F ・ 0 ・ B ・ 契 約 に 於 け る
財 産 権 の 移 縛 と 危 瞼 の 負 携
大谷敏治
一二
三四 目次
財産構の移幣
危瞼の買携
‑給付の危隙員塘
H代債の危瞼資搬
結
一緒
迅速性§篭6畠と確實性忽2捧伽とを一つに併せ盛らんとする商事費買の契約は︑一方にその内審を能ふ限り
F・0・B・契約に於ける財産権の移購と危険の員携三五
F・0・B・契約に於けろ財崖灌の移韓と危隙の資携三六
詳しく規定しつ﹂︑他方にその表現を出來るだけ簡潔ならしめんとする︒この故に外國貿易の取引に現はる﹂
費買契約は︑極めて軍純なる用語を以つて表現せられながら︑その内容に無限の複雑さを包む︒加へて海の内
外を連らね︑長き距離久しき時日に亙つて︑費買爾當事者以外に幾多の脇役者を登場せしむる外國貿易の取引
にあつては︑蓮逡申の物品の滅失殿損の危瞼・債格攣動による危瞼︑頗る大きく︑法域を異にするより生する
紛争・國際慣習乃至慣脅法の違へることよりする誤解また容易に解けがたいものがある︒
之れ等の困難は︑個々の︒粒・︒︒に於いて︑當面の必要から一慮は解決しゆかる﹂ものではあるが︑この解決へ
の道程には蕾に國内法のみならす國際慣習乃至慣習法が︑豊かに亨け容れられるものであつて︑そしてひとた
び解決の途到れば︑夫れはやがてまた國際慣習への一つの8暮尋鼠8となるもの︑この意味に於いて︑商取
引自醗は︑徐々にその個性を失つて︑商事費買に關する法制は遙か世界法へと天翻けるものと云はねばならな
いω︒
本稿は商事費買に於いてその履行地を船積地に限る契約としてC・1・F・契約と倶に最も普遍的であり︑最
近にはその利用の程度むしろC・1・F・契約を凌駕しつ玉ありと云はる﹂のF・0・B・契約に於いて財産灌の
移韓と危瞼の員捲とを︑互に相關聯せしめて考察しようとする︑意圖するところは︑商品交通の直接當事者と
しての費買爾者の立場に立つて此の契約の履行を技術的に観察し︑饗きに筆者の公にせる一篇﹁F・0・B・契
約に於ける費用の員澹﹂㈲と相侯つて︑此の契約の全貌を描かんとするにある︒但し文献に乏しき商事費買の
實誰的理論的研究の分野に於いて︑筆者は此の稿を草するに當り︑特に教を受くること多かりし若干を除いて
は唯だ判例に擦るの外なかつた︒分けて後篇﹁危瞼の員櫓﹂を考察するに當つては︑專ら吾が法學界の通読に
從つたのではあるが︑その適用に於いて誤つこと多かりしなるべきを︑唯だ擢る﹂︒
(2)(1) (3)
田中耕太耶・世界法の理論第一巻昭和七年刊四〇ー四︼頁︑三七日;三七三頁︑及び第五章世界経濟の法的規整蓼照︒
濱田哲九郎・﹁貿易契約の新傾向と本邦の課税主義﹂自由通商第四巻第十二號所載︒此の論丈に現代の貿易界の實際が漸
次にC・1・F・費買よりF・0・B・費買に移・りつ﹂あることな税關統計によつて實謹し︑從來C●1・F・慣絡な標準とぜ
る本邦課税主義に修正あるべきことな主張せろ︑示唆深き研究である︒
拙稿・﹁F・0・B・契約に於けろ費用の員据﹂小樽高等商業學校創立二十周年記念論交集昭和六年刊所載︒
二財産権の移韓
抑々F・0・B・契約に於いては︑他の商事費買に於けるとひとしく︑契約の當初から特定の物品を約定する
こと稀れであつて︑一般に︑見本による費買(︒︒昏ξ旨目筈)︑標準品による費買(o自隅げξω雷巳碧山)︑または格或
ひは銘柄による費買(︒︒昏ξσq§牙︒円げ§巳)たることが多く︑その法律上の性質は︑不特定物に關する財産権の
移韓を目的とする愛務契約たるを常とする︒從つて﹁F・0・B・契約に於ける財産椹の移韓と危瞼の員憺﹂に
關する考察は︑先づ費買の目的物の特定の時並びに特定の所に始まる︒
凡そ不特定物に關する物権の設定叉は移韓を目的とする隻務契約に於いて︑給付の目的の特定の時は︑吾が
F・0・B・契約に於ける財産権の移轄と危瞼の資携三七
F・0・B・契約に於ける財産権の移幕と危陰の員掬三八
國に於いては︑債務者ガ物ノ給付ヲナス昌必要ナル行爲ヲ完了シ叉ハ債椹者ノ同意ヲ得テ其ノ給付スベキ物ヲ
指定シタルトキなること︑民法四〇一條第二項の定むるところ︑而して債務履行に必要なる行爲の完了が何事
なるかは︑債務の本旨によつて定まるO︒英法に於いても︑當事者の合意によつて︑叉は費手の撰揮の決定に
よつて定まる①︑故に商事費買に於いて費手の如何なる行爲ありたる時に︑費手が債務者として履行すべき一
切の行爲をなしたりと云ふべきかは︑明示的に獣示的に︑取り極めおきたる契約の内容によつて之れを決すべ
きであり︑就申最も重要なるは引渡の場所に關する取り極めである︒
それF・0・B・費買とは︑普通に︑費手は約定品を費手の費用に於いて本船上に置かざるべからす︑費手の
契約上の義務は鼓に絡る︑引渡はゆ76全に履行せられ︑約定品の財産灌と危瞼とは︑當該契約に於いて特殊の取
り極めあつて既に移輻しおらぬ限り︑此の時を以つて買手に移鱒し︑買手は運賃並びに爾後の一切の費用を員
澹すべきもの︑と解せらる︑費買契約を云ふ㈹︒F・0・B・費買が︑本來海上費買の性質を有つかまた貿易契約
の性質を有つかに就いては︑街ほ疑ひあるにもせよ④︑斯く解せられたるF・0・B・契約に於いて︑引渡の場
所コ9︒8︒臣魯く︒錯が本船甲板上たることに就いては疑ひがない︒判事雨臥臣"9︒は之れを簡潔に表現して云ふ︑
h978曇冨2貯麟8昌轟{9牙野︒還8ぴ︒舞侮旨忌己コ9︒穿窪≦ぎと①︒即ち此の契約に於いては一般に︑物
品特定の時は︑費手がその船積義務を完了した時であり︑特定の所は︑本船甲板上であると云はねばならな
い⑥︒
■
(2) (1) (4) (3)
(6) (5)
末弘嚴太耶●債懐監纒塾珊(現代法學全集第五巻敗録)三山ハ頁O
剴貯o閃び葺昌"b↓器9ひ﹃ooロ暮oo津90{夢oOoロ仲冨90hω巴o(以下た㎏O旨コQ9︒写と呼ぶ)"UaoP℃目o巳9ポお肖O℃国・昌噛
Oゲ曽℃﹂燭噂・同い9
>・閑・国2ロ魯ざOO耳轟暮︒hω鑑ゆΩH・国"§創︒2ご&8"おい︒︒",凛拙稿・前掲書六三九頁︒
上叛酉三・﹁貿易契約に關する最近の丈献﹂(早稻田商學第七巻第四號所載)二〇三頁︒早稻田大學敦授上叛酉三氏に︑
上の一丈に於いて他の好論交を紹介批評ぜらる㌧機會に︑筆者の前掲小論文なも取りあげられ︑且つ有釜なろ助言を興
へられたo此威に引用の句は︑敏授がF・0・B・契約に於けろ費買爾者の費用貢掬問題な究明ぜんとすろ揚合に重要な
ろ二つのものとして提言ぜられたものであるo筆者は近い機會に此の酷に關して教な乞ひ六いと翼ふQ
冨箇ぎω唱ぎ三5σqO9︿.留沖9一津博ω鼻目.炉閑●d轟恥︾●U・O一葺ω﹄oohO8島︒no謬ρH・周・麟5畠喝・ρ団̀ご謬自8℃おぶ騨℃.鴇●
賢手の船積義務の意味並びに.本船甲板上と云ふことの意味に就いてに︑拙稿(前掲書攻載)塗照︒
倦て︑種類物を費買の目的物としたる場合に︑其の物の所有権は1特約なき限りー特定と同時に買手に移輻
することは吾が民法の定むるところ①︑各國法令また概ね一致するところである︒例へば英法に於いては︑責
主叉は買主が夫れそれ樹手方の同意を得て︑目的物を特定したる時は︑其の所有橦買主に移韓するものと推定
する①︒從つてF・0・B・費買に於いても︑約定品の財産櫨は︑約定品が臨§8ぴ§議に引渡されたる時に︑費
手より買手に移韓するを原則とする⑲︒此の場合に費手が約定品を船積すべき船舶は︑普通に買手によつて指
定さるエものであるから④︑買手がこの指定をなさΨる限り︑物品は特定せす︑從つて約定品の財産擁が移鱒
F・0・B︒契約に於けろ財産確の移幕と危瞼の資澹三九
F・0・B・契約に於ける財産構の移鰐と危瞼の資掬四〇
しないことは勿論㊥︑縦令ひ買手が船舶を指定したる場合に於いても︑右の物品特定の効果は︑原則として約
定品が甲板上に置かれたる時に嚢生するものであつて︑夫れまでは其の財産棲の移鱒は起らないこと︑また云
ふまでもない⑥︒尚ほ既に筆者が別の機會に述べたる如く︑F・0・B・費買は︑買手が積出地叉は輸出國内に支
店または代理店を有するか︑或ひは夫れ等を有せすとも︑蓮逡契約保瞼契約等を自から締結するをむしろ有利
とする場合に多く行はる︑ものであり︑その物品蓮逡に就いては︑自己所有の船舶によるか或ひは全部または
一部の傭船契約によること頗る多いものであるO︒而して此の最後の場合1買手が自から本船を3舞臼したる
場合には︑財産棲は︑積荷が本船上に置かれたる時に︑費手より買手に移ること當然である①︒
)
(8)(7)(6)(5)(4)(3)(2)(1
末弘嚴太耶・前掲書三七頁o
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前掲事件︒爾ほ之れに關しては特蘇の慣脅あり︑詳しくに拙稿・前掲書六四六‑六四七頁塗照︒
拙稿・前掲書六四九ー六五〇頁︒
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F・0・B・責買に於いて︑費手がその船積義務を完了し物品が特定したることの財産灌に及ぼす効果は︑以