(562)
奈医誌(].
Nara Med. Ass.) 41,
562‑570,平
2von Willebrand
因子
(vWF)のヒト
TypeIII collagenへの結合に関する研究
II. von Wil1ebrand病および血友病A患 者
血築中の
vWFのcollagen結 合
奈良県立医科大学小児科学教室 西 久 保 敏 也
STUDY O N BINDING OF VON WILLEBRAND FACTOR T O HUMAN TYPE III FIBRILLAR COLLAGEN
II. COLLAGEN BINDING OF VON WILLEBRAND FACTOR (VWF) OF THE PLASMA IN PATIENTS WITH VON WILLEBRAND DISEASE
AND HEMOPHILIA A
TOSHIY A NISHIKUBO
Deρartment 01 Ped
ぬ
trics,
Nara Medical UniversityReceived September 28, 1990
Summary: The percentage of binding of vWF to human Type III fibrillar collagen was determined in plasma samples from 20 patients with various types of von Wi
1 1
ebrand disease (vWD) and 27 patients with hemophilia A.
The levels of collagen binding were normal, ranging from 83.6 to 90.0% in 9 cases of Type 1 vWD. In 7 cases of Type IIA vWD and 3 cases of Type II B v羽
TD,the rates of collagen binding were 42.0‑76.1% and 68.0‑80. 0% respectively. A case of Type IIC vWD showed a remarkable decrease, with 35.8%. On the other hand,
27 cases of hemophilia A showed normal values with 91.0‑98.7%.When plasma samles absorbed with collagen and then vWF multimer in the supernatant were analysed by agarose‑gel electrophoresis, the larger multimer of normal vWF showed the strongest affinity to collagen, while the smallest one was poor.
Changes of vWF multimer in Type 1 vWD showed the same results as those of normal plasma, but Types IIA, IIB and IIC vWD showed a decreased affinity of intermediate and smaller multimer to collagen.
These findings suggest that the poor affinity of vWF of Types IIA, IIB and IIC vWD to collagen may be caused by abnormality of the collagen binding domain in vWF subunit.
Index Terms
von Willebrand factor
,
von Wil1ebrand disease,
hemophi 1
ia A,
collagen binding,
human Type III collagen緒 言
von Willebrand
病
(vWD)は出血時間の延長と皮膚
粘膜の出血を主徴とする常染色体遺伝性疾患で,今日,
本疾患はヒト常染色体
No. l
2の
vonWillebrand因子遺伝
子Cl2pter‑p12)の欠陥による
vWF蛋白の量的ないし
質的合成障害症として把握されている問問.
ヒト血築中の
vWFは
SDSアガロースゲノレ電気泳動 法 の 解 析 で
0.5~ 20 x 10'daltonに お よ ぶ
multim巴
r bandの
senesよ り な る こ と が 観 察 さ れ , こ の 所 見 は
vWDの 病 型 分 類 に 用 い ら れ 、 現 在
vWDは
vWF目Ag (vWF蛋白〉は低下するも
multim巴
rの各
seriesは正常 血援のそれらと同様に存在する
Typ巴
1,
vWF目 Agは 必ずしも低下しないが
multim巴
r構成に異常のみられる
Type II,
vWF: Agが欠如し全ての
multimerを欠く
Type IIIに大別されている
4) Typ巴
Iは
vWF蛋白の量 的合成障害症と考えられ,一方,
Type IIは
vWF蛋白の 量的ならびに質的異常が存在するもので,
IIA,
IIB,
II C,
IID,
IIE,
IIF,
IIG,
IIHおよび
TypeBと呼ばれる
subtypeが報告されている.
Type IIIは血竣
vWFの量的 欠陥症で常染色体劣性に出現する病型である
5‑12)vWF
の 機 能 と し て
in vitroで は 抗 生 剤 の 一 種 の
rictocetin,あるいは蛇毒製剤
botrocetin存在下に血小 板膜上糖蛋白
1b (GPI b)に結合することが明らかにさ れている
1叩4).In vivoではヒト動脈内皮下組織への血小 板 粘 着 , 血 栓 形 成 は
vWFを 介 し て 行 わ れ る こ と が
Weiss et al .
15 ,iSakariassen et aJ.1'i, Tschopp et al .
17 ,iによって観察された.
Nyman19)は数種の
collagen製剤 j のうち
typeIII collag巴
nが
vWFを吸着することを報告 し ,
Scott et al.叫は
type 1,
II,
IIIも同様の作用を示 すことを観察した.これらの観察は主に純化
vWF,血小 板
collagen反応であり,血築中の
vWFの
collagen結 合の簡易測定法ではない.
すでに著者は
invitroにおいて
humanplacentaより 得た
type III fibri 1 1
ar collagenを用い液相法で
col‑ lag巴
n結合を測定する系を報告
27)した.今回
vWD各種 患者および血友病
A患 者 血 媛 中 の
vWFの
collagen結 合につき
vWFmultimer構成の変化とあわせて検討し たので報告する.
対象および方法
1.対象:
von Willebrand病
19例
(Type1 9例 ,
Type IIA6例 ,
Type IIB 3例 ,
Typ巴
IIC1例),血友病
A 27例について検索した.また正常成人男女それぞれ 5 人の 血援を等量ずつ混和しプール血援を作製した.
2.
血疑.プラスチック製ディスポザブノレ注射器に
21G注射針を接続し,正常成人,
von Willebrand病患者およ び血友病
A患者の各々肘静脈よりすみやかに採取した全 血
9容を直ちに
3.8%グエン酸ナトリウム
l容の入った プラスチック製試験管に加えて混和し,
3,
000回転
15分 間遠心しクエン酸血撲を得た.これらの血援を小量ずつ
プラスチックチュープに分注し,用に臨むまで
80'Cで 保存した.
3. vWF: Ag
の測定:抗
vWF家兎抗体を
1次抗体と し,ベノレオキシダーゼ標識抗
vWF家兎抗体を
2次抗体 としたサンドウィッチ
ELISA(DAKOP A TS,
Denmar‑k)法
18)にて測定した.
4.
リストセチンコブアクター
(Rcof ):
von Willebrand試薬
(Behringwerke,
G巴
rmany)を用いた肉眼的血小板 凝集法
21)によった.
5.
ヒト
typeIII fibrillar collagen懸 濁 液 の 作 製 乾 燥
typ巴
III soluble collagen from human placenta (SIGMA Ch巴
micalCo.,
St Louis Mo.)を
O. l
mol /
L酢 酸で濃度1.
5 mg/mlに溶解し,
4 'c下で
48時間撹叛後リ
ン酸水素二ナトリウム溶液
(20mmol /
L,
pH7目5)で
48時間透析した後,再び
4' c 下で
16時間以上撹叛し使用し
Tこ.
6. Collag
団 結 合
(Collagenbinding): 第
I報
27)で述べ たごとく血媛
vWFのヒト
typ巴
IIIcollagenへの結合の 測定は
Dugganet al .
22)の変法にて行った.
7. SDS
アガロースポリアクリノレアミドゲノレ電気泳 動 :
Chopek&
Girma et al .
23)の方法に準拠した.
127x 245xO.2 m日のゲ、ノレボンドフィノレム
CPharmaciaCo.)を
130 x 260 x 2 mmのガラス板にはりつけ,
125 x 260 x 2 mmのゴム枠を乗せ,さらにガラス板をかぶせ四方をクリッ プでとめ,厚さ
2mmのガラス板間隙に,
0.1% SDS加
6 M尿素加1.
5%アクリノレアミド加
1 %ア ガ ロ ー ス 液
(Seakem HGT【P19を
0.1% SDS加
O.lMトリス・リ ン酸緩衝液,
pH7.0で煮沸溶解した後その内の
33.8mlを
32. 4
gの尿素と
28.13mlの
0.2%SDS加
0.2Mトリス・
リン酸緩衝液,
pH7.0と1.
8mlの
O目6MNa4【EDTA溶液
pH7. 4 を
37 '
Cで溶解した溶液に加え,さらに
30%アグ
リノレアミド加1.
5%メチレンピスアクリノレアミド溶液 9
ml,
5%過硫酸アンモニウム1.
8ml,テトラメチレンジ アミン
0.3mlを加えて作製〉を流下し
4'cで冷却した.
ゲル化後カ守ラス板を外し,ゲノレの四方を
120x 250 mmにな
るよう切除した後,長辺端より
20mmの位置に
5mm間隔で
3 x 13 mmの穴をあけ,試料
50μIを添加した試料は被検
検体
10μ11こ尿素
36mg,
10% SDS 10μ1,
0.25%ブロム
フェノールフツレー
5μlと泳動緩衝液
20μlを加え
65'C 15分間加温したものを用いた.泳動は
0.1%SDS加
0.1 Mリ ン 酸 緩 衝 液
pH7.0を 泳 動 緩 衝 液 と し
LKB社
(Sw巴
den)製電気泳動装置および
DESAGE(German)製冷却装置を用い
10'C80mV/g巴
lで
15分間泳動後,孔
を
0.1%SDS加
1%アガロース加
O.lMトリス・リ
γ酸
緩衝液,
pH7.0 (Seakem HGT‑Pを
0.1%SDS加
O.lM(564)
西 久 保 敏 也
トリス・リン酸緩衝液
pH7.0で沸騰溶解〉で子
L埋めした
collagen結 合
/100と
Rcofに 相 関 を 認 め な か っ た . 後 ,
50mV/g巴
lで、色素がゲノレの他端に至るまで泳動した
TypeIIBは ,
Rcof活性
48%~56% ,
vWF: Ag 55 %8.
オートラジオグラフィー:泳動終了後,
10%トリク
~68%と軽度の低下に留まり,
collagen結合は
68.0%ロロ酢酸加
50%メタノーノレ溶液で
2時間固定し蒸留水
~80.0%で,
Rcofは
vWF:AgXcollagen結合
/100と
1 Lに
3時間毎に水を交換しつつ
12時間浸した.次いで 相関傾向を認めた.
Type IICは
Rcof活性
5%以下,
l%BSA
加
0.15M塩化ナトリウム加
O.OlMリン酸ナト
vWF目Ag48%であり
collagen結合は
35.8%と低下し リウム緩衝液
pH7目2(Tw巴
en20,
0.5 m!/L)で
3時間漫 ていた
(Tabl巴
l及び
Fig.1 ) .
した後,
125 1標識抗体槽に室温で
12時間免疫固定し, 血友病
A患者
27名の
collagen結 合 は
91 .
0% ‑98.7 PBS/Tw巴巴
n緩衝液中に
24時間さらに
3%食塩水
2L % (97.0土1.
8% ) ,
Rcof活性は
112%‑360 %( 1
78土 中に
24時間浸し,
0.9%食塩水
2L中に
24時間,最後に
61 .
2% ) ,
vWF: Agは
66%‑353 %( 1
81土
75.6%)で 蒸留水
2L中に
24時間浸した.ゲノレを乾燥後コダッグ
NS.ST
フィノレムと
Intensifyingscreen (Dupon Co.)を
100暗室で密栓させ,
‑70oC 6時間感光後現像した.
各マノレチマーの分子量の算定は
Furlanet al .
'4)の方法 に準じて,純化
IgM(Capp巴
1Laboratories)の重合物に よる泳動パンドと対比して行った.
成 韻
1. vWD
各 種 病 型 お よ び 血 友 病
A患 者 血 築 中 の
col. lag巴
n結合,
Rcof活性および
vWF:AgvWD
の
Typ巴
19例 ,
Type IIA 7例 ,
II B 3例およ び
IIC1例 の 計
20例について
collagen結合を測定し
Rcof活性,
vWF:Agおよび
vWF: Ag X collagen結合
/100と対比検討した.
Type 1 では Rcof 活性 5% 以下 ~38% , vWF:Ag6
%‑46%
と中等度に減少していた.
collagen結 合 は
83.6 % ‑90.0%で,
vWF: Ag X collagen結 合
/100と
Rcof活性の相関は,
r =0.75で比較的よく相関してい た.
Type IIAでは,
Rcof活性は
1例の
12%を除き
5%以下,
vWF:Agは
28%~55%と中等度に低下してい た.
collagen結合は,
42.0%~76.1% で vWF:Agx80
n H u n H U
内h u a n
マ
( ぷ ) 丘 一 三 ぢ 目 半
0 υ
‑ Z
. . . . . .
. . .•
20 ‑l・
• •• A
~/),恥J:;.1;6. / ) ,
。。 20 40 60 80 100
vWF :
Ag X collagen binding/l00 Fig.1 .
Relationship between vWF: Ag X collagenbinding/100 and Rcof. Pati
巴
ntswith typ巴
I are indicat巴
das closed circles( ・ ) ,
type IIA as open triangles( ム ) ,
type II B as closed triangles (...) and typ巴
IIC as open square(口).
Tabl
巴. 1 .
Collagen binding(CB),
vWF : Ag,
vWF : Ag X CB/100 and Rcof in plasma samples from patients with normal adult,
Hemophilia A and von Willebrand diseaseCollagen vWF: Ag vWF:AgXCB/IOO Rcof binding(CB)
(%) (%) (%) (%) Normal adult (n=50) 84.0‑98.1 49‑220 44.7‑210目8 56‑240
(93
. 4 : 1 :
2.6) (122.2士
34.1 )
014.4士
33.2) 020.0士
31 .
3) Hemophilia A (n=27) 91 .
0‑98.7 66‑353 98.6‑332.5 112‑360(97.0
士1.8)
081 .
6士
75.6) 075.3土
70.8) 078.7士
62.0) von Willebrand dis巴aseType 1 (n=9) 83.6‑90.0 6‑38 5.2‑4
1 .
2 5‑38 Type IIA(日二7)
42.0‑77.1 28‑55 11.8‑38.5 <5‑12 Type IIB (n=3) 68.3‑80.2 56‑68 40.3‑54.4 48‑56 Type IIC (n=1 )
35.8 48 17.2 <5(mean
土
SD)あった.
vWF: Ag X collagen 結合 /100 は 98.6%~ /mlにおいては
smallestbendの陰影がやや薄くなり,
332.5 % 075.3
士
70.8%)で
Rcof活性とよく相関して
31 .
2μg/mlでは
smallest bandは消失し
larger~inter-いた
(r=0.95). mediate bandsが出現した.
Heated collagenおよび生
2. Collagen結合後の上清及び沈
i査よりの溶出物におけ 食と反応後の沈漬では明かな
multim巴
rs巴
ri巴
Sは出現し る
multimer構成 なかった.希釈血援の上清中
vWFmultimerは検体中の 各種濃度の
collagenと反応後の上清及び
collagen~こ vWF: Ag量の低下にともない各
collagen濃度におけ 吸着された沈澄よりの溶出物だおける
multimer構成に る
higherbandsが出現しにくくなり,逆に沈潰よりの溶 っき検討した. 出物の
multimerは原液では出現しにくかった
smaller成人ヒトプーノレ血撲を生食で
50% ,
20%に希釈しこ
~intermediate bandsが低い
collagen濃度においても れらを終濃度
31.2,
125,
500お よ び
750μg/mlの
col‑明瞭に出現した
CFig.2).lagen
および
heatedcollagen,生食と
15分間反応せし
Typ巴
1vWD患者血塁走中の
vWFは正常の
vWFと めた.反応上清
10μlあるいは
O.OlMPBSにて
3回洗浄
同様 0.9~20X 106 daltonに及ぶ
multimerseriesより成 後の沈溢をオートラジオグラフィの試料とした.上清の り立っていたが,個々の
multimerbandの濃度は正常の 成人ヒトプーノレ血柴原液においては
collagen濃 度
750それに比し薄かった.
Collag巴
nと反応後の上清中の および
500μg/mlでは
smallest muitimerのみが,
col‑ multimerは ,
collagen濃 度
750μg/mlで は
smallest lagen濃度
125μg/mlでは薄い
2ndmultimerが出現し
bandのみが,
collagen濃度
31 .
2μg/mlでは,
intermedi‑31. 2,u g/ml では smaller~intermediatebands
が出現し
ate bandまでが出現した.溶出物では成人ヒトプーノレ血 た.
Heated collagenおよび生食と反応後の正常プール 援 と 同 様 各 種 濃 度 の
collagenで上清中より消失した
血援では 0.9~20X 106 daltonに至る
multimerseriesが
multimer seriesが出現した.
出現した.沈溢よりの溶出物の
vWFmultimerは上清の
Typ巴 IIA 患者血媛中の vWF は分子量 0.9~5X106それとは逆に
collagen濃度が
750および
500μg/mlで
daltonの範囲内に
4本の
smallermultimerの
bandsが は全
multimers巴
riesが出現し,
collagen濃度が
125μg出現した.このうち上部の
2木の
bandの陰影は薄かっ
E l u s I o n
‑10XW
A 1 .
0X1 0 "
‑IOx 1 0 "
B
ω
1 .
0><1 0 "
ω10>< 10"
c
時l. DX1 0
62
3 4 5告 2
3 4 5告
Fig. 2. Multimer analysis in the supernatant and
巴
lutionafter collagen binding with variously di1uted normal plasma.A目undi1ut