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○ ハπ⁝?0 苑
廣 域 経 濟 に 於 け る 最 恵 貿 易 主 義
ヵール・シラーの所説を中心として
木曾榮作
圃序説ー廣域経濟の本質
廣域経濟に於ける貿易問題を論述するに當つて﹁廣域脛濟﹂の本質を一慮吟味することが當然要請せらるべ
きであらう︒
ノ﹁廣域維濟﹂(OH$巽鎚日鼠基︒ぽ{内)に於ける﹁廣域﹂(03ψ舞程巳)とい喝ふ概念は﹁廣域経濟﹂と呼稻せらる
膚域経濟に於ける最憲貿易主義(木曾)入九
,九〇
L輕濟的統一艦の自然的基礎を形成する﹁大地域﹂をその内容とする限りに於て︑﹁廣域経濟﹂は﹁大地域に
亘る維濟的統一膿﹂であるといふ特異性を先づ學げねばならぬ︒之は政治のラウム(菊碧日)と経濟のラワムと
の不均衡ーそれは第一次世界大戦の結果︑経濟的自立性なき地域と人民への政治性の人爲的賦與︑換言すれ
ば経濟的裏付を有せざる人爲的諸國家の認容に依り生じたものであるがーを調和せしむるために必然的に嚢
生した要請に外ならない︒﹁世界﹂といふラウムを甥象としての経濟的活動が既に否定されてゐる現在にあつ
ては︑地理的接近關係を経濟的補完關係に固く結び付けて︑資源確腺の道を求めることは高度國防艦制下にあ
る各國の求むべく残された唯一の方途であらう◎・
自由経濟機構の下にあつた世界維濟は︑之を構成する各國民経濟軍位が相互に交換關係に入り︑資本は自由
に移動し︑物債は金本位制度の自動的作用によつて國際的に調節されてその経濟的機能を稜揮してゐたのであ
る︒この意味に於ける世界経濟の崩壊は必然的に各國民経濟機構の混齪を招いたことは言を侯たない︒今や形
成過程にある各廣域輕濟圏は︑一國民経濟軍位の地域‑たとひ張力にせよーを超えたる︑即ち数個の國民
脛濟の地域を包含する﹁大地域﹂なる自然的基礎條件の上に︑地域的近接性︑資源的補完性が絡み合つて︑経
濟的補完關係を生する統一饅である︒
第二の特異性は︑高度なる政治性に存する︒廣域経濟の襲生過程に於て明らかなる如く︑撒個の國家群の政
治的統一禮を形成しつ﹂︑之等の國民維濟の統一膿を建設することが廣域経濟の目標である︒かくて廣域維濟
し
〆
圏の建設・指導に任すべき國家の張力なる政治的指導力及び工作が強く.要請されること玉なる︒
の廣域経濟の焚生が元來アウタルキー政策に基くものである限り︑経濟的には資源確保が最も重要なる特質と
して浮び出てくる︒資源を最大限度に確保して︑その廣域継濟圏の自給自足経濟の成立を目標とする所以は︑
高度國防國家の建設を目的とするに外ならない︒之がためにはその必要度に慮じて︑その廣域綻濟圏を組成す
る國民経濟の大規模なる再編成が政治的に行はれざるを得ない︒而かも廣域経濟のか瓦る経濟的補完關係の政
治的調整は︑反帝國主義的イヂオロギーによつて特質づけらる﹂アウクルキー政策によつて完成せらるべきで
ある︒之は猫占繧濟に代るに國民主義的國際経濟として登場したる廣域経濟が︑金融資本的支配と投機的利潤
とを排し︑統制資本による経濟的協調をその具罷的政策とし︑僚友的協調原理及び指導者原理をその指導理念
として︑國民経濟翠位の結合による主腿的なる人爲的統﹁化の合理的組織を以てその秩序とする廣域維濟が政
治的統一と経濟的統一との調和を見出さんがために遭進しつ玉ある過程に於て明らかに顯現せられつΣある所
である︒
然しか玉る本質と内容とを包有する廣域経濟圏もその目標・理念及び秩序を具髄化するための主艦の活動を
不可訣條件とするものであり︑それは指導國家の政治的推進力に侯つべきものである︒今や同本を主禮とする
ゴ大東亜廣域経濟圏がその建設過程にあるが︑我日本の政治的推進力の果しつ﹂ある役割蛇びに之に伴つて現は
れつ瓦ある経濟的補完關係が大東亜共榮圏なる一大廣域輕濟圏のアウタルキー化に如何に作用しつ︑あるか
廣域縄濟に於ける最惑留易主義(木曾)九一
九二
は︑既に現實の姿として吾人の等しく眺めつ﹂ある所であらう︒
一
廣域貿易に於ける最恵主義の委當性吟味
ーカール・シラーの所読を申心としで
世界維濟は今や古き秩序を破つて新しき秩序ー廣域維濟1の建設過程にある︒來るべき世界の新秩序は
数個の廣域維濟圏の封立的檬相を示すであらうとの推断は現實的にも理論的にも首肯し得る所であり︑この廣
域経濟圏は現在の世界的大職鼠の動向によつてその推移が決定せらる﹂であらうが︑現在與へられたる客観的
條件の下に於ては大東亜廣域経濟圏・欧洲廣域経濟圏・米大陸廣域維濟圏及び蘇聯廣域経濟圏の成立は考へ得
らるΣ所である︒然し各廣域の完成のためにすべての條件が未だ具備せられす︑世界の政治経濟の客槻的情勢
の推移が頗る激しい現在の欺態に於て之等建設途上を辿りつ玉ある廣域経濟圏の直面しつ﹂ある封外的拉びに
樹内的経濟問題はその質に於て複雑であり︑その数に於いて決して勘くない︒今吾人が貿易政策的立場のみか
ら之を眺める場合に於ては︑各廣域維濟圏内に於ける構成國民経濟間の貿易調整策が問題となるべく︑また各
廣域脛濟相互聞の貿易關係を如何に調整すべきか黛封外的問題として取り上げられねばならぬであらう︒
︑廣域経濟圏が未だ形成過程にある限りに於て︑これを続る経濟政策の理論的研究も亦その過程にあるは當然
●であり︑貿易政策論の攻究も未だ掘籔時代に在るかの感を深くするものである︒廣域維濟政策がナチス猫逸に '
0
よつて創出せられた食生過程からして︑廣域経濟の貿易政策理論もまたナチス猫逸の學者によつて展開されつ
﹂あることはむしろ然るべきこと玉考へられる︒筆者はいま主としてカール・シラーの所読を中心として︑廣
の域貿易政策の理論的究明を企てんとするものである︒
一九二九年の世界維濟恐慌獲生以來︑自由主義維濟の下に於ける國際通商の制度的基礎をなすと考へられた
最恵國約款が互恵通商主義の目畳ましき嚢展に影響せられてその意義を著しく修正乃至は失ひつエあることは
何人も認めざるを得ない︒いま一九三一年より一九三九年に至る期聞について︑五一〇の多数に上る世界の主
要なる通商條約約款の統計的内容分析によつて︑この期間に於ける國際通商0動向を観察するために別表を掲
げる︒
本表より通商條約を通じて親取せらる﹂國際通商の近年の動向は︑先づ最恵國約款が全通商約款中四四%を
占むるとはいぴ︑關税のみに就ての最恵國約款は僅かに二七%に過ぎず︑その著しき後退的傾向が明らかにう
か壁はれ︑之に反して割當約款の三六%︑關税約款の三三%︑爲替清算及び支佛協定約款の一八%︑爲替管理
約款の剛五%︑貿易尻双務的調整約款の=一%が封照的に進出を示してゐる︒最恵國約款は今猫ほ形式的には
多くの通商條約に探り入れられ︑通商政策の規準として強調せられてはゐるが︑實質的には特恵關税・輸入割
當・爲替管理・貿易尻双務調整約款等によつて室文化してゐることは國際貿易の現實が最恵貿易制から日を逐
ふて遠ざかりつ玉あることの誰左に外ならない︒
廣城纏濟に於ける最惑貿易主義(木曾)九三' '
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1931‑一一1939年 の 各 國 通 商 條 約 約 款 内 容 分 析 表
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(備 考)TheAmericanEconomicReview,Dec.,ig40,P.788よ り 探 鋒 。
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然らば︑最恵貿易制のこの衰退的動向は如何なる原因に之を求むべきであらうか︒最恵國約款が國際通商の
制度的基礎としてその経濟的役割を最高度に護揮し得たる時代は第一次世界大職勃嚢に至る約牛世紀であつたー
のが︑これは實に左の経濟的要素に基くものといふべきである︒
めヤの國際通商の自由性‑關税による制約は別として︑通商上何等量的制約を受けなかつたこと︒
⇔通貨の自由党換性國際金融市場に於ける外國爲替取引が自由に行はれ得たこと︒
国通貨債値の安定性と國際取引の利潤率算出の確實性iたとひ局部的に通貨債値の攣動嚢生すると
も︑國際金融機構の園滑なる運用と︑貰経濟の自動的調節によつて國際取61の利潤率を概ね確實に算出し得
たこと︒
か瓦る経濟的基礎條件は第一次世界大戦後︑特に世界維濟恐慌嚢生を契機としてその本質を著しくゆがめら
れ途には之をすら失ふに至つた︒この過程は必然的に最恵貿易制の運螢を著しく阻害する結果を招來したこ
と論を侯たない︒各國民経濟輩位は封内的には國内輕濟の復興︑國防禮制の確立を目標とし︑封外的にぼ國際
︑牧支の均衡維持及び資源の獲得をその主眼として純濟政策の樹立を圖り︑貿易政策もとの環境の下に於て政冶
的及びアウクルキー的イデロオロギーが浸邊するに及んで︑著しく隻務的︒互恵主義的性格を帯びるこ・と﹂な
つた︒この段階に於いては︑國際貿易は最早や純経濟的要素にょつてのみ支配せられざるものとなり︑高度な
る政治性を包藏するに至つたものと言ふべきであらう︒最恵貿易制がか玉る経濟饅制の攣遷過程に於て攣質を
廣域縄濟に於ける最息貿易主義(木曾)九五