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わが国における雑誌配本の地域性(2) 一総合誌・文芸誌・婦人誌の場合一

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(1)

茨城大学教育学部(人文・社会,芸術)34号(1985)1−17      1

わが国における雑誌配本の地域性(2)

一総合誌・文芸誌・婦人誌の場合一

原 田  榮*

(1984年9月29日受理)

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本紀要第33号1)において,わが国における雑誌配本の地域性を,週刊誌配本構成比,月刊誌1 人あたり配本数,週刊誌1人あたり配本数,月刊誌配本構成類型,週刊誌配本構成類型などを指標

として都道府県をみると,

(1)量的に多く質的に高い都市的地域型とみなされるA類型,量的に少なく質的に低い地方的 地域型とみなされるC類型,その中間とみなされるB類型に分けられること。

(2)これら類型の分布は,中部地方以東の東北日本と近畿地方以西の西南日本に大別してみると,

東北日本ではB類型,西南日本ではA類型とC類型の県の絶対数が多いこと。

(3)関東・中部・近畿地方の中央日本ではA類型とB類型,北海道・東北・中国・四国・九州地 方の周辺日本ではC類型がそれぞれ多いこと。

(4)都市的地域とみなされる都道府県を中心とする雑誌配本という特色は,関東南部・東海・近畿

・山陽・北四国・北九州のいわゆる太平洋ベルトが配本の重要地域となること。

などを明らかにした。

これらのことから,.つぎのような問題点をあげておいた。

(D大都市地域を中心とする機能的圏的構造と,それから離れた地域での均等的等質的構造という 類型分布パターンの把握と究明の必要なこと。

(2)中央日本と周辺日本東北日本と西南日本という視点も文化・社会事象の地域的展開把握の必 要なこと。

以上の一応の成果の上にたって,本報告では,月刊誌のうち,総合誌・文芸誌・婦人誌の3部 門をとりあげ,これら3部門の都道府県別配本の地域差を明らかにしようとするものである。

*茨城大学教育学部地理学研究室

(2)

ここでとりあげたのは,総合誌ではC・B・H・Gの4誌で前2誌は第2次世界大戦前から刊行 されているものであり,後の2誌は戦後から刊行されていたものであり,文芸誌はS・β・G・σの 4誌でS・βが戦前からで他の2誌は戦後の刊行によるものである。さらに,婦人誌はST・Fc・

Ss・Fsの4誌で,前2誌は戦前から後2誌は戦後の刊行によるものである。これら12誌は,比較 的多くの読者を有すると考えられ,なおかつ一般的なものと考えられるのでとりあげた。

資料としては,(社)日本雑誌協会の「主要雑誌全国都道府県別配本百分比調査表1980年」を用 い,都道府県単位に配本の地域差を中心にして,雑誌配本の地域性を明らかにしようとするもので

ある。

方法としては,誌別に(配本百分比)÷(人口百分比)x100を都道府県毎に算出し,その標準偏差 により階級区分し,人口よりも配本比の多い県を十,人口よりも配本比の少ない県を一として比較 検討するというきわめて単純な方法をとった。

なお,この研究は,日本地理学会・人文地理学会1981年度合同大会2)(於関西学院大学)におい て発表したものを,加筆補正したものである。

2.月刊誌配本の地域的特色

誌別配本の地域差を考察する前提として,月刊誌配本の地域的特色について本紀要前号1)で明ら かとなったことを付言しておくことにする。

① 1978年度における年間雑誌配本数271,432万冊のうち月刊誌が54.55%,週刊誌45.45%と なりこれを基として都道府県をみると,東京都・大阪府・神奈川県を除く44道府県は月刊誌の多 い月刊誌型となる。

② さらに月刊誌配本構成比63.11%以上の高位月刊誌型の11県は東北・九州地方に多く,58.83

〜63.11%の中位月刊誌型の23県は関東・中部・四国地方に多く,54.55〜58.83%の低位月刊誌 型の10県は東海・山陽地方に多いことが指摘できる。

③ 配本の特殊化係数をみると,係数0.074以上で全国の配本構成比より隔りの大きい17都道府県 は北海道・東北・九州地方に多く,係数0.039〜0.074で全国の配本構成比より隔りのやや大きい

26県は関東・中部・近畿・中国・四国に多くなっている。

④ 月刊誌1人あたり配本数の全国的平均は12.96冊であるが,この基準値以上の普及度を示すの は東京都・広島県・静岡県・愛知県・京都府・大阪府・北海道の7都道府県であり,他の40県は基準 値以下の低普及県となっており,とくに九州・関東により低い県がみられる。

⑤ このように月刊誌配本の地域的特色としては,都市的地域とみなされる県ではやや少なめに,

地方的地域とみなされる県ではやや多めに配本される傾向があることが明らかであり,それはまた,

東京を中心とした機能的圏的配本とそこから離れた地域での均等的配本の配本パターンということ もでき情報空間ないし情報圏の地域的性格を示すものでもある。

⑥ 月刊誌配本構成比と人口集中地区人口率との相関係数一〇.868,第1次産業人口率との相関係 数+0.760などのことは,月刊誌が地方的地域と深い関係にあることを示し,地方的地域における 生活の長いリズムと遅いテンポによる情報希求の地域的性格が月刊誌型を呈すると考えられる。

(3)

原田:わが国における雑誌記事の地域性(2)      3

⑦ 地方的地域とみなされる県において月刊誌の配本が多いことは,大都市地域とみなされる県に おける週刊誌の多い配本と著しい地域差として重視してよいことであり,本研究ではこの点につい て月刊誌配本の地域差を明らかにすることにする。

3.総合誌の配本

1978年度における総合誌の配本数は4,314万冊(出版科学研究所:「都道府県別雑誌配送量」

1978年による)で,月刊誌全体の648,069万冊の2.9%に相当する。比率は低いものの総合誌の 性格は,文字通り総合分野を編集内容とする点においてオピニオンリーダーとしての性格を強く有

し,その配本は当該地域における情報希求を反映しているとみることができるので,配本の地域的 構成は地域的性格を示すものである。

この項では,総合誌の中でも比較的親まれている4誌C・B・H・Gの配本の地域的特色や地域 差について考察することにする。

〔Cの配本〕

戦前から刊行され,どちらかというと硬派的編集をもって知られるCの配本の都道府県別百分 比は,表1に示すように最大の東京都の24.6%から最低の島根県の0.4%まで,配本の百分比にか なりの差がみられる。これを人口との比で示したのが表2であり,その比を標準偏差を用い階級区 分したのが図1である。つまり,図1は人口に対して配本数の多少をランクづけしたもので,+の 階級は人口に比して配本数の多い県,一はその反対で人口に対して配本数の少ない県を示している。

その階級をみると,+5の東京都(配本係数3)249.75),+2の京都府(配本係数13023),+1 の北海道(104.60),宮城県(125.00),石川県(126.32),富山県(105.26)の6都道府県が人 ロに比し配本数の多い地域となっている。これに対し,−2で人口に比し配本数の少ない県は,茨 城・栃木・群馬・埼玉の関東地方の4県,岐阜・三重の中京圏の2県,滋賀・奈良・和歌山の近畿 の3県,島根・徳島の中国四国地方の2県,佐賀・宮崎・鹿児島の九州3県の14県が配本係数40

〜70を示している。残りの27県が配本数70〜100で,人口に比し配本数のやや少ない一1とな

る。

これら階級の分布をみると,つぎのようなことがいえる。

+の階級で高い配本数を示すのは,東京都が突出しており大都市地域での情報希求が高いことを 示し,京都府の+2も同様に大都市地域での情報希求度を反映しているといえる。これに準ずるの が石川県・宮城県であり,北海道・富山県がこれについて+の階級を示している。中部以東の東 北日本に5都道県,近畿以西の西南日本に1府の分布になっている。

一2の階級で低配本をみる県は,東京都の大都市地域の周辺の茨城・栃木・群馬・埼玉の4県,

中京圏の外郭を構成する岐阜・三重の2県,近畿圏の構成部分である奈良・滋賀・和歌山の3県な ど大都市圏隣接ないし外郭の県での低い配本がより特色的になっている。これは,大都市通勤圏内 の読者の購入先が大都市内にあることによるものと考えられる。

さらに,−2の階級の他のグループは,島根・徳島・宮崎・鹿児島県のように大都市から遠隔の 地で中小都市の多い県であり,情報希求の低さを反映させているとみなされるグループである。

(4)

これら一の階級は,東北日本で18県,西南日本で23県と総じて西南日本での低配本の県が多 くなっている。また,関東,中部・近畿地方の中央日本では19県,北海道・東北・中国・四国・

九州の周辺日本では22県となり,都道府県別にみるとかなりの開きがあることがわかる。

この分布パターンとしては,大都市の高配本と周辺の低配本という圏構造的配本と,遠隔地にお ける低配本という等質性が模式的にあげられよう。

(Bの配本〕

総合誌Bは,戦前から刊行されてきたどちらかといえば硬軟両面の編集に特色を有し,広範な読 者層を有する月刊誌である。Bの都道府県別配本分比を表1にみると,最高は東京都の25.6%,最 低は山梨・滋賀・奈良・鳥取・徳島各県の0.4%であり,そのレンジは前記Cの24.5よりやや高い

25.2である。また,都道府県別配本係数を表2にみると,東京都の259.90が最も高く,奈良県の 40.00が最も低い値を示している。

配本係数を標準偏差を基準に階級区分した図2によると,+5の東京都,+1の宮城・秋田・富 山・石川・京都・大阪・沖縄の7府県の8都府県が+の階級に相当し,人口よりも多くの配本をみ るが他の39道県は一の階級に相当し人口よりも配本数が少ないのであり,そのうち茨城・栃木・

群馬・埼玉・千葉・山梨の首都圏隣接ないし外郭の県,中京圏隣接の岐阜・三重の両県,阪神圏関 与の滋賀・奈良・和歌山の3県,それに徳島・愛媛・佐賀の3県の計14県はより低い配本の階級

一2となっている。

これらの分布をみると,まず,大地域別では十の階級が東北日本に5,西南日本に3,一の階 級は東北日本に18,西南日本に21となり東北日本での酉己本が西南日本での配本よりやや多めにな

っている。また。中央日本と周辺日本との対比においても階級数では,東北日本と西南日本の階級 数と全く同じで,どちらかといえば周辺日本での配本が多くなっている。というのは,−2の階級 をみると中央日本が11なのに対して周辺日本では3となっているからである。別言すれば,中央 日本の大都市圏隣接ないし外部に相当する県での一2の階級が,首都圏の茨城・栃木・群馬・埼玉

・千葉・山梨,中京圏の岐阜・三重,阪神圏の滋賀・奈良・和歌山などの諸県にみられることが中 央日本での低配本係数となり,一の階級を多くしているのである。

また,十の階級に,東北日本では宮城・秋田・富山・石川の4県の積雪寒冷地が入ってくること は気候条件と情報希求との関係を示唆するものとみることができよう。西南日本にあっては大阪府 が前記Cとの対比からして+1になったこと,京都府がCでは+2なのにBでは+1になってい ること,沖縄県ではBだけが十の階級であることなど,それぞれの雑誌受容の地域的性格を反映 させていることを示唆している。

Bの配本についても,C同様に大都市的地域における高い配本,大都市地域隣接・外郭地域に おける低い配本,さらに遠隔地域における中位の配本というパターンがみられ,社会・文化現象の 地域的態様の一形態が指摘できるのではなかろうか。

〔Hの配本〕

総合誌Hは,いわば戦後派に属する都会的感覚をベースに編集さる月刊誌で,後記のGと好対 抗誌である。Hの都道府県別配本百分比の最高は,東京都の30.3%で総合誌4誌(C・B・H・G)

のうちで最も高い比を示している。最低は沖縄県の0.2%でこれは同県の総合誌のうちの最低であ る。そのレンジをみると,30.1で総合誌4誌の中では最大であるといってよい。さらに,配本係数

(5)

原田:わが国における雑誌記事の地域性(2)       5

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(7)

原田:わが国における雑誌記事の地域性(2}      7

では東京都の307.61を最高とし,沖縄県の20.83が最低となっている。

階級別では,+5の東京都,+2の大阪府,+1の北海道・愛知・京都の3道府県など+は主とし て大都市的地域にみられ,残りの42県は一の階級でうち26県が一1,16県が一2で福岡県を除 いた九州7県や茨城・栃木・群馬・埼玉の首都圏関与地域などがこの中に含まれる。

図3にもとづき配本の地域差,地域的性格をあげると,大地域別では東北日本が階級別県数の状 態からみても西南日本よりもHの配本が多いといえる。すなわち,一の階級を比較すると,−1が 東北日本で15県西南日本で11県であり,−2が東北日本で5県であるのに西南日本では11県であ ることは相対的に東北日本で高い配本係数の県が多いことを示している。また,中央日本と周辺日 本とを比較すると,中央日本の+階級の4県と一2の階級の6県は西南日本の+階級の1県と一2 の階級の10県であることから相対的に中央日本におけるHの配本が多いとみなすことができる。

つぎに,階級別に分布の特色をあげると,+の階級は概して都市的地域を包含する地域(都道府 県)にみられることは前記のC・Bの場合と同じであり,−2の階級は二つの形をとっていて,その 一は大都市地域の隣接ないしは外郭地域と,二は遠隔地のそれである。つまり,東京都・大阪府・

北海道・愛知県・京都府などが+の階級に相当するし,茨城・栃木・群馬・埼玉4県は首都圏,滋 賀・奈良両県は阪神圏にそれぞれ関与する一2の階級に相当し,徳島・高知の四国の両県と佐賀・

長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の7県などは遠隔地の例としてあげられる。

このように,Hの配本は大都市地域での多い配本とその隣接や外郭地域でのより低い配本という 圏構造的な配本状態と,遠隔地域での低い配本という等質的な配本状態を基底にしていることが 特色的に表われているのである。

〔Gの配本〕

総合誌Gは,戦前からの出版社による戦後の刊行にかかる一般性に特色を有する編集の月刊誌 であるが,都道府県別配本百分比では最高の東京都の17.3%は前3誌の総合誌に比すると著しく 低く最低の取鳥・島根・高知3県の0.4%とのレンジでも16.9とこれまた他の総合誌に比すると小さい。

このことは,Gの配本が全国に平均的な配本がなされていることを教唆するものと考えられる。

すなわち,配本係数の階級区間が+3と一2の5区間にあること,しかもその階級数が他の総合 誌に比して階級ごとに比較的まとまっていることによっても,Gが全国的に平均化した配本がみら れるのである。具体的にいえば,+の階級に相当するのが13県(+3が2県,+2が5県,+1が

6県)で,Cの6県・Bの8県・Hの5県に比すると配本係数の高い県が多く,−1の県も20県で あって,Cの27県・Bの25県・Hの26県に比すると一の階級でもやや高い配本を示す県が少な

く,全体として平均的な配本をみせているのである。

さて,大地域別に分布をみるとどのような地域差・地域的性格を有するのであろうか。東北日本 では+の階級が9県,一の階級が14県で,西南日本の相当する階級がそれぞれ4県と20県である ので総じて東北日本での配本が多いといえる。中央日本と周辺日本とでの階級の状態をみると,+

の階級が8県と5県,一の階級が15県と19県となり,中央日本での配本に分があるといえる。

これらの階級の分布をみると,+の階級つまり人口に比して配本の多い地域としての地域的性格 として都市的地域(北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・京都府など)と地方的地域(とく に新潟・富山・石川・福井の北陸地方での高配本は特色的である)とにわたり,Gの配本の平均的 配本状況を示している。とともに,他の総合誌と同じように,一の階級でも都市的地域の隣接・外

(8)

郭地域(茨城・栃木・群馬・埼玉・滋賀・奈良・和歌山県など)と遠隔地(徳島・愛媛・大分・宮 崎・鹿児島・沖縄県など)の両面的な地域的性格を有し,配本の地域差がGにもみられるのであ

る。

4.文芸誌の配本

文芸誌は,どちらかといえば少数特定者が読者となる傾向が強いが,その存在は月刊誌の中でも 価値があるものと考えられる。文芸誌の月刊誌に占める割合は2.1%で3,046万冊となっている。こ の項では,S・B・G・σの4誌をとりあげ,それぞれの配本の地域性を中心に考察する。

〔8の配本〕

文芸誌Sは,戦前から刊行されてきた月刊誌でその配本は東京都への34.6%を最高とし滋賀・

鳥取・徳島・香川・佐賀の5県の0.4%を最低としたレンジ34.2を有する。これを配本係数の階級 でとらえると,東京都の+6,京都府・大阪府の+1の3都府だけが+の階級で,他の43県(沖 縄県へは資料上無配本となっている)は一の階級で27県が一1,16県が一2となっている。

この階級を大地域別にみると,東北日本に+6が1県,−1が16県,−2が6県で,西南日本の

+1の2県,−1の11県,−2の10県に比しやや多い配本となっている。また,中央日本と周辺日

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図1 総合誌Cの配本型(1980)     図2 総合誌Bの配本型(1980)    図3 総合誌Hの配本型(19別)

(9)

原田:わが国における雑誌記事の地域性(21      9

本とを対比すると,+の階級が周辺日本にないのに一2の階級では周辺日本が6県で中央日本で10 県よりも少ないこと,−1の階級でも中央日本が10県で周辺日本の17県よりも少ないことなどか

ら周辺日本での配本の多いさが特色的にあげられる。

こうした中央日本での配本の低位性は,茨城・栃木・埼玉・千葉など首都圏関連地域県,岐阜県 の中京圏関連県,滋賀・兵庫・奈良・和歌山など阪神圏関連県での低位配本が影響しているという ことができる。いわば,大都市地域集中の配本が端的にみられるのが文芸誌Sの配本の地域的特性 とみなされるのである。

〔Bの配本〕

文芸誌BもS同様に戦前から刊行されてきた月刊誌であるが,その配本比の最大は東京都の383

%であり最低は滋賀・鳥取・佐賀・沖縄4県の0.3%で,レンジは38.0とかなり大きい。これを,

配本係数の階級でみると,前記同様に+の階級は東京都の+6,京都府と大阪府の+1の3都府だ けで他の44道県は一の階級になり,−1は27県一2は17県と配本の地域差が著しいのである。

大地域別には,東北日本の+6の1都,−1の16県,−2の6県は,西南日本の+1の2府,−1 の11県と一2の11県に比する相対的に高い配本とみることができる。また,中央日本と周辺日本 との対比においては,中央日本の+の3都府・−1の11県・−2の9県は,周辺日本の一1の16県

・−Qの8県との差が前記Sほど大きくはなく,大都市地域が配本の中枢地域であることを示す。

大都市地域を包含する東京都・京都府・大阪府などが+の階級に属することは8と同様であり,

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図4 総合誌Gの配本型(1980)     図5 文芸法8の配本型(1980)    図6 文芸誌Bの配本型(1980)

(10)

一2の地域も茨城・栃木・岐阜・滋賀・奈良・和歌山・佐賀の各県のように大都市地域の隣接や外 郭の県と,熊本・宮崎・鹿児島・沖縄県のように遠隔地での低配本が特徴的にあらわれている。−1 の県は,北海道・東北・中部・中国の地方にみられ,いわばBの中位配本地域となっている。

このように,文芸誌Bは大都市地域を配本の中枢地域とし,その周辺での低位配本地域,さら にその外郭での中位配本地域という圏構造と等質性の両面的配置がみられるのが,文芸誌配本のよ

り特徴なのである。βも3と同様な配本パターンがみられたわけであるが,他の文芸誌はどうであ ろうか。以下に考察を続けることにする。

〔σの配本〕

文芸誌σは,戦後の発行になる文芸誌で,配本の百分比の最も高いのは東京都の33.4%で文芸 誌としてとりあげた4誌では最低であり,百分比の低いのは佐賀県のα3%である。これを配本係 数でとらえると,東京都は339.01,佐賀県は40.00となるが,大分県はさらに低く37.74で都道府 県中最低となっている。なお,Gの配本百分比のレンジは33.ユで文芸誌4誌中最も小さい。

配本係数による階級では,東京都の+6,京都府の+2,神奈川県の+1が+の階級に相当し,

残りの44道府県は一1の30県と一2の14県の一の階級に相当している。σの場合も,前記のS やBと同様に+の階級が3県で,残りの44県が一の階級であることは,前述の総合誌や後述の 婦人雑誌とは異なる文芸誌の配本の地域差が大きいことを示しているといえる。

大地域別では,東北日本で+が2都県一1が19県一2が2県となり,西南日本の+の階級の1

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図7 文芸誌Gの配本型q980)   図8 文芸誌Uの配本型(1980)      図9 婦人誌STの配本型(1980)

(11)

原田:わが国における雑誌記事の地域性(2)       1]

府一1の階級が11県一2の階級が12県であるのに比すると,やや配本が多いとみなせる。また, 中央日本と周辺日本とでは,中央日本の+の階級の3県一1の階級の14県一2の階級の6県は, 周辺日本の一1の階級の16県一2の階級8県に比すると明確な差異は論じ難いものがある。 これら階級を都道府県に即してみると,東京都・京都府が+6と+2の階級で高配本地域となっ ていて,それに神奈川県が+1で加わり大都市地域での高配本がみられるが,−2の階級は首都圏 周辺にはみられないが,近畿圏の滋賀・奈良・和歌山,中京圏の岐阜・三重などの諸県と九州の佐 賀・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄県などが低い配本地となっている。 〔σの配本〕 文芸誌σは比較的新しい文芸誌であったが1984年には廃刊されたものであり,ここでは1980年 の盛時と思われる時期の配本状況である。σの配本百分比のレンジは39.0とBとならんで文芸誌 の中では高いが,東京都の39.2%と福井県の0.2%が最高最低の数値である。これを配本係数で示 せば,東京都の397.97と福井県の29.41と大きな開きがある。 配本係数による階級は,+6・+2・+1が3県,−1が29県,−2が15県と5階級にわたり,高 い配本をみる+の階級が3県であることは文芸誌4誌に共通している。このことは,逆にいえば一 の階級の県も44県であることを意味し,総じて文芸誌の配本が少数特定者の多い地域への集中配 本の形をとっているのである。 大地域別分布を図8にみると,東北日本での東京都の+6・神奈川県の+1の+の2階級と一1 +2      +1      +1

+1      +1      −1

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図10 婦人誌Fcの配本型(1980)  図1i 婦人誌ssの配本型(1980)    図12 婦人誌Fsの配本型(1980)

(12)

の18県一2の3県は,西南日本の京都府の+2・−1の11県および一2の12県と比較すると 比較的高い配本をみせている。中央日本と周辺日本とでは,中央日本の+の3県と一1の15県と

一2の5県は,周辺日本の一1の14県と一2の10県に比して相対的に高い配本をみせているので

ある。

この配本パターンは,前記文芸誌S・β・(7同様に大都市地域での高い配本,大都市地域周辺と 遠隔地域での低い配本,それ以外の地域での中位の配本という把握ができよう。とくに,文芸誌は 読者の偏在することもあって,総合誌・婦人誌に比して配本の特定地域への集中が明確になってい

る特色がみられる。

5.婦人誌の配本

1978年における婦人誌の配本数は,8,154万冊で月刊誌年間配本の5.5%に相当し,部門別では 19部門4)中第5位にあたり,広範な読者の存在を前提とした配本がなされている。ここでは,戦前 から刊行されているSTとFcの2誌と戦後刊行のSs・Fsの2誌の配本の地域性を考察する。

〔STの配本〕

STは,つぎのFcとならんで婦人誌の草わけ的存在で婦人誌編集・体裁の典型とされているが,

都道府県別配本比では最高は東京都の14.1%,最低は高知県の0.5%でそのレンジは13.6である。

前述の総合誌・文芸誌のレンジに比するとかなり小さく,配本の地域差が小さいことを示唆する。

配本係数による階級をみると,十の階級は17県とかなり多くの県が人口に比し配本が多くなる が,その階級は+3の2県となる。一の階級は30県となりしかも一3と配本数が相対的に少ない 県もみられる。このように階級は+3から一3まで6階級にわたり,後記のFcやSsとともに婦 人誌の中では配本係数の地域差が大きいのである。

配本係数による階級を大地域別にみると,東北日本では+の階級が8県一の階級が15県で,西 南日本の+階級の9県と一階級の15県と相似の県数となり甲乙をつけがたいが,西南日本に一3 の階級が2県含まれるので,西南日本での低い普及といえなくもない。また,中央日本と周辺日本

とでも,顕著な地域差はみられないが周辺日本での低位配本係数が注目される。

この階級の分布は,東京・静岡・愛知・三重・京都・和歌山などの大都市地域とその周辺ど岩 手・秋田・新潟・長野・山梨・鳥取・島根・宮崎などの地方的地域とで+の階級がみられ,茨城・

栃木・群馬・埼玉・奈良・佐賀などの大都市の外郭地域や長崎・熊本・高知などの地方的地域での 一階級と,+と一の階級の分布が前述の総合・文芸両誌に比するとより分散的になっている。

〔Fcの配本〕

Fcは戦前から発行の婦人誌で前記のSTとならぶ月刊誌であり,その都道府県別配本比は東京 都の9.1%を最高とし島根県の0.5%を最低となりそのレンジは8.6で婦人誌4誌中最小である。

配本係数による階級は,+の階級が22県,一の階級が25県となり,+4から一2と6階級にわ たっている。これを仔細にみると,+4が1県,+3が1県,+2が4県,+1が16県,−1が20県,

一2が5県となり,+1と一1の平均的配本係数の周辺に36県が属しており,配本係数の平均的状 態に近い県が多いことがわかり,かなり平均的配本状態にあるといえる。

(13)

原田:わが国における雑誌記事の地域性(2)       13      6

この階級を大地域別にみると,東北日本の+階級の10県と一階級の13県は西南日本の+階級 12県と一階級12県と相似の分布となり,大きな地域差は認めがたいが一階級だけをみれば西南 日本での一2の4県の存在は同地域での配本の低さを示しているといえなくもない。また,中央日 本と周辺日本とでは,十階級が9県と13県,一階級が14県と11県であり,階級の単純比較によ

って周辺日本での配本が多いことが指摘できる。

この分布をみると,+2+3+4の階級は北海道・石川・福井・京都・岡山・香川と分散分布し,

+1の階級は総じて地方的地域とみなされる県がこれにあたる。これに対して,一の階級は大都市 地域周辺外郭の茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川(東京),遠隔地の宮崎・鹿児島・沖縄な

どの地域にみられる。このことは,配本が平均的であることと照合し得るといえないだろうか。

〔Ssの配本〕

婦人誌Ssは,第2次世界大戦後の創刊になる月刊誌で,いわば文化の大衆化を促進した雑誌で あるが,その編集・体裁などの点では前記のSTやFcの後塵を拝するものである。とはいえ,そ の普及は先輩誌ST・Fcに劣るものではない。

Ssの都道府県別配本百分比では,東京都の9.5%を最高とし山梨県の0.5%を最低としており,

そのレンジは9.0で,前記のFcとともに婦人誌4誌の中では低い方に属し,配本における地域差 の少ないことを示唆している。

配本係数による階級をみると,沖縄県の配本比2.0%の高率からくる+6階級が異質的に表出し ているが,+3の1県・+2の4県・+1の22県の計27県が人口に比し配本の多い県となってい る。一方,−1および一2の階級で人口に比し配本の少ない県は19県になり,+の階級と一の階 級のそれぞれの県数を他の婦人誌と比較すると,沖縄県を例外としても分散的な配本といえる。

この階級を大地域別にみると,東北日本の+2の1県と+1の11県の12が+の階級であるの に西南日本では+6の1県・+3の1県・+2の3県・+1の11県の計16県が+の階級で,東北日 本よりも高い配本ということができる。また,中央日本と周辺日本とでは,+の階級をみても周辺

日本の19県に対して中央日本の9県と,周辺日本での高い配本が特徴的である。

これらの分布は,+2以上の高い階級は(福井)・岡山・山口・香川・大分・沖縄と西南日本の地 方的地域に多く,東京都の一1・大阪府の一1・愛知県の一1など大都市地域での低い配本がみら れるのが注目される。さらに,東北・中部・山陰・南四国などの地方的地域では+1になり,どち

らかというとSsは地方的地域への配本が多いということができる。

〔Fsの配本〕

婦人誌Fsも,前記のSsと同じく第2次世界大戦後に創刊された月刊誌で,婦人誌の四天王的 存在であり,その普及は角逐状態にあるといえる。

この都道府県別配本百分比は,東京都の14.5%が最高(婦人誌4誌最大)であり,最低は山梨県 の0.4%でそのレンジは14.1で婦人誌4誌の中で最大(STの13.6とならんで1グループをなし,

Fcの8.6やSsの9.0に対比される配本の相対的地域差を示している。)である。

配本係数による階級では,+2と一3の5階級にまとめられるが,+2の4県,+1の14県と+

の階級は18県で前記STと似ており,一の階級は一1〜−3まで29県ありとくに一3が3県存在す ることは,配本の地域差が他の婦人誌に比して大きいことを示しているといえる。

大地域別には,東北日本の十階級の8県と一階級の15県(うち一2の7県,−3の2県とより

(14)

低い配本が9県におよぶ)は,西南日本の+階級の10県と一階級の14県(うち一2の2県,−3 の1県の3県がより低い配本)に比すると幾分低い配本となっている。さらに,中央日本と周辺日 本とでは,中央日本が高めの配本をみせながらも一3を2県含むことから内部での地域差が大きい

ということができるのに,周辺日本は低めの配本ながら内部での地域差は小さくなっている。

分布にっいては,+2の4県は東京都,大阪府などの大都市地域相当県と石川・広島両県の地方 中核都市包含県が核当し都市的地域での高い配布がみられる。また,−2と一3の低い配本地域は,

宮城・山形・福島などの東北南部,茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉の関連諸県のように地方的地域 や大都市圏隣接外郭地域(奈良・佐賀県もこれに相当する)にみられる。このように,婦人誌Fs は,どちらかといえば都市的地域にやや高く地方的地域にやや低い配本をみるのである。

6.総合誌。文芸誌・婦人誌配本の地域的考察

前述してきた月刊誌の配本は,誌別には配本の地域差があることが明らかとなったが,より総合 的に配本の地域的性格についてまとめることにする。

〔分野別誌別配本の地域的特色〕

配本係数による階級の+および一の数,都道府県別配本百分比のレンジ,配本係数による階級 の分布などを総合的にみて,つぎのような地域的特色があげられる。

① 文芸誌・総合誌・婦人誌の順に地域差がみられる。

文芸誌4誌とも+の階級の県は各3県であり,しかも+6とかなり高い配本を示しレンジも33

〜39と高く,特定地域への集中度が高いのがより特徴的であるといえる。これは,読者の限定と居 住の集中にもとずくものと考えられる。このことは,東京都・京都府の各4誌,神奈川県・大阪府 の各2誌が+の階級に属することや後述の配本百分比と文筆家・芸術家・芸能家の百分比との相 関係数の高さなどからも説明できる。

総合誌4誌の+の階級は延32県におよび,+5が3誌+3が1誌と文芸誌に比して高配本の度 合が低く,レンジも14〜30と低いことなどを考慮すると配本の地域差が文芸誌程大きいとはいい 難い。文芸誌が一定地域への集中配本を有するのに対して,総合誌は読者の不特定層と広範な居住 を反映して,東京都・京都府・の各4誌,北海道・宮城・富山・石川・大阪の道府県の各3誌がそ れそれ+の階級となっていて,文芸誌の特定地域への集中配本に対して,広範な地域への配本を みせている。

婦人誌4誌の十の階級は延85県におよび,その階級も1誌(Ss沖縄県の+6)を除いては+4

〜+2を上限としており,レンジも8〜14のあることを考えると,文芸誌・総合誌に比して配本 の地域差が少ないとみることができる。+の階級が4誌になるのは京都府・岡山県・広島県・山口 県と県数が多く,3誌が+の階級になるのは13県,2誌が+の階級になる12県などをみると,

婦人誌は多い読者層の広範な居住を前提とする地域差の少ない配本地域を構成しているといえる。

② 文芸誌・総合誌は都市的地域,婦人誌は地方的地域での配本が多くみられる。

文芸誌の+階級地域は,前述のように東京都・神奈川県・京都府・大阪府などの大都市圏域にみ られる都市的地域での配本が多い特色を有する。総合誌も+階級2誌以上の高い配本を有するのは,

参照

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