジ・JFE エンジ・大成・東亜・東洋・西松・前田・ 三菱重工・みらい・若築異工種建設共同企業体が請負い,PCa 床版構造の設計は 15 社 JV のもとプレストレ スト・コンクリート建設業協会が行った.プレキャスト床版の製造は,ピーエス三菱・オリエンタル白石・ 三井住友建設・富士ピーエス・安部日鋼工業・ドーピー建設工業共同企業体が請負い実施した. 2.構造概要 桟橋部構造概要を図-1に,桟橋部区分を 図-2に示す. 桟橋部の床版構造は,当工事の各種施工条 件(短工期,膨大な施工数量,海上施工等)を 克服し,また100 年間の設計供用期間に対す る長期耐久性,疲労耐久性等を確保するため, 施工数量の約7 割に相当する部分を工場製作 のプレキャスト床版とし,プレキャスト床版 同士を現場打ちのRC 構造で連続化する構造 である.工場で製作したプレキャスト床版は 鋼桁の格子のマス目に合わせて敷設され,そ の隙間を現場打ちコンクリートで間詰めする. このとき,滑走路方向の鋼桁の上フランジに はずれ止めが配置されており,プレキャスト 床版と鋼桁はこのずれ止めと間詰コンクリー トを介して一体化される.なお,プレキャス ト床版は,空港基本施設(滑走路,誘導路, 高速脱出誘導路,ショルダー・過走帯,着陸 帯 A)毎の要求性能に応じた,床版厚,PC 鋼材量,補強鋼材量を設定している1),2). プレキャスト床版配置図を図-3に示す.1 ジャケット当たり6 箇所の杭で支持された部 分(以下,レグ頭部)は,上部構造の支点と なるため,死荷重や活荷重等の鉛直荷重によ ってレグ頭部の上部構造に負の曲げモーメン トが生じ,コンクリート床版には軸引張力が 作用する.床版に発生する軸引張力に鉄筋だ けで対処した場合,配置鉄筋量が多くなり, 鉄筋の組立,コンクリート打設等の施工性に 劣るばかりではなく,大きな引張力に対する 長期耐久性が懸念される.そこで,レグ頭部 に配置した4 枚のプレキャスト床版(杭頭版) とプレキャスト床版に囲まれる間詰部を現場 施工のプレストレスで補強した.レグ頭部以 外のプレキャスト床版(標準版)には工場で 直交2 方向にプレストレスを導入した.プレ キャスト床版端部からは,2 種類の継手鉄筋 (ループ継手及び重ね継手)が突出している. 図-1 桟橋部構造概要 図-2 桟橋部区分図 図-3 プレキャスト床版配置図(1 ジャケット) 杭頭版 標準版 鋼管杭 ジ ャケット 鋼桁 8 @ 7,875 = 63,000 12 @ 3 ,75 0 = 45 ,00 0 ジャケット鋼桁 滑走路 直角方向 ;非合 成 滑走路方向;合成
プレキャスト床版構造図を図-4に示す. 3.設計 3.1 要求水準書の要求項目と設計での対応 要求水準書の要求項目と設計での対応を表-1に示す. 表-1 要求水準書の要求項目と設計での対応 分類 要求水準書の要求内容 本設計での対応 応力度照査 当該部材の安全性は以下を満足すること. 発生応力度≦許容応力度 要求水準書に基づき,発生応力度が許容応 力度以下となるように設計を行う. 構造設計 防食対策 コンクリート部材は,必要かぶりの他,必 要な防食法を適切に設定すること. 道 路 橋 示 方 書 ・ 同 解 説 Ⅲ コ ン ク リ ー ト 橋 編 (H14.3)に準拠し,所要の必要かぶりを設 定する. 航空機荷重 A380 クラス,J クラス,L クラスを対象と する. 航空機の連行荷重,遠心荷重,制動荷重を 考慮する. 荷重条件 衝撃割 増係数 滑走路部 離陸時 0.4 誘導路部 離陸時 0.3 高速脱出 誘導路部 着陸時 0.4 ショルダー・ 過走帯部 離陸時 0.3 着陸帯 A 離陸時 0.3 制動荷重:摩擦係数=0.8 最大減速加速度=0.31G 消防自動車 荷重 LF-1,LF-2 を対象とする. 荷重条件 自動車荷重 A 活荷重を対象とする. 要求水準書に基づく荷重を考慮する. 図-4 プレキャスト床版構造図 レグ PC鋼より線1S15.2 プレグラウトPC鋼棒φ32 標準版 ループ継手筋:D25 重ね継手筋 :D25,D29 杭頭版 ループ継手筋:D16~D25 重ね継手筋 :D16~D29 PC鋼より線1S28.6 シース配置
表-1(続き) 要求水準書の要求項目と設計での対応 分類 要求水準書の要求内容 本設計での対応 たわみ 航空機荷重が載荷された状態で,床版上の たわみ量が制限値以下であること.(滑走 路部,誘導路部,高速脱出誘導路部対象) 滑走路部,誘導路部に関しては,要求水準 書に基づき,たわみ量がたわみ制限値以下 となるように設計を行う. その他のエリアについては,航空機荷重に よる,たわみ量の確認を行う. 使用性 勾配 航空機荷重が載荷された状態で,床版の部 分勾配が制限値以下であること.(滑走路 部,誘導路部対象,高速脱出誘導路部対象) 滑走路部,誘導路部に関しては,要求水準 書に基づき,部分勾配が部分勾配の制限値 以下となるように設計を行う. その他のエリアについては,航空機荷重に よる,部分勾配の確認を行う. 腐食・劣化 対策の確保 設計供用期間の耐久性を得るため,腐食・ 劣化環境下にさらされる材料の腐食劣化 に対する防止策を図ること. 以下の対策を施す. ・防水層確保 ・カバープレートの設置 ・ひび割れ幅制御 疲 労 耐 久 性 の確保 設計供用期間の耐久性を得るため,繰返荷 重が作用する等,部材疲労が予測される材 料の疲労耐久性を確保すること.(滑走路 部,誘導路部,高速脱出誘導路部対象) 床版部材に対する疲労耐久性の照査(繰返 載荷に対する照査)を行う. ・コンクリートの圧縮応力度照査 ・鉄筋の引張応力度照査 ・コンクリートの押抜きせん断照査 安全性 偶 発 荷 重 作 用 時 の 安 全 性の確保 航空機墜落・衝突・船舶衝突等の損傷を提 示条件に基づき想定すること. 損傷程度は部分的な被害にとどめ全体的 な構造の破壊に至らない方策を図るとと もに,短期間の復旧可能なこと. 万一の事態に備えた短期間での部分交換 の可能な構造を提案する. また,短期間の部分交換の手法について明 確に示す. 施工性 工期内で,安全かつ確実な品質が得られる ように施工できること. 以下の対策を施す. ・現場施工量の軽減と品質向上 ・施工順序の制約の少ない構造の採用 耐久性の 確保 使用する材料をライフサイクルコストの ミニマム化を図る上で,設計及び施工上, 合理的な範囲で耐久性に優れたものにす ること. また,経常的な維持管理が困難なものにつ いては,メンテナンスフリーを保証できる 材料を採用し,これにより難い場合は,可 能な限り長期の耐久性を有し,かち,交換 によって機能回復が図られるものとする こと. 以下の対策を施す. ・防水層確保 ・カバープレートの設置 ・ひび割れ幅制御 ・維持管理上の着目部位への集約 ・交換に配慮した構造の採用 維持管理 床版構造 の保護 防水性能:不透水性.十分な防水性能を有 する. 帯水対策:帯水防止性能を有する. 誘発目地対策:目地からの水に対する十分 な床版の保護 以下の対策を施す. ・防水層確保 ・排水(透水)層及び水抜きの配置
3.2 設計方針 設計方針を以下のとおりとした.また,図- 5に設計フローチャートを示す. 1) プレキャスト床版は PC 構造,プレキャス ト床版同士を一体化する間詰め部はRC 構 造とする. 2) 架設時にプレキャスト版を滑走路平行方向 の鋼桁フランジ上に仮置きするため,滑走 路平行方向間詰め部の幅は小さくすること が望ましく,継手長を短くできる「ループ 継手」を採用する.一方,滑走路直角方向 間詰め部は,滑走路方向の不静定力による 大きな軸引張力に抵抗するため,太径(D29 以下)の鉄筋や多段配置に対応し易い「重 ね継手」とする(図-6,7). 3) 間詰めコンクリートの収縮による目開きを 防ぐため,間詰めコンクリートには膨張コ ンクリートを使用する. 4) 滑走路平行方向の鋼桁と床版はずれ止めを 用いて一体化し,床版と鋼桁の合成作用を 考慮する. 5) 床版は滑走路平行方向の鋼桁のみに支持さ れた一方向版とし,鉛直荷重による床版の 主要な断面力(床版作用による曲げモーメ ント)を一方向(滑走路直角方向)に限定 する. 6) レグ頭部は,上部構造の支点となるため, 死荷重や活荷重等の鉛直荷重によって負の 曲げモーメントが生じる.また,レグと鋼 桁は剛結されているため,温度変化などによる桟橋の水平変形によっても,レグ頭部に曲げモーメント が生じる.これらの曲げモーメントによって床版に生じる軸引張力に対処するため,レグ頭部に配置し た4 枚のプレキャスト版と間詰部を現場施工のプレストレスで補強する.この際,ずれ止めが床版への プレストレス導入を阻害しないよう,予めずれ止めを箱抜きし,プレストレス導入後に箱抜き内を充填 する. START 構造モデルの設定 断面形状寸法の設定 断面力の算出 PC鋼材本数および鉄筋量の設定 プレストレスの計算 部材応力度の算出 軸力および曲げモー メントに対する検討 せん断に対する検討 疲労に対する検討 a.構造形式 b.床版厚、ハンチ高 a.軸力 b.曲げモーメント c.せん断力 a.PC鋼材の配置 b.鉄筋の配置 a.導入直後のプレストレス b.有効プレストレス a.コンクリートの圧縮応力度 b.コンクリートの引張応力度 c.PC鋼材の引張応力度 d.ひび割れ幅 e.引張鉄筋量の算出 f.PC鋼材増加応力度 g.曲げ破壊 h.施工時 a.斜引張応力度 b.せん断伝達耐力 c.押し抜きせん断 a.コンクリート b.鉄筋 c.押し抜きせん断 END 変形に対する検討 OK OK OK NG NG NG NG 図-5 設計フローチャート 図-6 滑走路方向間詰め部 図-7 滑走路直角方向間詰め部
7) RC 構造部分は,耐久性上有害とならないひび 割れ幅以内に制御する.また,床版上縁側はか ぶり+防水層,下縁側はかぶり+カバープレー トによって,鋼材の腐食を防ぐ. 8) 補強鋼材量(鉄筋,PC 鋼材)は,設計エリア 毎(滑走路,誘導路,高速脱出誘導路,ショ ルダー,着陸帯A)に桟橋全体の中から最も厳 しくなる点で決定し,その鋼材量を全床版に 適用する. 9) 床版コンクリートと鋼桁の合成作用を考慮し て設計する際の鋼桁の負担分を低減するため, 全ての荷重組合せに対してプレキャスト床版 部(PC 構造部)にはひび割れを発生させない ものとする.RC 構造部の死荷重時はひび割れ を発生させない部材剛性を確保し,活荷重時 は許容ひび割れ幅以下とする(表-2). 3.2 断面力の計算 コンクリート床版とジャケット構造が合成された広大かつ連続した桟橋構造の設計にあたり,各荷重に対 して正確に断面力を計算することが課題であった.そこで構造解析モデルは,航空機の脚荷重や温度の影響, ジャケット部材剛性の変化による影響を考慮するため,プレキャスト床版とジャケットの構造全体を反映し た全体解析モデルを使用した. 航空機荷重および死荷重と温度荷重等による不静定力では床版およびジャケットの挙動が異なるので,航 空機および死荷重と温度荷重,クリープ・乾燥収縮を別々のモデルで解析した. 航空機荷重,死荷重および温度荷重は,プレキャスト床版をシェル要素,ジャケットをはり要素,その結 合部をバネ要素でモデル化した3 次元 FEM 解析モデルを使用する.また,クリープ,乾燥収縮は,床版の 収縮が鋼桁に拘束される挙動となり,その挙動を正確に再現するため,床版をソリッド要素,ジャケットを シェル要素とした3 次元 FEM 解析モデルを使用した.解析方法を表-3に示す. 表-3 解析方法 モデル名 概 要 対象断面力 床 版 自 重 モ デル ・プレキャスト床版1枚に相当するシェル要素モデル ・要素寸法:7,875(21@375)mm×3,750(10@375)mm ・滑走路直角方向(短辺方向)に単純支持 床版自重 鉛 直 荷 重 算 出モデル ・ジャケット2×3 基,計 6 基分の海底面から上の部分をモデル化 ・床版:シェル要素,ジャケット:ビーム要素,レグ下端:バネ支持 ・床版厚やジャケットの部材構成を反映するため,エリア毎(滑走路,誘導路, 高速脱出誘導路,ショルダー,着陸帯)に5 種類をモデル化 ・鉛直荷重による床版作用(主に床版の曲げモーメント)の影響を詳細に解析 できるよう,シェル要素の1 辺を 375mm に細分 間詰部自重 切削代荷重 舗装自重 積雪荷重 航空機荷重 自動車荷重 クリープ・乾 燥 収 縮 算 出 モデル ・ジャケット2×2 基,計 4 基分の鋼桁と床版をモデル化 ・コンクリート床版をソリッド要素,鋼桁をシェル要素でモデル化し,相互の 影響をより詳細に解析 ・エリア毎(滑走路,誘導路,高速脱出誘導路,ショルダー,着陸帯)に 5 種類をモデル化 クリープ 乾燥収縮 温度変化・温 度 差 算 出 モ デル ・滑走路平行方向解析モデル(1×14 基,7 種類) ・滑走路直角方向解析モデル(12×1 基,7 種類) ・杭及び地盤バネも含め,ジャケット及び床版をモデル化 ・床版:シェル要素,ジャケット・杭:ビーム要素,地盤:非線形ばね ・床版シェル要素の大きさは,1 パネルを 4×8 分割 全体温度変化 床版温度差 温度+ 活荷重時 PCa版部 (PC構造) 間詰部 (PC構造) PCa版部 (PC構造) 滑走路 間詰部 誘導路 (RC構造) 高速脱出 PCa版部 誘導路 (PC構造) 間詰部 (PC構造) PCa版部 (PC構造) 間詰部 (RC構造) PCa版部 (PC構造) 間詰部 (PC構造) PCa版部 (PC構造) 間詰部 ショルダー (RC構造) 着陸帯A PCa版部 (PC構造) 間詰部 (RC構造) PCa版部 (PC構造) 間詰部 (RC構造) 荷重条件 空港施設 照査方向 部位 活荷重 死荷重 温度時活荷重時 滑走路 直角方 向 レグ頭部 標準部 レグ頭部 標準部 レグ頭部 標準部 許容ひび割れ幅以下 滑走路 平行方 向 滑走路 直角方 向 滑走路 平行方 向 航空機 自動車 レグ頭部 標準部 ひび割れを発生させない ひび割れを発生させない 許容ひび割れ幅以下 許容ひび割れ幅以下 許容ひび割れ幅以下 許容ひび割れ幅以下 ひび割れを発生させない ひび割れを発生させない 表-2 ひび割れ制限
3.3 クリープ・乾燥収縮 3.3.1 クリープ係数及び乾燥収縮度 本構造のプレキャスト床版は,ジャケット鋼桁とスタッドジベルで合成された構造であるため,クリープ 係数及び乾燥収縮度を適切に評価することが重要である.桟橋構造では,プレキャスト床版のクリープ・乾 燥収縮による短縮ひずみを鋼桁が拘束するため,プレキャスト床版部に拘束力(引張応力)が発生する.こ の拘束力は,ジャケット鋼桁に合成された時点から,クリープ・乾燥収縮の進行により発生する.よって, クリープ・乾燥収縮による拘束力を算出する際は,施工工程から追った,プレキャスト床版の鋼桁に合成さ れるまでの材令を考慮した.なお,コンクリートのクリープ係数,乾燥収縮は「コンクリート標準示方書 構 造性能照査編」に準拠し,鉄筋比が1%の場合の値を用いた. 設計においては安全側を考慮して施工工程の最も短い期間とした.本設計で使用したクリープ係数及び乾 燥収縮度を表-4に示す. 表-4 クリープ係数及び乾燥収縮度 材齢 (日) クリープ係数 乾燥収縮度 (×10-6) 杭頭版 180 1.035 147 標準版 180 1.035 147 杭頭版間詰め 4 2.100 290 標準版間詰め 4 2.100 290 3.3.2 クリープによる影響を考慮した断面力算出方法 1) クリープによる拘束力の影響 クリープによる拘束力は,プレストレス力の経時的な応力変化が生じるため拘束力が緩和される.乾燥収 縮においては持続応力として働くためクリープが生じ,その結果拘束力は緩和される.クリープを考慮した ひずみは,初期応力度をσ0,クリープ係数をφとすれば,
(
)
cE
φ
σ
ε
=
01
+
と表現される.これは,作用する応力度がσ0で一定の場合である. しかし,合成桁等のようにコンクリートに拘束作用がはたらく場合,拘束により作用応力度が変化(一般 に減少)するために,コンクリートのひずみは異なってくる.そこで,この効果を適切に評価することが重 要である. 2) 道路橋示方書による評価手法と問題点3) 道路橋示方書では,合成桁の設計では C cE
)
2
/
1
(
φ
φ
σ
ε
=
−
∆
+
∆
と表現されている.これは,初期応力度によるひずみΔε1=σCφ/ECと応力度変化による影響Δε2=-Δ σ(1+φ/2)/ECの和であるが,φ/2 としているのは応力度変化量によるクリープは応力度変化量の平均値で算 出しているためである.これは,応力度変化が載荷直後に-Δσ/2 だけ変化することと同じである(図-8). しかしながら,実際の変化量は,初期に応力変動が進むため,この影響は 1/2 よりも大きいことが予想さ れる.そこで,クリープによる実際のコンクリートのひずみを適切に評価するために Torst と Bazant の手 法を参照することとした.図-8 道路橋示方書式による手法 3) Torst と Bazant の手法 Trost と Bazant は,応力度変化による影響を C
E
x )
1
(
2
σ
ϕ
ε
=
∆
+
∆
として,χを最適化するような手法を考案している.これは,煩雑な積分計算をすることなく応力度変化 の影響を考慮しようというものである.図-9において,斜線部分の面積を求めることと等価である. 図-9 Trost と Bazant による手法 χはaging coefficient(材齢係数)と呼ばれるもので,1/2 と 1 との間の数値であることが予想される.桟 橋部プレキャスト床版の設計においては,より適切に拘束による効果を考慮するために,Trost と Bazant に よる手法(TB 法)を採用し,aging coefficient(材齢係数)を適切に評価した. なお,解析は上記の TB 法を立体要素に拡張した,鋼・コンクリート合成構造物のクリープ・乾燥収縮解 析プログラムを使用した. 3.4 RC構造部の検討 本床版の RC 構造部は,設計方針においてコンクリートに生じるひび割れをひび割れ幅の制限値まで許容 する設計を行っていることから,次の仮定によって算出される RC 部材としての部材断面に生じるコンクリ ートの応力度を許容応力度以下としなければならない. -照査に当たっての仮定- ①維ひずみは中立軸からの距離に比例する ②コンクリートの引張応力を受ける部分は無視し,圧縮応力を受ける部分のみを有効とする ③鋼材とコンクリートのヤング係数比は,使用材料の特性に応じた値を用いる 以上の仮定の下に,部材断面に曲げモーメントと軸力が作用すると考えて計算を行った. ここで,全断面有効時のコンクリート応力度で,上縁,下縁とも引張力が生じている場合,上記の仮定が 成立しない.よって,この場合は,鉄筋剛性のみで抵抗するものとした.4.製造 4.1 製造概要 プレキャスト床版は,スケールメリットと羽田空港D 滑走路までの運搬を考慮し,現地プラントを有する プレキャスト床版占有のヤードを千葉県富津市に新設し製造を行った.製造に際しては,品質の均一化・工 程遵守を全体目標とし,総枚数10,697 枚を製造・出荷した. 製造概要は以下のとおりである.また,主要数量一覧を表-5に示す. 構造形式 : 標準版;プレストレストコンクリート,杭頭版;鉄筋コンクリート(シースを配置) 寸法・重量 : 長さ6.585m×幅 3.320m×厚さ 0.3~0.5m(標準寸法)・最大約 25t 製作枚数 : 10,697 枚(標準版:7,940 枚,杭頭版:2,757 枚) 製作期間 : 平成19 年 10 月~平成 21 年 10 月(25 ヶ月) 発注者 : 国土交通省関東地方整備局 構成会社 : ㈱ピーエス三菱・オリエンタル白石㈱・三井住友建設㈱ ㈱富士ピーエス・㈱安部日鋼工業・ドーピー建設工業㈱ ヤード位置 : 千葉県富津市新富 (約89,000m2) 表-5 主要材料表 標準版 枚 1,319 杭頭版 枚 432 標準版 枚 3,146 杭頭版 枚 1,169 標準版 枚 997 杭頭版 枚 420 標準版 枚 1,633 杭頭版 枚 520 標準版 枚 849 杭頭版 枚 212 枚 10,697 m3 88,062 D13 kg 1,900,887 D16~D25 kg 10,660,879 D29 kg 0 合計 kg 12,561,767 D13 kg 0 D16~D25 kg 17,439,335 D29 kg 2,468,714 合計 kg 19,908,048 D13 kg 1,900,887 D16~D25 kg 28,100,214 D29 kg 2,468,714 合計 kg 32,469,815 D13 kg 1,954 D16~D25 kg 1,098 kg 897,581 kg 1,512,287 m 239,665 kg 1,364,910 kg 11,932 組 75,312 組 61,258 組 844 シース m 322,736 グラウト m 322,736 エポキシ樹脂塗装鉄筋 合計 1S28.6 SWPR7BL(工場緊張) SWPR930/1080(工場緊張) SWPR19L(現場緊張) SWPR19L(現場緊張) 〃 〃 〃 外套管付(グリッド筋含む) 〃 〃 単位 数 量 適 用 〃 〃 〃 〃 〃 〃 種 別 σck=50N/mm2, 早強 SD345 〃 異形プレキャスト床版含む 〃 〃 〃 〃 〃 φ45(内径)(現場施工) φ45(内径) 〃 定着具 φ32(プレグラウト) 1S28.6(プレグラウト)用 φ32(プレグラウト)用 1S28.6用 PC鋼材 1S15.2 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 PCa床版(継ぎ手筋除く) 着陸帯A版 高速脱出誘導路版 ショルダー・過走帯版 床版枚数 継ぎ手筋 合計 1S28.6 滑走路版 鉄筋 1S28.6 1S28.6(プレグラウト) コンクリート 誘導路版 ※PC 鋼材 1S28.6 およびグラウトは現場施工数量
4.2 工程 実施工程を表-6及び図-10 に示す.工程は,2010 年 10 月の羽田空港 D 滑走路の供用に伴う現地での施 工工程にあわせて,ヤード整備を2007 年 4 月,プレキャスト床版の製造を 2007 年 10 月より開始した.実 施工程は,現地床版設置に遅延することなく,製造・出荷作業ができた. 表-6 実施工程 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 157 527 491 496 550 486 530 468 442 611 414 570 613 461 476 157 684 1,175 1,671 2,221 2,707 3,237 3,705 4,147 4,758 5,172 5,742 6,355 6,816 7,292 0 0 0 0 0 0 8 8 432 400 162 544 673 401 313 0 0 0 0 0 0 8 16 448 848 1,010 1,554 2,227 2,628 2,941 157 684 1,175 1,671 2,221 2,707 3,229 3,689 3,699 3,910 4,162 4,188 4,128 4,188 4,351 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 470 409 428 316 306 318 375 314 433 36 7,762 8,171 8,599 8,915 9,221 9,539 9,914 10,228 10,661 10,697 10,697 10,697 10,697 10,697 10,697 299 636 559 573 425 402 451 603 658 757 543 630 481 422 317 3,240 3,876 4,435 5,008 5,433 5,835 6,286 6,889 7,547 8,304 8,847 9,477 9,958 10,380 10,697 4,522 4,295 4,164 3,907 3,788 3,704 3,628 3,339 3,114 2,393 1,850 1,220 739 317 0 2009年 累計(枚) 月(枚) 2010年 月数 年 2007年 2008年 月 製 造 月(枚) 累計(枚) 製造ヤード 出 荷 月(枚) 累計(枚) 仮置き(枚) 年 月 製造ヤード 製 造 月(枚) 累計(枚) ヤード整備工 ヤード解体工 (連絡誘導路橋梁部プレキャストト床版製造) 月数 出 荷 仮置き(枚) 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 2007年8月 2007年11月 2008年2月 2008年6月 2008年9月 2008年12月 2009年3月 2009年7月 2009年10月 2010年1月 2010年5月 (年月) (枚 ) 製造累計枚数 出荷累計枚数 仮置き枚数 4.3 製造ヤード プレキャスト床版製造ヤードは千葉県富津市に新設した.製造ヤード内には,生コンクリート製造設備, 鉄筋組立ヤード,型枠設備,緊張設備,蒸気養生設備,荷役設備,仮置きヤード等が配備されている(図- 11,写真1~8). 製造ラインは全4 ラインで,そのうちの 3 ラインは緊張設備を有するプレテンションラインとして標準版 を製造し,残りのラインでは杭頭版を製造した.各ラインで1 日に製作可能な床版枚数は 6 枚で,合計で最 大24 枚/日の床版を製造した.PC 鋼より線 1S15.2 が 55 本配置されるプレテンションライン(A ライン) には10000kN の緊張力に対応するアバットを PC 構造にて構築した.同様にプレテンションライン B ライ ン及びC ラインはそれぞれ 8000kN,4000kN の緊張力に対応するアバットを PC 構造にて構築した. 荷役設備は,プレキャスト床版の移動に対応する30t 門型クレーンを 4 基,鉄筋組立及び鉄筋ユニット投 入に対する5t 門型クレーンを 8 基配置した.また,全天候に対応するため伸縮テントを製造ヤード,鉄筋組 立ヤードに配置し,材料管理及び製造管理を行った. 図-10 製造・出荷・仮置きの経時変化
図-11 製造ヤード概要
写真-1 セメントサイロ・バッチャープラント 写真-2 骨材サイロ
写真-4 蒸気養生設備 写真-3 試験室
4.4 コンクリート プレキャスト床版の製作に使用するコンクリートの設計基準強度は50N/mm2,使用数量は約88,000m(約3 200m3/日最大)であった.コンクリートの配合は,圧縮強度の確実な発現,骨材の安定供給,施工性等を総 合的に判断して決定した.配合表を表-7に示す.骨材の安定供給を主目的として製作期間中に配合を2 回 変更したが,圧縮強度の変動係数はすべて4~5%で,使用材料の管理,自動水分計による細骨材表面水率の 管理等により,ばらつきの少ないコンクリートを製造することができた. 表-7 コンクリートの配合 単位量(kg/m3) 変動係数 σ7標準 配合 σck (N/mm2) W/C (%) Air (%) W C S1 S2 G SP (C ×%) AE (C×%) (%) A 33.5 4.5 150 448 556 236 951 0.85 0.0020 4.71 B 39.0 4.5 155 397 562 233 1018 0.70 0.0030 4.25 C 50 38.5 4.5 155 403 559 232 1016 0.95 0.0030 4.18 配合 S1 S2 G A 硅岩砕砂(栃木県葛生産) 山砂(茨城県行方市産) 硅岩砕石(栃木県葛生産) B 砂岩砕砂(宮城県女川町産) 山砂(茨城県行方市産) 砂岩砕石(宮城県女川町産) C 砂岩砕砂(宮城県女川町産) 山砂(千葉県富津市鶴岡産) 砂岩砕石(宮城県女川町産) 写真-5 30t 門型クレーン 写真-6 5t 門型クレーン 写真-7 運搬台車 写真-8 プレテンション緊張設備
桟橋部PCa 床版構造は,目地のない連続した合成構造であり,クリープ・乾燥収縮,温度差・温度変化な どの不静定力による軸引張力が卓越する特徴がある.プレキャスト床版コンクリートの設計整合性を確認す るため,配合A および B についてクリープ試験を JIS 原案に従って実施した.クリープ試験結果を図-12, 13 に示す. クリープ試験は,実構造物と同様に常圧蒸気養生供試体を使用し,1 年間持続荷重を載荷した結果をもと にクリープ係数の収束値を予測した.試験結果とコンクリ-ト標準示方書構造性能照査編 2002 計算結果 4) との比較では,クリープ係数が約65%となり,設計整合性及び実構造物の安全性が確認できた. 4.5 プレキャスト床版製造 4.5.1 製造フロー プレキャスト床版の製造フローを図-14,写真-9~16 に示す.プレテンションラインのサイクルは,プ レストレスト導入時のコンクリート圧縮強度35N/mm2を確認し,プレストレスを導入する.30t 門型クレー ンにて製品を取り出し,前日に組立てた鉄筋ユニットを鋼製型枠に投入する.型枠組立・1S15.2 緊張後,コ ンクリート打設・常圧蒸気養生を行う.製作エリアでの作業と並行して,打継ぎ目処理・プレグラウト PC 鋼棒φ32 の緊張・仕上げ・製品検査・仮置き・出荷作業を 1 日サイクルで実施した. 製造は,鉄筋組立エリアから仮置きエリアに向けて,製造エリア,レイタンス処理エリア,仕上げエリア と順次送り出していくベルトコンベヤー方式とし,各エリアで作業を完全分担性とすることで品質の均一化 を図った. PC鋼材1S15.2導入 鉄筋・PC鋼材受入検査 鉄筋組立検査 型枠組立検査 仮置き 出荷 レイタンス処理 プレグラウトPC鋼棒φ32緊張 仕上げ 製品検査 PC鋼材1S15.2組立緊張 コンクリート打設 常圧蒸気養生 鉄筋組立エリア 製造エリア レイタンス処理エリア 仕上げエリア 仮置きエリア 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0 200 400 600 800 1000 有効材齢(日 ) クリ- プ 係数 乾燥開始 A配合-蒸気 弾性ひずみは載荷時 ヤング係数を使用 φ-実験値 φ-コン示 最終値 2.3 φ-予測値 最終値 1.51 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0 200 400 600 800 1000 有効材齢(日 ) クリ -プ 係数 乾燥開始 B配合-蒸気 弾性ひずみは載荷時 ヤング係数を使用 φ-実験値 φ-コン示 最終値 2.5 φ-予測値 最終値 1.64 図-12 クリープ試験結果(A 配合) 図-13 クリープ試験結果(B 配合) 図-14 製造フロー(1 日サイクル)
写真-9 鉄筋組立 写真-10 型枠組立 写真-11 PC 鋼材 1S15.2 組立緊張 写真-12 コンクリート打設 写真-13 常圧蒸気養生 写真-14 レイタンス処理 写真-15 プレグラウトPC 鋼棒φ32 緊張 写真-16 製品検査
4.5.2 製造に際しての留意点 プレキャスト床版製造に際しては,特に以下の点に 留意した. 1) 製品識別 プレキャスト床版の種類は,路面計画により生じる 床版天端段差の対応のための継ぎ手筋の変化や排水 版・マンホール版などの異形版などすべてを考慮する と約1,700 種類となり,品質工程管理が課題であった. そこで,床版の製作を明瞭化するために,総枚数10,697 枚に対して個別の識別番号を付し,さらに 1 枚毎に製 作図を作成し,製作・仮置き・出荷を管理した. 2) 使用材料 日々の搬入数量が多く(例:砂利 200t/日,砂 160t/日, 鉄筋70t/日),使用材料の管理が課題であった.管理は,上屋内での保管管理,日々搬入される材料の受入検 査およびトレーサビリティを徹底した. 3) 継手筋突出長 プレキャスト床版から突出した継手筋は,RC 構造となる間詰めコンクリートに配置される.2 種類の継 手(重ね継手,ループ継手)の継手長を確実に確保するため,継手筋突出長を0~+10mm で全数管理した. 継手筋組立状況を写真-17 に示す. 4) プレキャスト床版側面の打継ぎ処理 新旧コンクリートの打継ぎ目となるプレキャスト床版側面の打継ぎ処理は,側面型枠に常圧蒸気養生に適 したコンクリート遅延剤を塗布し,脱型後に高圧水で粗骨材表面が現れるまで洗い出した. 4.5.3 異形プレキャスト床版の製造 プレキャスト床版10,697 枚の内,排水版やマンホー ル版,連絡誘導路継手部の 4 辺の長さが異なる版など 1種類のみの床版があった(写真-18).1 種類に対し て枚数の少ないプレキャスト床版をプレテンションラ インで製造した場合,生産効率が落ちるため,工程管 理が課題となった.そこで,異形プレキャスト床版に 対応した鋼製プレテンション設備を構築し製造を行っ た. 鋼製プレテンション設備を図-15 に示す.PC 鋼材 1S15.2 の最大配置は 32 本,約 5500kN の緊張力に耐 えうる構造である. 写真-17 継手筋組立状況 写真-18 異形プレキャスト床版の製造 図-15 鋼製プレテンション設備
4.6 仮置き・出荷 D 滑走路桟橋部のコンクリート床版は,伸縮目地等の無い連続した合成構造であり,クリープ・乾燥収縮, 温度差・温度変化などの不静定力による軸引張力が卓越する特徴がある.このうち,コンクリート特有の性 質であるクリープ・乾燥収縮については,仮置き期間中に両ひずみをある程度進行させてからジャケット鋼 桁と合成させるという設計思想に基づいて,現地架設工程をもとにプレキャスト床版製造順序及び仮置き期 間を管理した. プレキャスト床版は製造ヤード内に最大約4,500 枚の仮置き管理を行い,現地架設の工程に合わせて平均 42 枚/日の出荷管理を行った.仮置き・出荷状況を写真-19,20 に示す. 5.まとめ 平成21 年 10 月に全 10,697 枚のプレキャスト床版製作,平成 22 年 3 月に出荷がすべて完了し,現地設 置も平成22 年 4 月に完了した.羽田空港 D 滑走路は平成 22 年 10 月に開港予定である. 本稿で報告した桟橋部PCa 床版構造の設計,桟橋部プレキャスト床版の製造のほかにも,桟橋部 UFC 床 版製造,桟橋部床版設置,連絡誘導路橋梁部プレキャスト床版製造も当社が工事の一端を担い,羽田空港 D 滑走路建設外工事の中で大きな役割を果たすことができた. このような工事は特殊な事例と考えられるが,本報告が今後の計画および設計・施工の一助となれば幸い である. 謝辞 最後に,本工事の設計・製造にあたり多くの方にご指導,ご協力を頂きました.この場を借りまして,関 係各位に心よりお礼申し上げます. 参考文献 1) 南浩郎・輿石正己・山口統央・南郷健太郎・原田慎・前田利光:桟橋部プレキャスト床版の設計,橋梁と 基礎-小特集:羽田空港D滑走路の計画と設計-,pp22-24,2009.1 2) 南浩郎・輿石正己・南郷健太郎・原田慎・前田利光:D 滑走路桟橋部プレキャスト床版構造の設計,東京 国際空港D 滑走路建設工事技術報告会(第1回) 3) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説(I~V),pp319-322,2002.3 4) (社)土木学会:コンクリート標準示方書[構造性能照査編],pp34-37,2002.3 写真-19 仮置き 写真-20 出荷