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P2P 保険の⽛保険⽜該当性

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(1)

■アブストラクト

本稿は,P2P 保険(peer to peer insurance)の概要および主要類型を示 したうえで,保険法および保険業法の P2P 保険への適用可能性を検討する ものである。P2P 保険は,インシュアテック(InsurTech)を用いた保険

(または,類似保険)の仕組みであるが,現在行われている P2P 保険は,

ブローカー型,キャリア型,相互救済制度型の⚓つに大別できる。本稿では,

団体構成員間でリスクの分散負担を全面的に行う相互救済制度型の P2P 保 険(その典型例として,Teambrella をとりあげた)に焦点を絞って,保険 該当性の問題を検討した。

まず,経済的な保険に該当するか否かを検討すると,日本の主要学説の立 場では Teambrella は経済的な保険に該当せず,一方,筆者の立場では経済 的な保険に該当することが判明した。

次に,筆者の立場では,Teambrella は経済的な保険に該当するので,さ らに保険法や保険業法の適用可能性を検討することになる。検討の結果,

Teambrella は保険法の⽛保険契約⽜に該当しないため,少なくとも保険法 が適用されることはない(ただし,類推適用の可能性はある)。また,

Teambrella は保険業法における⽛保険業⽜に該当しないため(たとえ,拡 大解釈をしても適用されないと考えられる),保険業法は適用されないと思 われることが明らかとなった。

以上のとおり,少なくとも P2P 保険のうちの相互救済制度型のもの(典

*平成30年11月17日の日本保険学会関西部会報告による。

/ 平成30年11月18日原稿受領。

P2P 保険の⽛保険⽜該当性

吉 澤 卓 哉

(2)

型的には,Teambrella)に関しては,現行の保険法や保険業法が適用され ず両法がうまく機能しない問題があることが(あるいは,適用されずにうま く機能しない可能性のあることが),明らかとなった。

■キーワード

P2P 保険(peer to peer insurance),インシュアテック(InsurTech),

保険該当性

⚑.はじめに

インシュアテック(InsurTech)1)の一つとして,P2P 保険(peer to peer insurance)というリスク分配の仕組みが海外で急成長をしつつある。この P2P 保険は既存の保険業(日本では,特に少額短期保険業2))を脅かすもの となる可能性すらあると思われる3)

本稿は,P2P 保険に関する基本的な論点である⽛保険⽜該当性について 検討を行うものである。以下では,現在行われている P2P 保険の概要を述 べたうえで(次述⚒),経済的な保険の該当性(後述⚓),保険法における保 険該当性(後述⚔),保険業法における保険該当性について検討し(後述⚕),

最後に結論を述べる(後述⚖)。

1) インシュアテックとは,フィンテック(FinTech)の保険版のことである。

インシュアテック全般に関しては,さしあたり Roland Berger (2017), IAIS (2017), Chishti (2018)を参照。

2) 大和総研(2018)41頁図表1-11も,P2P 保険が⽛小規模向け保険⽜である ことを指摘している。

3) インシュアテックについてであるが,インシュアテックが保険業界に多大な 影響を与えると保険業界が感じていることについて World Economic Forum (2015) p. 13参照。また,IAIS(2017)は,InsurTech が保険業界および保険 市場に与える影響について⚓つのシナリオを予測するが,そのうちの⚑つは,

大手テクノロジー系企業が各種商品・サービスの中に保険をシームレスに組み 込んで提供する結果,既存の保険会社が保険市場から退出せざるを得なくなる とする予測である。

(3)

なお,日本においては,P2P 保険に関する紹介は若干なされているもの の4),保険該当性に関する詳細な検討は未だなされていないと思われる。

⚒.P2P 保険の概要

P2P 保険に関する明確な定義は存在しないようであるが5),たとえば,

⽛ソーシャルメディア等を活用して個人の集まりであるオンラインネットワ ークを作り,ネットワーク(グループ)のメンバーでリスクをシェアする,

保険に類似した仕組み⽜であると言われたり6),⽛典型的には,個々人が直 接結び付いて形成される保険的な仕組み⽜とも言われたりしている7)。その 一方で,⽛一定の属性を有するユーザーがオンライン上で団体を形成し,共 通するリスクをカバーするために保険料を拠出する仕組みの保険⽜と言われ たり8),⽛個人同士(peer to peer)が SNS 等を利用して比較的属性の揃った 契約者グループを作り,割安な保険に加入するタイプの保険⽜と言われたり している9)。前⚒者の定義では P2P 保険は⽛保険⽜ではなくて類似保険で あるとする一方で,後⚒者の定義では P2P 保険は⽛保険⽜であるとしてい る。けれども,後述するように,P2P 保険は,保険であるとも,類似保険 であるとも,一概には言えない(⽛保険⽜の定義次第である)。なお,P2P 保険の定義に,⽛P2P ネットワーク⽜10)の概念を取り込むべきかもしれない。

4) たとえば,損保総研(2015),吉田(2017),内田(2018),牛窪(2018),大 和総研(2018)48-50頁参照。

5) 井上(2018)⚔頁参照。

6) 内田(2018)67頁。

7) 吉田(2017)35頁参照。

8) 藤原(2018)18頁参照。

9) 牛窪(2018)⚓頁注⚓参照。

10) 広義のブロックチェーン技術である分散型台帳技術(DLT:distributed ledger technology)は,P2P ネットワーク上で維持される。ここで P2P ネッ トワークとは,クライアント=サーバー型ではなく,各参加ノード(ノードと は,通信を行う各コンピューターのことである)が対等に直接通信するネット ワークのことである。野村総合研究所(2016)⚙頁,ブロックチェーン技術の

(4)

このように定義は明確でないものの,現在,海外では既に様々な P2P 保 険が実施されている11)。それらを大別すると,ブローカー型,キャリア型,

相互救済制度型の⚓つ類型に分類することができる12)。以下,順に,各類型 の概要と代表例を概観する。

⑴ ブローカー型

ブローカー型は,保険商品自体は通常のものと変わりないが,保険ブローカ ー等が P2P 保険の仕組みを運営する方式である。たとえば,Friendsurance

(ドイツ)や insPeer(フランス)13)や VouchForMe(旧名称:Insurepal)14) がある。

Friendsurance の仕組みは次のとおりである。すなわち,Friendsurance 活用可能性と課題に関する検討会(2017)12頁参照。

11) 2016年⚕月時点における P2P 保険の一覧が Swiss Re (2016) p. 37に掲載さ れている。

12) Ref., Limo Rego (2018).

13) insPeer は自動車保険の免責金額部分について P2P 保険の仕組みを提供し ている。保険契約者は,insPeer 内部でソーシャル・グループを作り,当該グ ループにおいて免責金額部分の相互保険制度を構築する。グループは適宜,免 責金額を高めることによって,保険会社に支払う保険料負担を低下させること ができる(ただし,その分,当該グループが負担する免責金額部分のリスクが 増大する)。免責金額部分に限定されるものの,仲間内の相互監視によって,

慎重な運転をすることを勧奨したり,保険の不正請求を防止したり仕組みが内 蔵されることになる。なお,無事故の場合には insPeer は何も徴収せず,一方,

保険事故が発生した場合には,保険会社から支払われる保険金の数パーセント を管理費用として徴収する。Ref., https : //www.the-digital-insurer.com/dia/

inspeer-1st-peer-to-peer-insurance-service-in-france, last visited on Nov 18, 2018.

14) VouchForMe(旧 InsurePal)は,既存の保険契約者が,新規保険契約者が 低リスクであることを保証する仕組み(“distributed social proof insurance” と 称している)を提供するプラットフォーマー(リヒテンシュタイン)のようで ある。すなわち,新規保険契約者が加入後に無事故であることを既存保険契約 者が保証すると,新規保険契約者は保険料の割引を享受できるし,また,既存 保険契約者は報酬(トークン)を受領できる。ただし,新規保険契約者が保険 事故を起こすと,既存保険契約者は受領済みの報酬を返却しなければならない ばかりか,罰金も支払わなければならない。Ref., InsurePal (2018).

(5)

(ドイツ)を運営する Alecto GmbH(ドイツ)は,2010年創業で,15百万ド ルの資金調達を行っている。同社は独立ブローカーであり,保険会社ではな い(ドイツ国内の70社以上の保険会社と取引をしているとのことである)。

また,2013年にオーストラリアで Friendsurance (Australia) Pty Ltd を設立 のうえ,2017年より friendsurance を営んでいる。Friendsurance(ドイツ)

が仲介するのは個人向け自動車保険,家財保険,個人賠償責任保険,訴訟費 用保険である。一方,friendsurance(オーストラリア)が仲介するのは自 転車保険(物保険,人保険,賠償責任保険)である。

Friendsurance においても,契約手続や保険金支払手続で先進技術を用い ているが,特徴的なのは,保険契約者間の人的な繋がりを利用していること である。

リスク・カバーは,グループ内で保有する部分(第⚑レイヤー)と保険会 社に付保する部分(第⚒レイヤー)の二層から成る15)。第⚑レイヤーに関し ては,保険契約者が10人単位で16)グループを作り(自主的にグループを作る ことも可能であるし,また,Friendsurance がグループ作りを支援してくれ る),保険料プールが形成される。当該グループにおいて保険事故が発生し なかった場合には,当該保険料プールの資金が当該グループに所属する保険 契約者に還元される(また,保険成績が良いと,次年度の保険料が割引され る)。一方,保険事故が発生した場合には,まずは第⚑レイヤーでカバーさ れ,それを超える損害については第⚒レイヤーである保険会社の保険カバー も発動する。なお,保険カバーが発動しても,Alecto や Friendsurance (Australia) が負担する訳ではない。彼らは保険ブローカーに過ぎないから である。

15) 保険契約者に還元され得る最大限度額は保険料の40%であるので(以前の還 元率は50~60%だったようである。損保総研(2015)147頁参照),第⚑レイヤ ーに拠出されるのが保険料全体の40%であり,残り60%が保険者に支払われる 保険料および Friendsurance の取り分かと思われる。

16) ドイツでは最大15人,オーストラリアでは最大10人をグループの規模として いる。牛窪(2018)⚙頁参照。

(6)

保険会社にしてみると,仲間内による相互監視を通じて,保険請求におけ る不正請求(架空事故,故意による事故招致,保険金の水増し請求)を抑止 する効果が期待される(“responsible claims behaviour” と称している)。ち なみに,グループにおいては,メンバーの削除や追加を月に⚑回行うことが できる。また,少額な保険請求を行う可能性も低いので,支払保険金総額と 保険請求対応コストが低下する。さらに,相互のリスク状況を良く知ってい る仲間で一緒に保険加入するため,保険会社や保険ブローカーにしてみると,

良質な個人保険契約を一定数まとまって獲得できることになる。なお,こう したことは,グループ単位での保険収支を保険契約者に還元する同様の方式 を採用する P2P 保険に共通の特徴である。

⑵ キャリア型

キャリア型は,保険会社が P2P 保険の仕組みを運営する方式である。た とえば,Lemonade(米国)17)や Guevara(英国)18)がある。

17) Lemonade について,牛窪(2018)15-24頁に比較的詳しい紹介がある。

18) Guevara(会社名は,JFLOAT Limited)は,自動車保険について,補償を

⚒つのレイヤーに分けたうえ,第⚑レイヤーについてグループ単位(10人以 上)で一種の団体保険制度を構築する。具体的には,自動車保険の一般的な保 険料相当額を徴収し,その75%を第⚑レイヤーの保険料プールに投入する(残 りの25%は,Guevara の取り分(第⚒レイヤー部分の保険料を含む)となる)。

保険事故が発生しなければ,第⚑レイヤーの保険料プール残高が翌年度にそ のまま引き継がれ,更新契約時の保険料値下げに充当される。すなわち,翌年 度,当該グループの保険契約者は,一般的な自動車保険料相当額の25%分の保 険料支払で済むことになる。

一方,保険事故が発生した場合には,第⚑レイヤー部分については当該グル ープの保険料プールから支払を行い,第⚒レイヤーに突入する保険事故につい ては,Guevara が負担する(実際には,一定部分以上について Guevara は再 保険に出再しているようである)。そして,翌年度において,当該グループの 保険契約者は,一般的な自動車保険料相当額を保険料として支払うことになる

(第⚑レイヤーに残高がないので,保険料割引ファンドはない)。

なお,保険契約者は,自身が所属するグループの第⚑レイヤー(保険料プー ル)の費消状況を確認することができる。また,グループは,匿名投票システ ムを用いて,特定のメンバー(保険成績が不良なメンバー等)をグループから

(7)

Lemonadeó Incõ(米国デラウェア州)は,2015年創業で,投資家等から巨 額の資金調達を行ったことでも著名である19)。その子会社として,保険会社

(Lemonade Insurance Companyõ ニューヨーク州の保険会社),保険代理店

(Lemonade Insurance Agencyó LLCõ ニューヨーク州の保険代理店),研究 開発会社(Lemonadeó Ltdõ イスラエル)がある。

レモネード保険会社は,まずは2016年⚙月に米国ニューヨーク州で保険業 の免許を取得したうえで,2018年⚘月現在,19の州とワシントン DC で保険 引受を行っている。同社が提供するのは家財保険である(賃借人向け家財保 険と住宅所有者向け家財保険)。

レモネード保険会社においても,契約手続や保険金支払手続で先進技術を 用いているが,特徴的なのは利益分配方法である。すなわち,一般に保険会 社においては,少なくとも一次的には保険収益は保険会社に帰属することに なる。一方,レモネード保険会社では,保険収益を,レモネード保険会社が 示す慈善団体の中から予め保険契約者が選択した非営利団体に寄付する。寄 付額は,当該非営利団体を選択した保険契約者群について,その保険料総額 の40%20)が限度額となる21)

外すことができる。

以上,損保総研 (2015) 122-123頁,OECD (2017) p. 18参照。なお,Guevara は2017年⚙月に事業を停止した。

19) レモネードの資金調達額は,2015年12月に13百万ドル,2016年⚘月に13百万 ドル,2016年12月に34百万ドル,2017年⚔月(調達額不明),2017年12月に120 百万ドルに上っている。

20) レモネード保険会社の取り分となる固定手数料である保険料の60%は,その 1/3が保険会社運営費に,1/3が出再保険料に,1/3がリスク・バッファーに充 てられているようである。

21) レモネード保険会社のウェブサイトによると,2018年における寄付額は16万 ドルだとのことである。https : //www.lemonade.com/giveback, last visited on Nov 18, 2018. なお,レモネード保険会社は,米国の非営利団体である⽛B Lab⽜によって,⽛認定Bコーポレーション⽜の認証を受けている(この認証 は,一定以上の社会活動や環境活動,透明性,法的説明を備える営利企業に与 えられる)。この認証制度については次のウェブサイトを参照。

(8)

結局のところ,リスク・カバーは⚒層構造となっており,第⚑レイヤーは 寄付先単位のグループのプールカバー,第⚒レイヤーがレモネード保険会社 による保険カバーから成るようである。保険契約者に還元され得る最大限度 額は保険料の40%であるので,残る保険料の60%がレモネード保険会社の収 受する実質的な手数料および保険料かと思われる。

このような⚒層構造のリスク・カバーによって,米国でしばしば問題とさ れる⽛保険会社の支払渋り⽜(保険契約者が拠出した保険料ファンドに関し て,保険金として支払うか,それとも,保険金支払をせずに保険会社の収益 とするかで,保険契約者と保険者の利害が相反する事態)が発生しにくくな っている22),とレモネード保険会社は宣伝している。このビジネスモデルで は第⚑レイヤーにおける保険収益が保険会社の役員や社員に分配されずに,

保険契約者自身が選択した慈善団体に寄付されるため23),契約獲得に繋がる のみならず,保険請求における不正請求(架空事故,故意による事故招致,

保険金の水増し請求)を抑止する効果が期待されている。やはり保険事業に おいては,いくら先進的な技術を用いるとしても,不正請求をいかに低減さ せるかがビジネスモデルの大きな鍵を握っていることが分かる。

⑶ 相互救済制度型

相互救済制度型は,プラットフォーマー(プラットフォーム提供者)24)が 相互救済制度の運営を支援する方式である。ここで相互救済制度とは,組合 員(あるいは,構成員)が抱えるリスクについて,組合員(あるいは,構成

https : //bcorporation.net, last visited on Nov 18, 2018.

22) ただし,保険収益の40%が寄付限度額とされているため,それ以上に保険収 益が残存する保険契約群に関しては,保険契約者と保険者の利害が相反する事 態が生じることになる。

23) 保険収益は保険契約者に一切還元されない。なお,保険収益は慈善団体に一 時に寄付されるのではなく,1/4ずつが⚔年間にわたって寄付される。

24) プラットフォーマーとは,ビジネスを行うための基盤(プラットフォーム)

として利用する機器,サービス,システム,ソフトウェア等を作成・提供・運 営する事業者のことである。

(9)

員)から組合(あるいは,団体)へはリスク移転をせずに,組合員相互間

(あるいは,団体構成員相互間)で直接に(したがって,リスク引受主体と しての保険者の役割を果たす者がいない25)),リスクの分担負担を行う経済 的仕組みを指すこととする26)。たとえば,Teambrella(米国)がある。

Teambrella Incõ は,2015年創業で,既に1õ3百万ドルのファンディング を受けている。同社は,チーム(team)による相互救済制度の運営を支援 する企業である27)。ここでチームとは,同一のソーシャル・ネットワークで 繋がっている者(たとえば,あるオンラインゲームの愛好者の団体,ある企 業の従業員の団体,同一地域に居住する住民)や同種のリスクを抱える者の 集団(たとえば,特定のペットを飼育する者の集団)を指す28)

総じて言えば,各チームのメンバーは,保険サービスの提供者であると同 時に,利用者である。そして,チームの運営は,チーム設立時に作成したチ ームの規約(保険カバーの内容,保険金請求書類等も規約である coverage rules で決める)に従って運営される。その後の運営,すなわち,規約の変 更,入会審査,保険事故の査定,保険金支払等は,チーム毎の投票システム を介して,各チームにおいてメンバーが集団的に行う。

チーム加入に関しては,特段の要件を設定しないチームもあれば,既存メ

25) 一方,リスク引受主体としての保険者の役割を果たす者がいる相互救済制度 としては,たとえば P & I 保険がある。

26) 吉澤(2006)98頁参照。なお,Friendsurance の第⚑レイヤー部分も相互救 済制度と言えるかもしれない。ただし,リスク・カバーの仕組みの詳細が分か らないので,断定はできない。

27) Teambrella は,“software-driven platform”であって,保険カバーを提供す るものではないと主張している。同社の利用条件(Terms of Service)による。

https : //teambrella.com/TermsOfService.pdf, last visited on Nov 18, 2018.

28) 2018年11月18日現在,⚔カ国で⚔つのチーム(team)を試験的に運営して いる。すなわち,ペルー(ペット保険。200人),オランダ(自転車保険。33 人),アルゼンチン(ペット保険。135人),ドイツ(自転車保険。18人)であ る。Teambrella 社のウェブサイトによる。

https : //teambrella.com, last visited on Nov 18, 2018.

(10)

ンバーの紹介を要するチームもある。入会審査に際しては,申請者が付保物 件に関する情報をチームに提供し(提供を求める情報はチームが定める),

チームが申請者のリスク係数(risk coefficient)を決定し,当該リスク係数 を申請者が承諾すると加入となる。

各メンバーは,保険料支払および保険金受領のため,自己の仮想通貨ウォ レット(wallet)を保有し,一定量の仮想通貨(Ether)を当該ウォレット に維持する。なお,このウォレットは Teambrella のサーバーの管理下には ない。保険料支払は,事後拠出制である。すなわち,メンバーは,事前に,

あるいは,定期的に保険料を支払う必要はない。事故を起こしたメンバーが 保険金(reimbursement of claims)を請求した場合のみ,当該保険金のうち の自己の負担部分のみを,自己の仮想通貨ウォレットから支払えばよい(し たがって,メンバー全員が無事故であった場合には,何ら保険料支払が生じ ない)。

保険事故が発生すると,事故を起こしたメンバーはチームに報告するとと もに,必要な情報を提供する(Teambrella に対して,事故発生を報告した り事故内容について情報提供したりするのではない)。チームの各メンバー は,申請内容の妥当性を判断し,保険金支払可否および金額について投票を 行う。投票権は,直近数ヶ月間における支払保険料総額に比例する。投票期 間として一定期間が設定され,投票結果の中央値(median value of votes)

が採用され29),支払保険金が決定する(チームにおける他の決定にもこの方 式が採用されている)。Teambrella によると,保険金支払に保険会社が関与 しないことによって,保険金支払手続の透明性が増大するとともに,保険会 社による保険金の⽛支払渋り⽜といった事態を回避できるとする30)

29) Teambrella は,中央値を採用することによって,平均値(mean value of votes)を採用するよりも,戦術的な投票行動による弊害を抑えることができ るとしている。

30) なお,損害査定や保険金支払に保険会社が関与せず,保険契約者に相当する チームの各メンバーが損害査定や保険金支払を実施するという発想は画期的だ と思われる。

(11)

なお,保険金支払可否の検討には専門性が必要なため,投票権の代理行使

(proxy voting),および,代理行使者に対する報酬支払を Teambrella 社は 推奨している。すなわち,保険金支払に関する専門性の高い者に投票権行使 の代理を委任することを認めるとともに,受任者がその能力と時間を費やし て保険請求内容の妥当性を検証・判断することに対する報酬を付与する制度 を,チームの判断で設定するのである(なお,このような受任者をメンバー 以外の者に依頼することもチームの判断で可能である)。そして,このよう な受任者は,チームから付与される報酬で生計(の一部)を立てていくこと も可能となる(pro voter の誕生)31)

今のところ,この事業は開始間もないので,Teambrella は報酬を徴収し ていない。けれども,事業が軌道に乗れば,一般の保険会社と同等の報酬を 徴収する予定であるとのことである32)

⑷ 小 括

このように P2P 保険には様々な種類があり,それらは⚓つに分類するこ とができるが,これらに共通する経済的な特徴として以下の点を挙げること ができよう33)(なお,当然のことながら,ブロックチェーン等々の FinTech を駆使していることが前提となっている)。

第⚑に,P2P 保険では,P2P 保険の内部でソーシャル・ネットワークが 形成されたり,既存のソーシャル・ネットワークが P2P 保険の保険契約者 として取り込まれたり,P2P 保険内部のソーシャル・ネットワークが新し い保険契約者を招き入れたりする。従来型の保険では保険者が保険契約者の 危険選択を行ってきたが,P2P 保険では,この危険選択の一部あるいは全 部を保険契約者自身に委ねる(正確には,ソーシャル・ネットワークに委ね 31) 以上,Teambrella (2018)および同社ウェブサイトの FAQ(https : //team

brella.com/faq, last visited on Nov 18, 2018)による。

32) Teambrella のウェブサイトに掲載されている FAQ による。https : //team brella.com/faq, last visited on Nov 18, 2018.

33) P2P 保険の経済的特徴として本文で述べる第⚑の点と第⚒の点について Swiss Re (2016) p. 36参照。

(12)

る)ものである。従来型の保険では保険者・保険契約者間で情報の非対称性 があるため逆選択の問題を避けることができない。そのため,告知義務を 保険契約者等に課したうえで,告知義務違反に対する制裁を用意せざるを 得ない。一方,P2P 保険では,保険契約者が所属するソーシャル・ネット ワークに危険選択の一部または全部を委ねるが,ソーシャル・ネットワーク 内部では,保険者・保険契約者間の情報の非対称性に比して,情報の非対称 性が格段に低下するので,より正確な危険選択が可能となる(たとえば,

Friendsurance)。

第⚒に,上述のとおり,P2P 保険では多数のソーシャル・ネットワーク から構成されることになるが,各保険契約者が P2P 保険内部のソーシャ ル・ネットワークに所属していることは,P2P 保険加入後の保険契約者の 行動にも大きな影響を与える。すなわち,ソーシャル・ネットワーク単位で,

保険成績が計算され,保険成績の結果次第で当該ソーシャル・ネットワーク 所属者への拠出金還元額,負担額等が決定されるので,自分が所属する P2P保険内部のソーシャル・ネットワークに迷惑をかけないように(こう した圧力は “peer pressure” と呼ばれている),行動する可能性が高い。具 体的には,保険事故を起こさないように(保険金を請求すると,当該ソーシ ャル・ネットワークが P2P 保険で享受できるメリットが損なわれてしま う),付保危険に関して慎重な行動をとる可能性がある。また,保険事故が 発生した場合であっても,少額損害であれば,保険請求を自主的に差し控え る可能性がある。さらに,保険金の不正請求を行わない可能性が非常に高ま る(たとえば,Friendsurance34))。

第⚓に,P2P 保険では,保険者(あるいは,P2P 保険運営者)の収益の 全部または一部が固定されていることがあるが,その場合には,保険者と保 険契約者との利益相反関係が解消または低下する(たとえば,レモネード保 険会社,Teambrella)。従来型の保険では,保険収益は一次的には保険者の 34) 10人程度までの少人数グループでは相互監視や相互抑制(保険請求の抑制)

の効果が出やすいと Friendsurance は見ている。

(13)

取り分となるので(保険相互会社においても,最終的には保険契約者群への 配当原資となるが,一次的には保険者の取り分となる),少なくとも短期的 には保険金支払を巡り保険者と保険契約者は対立関係に立つ。一方,保険者 の取り分が固定されている P2P 保険では,残余の保険収益は保険契約者

(正確には,P2P 保険内部のソーシャル・ネットワーク,あるいは,当該ネ ットワークが指定する寄付先等)に還元されるので,こうした対立関係は小 さい,あるいは,存在しないことになる。また,保険者と保険契約者の対立 関係が小さくなる,あるいは,存在しなくなることによって,顧客の P2P 保険に対する信頼が上昇することになる(特に米国では,顧客の保険業界に 対する不信感あるいは反感が非常に強いと言われている)。

第⚔に,P2P 保険は,顧客のイニシアティブで一種の団体保険を形成す るものだと言えよう(たとえば,Friendsurance,Teambrella)。従来型保 険では,個人向け保険では個々の保険契約者の危険が評価されて保険料が設 定されるのが原則である。例外的に,保険者が認める基準に合致する一定の 集団についてのみ,集団単位での保険成績に応じた保険料設定が可能となる

(これが団体保険である)。P2P 保険は,こうした保険料算定単位となる集 団形成を顧客側に委ねるものである。そのため,これまで団体保険のメリッ トを享受することができなかった個人にとっては,P2P 保険内部のソーシ ャル・ネットワーク単位での保険料を享受することができるので,特に大き な意義を有することになる。また,既存の団体保険制度を破壊していく可能 性も秘めている。

以上のような P2P 保険の経済的な特徴は,もともと原始の相互保険制度 が有していたものである(筆者は,これを相互救済制度と呼んでいる)。し たがって,P2P 保険は,FinTech の先進技術を用いて,相互救済制度を実 現しようとするものであるとも言えよう。

⚓.経済的な保険の該当性

P2P 保険には様々な法的論点があり得るが,その中でも基本的な論点で

(14)

あるのは⽛保険⽜該当性の問題である。もし P2P 保険が保険法における

⽛保険⽜に該当しないとすると,保険法の適用を受けないことになる。その 場合,保険法の類推適用を受けるかもしれないし,あるいは,保険デリバテ ィブのように保険法の類推適用すら受けないかもしれない。また,もし P2P保険が保険業法における⽛保険⽜に該当しないとすると,保険業法の 適用を受けないことになる35)。その場合,保険業の免許や監督を受けること なく,P2P 保険の事業を営むことができる可能性がある。

そこで P2P 保険の保険法や保険業法における保険該当性を検討する必要 があることになるが,その前に,まずは,P2P 保険が経済的な保険に該当 するか否かを検討することにする。その理由は,保険法は⽛保険⽜を規律対 象とするものであり(保険法⚑条),また,保険業法は⽛保険⽜の引受を行 う事業である⽛保険業⽜を規律対象とするものである(保険業法⚒条⚑項柱 書)。しかるに,両法とも⽛保険⽜に関する定義規定が設けられておらず,

しかも,両法とも対象となる取引が経済的な保険に該当することが暗黙の前 提として求められている。そのため,あるリスク移転契約への両法の適用有 無を判断するに際しては,経済的な保険への該当性を検討しなければならな いと考えられるからである。

なお,以下の検討にあたっては,Teambrella を検討材料として取り上げ る。同社は最も純粋な形態で P2P 保険を営もうとしているし,また,同社 はプラットフォーマーであって保険会社や保険ブローカーではなく,同社が 提供するサービスは⽛保険⽜に該当しないと同社自身が明言しているからで

35) 保険業法に関しては,類似保険に対する取締りも法の目的となるため,経済 的な保険に該当しない場合であっても,同法を適用すべき領域があるとの考え 方もあり得るところである(なお,そもそも,保険業免許の対象事業を,⽛保 険またはそれに類似するものの引受けを行う事業⽜と定義してしまえば,この ような問題は生じない)。ただ,こうした領域の広狭や存否は,結局は経済的 な保険概念をどの程度に広く設定するかということと相関関係で決まることに なる。ちなみに,筆者の保険概念を採用すると(本文⚓⑵参照),保険概念は 広いので,こうした領域はほとんど存在しないことになる。

(15)

ある36)。さらに,特にプラットフォーマーが P2P 保険のプラットフォーム を提供することが保険業法の⽛保険業⽜に該当するか否かが,現実に問題と なっているようであるからである37)。なお,Friendsurance や Lemonade に おいても,第⚑レイヤー部分について相互救済制度を運営しているようであ るので38),この部分については共通する論点が多い。

⑴ 判例・学説

ここで P2P 保険の経済的な保険への該当性を検討することになるが,経 済的な保険の特徴について,判例は保険業法に関する事案において次のよう に述べている(最大判昭和34年⚗月⚘日・民集13巻⚗号911頁)。すなわち,

⽛保険契約関係は,同一の危険の下に立つ多数人が団体を構成し,その構成 員の何人かにつき危険の発生した場合,その損失を構成員が共同してこれを 充足するといういわゆる危険団体的性質を有するものであり,従つて保険契 約関係は,これを構成する多数の契約関係を個々独立的に観察するのみでは 足らず,多数の契約関係が,前記危険充足の関係においては互に関連性を有 するいわゆる危険団体的性質を有するものであることを前提としてその法律 的性質を考えなければならないのである。⽜と述べて,経済的な保険が⽛危 険団体的性質⽜を有することを指摘している39)

36) Teambrella のウェブサイトの冒頭に,⽛保険ではない⽜こと,そして,

“coverage to each other”であることが明記されている。https : //teambrella.

com, last visited on Nov 18, 2018.

37) 藤原(2018)18頁参照。

38) 牛窪(2018)⚗頁参照。

一方,Bought By Many(英国)の仕組みは,保険ブローカーが,同様の保 険カバーを求める保険契約者を集めて保険会社と交渉し,保険契約者のニーズ に合致した保険カバーを保険会社に作らせているだけだとすると(損保総研

(2015)121頁参照),P2P 保険ではないと思われる。これまで保険ブローカー が,顧客企業のために保険会社と交渉して顧客ニーズに合致した保険カバーを 作らせていたが,こうした販売手法を個人の集団にも応用しようとしているも のだと思われる。ただし,牛窪(2018)11-13頁は Bought By Many も P2P 保 険に分類している。

39) 東京高判平成13年11月30日・民集59巻⚗号2009頁(機械保険連盟事件)も参照。

(16)

ただし,この判決は,必ずしも経済的な保険に関する包括的な定義を示し たものではなく,経済的な保険には⽛危険団体的性質⽜が認められることを 指摘したうえで,保険契約関係の法律的性質を検討するにあたっては,この

⽛危険団体的性質⽜を前提とすべきことを示したものである。

経済的な保険に関しては,学説においても,確固たる定義は確立していな い。法学者は,たとえば次のように保険を定義している。

江頭教授は,⽛保険とは,同種の危険(財産上の需要(入用)が発生する 可能性)に曝された多数の経済主体(企業・家計)を一つの団体と見ると,

そこには大数の法則が成り立つことを応用して,それに属する各経済主体が それぞれの危険率に相応した出捐をなすことにより共同的備蓄を形成し,現 実に需要が発生した経済主体がそこから支払いを受ける方法で需要を充足す る制度をいう⽜と定義している40)

そこで,江頭教授が示すこれらの要件を Teambrella に当てはめてみると 次のとおりである。すなわち,Teambrella では,各メンバーは事前には何 ら拠出をせず(仮想通貨のアカウントに一定額を保持するが,当該アカウン トは各メンバーの個人アカウントである),あるメンバーに事故が発生して 当該事故による損害を補てんする必要が発生し,チーム内で補てんが決定さ れた場合に初めて,各メンバーの仮想通貨アカウントから補てんが必要なメ ンバーの仮想通貨アカウントへと,所定の仮想通貨が移転する。つまり,完 全な事後拠出制度を採用しており,事前にメンバーが⽛危険率に相応した出 捐⽜をなすことによって⽛共同的備蓄⽜を形成することはない。また,事故 の損害の補てんを受けるメンバーは,他のメンバーから直接に仮想通貨の支 払を受けるのであって,共同的備蓄から支払を受けるのではない。したがっ て,江頭教授の立場では,Teambrella の仕組みは,そもそも経済的な⽛保 険⽜に該当しないことになろう。

40) 江頭(2013)407頁。江頭教授のこの定義内容は,大森(1985)⚒-⚓頁の定 義とほぼ同様である。また,近藤編(2014)247頁[小林登]も同様の定義を している。

(17)

洲崎教授は,⽛同様の危険にさらされた多数の経済主体が金銭を拠出して 共同の資金備蓄を形成し,各経済主体が現に経済的不利益を被ったときにそ こから支払を受けるという形で不測の事態に備える制度⽜と定義している41)

そこで,洲崎教授が示すこれらの要件を Teambrella に当てはめてみると 次のとおりである。すなわち,Teambrella では,上述のとおり完全な事後 拠出制度を採用しており,事前に⽛共同の資金備蓄⽜を形成することはなく,

また,⽛共同の資金備蓄⽜から支払を受けることもない。また,⽛金銭⽜の拠 出が要件とされているが,仮想通貨が金銭でないとすると42),Teambrella はこの要件も充足しない。したがって,洲崎教授の立場でも,Teambrella の仕組みは,そもそも経済的な⽛保険⽜に該当しないことになろう。

山下教授は,次の❞~❢を保険法における⽛保険⽜の要件とする43)。す なわち,❞ 一方当事者が金銭(保険料)を拠出すること,❟ 偶然の事実の 発生による❞の当事者の経済的損失を補てんすべく,他方当事者が❞の当 事者に対して給付(保険給付)を行うこと,❠ 上記❞と❟が対立関係に立 つこと,❡ 収支相等原則が成立すること,❢ 給付反対給付均等原則が成立 すること44)である。

そこで,山下教授が示すこれらの要件を Teambrella に当てはめてみると 次のとおりである。すなわち,Teambrella では,メンバーは仮想通貨を事

41) 山下他(2015)⚒頁[洲崎博史]。

42) 後掲注56)参照。

43) 山下(2018)⚗-12頁。なお,保険業法上の⽛保険⽜概念についても,基本 的には同様の考え方をする(同書13-14頁)。

44) 山下教授は,給付反対給付均等原則(本文❡の要件)について,個々の保 険契約単位で成立する原則だと述べながら(山下(2018)⚘頁),同原則を非 常に緩やかに捉えているがため(同書11頁),要件としての意義をほとんど有 していないように思われる。その一方で,給付反対給付均等原則を非常に緩や かに捉えながらも,⽛危険選択を行わずに保険料ないし掛金も一律という仕組 み⽜については同原則を充足しないとするが(同書11頁),そのようなリスク 移転の仕組みであっても経済的な⽛保険⽜に該当することがあり得ると考えら れる。吉澤(2017)194-196頁参照。

(18)

後的に拠出するが,仮想通貨が金銭でないとすると,上記❞の要件に該当 しない。また,Teambrella では,上記❟における⽛他方当事者⽜に該当す る者が存在しないので(あるメンバーに事故が発生した場合には,チームの メンバー全員が分担負担する),上記❟の要件にも該当しないと思われる。

さらに,Teambrella では完全な事後拠出制を使用しているので,上記❢が 成立しないと思われる(そもそも,給付反対給付均等原則は事前拠出制を前 提とした原則であろう)。したがって,山下教授の立場では,Teambrella の 仕組みは,そもそも経済的な⽛保険⽜に該当しないことになろう45)

⑵ 私 見

確固たる保険の定義が存在しないことは諸外国でも同様であるが,米国で は保険が機能的に捉えられており46),保険の経済的要件はリスク移転,リス ク集積,リスク分散であると概ね考えられている。たとえば,保険の経済的 要件はリスク移転(risk transfer)とリスク分散(risk distribution)である と言われたり47),保険はリスク移転(risk-transfer),リスク集積(risk- pooling or diversification),リスク分散 (risk-allocation) という⚓つの異なる 機能を持つと言われたりする48)。また,米国では,判例も同様に述べている49)

45) 山下教授は,こと保険業法における保険概念に関しては,本文❡および❢

の要件について少々緩やかな基準を採用するようである(山下(2018)13-14 頁)。また,吉田弁護士(元・金融庁出向者)は,本文❞~❠の要件を確認し たうえで,本文❡および❢の要件は,保険業法上の保険の要件とならないと する(吉田(2016)37-38頁)。

けれども,Teambrella に関しては,そもそも本文❞および❟の要件を充足 しないので,山下教授や吉田弁護士の立場では保険業法適用の前提となる保険 概念に該当しないことになろう。

46) 同じ英米法系ではあるが,英国ではこのような機能的なアプローチは一般的 ではない。Ref., Birds, Lynch and Milnes (2015) para. 1-011.

47) Ref., Jerry and Richmond (2012) pp. 11-14.

48) Ref., Abraham and Schwarcz (2015) pp. 3-5.

なお,ドイツでも同様のようである。Ref., Weyers and Wandt (2003) Rn 97, 98.

49) 租税判例であるが,生命保険契約の中核を成すのは,リスク移転(risk

(19)

筆者も,保険を定義するにあたり,このような機能的アプローチを採用し ている。すなわち,保険とは,リスク移転,リスク集積,リスク分散の⚓つ の機能を兼ね備える経済制度であると考えている。ここでリスク移転(risk transfer)とは,リスク・ヘッジャーに存在する経済的リスクを,リスク・

テイカーに法的に移転することである50)。リスク集積(risk pooling)とは,

同質で相互独立のリスクを多数集積することである51)。リスク分散(risk distribution)とは,法的にはリスク・テイカーにリスク移転を行うものの,

リスク・ヘッジャーに課されるリスク移転対価を通じて,実質的には各リス ク・ヘッジャーにリスクの分散がなされることによって,個々のリスク・ヘ ッジャーの不安定なリスクを,他人の多数のリスクの極小部分の集合という 安定的なリスクへと変換することである52)

筆者のように経済的な保険を捉えるとすると,相互救済制度は,たとえ保 険者に相当する者が存在しなくても,一定数以上の構成員が集まれば,経済 的な保険に該当することになる(なお,リスク・テイカーは,必ずしもリス クの引受を専門とする保険者が存在することは要件ではなく,ある集団内部 でリスクが分散される場合には,当該集団の構成員全員がリスク・テイカー になると考えられる)53)。Teambrella は,まさに相互救済制度方式を採用し ており,一定数以上のメンバーが集まることが前提とされているので,経済 的な保険に該当すると考えられる。なお,Teambrella では,拠出は金銭で はなくて仮想通貨を用いているが,金銭の拠出は保険の経済的な要件ではな

shifting) とリスク分散 (risk distributing) であると判示されている。Helvering v. LeGierse, 312 U.S. 531, 539, 61 S.Ct. 646, 649, 85 L.Ed. 996 (1941).

49) 租税判例であるが,生命保険契約の中核を成すのは,リスク移転(risk shifting) とリスク分散 (risk distributing) であると判示されている。Helvering v. LeGierse, 312 U.S. 531, 539, 61 S.Ct. 646, 649, 85 L.Ed. 996 (1941).

50) 吉澤(2006)⚖頁参照。

51) 吉澤(2006)34頁参照。

52) 吉澤(2006)50頁参照。

53) 吉澤(2006)97-105頁参照。

(20)

く,現物の拠出であっても保険該当性が損なわれることはないと考えてい る54)。また,Teambrella では,事前拠出制ではなくて事後拠出制(assess- ment planõ 賦課方式)を採用しているが,事後拠出制であっても保険該当 性が損なわれることはないと考えている55)。以上からすると,私見の立場で は,Teambrella は経済的な保険に該当することになる。

⚔.保険法における保険該当性

あるリスク移転契約が経済的な⽛保険⽜を構成する一部分として行われた 場合(保険法⚑条),次に,当該リスク移転契約が保険法上の⽛保険契約⽜

に該当するか否かが問題となる。筆者の立場では,Teambrella は経済的な

⽛保険⽜に該当するので,保険法の適否を検討する必要がある(一方,江頭 教授,洲崎教授,山下教授の立場ではそもそも経済的な⽛保険⽜に該当しな いので,保険法は適用されないことになろう。なお,類推適用はあり得るか もしれないが,類推適用を認めるのか,それとも,類推適用すら否定するの か不明である)。

保険法では,同法における⽛保険契約⽜は次のように定義されている。す なわち,⽛❣当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の 給付を行うことを約し,❤相手方がこれに対して当該一定事由の発生の可 能性に応じたものとして保険料を支払うことを約する契約⽜である(保険法

⚒条⚑号。なお,カタカナは筆者が付した)。

そこで,保険法が規定する⽛保険契約⽜の定義を Teambrella に当てはめ てみると次のとおりである。すなわち,Teambrella では,上記❣における

⽛当事者の一方⽜に該当する者が存在しないので(あるメンバーに事故が発 生した場合には,チームのメンバー全員が分担負担する),上記❣の要件に 該当しないと思われる。この点は,保険法が,⽛保険者⽜について,⽛保険契 約の当事者のうち,保険給付を行う義務を負う者をいう。⽜という定義規定

54) 吉澤(2006)52頁参照。

55) 吉澤(2006)52-53頁参照。

(21)

(保険法⚒条⚒号)を置いていることからも明らかである。保険法は,保険 者の存在しない相互救済制度を念頭に置いていないのである。

また,Teambrella では,メンバーは仮想通貨を事後的に拠出するが,仮 想通貨が金銭でないとすると,上記❤の要件に該当しないことになる(保 険法における⽛保険料⽜とは金銭を指すものと思われる)56)

さらに,そもそも事後拠出は⽛一定事由の発生の可能性に応じたものとし て⽜行われるのではなくて,事故によってあるメンバーに実際に発生した損 害について他のメンバーが分担負担するものであるから(つまり,⽛可能性⽜

に応じたものではなく,現実に発生した損害に対する給付に応じたものであ る),やはり上記❤の要件に該当しない。したがって,Teambrella の仕組 みは,保険法における⽛保険契約⽜に該当しないことになる。

以上のとおり,筆者の立場では,相互救済制度(たとえば,Teambrella)

は経済的な⽛保険⽜に該当するものの,保険法における⽛保険契約⽜には該 当しないため,保険法は適用されないことになる。

そこで次に,保険法が相互救済制度に類推適用されるか否かを検討するこ

56) 債権の目的物が⽛金銭⽜であるときは,⽛通貨⽜で弁済するものとされてい る(民法402条⚑項)。そして,通貨とは,貨幣(硬貨)および日本銀行券(紙 幣。日本銀行法46条⚑項に基づき日本銀行が発行する銀行券)のことである

(⽛通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律⽜⚒条⚓項)。そして,仮想通貨 は,⽛通貨⽜には該当しない(2014年⚓月⚗日付け政府答弁書⽛参議院議員大 久保勉君提出ビットコインに関する質問に対する答弁書⽜)。

ただし,仮想通貨を対価として債務の弁済に使用することを一律に禁止する 法律は存在していないが(上述答弁書),その後に立法された改正資金決済法 では,⽛仮想通貨⽜は代価弁済のために不特定の者に対して使用することがで きるもののうちの一定のものと定義され(同法⚒条⚕項),やはり⽛通貨⽜や

⽛金銭⽜とは峻別されている(湯山他(2016)69頁,本多(2016)39頁参照)。

したがって,保険法が規定する⽛保険料⽜は,保険者によるリスク引受の対 価として保険契約者が支払う金銭を意味するものであって,仮想通貨は金銭で はないから(久保田(2018)161-162頁[片岡義広]参照),仮想通貨による拠 出は保険法上の⽛保険料⽜の支払には該当しないと思われる。

なお,仮想通貨概念に関しては He(2016),FATF(2015)も参照。

(22)

とになる。まず第⚑に言えることは,上述のとおり保険法は現物の事後拠出 制に基づく相互救済制度を想定していないので,保険法の規律全体がそのよ うな相互救済制度に類推適用されることはないということである。なぜなら,

事後拠出制の相互救済制度には,そもそも⽛保険者⽜や⽛保険料⽜という概 念が存在しないので,それらに関連する規律は原則として類推適用されない と考えられるからである。そうだとすると,相互救済制度には保険法のうち の一部の規律について類推適用される余地が残ることになる。たとえば,告 知義務・危険増加・危険減少に関する規律や解除に関する規律については,

類推適用される余地があるかもしれない。

第⚒に,保険法の一部の規定について類推適用の余地がある場合であって も,片面的強行規定性を保持したまま類推適用すべきかどうかは慎重な検討 を要するように思われる。なぜなら,もし保険者に相当する主体が存在せず,

かつ,当該相互救済制度の規律(給付条件,給付内容等々を含む)が当該団 体において各メンバーの総意で決定されたり変更されたりするのであれば

(ちなみに,Teambrella ではそのような仕組みが採用されている),片面的 強行規定性を持たせる必要性がない,あるいは,非常に乏しいからである。

⚕.保険業法における保険該当性

あるリスク移転契約が経済的な⽛保険⽜を構成する一部分として行われた 場合(保険業法⚑条,⚒条⚑項柱書),次に,当該リスク移転契約を取り扱 う事業が保険業法の規制対象となるか否かが問題となる。筆者の立場では,

Teambrella は経済的な⽛保険⽜に該当するので,保険業法の適否を検討す る必要がある(一方,江頭教授,洲崎教授,山下教授の立場ではそもそも経 済的な⽛保険⽜に該当しないので(前述⚓⑴参照),保険業法は適用されな いことになろう57))。金融庁では2015年12月に⽛FinTech サポートデスク⽜

57) 安居氏(元・金融庁)も,保険の経済的な機能について,⽛一定の偶然の事 故に起因する経済上の不安定の除去や軽減を目的として,当該事故のリスクの 集積と分散を図る共同備蓄の仕組みである⽜とする(安居(2010)18頁)。

(23)

を設置して,Fintech 事業者からの相談・情報交換ができる体制を整えてい るが,保険分野に関しても P2P 保険の法令解釈に関する照会がなされてい るとのことである58)

もし,保険業法上の⽛保険業⽜に該当しない場合には,同法が適用されな いだけでなく,同法が類推適用されることもないであろう。保険業は免許制

(少額短期保険業については登録制)が採用されており(保険業法⚓条⚑項,

185条⚑項,272条⚑項),この免許制(少額短期保険業については登録制)

に反した場合には刑事罰が用意されているからである(同法315条⚑号)59)

⑴ ⽛保険業⽜該当性

そこで,Teambrella が経済的な⽛保険⽜であるとして,Teambrella に保 険業法が適用さるか否かを検討すると以下のとおりである。

まず第⚑に,保険業法は⽛保険業⽜を規律対象としているが(同法⚑条),

⽛保険業⽜とは⽛保険の引受けを行う事業⽜のうちの一定のもののことであ り(同法⚒条⚑項柱書),上述のとおり⽛保険業⽜を行うには免許または登 録が必要であり,免許を受けた者が⽛保険会社⽜や⽛外国保険会社等⽜や

⽛少額短期保険業者⽜となる(同法⚒条⚒項,⚙項,18項)。このような規制 構造からすると,保険業法は,リスクの引受を事業として行う者の存在を前 提としていると考えられる。そうだとすると,Teambrella では,リスクの 引受を事業とする者が存在しないので(あるメンバーに事故が発生した場合 には,チームのメンバー全員が分担負担する),保険業法の適用を受けない ものと思われる。保険業法は,保険会社の存在しない相互救済制度を念頭に

Teambrella では共同備蓄を形成しないので,安居氏の立場でも保険に該当し ないであろう。また,保険業法の規制対象の外延に関して,⽛一般に⽝保険⽞

と考えられるもの,すなわち,…などを約し保険料を収受する保険は,とりあ えず,保険業法の対象となる⽝保険⽞に該当すると解すべき⽜だとするが(同 書19-20頁),Teambrella では保険料の収受を行わないので,安居氏の立場で は,やはり保険業法上の保険には該当しないことになろう。

58) 井上(2018)11-12頁参照。

59) 吉田(2016)43頁注15),細田(2018)11-12頁参照。

(24)

置いていないのである。

第⚒に,保険業法は,経済的な保険の引受のうち,一定のもの(制度共済,

少人数共済60)等)を規律対象から除外している(同法⚒条⚑項⚑号~⚓号)。

そして,これらの適用除外に該当しない保険のうち,保険業法⚓条⚔項各号 または⚕項各号に掲げるものを引き受ける事業を規律対象としている。換言 すると,両項各号のいずれにも該当しない保険に関しては,保険業法が適用 されないことになる61)

保険業法⚓条⚔項は生命保険業免許の対象契約として,同項⚑号は保険業 法における生命保険契約を,同項⚒号は第三分野の保険契約を,同項⚓号は 生命保険契約および第三分野の保険契約の再保険である損害保険契約(⚓条

⚕項⚑号)を規定している。同様に,保険業法⚓条⚕項は損害保険業免許の 対象契約として,同項⚑号は損害保険契約を,同項⚒号は第三分野の保険契 約を,同項⚓号は生命保険契約(⚓条⚔項⚑号)のうち海外旅行期間中の死 亡や疾病死亡に関するものを規定している。そして,保険業法⚓条⚔項⚑号,

同項⚒号,⚓条⚕項⚑号は,当該保険契約について,いずれも⽛…を約し,

保険料を収受する保険⽜と規定する(なお,⽛…⽜の部分では,保険給付を 表す文言が規定されている)。そして,他の規定(保険業法⚓条⚔項⚓号,

⚓条⚕項⚒号,同項⚓号)はそれらの保険契約の定義を引用するから,結局 のところ,⽛保険業⽜に該当する保険契約は,全て,⽛…を約し,保険料を収 受する保険⽜であることになる。

そこで,保険業法が規定する⽛保険業⽜の定義を Teambrella に当てはめ てみると次のとおりである。すなわち,Teambrella では,メンバーは仮想 60) P2P 保険のうち小規模なものは,少人数共済として保険業法の適用除外と なる可能性がある(同法⚒条⚑項⚓号,同法施行令⚑条⚔項)。ただし,相互 救済制度型の P2P 保険(前述⚒⑶参照)の場合,少人数共済としての要件で ある人数基準(1ó000人)について,相互救済制度単位で計算するのか,それ とも,プラットフォーマー単位で計算するのか判然としない。

61) 東京海上火災保険(1997)13頁[山下友信],細田(2018)⚘頁参照。一方,

吉田(2016)41-43頁は,保険業法が適用されるとする。

(25)

通貨を事後的に拠出するが,仮想通貨が金銭でないとすると,⽛保険料を収 受する⽜という,⽛保険業⽜としての規制対象要件に該当しないことになる。

なぜなら,保険業法における⽛保険料⽜とは金銭を指すものと思われるから である62)。また,保険業法は保険料の事前拠出(保険料を事前拠出しつつ,

事後拠出も部分的に採用する場合を含む)を前提としているように思われる が,Teambrella では完全な事後拠出制を採用している。

以上のとおり,筆者の立場では,相互救済制度(たとえば,Teambrella)

は,経済的な⽛保険⽜に該当するものの,保険業法における⽛保険業⽜には 該当しないため,保険業法は原則として適用されないことになる。また,筆 者の立場では,完全な現物拠出制を採用する場合(たとえば,Teambrella)

や,完全な事後拠出制を採用する場合(たとえば,Teambrella)は,経済 的な⽛保険⽜に該当するものの,保険業法における⽛保険業⽜には該当しな いため,保険業法は原則として適用されないことになる。

⑵ ⽛保険業⽜概念の拡大解釈

たとえ P2P 保険が保険業法上の⽛保険業⽜概念にきっちりと適合する訳 ではないとしても,保険業法では類似保険の取締りも法の目的とされるから,

⽛保険業⽜概念を広めに解釈する余地がある。そこで,Teambrella のような 相互救済制度であって,金銭以外のものを事後拠出する仕組みが保険業法の 適用対象となるか否かを検討する。

上述のとおり,相互救済制度型の P2P 保険の一つである Teambrella が 保険業法上の⽛保険業⽜に原則として該当しないのは,次の⚒つの理由であ る。第⚑は,保険業法における⽛保険業⽜としては保険者となる者が事業主 体となることを想定しているが,Teambrella は保険者に相当する者が存在 62) 資金決済法では,仮想通貨は通貨や金銭とは異なるものとして定義されてい る(同法⚒条⚕項)。したがって,仮想通貨の貸出(消費貸借)がなされても,

銀行法10条⚑項⚒号の⽛資金の貸付⽜や貸金業法⚒条⚑項の⽛金銭の貸付⽜に は該当しないと考えられている(本多(2016)39頁参照。なお,仮想通貨取引 の貸金業法適用可能性に関するさらに細かい検討として久保田(2018)

181-182頁[堀天子]参照)。

(26)

しない相互救済制度であることである。この点は,保険業法が規制対象とす る事業に関する根幹部分であるので,免許制(少額短期保険業に関しては登 録制)違反に対して刑事罰が用意されていることからすると,安易な拡大解 釈は許されないであろう。もし規制対象とするのであれば,保険業法におい て,保険者が存在しない相互救済制度にも同法が適用されることを明記すべ きであろう63)

第⚒は,保険業法における⽛保険業⽜としては,⽛保険料を収受する保険⽜

の引受を事前拠出制で行うことを想定しているが,Teambrella では金銭を 収受せず,かつ,完全な事後拠出制であることである。

金銭以外のものを拠出する仕組み(すなわち,現物拠出制)に関しては,

類似保険として保険業法を適用すべきであるとの考え方もあり得ようが,わ ざわざ保険業法が⽛保険料⽜と明記していること,現物拠出制も規制対象に 含めることは比較的簡単であるにもかかわらず(たとえば,⽛保険料⽜に替 えて,⽛保険料またはそれに相当するもの⽜と規定すれば済む),そのように 立法していないということ(しかも,保険契約法とは異なり,保険業法の改 正は頻繁に行われているので,法改正の機会は現実にいくらでもある),免 許制(少額短期保険業に関しては登録制)違反に対して刑事罰が用意されて いることからすると,現物拠出制への保険業法の適用を否定すべきだとも言 えよう。もし規制対象とするのであれば,保険業法において,現物拠出制に も同法が適用されることを明記すべきであろう。

また,完全な事後拠出制は,そもそも保険業法が予定していないとも考え られるが,この点は保険業法が規制対象とする事業に関する根幹部分である ので,免許制(少額短期保険業に関しては登録制)違反に対して刑事罰が用

63) 日本においても,株式会社 BrainCat(2016年設立)が⽛Gojo⽜というサー ビス名称で,相互扶助のプラットフォームを提供している。詳細は不明である が,このサービスを用いて組織された団体は本稿における相互救済制度に該当 する可能性があるかもしれない。同サービスについては次の URL を参照。

https : //gojo.life, last visited on Nov 18, 2018.

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意されていることからすると,完全な事後拠出制への保険業法の適用を否定 すべきだとも言えよう。もし規制対象とするのであれば,保険業法において,

完全な事後拠出制にも同法が適用されることを明記すべきであろう。

以上のとおり,相互救済制度型の P2P 保険の一つである Teambrella に 関しては,現行の保険業法を前提とすると,同法の規制対象とはならないと 考えられる。

⚖.結 論

本稿では,P2P 保険の概要および主要類型を示したうえで,保険法およ び保険業法の適用可能性を検討した。

P2P 保険は,InsurTech を用いた保険(または,類似保険)の仕組みで あるが,現在行われている P2P 保険は,ブローカー型,キャリア型,相互 救済制度型の⚓つに大別できる。いずれにも共通すると思われるのが,団体 構成員間でリスクを分散負担する仕組みであり,そうした仕組みが部分的に 導入されているか(前⚒者),それとも,全面的に導入されているか(最後 者)の違いはある。こうした仕組み自体は目新しいものではないが,

InsurTech という技術によって,団体形成およびリスクの分散負担等が非常 に容易かつ安価かつ高い透明性をもって実施することができるようになって いる(以上,前述⚒)。

こうした現状を踏まえたうえで,団体構成員間でリスクの分散負担を全面 的に行う相互救済制度型の P2P 保険に焦点を絞って保険該当性の問題を検 討した。具体的には,相互救済制度型の典型例である Teambrella を題材と して,まず経済的な保険に該当するか否かを検討した。保険法においても保 険業法においても,規律対象となるリスク移転の仕組みが経済的な保険に該 当することが前提とされているからである。検討の結果,日本の主要学説の 立場では Teambrella は経済的な保険に該当せず,一方,筆者の立場では経 済的な保険に該当することが判明した(したがって,日本の主要学説の立場 では,Teambrella には,保険法も保険業法も適用されないことになるかと

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