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わが国のリハビリテーションにおける精神科デイケア(以下,デイケア)は,

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Academic year: 2021

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(1)

博士学位論文内容の要旨

氏 名 上原

ウ エ ハ ラ

栄一郎

エ イ イ チ ロ ウ

学 位 の 種 類 博士(作業療法学)

学 位 記 番 号 健博 第

116

号 学位授与の日付 平成

28

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第2項該当

学 位 論 文 題 名 「精神科デイケア適応質問紙」の妥当性と信頼性 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 石井 良和

委員 教 授 繁田 雅弘 委員 教 授 小林 法一

【論文の内容の要旨】

わが国のリハビリテーションにおける精神科デイケア(以下,デイケア)は,

1974

年の 診療報酬制度による点数化に始まるとされ,精神科病院を退院し地域へ移行した後の,日 中の場の確保と街での仲間作りなどの場として整備されてきた.一方,厚生労働省の

2009

年の検討会によると,

1

年を超えてのデイケア利用者(以下,利用者)は全体の

8

割を超え て,利用の長期化が問題となっている.そのようなデイケアサービスの中で,退院直後や 初参加の利用者は,慣れない集団の中で緊張や不安を感じ,目標や集団価値を共有できず,

中断する人々が多い.また,利用者の約

30

40

%に中断がみられ,それは利用初期の

1

3

週間に多いと報告されている.

以上を踏まえて筆者らは,本研究に先行して,利用者が初期に中断するという問題を解 決するために,精神科デイケア「初期適応質問紙」の原案作成(

169

項目)や援助方略など による検討を進めてきた.その後,デイケア施設専門職(以下,専門職)や利用者らとの コンセンサス過程を通して,同臨床試用版(

41

項目)を作成し,さらに

159

名の利用者に協 力を得て項目分析を行い,弁別的妥当性を検討することで,「精神科デイケア初期適応質 問紙臨床版

23

項目」(以下,臨床版

23

項目)を作成した.臨床版

23

項目は

5

件法の自記式質 問紙で,デイケアでの自身の状態を簡便に回答でき,その合計得点などで適応度を評価す ることが可能である.またコミュニケーションツールとして,専門職と利用者が結果を共 有できるものである.

本研究の目的は,臨床版

23

項目の構成概念妥当性,基準関連妥当性および信頼性を検討 し,不適応な状態にある利用者の評価や援助を的確に行うツールを開発することにある.

調査は利用者に臨床版

23

項目および,「状態・特性不安評価」(以下,

STAI

)への回答を

求め,因子分析,因子負荷量,基準関連妥当性,

Cronbach

のα係数などを検討した.また,

(2)

博士学位論文内容の要旨

専門職には利用者の利用期間や状態から群分けを依頼し,群間比較による実測値の検討を 行った.

結果,71施設に研究協力依頼の文書を送付し,12のデイケア施設の施設長および専門職 の協力を得て

309

名の回答を得て,欠損値などを除いた

249

名のデータを用いて分析を行っ た.臨床版

23

項目の構成概念妥当性は,予め天井効果により

4

項目を削除し,残りの

19

項目 について因子分析を段階的に行い

3

因子が妥当と判断する中,因子負荷量から

3

項目を削除 した.最終的な分析結果は,抽出された

3

因子

16

項目であった.各因子を構成する項目内容 を検討して,第Ⅰ因子は「場への適応感」(

Field

5

項目,第Ⅱ因子は「プログラムへの期 待感」(

Program

5

項目,第Ⅲ因子は「相談関係作りの会話」(

Conversation

6

項目と 命名した.基準関連妥当性の検討は,

STAI

3

因子

16

項目の総合計などに妥当な相関が示 されていた.次いで因子ごとにアルファ係数を算出し,目安とされる信頼性係数を確認し た.これら分析結果をもとに臨床版

23

項目は「精神科デイケア適応質問紙

16

項目」

Psychiatric Day-care Adaptation Questionnaire

,以下,

PDAQ-16

)に改変された.次

いで,

PDAQ-16

を用いてデイケア利用者の適応水準にわけた実測値を検討した.専門職に

よる群分けをもとに

PDAQ-16

総合計,各下位尺度値合計(第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ因子),

STAI

の各々 の中央値を検討した.デイケア専門職の群分けによる比較において,初期利用群(

n=50

) と安定利用群

(n=163)

において,

PDAQ-16

総合計と第Ⅱ因子で安定利用群が有意に高かった.

また,

STAI

特性不安で安定利用群が有意に低かった.さらに,デイケア利用

20

日以内群

n=22

)と

21

日以降を経過群(

n=218

)として

2

群間比較を行い,第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ因子および

PDAQ-16

総合計で

20

日以内群の方が有意に低かったが,

STAI

に有意差は認められなかった.

以上の結果より,

PDAQ-16

3

因子

16

項目の因子構造を示し,構成概念妥当性,基準関 連妥当性,信頼性を有し,不適応な状態にある利用者の適応度を測る質問紙であることを 明らかにした.また,群間比較によってデイケア利用

20

日以内群の適応度が低い事を明ら かにする中,

STAI

では有意差が認められなかったことから,

20

日以内の利用期間にあって

PDAQ-16

方がデイケアにおける適応測定には臨床的に有用であることを示した.

本研究では,PDAQ-16がデイケアにおける利用者の適応度を測ることに特化した質問紙

として,妥当性と信頼性を持つことを明らかにした.また,群間比較によりPTAQ-16は利

用者の適応度を測定でき,特に初期や不適応な状態にある利用者の評価や援助に活用でき

ることを明らかにした.

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