Title 大学のまちづくり活動 : 聖学院大学の事例 Author(s) 富沢, 賢治
Citation 聖学院大学総合研究所, No.32, 2005.3 : 150-196
URL http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/de tail.php?item_id=4278
Rights
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150
大学のまちづくり活動││聖学院大学の事例
r.==→ l= =Ef
沢 賢 治
本稿は︑事例研究として︑民間非営利組織の一つの代表的な組織である私立大学を分析対象にとりあげ︑
のまちづくり活動が︑大学と地域社会との連帯をどのようにして︑どの程度実現し︑どこに課題を残しているのかとい 一つの大学
った問題を検討する︒
そのために︑前半で︑事例分析のための理論的枠組みを整理し︑後半で︑事例研究として聖学院大学のまちづくりの
試み
(二
000
上
δO
五年)を取り上げ︑分析す託︒
事例研究のための理論的枠組み
現代社会分析の枠組み
現在︑種々の社会問題を解決するために︑多くの国々でNPOやNGOなどの民間非営利組織が急増し社会的発言力
を強化しつつある︒
サラモンによれば︑民間非営利組織が世界的な規模で増加している主要な原因は︑福祉国家の危機(高負担)︑開発
をめぐる危機(南北格差)︑環境の危機(地球環境)︑社会主義の危機(計画経済の失敗)である︒さらに︑情報技術の
発展と教育レベルの上昇が︑民間非営利組織の形成を容易にしていむ︒
民間非営利組織が今後も世界各地で増加していくとするならば︑経済社会システムの問題としては︑民間非営利組織
の集合を一つの独立のセクターとして認識する必要が生じる︒従来︑経済社会システムは︑家計セクター︑営利企業セ
クタl︑国家セクターという三つの基本的セクターから成ると見倣されてきたが︑二一世紀の経済社会システムは︑民
間非営利セクターを加えた四つのセクターから構成されるものとして分析されることが妥当性をもつことになろう︒
では︑これらの四セクターは︑相互にどのように関連して︑全体としてどのような経済社会システムを形成するので
あろ
うか
︒
四つのセクターの相互関連を示す図解としては︑V・ペストフの図が参考になる(図1︑参照)︒彼は︑社会を構成
する四つの領域︑すなわちコミュニティ(前記の文脈からすると
に対応する)︑国家(公共セクター)︑市場
﹁家
計﹂
(民間営利セクター)︑第三セクター(民間非営利セクターは国際的には第三セクターと呼ばれている)という四つの領
( 3)
一つの三角形の中の四つの小三角形として図示している︒そして︑第三セクターを他の三領域を関係域の相互関連を︑
づける中心に位置づけ︑第三セクターの媒介機能を重視し︑のそれぞれの欠陥を補うものコミュニティ︑国家︑市場︑
として第三セクターのリーダーシップが社会の諸領域の良好な混合システムをつくりだしていくと主張する︒
以下では︑本稿の文脈に対応するようにペストフの図を変更したうえで︑私見を加えながら一二世紀の経済社会シス
テムを分析することにしよう︒
周知のように︑アメリカの社会学者であるR・M・マッキlヴァ1
は ︑
一定の地域で営まれる自生的な共同生活とし
大学のまちづくり活動 聖学院大学の事例 151
ヨ
EI ~~ I
~
福祉三角形
巨~7fIj I
図1
回
巨E
どご込
てのコミュニティと︑特定の利害関心
を追及する人々の結びつきであるアソ
152
シエ
1シヨンとを対置させた︒彼によ
れば︑民間非営利組織も国家も営利企
出所:ペストフ『福祉社会と市民民主主義』日本経済新聞社司 2000年司 48頁。
業もコミュニティから派生したアソシ
エlションだとい﹀つことになるが︑
v
」ー
れらのアソシエーションの﹀っちでも︑
コミュニティの生活上の種々のニ1ズ
の実現を図る民間非営利組織はコミユ
ニティに直結する組織だということに
なる
社会をコミュニティとアソシエlシ ︒
ョンに大別すると︑図2のような概念
図を描くことができる︒図2において
は
﹁コ
ミ︑
ユニ
‑ア
ィ﹂
は︑家族を中心
とする生活の領域であり︑
﹁ア
ソシ
エ
ーシ
ョン
﹂
は︑その生活を支えるため
の組織の領域である︒
ペストフの図では︑アソシエl
ショ
私的領域
十 十 公的領域 コミュニティとアソシヱーション
図2
コミュニティ 非組織
組織
アソシ工ーション
ンはフォーマルな社会領域︑コミュニティはインフォl
マルな社会領域として図示されている︒
フ
オ
マ ノ レ に
組織されている﹂﹁たとえば︑定期的なということは︑
会合をもっ組織︑幹部スタッフを持つ組織︑手続き規定
をもっ組織︑法人格をもっ組織など︑
( 4)
をもっ組織であること﹂を意味する︒ 一定程度の継続性
人間の生活の生物学的な目的が︑すべての生物に共通
する
︑
﹁個体の維持と種の保存﹂であるとすれば︑
ー寸
コ
、
、
ユニ
ティ
﹂
は︑命を守り育てる領域であり︑
﹁ア
ソシ
エ
ーション﹂は︑命を守り育てるための組織の領域である︒
ある
いは
︑
コミュニティは︑家族を中心とする私的な場
であるのに対して︑アソシエーションは家族の壁を越え
て共通する問題の解決をめざすパブリックな場である︒
また︑生産と消費という経済学的観点から見るならば︑
コミュニティは︑﹁人間の生産と再生産﹂をはかるため
の生活手段の消費の場であり︑アソシエーションは︑生
活手段をコミュニティに提供する生産の場である︒
国家や営利企業が形成される以前の原始的な社会は︑
図2に近い社会であったと思われる︒コミュニティが社
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 153
¥
、
営利 社会の4領域の相互関連
非 営 利 、 ¥ 図3
/ず民間 国家/
非組織
組織
会の大きな領域を占め︑アソシエーションの領域は比較
的小さかったであろう︒やがて国家が形成されると︑
154
ノ¥。
ブリックな場は︑国家により代表され(あるいは独占さ
れ)︑営利企業が一般化すると︑営利活動の場が︒ハブリ
ックの領域から独立して一つのセクターを形成するよう
になる(そして︑やがて市場原理が社会全般を支配する
よう
にな
る)
︒
﹂のようにパブリックな場から国家と営
利組織が派生した結果︑アソシエーションの領域は︑概
念的には︑国家セクター(第一セクター)︑民間営利セ
クタ
l(
第二
セク
ター
)︑
および民間非営利セクター(第
三セクター)に三分割されて認識されるようになる︒こ
のようにして︑社会は︑①組織集団(アソシエ1
ショ
ン)か非組織的集団(コミュニティ)か︑②国家組織か
民間組織か︑③営利組織か非営利組織か︑
とい
﹀つ
三つ
の
メルクマールによって四つの領域に区分されて認識され
るようになる︒図3は︑この四つの領域の相互関連を示
して
いる
︒
図2
は ︑
コミュニティがアソシエーションによって支
えられているということを図示している︒
アソ
シエ
1シ
ヨンは︑本来は︑生活の場としてのコミュニティが抱える生活上の種々の問題を解決するために形成された組織であ
る︒図3
では
︑
コミュニティを支える土台としてのアソシエーションが︑三つのセクター(国家セクター︑民間営利セ
クタ1︑民間非営利セクター)に大別されているが︑これはそれぞれのセクターが異なった仕方でコミュニティを支え
るために活動しているということを示している︒いわば機能別分類による図示である︒
前述のように︑経済社会の構造という観点からすれば︑コミュニティは消費(生活)の領域であり︑他の三つのセク
ターはすべて生産(生活のための財とサービスの供給)の領域であると理解されうる(端的に言えば︑コミュニティは
﹁人
づく
りの
場﹂
﹁も
のづ
くり
の場
﹂
であ
り︑
である)︒生活のための財とサービスの供給の仕方アソシエーションは
が︑それぞれのセクターで異なるために︑セクターが三分類されている︒
人類史という観点からすれば︑すべてはコミュニティから始まる︒原始社会においては︑すべての機能がコミュニテ
ィに含まれていたが︑やがて︑財とサービスの提供の仕方が異なることから︑三つのセクターが独立していったものと
理解
され
うる
︒
インフォーマルな領域(コミュニティ)が相対的に縮小して︑フォーマルな領域が拡大するのが︑近代社会の特徴で
ある︒近代社会の特徴を端的にあらわすものとして
﹁身
分か
ら契
約ヘ
﹂
(H
・J
・メ
l
ン ) ︑
﹁ゲマインシャフトからゲ
ゼルシャフトヘ﹂
( F
・テ
ンニ
l
ス)
(英
訳は
号︒
5855ロ
E q g ω
︒ ︒ ‑ o q )
という表現が用いられる︒これは社会関係が
個人の伝統的社会への帰属によって決定される社会から︑自由な個人間の合意によって決定される社会への歴史的変化
を示している︒あるいは︑コミュニティ︑すなわち血縁・地縁関係による人の結びつきから︑伝統的共同体から解放さ
れた自由な個人の自発的意志によるフォーマルな組織の形成という歴史的動向を示している︒
図3
のう
えで
︑
コミュニティと民間非営利セクターを合成すると一つの菱形が形成される︒この菱形は生活領域とし
てのコミュニティと生活上のニlズの実現を図る社会組織の領域とから成るので︑﹂の観点から見ると広い意味での
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 155
﹁生活領域﹂としてくくることが可能である︒
また︑国家セクターと民間非営利セクターを合成すると別の菱形が形成される︒この菱形は︑公共領域そのものであ
156
る国家セクターと市民社会レベルで公共的目的の実現を図る民間非営利セクターとから成るので︑この観点から見ると
広い意味での﹁公共領域﹂としてくくることが可能である︒
さらに︑この二つの菱形を重ねると︑民間非営利セクターは︑生活領域と公共領域が重なる領域として現れる︒すな
わち︑民間非営利セクターは︑
なお︒公共性は本来的には社会構成員の一般的利益として存在し︑社会の構成員が形成すべきものであるという見解か コミュニティに根ざして︑且つ公共的目的の実現を図る社会組織の集合体ということに
らすれば︑第一セクターを電話
B E g s
な領域︑第二セクターを古江}
gg
な領域︑第三セクターを宮
σ聞のな領域として
特徴づけることも可能である︒
2
一二世紀経済社会の展望
コミュニティと三つのセクターとの関連を人類史的観点から見ると︑原始社会ではコミュニティが支配的な位置を占
め︑農業社会では第一セクター(権力機構)が支配的な位置を占め︑工業社会では市場が拡大して第二セクター(民間
営利セクター)が支配的な位置を占め︑第三次産業と情報化が進展するポスト工業社会では第三セクターと市民社会が
発展する可能性が生じる︑ということになる︒
そして︑市民社会の発展は市民社会と国家との関連を変化させることになる︒サラモンは非営利組織の世界的な急増
現象をグローバルな規模での
﹁結
社革
命﹂
( g ω
︒江
主︒
ロ包
括g
‑ E
Z ロ)の進行として把握し︑その歴史的意義についてつ
ぎのように述べている︒﹁こうしたグローバルな第三セクターを形成する無数の自立的民間組織は︑利益を株主や役員
に配当することを目的とする利益組織とは異なる存在であり︑国家の枠組みの外側で公共の目的を追求している︒こう
( 6)
した組織が世界的に拡散していけば︑国家と市民の関係が永続的に変化する可能性がある﹂︒さらに言うならば︑これ
は結社革命による市民革命の実現をも示唆するものである︒従来︑市民革命は市民が政治権力の主体になるという政治
革命として理解されることが多かったが︑結社革命による市民革命は社会総体に係わる社会革命である︒すなわち︑政
治権力を奪取することから始まる政治革命ではなく︑市民社会における住民の連帯の力を基礎にして︑社会の総体(経
済︑社会︑政治︑文化の各領域)において市民が主権者になっていく過程を重視する革命である︒住民が主体的に組織
する各種のアソシエーション
( S E E S ‑
守Z8
込
ω 山
ω ︒
︒
rE
︒ ロ
ω )
を基盤にして社会の基底から積み上げていく革命とも言
﹀ え LJ T7 ︒
この市民革命の基本的理念はなにか︒フランス革命以来︑近代社会は自由︑平等︑友愛のバランスのとれた社会の実
現を目指してきた︒このような社会はまだ実現していない︒一二世紀の人類はいぜんとしてこの理念の実現を追い求め
るで
あろ
う︒
では︑自由︑平等︑友愛のバランスのとれた社会はどのようにして実現可能となるのであろうか︒上記の三つのセク
タ1の相互関連が問題を解く鍵となろう︒
三つのセクターのそれぞれを支える基本的な理念はなにか︒第一セクターは平等であり︑第二セクターは自由であ
り︑第三セクターは友愛あるいはその現代的概念である連帯だと言え託︒
民間非営利組織は︑近代的な市民社会において独立した個人を結びつけるうえで大きな役割を果たしうる︒市民社会
は伝統的共同体から自由になった個人としての市民が構成する社会であるが︑共同体からの自由は一面では個人の孤立
化を生じやすい︒個人と全体社会をつなぐ役割を果たすのが中間集団であるが︑種々の中間集団のうちでも個人の主体
性をもっとも発揮しうる集団形態は自発的結社としての民間非営利組織であろう︒民間非営利組織は市民社会における
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 157
公共的活動を通じて諸個人を結びつけ︑グラスル1ツから公共性をつくることによって︑市民社会内部における新たな
コミュニティを形成する機能をもちうる︒この意味で︑民間非営利セクターは連帯機能をもっ︒
158
図3が示すように︑民間非営利セクターは︑経済社会に占めるその位置からして︑社会問題の解決を目指して他の三
つの社会領域(コミュニティと国家と市場)との連携をとりうる領域でもある︒
このように︑第三セクターは︑内的にも外的にも︑連帯することを基本的な理念としている︒
一九世紀の資本主義社会は自由を︑二O世紀の社会主義社会は平等を追求した︒しかしながら︑自由至上主義も平等
至上主義もそれだけでは社会運営の原理としては不十分であることは︑歴史の実証するところである︒自由原理と平等
原理の同時実現を図るためには連帯原理が不可欠である︒自由と平等と連帯という三本足に支えられることによって社
会はその安定性を確保できるのである︒
一二世紀は︑このような意味で︑自由と平等と連帯のバランスのとれた社会運営を追求する世紀となろう︒経済体制
としては︑自由原理にもとづく営利企業セクター︑平等原理にもとづく公共セクター︑連帯原理にもとづく民間非営利
セクター︑という三つのセクターのベストミックスを追求する混合経済体制が試される世紀となろう︒
自由な個人が平等な権利をもって連帯し協力しあえる社会︑活発なコミュニケーション活動にもとづいて世界に向か
って聞かれた社会が目指されることになろう︒
では︑民間非営利組織は︑どのようにして社会の連帯機能を発揮しうるのであろうか︒以下の事例研究においては︑
このような観点から︑民間非営利組織の一つの代表的な組織である大学を取り上げ︑一つの大学のまちづくり活動(聖
学院大学︑二
00 0│
二OO
五年)が︑大学と地域社会との連帯をどのようにして︑どの程度実現し︑どこに課題を残
しているのかといった問題を検討する︒
II
聖学院大学のまちづくり活動
コミュニティ政策学科の創設
聖学院大学は埼玉県上尾市にあるミッションスクールである︒本学には︑﹁神を仰ぎ︑人に使う﹂という建学の精神
がある︒教育理念としては教育基本法を基礎に聖学院独自の理念を展開している︒教育基本法によれば︑教育の目的は
﹁人
格の
完成
﹂
であり︑教育方針としては︑﹁実際生活に即し︑自発的精神を養い︑自他の敬愛と協力によって︑文化の
創造と発展に貢献する﹂教育が重視されている︒
聖学院教職員は︑﹁オンリーワン・フォ!・アザ1ズ(他者のために生きる個人)の教育﹂を実践することによって
﹁人格の完成﹂をめざし︑﹁﹃人々に最も良く仕えることが社会を導いていく﹄という確信のもとに︑サ!ヴアント・リ
ーダ
1シップをもって責任を果たす﹂(﹁聖学院教育憲章﹂二
OO
二年)という教育理念を持っている︒
また︑本学には一Oヵ条の理念がある︒その第五ヵ条では︑﹁本大学は:::聞かれた大学として︑プロテスタント・
キリスト教の精神をもって国際化した時代と激動する社会︑および地域の問題にも積極的に取組み︑創造的な活動をす
るこ
とに
よっ
て︑
そのキリスト教的︑文化的特色を発揮することを期する﹂と述べられている︒
本学は︑二000年に政治経済学部コミュニティ政策学科を増設することによって︑地域の問題に積極的に取組み︑
創造的な活動を行うことを内外に表明した︒一九九九年に文部科学省に提出した文書である︑コミュニティ政策学科の
﹁設置の趣旨及び特に設置を必要とする理由﹂には︑つぎのように記されている︒
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 I59
﹃コミュニティ政策学科﹄は︑今や本格的に始まろうとする地方分権の時代への聖学院大学の新しい積極的
160
な対応として構想されたものである︒﹂﹁来るべき地方の時代において︑地方自治の明確な理念をもち︑その
理念の実現と展開への知識と技能をもっ新時代の担い手の養成は︑緊急に取り組まねばならない課題となっ
ている︒﹃コミュニティ政策学科﹄は︑この必要に応じて設立されるものである︒﹂﹁﹃コミュニティ政策学科﹄
は:::新しい地方自治の指導者を養成するために設置される︒
2
コミュニティ政策学科の特色
二OO
五年
一月
︑
コミュニティ政策学科の教員会議は︑学科創設以降の五年間を点検し︑学科形成の展望をつぎのよ
うにまとめた︒
( 1 )
コミュニティ政策学科の理念
﹁神を仰ぎ︑人に仕える﹂という大学のモットーから導き出されるコミュニティ政策学科の理念は︑
﹁神
を仰
ぎ︑
コミュニティに役立つ研究・教育を行う﹂ことである︒
( 2 )
学科のモットー
間]
兄島
Nm w民
︒ロ
(色
︒ g ‑ ‑ s z ︒
ロと
‑︒
︒怠
Nm wt
︒ロの同時進行)という時代背景に即して︑己同宮町位︒σ包
‑F Rニ
︒︒
巴守
・を
コ
ミュニティ政策学科のモットーとする︒
その
さい
︑
g B
B C
D ‑
・q 8
BB
ロ 巳 g
︒z
pn
R. めという三つのキーワード
(3
C)
を重
視す
る︒
( 3 )
コミュニティ政策学科の教育の特色
( i )
どのような人を育てるか
①﹁新しい地方自治の指導者を養成する﹂(﹁設置の趣旨﹂)
②世界的な視野を持ち︑地域社会を担う人(まちホつくりに貢献できる人)を育てる︒
その
ため
に︑
とりわけコ
ミュニケ!ション能力(英語︑パソコンなどの能力)を向上させる︒
( H U )
教育の方法
①ゼミ中心の教育
﹁面倒見のよい大学﹂﹁少人数教育﹂という大学の教育方針を受けて︑コミュニティ政策学科では︑ゼミ中
心の教育を行い︑教員と学生︑学生同士の密接な人間関係(コミュニティ)をつくる︒そのために一年生か
ら三年生までの通年ゼミを必修とする︒一つのゼミに所属する学生数は一O
名程
度と
する
︒
四年生の卒業論
文は
選択
とす
る︒
②教育内容の改善
学科は︑行政系︑経営系︑情報系という三つのコlスをもっている︒地方公務員志望者の教育という︑
ミュニティ政策学科設立時の志向性を強化するだけでは︑教育内容として不十分である︒従来の志向性(行
政系)を強化するとともに︑民間で活躍しうる人材の育成を図るために︑あわせて経営系と情報系を強化す
る必要がある︒行政系︑経営系︑情報系のそれぞれの特色を明確にしつつ︑三つの系の有機的連携を図り︑
全体としては︑地域社会の担い手づくりという志向性を打ち出す︒
A
経営系の強化︒公務員だけでなく︑民間で地域社会を担える人材を育てる方向に志向性を広げるべき
だ︒すなわち︑地元企業︑コミュニティ・ビジネス︑NPOなどの担い手を育てるという教育も重
コ
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 161
視していく必要がある︒
B
情報系の強化︒行政系︑経営系︑情報系の三本柱の共通基盤となるのは︑コミュニケーション能力の
r62
育成
であ
る︒
コミュニティ政策学科の卒業生はコミュニケーション能力に優れ︑広範な分野で活躍し
うるエネルギーをもっているという社会的評価を確立すべきである︒
C
地域社会の担い手づくりという志向性を明確に打ち出し︑﹁まちづくり﹂を基本的コンセプトとして
カリキュラムを再編成する︒
(⁝
m) NP
Oとの連携
コミュニティ政策学科の有志は︑大学と地域社会との連携を図る組織として二
OO
一年
に
NPO
﹁コ
ミ﹄
ユニ
ティ活動支援センター﹂を創設した︒コミュニティ政策学科を﹁まちづくり﹂の研究・教育センターとして組
織するとともに︑その研究・教育成果を実践に移すための組織として︑NPO﹁まちづくり支援センター﹂を
位置
づけ
る︒
そして︑両者の連携によりコミュニティ政策学科の特色をだす︒
学生の全人格的な成長のためには︑座学と社会的実践活動との結合が必要である︒現に︑NPO
﹁コ
ミ︑
ユニ
ティ活動支援センター﹂
の学生メンバーは︑地域社会の担い手となるべく︑種々の現場で実地体験をしてお
り︑体験を積むことによって成長している︒
3
総合研究所
聖学院大学総合研究所の研究プロジェクトとして﹁地域とアソシエーション﹂をテ1マとする研究会が︑一九九九年
度から二
OO
四年度までの六年間開催された︒表
lに見られるように︑初年度の一九九九年度には︑すでに大学とN
P
との連携についての研究が開始されている︒Oコミュニティ政策学科が創設された二
000
年度になると︑聖学院大
学を基盤として大学と地域社会を結ぶNPOを創設する構想が検討され︑二
OO
一年度にはその構想が実現され︑特定
非営利活動法人﹁コミュニティ活動支援センター﹂が創設された(表1
参照
)︒
二OO
二年四月に聞かれた地域通貨にかんする研究会には飯坂良明学長が参加したが︑これを契機として同年七月に
は地域通貨﹁デナリ﹂の発行と学内流通が学長直轄プロジェクトとして開始された︒
二OO
二年度には︑また︑行政と市民との協働についての研究が開始された︒研究と並行して︑NPO
﹁コ
ミ︑
ュニ
‑ア
ィ活動支援センター﹂は︑の企画・運営の事業を委託され︑協働を実践さいたま市の主催する﹁まちづくりセミナー﹂
することになった︒二
OO
二年には︑上尾市主催の﹁あげおふるさと学園・まちづくりコ!ス﹂の企画・運営にも参加
し始めた︒この協働の実践は︑総合研究所の研究に反映された︒
また︑﹁地域とアソシエーション﹂研究会メンバーの富沢賢治(コミュニティ政策学科の学科長︑コミュニティ活動
支援センターの事務局長)は︑①さいたま市総合振興計画審議会・教育市民部の部会長(二
OO
一ー
ー三
年度
)と
して
︑
﹁市民と行政の協働﹂を﹁都市づくりの基本理念﹂とするさいたま市総合振興計画の﹃基本構想﹄(二
OO
二年一二月)
と﹃基本計画﹄(二
OO
四年二月)の作成に参加し︑②﹁上尾市NPO
協働
まち
ゃつ
くり
推進
委員
会﹂
の委員長(二
OO
二
ー三年度)として﹃上尾市市民活動調査書﹄(二
OO
三年三月)と﹃上尾市NPO協働まちづくり推進計画書﹄(二
00
四年三月)の作成に参加し︑③二
OO
三年度には埼玉県NPO活動情報サポート検討委員会委員として県の情報サポ1
トのあり方を検討し︑④二
OO
四年度以降は上尾市生涯学習推進市民会議の会長として上尾市教育委員会と市民の協
働を推進することになった︒このようにして︑大学の研究活動と協働の実践とは相互に支えあう関係になっていった︒
二OO
三年度になると﹁地域とアソシエーション﹂研究会は︑まちづくりの具体案の作成に取り掛かった︒
二OO
四年二月の研究会では﹁地域と地域をつなぐ﹂というテ1マで︑大学が位置する上尾市戸崎地区のまちづくり
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 163
表1 地域とアソシエーション研究会一覧
1999年度 1999年 5月12日 ベンジャミンフランクリンとアソシエーション 梅津順一(政治経済学部教授) 1999年 7月7日 アメリカのボランティア・アソシエーションあれこれ 柴田史子(人文学部助教授)
1999年11月10日 精神障害者の地域生活ネットワーク 結城俊哉(人文学部助教授)
1999年12月8日 NPOの現状と課題一一大学の役割との関わりで一一 山岡義典(日本NPOセンター事務局 長)
2000年 2月14日 「大学とNPOの現状と課題J 中村陽一(都留文科大学助教授)
2000年度 2000年 5月18日 NPOセンターとの協力体制について 中村陽一(都留文科大学助教授)
2000年 7月12日 大学と地域のかかわりについて 富沢賢治(政治経済学部教授)
2000年11月15日 大学と地域社会を結ぶ一一聖学院を基盤とするNPO構想、 富沢賢治(政治経済学部教授) 2000年11月29日 大宮市におけるボランティア活動の現状と今後の課題 金尾美知子(大宮市ボランティア連
絡会会長)
2001年 2月28日 アメリカの地域における成人保護サービス 増田公香(人文学部専任講師)
2001年度 2001年 5月30日 介護施設のサービスと経営効率 瀬名浩一(政治経済学部教授)
2001年 6月27日 藤枝市の『市民活動の調査』 (財)地方自治研究機構との打合せ
2002年 1月30日 藤枝市市民活動調査結果について 平修久(政治経済学部教授)
2002年度 2002年 4月17日 地域通貨について 柴田武男(政治経済学部助教授)
2002年 6月14日 上尾市における市民活動‑町内会・自治会とNPO 内田雅幸(上尾市職員)
2002年 7月17日 子育てネットワークの活動 鈴木玲子(子育てネットワーク代表)
2002年10月30日 行政とNPOとの協働一一上尾市の事例 山崎照正,上山英樹(上尾市NPO担当)
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r w H 2003年度 2003年 5月14日 行政と市民の協働‑労働者協同組合の事例 菊 池 謙 ( 協 同 総 合 研 究 所 )
岡本章寛(労働者協同組合センター 事業団)
2003年 7月16日 上尾市のNPO協働推進計画の策定について 高 橋 昭 (NPOあげお未来フォーラ ム21代表)
2003年12月17日 地域社会と大学を結ぶN P O ‑コミュニティ活動支援 富沢賢治(コミュニティ政策学科長・
センターの事例 教授)
2004年 2月25日 地域と地域をつなぐ 長津義春(上尾市戸崎地区まちづくり
協議会長)
須賀隆夫(宮原駅西口まちづくり協 議会会長)
2004年 3月10日 宮原駅西口地域のまちづくりの問題点を明らかにして 高橋秀明(元埼玉県特別秘書)
解決策を探る 田中 昇(イエローサブマリン社長)
2004年度 2004年 7月21日 「市民活動とまちづくり一一宮原駅西口地域の事例」 須賀隆夫(宮原駅西口地域まちづくり 協議会会長)
高 橋 良 ( さ い た ま 市 会 議 員 )
2004年12月15日 宮原駅西口地域のまちづくりマップ 東内勝美(東内建築設計事務所・一級
建築士)
2005年 1月24日 協働によるまちづくりの手法 須賀隆夫(宮原駅西口地域まちづくり
協議会会長)
東内勝美(東内建築設計事務所・一級 級級級建築士)
高 橋 良 ( さ い た ま 市 会 議 員 )
協議会の会長と宮原駅西口まちづくり協議会の会長を報告者として︑両地域のまちづくりの現状と課題について検討し
た︒両協議会は︑隣接地域でありながら︑驚くべきことにそれまで互いの存在を知らず︑会長同士もこの研究会ではじ
166
めて顔をあわせるという状況であった︒大学は︑両地域にまたがっているために︑大学周辺のまちづくりのためにはま
ず﹁地域と地域をつなぐ﹂ことから始める必要があった︒
上尾市戸崎地区まちづくり協議会の長津義治会長は︑つぎのような報告を行った︒
本協
議会
は︑
一九九六年に活動を開始し︑月一回程度役員会を開催し︑﹁戸崎まちづくりニュース﹂を刊
行し
てい
る︒
さらに︑まちづくりのあり方を検討し︑﹁戸崎まちづくり憲章﹂をつくった︒二
OO
二年一二
月の里山の清掃活動の際に︑コミュニティ活動支援センターの人びとが参加したので︑これを契機に聖学院
大学との交流が始まった︒二
OO
三年には協議会︑コミュニティ活動支援センター︑大谷公民館の主催で
﹁ソパ栽培﹂を行い︑種まき︑手入れ︑刈入れ︑ソバ打ちとすべての作業を協同で行い︑住民と大学との交
流が深まった︒大学とコミュニティ活動支援センターが中心となって︑これまで交流がなかった地域と地域
を結びつける本研究会の試みは︑高く評価できる︒
宮原駅西口まちづくり協議会の須賀隆夫会長は︑つぎのような報告を行った︒
三OO
三年四月に宮原西日商工会とコミュニティ活動支援センターなどが中心になってまちづくり協議会
を創設した︒高齢者︑障害者を含め︑だれでもがしあわせに暮らせるまちづくりを目的としている︒聖学院
大学も協議会のメンバーになっているので︑学生の参加も活発である︒まちのゴミ拾い︑﹁ふれあいフェス
タ‑ m
宮原﹂﹁小学生の絵画展﹂などを主催してきた︒協議会創設以来まだ一年であるが︑地域における人と
組織のネットワークが広がり︑活動内容が深まってきている︒今後は戸崎地域の人びととの交流も深めたい︒
地域にある貴重な資源(人や物や知識など)を持ち寄って︑たんなる足し算ではなく︑相乗効果を生み出す
ことができれば︑素晴らしいまちづくりができる︒この地域をまちづくりのモデルにしたい︒大学とNPO
がリーダーシップを発揮してもらえるとありがたい︒
この研究会(二
OO
四年二月)を契機として上尾市戸崎地区まちづくり協議会と宮原駅西口まちづくり協議会の連携
関係が始まり︑大学側としても︑行政区に縛られずに大学を一拠点とする生活区としてのまちづくりの必要性を自覚す
るに
至っ
た︒
﹁宮原駅西口地域のまちづくりの問題点を明らかにして︑解決策を探る﹂をテlマとする二
OO
四年三月の研究会で
は︑大学を拠点とする生活区として︑高崎線宮原駅から大宮花の丘農林公苑に至る大学周辺地域が具体的な検討対象と
されるようになった(一九O頁の図4
︑参
照)
︒
元埼玉県知事特別秘書で政策立案の専門家である高橋秀明は︑﹁宮原地域をまちづくりのモデル地区にしたい﹂と述
べ︑そのポイントとして︑①人的資源の活用(とりわけ団塊の世代に注目︒退職後に地域に戻る︒その知恵や技術を
まちづくりに活かす)︑②高齢者介護の問題︑③地域の拠点づくり︑を挙げ︑地域まちづくり協議会と聖学院大学との
連携の重要性を強調した︒
宮原駅前にあるホビlショップ﹁イエローサプマリ1
ン ﹂
の田中昇社長は︑﹁ふれあいフェスタhみやはら﹂と同時
に開催される小学生絵画展の発案者である︒この絵画展を契機にして小学生や先生もまちづくりに参加するようになっ
てき
た︒
田中
によ
れば
︑
まちゃつくりの一つの成功事例として島根県境港市の﹁ゲゲゲの鬼太郎﹂博物館がある︒そこで
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 167
は住民が﹁くだらないこと﹂を大真面目に取り組んで︑まちを挙げての運動に広げている︒ここに年間四O万人が訪れ
たという︒まちの人が心を一つにして取り組むことそれ自体が︑まちづくりにつながる︒まちには自然︑人︑物︑金︑
168
文化などがある︒宮原には︑鴨川︑逆川︑地場産品︑それに聖学院大学などがある︒これらは︑活用次第でまちづくり
のための貴重な資源となる︒まちの人が心を一つにして取り組むためには︑参加型・地域密着型イベントを住民主体で
開催
し︑
それをまちづくりにつなげることが必要である︒
二OO
四年七月の研究会では︑まちづくりの問題点を環境・景観の問題に絞り込み︑事例として﹁逆川﹂をとりあげ︑
つぎのような報告がなされた︒
①問題の所在(司会︑富沢)
宮原駅から聖学院へ行くパス通りの︑駅よりのところを逆川が横切っている︒この川は汚くなってしまったので︑
支 ﹄
いたま市としては下水道扱いにしている︒住民のあいだには︑川を地下に潜らせて上を遊歩道にするほうがよいという
意見の人もいれば︑せせらぎをよみがえらすほうがよいという意見の人もいる︒行政側では︑まず住民の意見をまとめ
てほ
しい
とい
﹀つ
こと
にな
って
いる
︒
では
︑
どのようにすれば︑住民の希望はかなえられるのか︒
②市民活動の立場(宮原駅西口地域まちづくり協議会の須賀隆夫会長)
宮原駅西口地域まちづくり協議会は︑商工会や聖学院大学など地域の主要な組織が構成メンバーとなって二
OO
三年
四月に発足し︑この一年間で︑まちの清掃活動を三回︑﹁みんなが住みやすいまちの将来図﹂をテ!マとする小学生絵
画展を一回行い︑﹁富国﹀﹂というタウン紙を第四号まで発刊してきた︒
絵画展の子供たちの絵の中には︑﹁川の水がきれいであってほしい﹂とか﹁緑があってほしい﹂といった願いのこも
った絵がかなりあった︒これらの活動をしているうちに逆川の問題が少しずつ浮かび上がってきた︒
逆川を下水と位置づけている行政と住民との聞には認識に大きなズレがある︒住民としては小川としての昔の逆川を
ぜひ復活してほしい︒豊かな自然が豊かな心を育てると考えると︑逆川を復活させないで宮原の豊かさはないという気
さえする︒この地域には財産としての逆川︑鴨川︑聖学院大学︑花の丘公苑︑緑がいっぱいの戸崎がある︒それらの財
産を活かした︑個性豊かなまちづくりをしたい︒
③議員の見解(高橋良・さいたま市議会議員)
議員の重要な役割は︑市民の声を政策に反映することである︒逆川の問題は︑さいたま市や北区という地域全体の枠
組みの中で検討する必要がある︒都市計画の観点からすると︑逆川は︑下水道として生活雑排水や汚水を流すだけでは
なく︑雨水幹線としての役割を持っている︒大雨が降ると︑逆川に集まった水をいち早く鴨川に流す︒
逆川をせせらぎとして再生するためには︑水源の問題がある︒アスファルト舗装の道では雨水は側溝に流れ︑別な経
路で荒川に流れる︒山や森や雑木林など伏流水の流れるところも少なくなっている︒
まちづくりの中での逆川の位置を考えると︑ゾーンという観点から︑駅︑学校︑公民館などの拠点を有機的に結びつ
けて考える必要がある︒たとえば︑逆川や鴨川に沿ってサイクルロ1ドや遊歩道をつくれば︑三貫清水や花の丘公苑を
結べ
る︒
逆川に関しては︑両岸に道のないところは川の上に遊歩道をつくり︑その他のところはせせらぎにするのがよいと思
う︒いろいろな意見があろうから︑皆で話し合って具体案をつくり︑住民側から行政側に提言することが必要だ︒
大学のまちづくり活動一一聖学院大学の事例 169
④ 討 論
佐藤(さいたま市・政策企画部・コミュニティ課・市民活動支援室)逆川に関して住民の案をまとめることはよいこ
170
とだと思う︒しかし︑逆川の問題だけを提案しても︑たぶん行政は受けとめない︒逆川を含めて︑周辺の街並みをど
うしたらよいのか︑まちづくりの中で逆川はどういう役目を持っているのかという︑ある程度広いエリアで案をまと
めておく必要がある︒そのためには︑聖学院大学が良い役割を果たしうるのではないか︒
阿久戸(聖学院大学・学長)日本社会の再建は︑基本的には地域から始まる︒地域住民と大学の共存共栄は︑聖学院
大学の基本的な政策である︒まちづくりのためには大学も応分の役割を担っていくつもりである︒コミュニティ政策
学科
も︑
コミュニティに貢献する学科にしたい︒最近︑埼玉県知事とさいたま市長と会い︑地域の問題についても話
し合いをすすめている︒
聖学院大学は︑地元の人たちの熱い要望に応えて︑最近ビオト1ブをつくりホタルの再生を試みた︒それには非常
に象徴的な意味がある︒日本の急速な近代化のなかで自然の生態系が大きくを変えられていることを考えると︑人間
が傷つけた自然を少しでも再生させるということは非常に大きな意味を持っている︒ホタルの再生に熱心なあまり︑
﹁ホタル学長﹂などと言われて︑多くの人びとに部撤された︒しかし︑﹁どんなに時間がかかっても︑ホタルや鴨川や
逆川に向けられている人間の目が本当に優しければ︑絶対に自然はよみがえってくる﹂というある教員の言葉に大き
な感銘を受けた︒一世代ではできなくても︑若い世代が継承していけば︑すばらしい地域がつくれると信じている︒
国間橋(さいたま市・市議会議員)宮原駅から逆川と鴨川を見たのでは︑まちづくりの絵は画けない︒聖学院大学から
まちを見る必要がある︒聖学院大学が城だとすれば︑鴨川が内堀︑逆川が外堀︑荒川が大堀となる︒それに花の丘公
苑が
ある
︒
一つのまとまりのある地域を見渡すうえでは︑聖学院大学はまさに城の位置にある︒宮原駅と日進駅とい
う玄関口が二つあって︑背後に花畑がある︒非常にいいロケーションだ︒聖学院大学を中心とするまちづくりの構図
を検討すべきだ︒
阿久戸聖学院大学の種々の建物を扇状に位置付けて見ると︑この扇には中心があることがわかった︒
さらに︑航空 写真で見ると︑丘陵や建物が扇状の外縁にある︒このように見ると︑大学の発展が自然の景観に不思議にも合って
いる
︒ 高 橋
どこに支点を持ってまちづくりをするかということは︑非常に大事だ︒
二OO
四年二一月の研究会では︑これまでの研究会の成果のふまえて東内勝美(一級建築士)が作成した︑環境・景
観問題の見地からする﹁宮原駅西口地域のまちづくりマップ﹂に即しながら︑大学周辺のまちづくりの問題が具体的に
検討された︒
東内は︑宮原駅・日進駅・逆川全流域・鴨川・三貫清水・戸崎地区・聖学院大学・花の丘公苑を含めた地域をマップ
にし
︑
そこに様々な要素をプロットした︒マップの上に様々なその意図は︑相互の位置関係の確認と関係性を認識し︑
イメージ(イベント・人の流れ:::)を膨らませるためであった︒東内は︑マップに即しながら︑つぎのような地域特
性を指摘した︒
①地域の特性
宮原・日進の二駅を有する︑カンセイ・大成の跡地の開発・人口の増加等の都市的な環境と三貫清水・戸崎地区・花
の丘等︑自然あふれる地域が近接した恵まれた環境をもっ︒南北軸に鴨川・逆川の水系︑東西に都市的地区1田園自然
地区の構造を有する︒
大学のまちづくり活動一一望学院大学の事例 171