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Ⅰ 主題設定の理由 1 音楽科教育の動向から 学習指導要領の改訂により 音楽づくりにおいて 音遊びや即興的に表現することを通して 音の面白さに気づいたり 音楽づくりの様々な発想をもったりすること が重視されている 内容の改善が図られ 音を音楽に構成する過程を大切にし 共通事項 に示す音楽の仕組み (

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Ⅰ 音楽を楽しむ子どもを育てる音楽家学習指導

~「音づくり」から「音楽づくり」へつなぐ指導の工夫を通して~

久留米市立西国分小学校 教諭 篠原 実和子・・・音楽1

教科教育(音楽)研修講座

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Ⅰ 主題設定の理由 1 音楽科教育の動向から 学習指導要領の改訂により、音楽づくりにおいて「音遊びや即興的に表現することを通して 音の面白さに気づいたり、音楽づくりの様々な発想をもったりすること」が重視されている。 内容の改善が図られ、「音を音楽に構成する過程を大切にし、〔共通事項〕に示す音楽の仕組み(反 復、問いと答え、変化、縦と横の関係)を手がかりにして、児童が思いや意図をもって音楽をつ くるようにすること」の重要性が示された。特に低学年の音楽づくりの活動では、「音の様々な 特徴に気付く能力」「音を音楽に構成する能力」を育てていくことが指導のねらいとされている。 今回改訂の音楽づくりには、既存の作品を創意工夫して表現する活動は含めておらず、歌唱及 び器楽の活動において指導するという大きな違いに留意する必要がある。 また、学校現場の教師は「どうしていいか分からない。」という苦手意識をもつ方も多く、重 要性が示されたにも関わらず、効果的に指導されていない実情がある。 以上のことから、これらの能力を育てるために音楽づくりの学習を重視し、授業づくりをし ていくことは音楽科のねらいから考えても意義深いと考える。 2 児童の実態から 5月に実施した音楽科学習に関するア ンケートによると、1年時に行った音楽 の学習で楽しかったことや覚えているこ とについて、28人中24人が音楽づく りの学習内容をあげた。しかし、「ほしの おんがくをつくろう」の学習についてア ンケートをとると、資料1のとおり、音 楽のつなぎ方の理解が不十分であること が分かった。その理由として、1年生ということを踏まえ、教師主導の学習活動が多くなり、 音と音をつなぐことが音楽になるという認識をもたせるような活動の工夫が足りなかった。つ まり、自ら音を音楽にしていく過程に、子どもにとって必然性のある教材や学習活動の設定が できていなかった。 以上のことから、音楽が好きな子どもや楽しく音楽に関わる子どもを育てるためにも、全て の子どもがつくることができ、歌唱や器楽が苦手でも意欲をもって活動できる音楽づくりにつ いて、低学年から発達段階に応じた指導の進め方を探ることは意義があると考えた。 Ⅱ 主題・副主題の意味 1 「音楽を楽しむ子ども」とは 音楽を楽しむ子どもとは、音楽を楽しいと感じて音楽活動をするだけでなく、音楽づくりの 活動を通して音楽のよさを感じ取る能力を身に付けて音楽活動をする子どものことである。 音楽を楽しむためには、子どもが楽しく音楽にかかわることと同時に、音楽を学習する喜び を味わえるようにすることが大切であると考える。子どもが主体的に学習する喜びを味わうた めには、音楽のよさや面白さ、美しさに気付くことが重要であり、自分でつくる音楽の学習を 通して、得られる喜びは子どもたちが実感を伴う活動となり得る。また、音楽づくりが音楽活 動の歌唱、器楽、鑑賞の能力が総合的に必要になる領域であることから、音楽づくりに重点を 絞って実践を進めることは音楽を楽しむ子どもを育てることにつながると考える。 研究主題

音楽を楽しむ子どもを育てる音楽科学習指導

―「音づくり」から「音楽づくり」へつなぐ指導の工夫を通して― 久留米市立西国分小学校 教諭 篠原 実和子 【資料1 1年時の音楽づくりに関するアンケート】

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2 「音づくり」「音楽づくり」とは 音楽づくりとは、自らの感性や創造性を働かせながら自分にとって価値のある音や音楽をつ くる活動である。音楽づくりの活動は、児童が様々な音と新鮮な気持ちをもってかかわり音の 面白さに気付いたりその響きや組合せを楽しんだりしながら、様々な発想をもって音遊びをし たり即興的に表現したりする能力及び音を音楽へと構成していく能力を高めることが示されて いる。そのため、音楽づくりを大きく一つの活動としてとらえるのではなく、「音づくり」と「音 楽づくり」の2つの活動に分け、定義づけた。つまり、学習指導要領(音楽編)A-3 のアの項 に示されている低学年の「音遊びの活動」と中・高学年の「即興的に表現する活動」を「音づ くり」ととらえ、イの項に示されている「音楽の仕組みを生かして音楽をつくる活動」を「音 楽づくり」ととらえる。具体的には、以下に述べるような活動と、その活動を通して育つ子ど も像を設定し、音楽づくりの理解や意欲の持続と高まりへとつなげる。 そこで、音楽づくりを楽しむ子どもとは、以下の3つが高まった姿と考える。 音楽づくりに意欲をもち、課題意識が高まっ た子どもの姿(目的性) 音楽の仕組みを生かして音楽づくりを する子どもの姿(内容性) 音楽のつくり方を理解している 子どもの姿(方法性) 「音楽づくり」の活動の中で、もっとよい 音、よい音楽にしたいという思いをもち取り 組む姿である。例えば、「もっと長い音楽に したい」「もっとイメージに近づけたい」な どの思いのことである。 まとまりのある音楽づくりをするた めに、反復・変化・問いと答え・縦と 横 の 関 係 な ど の 音 楽 の 仕 組 み を 生 か し、自分なりに工夫して音楽づくりを することである。 「音づくり」から「音楽づくり」 という流れをつかみ、音楽づくり をすることである。 3 「音づくり」から「音楽づくり」へつなぐ指導の工夫とは 「音づくり」から「音楽づくり」へつなぐ指導の工夫とは、音を音楽にしていく中で子ど もが自分でつくった音を「反復」「問いと答え」などの音楽の仕組みを生かして、子どもにと っての音楽をつなぐ必然性のある活動や支援を工夫することである。 子どもたちは、「反復」や「問いと答え」などの音楽の仕組みを使って音をつなげ、まとま りのある音楽にしていくが、ただ仕組みを使ってつなぐだけでは子どもたちの学習する喜び や独創性は生まれない。そこで「音づくり」から「音楽づくり」へつなぐ、以下のような様々 な支援を行う。 「音づくり」 「音楽づくり」 ○イメージをもたせるための導入の工夫 絵本、音源、動画、話合いなど ○教室環境づくり 絵、情景画、お面、衣装など ○学習のゴール(めあて)の共通理解 ○学習プリント、リズムカード ○モデル演奏 ○つくり方の提示 ・拍の数、何分の何拍子など ○スモールステップの活動 ・言葉でつくる→楽器(音の出るもの)をえらぶ→演奏する など ○拍子感 ○聴き合い ・自分がつくった音 ・友だちがつくった音 ○イメージを深めるための導入の工夫 改めて聴き直す ○つなぎ方の提示 ・反復、問いと答えを使う など ○聴き比べ ・つなげる前とつなげた後 ・工夫する前と工夫した後 Ⅲ 研究の目標 本研究は音楽づくりの指導法を探るため、「音づくり」から「音楽づくり」への指導過程を「反 復」と「問いと答え」でつなぐことに絞り、支援の工夫を通して、その有効性を検証すること 活 動 育つ子ども像 音 楽 づ く り 「音 づくり」 「音遊びの活動」や「即興的に表現する活動」 ⇒個人で音や短い旋律をつくる活動 ・音の様々な特徴やおもしろさに気付き、「音づくり」をする子ども 「音楽 づくり」 「音楽の仕組みを生かして音楽をつくる活動」 ⇒「音づくり」でつくった音や短い旋律をもとに、班 や号車などで、音楽の仕組みを生かしてつくった音 をつなげたり重ねたりする活動 ・音から音楽へ「音楽づくり」をす る子ども ・自分なりに工夫し「音楽づくり」 をする子ども

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で、小学校低学年における音楽づくりの学習指導法を明らかにする。 Ⅳ 研究の仮説 音楽づくりの学習において、題材及び各時間に3つの段階を設定し「音づくり」から「音楽 づくり」への指導過程を位置付け、「反復」と「問いと答え」でつなぐことに絞った活動を仕組 み、学習支援の工夫を行えば、自他のつくった音楽のよさや音楽づくりの面白さを感じ取るこ とができるので、音楽を楽しむ子どもが育つであろう。 Ⅴ 研究の内容 1 音楽づくりの授業設計(題材及び各時間の学習過程を設定) ・学習内容の設定 ・学習活動の設定 ・支援の設定 2 音楽づくりの授業実施 Ⅵ 研究の構想 1 音楽づくりの授業設計・授業実施について 授業設計の中の学習内容の設定とは、学習指導において子どもに学習させたい内容を設定す ることである。学習活動の設定とは、子どもが学習内容を理解し、自分なりの考えをもつため の活動を設定することである。さらに支援の設定とは、子どもが学習内容を確実に取得し、自 分なりの考えをもつことができるように支援し、援助する様々な教師の働きかけである。特に、 今回は何のために音づくりや音楽づくりをするのか、子どもの思いを大切にして行っていく。 授業実施とは、授業設計したものを実際に授業の中で行うことである。 2 研究構想図 Ⅶ 研究の実際 1【実践事例Ⅰ】 第2学年 音楽科 題材「虫のこえをつくろう」(全3時間) (1) 授業設計(※表現主題は題材のねらいである) 学習内容 学習活動 支援 表 現 主 題 〇いろいろな音の出るもので虫の声をつくり、つくった虫の声でいろいろなお話をする。 「 音 づ く り 」 ・いろいろな音の出るも のから虫の声を見つけ、 それで虫の鳴き声のリズ ムをつくる。 ・虫の鳴き声のリズムを、虫の 鳴き声のまね、音見つけ、リズ ムづくりなどの音遊びを通して つくる。 ・絵本 ・鳴き声のCD ・草むらの絵 ・いろいろな虫の絵 ・虫のお面 ・モデル演奏 ・リズムカード ・鳴き声のまね ・音見つけ (言葉・楽器) ・リズム見つけ ・リズムの聴き合い

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(2) 授業実施 <音楽づくり(2/3時)> (ねらい) 〇 つくった虫の鳴き声のリズムをもとに、反復、問いと答 えなどの音楽の仕組みを生かして虫がお話している音楽 をつくることができる。 (3) 題材の全体考察 今回、子どもたちは初めて自分で何もないところから音づ くりをすることを経験したが、全員が自分で虫の鳴き声のリ ズムをつくることができた。実際に音づくりをするまでの、細かい支援が効果的であったと 考える。そして、一番のねらいは音を音楽にするために「まねっこ(反復)」と「よびかけ (問いと答え)」を使ってつなげること(資料2)を学習することであった。そのために、 授業設計で考えた「お家やお外でお話している音楽をつくる」という設定は、子どもたちに とって身近でイメージしやすく、活動の様子や授業後の感想から達成できたと考える。また、 音づくりから音楽づくりをする順番が分かり、音をつなぐことでイメージに合う音楽になる と気付けるようになってきた。しかし、自分でつくった音を演奏することに必死で、拍に合 わせて演奏できていない子もいた。拍子感を体得するために、初めのうちは教師がカスタネ ットなどの聴き取りやすい音で拍子をとるなどの支援が足りなかった。演奏することが目的 ではないが、つなげて演奏することに難しさを感じた子が、つくった音楽のよさを感じられ ていない。よさを感じるためには、拍に合わせて演奏することも大切である。このことは、 活動を盛り込み過ぎたこと、つなぐ長さや順序の設定、人数の設定などが原因であると考え る。さらには「よびかけ」という言い方が、一方的な感じがするため子どもたちの中でしっ くりこなかったようであるので、今後「よびかけ合い」と変更する。 2【実践事例Ⅱ】 第2学年 音楽科 題材「おまつりの音がくをつくろう」(全3時間) (1) 題材の授業設計 (※表現主題は題材のねらいである) 学習内容 学習活動 支援 表 現 主 題 〇太鼓とかけ声のリズムで、楽しいお祭りの音楽をつくる。 「 音 づ く り 」 ・ お 祭 り の 音 を 見 つ け、太鼓とかけ声のリ ズムをつくる。 ・音遊びを通して、太鼓とかけ声 のリズムをつくる。 ・お祭りの音楽 ・お祭りの映像 ・お祭りの絵 ・太鼓カード ・かけ声カード ・モデル演奏 ・リズム見つけ ・聴き合い ・聴き比べ 「 音 楽 づ く り 」 ・太鼓とかけ声のリズ ム で お 祭 り の 音 楽 を つくる。 ・太鼓とかけ声のリズムをつなぎ 反 復 や 問 い と 答 え な ど の 音 楽 の 仕組みを生かし、お祭りの音楽を つくる。 ・お祭りの絵 ・太鼓、ばち ・練習用太鼓、ばち ・太鼓・かけ声の絵 ・モデル演奏 ・つなぎ方のポイントカード (まねっこ・よびかけ) ・太鼓カード ・かけ声カード ・ハッピ ・はちまき ・聴き合い ・聴き比べ 「 音 楽 づ く り 」 ・つくった虫の鳴き声のリ ズムで、友だちとまねっ このお話や、呼びかけた り答えたりするお話の音 楽をつくる。 ・つくった虫の鳴き声のリズム をもとに、反復や問いと答えの 音楽の仕組みを使い、虫がいろ いろなお話をしている音楽をつ くる。 ・草むらの絵 ・いろいろな虫の絵 ・虫のお面 ・リズムカード ・お話したよカード ・虫さんのお家 ・つなげ方のポイント カード ・モデル演奏 ・発表 ・リズムの聴き合い ・リズムの聴き比べ ・イメージをふくらまし、 つないだお話の音楽をさ らにつなげて、もっと楽 しくお話している音楽を つくる。 ・反復や問いと答えの音楽の仕 組みを生かし、強さを工夫して、 虫がいろいろなお話をしてい る、「虫さんコンサート」をする。 ・鳴き声のCD ・虫のお面 ・ワークシート ・リズムカード ・つなげ方のポイント カード ・発表 ・リズムの聴き合い ・リズムの聴き比べ 【資料2 「まねっこ」と「よびかけ」 が視覚的に分かる板書】

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・太鼓のリズムとかけ 声のリズムでさらに 楽しいお祭りの音楽 をつくる。 ・太鼓のリズムとかけ声のリズム をつなぎ、反復や問いと答えなど の音楽の仕組みを生かし、強弱を 工夫してお祭りの音楽をつくる。 ・お祭りの絵 ・太鼓、ばち ・練習用太鼓、ばち ・太鼓・かけ声の絵 ・モデル演奏 ・つなぎ方のポイントカード (まねっこ・よびかけ) ・太鼓カード ・かけ声カード ・ハッピ ・はちまき ・聴き合い ・聴き比べ (2) 授業実施 <音楽づくり(2/3時)> (ねらい) 〇 太鼓のリズムとかけ声のリズムをつなぎ、反復や問いと答えなどの音楽の仕組みを生か してお祭りの音楽をつくることができる。 (段階における支援について) 気 づ く 段 階 この時間は、前時につくったリズムをつなげて、音楽の仕組みを生かして楽しいお祭りの音楽をつく る時間である。そのために、子どもたちに運動会で使ったハッピとはちまきを身に付けさせた。周りの 窓にも提灯のイラストを貼ったこともあり、やる気に満ち溢れている様子であった。まず、前時につく ったリズムを発表させ、「すてきなリズムができたけど、これだけでいいかな。」と、揺さぶりをかける 発問をした。「お祭り気分になるけど、すぐ終わってしまう感じがする。」という声が挙がった。また、 前時の感想に、「もっと楽しくなるようにしたい。」「つなげたい。」とあったことを紹介すると、子ども たち自身で「太鼓とかけ声のリズムで、楽しいお祭りの音楽をつくろう。」という音楽づくりへとつな ぐめあてをつくることができた。 つ く る ・ 表 現 す る 段 階 今回は、子どもたち自身が楽しくするために「まねっこ」や「よびかけ合い」を使ってつなぐといい のではないかと気づいていた。そこで、教師と一緒に太鼓同士、かけ声同士つなぐ活動をした。「もっ と、お祭り気分になった。」と、嬉しそうな反応が返ってきた。次に、さらに楽しいお祭りの音楽にす るためにどうしたらよいか問いかけると、太鼓とかけ声のリズムをつなぎたいという意見が出た。その つなぎ方を説明とともに板書に掲示し視覚化した。①班でつくる② 太鼓○ま→ かけ声○ま→太鼓○よ→ かけ 声○よの順番でカードを並べる(※○ま…まねっこ、○よ…よびかけ合い)③みんながつくったリズムを必ず 1回は使う④まねっこはもう一枚いるので、新しいリズムカードに書くという4つである。班には、練 習用の太鼓(洗面器に段ボールを貼りつけたもの)と練習用ばちを渡し、話合いが終わったら太鼓2人、 かけ声2人に分かれて練習するように伝えた。スムーズに活動できているかそれぞれの班を机間指導し ながら、つなぎ方の確認や子どもたちの疑問点に答えた。資料3のように、板書を見ながら「次は、か け声のまねっこだよ。」「まねっこだから、同じのにするよ。」などと話し、音楽づくりをしていた。ど の班も音楽をつなげることができたが練習が十分にできなかった班もあった。 【資料3 活動の様子】 【資料4 本時の板書】 あ た た め る 段 階 班でつくったお祭りの音楽を発表し、聴き合った。その際、どのような順番で音楽が進むか分かるよ うに板書した。(資料4)できた音楽を聴きながら体を揺らしたり、自然と手拍子を打ったりする子ど もの姿が見られた。発表した班の演奏後、大きな拍手が起こった。「まねっこ」と「よびかけ合い」を 使うよさを前回よりも実感しているようであった。 (3) 題材の全体考察 実践Ⅰと同じ流れで授業設計・授業実施したことで、子どもたちが音楽づくりのめあてを 立てたり、活動に見通しをもちスムーズに活動したりする姿が見られた。今回は太鼓とかけ 声の2つの音づくりをしたが、全員がつくることができた。また、リズムを少し複雑に組み 合わせてつくった子が見られ、教科書教材以外の動画を見せた支援が有効であったと考える。 班で取り組ませたことも、自信をもって発表する姿につながった。「まねっこ」「よびかけ 合い」がすぐ出てくるようになり、音楽づくりについての理解が深まったと考える。つくっ た音楽を聴いた後にすぐ反応があったことや学習後の感想から音楽づくりの楽しさやよさ を、より感じていた。聴き合いや聴き比べを何度も取り入れたことで、子どもたちの耳が育 ってきたと言える。しかし、今回は強弱を表しやすいだろうと考え工夫の一つにしていたが、 なかなか強弱をつけて演奏できていなかった。それは、子どもたちの実態把握や支援が不十 分であったからだと考える。第3時の音楽づくりでは、つなぎ方や工夫に自由度を増しても よかったのではないかと、子どもたちの太鼓とかけ声を一緒にしたいという声から感じた。

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この考えは縦と横の重なりであり、高学年での学習内容であるため敢えて紹介しなかったの だが、子どもの思考の柔軟さや音楽づくりを楽しむ姿とは何か改めて感じさせられた。最終 的に資料5のような、おまつりの音楽ができあがった。 Ⅷ 研究の成果と課題 1 成果 ○各題材において最終的な音楽づくりを目指し、「音づくり」と「音楽づくり」を分けて考え、 学習内容の設定、学習活動の設定、支援の設定 を行うことで、音楽づくりの進め方を探ると同 時に、子どもたちに理解させることができた。 ○授業実施では、授業設計で内容・活動・支援 を明確にしたことで、ねらいに向けた各段階に おける細かい支援を考えることができた。 ○日常的に表現することが不十分な子どもたち も含め、すべての子どもが各時間の中で「音づ くり」「音楽づくり」ができた。実践Ⅰ・Ⅱの後に行ったアンケート(資料6)では、「1音楽 づくりのよさに関する質問」 「2音づくりの理解に関する 質問」「3音楽づくりの理解に 関する質問」の全項目で「で きた」と答えた子どもが増え た。 ○資料7の子どもの感想から、授業設計に基づいて授業実施したことは音楽づくりを楽しむ子 どもを育てる上で有効であった。さらに、音楽づくりの授業後、鑑賞の活動において音楽づく りで学習したことを生かした発言が見られた。このことは、音楽づくりを通して学んだことが 身につき、音楽を楽しむ子どもを育てることにつながったと考える。 2 課題 ●題材のあたためる段階において表現の工夫を「強弱」に限定したことで、つくった音楽のよ さを感じ取ってはいるものの、一部の子どもたちに演奏の難しさを感じさせてしまった。イメ ージに合う音楽づくりのために、強弱の表現につなげる工夫や他の表現方法を探っていく必要 がある。 ●第2時の「音楽づくり」の時間に、反復と問いと答えの音楽の仕組みを学べるように、同じ ような活動を何度も仕組んだので活動が多くなってしまった。活動の精選もしていきたい。 Ⅸ 参考文献 1.文部科学省『小学校学習指導要領解説 音楽編』教育芸術社(2008 年) 2.武末正史『音楽科 学びの授業づくり』自費出版(2012 年) 3.武末正史『音楽科 授業のつくり方 第3部音楽づくり編』自費出版(2013 年) 初めのかけ声 → たいこ(まねっこ) → かけ声(まねっこ) → ヨ ― ― ― カッカ ドン カッカ ドン カッカ ドン カッカ ドン ヨー ◇ ハッ ◇ ヨー ◇ ハッ ◇ たいこ(よびかけ合い) → かけ声(よびかけ合い) →終わりのかけ声 ドドン カ ドン ドン ドン カカ ドン カカ セヤッ セヤッ セヤッ セヤッ セヤッ セヤッ ワッ ショイ ヨ ― ― ハツ ドドン 【資料5 ある班がつなげたお祭りの音楽】 75% 60% 53% 89% 100% 89% 96% 100% 96% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 120% 音楽づくりのよさ 音づくりについての理解 音楽づくりについての理解 2年時11月 2年時10月 1年時 【資料6 実践Ⅰ・Ⅱ後のアンケート結果(N=28)】 おまつりの音がくと虫の声のつくり方 は同じでした。まねっこやよびかけ合いで つなげると、おまつり気分になったり虫の 声になったりしていきました。そのおかげ で音がくがすきになりました。また、つな げてたのしい音がくをつくりたいです。 【資料7 実践Ⅱを終えての子どもの感想】 音楽づくりを理解 している姿 音 楽 の 仕 組 み を 生かしている姿 意 欲 を も っ て い る姿 音楽を楽しむ姿

参照

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