219
ー ご7 −ソ連における社会的生産効率の変動
について
石 津 英 堆
1958年以来ソ連経済は経済成長率の低下に直面しているといわれる。いった いその原因ほどこに.あるのだろうか。ここではこの問題を社会的生産の効率分
(1) 析という見地から検討する。そのさいわれわれはスホーチンの資料を主として
利用した。まず柊じめに.社会的生産の効率に関する動態的変化をどのように測 定すべきか,という理論的問題からとりあげることに.しよう。
労働力や投資や生産フォンドのような生産資源の変化,それらの効率の動き および国民所得の成長の間には次のような関係がみられる。それを定式化する
と,
だ1∠IPlだ0 ∠Pl
/∴・Jli
J′.・/:.‥
ん・′若=
=JAp (1)
だ0・だ1・』Po ∠Po
ニ=ん
(2)
==ん
(3)
ム・Plん エ0・ム・Po
の1・、Pl(恥
砂0。¢1・Po となる。まず記号を説明すると,仔は投資,』♪は国民所得の増加,エは労働支出,の ほ.生産フォ・ンドを示し,そして添字の0と1は期間をあらわす。(1ト(3)の算式 はいずれも指数で示されるが,(1)式と(2)式との相異点をあげると,第1は投資 の指数とその効率指数の積が国民所得の増加指数を決定する。これに反して労 働支出に労働生産性指数を乗じたものが国民所得指数を決定する。第2に投資 指数ほ独立変数ではなく,その∵・部を構成する国民所得指数に・よって決定され
(l)K).BCyxoⅢH・9¢¢eKTHBHOCrb E(arTI什aJIbZlbIX BJIO〉Kem摘=ほMe〉ⅨOTpaCJIeBbIe CB刃3H,1966,ノCTpl39−67
籍40巻第3・4号 220 鵬一之ざ−一
る。いまこの点を考凱て′gを冨であらわすことにしよう0もちろん恥ほ当
該期間の蓄積率を示すのであり,巧が一・定不変であれほ,′gニ∫♪となる。とこ ろがんはんに依存しない独立変数である。労働力は年々僅かずつ増加するので あって,その増加率ほ年率1.5〜2%といわれる。そこでこのような特徴ほな に・を意味するかを問うこ・とにしよう。いま「許セガで示すと,(1成は次のよ
うに酎改めれる0すなわちズ・若−・し号一各したがパ,告=ズ・?し・ 甲0
,
1+昔ニ1十方・第・昔となる◇(1・+告)は意濫等しく,また(1+筈)=昔噂しい。これらはいずれも国民所得(P)の増加率をあら
わす。この増加率と又とほ.どのような関係を有するであろうか。さしあたって マ
=一− .LH ヽダガーLl T」トモ+・− ■ lユ′. T ヽ 1. 1ヽ 1_ 、、ヾ 1ニ=リーl−−†‖ −′ノl=∫、1 ._L・▲イ→ 一_ ▲丁 __・t 芸となり,投資効率が増大しなければ,国民所得ほナ定率でもって増加す .
Po
P2_ Plることになる。もらろんズが1よりも大きければフ号>【嵩 ̄となる0いいか えると,投資効率の僅かな上昇でさえも所得の成長率を速めるものである0逆 に.投資効率の低下ほ国民所得の増加を緩慢にする。もっともこの緩慢化が必然 的に起るものとみ′苧ことほできない0なぜなら?かりに投資効率が低下したと
してこも,それを相殺する程度に蓄積率が上昇すれば,そうした結果ほ起りえな
いからである0しかし堵−=1であれば,国民所得の成長率はT定不変とな
ろ0もっともこのような相殺は実際に実現可能であり,また消費の増加にとっ
てさして大規模ではない重大な損失を招くことがないとしても,経済的には望
ましいとみなすわけに.はゆかない。
他方(2)式に.ついて:みると,労働生産性の上昇がやめば,国民所得の成長率は
労働人口の増加率になることがわかる。正常な経済発展を考えるかぎり,国民 所得の成長率は労働人口の増加率(ん)よりもほ・るかに大きいから,、このことほ
国・民所得ヲ・ンポのほ軋し、低下を藩味すること這・なる0労働相性の水準(芸)
が僅かに低下しても(たどえば′与∠0..98でん∠1..02であるとすると),これは 国民所得の絶対的な減少をもたらす。
前述のように,労働生産性と投資の絶対的効率との変化がもたらす国民経済
ソ連に.おける社会的年産効率の変動に.ついて −29−⊥
221
的結果の問には重要な差異がある。要約していえば,労働∠j二産性の上昇率が低 下すれば,国民所得の増加は不可避的に緩慢となるのに.,投資の絶対的効率の 上昇率の低下(もしそれが起るとすれほ)ほ経済発展の速度を緩和するにすぎ ない。つまり国民所得ほ.引き続き逓増的に増加するが,このテンポの増加の程 度は前期よりも次期において減少する。
生産フォンドの効率に対する要求も労働年産に対するそれと同じように・きび しいかに.みえ.る。、しかしこれは必ずしもそうではない。(3)式をみれほ,フォン ド効率が−・定不変であれば,国民所得の成長率はフォンドの成長率に等しくな ることがわかる。しかし緩慢な労働人口の成長率とフォンドの成長率との問紅 ほ根本的な差異がある。
ある。
フォンドの成長率ほ次の算式で示される。すなわら,
¢1 飢寸牒■0
=1サーJ¢=−−一芸L=
仇) 軌)
であり,忍0=り0れであるから,
′¢=1+甲0一
(4)
となる。このように, フォンド成長率ほ基準年次に‥おける生産的蓄積率とフォ ンド効率(フォンド生産性)という二つの要因に.よって決定される。フォンド
牲塵性が不変(′÷=1)だとすれば,国民所得の成長率ほフォンド成長率に等し
くなる0いま(4)式欄実的な数値をあてほめてみると,画・2,−=0・5で あるから,フォンド成長率は10%(ナ¢=1+0.2・0.5=1.1)となる。労働費産 性が不変であるばあいの国民所得の成長率ほ2%であったから,これに比べる
と5倍も高くなる。告別1というような現実に起りえないはど低いばあい
のみ,′¢ほ1.02までさがる。要するに,フオ・ンド珪産性が−・定に.とどまっても,
フォ・ンドの成長率が高いをめ,労働生産性が−・定であるときのよう匿,国民所 得の増加が綬慢化することはない。このフォ・ソド成長率が高いために,フォ:/
ド生産性の低下ほあまり顕著な経済的結果をもたらさない。このことを例示し て射う0前述のように,顆0・2,=0・5とし,フォ・ンド生産性の低下
222
寛40巻 礫3・4弓
ーー ご;ひ −
を5%(J一㌃ニ0・95)とす・ると,国民所得の成長率ほ10%から5%(1・1八0−95霊 1け05)へと低下する。これに反して労働生産性が低下する(J÷=0・98)ばあい
に・は,国民所得ほ絶対的に低下(1・02×0…鍼=0・9996)することになる0
もちろん,フォンド生産性の変化そのものは独立変数ではなく,それは投資
効率の変化を通してあらわれる。しかしここで注意すべきことは,短期における投資効率の激しい変化でさえもフォンド生産性指標にはさはど大きくほ響か
ない。投資(仔)はフォンドの増加(d¢)を意味するから,投資効率は基準年次の
フォ・ンド生産性柑する比率に・よって示すことができる。すなあち=γ
である。ここでフオ・ンド生産性指数をグであやわすと,それは次のように・規定
できる。=J塾土4毀
♂=一し
「打
この式を変形すると,次の(5α)式が導かれる。
(5)
」¢ 」/)
1一グ=J−ギ−上ニー
砂o Po
(5(Z)
∠P=意・∠距γ意』少であるから(5摘はさらに・次のように離0
トグ=∠¢(忘・−・蒜)=意(グーγ)
(5∂)
ここでJがフォンドの発展テンポ(意)とγとによってどの云うに決定される かをみよう。(5あ)式を変形すると,
1十一γ
(6)
が導かれる0いま=0・1,γ=0・5とおけば,これからJは
1+0.1×0.5
=0.95
0 =
1.1
となる。このように.,基準年次のフ東ソド生産性(5%)の半分紅等しい水準
まで投資効率が低下しても,フォンド生産性は5%だけ低下するにすぎない0
ソ連紅おける社会的生産効率の変動について −3J−−
223
最後に.フォンド効率の動きについてみると,国民所得の成良率を安定的に維 持するにほ,投資効率の動きと同じような要求が提起される。フオ・ンド効率が 一億であれほ,国民所得のテンポほ低下しない。つまりナ亡−㌃=J(呵÷=1で
あるとすれほ,患=た=1のばあい,国民所得の鮎率は安定的であ
る。いいかえ.れば,国民所得の成昆率が不変であるためにほ,フオ・ンドの成長 率(フォンド生産性が−・定であるばあい)ほ低下しては.ならない0
以上の説明から明らかなように,投資効率や埜産フォンドの動きよりも社会 的労働隼産性の増大が大きい国民経済的な意義をもっている。高い労働生産性 の上昇率を維推するには,岬定の条件のもとでほ鼠民経済的な(平均的な)資 本集約度やフォンド集約度の増大が必要とされる。しかしこれらの増大そのも のは,蓄積率に望ましからざる圧力を及ぼすところの否定的な現象になる。そ れだけでほなく,資本集約度やフォンド集約度の増大の原因ほ,国民経済に.お ける組織,計画化および管理のさまざまの欠陥に起因するのセある。近年に.お けるソ連邦国民経済にみられる効率指標の悪化にこれらの要因が少なからざる 役割をはたしているとみられる。問題ほ,資本集約度やフォ・ンド集約度の増大 が国民経済と個々の部門における労働生産性の上昇率の低下を抑ええなかった 点にある。
第1表に.は国民経済に.おける資本集約度の変化と国民所得の成長率との相互 関係が示されている。投資の生産性を決定するばあいにほ,時のおくれ(ラグ)
Lを考慮にいれる必要がある。この資料で咋資本集約度について3つのヴアリア ントが計算されている。もっともラグを考慮しても,資本集約度の動きにほ本 質的な差ほ.ない。ただラグが長くなれば,その大きさほ.多少低下している。こ
こで関心があるのは,資本集約鱒(またほそあ逆数である投資の絶対的効率)
の動きである。欝1表が示すように,ソ連邦ではこの15年間に資本集約度は2
−3倍に上昇しており,しかも1958年以降において急上昇をみている。最も注 目すべき特徴は,資本集約度の大きさと国民所得の成長率との間には密接な関 連がみられることである。国民所得の成長率が変化しない年に.は,資本集約度 の大きさも安定している。同時に資本集約度が著しく低下した年に.ほ.,国民所
算40巻 隼3・4弓
第1葬 潜太集約度と国民所得の成長率
224
−−1Jご 一
国民所得
の増加
殴〕
65 6.8
6小8 6い8
9.1
10‖2
10.9
7れ1
14、3
9.6 10.6 10.0
9 0 7い0
15 7
投資 (雷万ルー ̄プ)
資 本 集 約 度
去年のヲl募年のラ 1950 9.1
1.94【 7.0
(資料)fOB・CyxoTHH,3¢¢exTHB封OCIbKaIIHTaA♭m)IX BJIO〉Kem摘 Me〉KOTpaCJIeBbleCB兄3Hl1966,CTp・49 算2表 国民経済的資本集約度の動き
国民所得
資 本 集約度
ンド集約
生産ブヵ
得の成長率も大きく高まってい る。・そして逆のばあいには逆の 結果がみられる。次の第2表に は1950−64年のクォン、ド集約度 の動きが示される。
第2表の資料にもとづいてフ ォンド集約度と資本集約度との 正確な相互依存関係を明らかに することはできない。というの ほ,この資料における資本集約 度指標は粗投資を基礎として計 算されているからである。現在 百万ル
ーープル
(資料 前出)
ソ連における社会的生産効率の変動について
−ββ−225
のところ,ソ連邦でほ純投資を公表資料に.よってほ計簸できない。ただこの資 料ほ,前述の分析結果を確認する2っの観点を与・えることができる。まず簡1 に,資本集約度の激しい変化もフォント集約度の動きにはほとんど影響しな い。たとえ.ば1958年に.比べて資本集約度が2倍も高くなった1959鵬68年におい て,フォンド集約度の大きさほ健かに15%高まったにすぎない。第2に,資本 集約度指標がフォンド集約度よりも高くなったとき(1957年と1958年以後の時
期)に.,フォ・ンド集約度の上昇が始まっている。しかし第2表では資本集約度
が不規則変動を示している1957年までの時期に一層してフォ・ンド集約度が高まった原因を説明することができない。このことは恐らく粗投資の資料を利用し たことから生じたものとみられる。
ここでほ.純投資の推計を試みなくてはならない。1960−63年については,投 資が補填と固定フヵーンドめ増加に.どれだけ配分されたかの資料がある。総投資 額に占める補填の割合は,1960年にほ15.6%,61年にほ17・6%,62年にほ餌・5
%,63年に.は22…9%である。このデータ−・を利用して1960−69年に・おける純投 資額を求めると,それは100.2(百万ル十ブル)である。他方同じ期間の牲産
フォ・ンドの増加額を第2表から求めると,92・8(百万ルーブル)に.等しくなり,
それほ牒屯投資額に近似している。したがって純投資額の指標として−,第2表の生 産フォンドの増加額を利用しても大きい誤りはないとみて−よい。第3表の数字
はこの前提のもとに.算定されたものである。第3表に.よると,縄投資の効率が
フォ・ンド牡産性よりも高くなった全期間にフォンド生産性は上身し,逆に純投 資効率が低下したときに.ほフォンド坐産性は低下している。1957年までの期間 におけるフォンド生産性のたえまない上昇は,まさしくこの全期間における純 投資効率がフォ・ンド生産性の基準指標を越えていることに・よって説明される。
また最後の列の数値は(6)式の関連を検討する材料となる○例示として1961年と
1十0.094×0.605 6坤と比較して射う0一課=0潮γ=0・60咋・より,J=−訂画一m−Ⅳ−
=0.965がえ上られる。これと同じ結果を♂=碧空から直接計算することもでき ー ̄1∪●いノもhん「−ノーソぺ〉′JO、 ̄ぺ〉」l叫)′旧/」、L〉 軌P
o′J▼:」ノ
る。196時に・ついては,老=0・106,γ=0・898,J 1十0.106×0.398
0り945
1.10(‡となる。この数字からわかるように.,投資効率は初めのフォ・ンド生産性よりも
226
雄40巻 第3・4号
第3表 生産フォ・ンドの絶対憫効率と純投資効率との相互関係
膚− 3建 一
フヵ・ンド生産 性指数 (♂)
1210
13300ノ 1952
1953 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964
0.4701 O 750
0,.613
08031 1.310・ ̄
∴「
0▲470
0.362 0.230 O 523
8 00 7 1
9 7 4 4 5 5 5 5
0 0 0 0
ー!
(資料前出)
40%は欝=0・4)も低下しているの紅,フォ・ンド生離の大きさは僅か碇5・苧
%だけ低下するに.とどまる。このような計算憺隣接する年毎に計算するこ.とが できるだけではなく,もっと長い期間についても適用することができる。たと えば,1951−58年におけるAP=72(百万ルーブル),d¢=108・5(百万ルーブル),
些
d砂
ご0.696となり,それは1950年の最初のフォ・ンド生産性を1い25倍も上回る。とこノろがツ記1.25,、祭_莞哲=1.04であるから,グ=4土し姓竺上里=1.127 、ヽ ′ヽ1 ¢ 0 99.7 ▲●>−\■ そノ )′J,ソ,〉
2.. 04 1+0・423×0.727
1.423 がえられる。同じ計算を1959−62年についおこなうと,J=
=0.920が導かれる。
ところで労働生産性の動きはどうであったろうか。第4表のデータ」−が示す ように.,最近では社会的労働生産性の上昇率がかなり大きく低下している。こ の午とを直ちに肯定してほならない。というのは,1959−63年においては労働
日の相当な短縮が実施されており,国民経済把ついて平均してみると,過労働 の長さほ10%以上も減少している。このような事実を考慮に.いれると,物的生 産紅おける年間の総労働支出は,1958年紅比べて増加しなかったばかりか,
227 ソ連に.おける社会的生産効率の変動について 叫β5鵬
1963年には2%だけ減少さえしている。1959−63年および1鋸掛∴64年における 労働生産性の年平均上昇率についても修正をほどこすと,第4表の数値は4.6
第4表 社会的労働生産性の動き
年
次指 数 1.国,民所 得 2物的生産の労
働者数 3.社会的労働生
産性 年平均成長率 1国 民 所得 2.物的生産の労
働者数 3け 社会的労働生
産性
(資料) 前出
%と4.8%とでほなく,6.8%紅ならなくてほならない。特転農業における好ま しからざる条件が国民経済の増加に.否定的に.あらわれた196∂年を除外して計算 すると,1959−62年に.おける労働生産性の年平均上昇率はおよそ8%になると いわれ,これは前の8年の数値よりも幾分高くなる。そして−労働日の短縮のも
とで物的生産に.おける労働支出は1年に.1.7%だけ増加されるとすれ身ま,国民 所得の年平均成長率ほ1959−64年に.ぬ.8.8%(1.017×1小068=1.088)となり,ま た1959−62年には10%(1.017×1.08=1.10)となる。このような結果から判断 するかぎり,心配されるはどに国民所得の成長率が緩慢化したとほ考えられな い。最近における資本集約度ヤフォ・ンド集約度の増大と結びついた国民経済匿 おける技術や構造の変化を効率的に.実施する可能性を充分に利用しえなかった こ主は,物的生産に.おける労働支出の削減のもとで経済発展テンポを維持する ために必要なこの増加率を加速化しえなかったことにあらわれている。この結 論ほ,国民経済の個々の部門における労働生産性の動きを示す次の第5表のデ
一夕ー一によって知ることができる。このデータは,労働者1人あたりの年生産
228 箆40巻 第3・4号
・・第5表 労働生産性の動き
ー36 −・
労働坐産性指数 1コニ 業 2・建 設 3、鉄道 輸送
6 5 2 6
3 4 4 2 1 1 ﹁⊥ l
121 130 130 118
131 136 135
119※
149 148 139 _ 136
4 農労働蕉産性年 平均上昇率
1 二1
、℃2.建 設
輪
迫
鉄
3
5..6l 44猟 40
(注)♯1959
(資料)前出
高を示すものであり,これを1時間あたりの生産高でおきかえると,その年平
l 均増加率は.1959−−63年でほ工業8%,建設8・7%,輸送8.6%となり,工兇以 外は1951−55年よりも高くなる。
ところで労働牲産性と投資、亘フォンドの効率の動きは,相互に.関連した性格 と同時に∴矛盾した性格をもつ。そのことから社会的生産の−・般的な効率指標が 必要であるとの考えが導かれる。すでにこのような試みが,Aい1ぺ・ノ−−トキ
ソ
か,以下においてこの問題を検討しよう。ノ−トキンは,「わが国の文献ではい わゆる投資の絶対的効率は……国民所得の増加のこの投資に対する比率によっ
(2)
て測定される」とのぺ,次のように/注意している。「巷産的蓄積フォ・ンドの大部 分は直接間接に.フえ・ンド装備率と労働生産性の向上のために・支出されることを 忘れてはならない。したがって生産的蓄積への投資の経済効率ほ,生産的蓄積 率の効率係数(のギけではなく,労働生産性の上昇率(α)によっても測定される
(2)npoH3BOZLCTBO,HaZ(OrI7TeHHelrIOTpe6JIeHほe1965,CTpl73
229
ソ連における社会的生産効率の変動について
−β7−のであり,前者の係数の低 ̄トは社会にとってほ後者の加速的な上昇に.よって補 填されうる○ このばあいにほ生産的蓄積の総合的な経済効率(占)は引きあげら
(8)
れる。なぜなら,ど=βαであるからだ。川j
ノートキンは・,1958年のソ連経済に・ついてβとαとをそれぞれ1とし,1962年に はβ=0・60,αご1,24,e=0・74との評価をくだしている。そしてここからかれは,
「生二度的蓄積の総合的な経済効率ほ1958年から1962年にかけて,βの低下によっ
(4)
て示される40%ではなく,26%だけで低下した」と結論するのである。
ノートキンに・よって決定された指標(β)は,国民所得成長率の蓄積率に対す る比率であり,さきの記号を用いて示せは,/箪となり,、結局のところ
意(近代経済学では限界資本係数と呼ぶ)であらわされる。
他方,ノー・トキンの計算に・用いられる指標(ど)は,蓄積の生産性指数と労働
生産性指数の積として示されるから,さきの記号でほど=′ぺ芸▲−・ト芸【または J震憲である。この指数のもつ経済的意味ほいったい何であろうか。そのた
めにほ・雲㌃ぎの大きさの内容を検討してみなくてはならない。
ノ−・トキンの指標(£)を社会的労働生産性ではなく蓄積の総合的な効率とし て解釈すべき理由はどこ匿・あるのか,まずその点が何も明らかにされていない。
」/)・J)
軒了 を総合的な社会的労働生産性を示すとする解釈の方がより根拠がある ようにみられる。というのは,その数値ほ労働生産性と同じ測定単位をもつか らである。
ノ−・′トキンのように・,投資の絶対的効率(意)という限界値に・労働生産性
(平均値)を乗ずると、労働生産性は24%だけ増加せず,26一%だけ低下したこと になる0そこでノートキンの指標(ど)をより現実的なものたらしめるためにほ.,
投資の絶対的効率(意)のかわりに〉ォ・ンド生産性(÷)を用いるべきであ る○いま1959−62年一につt、てみると,生産フォンドほ42%だけ増加し,国民所 得は31%だけ増加しているから,1962年に‥おける総生産フォンドの生産性ほ 1958年の仇92紅なる。一この数値を用いて、「修正指標」ざを求めると,ど墓1.男4x
(3】LIaM〉Ke CTp‖ 73サ 74 刷 TaM二蹴e,Crp74
舞40巻 箆3・4寺ヨ
230
−ββ −−
0.92=1.14という結果がえられる。この修正指標ほ社会的生産の効率変化の数 量的評価に.おける不条理を取り除くことができる。
この結果は指数(∈)のいっそう明確な経済的意味を与えない。ノ、−トキンほ,
なぜ効率指標と労働生産性指標とを甜け合せる必要がるかを説明する何らの試 みもおこなって:いない。経済愚のあらゆる結合ほそれらの間に一億の関数関係
が存在するとの仮定を意味する。蛋諾またほ諾のような比率の意味を不
明確にして\おくわけに・ほゆかない。
阻民所得ほ生産資源(労働力とフォンド)鼻に.依存するとのいかなる仮定が
鞭(掴構造に含まれているのであろうか。修正指標意謹を靴っいてとけ
ば, タ/ ̄云肝・/面㌻云
(7)
となる。/盲の大きさは,すべての変数ダ,¢,エの既知数から経験的に決定さ れるものであるから,係数/すは/)の現実値とダ=/ ̄面÷盲 ̄との仮定から計算
きれる数値との差として規定すべきである。ここで/盲を〃であらわすと∴関 数(7)式は次のように書かれる。すなわち,
P=αの0●5エ0◆も
(8)
この式は周知のコップ=ダグラス型の生産関数であり,叫・般的にほダ=α¢αエトα
(1>叱>0)で示されている。ノ−tキンが指標eを構成するにあたって,こ のような事情をどれはど考慮していたかほ.知るよしもない。過去10−15年間に おけけるソ連邦め−・連の統計的な国民経済指標から,α=0.5とみなすことほ 妥当する。
ここで若干の計算を試みよう。指標ダ,¢およびエはいずれも貸弊単位でとら えられるが,各年における労働支出額の尺度として物的生産における労働者の 賃金フォンドをとること紅する。この指標に・関する各年のデーターがないので,
−・応1959年の国民所得紅占める賃金フォンドの割合(0.53)を用いて賃金フォ ンドを推計する。したがって一計静は一定の誤差をまぬがれない。1968年に.おけ る生産国定フォンイおよび流動フォンドの総額ほおよそ320百万ルーブルであ り,また上述の方法に.よって計辞された賃金フォンドほ92百万ルーブルであ る。計算国民所得 ×92 =171.6百万ル−プルとなるが,同年に.おける
ソ連に.おける社会的生産効率の変動について
−β9州−231
現実の国民所得との差ほ僅か1.5%に.すぎない。1964年についてはもっと糖度 が高くなる。その他の年についてほ第6表に示されるとおりである。
国民所得の計算値と現実値との畢離ほ,1963年と1964年を除くと,はば4−−
8%の範囲内にある0したがって比和=比近似的である0生産関数
の幕αと1−αについては0.5以外の任意の数値(たとえば,α=0.6,(1−α)=0.4,またほα=0.3,(トα)=0.7等)をとってみると,結果の精度は大きく低
第6表 国民所得の現実値と計静個(渾位百万ル−プル)
計静所得 鞍= ノ ̄ ̄軒㌃
乗離度
夕月/ち
…∴3芦壬二3≡;
1955F
19叫 1957芦董妻書蔓薯
…………卓
7 9 6 00 3 4 2 3 8 1 0 5 5 9 9 8 4 0 5 3 1 2 4 9 9 9 9 1 2 5 7 8 0 2 4 6 8 1 4 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 3 3
28..41 55い
−
=
;≡貞
1.074 10622
;1…≠‡3……
1.085 1.080 1.067 1.. 062 10400 1uO15 1,011
100.51 189..4】 187..41 1。1
(資料)前出
下することがわかる。(8)式は現代中ソ連経済に適用できる生産関数といってよ い。このような算式が現実に.−・致したのは偶然的であるとの疑問が提起される かもしれない。生産関数(P=α/釘㌻ヱ)の分析は,それが慈意的な経済指数の 組み合せでほ・なく,生産資源と生産屈との現実的な依存関係を示すきわめて単 純な数学モデルであることを確認することができる。
数学的にいえば,こ・こに・示された生産関数は一㌧次同次関数である◇この関数 を用いてわれわれ牲,仕度儲の変化を推計することができる。いま基準年次の 生産関数をJJ=α0/面 ̄丁石で示し,生産フォンドと労働資源がそれぞれ∽倍と〝
籍40巻 辣3・4七 232
一一寸〃 −・・
倍紅増加したとすれば,そのとき生産嵐ほ次のように.あらわすことができる。
凸=飢/祀i瑚/磁・/訂ニ 云=忽/磁■ダ0 (9)
(ただし摘扁憲)
(9)式から国朗得指数を求めると,意一= ㌃/議 またほ′p=ん/ア苗
(10)がえられる。
ここ∴でこの指数形式の壬1三産関数にもとづいて実際のデーターから琴干の計算 を試みよう。1959−64年に‥おける生産フォソド,労働支出(労働日の短縮を考 慮に几、れる),指標αの各指数を(10匿いれると,
′β〒0.93レ1.72×6二面ニ1.22
がえられる。他方,同じ期間の国民所得の現実指数は1.48であり,両者の間に ほかなりの誤差があることがわかる。しかし個々の年虹ついて計算したほあい の誤差と同様に考えてほならない。このような誤差がなければ,指数形式の生
産関数は恐らくわれわれの関心をひかない。国民所得の大きさやその変化を用
いられる生産資源の数塁とのみかかわらしめる通常の生産関数こそが問題なのである。これほきわめて短期把ついて妥当するのであり,技術進歩や生産組 織の変化労働熟練度の増大が起る長期でほさきの生産関数は適鳳できない。
こうしたばあいには.,現実値と推計値との差は望ましからざる誤差では.なく,
むしろそれほ国民経済に.おける生産資源の効率向上,労働の熟練,生産手段の技 術的改乱 その組み合せ方法や生産組織の改善等の客観的な尺度なのである。
これらの社会的生産効率向上の事実を考慮するために.は追加的な帝数d(≠)を 生産関数にいれるぺきである。
ノp=d(≠)・Jα/打÷了完
(11)
とのファクタ−は時間の関数である。われわれがとりあげる期間が長くなれほ なるはど,国民所得の増加において社会的生産の効率向上のほたす役割は大き くなる。ちなみにここで計算を試如う。1959−6畔でほ」(才)==一1・21,
1.34 1956−5時の3年間でほ」(f)こ=7=ご=」意=1=11,1961−62
璃盲預i諏ぎ
233
ソ連紅おける社会的生産効率の変動について −4トー
1.058
」・・=1・029となる0ところが 年の2年間でほ」(才)=訂南扇箭〒扇ニ=謂
3.3 3.89 1951−−64年の全期間把.、ついてみると,d(わ= =1.74
1.95 となり,社会的生産の効率が著しく上昇することがわかる。
しかし異なる長さをもった期間を比較するばあいに.は,d(才)の変化の平均 値,つまり社会的生産効率の年平均上昇率βを計静することが必要である。い
ま〟(才)=(1十β)∫とおくならば,
β=右/須方・…1
(1劫
となるp1951−64年におけるソ連国民経済における生産資源の効率の上昇率が どのように.変化したかを計算して−みよう。
1951−55年におけるオ(f)ほ,
1.71
=1・295
1. a2
1.りfli 56・1.09 であり,.β=5/7二面−1=0.058となる。
1956−58年に・おけるβは0・036(8/訂貞一・1=0・086)19掛−・64年ではβ=6/訂酌 一1=0・032,195ト64年に?いてはβ=14/l頂−1=0・040となる。
この計算鷹巣からいかなる結論が与.え.られるであろうか。ソ連における生産 資源の効率の上昇速度ほ4%であるが,最近の拍年間に‥おける資本主義国のそ れは1・5−2.0%といわれている0その点でほソ連がすぐれているということが
できる。しかし問題は年毎に.社会的生産の効率が低下していることにある。つ
まり51−55年の5..8%から,56−58年の3.6%,59−64年の3.2%への低落をわ
れわれほどのように.判断すればよいのであろうか。ソ連邦紅おける国民所得の伸び悩み,資本集約度およびフォ・ンド集約度の上 昇それ自身は,まだ社会的牲産の効率低下という結論に根拠を与えるものでほ ないが,その上昇率の低下をもたらしたことは分析の示すとおりである。ソ連 邦の国民経済構造は大きな再編過程におかれている。多くの古い部門は急速に
これまでの忠義を失い,新しい部門は必要な程度に.生産能力を開発することに
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辣40巻 算3・4弓
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成功して\おらず,こうしたこと・が,国民経済的効果の増大に丁膚のおくれをも
たらしたとみられる0それと同時に・社会主義経済管理の欠陥が社会的生産効率 の向上に否定的に作用したことも購う余地がない0