被服教育の実態と教師の意識(1)
一 茨城県小学校の場合
岩 崎 恭 枝 徳 蔵 き み
(1985年11月5日受理)
研 究 目 的
家庭科ではその教育の特殊性から設備・備品が必ず必要であり,小学校の場合には,文部省の通達 により学校備品の教材基準が決められている♂) しかし,それに対してどれだけ充足されているの瓶 また,教師はその設備・備品,その教量にどれほど満足しているのか。
これまで家庭科の担当方式や児童の実態等に関する調査はなされてきたが,2)設備・備品に関する 調査や,それに対する教師の意識はほとんど調査されていない。
そこで,被服製作分野のみに限って,茨城県における設備・備品の実態と,教師の被服製作分野に おける指導の意識を調査し,その問題点等を明らかにする。
結果および考察
1.調査対象者の属性 表1 惟別・担当学年
(1)性別・担当学年
対象者188名中,男子の担当 旦当学
ォ別 5年 6年 シ 方5年・6年 。式学級5年・6年 全体
者は14名(7.4%),女子は168 人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 名(8a4%)である。従って小学 男 4(44)
10(11.5)
0(α0) 0(α0) 14(7!D 校家庭科担当は,大部分が女教 女 85(93.4) 73(839)9(100.0) 一1(10α0)
168(894)師によって行なわれている。男 無 答 2(22) 4(46) 0 0 6(3の 子担当者には,教務主任1名が 計 91(10α0)
87(10α0) 9(100.0) 1(10α0) 188(100.0)
みられるが,他はいずれも組担
任であり,表1のように5年よ 表2 年令・担当学年 り6年に多い。これは,小学校
jw年であるため,男子教師が 5年
5年・6年6年 両 方 5年・6年
。式学級 全体
担任として配置されることが多 人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 20才代
34(37.4)
20(23,0) 2(222)1(ユ00.0) 57(30.3)
いためであろう。
30才代
27(29.7)
23(26.4)1(11.2)
051(27.1)
(2)年令・担当学年
40才代
15(16.5) 18(20.7)
3(333) 036(19.1)
5年の担当は,20〜30才代の
50才代
14(15.4)
25(287)3(33.3)
0 42(223)比較的若い年代層が多く,6年
無 答 1(1.1) 1(1.1) 0 0
2(2.1)
担当は,やや高齢者が当る傾向
計
91(10α0) 87(100.0) 9(10α0) 1(100.0) 188(10α0)
88 茨城大学教育学部教育研究所紀要18号(1986)
表3 担当学級・担当学年 く,20才代31%,30才代27.1%
ナ,全担当者の過半数を占めて
学年
w級数 5年 6年 シ 方5年・6年 。式学級5年・6年 全体
いる。本調査では40才代が最も
人 % 人 % 人 % 人 % 人 %
1 59(31.4) 64(34.1) 0(0.0)
1(α5)132(70.2)
少なかった。(表2)
2
26(13.8)
16(85)8(4.3)
042(22.3)
(3)担当級数・担当学年 3
3(1.6) 5(2.7)
1(α5) 09(4.8)
対象者188名中5年担当者91 4 1(α5) 0 0 0 1(α5)
名(48.4%),6年87名(46,3%), 5 0
1(0.5)
0 01(0.5)
5〜6年両学年担当者(複式学 6
1(0,5)
1(0β) 0 02(1.1)
級を含む)10名(5.3%)である。 無 答 1(α5) 0 0 0
1(0.5)
なお,担当学級数についてみる 計
91(48.4)
87(463)9(4。8)
1(0.)188(10α0)
と,1級が1α2%で最も多いが,
表3にみられるように,2〜3 表4 家庭科担当年数・担当学年 級を担当する者が30%近くあり,
?ノは6級を担当する者もみら
担当
o験年数 5年 6年 5年・6年シ 方 。式学級5年・6年 全体
れた。 5年以年 人 %
U1(67.0)
人 %S4(50.6) U(66.7)
入 %P(10α0)
人 % 人 %P10(585)(4)担当年数・担当学年 6〜10年
19(20.9) 15(17.2) 1(11.1)
0 35(186)表4は,家庭科担当経験年数 11〜15年 2(2.2) 8(9.2) 0 0 10(5.3)
と,担当学年についてみたもの 16〜20年 3(3.3う 8(9.2)
2(22.2)
0 13(6.9)である。5年未満が最も多く, 21〜25年 1(1.1) 3(3.5) 0 0 4(2ユ)
全体の半数(585%)を占めてい 26〜30年 0 3(3.5) 0 0
3(1.6)
る。20才代が最も多く,小学校 31〜35年 1(1.1) 0 0 0 1(α5)
家庭科は,若い年代の教師の担 無 答 4(4.4) 8(9.2) 0 0 12(64)
当となっていることと一致する。 計 91qoα0) 87qoO.0) gqoO,0)
1(10α0)
188qoα0)6年担当者には,15年以上30年
表5 家庭科担当形式 の経験者が
みられ,上 担当学年
S当形式 5年 6年 シ 方5年・6年 。式学級5年・6年 全体
級学年には, 人 % 人 % 人 % 人 % 人 %
高齢者で経 ア・担任学級のみ 33(36.3)
32(36.8)
0(α0) 0(α0)65(34.6)
験の長い教 イ.出授業のみ
26(28.6) 31(35.6) 3(33.3)
1(10α① 61(32∠D ウ.担任学級と出授業両方 0(33D)19(21.3) 4(44.5)
0 53(282)師が配当さ
エ・その他 2(2.2) 5(57)
2(22.2)
0 9(48)れるのが一
無 答 0 0 0 0 0
般的な傾向
計 91qoOD) 87qoO.0)
9(100。0) 1(10α0)
188(10α0である。
(表4)
(5)担当形式
級担当による担当が最も多い(62.8%)。出授業による担当も多く,5年より6年にこの傾向が強い。
(表5)
2.施設・設備
(1)家庭科室設置状況
図1のように,いずれの地域においても,家庭科室は,被服・食物兼用の形が多く,被服室,食物 室を独立して設置している学校は極めて少なく,回答のあった108校中15校(1ag%)にすぎなかつた。
なお,家庭科室をもたない学校も6校あったが,どのような形で授業が展開されているかは不明であ
る。
(2)家庭科室活用状況
図2は,被服製作分野の指導に際し,家庭科室のある学校の教師170名を対象に調査したものであ る。 「いつも利用する」は276%にすぎず,「時々利用する」が最も多い。「ほとんど利用しない」
も7.6%あった。年代別では,高齢者の利用率が高い傾向がみられた。
(3)家庭科室を利用しない理由
家庭科室を利用しない理由としては, 「設備不足」が第1にあげられている。定庭科室は,調理室 向きに設計されている場合が多いため,机や椅子が不足し,ミシン,洗たく実習以外の被服分野では 利用しにくいとしている。 (表6)
人数1陽
被服室独立
波服室 ・調理窒兼用
いつも利用する 時 々 利 用 す る ほとんど利用しない その他県北 18 3(167) 15(83β) 20代 52 8(154) 33(635) 10(192) 1(19)
県央 29 ・(138) 18(621) 、磯)瀦) ・・代 47 1°(213) ・8(・9・) ・(12・)(、る→(2・)
県西 2
4(200) 15 (750)
(ま。 4・代 32II( 44) 20(625) 1
県南 4】
4(100) 35 (875) そ 電 ・・代39 19(487) 19(487)
あまり利用
オない1(1④
計 10
15(1鋤 84(・・8) (、亀癌 ヨ+
7 48(282) 100(582) る(1376) 欝図1.家庭科室設置状況(校数108) 図2 家庭科室活用状況(学校数170)
表6 家庭科室を利用しない理由 年代
?レ 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体 設 備 の 不 備 人 %P7(386) T(135)人 %
W(38.1)
人 %V(36,8)
人 % 人 0R7(30.3)
教室の方が指導しやすい 9(2α5)
6(16.2) 5(23.8)
5(2ao) 25(2α5)教室でも支障はない
g(20.5) 10(27.0)
3(143) 22(180り移 動 が 面 倒 3(68) 1(2.7)
3(14.3) 7(5.7)
他 学 級 と 重 復 2(4.5) 1(4.8) 1(5.3)
4(3.3)
無 答 4(9.1)
15(40.6)
1(4.8)7(36.8)
27(222)計 44GOα0) 37qoO.0)
21(100.0) 20(10α0)
122α0α0)(4) 学校備えつけ備品・用具
この項目では・回収数108校のうち,無答が多く,正確には判断できないが,一般に充足率は低く,
図3のように,学校備品として欠くことのできないミシンについても,「充分ある」との回答は,7
校(6。5%)のみであった。 人数1防
充分ある まあま 少喫りなし 足りない 無 答
⑤ 児童用裁縫用具の購入方法 ものさし 22伽3) 10(98) 12(111) 33(305) 31(287)
図4のように, 「希望用具のみ一括購入」が最 哉ばさみ
32(29β) 23(211) 21(194)
31(287)も多く(4a1%),次いで「希望者のみセット購入」 ヒLキング
4 18(167) 21(194) 23(213) 42【389}
ばさみ
(37.2%)である。
ζ ノ ノ7(65) お(212) 35(324) 12(111) 31(287)
%),「学校備えつけ」は1校もなかった。年齢別
猛銘
9〔83) 20(185) 31(287) 18(167) 30(278)
では,高齢者にセット購入させる傾向がみられ,
若年者は「希望者のみ一括購入」が多い。裁縫用 図3 学校備えつけ備品・用具(実数108)
具調達に対する価値観の相違によるものであろう。
{6)調達方法による評価 希甲占のみセノトで 括 希 解 用 具 の み 括 各r田 その他
且(IB)
学校備えっけした場合の長所は,表7のように 2D代 57 7(123) 15(263) 29(駅〕9♪ 4〔70 鷺)
「忘れものがない」 「経済的負担が少ない」
点で ・。代
51も 19(372) 26(51°} 4〔7°)
1\
あるとし,短所では,「管理・補充が大変⊥
「用 、・代
365(139) 16(444) 12(333) 2(5β
1欝 具を大切にしない」ことをあげている。また,こ 50代
44 10(238) 19(431) 13(295)れらに対する年代による差異はみられなかった。
評 2、(、2B) ・。(372) ・・(・31) (謁 鷺,)
セット購入に対しては表8のように,「指導し ロ糟
やすい」(68.6%)と評価し,次いで「大切にする」 図4 児童用裁縫用具調達方法(実数188)
とし,表7の場合と反対の評価がみられる。
表7 学校備けっけの裁縫用具がある場合
年代 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体
項目 57人 51人 36人 42人 188人
忘れ物がない
26(45、6) 11(21β) 15(41.7) 9(21.4)
63(33.5 経済的な負担が少ない10(17.5) 11(21.6)
5(13B) 0 26(138)長 緊急時に便利
2(3.5)
4(78)5(13.8)
0 11(59)持ち運びの必要がない
3(5.3)
4(78) 3(83) 0 10(53)指導しゃすい
5(8.8) 4(7.8)
0 09(4.8)
協 調 性 0 0
3(8.3)
03(1.6)
所 公 共 心
2(3.5)
0 0 0 2(1ユ)そ の 他 0 2(39) 0 0
2(1.1)
無 答
12(21.1) 16(31.4)
7(194) 33(786) 68(362)管理・補充が大変 22(3a6) 15(2a4) 10(278)
6(14.3) 53(28.2)
短 大切にしない
8(14.0) 13(25.5) 10(27.8) 6(14.3) 37(19!7)
数の問題 5(a8)
4(7.8)
5(139 0 14(74)家庭でできない
8(14,0) 2(3.9) 3(8.3)
0 13(69)予算の問題 0
8(15.7)
0 0 8(43)所 そ の 他
3(5.3)
0 01(2.4) 4(1.6)
無 答
15(26.3) 12(23.5) 10(27.8) 30(71.4)
68(362)表8 裁縫用具を児童がセットで購入する場合
年代 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体
項目 57人 51人 36人 42人 188人
指導しやすい 40(7α2) 36(70β)
24(58.3)
31(7a8)129(68.6)
長 大切に使う
3(5.3) 6(11.8) 8(22.2)
一 17(9.0)
用意が簡単
3(5.3) 一 一 3(7.1) 7(3.7)
自由に使える
} 3(5.9) 4(11.1)
一
7(a7)所 そ の 他 5(8.)
一 2(5.6)
一
7(37)無 答
6(10.5) 6(11.8)
1(5β)8(19.1) 21(11.3)
家庭にあるもの,兄弟のものを利用で
ォない
11(19。3) 4(7.8) 5(16.7) 7(16.7)
29(154)高 価
10(17.5) 一 8(22.2)
6(143) 24(128)短 不必要なものがある 8(140)
10(19.6) 一 一
18(97)没 個 性 2(a5)
一
3(83) 9(21!D14(7.4)
記名の必要 3(53)
6(11.8) 一 一 9(4.8)
教師の負担が大きい
2(3.5)
2(ag)一 3(7.1)
7(37)所 画 一 的
一 4(7.8) 一 一 4(2.1)
無 答
21(36.8)
25(491)20(55.6) 17(4α5) 83(44.1)
表9 裁縫用具を児童が自由に用意する場合
年代 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体
項目 57人 51人 36人 42人 188人
個性がある
5(8.8) 6(11.8
8(222)6(14.3)
25(13.3 長 無駄がない6(1α5)
4(78)5(13.9) 3(7.1) 18(9.6)
家庭にあるもの,兄弟のものを利用で
ォる 5(a8)
2(3.9)
3(&3)3(7.1)
15(8.0 選ぶ学習ができる3(5.3) 8(15.7)
3(83)一 14(7。4)
教師の負担が少ない
3(5.3) }
5(139) 3(71 11(59)大切に使う
3(5.3) 4(7.8) 3(8.3) 一
10(5.3 所 経済的である6(1α5)
2(39)一 一 8(4.3)
そ の 他
1(1.8) 1(2.0) 『 一 2(1.1)
無 答
26(45.6) 24(47.1) 11(3α6)
29(690)90(47.9)
短 指導しずらい
30(52.6) 10(19.6) 15(41.7) 12(2&6)
69(367)所 児童だけではそろえられない 21(36B)
20(39.2) 15(41.0)
12(28668(362)無 答
6(1α5) 21(41.2)
6(167) 18(45.2)51(27.7短所は 「家にあるもの,兄弟のものが使えない」 「高価」をあげている。
表9は自由に選択した場合の評価で, 「個性的」を長所の第1位にあげ,短所では,「指導しずら い」「児童だけでは整えることができない」ことを指摘している。
以上調達の方法による評価は,それぞれ伯中しており,決定的にすぐれた方法を見出すことは出来 なかった。学校備えつけ備品・用具の不備・不足が目立ち,欠点はあるにしても,整備・拡充の必要 は見逃すことのできない現状である。また年代別では若い層で自由購入方法が,高齢者でセット購入 方法が多く取入れられる傾向があり,評価に対する視点の差がみられた。
教師と児童の その他
教師指定教師と児童の話し合い 童の自由 その他無答教師指定 話し合い 児童の自由 無答
141 292 45「百 91 小物 444 263 192 &1
、
A、 \ \ 1戸・
343 414 152 61 袋 475 303 101 91
./ /3獣,
133 556 266 44 カバー 289 422 22
67
、 、̲、 \、寒 、 、
\、 \、i 、 、
333 7.3
エプロン
438 417 3 631021
図5 型および材料の決定方法
表10 その理由
型 に つ い て 材 料 に つ い て
教材
摎R 小物 袋
カバー
エプ
鴻
教材
摎R 小物 袋 カバ
エプ
鴻
教 扱いやすい 3 3 0人 3人 扱いやすい 10人 8 鉄 4
師が
指導しやすい 1 16
1
11 指導しやすい 9 141
5 指 児童だけでは選択できない 0 0 01
児童だけでは決められない 4 2 2 9定す
基本を教えたい 0 5 0
1
用意が簡単 2 4 0 0る理 無 記入 10 10 5 16 無記入 19 19 8 24
由 計 14 34 6 32 計 44 47 13 42
扱いやすい 2 4
1
5 扱いやすい 5 31
2指導しやすい 0 3
1
2 指導しやすい1
0 0 2話し
児童だけでは決められない 1 0
1
2 児童だけでは決められない 0 0 2 2 合 学習意欲の喚起 2 0 2 3 学習意欲の喚起1
01
0いで
児童の希望を入れたい 0 0 3 5 児童の希望を入れたい 0 0 0 2
決 個性の尊重 3 4 0 2 選ぶ力を養う
1
0 0 0める
そ の 他 0
1 1
0 家庭にあるものの利用1
21
0理由 無 記入 21 29 16 35 そ の 他
1
2 0 3無 記 入 16 23 14 29
計 29 41 25 54 計 26 30 19 40
創意工夫が大切 13 4 2 0 創意工夫が大切
1
0 01
児 興味のあるものを 10 2 2 2 選ぶ力を養う 0 3 21
童 個性尊重 3 2 0 2 好みを尊重 2 0
1 1
にま 学習意欲の喚起 3 2 0 0 家庭にあるものの利用 3
1
01
か 個人差を考慮 2 0 0 0 そ の 他 3 0 0 0
せる
作る楽しみが大切 2 0 0 0 無 記 入 10 6 7 4
理 そ の 他 3 0
1
0由 無 記 入 9 5 7 3
計 45 15 12 7 計 19 10 10 8
3.教材の取り扱われ方とその理由
(1)型および材料の決定方法
授業で取り扱われる教材には,5年生で小物と袋,6年生でカバーやエプロンが指導要領で指定さ れているが,形,大きさ,デザインといった型や材料にっいては細かく指定されてはいず,教師の裁 量にまかされている。そこで,各教材の型や材料がどのように決定されているのかを調査した結果が 図5である。
型は,材料よりも教師指定となる割合が低いが,たいていの場合,完全な自由ではなく,いくつか の型が前もって決められ,その中から選ぶということが多いようである。また,年齢の若い教師のほ
うが教師指定とする割合が多く,年齢とともに教師指定が減り,教師と児童の話し合いで決める割合 が増えている。
② その理由
図5において型および材料の決定方法を3タイプに分けて考察したが,その選んだ理由をまとめた ものが表10である。
理由を書かない者が半数以上ある項目が目立っ。特に材料についての決め方の理由に無記入が多か った。材料や型に指導の重点をおいていないということを示しているとも思われる。教師が指定する 理由は,扱いやすい,指導しやすいということであり,児童にまかせる理由は,創意工夫が大切,興 味のあるものをということのようである。
(3)標本の使用状況
各教材の指導における標本の使用状況は,図6に示すとおりである。
各教材とも観察用実物標本が最もよく利用されており,次に示範用拡大標本,段階標本,布地標本 がほぼ同じ割合で使用されている。児童の理解を助けるためには段階標本や示範用拡大標本が重要だ とも思えるが,時間の都合等で製作が間にあわないのであろうか。これに較べて,観察用実物標本は 製作が容易であり,前年に児童が製作したものも利用できるということから比較的利用度が高いもの
と思われる。布地標本については,予想よりも %
100
吻ボタンつけ利用されていることから,被服材料に目を向け
E彊小物
ている教師も少くないことがわかる。 ㎜袋
ク≡ヨカバー
他教材に較べて,エプロン製作の指導におけ
皿皿]エプロン
る標本利用の割合が高いのは,エプロンが児童 にとって比較的むずかしい教材であるためでは ないかと考えられる。 50
授業で使っている標本は,布地標本を除いて ほとんど自作の標本であるという調査結果であ
った。
4 教師の意識
(1)各教材の指導に対する意識 o
図7は,各教材の指導について困難か,指導 葵 義 謄 毎
標 標 標 標
しやすいかをたずねた結果である。ボタンつけ 本 本 本 本 の指導では,ボタンつけそのものの指導はそれ 図6 標本の使用状況
a)ボタンのつけ方について b)カバーやエプロンについて
0 50 10〔謝 0 50噂非 鴨に困 2.D%
100囲 ボタソをつける
13.2 39.6 38.5 a8, 材粁の選び方 や」礫 ヂ旨j尊Lへ⊃す.し、54」鐸づ 無II】1答 34、8%
位置の決め方
3.1
糸・針の選び方 28.6 60.4 8.8 使用に今った
@ 形の決め方 26.5 51.O ig.4
針への糸の通し方
06 17,6 65.g a8 寸怯のはかり方 15.3 39.8 31.6 23.3
玉 む す び 352 3a6 18.7 6.6 ゆるみのくわえ方 11.2 347 13、3 ニッ穴ボタンのつけ方
48.4 41,8 7.7 型紙のっくり方 14.3 51.0 26.4 8.2,
\
四ッ穴ボタンのっけ方
66 54.9 29、7
巳8型紙のおき方
6.1 41.8 408 11.2 足つきボタンのつけ方13、2 45.1 31、g 9.9 しるしのつけ方 82 42.9 3a8 9.8
スナップのつけ方 2al 40.7 132 23.1
裁ち合わせ方
ll.2531 2耳.5 1旦.2
玉 ど め
3EL2 330 .0 99
縫い方(ミシンぬい)33.7 39.8 H.2 且4.3
縫いカ(まつりぬい)
36.7 41、8 13.3 7 1
布端のしまつのし方
94 49.0 21.な 】α2
ポケットのっけ方
15.3 3く踵.7 15.3 34.7
ひものつけ方
5.1 一R.5 33.7 3a8
ししゅうのさし方
!6、3 35L7 14.3 37.7
c)小物や袋について
0非常に困難 50 10(兆勧
材料の選び方
やや 2〔L9 割合指導しやすい61. 無II・}答132 形 の 決 め 方5.5 25」3 .O l3.2
寸法のはかり方 7.7 41.8 9、9
ものさし・巻尺D使い方 39、6 473 臣9 33
ゆるみの加え方
.853.9 28.6 8.8
縫い代のとり方
,550,5 31.8 13.2
へらの使い方
3a6 44.0 13.2 a3布 の 裁 ち 方
41.8 35.2 12.1
はさみの使い方
31.956、0 12,1
まち針の打ち方 7.7 47.3 .35.2
99
くけ台の使い方 35.2 17,6 45.1
2.2
針や布の持ち方 28、β 45、1 1α5 9.9
指ぬきの使い方 40L7 40.7 13.2 a5
適当な針目のとり方 2σ9 57.6 121 9.9
な み 縫 い 15.4 44.O l21
半 返 し 縫 い 17.6 48.4 132
本 返 し 縫 い 16.5 440 23.1 16.5
アイロンのかけ方 36.3
36.3 27.5
図7 指導に対する意識
ほど困難ではないらしく,指導が非常に困難であると回答した教師は約1割であるが,スナップにな ると約2割強の人が非常に困難であると回答している。しかし,スナップの場合,取り扱っていない 教師が無回答の中にいると思われるので,教材の難易度としては,もう少し,困難であるという方に 増えると考えられる。
これに対して,玉結びや玉どめの指導が非常に困難であると回答した人は35%もおり,多くの教師 が手縫いの基礎であり,縫う前の段階でもある玉どめや玉結びの指導に苦心していることがうかがえ
る。
小物及び袋の指導では,非常に困難であると回答した人が多かった項目は,指ぬきの使い方(40.7
%),次に針と布の持ち方(28.6%),適当な針目の使い方(2α9%)で,なみ縫い,半返し縫い,本返 し縫いといった縫い方の指導より多くなっている。単に縫い方を教えるのは容易だが,じょうずに,
きれいに縫うための技能を教えることはむっかしいということであろうか。また,くけ台にっいて無 回答が半数近くあるが,最近ではくけ台を使わなくなっているようである。
カバーやエプロンの指導では,非常に困難と多くの教師が感じているのは,ミシン縫い(3a7%),
まつり縫い(36.7%)といった縫い方である。布端のしまつの仕方も19.4%とやや多い。
全体的に,いずれの教材のどの指導項目も,程度の差はあれ,約半数の教師が指導に困難を感じて いる。なかでも,縫い方やこれに直接かかわる指導にはより深い困難性が感じられているようである。
実際,5年生の家庭科ではじめて針をもったという児童が年々増えているようであり,細かい指導の 工夫やゆとりが必要とされるのではなかろうか。また,玉結び・玉どめの指導を除けば,ほとんどの 指導項目で,年齢があがるほどより困難性を感じる傾向があった。しかし,これは年代の高い教師が 指導に支障をきたしているということではなく,それだけ真険に考え,要求も高いからではないだろ うか。教材の取り扱い方でもみてきたように,年代が高い教師ほど児童の考えを取り入れているので,
指導の困難性がそれだけっきまとっているものと思われる。
(2)児童の反応に対する意識
被服製作に対する児童の反応を教師がどのようにみているのかを調べた結果が表11である。85%の 教師は,児童は好んでやっていると思っており,いやいやながらやっていると思っている教師はひと りもいない。小学生段階ではまだ喜んで製作するともいえるが,少し楽天的すぎる結果ともいえない 3)
セろうか。なかには,女子は好んでやっているが,男子はそれほどでもないということでその他に回 答したという人もいたが,反対に,男子も大変積極的で,特に発想の面では男子の方がすぐれている
と回答した人もいた。
表11被服製作に対する児童の反応
年代 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体
人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 好んでやっている 46(8α7 45(8&2 32(88.9)35(83.3)
160(85.1)
いやいやながらやっている 0 0 0 0 0 どちらともいえない 5(88 3(59
3(8.3) 5(11.9)
16(85)そ の 他 4(7.0 2(39) 0 2(48)
8(4.3)
無 答 2(35) 1(2D) 1(2B) 0
4(2.1)
計
57(100.0) 51(ioα0) 36(10α0) 42(10α0) 188(10α0)
③ 被服製作分野全体に対する意識 ややむずかしい やややさしい
1 0.5 0 −0,5 −1
①製作教材の教材としての難易度
各製作教材の教材としての難易度に対する意識小物 の結果を「むずかしすぎる」を2点,「ややむずふくろ かしい」を1点,「ちょうどよい」を0点, 「や カバー
エプロン
ややさしい」を一1点,「やさしすぎる」を一2
@ 図8 製作教材の教材としての難易度 点として全体の平均値をだしものが図8である。
ここからわかるように,小物がα02,袋がα02,カバーがα09,エプロンがα21と,いずれも1に 満たないが,どの教材もややむずかしいと感じる方向にかたむいている。ただし,小物,カバーにお いてはほぼ0に等しく,ちょうどよいと感じているとみてよい。いずれにしても,各教材ともちょう どよいと感じている教師が最も多く,小物で828%,ふくろで72.7%,カバーで567%,エプロンで 8α5%であった。カバーについての数値が他の教材に較べて低いのは,無回答者が34.0%と多く,取
り扱っていない教師が多いためである。
② 授業時数
授業時数については,表12に示すように,ちょうどよいと感じている教師が約7割,少ないと感じ ている教師が2割,多いと感じている人はわずか21%であった。年代別にみると,30才代の教師は 他の年代の教師に較べてちょうどよいと感じている人が少なく(5a8%),少ないと感じている人が多 い(31.4%)。その他に回答した人は全体で32%であったが,その内容は指導内容を全て消化するに は時間が足りないが,他教科との兼ね合いを考えると仕方がないというのが大半であった。また出張
表12 授業時数に対する意識 年代
?レ 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体
人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 多 い 0(0ρ)
2(3.9)
2(56) 0(α0) 4(2ユ)少 な い 11(193)
16(31.4) 6(16.7) 9(21!の 43(22.9)
ちょうどよい 42(37) 0(588)
28(77.7)
30(714)131(69.7)
そ の 他
3(5.3)
2(39) 0(OD)1(2.4) 6(3.2)
無 答
1(1.7)
1(2D) 0(0ρ) 2(48)4(2,1)
計 57qoO.0)
51(100.0) 36(10α0)
42qoO.0) 188qoOD)表13被服製作分野の指導に対する意識 年代
レ 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体 人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 指導しやすい 19(333)
22(43ユ 18(50.0 18(42.9)
79(42.0 指導しにくい 16(2&1)11(21β 4( 11.1) 5(11.9)
36(1a1 どちらともいえない 16(281)15(294 14(38.9) 18(42.9)
63(33.5そ の 他
4(7.0)
0(OD)0(OD) 0(OD) 4(2.2L
無 答 2(3⑤ 2( 3a2 0( 0」0) 0( 0∫}) 6(3.2 計
57(100.0) 51qOα0 36(100.0) 42(100.0) 188(100.0
等での欠課が多く,特に出授業の場合は実際の授業時数よりずいぶん少なくなってしまうという回答 もみられた。
③被服製作分野の指導のしやすさ
表13に示すように,全体的にみると指導しやすいと感じている人が42.0%で最も多く,次にどちら ともいえないという人が33.5%,指導しにくいと感じている人は19D%で,約2割であった。その他 2.1%の意見は,教材によって異なるということである。年代別にみると,指導しにくいと感じてい る人は年代が若いほど多く,年代が高くなるにつれて,どちらともいえないという人が増えている。
④ 被服製作分野の指導の目標
被服製作分野で指導の目標をどこにおいているのかを選択肢の中から3つ選んでもらった。その回 答結果が表14である。
表14 被服製作分野における指導の目標
年 代 20才代 30才代 40才代 50才代 全 体
項 目 57人 51人 36人 42人 188人
縫製の基礎技術を習得させる
40(7α2) 37(72.5) 25(69。4) 21(50.0) 124(66.0)
自作のものを自分で使う喜びを味わせる 31(54!D
30(5&8) 18(5α0)
20(476)99(52.7)
日常生活に生かすことができるようにする
25(43.9) 25(49.0) 25(69.4)
22(524) 98(521)創作の喜びを味わせる
23(40.4) 21(41.2) 14(38.9) 22(52!の 82(43.6)
完成の喜びを味わせ忍耐力を養う
18(31.6) 13(25.5) 9(25.0)
10(238)50(26.6)
創意・工夫する能力を育てる
6(1α5)
6(118)8(2α2)
16(381)36(19.1)
将来の家庭生活に必要な知識を持たせる 10(175) 10(196)
2(5.6) 3(7.1) 25(13.3)
計画性を養う 1(1.8:)
3(5.9) 4(11ユ) 7(16.7) 15(8.0)
ものを大事にする心を育てる 4(7D)
3(5.9) 2(5.6)
4(95) 13(69)協調性を養う 2(55) 2(39 0(OD) 2(48)
6(3.2)
既製品を上手に選べるようにする 0(OD) 0(0ρ)
1(2.8)
0(OD)1(0.5)
そ の 他 0(OD) 0(OD) 0(OD) 0(OD) 0(OD)
無 答
1(1.8) 2(3.9)
0(OD) 0(OD)3(1.6)
注)3つ選択してもらったため,合計は100%を越えている。
最も多く支持されているのは「縫製の基礎技術を習得させる」(6a6%)ことであり,次いで,「自 作のものを自分で使う喜びを味わわせる」(52.7%),「日常生活に生かすことができる」(52。1%),
「創作の喜びを味わせる」(43.1%)と続く。これら上位4つの項目は,いずれも指導要領のねらいと 一致するものであり,このことからも,本県では学習指導要領にそった指導目標をもって指導されて いるようである。
年代別にみると,年代が上がるにつれて,「縫製の基礎技術を習得させる」ことを目標とする人が 減り,「創意・工夫する能力を育てる」,「計画性を養う」といった,製作そのものに関する目標でな
く製作する意義に目標をおく人が増えている。
「既製品を上手に選べるようにする」ことを目標にしている教師はほとんどないが,既製品を買う ことの多い現在,手縫いをすることによって既製品を買うときのポイントを実感的にわからせる指導 も考えられていいのではあるまいか。
⑤ 被服製作指導の問題点
被服製作分野を指導する際に問題であると考えている点について自由に記述してもらった。回答率 はきわめて少なく11.7%(22人)であった。このことは,問題意識をもっている教師が少ないということ を示しているともいえる。
問題点は,指導法も含めた教師に関する問題,家庭も含めた児童の問題,設備の問題,時間不足の 4っに分類できるようである。この中でも,個人差,男女差にあわせ,個別指導を行うには時間が足 りないというのが最大の問題として現場教師は考えているようである。(表15)
表15 問 題 点
児童に関して 教師に関して
。個人差がある(7名) 。男教師には指導しにくい(1名)
。男女差がある(3名) 。専門外の若い教師には技術がともなわ
。1学級の児童数が多い(2名) ない(1名)
家庭に関して 指導に関して
・家庭にミシンのない児童がいる(1名) 。教材会社のものは指導しやすいが,布
。母親に技術がないため家庭科が浮きあが 地と型紙の関係を把握させられない っている(1名)
時間に対して
。教師が 手 を出してしまい,完成の
?ムを味わわせられない(1名)
。時間が足りない(4名)
。2時間続きにしてほしい(1名) 設備が不足(1名)
。資料作りの時間がない(1名)
ま と め
① 家庭科担当者はほとんどが女性であり,しかも20・30才代が過半数を占めている。ここから,
家庭科担当の経験年数も5年未満という教師が過半数となっている。ただ,6年の担当者には,5年 の担当者より高年齢で経験の長い教師が配当されている。
② 家庭科室は被服・食物兼用の形となっている学校が多く,「いつも利用する」のは3割弱にす ぎない。また,備品・用具の充足率も決して高いものではなく,教師も満足しているとはいいがたい。
児童のもつ裁縫用具に関しては,若い教師では自由購入方法が,年齢の高い教師ではセット購入方法 が取りいれられているようである。
③ 被服製作分野の指導を全体的にみれば,指導しにくいと感じている人は約2割であるが,各教 材の具体的な個々の技術指導となると,約半数の教師が指導に困難を感じている。しかし,教師は各 教材が児童にとってそれほどむつかしいものだとは考えていない。
④被服製作分野の指導は,学習指導要領にそった指導目標をもって行われている。しかしこのこ とは,型や材料を決めるさいの方法に対する理由のなさや被服製作分野に対する問題点のなさなどと もあわせて,問題意識をあまり感ずることなく指導が行われているともいえるのではないだろうか。
注
P)昭和53年に出された「教材交付要綱」の中の小学校家庭科における被服製作分野に関する学校備品の教材基 壁は切下の止うになっている.
2)渡辺みよ子・西村敬子「小学校家庭科の担当方法」『日本家庭科教育学会誌』昭和53年,大川教子他「小学 校家庭科における被服の製作を中心とした実態調査」 『日本家庭科教育学会誌』昭和51年,などがある。
3)岩崎恭枝「小学生の家庭科観」r茨城大学教育学部紀要』昭和60年,P
学 校 規 模
品 目 類 別 5学級 6〜12 13〜18 19〜24 25〜30 31学級 備 考
以 下 学 級 学 級 学級 学級 以 上
教授用掛図 (家庭)
2
22 22
22
電 気 ア イ ロ ン
5 10 10 10 10
10ア イ ロ ン ム ロ 5
10 10 10
1010
噴 霧 器
1 1 1 1 1 1
手押型 ス プ レ ー
5 10
1010
1010
布 地 標 本
5 10 10 10 10 10
基 礎 縫 い 標 本
5
1010 10 10 10
ミシン及び付属品
10 19 19 19 19 19
人 ム ロ
1 2 2
22 2
裁 縫 板
5
10 1010 10 10
、
栽縫用具一式(教師用)
1 1 1 1 1 1
裁縫用具一式(生徒用)
5
9 99
9 9物 差 13組 24組 24組 24組 24組 24組 30,50,10伽 裁 ち ば さ み
10 19 19 19
19 19ピンキ ングばさみ
5 10 10 10
10 10大 鏡
1 1 1 1 1 1
示 範 板