走査プローブ顕微鏡の開発と半導体表面研究への応 用
著者 北村 真一
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 28
ページ 78‑81
発行年 2007‑03‑22
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1174
氏名 。 (本 籍 ) 北 村 真 ― (埼 玉県 )%幻
学位 の種 類 博 士 (工 学
)学位 記番 号 工博 甲第 272 号 学位授与の日付 平成 18年 3月 24日
学位授与の要件 学位規程第 5条 第 1項 該当 研究科 ・ 専攻の名称 電子科学研究科 電子材料科学
学位論文題目 走査 プローブ顕微鏡の開発 と半導体表面研究への応用
論 文 審 査 委 員 (委 員長
)教 授 田 部 道 晴 助教授 村 上 健 司 教 授 立 岡 浩 一 教 授 福 田 安 生
論 文 内 容 の 要 旨
1981年 に Binnigら により開発 された走査 トンネル顕微鏡 (釘 M)は 、直接実空間の原子配列が観察 できる画期的な顕微鏡であ り、開発以来急速に普及 し、表面科学の分野に多大な貢献を与えた。 MM
は、金属探針 を試料表面の極近傍 まで近づけたときに流れる トンネル電流を検出することで原子オー ダーの分解能を得ているため、基本的には導電性試料の観察に適 している
.。MMの 開発か らわずか 5年 後 に開発 された原子間力顕微鏡
(´劇Ⅵ )は 、探針― 試料 間に働 く原子間力 を検出するため、探針、試料 ともに導電性の必要がなく、絶縁体試料の観察 も可能である。また酬 は釘 Mに 比べ大気 中で も比較的安定動作するため、その利用範囲は格段 に広が り、摩擦 (Ⅱ M)/粘
弾性 (VE― AFM)/磁 気 (MFM)/表 面電位 (SKPM)/静 電容量 (SCM)等 様々な情報 をも画像化で きる 顕微鏡へ発展 し、現在では釧 Mや 斑 wを 含め走査 プローブ顕微鏡 (SPM)と して多 くの研究者 に利用
されている。 li .
超高真空
(■「 HV)瀕 Mで は、大気中で観察で きない比較的活性な半導体表面 も比較的容易 に原子 レ ベルの観察が可能である。一方、■ lHV… コンタク ト AFMで は探針― 試料間の相互作用が過剰 とな り、
そのような比較的活 Lな 半導体表面の原子像観察は不可能であった。ノンコンタク ト AFM(NC― 細
)は、その過剰 な相互作用 を軽減で きるが、原子像観察には至っていなかった。
そこで本研究では、半導体表面において、研究開始当初 まだ誰 もなしえなかった 860℃ の高温下で の
l「HV MMに よる原子像観察、及び原子像観察可能なuHv NC― AFMの 開発 とその応用 について研 究 し、以下のことを明 らかにした。
1.Si(111)表 面における 1× 1⇔ 7× 7相 転移温度 (860℃ )付 近での釘 M観 察の結果、ステップ上段の
テラスで 7× 7構 造が原子 レベルの分解能で観察 され、ステップ下段のテラスでは周期的な構造がな
い表面が観察 された。860℃ 付近で温度 を徐々に下げたときの連続 STM観 察か らは、 7× 7構 造はス テップエ ッジの上段か ら同 じテラスのステップ下段 に成長 し、テラス全体 を覆 うことが分かった。ま た、 7× 7構造が支配的になって くると、そのステップエ ッジは 7× 7ユ ニツトの一辺に沿って直線的に なって くることが分か り、 3方 向のステップが取 り得ることが考えられた。直線的に揃 ったステップ エ ッジは 7× 7ユ ニ ット単位で揺 らいでいることが分か り、 7× 7構造が全面 を完全 に覆った 840℃ の表 面 においても、その現象が確認 された。
2.一 定加振方式の剛 検出を用いたUHV NC― 測翻 [を 開発 し、既 に STMで 原子像観察 されている Si (111)7× 7構造、 Si(100)2× 1構 造の観察、及び田 Mで は観察不可能なサファイアとポリプロピレンの 結晶表面の観察を行 った。その結果、Si表面の観察では釘 Mと 同様な構造力ヽ C― AFMで 観察 された。
Si(100)2× 1構 造ではダイマーの個々の原子 まで分離で きてお り、 MM以 上の分解能が得 られた。サ ファイア (1000)表 面 において原子像観察 までには至 らなかったが 3マ 3× 3マ 3構造 とマ 31× マ31構 造 と いつた長周期構造が観察でき、ポリプロピレンフィルムにおいてはポリプロピレンの分子鎖が明瞭に 観察で きた。このように、 lTHV NC‐ AFMで はЛ Mと 同等か、それ以上の高分解能観察が可能である
ことが分かった。
3.Si(111)7× 7構 造、 Si(100)2× 1構 造、及び酸素 を吸着 させた Si(111)7× 7構 造 において釘 M像 と
NC― AFM像 との比較 を行 った。瀕 M観 察では試料バイアス電圧の極性 によって も画像が異なるよう に、幾何学的な表面形状以外の情報が含 まれた画像 となる。一方、 NC― AFMで は静電気力の影響 を無 視すれば、幾何学的な表面形状 をより正確 に反映 しているもの と考 えられ、 Si(100)2× 1表 面のよう
なより平坦な表面 においては瀕 M以 上の水平方向の分解能が得 られるため、 より正確 な表面構造 を 解析できる可能性が示 された。また酸素を吸着 させた表面においても瀕 Mと NC― 赳刊 [を 比較 しなが ら 表面形状 を解析することで、正確 な表面形状が把握できるだけでな く、吸着状態 も予測できる可能性
を示す ことがで きた。
4.原 子像観察可能なUHV NC― AFMと 同様 に、比較的硬いカンチ レバーを用いて静電気力の勾配を
Iバ