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Academic year: 2021

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(1)

エゴノリの調理性に関する研究 (第2報) : エゴノ リゲルの凝固・融解温度, エゴノリ液の粘度および エゴノリの溶解等について

著者 三田 コト, 広田 直子

雑誌名 紀要

巻 32

ページ 9‑14

発行年 1977‑12

URL http://id.nii.ac.jp/1118/00000831/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

エゴノリの詞理性に関する研究 第乏報

エゴノリゲルの凝固・融解温風 エゴノリ液の 粘度およびェゴノリの溶解等について

Ⅰ 緒言

前報において現地調査によるエゴノリ原藻(以下エゴ ノリとする)の調理法に基いて,エゴノリの吸水,エゴ ノリの使用量とゼリー強度,エゴノリの加熱時間乱 調味

1)

料添加の影乳 離楽などについて報告した。エゴノリの 調理では,原藻を吸水・加熱溶解して原藻の残壇も一緒 にゲル化させて喫食する。つまりエゴを練ると言われて いるように加熱中から糊のように粘るので,焦げつかな いように絶えず澤拝して溶解し凝周させるのである。寒 天ハソドブックによれば,エゴノリそのものではないが エゴノリ寒天の場合ほ1.5%溶液の凝固温度2lOC,融解

2)

温度680Cとなっている。ところが音から夏でもェゴ(ェ ゴノリゲルのこと)は作られているし,氷を使って固め るようなこともない。

今回はこのゲルの渡固温度,融解温度,粘度,エゴノ リの溶解等について検討したので報告する。

Ⅰ 試料および実験方法 1)試料

0エゴノリ 50年佐渡産,風乾物 0粉末寒天K 伊部食品R.K.製 0粉末寒天S−7 伊部食品瓦.X.製 2)試料液の調製

エゴノリを各濃度に相当するだけ計量し,60分間吸水 させて水切りする。これをビーカーに入れて沸騰水を加 ぇ,沸騰している湯浴中で60分間加熱する。次に仕上り盛 量を開盤してよく揮拝し万能こし券を通して試料液とし た。全体が糊状でとろけた原藻の残姪を炉過することは 困難であったためこのような方法を用いた。

エゴノリの溶解についての試料液は,60CO加熱では 凝固物質の溶出には約3時間を要するのではないかと考 え,各温度共通に加熱時間は3時間とした。この試料液 を加熱後5%浪度に再調整し,100回携拝した。

三 田 コ ト

広 田 直 子

寒天液は1.5%濃度になるよう10分間沸騰させて融解 したものを用いた。

3)湊園温度の測定

加熱した試料を5mβずつ径15mmの試験管20本に分 注して,40COの恒温樺に30分放置する。これらの中の1 本の試験管に熟電対を固定して恒温櫓の電源を切り,1 CO下がるごとに1本ずつ試験管をとり出して凝固状態を 調べる。凝固温度は試験管を静かに水平に倒して裏面が

8)

傾斜せず固定したときの温度とした。一度とり出したも のは条件が変るので,そのつど新しいものを用いた。

4)融解温度の測定

加熱した試料を5mβずら径15mmの試験管に分注し,

栓をして20時間室温放置する。試験管の栓をとり,70 COの水槽中に倒立固定し,試験管のすぐそばに水銀温 度計をとりつける。70COで20分間放置した後水槽中の温 度が10分間に1CO上昇するように増枠しつつ漸次温度を 上昇させ,ゲルが融解落下して試験管上部に気泡ができ たときの温度を融解温度とした。2本1組とし3回くり

4)

返して平均を求めた。

5)粘度

東京計辞B型粘度計(形式BH)で榔荒した。試料液 は500才ずつ調整し,500mβ:の三ビーカーに入れてアルミ 贋のふたをし,沸騰している浄浴中で60分加熱して液状

にした後,放冷しつつ凝固するまで測定し,凝固前のも のまで記録した。

6)赤外線吸収スべクいレ

5)

島津製IR−27G型分光光度計を用い,薄膜法により 試料液からフィルムを作成して湘定した。

Ⅱ 結果および考察

1)ェゴノリゲルの凝固温度・融解温度について エゴノリゲルの凝固温度および融解温度は蓑1のとお りである。

(3)

表1エゴノリゲルと寒天ゲルの凝固温度と融解温度

2%ェゴノリゲルは濃度が低いため,たわみが大きく 静かに水平に倒したとき,図1の点線のような凝固状態 にしかいたらなかった。

蓑2 ェゴノリ液と寒天液の粘度

四駆鵠十 、

図1凝固温度測定匿おける凝固の状態

後述の粘度測定の結果からもわかるようにエゴノリの 渡度が高くなる捏粘性が増大するので,8%ェゴノリゲ ルでは,試験管を水平に倒してもすくやこは債斜が見られ ないが,非常にゆっくり流動するので3分間流動しない

単位 C.P.

長野・県短期大学紀要

(4)

点を凝固温度とした。

エゴノリゲルの凝固温度・融解温度はともに寒天ゲル のそれより低いが,凝固温度と融解温度の差は約50CO でこの候向は寒天と同じである。

一度ゲル化したものは80CO以上にならないと融解しな いので,エゴノリゲルのみそ預けなど夏でも可能なこと が納得できる。

2)ェゴノリ液の粘度について

各漉度のエゴノリ液の見かけの粘度は表2のとおりで あった。

凝固温度に近づくと粘度は急増する。厳密には非ニュ ートソ流体では粘度計のローター,回転数が同一の場合 しか比較できないが,各渡度の見かけの粘度を絞べてみ

ると2%,3%,5%,8%と渡度が高くなるにつれて 粘度は急増している。少し漉くすると粘性は数倍高くな るので調理したもののロぎわり紅大きく影響する。2%

液では液体の感が強いが8%液は鍋で作る場合はきんと んを練っている感じであり,型に流し固めるときも火か らおろした直後でないと型匿入れた表面が平らにならな い。なお試料液のpHは6.6前後である。この場合試料液 調製に用いた水道水はpH6.7であった。

粘度とゲルのゼリー強度(破断力)をみると,エゴノ リゲルは粘度が高く,硬さは少,ゼリー強度は小であ り,寒天はゼリー強度が大で放く,粘度が低い。(表

3)

蓑3 コゴノリゲルと寒天ゲルのゼリー強度(破断力)と硬さ

3)ェゴノリの溶解と溶出物について

ェゴノリを加熱溶解して作ったェゴノリゲルについて は凝固温度・融解温度など判明したが,エゴノリほどの くらいの温度で水に溶けるのだろうか。エゴノリを60 OC,700C,800C,90OCの各温度で3時間加熱して5%

ェゴノリゲルを作り,そのゼリー強度を測定することに ょって凝固物質溶出の様子を推測した。測定結果は図2 のとおりである。

60    70    80    90

加熱温度(℃)

図2 エゴノリの加熱温度とゼリー強度 600Cでも凝固物質のかなりの畳が溶出する。いずれの 場合もカードメーターによる破断曲線では表面が破れて から粘性抵抗を示している。(図3)

血 室生 200g 悠庄主軸 5.6mm¢

過 度 0.36く:m/sec

加熱温故 90℃

JJ    80℃

JJ    70℃

JJ    60℃

図8 加熱温度別エゴノリゲルの破断曲線

加熱温度が商いと溶解もすすむが,600Cから700Cセ の増加に比べて800C以上では増加は緩健になる。そして 600Cで加熱溶解させて作ったェゴノリゲルの融解温度が 80′、′810Cであったことは,非常に興味あることであ る。

600Cで溶出する物質と700C,900C以上で溶出する物 質が別のものなのか否か,また寒天質と似ているか香か を知る一手段として赤外線吸収スペクトルをとった結果 が図4′、ノ10である。

︵葛もだ暑sOtX︶堪悪IFキ

(5)

・5  3    4  5      6    7   8  9 10  . 15  2 劔劔劔劔劔0  25 

忙                  100 ′ 

1  〉         

            ニツ  〔     

」′    ノU 鳴    

                 

40003600 3200 2800 2400 20001900180017001600150014001300120011001000 900 800 700 600 500 400

図4 エゴノリ60℃落出物の赤外線吸収スペクトル

.5   3     4   5         6−      7    8   9 10        15    20  25 

100                   

■0 剪                  

000360032002800240020001900180017001600150014001300120011001000900 800 700 600 500 400 

図5 エゴノリ70℃溶出物の赤外線吸収スペクトル

5,日常….‖謡…一号一.一,,….9..,,,,川.7,−− 8  9 10    15  20 25 

100                    100 

      "              

〃       

             秒   ( (  

003600 32002800240020001900180017001600150014001300120011001000 900 800 700 600 500 400 

国6 エゴノリ90℃以上港出物の赤外線吸収スペクトル

とり5   3    4  5       6    7   8  9 10      15   20 25 

100                   

0 剪                  

000360032002800240020001900180017001600150014001300−120011001000900 800 700 600 500 400 

図7 さらしエゴノリ90℃以上溶出物の赤外線吸収スペクトル

長野県短期大学紀要

(6)

2.53456789 

100                   

0 00036  3# # #B 0020  0018  r             00160015001400130012001100100090080070060050 劔劔劔劔劔鼎

図8 イギス属アミクサの赤外線吸収スペクトル

図9 粉末寒天Kの赤外線吸収スペクトル

ど.534567891 

100                    100 

0 000360  3# 028  #C 02               

0001900180017001600150014001300120011001000900800700600500400 

図10 粉末寒天S‑7の赤外線吸収スペクトル 図4′‑川 赤外線吸収スペクトル

6)

各波長域の性質を大きく分額すると次のようになる.

(1)3000cm‑1の付近では水素の伸縮振動を生じる。この 振動は水素原子が原子価結合の方向に沿って伸縮する吸 収帯である。この吸収帯は相当に安定なもので分子全体 の構造にはあまり左右されない。

(2)2200‑1300cm 1の波長域は不飽和髄域といわれてい る。

(8)1250‑660cm 1の吸収帯は分子全体の構造にきわめて 鋭敏な吸収形を示す。すなわち物質特有の吸収スペクト ルを与えるので,人間の指紋に相当するとしてこの領域

を指紋領域(finger print area)といい,重要な役割 をなす。

エゴノリの溶出物の赤外線吸収スペクいレは, 1370, 1240, 930, 890付近に寒天に特有の吸収が見られ,寒天

と同じパターンを示した。また当然のことながら,分窺 上最も近いイギスとは非常によく似たスペクトルが得ら れた。図9の粉末寒天Kは粘度が高く,凝固温度・融解 温度の高い寒天であり,図10の粉末寒天S‑7は粘度の 低い寒天である。粉末寒天S‑7の赤外線吸収スペクト ルはアガロースのものと1250.‑800cm‑lの吸収の様子

(7)

が全く同じであった。

60oC, 70oC, 900C以上の3笹の溶出温度別の赤外線 吸収スペクトルにおいても溶出物の基本構造には同一性 のものが見られたo (図4‑6)

また晒しエゴノリ(水に浸してから天日乾燥し脱色し た晒し風乾原爆)とエゴノリの溶出物についての赤外線 吸収スペクトルにも差は見られなかった。 (図6 ・ 7)

結局エゴノリは60oCの加熱でも溶けること,エゴノリ ゲルはエゴもちと呼ばれるように非常に粘性に富むコシ の強いゲルであるが,赤外線吸収スペクトルのパターソ においてほ寒天質と同じ分子構造の特色を示しているこ

とが明らかとなった。

Ⅳ 要約

エゴノリ液の凝固温度は調理に用いる固さ(エゴノリ 濃度3‑8%)で笹300C前後で,エゴノリ濃度が高い 程,凝固温度も高い。エゴノリゲルの融解温度は80oC以 上でエゴノリ濃度が高い程高くなる。エゴノリ液の粘度 はエゴノリ濃度の増加以上に粘度の増加が著しく,寒天 と較べてゼリー強度小さめで高粘度である。エゴノリは 3時間加熱の場合60oCでも溶解がみられる。エゴノリの

溶出物の赤外線吸収スペクトルはイギスや寒天と同じバ

ク‑ソであるo

終りに本研究にあたり,終始御懇切な御指導をいただ きました本学教授伊藤徳先生,また御助言をいただきま した長野県食品工業試験場松橋鉄治郎先生ならびに赤外 線分光光度計の使用にあたりいろいろと御助力いただき ました同試験場食品第二部研究室の皆様に厚く御礼申し 上げます。

文 献

1)伊藤・三田・広田 長野県短期大学紀要 墾

5 (1975)

2)林金雄・岡崎彰夫 寒天ノ、ンドブック 光琳書院 321 (1970) 3)林金雄・岡崎彰夫 寒天ノ、ンドブック 光琳書院

325 (1970) 4)林金雄・岡崎彰夫 寒天ノ\ンドブック 光琳書院

327 (1970) 5)鹿又・原田・山岡.田島 食品の磯農芸分析

光琳書院 229 (1971)

6)鹿又・原田・山岡・田島 食品の機器分析

光琳書院 229 (1971)

長野県短期大学紀要

参照

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