原 価 の 操 業 度 に 対 す る 依 存 性
− 短 期 費 用 理 論 を 中 心 に −
佐 藤 好 孝
l 原価態様考察の立場
原価 (K os te n) と 操業 度( Be sc ha ft ig un gs gr ad ) との 関係 は︑ 各時 代に よっ ても ある いは 各国 によ って もそ の 採り上げ万を異にしてきた︒すなわち︑いまこれらの採‑上げ万の経緯を発生史的にみる場合︑Hアメ‑カでは原価分 析( co st a na ly si s) の 問題 とし て︑ ある いは また 日ド イツ では 経営 費用 論( be tr ie bs wi rt sc ha ft li ch e Ko st en th e‑
orie) の問題としてといった具合に︑これが採‑上げられてきたといえる︒
註 原価と操業度との関係を原価分析の問題として採‑上げる採‑上げ万は︑本文で述べたように︑特にアメリカにおいてこれI
がみ られ
︑不 働能 力原 価( id le ca pa ci ty co st )の 問題
︑い い換 えれ ば操 業度 の変 動に 伴な う固 定費 の配 賦漏 すな わち 間接 費
の配賦問題がその主たる内容をなしていた.これに対して︑経営費用論の問題として採‑上げる採‑上げ万は︑ドイツにおい
てこ れが みら れ︑ 伝統 的に は︑ 費用 分解 (K os te na uf lo su ng )費 用法 則( Ko st en ge se tz )︑ 費用 補償 (K Os te nd ec ku ng )な いし 価格 政策 (P re is pl it ik )︑ 操業 度政 策な どが その 主た る内 容を なし てい た︒ これ が最 近で は︑ 原価 と操 業度 との 関係 は︑ アメ リカ にお ける 直接 原価 計算 ( di re ct c os ti ng ) 弾力 性予 算( fl ex ib le
budget)︑ドイツにおける近代的費用理論にみられるように︑原価管理とか︑経営管理ないし経営計画に基づく経営の総合的
管理(未来費用の管理)の問題として採‑上げる採‑上げ万がなされようとしていることは周知の通‑である.
経 営 と 経 済
一九
O
原価
は︑
一般に︑次のような等式によって測定される︒
調盲目河内向湾同×浬時菌誤
この等式から明らかなように︑原価額の大ききは︑その原価の構成要素である財貨数量と財貨価格との大ききによ
って規定せられるという関係にある︒したがって︑原価額の大きさは︑財貨数量の大きさに変化がなくとも財貨価格
の大きさが変れば変動するし︑逆に財貨価格の大きさに変化がなくとも財貨数量の大ーさきが変ればまた変動するとい
う乙とはいうまでもない︒だが︑いま原価の構成要素の一つである財貨価格の問題(原価評価の問題)を所与のもの
と仮定すれば︑原価額の大きさを規定する主たる要因は︑原価の構成要素としての財貨数量ということになる︒さら
に︑この原価の構成要素としての財貨数量の大きさは︑次の図表Iにみられるように︑経営規模(回
21
ω0ヴ
問 与
ω ω
う )
と操
業度
(図
︒ω
各 邸 内
Zm
ロ ロ
mωmg仏)という二つの要素によって規定せられるという関係にあるD
│財貨価格│
このようにして︑財貨数量の大きさは︑この経営規模と操業度との両者からその
一 斗C一
一 き 一
一以
一 額 下
一 問 一
一
一方の経営規模が︑生産過程の質的構成
の時間的経過に伴なう変佑(例えば︑機械設備の近代化・機械設備の改良・その他
)に照応して生産数量に変化を生じ︑これに伴なって財貨数量の構成要素(固定的 大きさに影響を受けることになる︒だが︑
I
i財貨数量│
画聖│ 直亙│
表要素・変動的要素)の割合ないし比率に変動を与えるといういわゆる長期費用理論
関
の問題であるのに対して︑他方の操業皮は︑生産設備ならびに生産条件を一定とし
た場合︑給付の財貨数量を構成する固定的要素と変動的要素との変化率の相違から︑
生産数量の増減を通じて給付の財貨数量の構成要素の割合ないし比率に変化を与え
るといういわゆる短期費用理論の問題であるところに両者の相違が求められる︒も
ちろ
ん︑
乙の財貨数量に影響を及ぼす要因は︑この外にも多種多様のものが考えられる︒例えば︑付販売過程上の技
術的制約とか︑白経営者の自由意志ないし需要関係によってもちろん制約を受けるが︑いわゆる製品の生産計画の郡
類とその品種と数量の組合せとか︑国経営組織(ないし機構)の状態とかなどがすなわちこれであるむさらに乙まか
く数えあげれば︑この外にも財貨数量に影響を及ぼす要因は数限りなくあるが(例えば︑時間外労働・労働の熟練度
・労働の強度)︑この数限りなくある影響要因のなかでも︑原価の構成上とくに重要性をもっている影響要因は︑その
いま伝統的な費用理論思考にしたがって︑グiテンベルグ
教授の指摘されるいわゆる独立変数(ロロ与E
ロ包
向︒
︿R
E E O )
としての操業皮(生産数量)以外の他のすべての影
掛け
嬰図
を一
定と
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︿包
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E O 2 ロ げ
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ロロ
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︒ロ
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︒円
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門戸
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口広
岡
M円 ︒ 仏
M戸
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・・8MMべ・溝口一雄・高田馨訳︑三三八頁︑)︑た
r
独立変数としての操業度(生産数量)のみが変化ωすると仮定すれば︑原価の操業皮に対する依存性は︑次節以後に採り上げるようになめらかな原価曲線をもって幾何
学的に表現し得るので︑ここに原価の操業度に対する依存性が問題となる︒ 影山討を原価額の大きさに顕著に表わす筈である︒そこで︑
そ乙で︑以下伝統的原価思考に基づいて︑原価の操業皮(生産数量)に対する依存性の問題を考えてみようとする
むのであるが︑周知のように︑この伝統的原価思考は︑村総原価曲線の原価傾向
(S
字型経過)を経験的・帰納的方法
のみに基づいて確認したにすぎず︑少なくとも従来の工業経営における原価の経過事実についての実証がなされてい
ないとか︑同操業皮(生産数量)の原価に対する影響のみを採り上げ︑その他の原価影響要因を等関に付していると
か︑日現実には不可能な経営の全体的利用に伴なう原価経過のみをその直接の命題としてきたとか︑倒原価経過を経
営全体の不変的ないし固定的要素と可変的ないし変動的要素との任意の結びつきによって説かれてきた乙となどの理
由から批判を受けてきた事もまた事実である︒その一つは︑周知のように︑グlテンベルグ教授対メレロヴィッツ教授
原価
の操
業度
に対
する
依存
性
一 九
経 営 と 経 済
}t
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費用
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戸一
ω ω ω
・出
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・ 一
Ila‑)に求められよう︒
たしかに︑右に掲げたように︑伝統的費用考察には多数の欠陥がそこに包蔵されていたことは事実であるが︑そう
かといって︑そこで形成されたS字型の総原価曲線をその出発点とする基礎理論的認識方法は︑その理論の明確性の
点からいっても︑また理論構成の統一性の点からいつでもなんらそれを否定する理由はみい出せないのである︒むし
ろ︑現代企業経営にみられるように︑経営経済の発展に伴なう資本の集約化と共に益々経営過程の技術的合理化なら
びに機構化が要請されまた促進され︑乙れに関連して比例的原価要素が固定的原価要素へと急激に変化しつつある今
日では︑原価と操業度(生産数量)との関係は︑個別企業にとっても︑国民経済にとっても︑前にも増して極めてR
大な意義をもつようになってきたといえる︒かかる意味において︑原価計算における基本的な諸問題に対する共通の
原価計算に課せられた経営上の実践的諸問基礎を与えるともいうべき原価の性格
( 問 ︒
ω件 ︒
ロ の ﹃
ω円ω
wg
同 )
の考
察は
︑
題(例えば︑原価管理・経営管理・価格政策・その他)の解決方法を導き出す基礎となるであろう︒そうした観点か
ら︑ここでは︑乙れを従来の費用理論にみられた政策論的採り上げ方や原価計算における技術論的な採り上げ方は一
応さけ︑原価の構成要素としての財貨数量が操業度(生産数量)の変動によって原価にどのような影響を与えるかと
いい換えれば操業皮の変佑によって原価がどのような態様を示すかということを原価計算理論一般の問題
として採り上げてみる乙とにする︒ い
うこ
と︑
操業度の測定
原価と操業度との関係を図解する場合︑縦座標には︑それぞれの生産市位百円︒門
E w z z z r E C
すなわち原価部
門ないし作業区分の原価がとられ︑横座標には︑その生産単位の原価に照応した絶対値ないし相対値で表現された操
業一皮がとられる︒そこで︑われわれが原価と操業度との関係を考察する場合︑まず最初に︑経営における操業皮をど
のように測定するかということが問題となる︒操業度(回
g s
m 仲 間
m 己
g ロ mω mR g
という概念は︑これを端的にいうな
らば︑経営の生産能力百円︒含
wz gω EZ
5ロN庄町立)の利用度合(﹀
EN m ロ ロ ω
同日
仏)
を指
すが
︑
ζの経営の生産能
力は︑また作業時間・作業能力・生産設備・経営組織・市場条件など多種多様の要因によって規制せられるので︑経
営の生産活動としての操業度は︑現実には︑これらの諸要因が相互に作用し合った結果として構成される概念である︒
さらに︑乙の操業度は︑これをその測定尺皮の点からみた場合でも︑すべての経営の生産活動を同一の尺度数値をも
って一元的に表現することは実際問題としてそれ程容易なことではなく︑ましてや︑経営全体の操業皮という乙とに
なると異質の測定尺度数値をなんらかの判断に基づいて結びつけなければならぬという事態も生ずる︒このように︑
操業皮の測定という問題は︑
う概念を﹁思考的復合物﹂ 現実的・実践的には︑
( の ゆ 品
︒ ロ T w
ロ}
S B 1 0 u
内 )
非常に困難を伴なう︒ここに︑ヘンツェル教授が︑操業皮とい
と称されるゆえんのものがあるといえよう
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ロ
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ω問 ︒
件 ︒ ロ
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3式 ・ 一
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問 ︒ 2
ロωロ 0
巴吋
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n 何 回
以 内 昨 日
間 ロ ロ
m ω
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u N・
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‑∞
SN
∞・
)︒
だが
しかし︑われわれが原価態様との関連において操業皮の問題を理論的に取扱うためにはなにか統一的な尺度を決定し
ておく必要があるので︑ここに操業度測定の問題が生ずる︒
操業皮の測定にあたっては︑まずその前提として︑その経営の生産活動の発現である操業(回2
岳民 tm
ロc
m ) の測
定尺一度が明らかにされなければならぬ︒ここで操業とは︑経営目的達成のために向けられた生産活動のみを指すが︑
乙の生産活動は︑生産要素
( ℃ 円 ︒
仏 ロ
W片 山 ︿
m w
司ωW
件 ︒
円 ︒
ロ )
である土地・建物・機械設備などのいわゆる生産手段
32 1
山口
富山
︒ロ
自立
件︒
‑)
と労働(﹀け
U O
四 件 )
との機有的結合関係に立つ経営の生産能力によって規定せられるという関係に
原価
の操
業度
に対
する
依存
性
一九 三
経 営 と 経 済
一九 四
ある︒したがって︑操業の測定尺度は︑具体的には︑その経営の生産能力がどんな数値でもって表現することができ
るかということによって決る︒この経営の生産能力の測定尺度にはその経営の測定技術的な理由から多額多様なもの
が考えられる︒だが︑そのうちどのような数値が選ばれるかということは︑その企業の業種業態の具体的事情によっ
て一様ではない︒そのため︑操業の測定尺度として︑ある場合には時間的数値が使用されることもあれば︑ある場合
には数量的数値が使用されることもあり︑またある場合には価値的数値が使用されることがある︒そこで︑いま︑採
業の測定尺度の主要なるものを挙げれば︑具体的には︑次のようなものが考えられる︒
I
時間的数値
製造時間
2
経営時間
3
機械運転時間
4
生産単位の作業時間
5
その他
E
価値的数値
生産額
2
売上高
3
動力費額
4
総賃金
5
直接費額その他
E
数量的数値
生産数量(個数・重量・容積)
2
製品販売量
3
材料消費量
4
従業員数
5
その他
このように︑操業度測定の前提をなす操業の測定尺度には︑右に掲げたように︑時間的数値・価値的数値・数量的
数値など各種のものが使用される︒だがしかし︑操業が時間的数値に基づいて測定される場合には︑時間的数値の調
査の困難性や手数のかかることなどの理由で︑また︑操業が価値数値に基づいて測定される場合には︑その数値が市
場価格変動の影響をうけるので︑その変動を除去しなければならぬなどの理由で︑乙の時間基準ならびに価値基準の
数値は従来多くの場合操業の測定尺度の代用物としてしか使用されてこなかったという関係にある︒そうした理由で︑
伝統的には︑操業が原価変動との関係において理論的に採り上げられる場合には︑操業はその影響を原価変動に最も
顕著な形で表わす数量的数値としての生産量によって測定されるのが普通である︒
このようにして︑操業の測定尺度が決定されたならば︑次にこれに基づいてその操業度が測定されることはいうま
でもない︒この操業の度合としての操業度は︑繰り返し述べるように︑経営の生産能力の利用の度合ないし利用状態一
その測定にあたっては︑経営の生産能力いい換えれば現有の経営設備(国立己与包己ω
問︒
)な
らぴ
のことを指すが︑
に作業条件(﹀号巳件与え
E m g m )
を一
定と
し︑
しかもそれらのものが増減変化しないと仮定される︒だが︑乙の操一
業皮の表現には︑さらに︑これを絶対値でもって表現するか︑それとも相対値をもって表現するかの問題が残されて・
いる︒もちろん︑次に示す分類の仕方には後で述べるように問題があるが︑右に述べた絶対値ないし相対値のいづれー
の数値をもって表現するかによって︑操業度は︑一般に︑絶対的操業度(与gEZ出
g
S民
Zm gm ωm g品
)と
相対
.
的操
業皮
(円
巳丘
四︿
O
ω図 ︒
の﹃
門戸
t 内
mロ ロ m ω m g g
とに区別される︒
絶対的操業度
経営の操業度が絶対値をもって表現された場合には︑
I
一般に︑乙れを絶対的操業皮と呼ぶ︒例えば︑操業度が︑
、
000
個と
か︑
一︑
二 0
0トンとかの数値をもって表現された場合がすなわちこれにあたる︒絶対的操業皮は︑現有
の経営設備ならびに生産条件を一定とする場合には︑実際就業時間内の生産量によって測定される︒したがって︑ζ
の絶対的操業皮は︑実際就業時間と単位時間内の実際生産量によって規定せられる︒そのため︑絶対的操業皮は︑い
うまでもなく︑実際就業時間と単位時間内の実際生産量(作業能率)とのいづれかが変佑すれば変佑する︒そこで︑
絶対値に基づく経営の操業度は︑実際就業時間と単位時間内の実際生産量との積によって表現される︒いま︑操業度
をB︑実際就業時間をh︑単位時間内の実際生産量申伊}胸をもって示すならば︑経営の絶対的操業度は︑次のような等
式をもって表現することができる︒
原価
の操
業度
に対
する
依存
性
一九 五
経 営 と 経 済
一九 六 回 目
︑
ω吋
・冨
ω
このように︑絶対的操業皮は︑実は︑実際就業時間内における絶対的操業
( ω
宮己
50
切g
の町 民丘 町
g m )
それ自体
の数値をもって表現されるので︑これでは﹁度合﹂
( の 55という概念にあてはまらない︒
そこ
で︑
学者によって
は︑このいわゆる絶対的操業を操業皮と呼ぶことは誤りであるとするものもある︒そうした意味では︑理論的には︑
絶対的操業皮は絶対的操業といった方がよいのかも知れない︒もちろん︑乙うした議論は︑要は︑操業と操業度とを
概念的に明確に区別せんとすると乙ろよりきていることはいうまでもない︒だが︑従来原価と操業皮との関係の基礎
理論的考察においては︑生産数量の絶対値(絶対的操業)のみが基本的な尺皮として認められてきたという歴史的現
実からしても︑生産数量の絶対値いい換えれば現在の操業を絶対的操業度と呼び︑生産数量の相対値(例えば八
OM )
いい換えれば基準操業との比較したものを相対的操業一度と呼ぷというふうに概念規定した上で乙の絶対的操業度とい
う言葉が使用されるのであれば︑別に︑生産数量の絶対値(絶対的操業)が絶対的操業皮というふうに呼ばれたから
といって一向に差し支えない筈である︒このようにして︑今日では︑原価と操業度との関係を理論的に考察する場合
の操業皮には︑実は︑この絶対的操業(生産数呈)そのものが操業皮として一般に示されるのが普通である︒
E
相対的操業度
相対的操業皮は︑一名操業率ともいわれ︑具体的には︑絶対的操業(実際生産量)と基準操業との比較によって求
められる
o
の決定にもちろん︑この場合の基準操業は︑基準生産量という形で表現される︒基準操業(基準生産量)'
あたっては︑まず︑基準就業時聞が決定されなければならぬ︒基準就業時間は︑総経営時間を製造時間・作業準備時
問︒休憩・妨害・日曜祭日・休止の合計とし︑そのうち非生産的時間を日曜祭日・休止・妨害とすれば︑一般に︑次
のようにして決定される︒
議関
疎開
俳B
i
神舟岡B認
E 1
樹博詰
M m 胃中西
したがって︑基準就業時間は︑製造時間・作業準備時間・休憩時間の合計というととになる︒このようにして︑悲
準就業時聞が決定されたならば︑次にこの基準就業時聞に基づいて基準操業(基準生産量)が決定されなければなら
に︑その基準就業時間内の正常操ぬ︒だが︑乙の際問題となるのは︑基準就業時間における基準操業(基準生産量)
業(
ロミ
B巳2
図︒
ωの﹃防止山
mg m)
すなわち正常生産量をとるのか︑最大操業(日ω巴
BH
2
問︒
ωの
}岡
山民
片山
間口
口問
)す
なわ
ち最大生産量をとるのか︑それとも最適操業守口広B巳ω回2
各邸
内片
m C 山 D m )
すなわち最適生産量のいづれをとるのか
という問題が含まれているということである︒このように︑基準操業の決定には︑そこに各種の操業の内いづれを選
択するかといういわゆる選れ可能性の問題がある︒もちろん︑いづれの操業(生産量)をとるにせよ︑基準授業を具
体的な大きさとして規定することには多くの困難を伴なうが︑一応このようにして基準就業時間とそれに基づく基準
操業(基準生産量)が決定されたならば︑これに基づいて百分率(川1
センテ
iジ)または操業度係数のいづれかの
表示方法をもって示される相対的操業皮が次に一示すような計算法によって測定表示せられる︒そこで︑いま正常操業
(正常住産量)を基準操業として︑相対的操業皮の二つの計算方式(福田誠一著︑﹁原価計算と操業政策﹂︑四頁参
照)を示すならば次のようになる︒
イ
百分率による表示法
いま︑操業皮をB︑正常生産量を尚︑単位時間内正常生産量を胸︑正常就業時間をh︑実際生産量をぬ︑単位時間
内実際生産量を胸︑実際就業時間をh︑でもって示すならば︑百件率表示法による相対的操業度は︑次のような等式
をもって表現することができる︒
原価の操業度に対する依存性
一九 七
経 営 と 経 済
一九
八
国 1 1
o o Z ω
Zロ
手I~
中
さらに︑この等式は︑ぬ﹁仰を﹁生産度﹂または﹁作業能率﹂と呼ぴ乙れをーをもって表わし︑日一日を﹁就業皮﹂と
呼びこれをZをももって表わすならば︑次のように書替えられる︒
回 目 一
()
0
・ 同
N
口
操業係数による表示法
操業度係数は︑左記に示す等式にみられるように︑正常生産量と実際佳産量との比較によって求められる︒したが
って︑操業度係数法による表示法では︑相対的操業度が一
OO
パーセントの代りに一を用い小数部分で表現される︒
いま︑操業度を払とし︑他は右に掲げた資料に基づいて示すならば︑操業度係数表示法による相対的操業度は︑次の
ような等式をもって表現することができる
Z ω ω
宮
崎
H (
│
│ H I l l
‑ ん川
1 1 N
‑ H
炉Z
ロ 吋 ロ 富 ロ
次に︑多数の製品の製造が行なわれている場合︑このさまざまな種類の製品の数量は︑例えば作業時間ないし機械
運転時間の助げをかりて合計することができる︒もちろん︑製造される製品種類によって経営の具体的事情も異なる
ので︑これを経営の操業を表現する正確な数値として測定することは不可能であるが︑右のようにして合計すること
によって︑その経営の操業度が一元的に表現することができる︒だが︑ここで注意すべきは︑このようにして作業時
闘ないし機械運転時間の助けをかりてその経営の操業皮を一元的に表現する場合でも︑その操業度は常に生産数量を
もって示されるということである︒いま︑この計算例を示すならば図表Eのととくになる︒
製品選類 I生産量│!製単位品換時算間主半引│換算生産量
A 2,000 t 0.8 1. 600 t
B 1.500 t 0.9 1. 350 t
C 2,500 t 1.0 2,500 t
一 一 一
D 3,000 t 1.3 3,900 t
9,000,t
基準製品の単位当り作業時間ないし機械逆転時
聞を1として他の製品の単位当り製品換算率を
決定する。
原価法則の理論的前提
原価の操業度に対する依存性は︑現有の経営設備ならぴ
に生産条件を一定とした場合︑なめらかなS字型の原価曲
図 表 E
線をもって表現し得るといわれるが︑乙れはそれならばい
かなる理論的根拠に立っていわれているのか︒原価態様の
考察の出発点となるこのS字型の総原価曲線は︑
理論的には︑経験的・帰納的な法則性の認識に立ついわゆ
一般
に︑
る﹁収益法則﹂
(同 三円
ω m ω
向 ︒ω O
同N )
によって誘導されかっ
基礎づけられていると考えられている︒そこで︑操業度の
変動に伴なう原価態様ないし原価の性格の考察を行なうに
先だって︑まずこの収益法則の内容を明らかにしてかかる必要がある︒この伝統的な生産理論の基本原理をなす収益
法則は︑経済理論上の﹁収益法則﹂と時ばれている概念に一致すると考えられているものであって︑農業経済的生産
物のいわゆる﹁収穫逓減の法則﹂(の
22 N
品3与
EF Bg
品g
回︒
5 含
23 m)
として発展せしめられ︑乙れが後に
農業経済に対してのみならず工業にとっても代表的な法則として考えられるようになったという関係にある法則であ
る︒だが︑乙こで注意すべきは︑収益法則における収益は﹁数量的収益﹂
(日
︒口 問︒
ロB以
ω ω 円向
︒吋 開立 ω円
m)
であるとい
うことである︒このようにして︑収穫逓減の法則は︑収穫物の増加に伴なって︑数量的収益が逓増的←比例的←逓滅
的傾向をたどるというζの収益法則の第三段階の傾向をいい表わしたものであり︑工業における収益逓増の法則(の・
原価
の操
業度
に対
する
依存
性
一九 九
経 営 と 経 済
22 N4 05
丘巳
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Hロ 品
戸 百 件 同
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円 仲
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司 目 ︒ N w
戸問︒ω芯
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ロ 円 ︒ ︒
﹃ ロ ロ ロ
m w
回PH
・ 一 8
・0 ω
・ ω∞ ∞
・ ) ︒
はこの収益法則の第一段階の傾向をいい表わしたものであるとされてい
ここに収益法則とは︑乙れを端的にいうならば︑企業の経済活動を費用・収益の両函数の統一的活動とみることに
よって︑総原価の操業皮の変佑に伴なう変化傾向︑いい換えれば費用法則を説明せんとする法別であると考えられて
いるものである︒そこで︑収益法則における収益は︑経営能力を一定(固定的要素を一定)として︑他の生産要素(
変動的要素)を組合せて生産を行なった場合︑一定の操業度に達するまでは︑操業皮の上昇に伴なって収益の増加率
は逓増的傾向を示し︑両者の組合せが漸次最適ないし調和的組合せの状態に接近するにつれて︑収益の増加率は比例
的傾向を示し︑さらに操業皮が最適点ないし最適領域を越えると生産
の組合せに不調和を生じて︑漸次収
K X (K)
(実体的収益)
(Xj
要素(固定的要素と変動的要素)
益の増加率は逓滅的傾向を示すというのである︒すなわち︑収益函数・
( 開 丘 一
円 ω問ω
同 ロ ロ
W片 山
︒ ロ )
を費用函数の逆函数として考えるのである︒こ直
表の結果︑S字型の総原価曲線は︑乙の生産理論のいわゆる収益法則に図基づく説明においては︑右に述べた収益法則に基づく収益曲線を反射
的に映像佑したものであるとする︒乙こに︑
コジ
オ
l
ル教
授が
︑
﹁ 生
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︑
H45
︒ 片
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品 2
M M
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山︒
ロ)
のいわゆる収益法則から出発す
( 巳
の 伊
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ロ ロ
OR O
のg ω
日 片 付 ︒
ω件 ︒ ロ
Wロ
コぬ
)
ると︑非線型の総原柿曲線
は︑収益曲線の映像化したものとして生ずる﹂とされるゆえんのもの
がある(拙訳﹁コヲオル原価計算﹂千倉書房刊︑一二頁参照)︒そこ
で︑いま︑収益法則よりS字型の総原価曲線を誘導する万法を図解的に示すならば︑右の図表
E
(の
58 V2 mw
何‑
w p
ω・0・
w ω
‑ m
∞・一邦訳︑二四九頁)のようになる︒グlテンベルグ教授は︑この図表Eの作図法について︑﹁横軸にまず固定要素の量にその価格を乗じた量OKFを
とり︑つづいて変動要素の量にその価格を乗じた量をとる(価格は一定とする)︒したがって︑乙こでは横軸には純粋
の要素投入量ではなしに︑費用があらわされる︒縦軸のX軸には生産量(実体的収益)を示す︒曲線Xは︑もはや費用
に依存する総収益の曲線であり︑いままでのようにただ要素量にのみ依存するのではない︒次に︑曲線Xをザ直線につ
いて反映せしめると︑したがっていい換えれば︑軸の交換を行なうと︑費用が生産量に依存する関係を示す曲線Kが
得られる﹂と述べている(ロ
02
巴V 0
・ω
‑p o‑
‑m
・∞
巴・
一邦
訳︑
二四
八!
二四
九頁
)︒
これまでの考察から明らかなように︑収益法則は︑原価法則とは別個のものではなく︑いうなれば原価法則が収益
法則によって規定せられるという関係にある︒すなわち︑一定の経営能力を前提とした場合︑操業度の上昇につれて︑
総原価が次掲のような傾向をたどる関係を︑収益が次掲のような傾向をたどる関係から説明しようとするものであ
サ ハVO
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罰百
):
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←儲
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(且河駄):::協活珪←民澄忌←儲箆B
なく
︑ かかる原価と収益との関係を︑
生産数量 メレロヴィッツ教授は︑収益は﹁単に売上代価(開己管︒)としてみられるだけでは
( F O E ︻ 吉
ZB Bg mg )
としてもみられると前置して︑次掲のように数学的に表現している(ロ0・
同ω
o ‑ v o w p p o
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・ ω m k ア )︒
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詩画
湖沼
::
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・・
・・
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ロ 原価の操業度に対する依存性二O
経 営 と 経 済
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湖沼 :・ :・ 関口
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油田
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儲辞書簡潔
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関 口 問 ロ
lH
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‑ l H 免除崩事郎通管限 切 口 開 ロ
lH
関 口 問 ロ
lH
‑ 9 1 1 1 1 1 1 i H
免除問界湖沼田︑持
開 ロ 開 ロ l H
以上︑簡単ながら︑収益法則に関する理論体系ならびに理論構成について究明してきたが︑周知のように︑この経
験的法則(開広島2ロmωZm己)としての収益法則の適否が︑近代的費用理論の立場に立つ論者との間で行なわれて
いる論争の基本的な一つの争点となっていることはいうまでもない︒だが︑ここでは︑この問題は一応さておき︑こ
れまでの考察から明らかなように︑収益法則のもとでのS字型の総原価曲線は︑要するに︑収益曲線の映像化したも
この収益法則から誘導された費用経過は︑一定の限られた生産要素(労働給付・機械のとして主ずる︒乙の点では︑
設備・材料)の操業度に対する順応性︑いい換えれば所与の生産能力の不足利用(不足操業)あるいは超過利用(超
過操業)に基づいて導かれる経営の短期的適応(昨日比ユω
昨 日
2開
﹀ ロ
38
ロロ問)を表現し得る︒すなわち︑例えば︑
市場条件の短期的変佑(製品の販売可能性・売価・その他の変化)に基づいて操業が低下した場合(不足操業)︑設
備の休止や就業時間の短縮などを行なわないで︑二交代制を一交代制に切変えることによって設備能力の利用度(作
業度)あるいは給付度(給付提供速度)の低下に対して適応せしめるといった経営のいわゆる時間的適応(N包己古宮
﹀ロ
ヨω
ωE
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)を
含め
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(Z Z ロ 丘
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旬ω
ωω
ロロ
問)
の問
題を
表現
して
いる
とい
える
︒こ
とに︑現実に生ずる費用経過形成の意義が求められよう︒
四 原価態様と原価の性格
以上のようにして︑収益法則から誘導される原価経過(問︒ω芯
ロ︿
2Z
ロ同
)の
特色
は︑
S字型の総原価曲線とそれか
ら導き出されるV字型の限界原価に求められる︒この収益曲線の映像化したものとしての総原価曲線が︑原価と操業
皮との関係から導かれる個別原価の形成の理論構成上の統一的な出発点となる︒そうした意味で︑われわれは︑以下
この
S字型の総原価曲線を出発点として︑原価と操業度との関係から導き出される各種原価について具体的に考察し
てみ
る︒
I
総原価曲線
総原価は︑総原価を構成する原価要素と操業度との関係から分類すれば︑操業度に対する原価の依存性に従って︑
二つの主要郡すなわち固定費
( 2 5
同gZR
ロ ロ ︿
O円ω
ロ 品 ︒ 己
目 ︒
F O
同gZ
ロ)
と変
動費
(︿
R E t ‑ o
問 ︒ ω芯
R4 02
ロ 門
・H 0
己目
︒宮
問︒
ω件︒ロ)とに分類される︒固定資とは︑操業度(生産量)が変化しても変佑しない原価であり︑またこの固
定資の大きさは︑与えられた住産能力(経営規模)によって規定せられるという関係にある︒乙のため︑この固定資
ふふ︑
一名
経営
準備
費(
問︒
ω芯
ロ円
2四
問︒
同門
町宮
品︒
円︒
山宮
与え
件)
とも
いわ
れる
︒
固定
資は
︑
さらに︑その費用の発生状況
から︑操業がゼロの場合でも発生するいわゆる絶対的固定資
( ω
宮己EEM内O同22
ロ )
と操業が開始されるととによ
って生産量とは関係なく発生するいわゆる相対的固定賀会己主
22 uS
同32
ロ)とに分けられる︒前者には︑設備
の減価償却費(定額法)・税金・火災保険料・利子・地代などがこれに属し︑後者には︑事務員給料・媛一局費・冷房
費などの費用が乙れに属する︒いま︑固定費の性格を図解すれば︑次の図表町
( ︿m ‑
・問
︒包
︒ァ
開:
問︒
ω件 ︒
ロ 叶 ゅ の
﹃ ロ ロ ・
原価
の操
業度
に対
する
依害
性
二O三