魚 類 中 に お け る アル ミニ ウ ム お よ び 鉄 の 分 布
宮 原 昭 二 郎
Distribution of Al and Fe in the Fishes
Shojiro MIYAHARA
137
緒 言
海 洋生 物 はそ の生 存 中,海 水 か ら或 る種 の元 素 を 濃縮 し,他 の ものを 分 散 さ せ る な ど複 雑 な 機 能 を果 して い る.生 物 中 の種 々 の金 属 の定 量 に関す る報 告 は数 多 くあ るが ・)中で もアル ミニ ウム(以 下A6と 略記 す る) につ い て定 量 した 研 究 は極 め て少 な く,古 くは大 谷 ら2)の 数 種 の水 産 動 物 に お け る研 究,最 近 は 日比野 ら3) に よ る カキ 中のA6の ポ ー ラロ グ ラ フ的 定量 な ど4〜6)がある にす ぎ な い.カ ツ オ 幽門 垂 にはA4が 比較 的 多 量 に存 在 す る こ と7)が 報 告 さ れ て い る が,筆 者 はA4の 魚 類 に お け る存 在 意 義 を 解 明 す るた め,手 は じめ に 各 種 の魚 類 の 幽門 垂 中 に存 在 す るA4の 定 量 を行 な い,比 較 の た め他 の器 官 中 のA4お よび 鉄(以 下Feと
略記 す る)の 定 量 を行 な った と ころ,既 報 の もの とや や異 な った 結 果 を得 た ので こ こ に報 告 す る.
A4の 定量 は ス チル バ ゾ8)を 用 い る光電 比色 法 に よ り行 な った.
実 験 ・ 結 果
1.試 料
昭 和35年8月 〜12月 中 に 佐 世保 市 魚 市 場 で 入 手 した各 新 鮮 魚 で,そ の種 類 は 第1表 に記 した通 りで あ る.
2.試 料 の 調 整
魚 類 を直 ち に解 剖 し幽 門垂 な ど の各 器 官 や筋 肉約29を とっ て(こ の とき竹 製 のナ イ フ,ピ ンセ ッ ト等 を 用 い 出来 るだ け金 属 製 器具 の使 用 を避 けた)直 ち に灰 化 した.灰 化 の温 度 は570。C以 上 に な らぬ よ う注 意 し た.次 に約O.49の 炭 酸 ソ ー ダ を加 え 熔 融 を 行 な った.
3.分 析 方 法 お よ び 結果
上 記 熔 融 物 を 稀塩 酸 に とか し,硫 化 水 素 ガ スを 充分 に通 じて 銅 を 沈 澱 とな し(A4比 色 時 の条件(後 記) で は銅 が 比 色 を 妨害 す る9)の で これ を 除 くた め),ろ 液 を 水 で100肌4に 定 容 し,こ の溶 液 にっ い て,A4 お よ びFeの 定 量 を 行 な った.
A4の 定 量 は スチ ル バ ゾ8)を 用 い る法9)1。)に よ った.す な わ ち 試 料 溶 液10篇4を と り(予 めA4が 1〜10ッ/10篇2で あ る よ う に して お く),新 し く作 った10%ア ス コ ル ビ ン酸 溶 液1篇4,pH5.65の 酢 酸 一酢 酸 ソー ダ緩 衝 溶 液(0.2N酢 酸297π2と0.2N酢 酸 ソー ダ溶 液17肌4を 混 合 して つ くる)10篇6お よび0.08%
ス チ ル バ ゾ水 溶 液3篇6を 加 え,5分 後520肌 μで 比 色 し,予 め作 成 した 検量 線 料(第1図)を 用 いて 定 量 し た.
Feの 定量 は0一 フ ェナ ン トロ リン法11)に よ った.結 果 を一 括 して 第1表 に示 す.
脚 註 料 基 準 液 は2回 再 結 晶 した 明 バ ンを用 いて つ くる.
工38
宮σム
a6
O,4
O,2
o QS 1.o xAe/mt
第1図A4の検量線
520mpa
Ae(O 》107)液IOme十10%アスコルビン七十:Lm6 十酉乍酸緩1衝溶液(PH5.65)IOm e +0.08%スチルバゾ水溶液3m6 十Fe 5 or
(Table 1. Contents of Al and Fe in muscles and organs of fishes.)
第1表 魚類筋肉および各器管中のA4, Fe量
魚
種
名
まいわしSardinoPs melanostic ta
筋 肉
幽門垂
肝 臓
うるめいわし Etru解eus microPus
かたくちいわし Engraulis jσPon ic a
ま
あじTrachurus jαPonicus
筋 肉
幽門垂
肝 臓
筋 肉
幽門垂
肝 臓
筋 肉
エ ラ
Al mg%
4.8工
2. 45
ユ6。62
6. 20
14. 85 10. 47
4. 44 6. 73
9. 04
12 06
8. 25 8. 05
9. 46 5. 72
18.17 26.57 6.53
10. 759.6n.
IO. 26
4.07
3. 32
Fe mgSO6
2. 21 2. 41
ユ.66
1.23 2.55
2. 39
2. 60 2. 74
3. 62
5.50 6.93 5.07
i. 36 1. 33
9. 14 7. 69
5.54 5.18
1. 76
2.26
7. 07
6. 23
139
tl tt
ひ
︐りさ 匹 ま
Pneumatophorus 1 aPonicus juPonicus
ま
だ
い
ChrysoPhrys mal orく
ろ
だ
い Mylio macrocePkalus
ま
と う だ い
Zeus 7 aPonicusか な が し ら Lepidotrigla microPtera
め じ な
Girella Punctata
す
すき Lateolabrax juPonicus
ま ぐ ろ
Thunnus thynnus orientalis
幽門垂
肝
臓
筋
工 学一フ
幽門垂
肝
臓
12. 76 18. 62
IO.22 16.57
3. 49
5.04
2.7工3. 01
0369
049ユ・ ● ●
5
6644
8.56 7.48
7.584.80
4.91 4 17筋
肉幽門垂
肝 臓
1
筋 肉
幽門垂
肝
臓
筋 肝
肉
臓
筋
肉筋 肉
幽門垂
筋 肉
幽門垂
筋
肉幽門垂
2. 07
2.21 5.17
5.工15.84 5.91
5.36
7.663. 95
3.17 5.89 9.49
7.48 9.65
2.47
2.71 9.40
3.93 3.77 7.58 7.93 4.98
4.53 2.572. 72
18.08 6.60 20.34
工9.315. 23 6. 76
7. 69 7. 73
47200072
コ ロ
2222
5.44 5.86 6.80 3.60 7.90
7.66 7.工24.06
3.513.02
1.12
1.59
3.133. 21
3. 48
3.23
1.58 1.65
3.463. 17
3.59 4.36
2.98
4.65ユ.73
2.13 4.73
1.87
1.78
1.04
1.53
O.93
Z.77
2.33
ユ.6812.03
10.45
14.53
13.27
数 種 の魚 類 につ いて ス チル バ ゾ を 用 い る 比色 法 によ りA の定 量,0‑フ ェナ ン トロ リン によ りFeの 定 量 を 行 な った.そ の結 果Fe含 有 量 につ い ては 従 来 の報 告 と著 しい差 は見 られ なか った が,A 含 有 量 につ いて は 従 来 の報 告 と大 き い差 が あ る もの が あ り,ま た各 個 体 によ りか な りの変 動 が見 られ た.
140
4.183.27
〃 〃 肝 臓1誘 謝
7.lll.53
筋 肉膿i{1
4.253.39
い か 励9・!6・ 一 肝 臓ll:;ll二1;
6.393.47 2.753.18
卵 巣 識 携
4。623.76
17.767.17
あ さ りT・ ρ・吻 力・伽 暢 全体;1:ll脇
19。227.03
考 察
筋 肉 に っ い て はA〃Feは 大 体2ぐ らい で あ るが ・そ の他 の器 官 で はA4がFeξ)10倍 に 達 す る も の もあ り・
一 般 に幽 門 垂 にはA4が 多 い.こ の結 果 を 従 来 発表 され た 魚 類 や軟 体 動 物 等 に お け る 含 有 量 と 比較 す る と次 の通 りで あ る.Feに つ い て は従 来 の報 告 と大 差 な く,A4に つ い て は筋 肉 中 の含 有 量 は非 常 に少 な い 値 を 示 す ものが あ り,幽 門 垂 中 の含 有 量 はそ の個 体 に よる変 動 が か な り大 き く,ま た 従 来 の報 告 と大 き い 差 を示 し
て い る もの もあ る.
要 約