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空気‐水界面における高分子ブレンド膜の 表面面積弾性率

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(1)

平成 25 年度 修士論文

空気‐水界面における高分子ブレンド膜の 表面面積弾性率

三重大学大学院 工学研究科 博士前期課程 分子素材工学専攻

有機素材化学研究室

成田 和弘

(2)

三重大学大学院 工学研究科

1章 緒言 3

2章 実験 5

2‐1 試料 5

2‐2 表面圧および表面面積弾性率測定 6

2‐2‐1 測定装置 6

2‐2‐2 測定方法 7

2‐2‐3 表面面積弾性率の算出方法 8

3章 結果および考察 9

3‐1 単独膜の表面圧および表面面積弾性率測定 9

3‐1‐1 表面圧測定 9

3‐1‐2 表面面積弾性率測定(歪み依存性) 12

(3)

三重大学大学院 工学研究科

3‐1‐3 表面面積弾性率測定(周波数依存性) 19

3‐2 ブレンド膜の表面圧および表面面積弾性率測定 24

3‐2‐1 表面圧測定 24

3‐2‐2 表面面積弾性率測定(歪み依存性) 26

3‐2‐3 表面面積弾性率測定(周波数依存性) 36

4章 総括 46

参考文献 47

謝辞 48

(4)

三重大学大学院 工学研究科 1章 緒言

単分子膜とは分子一つ分の厚みを持った膜のことを指し、大きく分けて吸着単分子膜と 展開単分子膜の二種類がある。両者の違いは水に対する溶解性が異なり、可溶性単分子膜 と不溶性単分子膜ともよばれる。不溶性単分子膜の研究の起源は19世紀末までさかのぼり、

今まで数多くの研究がされてきた。単分子膜における研究は、界面における立体構造、配 向、集合状態および分子間相互作用など物質の本質を調査する手がかりとなる。様々な意 義があるが、その中で最も重要とされるのが三次元における物質の性質を二次元という単 純化された状態で観察でき、その状態で研究を行えることである。

本研究室では、様々な高分子単分子膜の表面圧面積等温曲線や表面レオロジーについて の研究をしており、水溶性高分子としてポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)や ポリエチレンオキシド(PEO)、非水溶性高分子としてポリヘキシルイソシアナート(PHIC) やポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメチルメタクリレート(PMMA) からなる幾つかの高分子ブ レンド膜について調査してきた。高分子単分子膜はその表面圧面積等温曲線から一般的に 二種類に分けることができる。低い表面濃度すなわち広い表面積において表面圧を観察さ れ、低面積になるにつれ表面圧が上昇し、やがて崩壊圧に達する膨張膜と、高い表面濃度 すなわち狭い表面積で初めて表面圧を観察することができる凝縮膜の二種類である。両者 を厳密に決定することはできないが、主に親水基と疎水基のバランスや疎水基の嵩高さ、

疎水基が主鎖あるいは側鎖にあるかなどから推定する。一般的に膨張膜となるのは親水度 が高く、対して凝縮膜となるのは疎水度が高いとされている。高分子ブレンド膜はその表 面圧測定から相溶性を明らかにすることができ、数多くの研究がされている。

高分子ブレンド膜において表面の弾性や粘性を得ることは重要であるが、その報告例は 少ない。近年、歪みをsin関数で与えた際の応力を縦軸に、その歪みを横軸にとったリサー ジュ曲線や表面面積弾性率に着目した研究が行われてきた。表面レオロジー測定は、高分 子展開膜の空気‐水界面における粘弾性挙動を理解するために重要である。表面レオロジ

(5)

三重大学大学院 工学研究科

ー物性は圧縮、横方向のずりおよび縦方向のずりから生じる。本研究では、表面レオロジ ー測定方法として、バリアを圧縮拡張することによって表面面積弾性率を測定する手法を 用いた。この方法は最も有力な表面レオロジー測定方法のうちの一つであるが、測定可能 な周波数範囲はペンダントドロップ、キャピラリー波、表面光散乱などと比較して狭いと いう欠点がある。バリア圧縮拡張法による表面面積弾性率測定の長所は、単純な表面圧測 定装置を用いて測定が出来るところである。この装置を用いると展開膜にsin関数に従った 振動圧縮歪みが加えられ、これに応答する表面圧が検出され、表面面積弾性率が算出され る。もし、歪みと応答表面圧の間に線形性が成り立てば、表面面積弾性率は貯蔵弾性率と 損失弾性率に分離できる。歪みに対する応答表面圧の線形性は、歪みに対する応答表面圧 のリサージュ図形を描くことで確認した。本研究室の例として PHIC-PVAc ブレンド膜や

PEO-PMMAブレンド膜、PVAc-PMMAブレンド膜の研究[1-4]を行われてきた。一般的に膨

張膜同士や凝縮膜同士のブレンド膜は相溶系になる傾向があり、膨張膜と凝縮膜のブレン ド膜は非相溶系になる傾向がある。膨張膜と凝縮膜の組み合わせである PEO-PMMAブレ ンド膜は相溶的であり、また同じ組み合わせであるPVAc-PMMAブレンド膜は非相溶的で ある。相溶、非相溶系における物性にどのような違いがあるのかこれまでの調査と比較す ることで知見を得ることができる。

本研究では、空気-水界面に対して膨張膜であるPEO、PVAcおよびそのブレンド溶液を 用いて、空気-水界面に単分子膜として展開し、表面圧測定および表面面積弾性率について、

ブレンド比を変えて検討したので報告する。

(6)

三重大学大学院 工学研究科

図 2.1 PEO および PVAc の構造式

2章 実験 2‐1 試料

試料には二種類の高分子を用いた。構造式を図2.1に示した。ポリエチレンオキシド(PEO、

東ソー株式会社 標準サンプル)は分子量Mw = 2.70×104、多分散度Mw/Mn = 1.02のものを 用いた。ポリ酢酸ビニル(PVAc、ナカライテスク株式会社)は以前当研究室で精製したもの で、分子量Mw = 5.10×104、多分散度Mw/Mn = 1.52のものを用いた。分子量は界面にお いて同じ量の高分子を存在させるためにそれぞれ重合度が近くなるように選択した。それ ぞれの試料の溶媒にはクロロホルム(ナカライテスク株式会社 スペクトル用特級)を用いた。

試料を十分に真空乾燥することで湿気を取り除き、溶液調製を行った。高分子溶液の濃度

0.5 mg/mlとなるように調製した。また、ブレンド溶液はモル比でPEO/PVAc = 4/1, 2/1,

1/1, 1/2, 1/4となるように調製した。

下相に用いた水は超純水(MILLIPORE Elix 5, Milli-Q Academic-A10)を用いた。ま た、測定後の洗浄に超純水とエタノール(ナカライテスク株式会社、特級)を用いた。

ポリエチレンオキシド

PEO

ポリ酢酸ビニル

PVAc

(7)

三重大学大学院 工学研究科 2‐2 表面圧および表面面積弾性率測定

2‐2‐1 測定装置

測定装置はKSV Minitrough 2000(KSV社)を用いた。装置の概略図を図2.2に示す。

トラフはテフロン製であり、サイズは長さ650 mm×幅150 mm×深さ5 mmであり、中 心部には深さ10 cmLangmuir-Blodgett膜作成用の浸水部がある。トラフの両端にはデ ルリン製のバリアが装着されている。表面圧検出にはWilhelmy法を用いており、トラフ中 心部にプレートが掛けられるようにフックが装着されている。プレートは白金プレートを 用いた。下相水温調整はトラフ下部に循環水を流すことで行った。トラフは外気の対流や 埃の影響を受けにくくするためにビニールハウス(幅 250 cm×奥行き 180 cm×高さ 180

cm)内に設置した。さらに湿度や外気の対流、塵の影響を制御するため装置をアクリルボック

スで覆った。

トラフおよびバリアはエタノールを含ませた刷毛でブラッシングし、その後、超純水で しっかりとすすぐことによって洗浄した。また、測定直前にはトラフに超純水を一度張り、

流すことによって埃を取り除いた。

図 2.2 KSV Minitrough 2000 装置概略図

(8)

三重大学大学院 工学研究科 2‐2‐2 測定方法

トラフに超純水を張り、水温(25.0±0.1℃)が安定するまで静置した。その後、フレーミ

ングしたWilhelmyプレートを吊るし、界面の塵を取り除くためにサッキングを行った。サ

ッキングの条件として、表面圧変化が0.1 mN/m未満の測定を2回連続で行うこととした。

サッキング後、バリアを 700 cm2まで移動させ、試料のクロロホルム溶液をマイクロシリ ンジにより界面に展開した。表面濃度は展開時の溶液展開量を変えることにより決定した。

展開後、溶媒蒸発時間として30分間静置し、バリアを圧縮速度5 mm/minで表面圧測定の

際は100 cm2、表面面積弾性率測定の際は目的の表面圧になるまで圧縮させ測定を行った。

表面圧πは次の式で定義される。

π = γ0-γ

γ₀は純水な空気‐水界面の表面張力であり、γは分子が空気‐水界面に存在する際の表面 張力である。圧縮後、緩和のために30分間静置し、バリアをsin関数に従って微小範囲に 動かすことで歪みを与え、表面面積弾性率E*を求めた。歪みや周波数はコンピューターに よってコントロールすることができ、それぞれの試料において歪みおよび周波数依存性に ついて調査した。

(9)

三重大学大学院 工学研究科 2‐2‐3 表面面積弾性率の算出方法

2.3のように横軸に時間t、歪みをsin関数で与えた時に応答する応力を検出すると、

粘性体の場合、その位相のずれ角δ=90°となり、弾性体の場合、ずれ角δ=0°となる。この 時、横軸に歪み、縦軸に応力をとったリサージュ曲線はそれぞれ円形と直線を示す。そし て、粘弾性体のリサージュ曲線は楕円形を示す。応力はこの場合表面圧の差であるのでΔπ、

歪みε0はコンピューターにより制御できる。表面面積弾性率E*、貯蔵弾性率E’および損失

弾性率E’’は次の式で表す。

表面面積弾性率 E* = Δπ/ε0

貯蔵弾性率 E’ = E*cosδ 損失弾性率 E’’ = E*sinδ

以上の式のようにE*は位相差δを用いることで貯蔵弾性率(弾性成分)、損失弾性率(粘性成 分)に分割することができる。

図 2.3 表面圧差、面積歪みおよび表面圧と歪みの位相差の説明図

(10)

三重大学大学院 工学研究科 3章 結果と考察

3‐1 単独膜の表面圧および表面面積弾性率測定 3‐1‐1 表面圧測定

PEO およびPVAcの空気‐水界面における表面圧面積等温曲線を図3.1.1に表面圧表面 濃度等温曲線を図3.1.2にそれぞれ示す。PEOにおいて、5.0 m2・mg-1で立ち上がり、徐々 に表面圧が上昇し10 mN・m-1でプラトーとなった。PVAcにおいて、3.0 m2・mg-1で立ち上 がり、PEOと比べるとかなり表面圧が上昇した。PVAcはその後25 mN・m-1でプラトーと なった。以上より、それぞれの等温曲線は広い面積において表面圧が観察され緩やかに上 昇していることから膨張膜だと考えられる。

PEOおよびPVAcそれぞれの希薄領域、準希薄領域、濃厚領域を決定するためにπ-Γ曲 線より勾配が変化する領域が 3 つ存在しており、それぞれを表面濃度の低い順から希薄、

準希薄、濃厚領域と決定した。表面面積弾性率測定は分子間相互作用が生じ始める準希薄 領域において行うので、PEOにおいてはΓ=0.4、PVAcにおいてはΓ=1.0、すなわちPEO

において3.2 mN・m-1、PVAcにおいては11.0 mN・m-1で測定を行った。

(11)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 1 2 3 4 5 6

π / mN ・m -1

Area /m 2 mg -1

0 5 10 15 20 25

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

π / mN ・m -1

Area /m 2 ・mg -1

(a) PEO

(b) PVAc

図 3.1.1 PEO および PVAc 単分子膜の表面圧面積等温曲線

(a) PEO

(12)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

π / mN・ m -1

Γ / mN・m -1

0 5 10 15 20 25 30

0 0.5 1 1.5 2

π / mN・ m -1

Γ / mN・m -1

図 3.1.2 PEO および PVAc 単分子膜の表面圧表面濃度等温曲線 (a) PEO

(b) PVAc

(13)

三重大学大学院 工学研究科 3‐1‐2 表面面積弾性率測定(歪み依存性)

表面面積弾性率測定は、分子間相互作用が生じる準希薄領域である3.2 mN・m-1(PEO)、

11.0 mN・m-1(PVAc)で行った。周波数は20 mHzに統一し、歪み1-15 %の範囲で測定を行

った。PEOおよびPVAcの表面面積弾性率測定の歪み依存性のバリアをsin関数に従って 微振動させたときの時間に対する表面圧の変化とリサージュ曲線をそれぞれ図3.1.3‐6 示す。リサージュ曲線は目的の表面圧までバリアを移動させた際の面積をA0とし相対面積 A/A0で示した。PEOおよびPVAc単独膜のリサージュ曲線は共に正のヒステリシスを示し た。歪みを増加させるに従い、PEOおよびPVAc単独膜ともにリサージュ曲線の形状がほ とんど変化しないことから歪み依存性がほとんどないと考えられる。リサージュ曲線の形 状が直線状であれば弾性的、円形に近づくほど粘性的になる。今回はリサージュ曲線の形 状から、二つの単独膜は粘弾性体であると考えられる。また、低い歪みにおいてどちらも 表面圧が徐々に減少する傾向が見受けられた。一方で、高い歪みにおいてその傾向は観察 されなかった。低い歪みでは非線形安定領域のため徐々に表面圧が減少する傾向が現れる と考えられる。それぞれの単独膜の歪みに対するE’および E’’値のプロットを図 3.1.7-8 示す。PEO単独膜において、1-3%の歪みではE’値が徐々に上昇し5%以上ではE’値がほと んど一定となったことから5%以上が線形安定領域だと考えられる。PVAc単独膜において も同様で、1-3%の歪みではE’値が徐々に上昇し5%以上ではE’値がほとんど一定となって いることから5%以上がPVAc単独膜の線形安定位領域だと考えられる。これらのことから、

PEO および PVAc 単独膜の周波数依存性を調査するにあたり歪みを線形安定領域である 10%で測定を行う。

(14)

三重大学大学院 工学研究科

図 3.1.3 PEO 単分子膜の歪み依存性

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0 2.5

3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0.96 0.98 1 1.02 1.04

π /mN・m-1

A/A0

1 2 3 4 5 6

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

1 2 3 4 5 6

0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3

π /mN・m-1

A/A0

(a) 3%

(b) 10%

(c) 20%

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(15)

三重大学大学院 工学研究科 10

10.5 11 11.5 12

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

10 10.5 11 11.5 12

0.96 0.98 1 1.02 1.04

π /mN・m-1

A/A0

8 9 10 11 12 13 14 15

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

8 9 10 11 12 13 14 15

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

8 10 12 14 16

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0

6 8 10 12 14 16

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

図 3.1.4 PVAc 単分子膜の歪み依存性

(a) 3%

(b) 10%

(c) 15%

表面圧:11.0 mN/m 周波数:20mHz

(16)

三重大学大学院 工学研究科

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

1%

2%

3%

5%

10%

15%

π / mN・ m -1

A/A 0

図 3.1.5 PEO 単分子膜のリサージュ曲線の歪み依存性

表面圧 : 3.2 mN/m

周波数 : 20 mHz

(17)

三重大学大学院 工学研究科

8 10 12 14 16

0.8 0.9 1 1.1 1.2

1% 3%

5% 10%

15%

π /m N・m -1

A/A 0

図 3.1.6 PVAc 単分子膜のリサージュ曲線の歪み依存性

表面圧 : 11.0 mN/m

周波数 : 20 mHz

(18)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 5 10 15

E' [mN/m]

E''[mN/m]

E' an d E '' /m N・m -1

Strain /%

図 3.1.7 PEO 単分子膜の E’ および E’’ の歪み依存性

表面圧 : 3.2 mN/m

周波数 : 20 mHz

(19)

三重大学大学院 工学研究科

0 5 10 15 20 25 30

0 5 10 15

E' [mN/m]

E''[mN/m]

E' a nd E' ' / mN・ m -1

Strain /%

図 3.1.8 PVAc 単分子膜の E’ および E’’ の歪み依存性

表面圧 : 11.0 mN/m

周波数 : 20 mHz

(20)

三重大学大学院 工学研究科 3‐1‐3 表面面積弾性率測定(周波数依存性)

歪み依存性のときと同様、分子間相互作用が生じる準希薄領域である3.2 mN・m-1(PEO)、

11.0 mN・m-1(PVAc)で行った。歪みは共に線形安定領域である10%に統一し、周波数

5-40mHzの範囲で測定を行った。PEOおよびPVAc単独膜における周波数依存性の表面面

積弾性率測定の時間に対する表面圧の変化とリサージュ曲線および周波数に対するE’とE’’

をそれぞれ図3.1.9‐12に示す。PEOおよびPVAc単独膜のリサージュ曲線は共に正のヒ ステリシスを示した。周波数を増加させるに従い、PEOおよびPVAc単独膜ともにリサー ジュ曲線の形状は直線的な楕円から少し膨らみのある楕円に変化したことと、E’値はほぼ一

定でE’’値は徐々に増加していることから、周波数依存性があり、徐々に固体的から液体的

に変化していることがわかった。さらにE’値がE’’値より高いことからそれぞれの単独膜は 固体的粘弾性体と考えられる。モノオレインの単分子膜の表面面積弾性率測定の報告 [5] おいて周波数を300 mHzまで上げている測定結果があり、そこには周波数の増加に従いE’

値は減少しE’’値は増加する結果が得られている。本研究においてもさらに周波数を増加さ せることでその傾向が得られたかもしれない。しかしながら、水漏れや装置の扱える周波 数の限界のため高い周波数における測定は行っていない。よって高い周波数におけるE’お

よびE’’値がどのような結果になるかは明白にできなかった。また、低い周波数において

PEO単独膜は表面圧の減少はほとんどなかったが、PVAc単独膜において表面圧が徐々に 減少する傾向が観察された。一方で高い周波数においてその傾向は観察されなかった。

(21)

三重大学大学院 工学研究科 2

2.5 3 3.5 4 4.5

0 200 400 600 800 1000

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100 120 140 160

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100

π /mN・m-1

time /s

図 3.1.9 PEO 単分子膜の周波数依存性

(a) 5mHz

(b) 30mHz

(c) 50mHz

表面圧:3.2mN/m 歪み

:10%

(22)

三重大学大学院 工学研究科 8

9 10 11 12 13 14

0 200 400 600 800 1000

π /mN・m-1

time /s

8 9 10 11 12 13 14

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

8 9 10 11 12 13 14 15

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

8 9 10 11 12 13 14 15

0 20 40 60 80 100 120 140 160

π /mN・m-1

time /s

8 9 10 11 12 13 14 15

0 20 40 60 80 100 120

π /mN・m-1

time /s

8 9 10 11 12 13 14 15

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

(a) 5mHz

(b) 30mHz

(c) 40mHz

図 3.1.10 PVAc 単分子膜の周波数依存性

表面圧:11.0 mN/m 歪み

:10%

(23)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 10 20 30 40

E' [mN/m]

E''[mN/m]

E' and E'' /m N・m -1

ω /mHz

図 3.1.11 PEO 単分子膜の E’および E’’の周波数依存 性

表面圧 : 3.2mN/m

歪み : 10%

(24)

三重大学大学院 工学研究科

0 5 10 15 20 25 30

0 10 20 30 40

E' [mN/m]

E''[mN/m]

E' and E'' / mN・m -1

ω /mHz

図 3.1.12 PVAc 単分子膜の E’および E’’の周波数依存性

表面圧 : 11.0 mN/m

歪み : 10%

(25)

三重大学大学院 工学研究科 3‐2 ブレンド膜の表面圧および表面面積弾性率測定 3‐2‐1 表面圧測定

PEO単独膜、PEOおよびPVAcの各ブレンド膜それぞれにおける表面圧面積等温曲線お よび表面圧表面濃度等温曲線を図3.2.1に示す。PEO単独膜は黒色の曲線で示した。(a)に は横軸に1mgあたりの面積を、(b)には横軸にその面積の逆数である表面濃度ΓPEOを、そ れぞれの縦軸に表面圧πを示した。π‐A等温曲線において、広い面積から表面圧が観察さ れ、徐々に表面圧は上昇した。表面圧10 mN m-1まで上昇すると表面圧は一定となりプラ トー領域に達したと言える。

π‐ΓPEO等温曲線において、それぞれの比のブレンド膜は表面圧10 mN m-1においてプ ラトー領域を示しており、PEO比率が増加するに従いその領域は増加した。PVAc比率が 増加するに従い、π‐ΓPEO曲線は左へシフトし、プロットの傾きは急になった。つまり、

PVAc比率が高いほどPVAc単独膜の傾向に近づいていると言える。圧縮を進めることでπ

‐ΓPEO曲線は表面圧の上昇を示しており、表面圧25 mN m-1あたりで上昇が緩やかとなっ た。これらのことから、0‐10 mN m-1においてPEO単独膜の特徴を、10‐25 mN m-1 おいてPVAc単独膜の特徴を示していると考えられる。ΓPEOが高くなると最終的なプラト ー領域の表面圧値はブレンド比に関係なくPVAc単独膜のπ‐Γ曲線と一致するようにみ える。

(26)

三重大学大学院 工学研究科

図 3.2.1 各ブレンド膜の(a)表面圧‐面積等温曲線、

(b)表面圧π‐表面濃度Γ

PEO

等温曲線 (a)

(b)

0 5 10 15 20 25 30

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

PEO/PVAc=1/4 PEO/PVAc=1/2 PEO/PVAc=1/1 PEO/PVAc=2/1 PEO/PVAc=4/1 PEO

π /m N・ m -1

Area /m 2 ・mg -1

0 5 10 15 20 25 30

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

PEO/PVAc=1/4 PEO/PVAc=1/2 PEO/PVAc=1/1 PEO/PVAc=2/1 PEO/PVAc=4/1 PEO

π /m N・m -1

Γ PEO /mg・m 2

(27)

三重大学大学院 工学研究科 3‐2‐2 表面面積弾性率測定(歪み依存性)

PEOおよびPVAcの各ブレンド膜における表面面積弾性率測定の歪み依存性によるバリ アを sin 関数に従って微振動させたときの時間に対する表面圧とリサージュ曲線を図

3.2.2‐7に示した。全ての測定において周波数は20 mHzに統一し、歪みは1‐15%の範囲

で測定を行った。目的の表面圧はPEOの準希薄領域である表面圧3.2 mN m-1において測 定を行った。各ブレンド膜のリサージュ曲線は全て時計回りであり、正のヒステリシスを 示した。低い歪みにおいて、リサージュ曲線は表面圧が徐々に下がる傾向が観察された。

一方、高い歪みにおいてその傾向は観察されなかった。これは低歪みにおける領域が非線 形安定領域であるが原因だと考えられる。各ブレンド比において、リサージュ曲線の形状 がほとんど変化していないことから、ブレンド比による歪み依存性はほとんどないと考え られる。さらにブレンド比によるリサージュ曲線の形状の違いもほとんどなく、PEO単独 膜のリサージュ曲線と比較するとブレンド膜のリサージュ曲線は単独膜のそれとほぼ同様 の形状をしており、PVAc をブレンドすることによる影響はほとんど見受けられなかった。

各ブレンド膜の歪みに対するE’値のプロットを図3.2.8に示した。1-5%の歪みではE’値が 徐々に上昇した。この領域ではブレンド比によってE’値に変化があった。10%以上ではE’

値がほとんど一定となっていることから 10%以上が各ブレンド膜の線形安定位領域だと考 えられる。これらより、各ブレンド膜の周波数依存性を調査するにあたり歪みを線形安定 領域である10%で測定を行う。

(28)

三重大学大学院 工学研究科 2.8

3 3.2 3.4 3.6 3.8

0.9 0.95 1 1.05 1.1

π /mN・m-1

A/A0

2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

 π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

図 3.2.2 PEO/PVAc = 4/1 ブレンド膜の歪み依存性

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(a) 5%

(b) 10%

(c) 15%

(29)

三重大学大学院 工学研究科 3.1 3.15 3.2 3.25 3.3 3.35

0.98 0.99 1 1.01 1.02

π /mN・m-1

A/A0

3.1 3.15 3.2 3.25 3.3 3.35

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0.96 0.98 1 1.02 1.04

π /mN・m-1

A/A0

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8

0.9 0.95 1 1.05 1.1

π /mN・m-1

A/A0 2.8

3 3.2 3.4 3.6 3.8

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

図 3.2.3‐① PEO/PVAc = 2/1 ブレンド膜の歪み依存性

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(a) 1%

(b) 3%

(c) 5%

(30)

三重大学大学院 工学研究科 2.5

3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

図 3.2.3 ‐② PEO/PVAc = 2/1 ブレンド膜の歪み依存性

(d) 10%

(e) 15%

(31)

三重大学大学院 工学研究科 3.1 3.12 3.14 3.16 3.18 3.2 3.22 3.24 3.26

0.98 0.99 1 1.01 1.02

π /mN・m-1

A/A0

3.1 3.12 3.14 3.16 3.18 3.2 3.22 3.24 3.26

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0.96 0.98 1 1.02 1.04

π /mN・m-1

A/A0

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8

0.9 0.95 1 1.05 1.1

π /mN・m-1

A/A0

2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(c) 5%

(b) 3%

(a) 1%

図 3.2.4‐① PEO/PVAc = 1/1 ブレンド膜の歪み依存性

│ │  

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〈 ヘ 弘

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│ │  

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│ │  

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(32)

三重大学大学院 工学研究科 2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0 2

2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s (e) 15%

(d) 10%

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

図 3.2.4‐② PEO/PVAc = 1/1 ブレンド膜の歪み依存性

(33)

三重大学大学院 工学研究科 3.14 3.16 3.18 3.2 3.22 3.24 3.26 3.28 3.3

0.98 0.99 1 1.01 1.02

π /mN・m-1

A/A0

3.14 3.16 3.18 3.2 3.22 3.24 3.26 3.28 3.3

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0.96 0.98 1 1.02 1.04

π /mN・m-1

A/A0

3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8

0.9 0.95 1 1.05 1.1

π /mN・m-1

A/A0

2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s (c) 5%

(b) 3%

(a) 1%

図 3.2.5‐① PEO/PVAc = 1/2 ブレンド膜の歪み依存性

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(34)

三重大学大学院 工学研究科 2.5

3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0 2

2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(e) 15%

(d) 10%

図 3.2.5‐② PEO/PVAc = 1/2 ブレンド膜の歪み依存性

(35)

三重大学大学院 工学研究科 2.9

3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7

0.9 0.95 1 1.05 1.1

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0 2

2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s (a) 5%

(c) 15%

(b) 10%

図 3.2.6 PEO/PVAc = 1/4 ブレンド膜の歪み依存性

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

│ │  

4弘 ・

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5 V

│ │  

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(36)

三重大学大学院 工学研究科 2

2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π / mN m

-1

A/A

0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0.8 0.9 1 1.1 1.2

π / mN m-1

A/A0 (a) PEO/PVAc=4/1

(a) PEO/PVAc=1/4 (a) PEO/PVAc=4/1 (a) PEO/PVAc=1/2

(a) PEO/PVAc=4/1

(a) PEO/PVAc=2/1

(a) PEO/PVAc=1/1

図 3.2.7 各ブレンド膜のリサージュ曲線の歪み依存性

表面圧:3.2 mN/m 周波数:20mHz

(37)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 5 10 15

PEO/PVAc=4/1 PEO/PVAc=2/1 PEO/PVAc=1/1 PEO/PVAc=1/2 PEO/PVAc=1/4

E' /mN・m -1

Strain /%

図 3.2.8 各ブレンド膜の歪みにおける E’の歪み依存性

(38)

三重大学大学院 工学研究科 3‐2‐3 表面面積弾性率測定(周波数依存性)

歪み依存性の表面面積弾性率測定と同様に、PEOの準希薄領域において全ての測定を行 った。歪みは線形安定領域である10%に統一し、周波数は5‐40 mHzの範囲で測定を行っ た。時間に対する表面圧の変化とリサージュ曲線を図3.2.9‐13に示した。さらに周波数に 対するそのE’およびE’’値のプロットを図3.2.14‐15に示した。PEOおよびPVAcブレン ド膜のリサージュ曲線は全て正のヒステリシスを示した。周波数を増加させるに従い、各 ブレンド膜のリサージュ曲線の形状は直線的な楕円から少し膨らみのある楕円に変化した ことと、E’値はほぼ一定でE’’値は徐々に増加していることから、周波数依存性があり、膜 は徐々に液体的に変化していると考えられる。さらにE’値がE’’値より高いことからそれぞ れのブレンド膜は固体的粘弾性体と考えられる。単独膜のE’およびE’’値と比較するため図

3.2.16に表面圧3.2 mN m-1におけるPEOおよびPVAc単独膜の周波数に対するE’および

E’’値のプロットを示した。各ブレンド膜と単独膜の周波数に対するE’およびE’’値を比較す

ると、その値はほぼ一致しており、PVAcをブレンドすることによる影響がこの表面圧では ほとんど見受けられなかった。各ブレンド膜のπ‐ΓPEO曲線において、ブレンド比によっ てそれぞれの曲線は変化した、つまり非相溶であるにもかかわらずE’およびE’’値に単独膜 との差がほとんどないということは、界面にPEO分子が優先的に吸着しその上にPVAc 子がのるという構造になるとは限らないといえる。PVAc-PMMAブレンド膜は非相溶系で あり、その表面面積弾性率測定からPVAcが界面に存在し、PMMAPVAcの上を覆う状 態であることを示した。PEO-PMMAブレンド膜は相溶系であり、その相溶性により両方 の高分子が界面に同時に存在していることを示した。またPEO成分が含まれることにより 上下に引き伸ばされるようなモルフォロジーが観察されたという報告もされている。今回 の調査により膨張膜同士でありながら非相溶系であるPEOおよびPVAcブレンド膜の表面

3.2mN m-1における面積ひずみによる表面面積弾性率を求めることができた。

(39)

三重大学大学院 工学研究科 2.5

3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 100 200 300 400 500

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π/ mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100 120

π /mN・m-1

time /s (a) 10mHz

(b) 20mHz

(c) 40mHz

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

図 3.2.9 PEO/PVAc = 4/1 ブレンド膜の周波数依存性

(40)

三重大学大学院 工学研究科 2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0 200 400 600 800 1000

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100 120

π /mN・m-1

time /s (a) 5mHz

(b) 20mHz

(c) 40mHz

図 3.2.10 PEO/PVAc = 2/1 ブレンド膜の周波数依存性

(41)

三重大学大学院 工学研究科 2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0 200 400 600 800 1000

π /mN・m-1

time /s

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100 120

π /mN・m-1

time /s

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

(c) 40mHz (b) 20mHz

(a) 5mHz

図 3.2.11 PEO/PVAc = 1/1 ブレンド膜の周波数依存性

(42)

三重大学大学院 工学研究科 2 2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2 2.5 3 3.5 4 4.5

0 200 400 600 800 1000

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100 120

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

(a) 5mHz

(b) 20mHz

(c) 40mHz

図 3.2.12 PEO/PVAc = 1/2 ブレンド膜の周波数依存性

(43)

三重大学大学院 工学研究科 2.5

3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 100 200 300 400 500

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 50 100 150 200 250

π /mN・m-1

time /s

2.5 3 3.5 4 4.5

0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15

π /mN・m-1

A/A0

2.5 3 3.5 4 4.5

0 20 40 60 80 100 120

π /mN・m-1

time /s (c) 40mHz

(b) 20mHz (a) 10mHz

図 3.2.13 PEO/PVAc = 1/4 ブレンド膜の周波数依存性

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

(44)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 10 20 30 40

PEO/PVAc=4/1 PEO/PVAc=2/1 PEO/PVAc=1/1 PEO/PVAc=1/2 PEO/PVAc=1/4

E' /mN・ m -1

ω /mHz

図 3.2.14 各ブレンド膜における E’の周波数依存性

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

(45)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 10 20 30 40

PEO/PVAc=4/1 PEO/PVAc=2/1 PEO/PVAc=1/1 PEO/PVAc=1/2 PEO/PVAc=1/4

E'' /mN ・m -1

ω /mHz

図 3.2.15 各ブレンド膜における E’’の周波数依存性

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

(46)

三重大学大学院 工学研究科

0 2 4 6 8 10

0 10 20 30 40

PEO E' PEO E'' PVAc E' PVAc E''

E' and E'' /mN・m -1

ω /mHz

図 3.2.16 PEO および PVAc 単独膜における E’

および E’’(π=3.2mN m

-1

)の周波数依存性

表面圧:3.2 mN/m 歪み

:10%

(47)

三重大学大学院 工学研究科 4章 総括

それぞれの単独膜において準希薄領域における歪みおよび周波数依存性はほとんど 見受けられなかった。周波数に対するE’値はそのE’’値より高い値であることから、

固体的粘弾性体であることがわかった。

各ブレンド膜において低表面濃度のときはPEO、高表面濃度のときはPVAcの特徴 を示した。歪みに対するE’値は低歪みにおいてブレンド比によって変化し、高歪み においてほとんど一定の値を示した。周波数に対するE’値はそのE’’値より高い値で あることから、固体的粘弾性体であることがわかった。さらに各ブレンド膜の周波数

に対するE’およびE’’値はそれぞれの単独膜のその値とほぼ一致した。

今回の調査により膨張膜同士でありながら非相溶系であるPEOおよびPVAcブレン ド膜の表面圧3.2mN m-1における面積ひずみによる表面面積弾性率を求めることが できた。

他のブレンド膜との比較は他の表面圧における表面面積弾性率測定を行うことでで きると考えられる。

(48)

三重大学大学院 工学研究科 5章 参考文献

[1] Kawaguchi, M.; Nishida, R. Langmuir 1990, 6, 492-496.

[2] Morioka, T.; Shibata, O.; Kawaguchi, M. Langmuir 2010, 26, 14058–14063.

[3] Kato, S.; Kawaguchi, M. J Colloid Interface Sci. 2012, 384, 87-93.

[4] Mitsui, N.; Morioka, T.; Kawaguchi, M. Colloids and Surfaces A: Physicochem. Engi.

Aspects 2012, 395, 248-254.

[5] Jusn M. Rodori’guez Patino, Cecilio Carrera Sa’nchez, Ma Rosario Rodori’guez Nin~ o, and Marta Cejudo Ferna’ndez Langmuir 2001, 17, 4003-4013

[6] 平成23年度 加藤聡明 修士論文 [7] 平成22年度 三井直子 修士論文

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三重大学大学院 工学研究科 謝辞

まず初めに川口正美教授に感謝します。振り返ってみると怒られてばかりな 3 年間だっ たように思います。しかし時に優しくしてもらったのもよく覚えています。たまに褒めて もらえたりしたときは実は喜んでいました。実験テーマが変わってからの 5 ヶ月間は本当 にいろんなアドバイスを頂きました。学会と国際シンポジウムに出るという目標に向かっ て突っ走ることができたのは先生の言葉のおかげです。最後に、留学したいという私の意 志を汲んでくれたこと、本当に感謝しています。ありがとうございました。

鳥飼直也准教授にもお世話になりました。4年の頃は全てを見透かされているようで恐ろ しかったです。M1のときにはサッカーで例の事件を起こしてしまいました。講座旅行では 私は何も悪いことはしていません。度々偶然が重なっただけなので決して逃げているわけ ではありません。実験面でも話を聞いてくださったりアドバイスを頂いたりありがとうご ざいました。鳥飼先生と飲み会後にラーメン食べに行くのいつも楽しみにしていました。

ぜひまた食べに行きましょう。

野村伸志助教にもお世話になりました。最初のテーマは野村先生だったこともありいろ んな話をしました。いろんな学生の分析やら私の聞いて欲しい話を察してくれたりといろ いろ思い出があります。実験のことも私生活のことにも相談乗ってくれましたね。いらな い話もいっぱいしましたし、大事な話もしてくださいました。本当にありがとうございま した。

技術職員の山本みどりさん、実験の細かいところへの気遣い、我々学生の私生活を支え てくれたこと、本当に感謝しています。ありがとうございました。

そして、先輩方、同期のみんな、後輩たちには、わがままで自分勝手で機嫌を損なうと めんどくさい自分を受け入れてくれて感謝しています。丸中さんには一生敵いません。多 方面に頼れる先輩が最後まで一緒だったのはとても心強かったです。夫馬さん、ご結婚本

(50)

三重大学大学院 工学研究科

当におめでとうございます。夫馬さんとは英会話の話とかカメラの話、旅行の話で盛り上 がりましたね。またベトナム行くとき誘ってください。今度は行くので。

同期のみんなへ。ジェムは俺らの中で一番頑張ってたな。よく振り回されたけど楽しか ったわ。夫馬さんと末永くお幸せに。亀ちゃんはちゃっかりしとるよな。いつでも落ち着 いとったしクールが似合うやつで羨ましかったわ。修光は無茶苦茶やったな。でもやるこ とはちゃんとやっとったし、ノリは最高やった。飲んだ時の修光は最強でした。ぱぱはKSV 組やで一番関わったかな。いろんな悩みも辛かったこともぶちまけたりして互いに頑張っ たな。分析力でぱぱの右にでるやつはおらんね。みんな、本当にありがとう。楽しい研究 室生活を送ることができたのは同期に恵まれたおかげです。

そして、後輩たちよ。M1はみんな本当に良い子らばっかやし優秀やし一緒におって楽し かった。特に1研で一緒やった柳、吉村、KSV組の横井、浅尾とはよくバカな話とか研究 の話、プライベートな話とかいっぱいしたのは本当に楽しかった。深夜のニート軍団とか さとしの独特なペースとか東にも笑わしてもらいました。M1のみんな、あと1年頑張れ。

その前にみんな内定もらうんやで。B4の子らよ。本当にくそがつくほど生意気なやつばっ かで、困ったわ。頭良いんか悪いんかわからんし、サーフェイスと言われることを気にし ているサーフェイスもおるし、鼻につくことよく言う奴おるし、正直なやつは日本語がで きやんし、独り言ぶつぶつ言いながらコーラとポテチかチキン食ってるやつとか、パズド ラバカとツンデレ DQN に納豆と豆腐マニアに笑顔が最高な子にといろいろな子がおって 楽しかった。東工大に行く二人はあっちに行っても仲良く頑張れ。その内、六番館に行こ う。就職する組、一緒にご飯に行こう。勝山はまた一緒にバレーしよう。残る子たち、M1 を見習って研究がんばれ。たまに見に行くから相手してな。

最後に先生方、先輩方、同期、後輩ら、家族、みなさんのおかげで頑張ることができ無 事卒業することができるのだと思っています。心から感謝しています。本当にありがとう ございました。

図 3.1.7 PEO 単分子膜の E’ および E’’ の歪み依存性表面圧   : 3.2 mN/m 周波数  : 20 mHz
図 3.1.8 PVAc 単分子膜の E’ および E’’ の歪み依存性 表面圧  : 11.0 mN/m 周波数  : 20 mHz
図 3.1.11  PEO 単分子膜の E’および E’’の周波数依存 性
図 3.1.12  PVAc 単分子膜の E’および E’’の周波数依存性 表面圧  : 11.0 mN/m 歪み   : 10%
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参照

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