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ドイツにおける公益的有限会社の 商号登記について

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(1)

ドイツにおける公益的有限会社の 商号登記について

丸 山 秀 平

* 中央大学法科大学院教授

Ⅰ は じ め に

Ⅱ 公益的有限会社

Ⅲ 公益的有限責任事業会社

Ⅳ 「公益的有限会社」の商号に関する 2 つの決定

Ⅴ 裁判所の決定に対するWachterの評価

Ⅵ 若干の考察―まとめに代えて

Ⅰ は じ め に

 本稿は,ドイツの有限会社について,公益的目的を追求する有限会社の商号の略号に 関する近時の二つの決定を紹介しようとするものである。この点でまず明らかにしなけ ればならないことは,ドイツにおいてどのような法律に基づいて公益的な目的を追求す る有限会社の存在が認められているのかという点である。そして,これから紹介する二 つの決定との関係で,法的に認められた公益的な目的を追求する有限会社

(及び有限責

任事業会社)

が商号としてどのような名称を使用することが出来るのかという点に関す

る近時のドイツの法状況を検討したい。

(2)

Ⅱ 公益的有限会社

 ドイツにおいて公益的な目的を追求する団体は,いわゆる「第三セクター

(Dritte-

Sektor)

」として,社会的に重要な地位を占めて来た。その中で本稿で紹介する第一の

決定で当事者となっているのは公益的有限会社

(gemeinnützige Gesellschaft mit beschrän­

kter Haftung)

である

1)

。そこで,本章 1 .では,ドイツ法上,公益的有限会社として認

められるための手続きについて,2 .では,公益性に係る租税法上の「公益目的」につ いて述べる。さらに,3 . 「公益目的」と有限会社の「目的」との関係に論及する。

1 .2 段階の手続き

 ドイツ法上,公益的有限会社として活動するためには,2 段階の法的手続きを経る必 要がある。その一つは,有限会社法上の手続きであり,会社契約の締結による有限会社

の設定

(Errichtung)

及び,それに伴う商業登記簿への登記である。そして今一つは租

税法上の手続きであり,公益的な地位を有することによる税務上のメリット,すなわち 租税優遇を獲得するための公益的な施設

(Einrichtung)

の確認

(Anerkennung)

の手続き である

2)

 ここで,注意しなければならないことは,第一の手続きは,有限会社が法人として認 められるための手続きであり,第二の手続きは,例えば社団

(Verein)

のような会社で ない団体をも対象とした公益性の確認のための手続きであり,両者の手続きの対象は一 致していないことである。従って,会社の場合には,会社として認められるための第一 段階の手続きとして登記簿への登記が必要となる。これに対して,社団の場合には,権 利能力なき社団

(nichtrechtsfähiger Verein)

の存在も法的に認められている

3)

。そこで,

権利能力なき社団すなわち社団登記簿への登記がなされていないものは,第一段階の手

続きはないが,第二段階の手続きを経ることによって,公益的社団となることができる

4)

 本稿で対象とするのは「公益的」有限会社である。そこで,以下,有限会社を含む団

体が「公益的」なものと認定されるための租税法上の要件及び手続きについて,根拠と

なる法令及び関連条文を示しつつ,説明して行く。

(3)

2 .公課法上の「公益的目的」

 前記 1.の第二の手続きによって租税優遇を獲得するための基準は租税法の規定によ って詳細に定められている。この「租税法」に当たるドイツの法律は「公課法

(Abga­

benordnung」)5)

である。

 まず,公課法第 3 節では「租税優遇目的

(Steuerbegünstigte Zwecke)

」という表題の 下で,その一般規定である同法 51 条 1 項 1・2 文で「ある団体

(Körperschaft)

が,排 他的かつ直接的に公益的,慈善的若しくは宗教的目的

(租税優遇目的)

を追求している ことを理由として本法が税務上の特典を与える場合として,以下の規定

(筆者注;公課

法 52 条以下の規定)

が適用される。右『団体』の下で理解されるのは,法人税法の意味

における社団,人的結合体及び財団である」と規定している。本稿で取り扱う「有限会 社」は,前記の規定の意味における「団体」に含まれることは明らかである

6)

。  続いて,同法 52 条は,「公益的目的

(Gemeinnützige Zwecke)

」という表題の下に「公 益的」の意義に関し,下記のように規定している。すなわち「第 1 項 その活動が,物 質的,精神的または道徳的分野における公共性

(Allgemeinheit)

を無私

(selbstlos)

に促 進することに向けられている団体は公益的目的を追求している。促進に役立つ人の範囲 が固く閉ざされている場合,例えば,家族,従業員のように,とりわけ場所的若しくは 業種的基準による限定の結果としてその範囲が常に小規模とならざるを得ない場合は,

公共性の促進は認められない。ある団体が,その資金を,他の公法上の団体に供給する 場合もあるので,公共性の促進という要件は,単独で存するわけではない。」,第 2 項「第 1 項の要件に基づいて公共性の促進が認められるのは,以下の場合である

7)

。すなわち,

①学問及び研究の促進,②宗教の促進,③公衆保険制度の促進及び公衆衛生制度,とり わけ公課法 67 条の意味における病院

8)

による伝染病,動物の疫病の予防・抑制の促進,

④青少年及び老人福祉事業の促進,⑤芸術及び文化の促進,⑥祈念碑の保護及び促進,

⑦教育促進,学生援助を含む国民・職業教育の推進,⑧連邦及び州の自然保護法の意味 における自然保護及び景観維持,環境保護,沿岸保護及び洪水保護の促進,⑨社会福祉 制度,とりわけ任意福祉保護団体,その下部団体,関連施設・造営物の職務上認められ た目的

(売上税施行令(Umsatzsteuer-Durchführungsverordnung9)23 条10)

の促進,⑩政治的,

人種的若しくは宗教的迫害に対する,亡命者,難民,強制移住者,引揚げ者,戦争犠牲

者,

(軍人)

遺族,戦傷者及び捕虜,一般市民の戦傷者及び障害者に対する援助並びに

犯罪行為の犠牲者に対する援助,それぞれの促進,被迫害者,戦争犠牲者及び災害犠牲

(4)

者に対する記念の促進,行方不明者の捜索機関の促進,⑪生命の危険からの救助の促進,

⑫防火,労災防止,防災及び民間救護の促進,⑬国際主義的思考,あらゆる文化領域で の寛容性及び国際的協調観念の促進,⑭動物保護の促進,⑮開発協力の促進,⑯消費者 相談及び消費者保護の促進,⑰既決囚及び元既決囚の救済の促進,⑱男女同権の促進,

⑲婚姻及び家族の保護の促進,⑳犯罪予防の促進,㉑スポーツの促進

(チェスはスポー

ツとされる)

,㉒郷土保存・保護の促進,㉓動物飼育,植物栽培,小規模造園,カーニバ

ル,懺悔火曜日,謝肉祭

(Fasching)

を含む伝統的風習の促進,軍人及び予備役軍人の 福祉管理の促進,アマチュア無線,模型飛行及びドッグスポーツの促進,㉔ 本法の適 用領域における民主主義的国家制度の普遍的促進,国民としての特定の個人的利益のみ を追求したり,当該地方自治領域に限定される試みはこれに属さない,㉕公益的,慈善 的及び宗教的目的のための市民的なアンガージュマンの促進」である。

 以上の「公共性の無私的な促進」という意味での「公益性」を伴った「団体」の一つ としての「公益的有限会社」は,法人税 5 条 1 項 9 号)により法人税を免除され,また 公課法 14 条による経済的な業務

(wirtschaftlicher Geschäftsbetrieb)

を行う場合には部分 的に免除される

11)

 このような「公益性」を伴った「団体」,すなわち「施設」として確認するための手 続 き と し て,従 来 行 わ れ て い た の は,財 政 官 署 が 行 う 暫 定 的 確 認 書

(vorläufige Bescheinigung)

の提出であった。その際問題となるのは,行政行為

(Verwaltungsakt)

で はなく , 定款の形式的な適正さに関する非拘束的な財政官署による報告である。それ故,

公益性の確認は財務官署にとって拘束的なものではなく

12)

,延長期間内における免責 請求が導き出されることもないとされていた

13)

。この点は,2013 年 3 月 21 日の「名誉 職の強化に関する法律

(Ehrenamtsstärkungsgesetz)

」によって,公課法に新たに 60 a 条 の規定が設けられ,定款上,同法 51 条等の要件が充されているか否かの手続きは行政 行為としての確認処分手続きによって行われることとなった

14)

3 .有限会社法上の「目的」

 有限会社法 1 条では,有限会社は「法律上許容されるそれぞれの目的に向け」本法の 規定により設定することが出来ると規定されている。右の「目的」については,法律上 の禁止規定に反したり

(民法典 134 条)

,良俗に反したり

(gegen dieguten Sitten)(民法 典 138 条)

することがなければ,特段の制限はないと解されている

15)

 そこで,許容される目的の例として,スポーツ,学問,文化,政治,宗教等の理念的

(5)

目的

(ideelle Zwecke)

が掲げられている

16)

。そして,本稿で取り扱われる公益的目的も,

右の理念的目的の類型に属するものとされている

17)

Ⅲ 公益的有限責任事業会社

 本稿で取り扱う 2 番目の決定の当事者となっているのは,「公益的有限責任事業会社

(gemeinnützige Unternehmergesellscaft)

」である。

 前記 Ⅱ 1.で述べた公益的有限会社の設定に係る 2 段階の手続きによれば,公益的 有限責任事業会社の設定についても,第一段階での会社法上の手続きとして必要なこと は,有限会社法による有限責任事業会社の設定の手続きである。この点については,既 に他稿

18)

で論じていることもあり,その詳細は本稿では省略したい。ただ,有限責任 事業会社の設定は,有限会社の場合よりもよりスムーズに行えるようになっていること に留意すべきである

19)

 また,有限責任事業会社は,「有限会社の変形

(Variante)

」として位置付けられており,

法形式として有限会社と異なるものではない。従って,第二段階の手続きの対象として 認められている公課法上の「団体」としての地位は有限会社と異なるものではない。

 ただ,ここで確認しなければならないことは,有限責任事業会社は,通常の有限会社 の変形として,有限会社法の適用を受けるにしても,有限責任事業会社という制度の導 入時に新たに制定され,有限責任事業会社に対して適用される条文以外の条文,すなわ ち通常の有限会社に対して適用される条文が,そのまま有限責任事業会社にも適用され るかという点である。この点も,他稿

20)

で論じているが,本稿との関係では,前記 Ⅱ 2.

で論じた「目的」に関する有限会社法 1 条の適用の可否が問題となる。しかし,右規定 は,有限会社という法形式に関する基本的な規定として,「有限会社の変形」である有 限責任事業会社にもそのまま適用されると解される

21)

 この点, Miras は,前記の第一段階の手続きとの関連で「簡単かつ迅速な有限責任事

業会社の設立及び最低限必要な基本資本は,事業的でない目的のためにも右法形式を魅

力的なものとすることを可能にした」と評価したうえ

22)

,「目的」との関連について「有

限責任事業会社は,事業の設立を簡易化しようとする立法者の目標によって導入された

ものであるが,有限責任事業会社には,有限会社法 1 条により,有限会社は『法律上許

容されるそれぞれの目的に向けて』設定されるという通常の有限会社と同じことが妥当

する。それ故,公益的な施設のためにこれまで通例であった登記済社団

(eingetrageter

(6)

Verein)

に代わる真っ当な代替物

(ernst zunehmende Alternative)

としてまさしく有限責 任事業会社が考慮されることになる」と述べている

23)

 以上のことに関連して,実際上問題となるのは,有限責任事業会社についても,その 制度導入当時から,この法形式を「公益的」な形態として利用したいという需要があっ たのかという点である。

 この点で Römermann は有限責任事業会社という制度の導入に際して,その利点の一 つとして,「利益

(Gewinn)

」に,そして間接的には,会社に結びつけられている財産 に対して影響を与える数多くの形成及び税務上の可能性がある点を掲げていた。すなわ ち「政府草案理由書で定義づけられている『若き起業家』というターゲットとされる集 団は法文上再見されることはない。自分の弁護士としての仕事の中で最初に有限責任事 業会社について照会されたのは,約 200 年の歳を経たキリスト教会の下部組織

(Unter­

gliederung)

で,直ぐにでも有限責任事業会社の創立社員となろうと考えていた」と記

している

24)

  Römermann による以上の指摘について, Miras は,その著作の注記中で,「キリスト 教会の下部組織が有限責任事業会社の設立に最初に興味を示した者であった」と記述し ている

25)

。ただ, Römermann による前記の指摘が,有限責任事業会社の導入時におけ る立法者の制度設計に対してなされたものであるのに対して,Miras の引用は,公益目 的を求める法形式として有限責任事業会社が従来から機能している登記済社団や,通常 の有限会社よりも,適切であることを補強する事実としての引用であることに注意しな ければならない。

Ⅳ 「公益的有限会社」の商号に関する 2 つの決定

 前記 Ⅱ 1.で述べた手続きによって,会社としての組織が形成され,公益的な活動 を行おうとする目的も租税法的な見地から確認を受けた団体

(前記 Ⅱ 2.では有限会社,3.

では有限責任事業会社)

が,その目的にかなった活動を行うためには,関係者に対して,

団体としての同一性およびその組織としての特質を「商号」という形で公示しなければ ならない。この点でドイツの裁判所が,「公益的」有限会社

(及びその変形としての有限

責任事業会社)

に対して,どのような姿勢を示してきたのか,本章では,この問題につ

いて判断を下した近時の 2 つの上級地方裁判所決定を以下に紹介することにしたい。

(7)

1 .ミュンヘン上級地方裁判所 2006 年 12 月 13 日決定

26)

 本章 1.でまず取り上げるのは,2006 年 12 月 13 日ミュンヘン上級地方裁判所決定

(以

下「ミュンヘン上級地方裁判所決定」とする。)

である。以下に,同決定の「主文」及び「決

定理由」を公表された資料

27)

通りに記述する

(決定理由中に引用されている文献等も同様)

【主 文】

1 .2006 年 9 月 14 日決定に対する更なる抗告は退けられる。

2 . 法律抗告

(Rechtsbeschwerde)

手続きに対する訴訟費用は 5000 ユーロで確定される。

【決定理由】

Ⅰ.

1 . 当事会社, S . GmbH ,は,「 S .- gGmbH 」という商業登記簿への商号変更登記を申 請した。前記の省略形は,「gemeinnützige Gesellschaft mit beschränkter Haftung 」 に代えて用いられるべきものとされていた。登記裁判所は,「 gGmbH 」は何ら許 容された法形式の付加語ではないと異議を申し立てた。地方裁判所は,登記裁判所 の前記処分に対する当事会社の抗告を,2006 年 9 月 14 日の決定によって退けた。

これに対して,更なる抗告が提起された。

Ⅱ.

2 . 更なる抗告は許容されるがしかし,理由付けられない。地方裁判所が, 「gGmbH」は,

有限会社法 4 条の意味における許容された法形式の付加語ではないとしたことは正 当なものとして認められる。

3 . 有 限 会 社 法 4 条 に よ れ ば,当 該 会 社 の 商 号 は「 Gesellschaft mit beschränkter Haftung 」という名称若しくは一般的に理解できる前記名称の短縮形

(Abkürzung)

「 GmbH 」を含むものでなければならない。法形式の付加語

(Rechtsformzusatz)

に 対する要求は厳格に取り扱われなければならない。何故なら,商号の核心部分の形 成に際して現在妥当する選択の自由に結びついている情報力の不足

(Defizit)

が求 めているのは,会社関係及び責任関係に関する商号の相応に強化された表現力及び 伝達力だからである

(vgl. Lutter/Hommelhoff GmbHG 16. Aufl. § 4 Rn. 25; Michalski GmbHG § 4 Rn. 38; Roth/Altmeppen GmbHG 5. Aufl. § 4 Rn. 46)

4 . 「 gGmbH 」という短縮形は,前記のような強制的な法律上の基準に相応するもの

ではない。有限会社法 4 条が,短縮形として許容しているのは,「 Gesellschaft mit

beschränkter Haftung 」という名称についてのものだけである。付加的記載,本件

(8)

では会社目的,に対する更なる略号

(Kürzel)

を認めることは,それ故,考慮され ない

(so auch Keidel/Krafka/Willer Registerrecht 6. Aufl. Rn. 229 a. E.)

。省略のない形 で記された「 gemeinnützige Gesellschaft mit beschränkter Haftung 」という名称 が商号の構成部分として認められるか否かは,未定なままとならざるを得ない。い ずれにせよ,法規定に反して,法形式の付加語の短縮形の相応した拡大を許容する ことを引き出すことは出来ない。地方裁判所が適切に述べていたように,一般的に 理解できる「 GmbH 」という短縮形に更なる構成部分を付け加えることは,当該 会社が法取引の中で有限会社の特別形式と見なされる危険をはらんでおり,当該会 社が有限会社に適用される規定,とりわけ責任に関する規定に服するのか,どの範 囲で服するのかについて不明瞭な点が存する。法律抗告によって提起された

「 gGmbH 」という短縮形の拡大は,専門文献及びメディアにおいて,前記の短縮

形は有限会社法 4 条による法形式の標識

(Kennzeichnung)

として許容されていな いという点で何ら変わりはない。このことは,他の場合に右の付加語が商業登記簿 に登記される状況にも妥当する。

5 .

(略)

2 .カールスルーエ上級地方裁判所 2019 年 4 月 26 日決定

28)

 前記 1 .に続いて取り上げるのは,2019 年 4 月 26 日カールスルーエ上級地方裁判所

決定

(以下「カールスルーエ上級地方裁判所決定」とする。)

である。以下に,前記 1.ミュ

ンヘン上級地方裁判所決定と同様に,カールスルーエ上級地方裁判所決定の「主文」及 び「決定理由」を公表された資料

29)

通りに記述する

(決定理由中に引用されている文献等 も同様)

【主 文】

1 . 2018年6月7日のマンハイム区裁判所

(登記裁判所)

の中間処分(Zwischenverfügung)

( Az . 00 AR 1196/18)に対する抗告は費用負担あるものとして退けられる。

2. 法律抗告は,認められる。

3. 抗告手続きに対する訴訟物費用は 5000 ユーロである。

【決定理由】

Ⅰ .

1 . 当事会社は,「 K. gUG

(haftungsbeschränkt)

」という商号で商業登記簿への登記を

申請した。

(9)

2 . マンハイム区裁判所・登記裁判所

(司法補助官)

は,選定された「gUG

(haftungsbe­

schränkt)

」という法形式及び責任を示す付加語が認められないことを指摘する一方,

「 gemeinnützige UG

(haftungsbeschränkt)

」に対しては疑念がない旨通達した。こ れに対して,当事会社は選定された商号の付加語が許容されることを前提としてい た。

3 . 法的手段を与える 2018 年 6 月 7 日付の上訴書簡と共に,登記裁判所は前記申請に 正式に異議を唱え,4 週間の猶予期間を設けて商号の変更の証明および公益性に関 する財政官署の暫定的確認書の提出の機会を与えた

(Hauptband AS 11 f. )

。それに 続き登記裁判所は,前記書簡で重要なのは正式な中間処分である旨,示唆した。

4 . 2018 年 6 月 13 日に前記会社の代理人に送達された書簡に対し,2018 年 6 月 22 日 同社の訴訟代理人の書面と共に同封されていた同社の抗告は,財政官署の公益性の 証明

(Gemeinnützigkeitsbestätigung)

を補完提出し,「 K . gUG

(haftungsbeschränkt)

」 という商号で登記申請をしようとする方向に向けられていた

(Hauptband AS 28 ff.)

5 . 登記裁判所は 2018 年 6 月 25 日の決定により前記抗告に対して,公益性の証明書の 提出が求められる部分については対応したが,それ以外の対応しない部分の手続き は,その判断

(Entscheidung)

のため上級地方裁判所に向けられた

(Hauptband AS 35 f. )

。当事会社はその抗告を補正して理由付け,対応されなかった部分について 供述を行った。

6 .

(略)

Ⅱ.

7 . 本件で許容され,その他認可された抗告は失敗に終わった。

8 . 2018 年 6 月 7 日の法的手段の授与を唱えた書簡について,問題となったのは,家 事事件・非訟事件手続法

(FamFG)

374 条 1 号,382 条 4 項 1 文による登記裁判所 の中間処分,それは抗告によって取り消すことが出来る

(家事事件・非訟事件手続法 58 条 1 項後段,382 条 4 項 2 文と関連した司法補助官法(RPflG)11 条 1 項)

,である。

この中間処分は決定という形式で下されていないことは法的手段の許容性に反する ものではない

(vgl. OLG Stuttgart, B. v. 23.03.2010 – 8 W139/10 –, juris Rn. 18 ff. 22)

。 9 . 2018 年 6 月 25 日の対応決定という形で抗告の対象とされたのは中間処分である。

その他の点で上訴は,中間処分が追加された公益性の証明書に関して受け容れられ

ているのに対して,異議の対象として向けられているのは,選定された商号だけで

あるとして理解されなければならない – 認めるものとして

(vgl. BayObLGZ 1970, S.

(10)

133 <135> ; Krafka/Kühn, Registerrecht, 10. Aufl. 2017, Rn. 2439 )

–。それ以外の許容 要件は充されている

(§§ 59 ff. FamFG)

10. 中間処分は形式的な点で異議は出されなかった。

11. a ) 登記裁判所は,当事会社によって選定された商号を,職権により,検査し

( § 9c Abs. 2 Nr. 1 GmbHG, § 26 FamFG)

, 家事事件・非訟事件手続法 382 条 4 項によ る中間処分という方法で,その限りで確認した瑕疵の除去を持ち出すことが出来る

(vgl. Cziupka, in: Scholz, GmbHG, 12. Aufl. 2018, § 4 GmbHG, Rn. 88 )

。そのために社

員の決定

(Beschluss)

が必要なことは中間処分の発布を妨げるものではない。何故

なら,このことが必要とされるのは,家事事件・非訟事件手続法 382 条 4 項によっ て認められた,既に申請され,登記が義務付けられた事項の訂正に限定されるから である

(vgl. Krafka,NZG 2019, S. 9 <10> m.w.N.)

12. b ) 中間処分が決定という形で下されるのではないこと

(家事事件・非訟事件手続法 38 条 1 項 1 文)

は,同じく,その取消し

(Aufhebung)

に至るものではない

(vgl.

Krafka, NZG 2019,S. 9 <11> m.w.N.; Meyer-Holz, in: Keidel, FamFG, 19. Aufl. 2017, § 38 Rn. 8; a.A. OLG Düsseldorf, NZG 2017, S. 663 <664 Rn 14>; OLG Jena, BeckRS 2016, 19872; einemann, in: Keidel, FamFG, 19. Aufl. 2017, § 382 Rn. 25 )

。何故ならば,決定 による判断

(Entscheidung)

という原則について家事事件・非訟事件手続法 38 条 1 項 2 文によって定めることができるのは,法律による登記事項とは異なるものであ るからである。以上の可能性について,立法者は,家事事件・非訟事件手続法 382 条 4 項を用いており,

(登記申請を拒絶する判断(家事事件・非訟事件手続法 382 条 3 項)

ではなく)

登記障害事項の除去の期限を定めるためには,決定という形式を何ら基

準としていない

(vgl. Begr. RegE des FGG-Reformgesetz v. 07.09.2007, BT-Drucks. 16/6308, S. 195; Meyer-Holz, a.a.O., § 38 Rn. 8)

13. 3.本件において登記裁判所は,正当にも,「 gUG

(haftungsbeschränkt)

」は,法形 式及び責任を示す付加語として何ら許容されているものではないということから出 発している。

14. a ) 有限会社法 5a 条 1 項によれば,有限責任事業会社は,右規定の意味において商 号中に有限会社法 4 条とは異なり,「 Unternehmergesellschaft

(haftungsbeschränkt)

」 若しくは「 UG

(haftungsbeschränkt)

」という名称を使用しなければならない。

15. 文献上議論され,最高裁判官レベルで長年にわたって判断がなされなかったのは,

公課法 51 条から 61 条による専らかつ直接的に租税優遇目的を追求する有限責任事

業会社はその商号を「 gUG

(haftungsbeschränkt)

」という短縮形を使って形成しな

(11)

ければならないかということである。

16. 一方の見解は,有限会社法 4 条 2 文

(直接または類推)

により前記のような法形式 の名称は許容されるとしている

(vgl. u.a. Cziupka, in: Scholz, GmbHG, 12. Aufl. 2018,

§ 4 Rn. 12; Fastrich, in: Baumbach/Hueck, GmbHG, 21. Aufl. 2017, § 4 Rn. 9a, § 5a Rn.

9; C. Schmidt-Leithoff, in: Rowedder/Schmidt/Leithoff, GmbHG, 6. Aufl. 2017, § 4 Rn. 59;

Kleindiek, in: Lutter/Hommelhoff, GmbHG, 19. Aufl. 2016, § 5a Rn. 56; Vogt, in:

Beck’sches Handbuch der GmbH, 5. Aufl. 2014, § 18 D.III.1 Rn. 16; Wachter, GmbHR 2013, R145 <R146>)

。他方,反対説は,有限責任事業会社にとって相応する明白な 法規定がないことを理由として前記名称を拒み,あるいは,問題があるあるいは疑 わしいとしている

(vgl. u.a. Altmeppen, in: Roth/Altmeppen, GmbHG, 9.Aufl. 2019, § 5a Rn. 7; Schäfer, in: Henssler/Strohn, Gesellschaftsrecht, 4. Aufl. 2019,§ 5a GmbHG Rn. 13;

C. Jaeger, in: BeckOK GmbHG, Stand 1.11.2018, § 4 Rn. 43; Heinze,in: Münchener Kommentar zum GmbHG, 3. Aufl. 2018, § 4 Rn. 18a; Westermann, in: Scholz, GmbHG, 12.

Aufl. 2018, § 5a Rn. 14 mit Fußnote 10; Hecht, in: Gehrlein/Born/Simon, GmbHG, 3. Aufl.

2017, § 4 Rn. 35; J. Schmidt, in: Michalski/Heidinger/Leible/J.Schmidt, GmbHG, 3. Aufl.

2017, § 5a Rn. 55; Wicke, in: Wicke, GmbHG, 3. Aufl. 2016,§ 5a Rn. 6; Mayer/Weiler, Beck’sches Notar-Handbuch, 6. Aufl. 2015, D.I.1. Rn. 45; Deutsches Notarinstitut, Gutachten, DNotI-Report 2013, S. 181 f.)

17. 当部局は,後半で掲げた見解に従う。

18. aa ) 当部局の見解によれば,有限会社法 5 a 条は,同法 4 条の規制全体に優先する,

すなわち,特別な規範としての同条 2 文にも優先する。そのことは「4 条とは異な り」という定式からも明らかである

(vgl. Altmeppen, a.a.O., § 5a Rn. 7; Heinze, a.a.O.,

§ 4 Rn. 18a; C. Jaeger, a.a.O., § 4 Rn. 43)

19. bb ) 有限責任事業会社の商号中にどのような法形式の付加語を書き出しまたは短 縮して含めなければならないかの法律上の基準は,同じく文字に忠実に強制され維 持されなければならない

(vgl. BGH, ZIP 2012, S. 1659 <1661, Rn. 16> ; OLG Hamburg, B. v. 02.11.2010 – 11 W 84/10 –, juris Rn. 3 )

。立法者が,その際,短縮可能なものと して認めたのは,「 UG

(haftungsbeschränkt)

」だけであって,これに対して,有限 会社法 4 条 1 文におけるように,それ以外の一般的に判る短縮形の使用を認めるも のではなかった。従って,有限会社法 5 a 条の適用範囲内で掲げられていない,更 なる文字を付加することによる短縮形のヴァリエーションは排除されている

(vgl.

OLG Hamburg, a.a.O; Westermann, a.a.O., § 5a Rn. 14 )

。狭く捉えられている有限会社

(12)

法 5a 条の文言によって公益的な有限責任事業会社の商号を「 gUG

(haftungsbe­

schränkt)

」とするために適用されるものは何もない。

20. cc ) 規範の意味及び目的もこのような厳格な解釈を取りなしている。何故なら,立 法者の評価によれば,特別かつ強制的な商号使用によって確立されるべきことは,

(債 権者保護の放棄できない構成要素である)

取引相手

(Geschäftspartner)

が相応の準備が 出来るようにするために,どのような種類の会社を相手にしているかを認識できる ことなのである

(vgl. Begr. RegE des MoMiG v. 25.07.2007, BT-Drucks. 16/6140, S. 31, 74)

21. dd ) 加 え て,立 法 者 は,2013 年 3 月 21 日 の 名 誉 職 の 強 化 に 関 す る 法 律

(Ehrenamtsstärkungsgesetz, BGBl. I S. 556 )

によって,公益的有限会社のために新た な有限会社法 4 条 2 文に「 gGmbH 」という省略形を定めたが

30)

,それにも拘わら ず,有限会社法 5 a 条に相応の補正をしていない。このことを単なる編集上の見落 とし

(Versehen)

に帰することは,以前に判例及び文献でなされた「gGmbH 」と いう短縮形の許容性に関する論争

(Deutsches Notarinstitut, Gutachten, DNotI-Report 2013, S. 182 )

を見れば,的外れ

(fernliegend)

である。なるほど有限会社法 4 条 2 文の立法資料に述べられているが,「 gGmbH 」という短縮形については,有限会 社という特別な形式を示す特別な法形式の付加語は問題とされていない

(vgl.

Entwurf eines Gesetzes zur Entbürokratisierung des Gemeinnützigkeitsrechts v. 06.11.2012, BT-Drucks. 17/11316, S. 1731)

)。それにも拘らず,以上の論争は最終的な有限会社法 5 a 条 1 項というそこで与えられていたものとは異なる法形式の付加語のヴァリェ ーションのための余地のない規定に移転することはできない。

22. ee ) 最終的に抗告人の異議,当該有限責任事業会社は法取引の中でそうこうする うちに確立され,「 gUG

(haftungsbeschränkt)

」という付加語は既に何度も使用され ていたという異議も容認されない。このことが正当であるとしても,有限会社法 5a 条 1 項で許容される法形式の付加語のカテゴリーの拡大を伴うその限りで変更 される法実務の要求を考慮することは立法者の問題である。

23. 4. それ故,本抗告は,家事事件・非訟事件手続法 842 条による費用負担を伴い棄 却される。法律抗告は,原則的な法律事件の意義

(家事事件・非訟事件手続法 70 条 1

項 2 文 1 号)

を理由として認容される。取引価値の確定は,裁判・公証人費用法 36

条 1・3 項, 61 条,79 条による。

(13)

Ⅴ 裁判所の決定に対する Wachter の評価

 本章では,前記 Ⅳ 1.2.の各決定に対して,いずれも批判的な立場に立っている Wachter の論評について紹介しておきたい。

1 .ミュンヘン上級地方裁判所決定に対して

32)

 まず, Wachter は,⑴公課法 51 条 2 文

(現 51 条 1 項 2 文)33)

にいう「団体」には,有 限会社も含まれること,⑵有限会社法 1 条により法律上許容された目的と並んで公益的 な目的のためにも有限会社が設定され得ること,を示したうえ,商業活動を行う有限会 社の商号と区別するために,公益的な有限会社は,屡々「 gemeinnützige GmbH 」若し くは短縮した「 gGmbH 」という商号を使ってきたが,本件では,当事会社が「 S .-

gGmbH 」への商号変更を望んだところ,ミュンヘン登記裁判所が,右申請に係る定款

変更について,「 gGmbH 」という商号の付加的部分は何ら許容されたものではないと して

34)

,これを拒み,ミュンヘン上級地方裁判所も同様の判断を下したことを述べ,

右判断の理由として,「 GmbH 」という短縮化された表記に,さらに「 g 」という略号 を付加することは,当該会社が法取引の中で有限会社の特別形式として見られ,その限 りで,一般的に有限会社について適用される責任規定が適用されるか否か,どの程度適 用されるかについて不明確性を生ずる危険性がある」というミュンヘン上級地方裁判所 決定の決定理由を引用している

35)

 このような見解に対して,Wachter は,前記決定の結論に対して,またその理由付 けに対しても,次のように反論している。すなわち,第一に,「 gGmbH 」という表記は,

既に,数多く使用され,関与者の信頼もあること,また上級地方裁判所のいう「不明確 性」についても,①全ての関与者にとって,ドイツ有限会社法の規定が営利的に活動す る有限会社および公益的に活動する有限会社に対して同様に適用されることは

(当時の 法律上)

明らかであること

36)

,②「 gGmbH 」という法形式の付加語が考慮しているそ れ以外の特別な方法での商号の情報伝達機能があること,すなわち,右付加語が当該有 限会社の公益的な結びつきを示唆していること,である

37)

 とりわけ,前記②について,Wachter は,

(当時の法律上)

公益的目的を表わす法的義

務はなかったものの,「 g 」という表記でそれを表わすことは,むしろ法取引の透明性

(14)

の意義において有意義であると評している。

 そして, Wachter は,ミュンヘン上級地方裁判所決定との関係では,「 gGmbH 」は,

有限会社の特別形式ではあるものの,そのことが何らかの危険をもたらすものであるか は明らかではなく,既に文献上,商号としての「 gGmbH 」の許容性について,それを 肯定する見解があることを指摘している

38)

 最後に, Wachter は,

(個人商人に関する)

商号の誤導の禁止の原理

(商法典 18 条 2 項)

との関係で,公益性について疑義がある場合には

39)

,登記裁判所は,自ら調査するこ

とができ

(公課法 59 条以下)

,それに関し財務局の意見を求める必要は無い点を付言し

ている。

2 .カールスルーエ上級地方裁判所決定に対して

40)

 Wachter は,当時の文献の圧倒的多数が肯定していた「 gGmbH」という名称使用を,

前記 1 .のミュンヘン上級地方裁判所が,立法者の見解を引用しつつ

41)

,否定したが,

その後,2013 年有限会社法の改正による同法 4 条 2 文の補充

42)

によって右名称使用が 認められた結果,それまでの議論は何らの有効性も持たなくなったことを明らかにして いる

43)

 しかし, Wachter は,前記法改正によっても未だ残されている問題の一つとして,

2008 年有限会社法改正によって導入された有限責任事業会社の商号について,公益的 有限責任事業会社が「 gUG 」という名称使用を認められるかという点を指摘した

44)

。 すなわち,前記 2008 年有限会社法改正法 5a 条 1 項は「有限責任事業会社は,法形式の 付加語として,「 Unternehmergesellschaft

(haftungsbeschränkt)

」または「 UG

(haftungs­

beschränkt)

」の何れかの標識を選択しなければならない」と規定した。しかし,その後

の 2013 年有限会社法改正による 4 条 2 文は,「 gGmbH 」という名称使用について定め ているものの,「 gUG 」について定めている訳ではない。

  Wachter は,前記 Ⅳ 2.で紹介した通り,カールスルーエ上級地方裁判所が,この 問題に対して判断

(消極的判断)

を下した最初の上級裁判所

(erstes Obergericht)

である と指摘しているが,その判断に「結果的に,承服することは出来ない」としている

45)

。  Wachter は,カールスルーエ上級地方裁判所の立場に反対する理由として以下の点を 述べている。

 まず,有限責任事業会社は,固有の法形式ではなく,有限会社の単なる変形であるの

で,有限責任事業会社についても,有限会社法の一般的規定が適用され,その限りで,

(15)

何故,公益的有限責任事業会社が公益的有限会社と同じやり方で「 g 」会社と名付けら れないかについての理由は明らかではない。この点で Wachter は,カールスルーエ上 級地方裁判所が,有限会社法 5a 条で有限責任事業会社の商号について特別に規定して いることを指摘した点は正当であるとしつつも,同規定は有限会社若しくは有限責任事 業会社としての一般的な法形式の名称

(Bezeichnung)

のみに関するものであって,「g 」 会社

(g-Gesellschaft)

という特別の名称にまで関わるものではないとして,「 gGmbH 」 若しくは「 gUG 」という

(短縮化された)

名称は,両者とも同じく許容されるとしてい る

46)

 先に述べたように,2013 年改正では,2008 年改正で導入された有限責任事業会社は,

見過ごされているが, Wachter によれば,その際立法者が望んだことは,その商号中

の「 g-」という名称

(標識)

によって税務上有利となる目的を追求していることが示さ

れることを

(全ての)

公益的会社

(団体)

に可能とすることであったと解され,以上の 目標設定は有限会社だけに限られず,有限責任事業会社,

(さらには株式会社)

にも妥当 するとされる

47)

Ⅵ 若干の考察 ―まとめに代えて

 本章では,本稿のまとめに代えて,本稿で取り扱った 2 つの決議に関し,若干の補足 をしておきたい。

 まず,前記 Ⅳ 1.のミュンヘン上級地方裁判所決定とⅣ 2.のカールスルーエ上級地 方裁判所決定との時間的先後に関わる有限会社法の規定内容を確認しておきたい。

 ミュンヘン上級地方裁判所決定に係る「 S.- gGmbH 」への商号変更登記が申請され た 2006 年の時点において,有限会社の商号に関する有限会社法 4 条の規定には,本稿 執筆時点すなわち,2020 年段階での 4 条 2 文

(2013 年改正)

に当たる条文は未だなかっ た。また,カールスルーエ上級地方裁判所決定に関連する有限責任事業会社に関する有 限会社法 5a 条の規定

( 2008 年改正)

もなかった。従って,2006 年時点では,法文上許 容されていた商号表示は「 Gesellschaft mit beschränkter Haftung 」及び「 GmbH 」と いう法主体の同一性に係る表示だけであり,会社目的に係る付加語

(「gemeinnützige」

若しくは「g」)

については規定されていなかった。そこで,2006 年当時,問題とされた

のは「 gGmbH 」という表示であった。

 これに対して,カールスルーエ上級地方裁判所決定に係る「 K . gUG

(haftungsbe­

(16)

schränkt)

」という商号を持つ有限責任事業会社の登記申請がなされた 2019 年の時点では,

2008 年改正によって有限責任事業会社の商号として有限会社法 5 a 条 1 項では,

「 Unternehmergesellschaft

(haftungsbeschränkt)

」または「 UG

(haftungsbeschränkt)

」と いう表示が認められていた。しかし,会社目的に係る付加語については,2013 年改正 で認められた「 g 」という省略形が,通常の有限会社に係る有限会社法 4 条 2 文に定め られているだけであり,有限責任事業会社についてはその旨の規定はなかった。そこで,

2019 年時点では,「 gUG

(haftungsbeschränkt)

」という商号の付加語の「 gUG 」という 表示が問題となったのである。

 前記の通り,ミュンヘン上級地方裁判所決定の時点で,「gGmbH」という表示は勿論,

「 gemeinnützige GmbH 」という表示も,有限会社法上規定されていなかった。この点 について,2008 年改正法の政府草案に係る 2007 年 7 月 6 日の連邦参議院の意見書

48)

で は,以下の見解が主張されていた。すなわち,ミュンヘン上級地方裁判所決定によって 確定したことは「『 gGmbH』という短縮形は,何ら法形式の記載として認められたも のを表わすものではなく,それ故,商業登記簿に登記することは出来ないことである。

しかし,短縮形

(同じく省略されていない形式においても)

の場合,重要なことは,長年に わたって,また一般的に周知され受け容れられ,度々使用されてきた記載であり,ある 一定の会社目的だけを示すものであり,当該会社の会社関係ないし責任関係とは無関係 のものである。周知性という理由からのあらゆる疑問を予防するために,伝承された記 載もまた法律上の基盤を与えられなければならず,「gGmbH」の「適法化

(Legalisierung)

」 が考慮される。その際,新たな法形式の導入ではなく,法形式の付加語の使用を適法と する可能性だけが問題となる」というものである

49)

 しかし,以上の提言は連邦政府によって拒絶された

50)

。すなわち「『 gemeinnützige 』 という付加語は,法律上解明の必要の無い,商号の構成部分として認められる。『gGmbH』

という短縮形は将来にわたっても許容されるべきではない」,「そのような付加語は会社 目的が単に『公益的』であることを指示しているに過ぎず,それどころか右付加語は,

当該会社が,有限会社の特別な形式であると誤って見なされ,当該会社が有限会社に適 用される規制に服するか,どの範囲でそうなるのかとの不明確性を生ぜしめる。それ故,

『 g 』という付加語は法形式の付加語の構成部分と見るべきではない

51)

」とする。この 部分は,表現の違いはあるものの,カールスルーエ上級地方裁判所決定でも立法者の見 解として,引用されている

52)

 前記 Ⅴで紹介した Wachter の意見は,ミュンヘン上級地方裁判所決定の時点で問題

となった「 gGmbH 」についても,カールスルーエ上級地方裁判所決定で問題となった

(17)

「 gUG 」についても,それぞれの決定がなされた時点で,商号及びその付加語に係る短 縮形として法的に認められるとしており,2013 年の改正段階で,有限責任事業会社に ついて,有限会社法 4 条 2 文に相応する規定が設けられなかったとしても,立法者は

「 gGmbH 」という名称のうち「 g 」という部分は,公益的な会社の存在及び活動に関わ

るものとして有限会社だけでなく有限責任事業会社

(さらには株式会社)

についても,使 用されることが認められるべきであるという趣旨であると解することが出来る。

 以上の Wachter の意見と同じ方向性から,カールスルーエ上級地方裁判所決定に対

して,右決定は「『新しき革袋に古き酒

( „alter Wein in neuen Schläuchen“ )

』との表題が 相応しい」と評する者もいる

53)

 この点,私見としては,前記 2008 年改正に係る連邦参議院の意見書とそれに対する 政府意見の対立の過程を今一度検討すべきものと考えたい。例えば,カールスルーエ上 級地方裁判所決定にも引用されている

54)

ドイツ公証人協会

(Deutscher Notarinstitut)

の 2013 年 11 月に公表された意見書

55)

には,「有限会社の新たな変形としての有限責任事 業会社は今日

(筆者注:2008 年改正時点)

なお確立しておらず,営業活動はまず以て「 UG

(haftungsbeschränkt)

」という短縮形に慣れ親しまなければならない。これと並んで「gUG

(haftungsbeschränkt)

」が許容されるとすれば,「 gGmbH 」という略語の場合よりも更

に大きな混乱が危惧されることになる」という論述がなされている

56)

 すなわち,2008 年改正で新たに導入された有限責任事業会社に係る商号規制を前提 として,2013 年段階で公益的有限責任事業会社について,更なる短縮形「 gUG

(haftungsbeschränkt)

」を認めるためには,それまでに「 UG

(haftungsbeschränkt)

」とい う短縮形について一般認識が充分に形成されている必要があるということである。そう であれば,2013 年の時点で,立法者が意図的に「 gUG 」という略号を認めなかったこ とは,その時点では右の前提が充たされていない,つまり「 UG

(haftungsbeschränkt)

」 に対する一般認識が必ずしも充分に形成されていないと判断したものと考えられる。カ ールスルーエ上級地方裁判所決定も,この延長線上に立って,前記の消極的判断を下し たのではないかと推測できる。

 であるとすれば,現在の法状況を前提として,「 gUG 」という略号が認められるため には,その前提として,「 UG

(haftungsbeschränkt)

」に対する一般認識が形成されてい ること,そのことを前提として「 gUG 」という略号に対しても実務上の認識が形成さ れていることを確定する必要があると解せられる。そのためには,単に取引において

「 gUG 」という略号が慣用的に使用されているだけでなく,登記申請手続きについて実

質的な権限を有する登記裁判所が右の略号の使用状況を認識し,「 gUG 」という略号に

(18)

よる登記申請を受理しているという状況が継続しているとの事実を明らかにする必要が あるのではないか。その限りで,私見は,カールスルーエ上級地方裁判所決定の見解を 支持したい。

 〈 追記〉前記カールスルーエ上級地方裁判所決定に対して,連邦最高裁(BGH)2020 年 4 月 28 日決定(II ZB 13/19)は,当事会社の上告を認容し,「gUG (haftungsbeschränkt)」の登 記を認容する判断を下した(ZIP 2020, 1236-1239)。

   連邦最高裁の右決定については,本稿の続稿において改めて論じたい。

1 ) ド イ ツ に お け る「 第 三 セ ク ター 」の 史 的 発 展 に つ い て,Zimmer/Priller, Gemeinnützige Organisationen im gesellschaftlichen Wandel - Ergebnisse der Dritte-Sektor-Forschung 2Aufl. VS Verlag für Sozialwissenschaften | Springer 2007, S.45ff. 本稿で取り扱う公益的有限会社は,も ともと,民法上の財団(Stiftung)の「代替形式(Ersatzform)」として,社団的な組織として設 立されてきた「財団的社団(Stiftungsverein)」と並び,「財団的有限会社(StiftngsGmbH)」とし て位置付けられてきたものである(AndreasSchlüter, Die gemeinnützigeGmbH (Ⅱ) GmbHR 2002, S.578; Matthias Römer, Die Eignung der GmbH als Rechtsform für Stiftungszwecke: eine Untersuchung anhand der unternehmensverbundenen gemeinnützigen Stiftungs-GmbH, 1991 S.128ff.

2 ) Andreas Schlüter, Die gemeinnützigeGmbH(Ⅰ), GmbHR 2002, S.535.

3 ) Bernhard Reichert,Vereins- und Verbandsrecht 13.Aufl. Luchterhand 2016, S.7(Rn.32ff.).

4 ) Reichert,a.a.O.(Fn.3), S.1196f.(Rn.6863f,). ここで注意しなければならないことは,社団の分 類について,経済的社団(wirtschaftlicher Verein)と非経済的社団(nichtwirtschaftlicher Verein)

とに分ける方法が一般的であるが,非経済的社団が必然的に公益的社団となる訳ではないことで ある。

5 ) 2002 年 10 月 1 日公布(BGBl.IS.3866, ber. 2003 S. 61)。同法は,ドイツ連邦共和国における租 税に係る基本法として 1976 年 3 月 16 日に公布され(BGBl. I S.613; ber. 1977 I S.269),翌 1977 年 1 月 1 日に施行され,その後度々改正され,現行規定に至っている。本稿では「公課法」と訳 しているが,その規制内容からすると,我が国の「国税通則法」(昭和 37 年法律第 66 号)と共通 する部分がある。なお,2013 年改正以前の公課法に関する比較法的研究として,佐藤岩夫「アソ シエーション法の比較研究―ドイツ」比較法研究 2007 69 号 63 頁,特に 69 頁以下。

6 ) Reichert,a.a.O.(Fn.3), S.1196(Rn.6861).

7 ) Reichert,a.a.O.(Fn.3), S.1198ff.(Rn.6878ff.)

8 ) 公課法 67 条 1・2 項の要件を充たす「目的事業(Zweckbetrieb)」に該当する病院である。

9 ) 2005 年 2 月 21 日公布(BGBl. I S. 434)。同法 23 条では,「ドイツ赤十字社(Deutsches Rotes Kreuz e.V.)」等 11 の団体が,任意福祉保護団体(Verbände derfreien Wohlfahrtspflege)として,

掲げられている。

10) 同 条 は,2019 年 12 月 12 日 の 法 改 正(dasGesetz zurweiterensteuerlichenFörderung der Elektromobilität und zur Änderung weiterer steuerlicher Vorschriften vom 12.12.2019 (BGBl.

IS.2451, ber.2019 S.24))によって,削除されている(BGBl. IArtikel 15 a.a.O. S.2474)。

11) 例えば,課税免除対象となっている目的である事業を含む租税優遇活動に関連してなされた広 告収入や献血活動等のような課税が義務付けられる経済的業務(steuerpflichtigewirtschaftliche Geschäftsbetriebe)について,課税の基礎となるのは,収入の 15%の利益となる(公課法 64 条 6

(19)

項)。

12) Schlüter, a.a.O.(Fn.2), S.536.

13) BFHv. 19.4.1988- IR 3/88, BStBl.II 1989, 595 ; v. 13. 7. 1994 – IR 5/93 BStBl.II

14) BGBl. 2013. Teil I S. 556, Artikel 1.5.S.557. 新たな公課法 60a条の表題は「定款に叶った要件の 確認(Feststellungder satzungsmäßigenVoraussetzungen)」である。立法者によれば,新たな 60a条による「『確認(Feststellung)』は,従来の暫定的確認の手続きとは切り離される。」,「暫定 的確認とは反対に,申請に関する決定は『行政行為』である。」とされている(連邦参議院政府草 案,BT-Drucks, 663/12, S.17. 連邦議会法律草案,BT-Drucks, 17/11316, S.13)。右改正について,

Carina Emser, Erleichterungen für gemeinnützige Körperschaften und ehrenamtlich Tätige im Bereich des Steuerrechts- Gesetz zur Stärkung des Ehrenamtes, NWB 2013 S.908.

15)Pfisterer, in: Saenger/InhesterHrsg. GmbHHandkommentar 2.Aufl.2013,§1 S.60 Rn.8.

16)Roth, in: Roth/Altmeppen, Gesetz betreffend die Gesellschaften mit beschräenkter Haftung Kommentar, 8., neuarbeitteteAufl. 2015, §1 Rn.11.

17)Pfisterer, a.a.O.(Fn.15)S.61f. Rn.12.

18)丸山秀平「有限責任事業会社の設立」龍谷法学 43 巻 5 号 339 頁,同・ドイツ有限責任事業会社

(UG)33 頁。

19)丸山,前掲龍谷法学(前注 18)345-346 頁,同・前掲書(前注 18)39-40 頁。

20)丸山,前掲龍谷法学(前注 18)353-356 頁,同・前掲書(前注 18) 46-49 頁。

21)Pfisterer, a.a.O.(Fn.15) §5aRn 5, Roth, a.a.O.(Fn.16) §5aRn 5.,

22)Antono Miras,Die neue Unternehmergesellschaft, 2.Aufl. C.H.Beck2011, S.68.(Rn.207).

23)Miras,a.a.O.(Fn.22) S.68(Rn.207).

24)Volker Römermann, MoMiG: Regierungsentwurf mit “Überraschungs-Coups”, GmbHR 2007, R193.

25)Miras, a.a.O.(Fn.22) S.124(Rn.679). また,前記 2 (1)で指摘したように,現行法上,社団登 記簿への登記がなくても,公益的社団として認められるので,Miras の説明は,典型例としての 登記済社団について述べるにしか過ぎない。

26)OLG München, Beschlussvom 13. Dezember 2006, 31 Wx 84/06, 31 Wx 084/06.

27)NZG 2007, S. 191 ; ZIP 2007,S. 771; MDR 2007,S. 595; NJW 2007, S. 1601.

28)OLG Karlsruhe 11. Zivilsenat, Beschluss vom 26.April .2019, 11 W 59/18 (Wx); ZIP 2019, 1327-1329.

29)NZG 2019, S. 864 ; ZIP 2019,S. 1327; MDR 2019,S. 1143; GmbHR 2019, S. 1071.

30)同改正法では,有限会社法のみならず,公課法の改正も行われている(前記 Ⅰ 2.参照)。

31)ここで,立法資料として引用されているのは,連邦議会の法律草案である。連邦参議院政府草 案については,Bundesrat Drucksache 663/12.(前注 14 参照)。

32)TomasWachter, EWiR 2007, S.181.

33)公課法 51 条は,従来,現行規定の第 1 項のみの条文であったが,2009 年 1 月 1 日に施行された 改正法により,同条に新たに第 2・3 項が付加され,旧規定は,現行規定の第 1 項となっている。

34)2006 年時点での有限会社法 4 条の規定に基づく(後注 36 参照)。

35)OLG München, Beschlussvom 13. Dezember 2006, a.a.O. (Fn.26), Rn.4.

36)2006 年当時の有限会社法では,2013 年改正による同法 4 条 2 文の規定も 2008 年改正による同 法 5a 条の規定も未だ存しなかったことを前提として,当時の 4 条の規定による「GmbH」とい う法形式の短縮形は,公益的目的を有する有限会社にも適用されることを指摘している。

37)Wachter, a.a.O.(Fn.32), S.182.

38)Wachter, a.a.O. Heinrich, in: Ulmer/Habersack/Winter, Großkomm. GmbHG, 2005, §4 Rz.35.

39)本文Ⅱ 2. で述べたように,当時,財政官署が行う暫定的確認書の提出によって,確認手続きが 行われていたので,登記裁判所が,実務上,右確認書を拠り所としていたことは,Wachter も指

(20)

摘するところである(Wachter, a.a.O.)。であるからと言って,登記裁判所が証明書にすべて頼っ ている訳ではないとして,本文の記述に結びついていると解される。

40)TomasWachter, EWiR 2019, S.425.

41)OLG München, Beschluss vom 13. Dezember 2006, a.a.O. (Fn.26), Rn20 .

42)BT-Drucks, 663/12, S.25, BT-Drucks, 17/11316, S.24f. 同条 2 文は「会社が,公課法 51 条から 61 条による排他的かつ直接的に税務上有利となる目的を追求する場合,「gGmbH」という短縮形 を表わすことが出来る」と定められた。 立法者によれば「有限会社法 4 条の補充により,公課法 51 条から 68 条により租税優遇目的を追求する有限会社は,多くの既存会社で用いられている

「gGmbH」という短縮形を伴った商号を形作ることが更に可能とされるべきである。「gGmbH」

という短縮形は,有限会社の別の形式を示す法形式の付加語ではない。法形式の短縮名(筆者注:

GmbH)の前の「g」という文字)は,当該会社が,広義の公益的目的としても描かれる租税優 遇目的を追求していることを示すべきものである。これに対して,「xyzgemeinnützige Gesellschaft mit beschränkterHaftung」という商号は,有限会社法 4 条 2 文による短縮形とは反対に長文形 であり,「xyz gemeinnützige GmbH」は,有限会社法 4 条 1 文による従来の短縮形である。」と される(連邦参議院政府草案BT-Drucks, 663/12, S.25)。

43) Wachter, a.a.O. (Fn.40) S.425, ders, Änderungen im Firmenrecht der GmbH, GmbHR 2013, R145.

44) Wachter, a.a.O.(Fn.40) S.425, ders,a.a.O.(Fn.43), R146.

45) Wachter, a.a.O.(Fn.40) S.425f. 46) Wachter, a.a.O.(Fn.40) S.426.

47) Wachter, a.a.O.(Fn.40) S.426. また,カールスルーエ上級地方裁判所が問題とする債権者保護 の点についても,「債権者保護は,短縮化された付加語によっては如何にしても導き出せないし,

各債権者は,商業登記簿を閲覧することによって正確な事業目的及び会社契約に関して情報を得 ることができるし,公益性の税務上の基準及び(財政行政によるその管理)は,付加的(間接的)

な公益的団体の債権者保護を引き起こすものであるので」(Wachter, a.a.O)債権者保護が危うく なることはないとしている。

48) Stellungnahme desBundesratesv. 6.7.2007, BTDrucks. 16/6140, S.61ff. 49) Stellungnahme des Bundesrates v. 6.7.2007, a.a.O.(Fn.48), S.62.

50) Gegenäußerungder Bundesregierungv. 6.7.2007, BTDrucks. 16/6140, S.74.

51) Gegenäußerung der Bundesregierung v. 6.7.2007, a.a.O.(Fn.50).

52) OLG Karlsruhe 11. Zivilsenat, Beschlussvom 26. April 2019, a.a.O.(Fn.28), Rn.20. より精確に 言えば,引用されているのは,理由書の「理由(Begründung)」の部分(BTDrucks. 16/6140, S.31.)と政府の反対意見の部分(BTDrucks. 16/6140, S.74.)であり,本文で括弧書きで示したの は 後 半 部 分 で あ る。前 半 部 分 は,導 入 さ れ る 有 限 責 任 事 業 会 社 に 係 る 商 号 に つ い て,

(haftungsbeschränkt)の部分を略すことは出来ない理由として,公衆が,有限責任事業会社が非

常に少額の基本資本を装備した会社であることを見誤らないようにするためであるとしている部 分である。

53) Thomas Kilian, Registerrecht- Aktuelle Entwicklungen, Notar 2020. S.10, 11.

54) OLG Karlsruhe 11. Zivilsenat, Beschlussvom 26. April 2019, a.a.O.(Fn.28), Rn.16.

55) Deutsches Notarinstitut, Gutachten, DNotI-Report 2013, S. 181.

56) Deutsches Notarinstitut, Gutachten, a.a.O.(Fn.55), S.182. この部分の論述内容は,Miras (Miras, a.a.O.(Fn.22) S.70(Rn.212))とほぼ同趣旨である。

(21)

Das Verfahren zur Gründung einer gemeinnützigen Gesellschaft mit beschränkter Haftung ist in zwei Stufen geteilt. In der ersten Stufe wird die GmbH durch Abschluss eines Gesell­

schaftsvertrages mit anschliessender Anmeldung der Gesellschaft zum Handelsregister errichtet. In der zweiten Stufe bedarf die Gesellschaft einer Anerkennung als gemeinnützige Einrichtung, um die entsprechenden steuerlichen Vorteile zu erhalten.

In diesem Zusammenhang widmet sich der Autor hier zwei relevanten Beschlüssen der Ober­

landesgerichte München und Karlsruhe. Zum einen behandelt er den Beschluss des OLG München vom 13.12.2006 (AZ: 31 Wx 84/06), in dem es um ein Eintragungshindernis für die Bezeichnung "gGmbH" ging. Das OLG München folgte der Auffassung des Registergerichtes München, dass "gGmbH" kein zulässiger Rechtsformzusatz sei. Zum anderen wird der Beschluss des OLG Karlsruhe vom 29.04.2019 (AZ: 11 Wx 59/18 ) beleuchtet. Hier war es streitig, ob eine gemeinnützige Unternehmergesellschaft die abgekürzte Bezeichnung "gUG (haftungsbe­

schränkt)" verwenden darf. Das OLG Karlsruhe hatte im Wesentlichen eine fast gleiche Auffas­

sung wie das OLG München, dass die Abkürzung "gUG (haftungsbeschränkt)" kein zulässiger Rechtsform- und Haftungszusatz in der Firma einer gemeinnützigen Unternehmergesellschaft sei.

●Abstract

参照

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