人間味の深化を願う領域「人間関係」の指導
宮 田 暉 朗
人 との関わ りによって生 じる不安やス トレスによる人間の破壊的行為が頻発 している現今、豊か な人間関係によって熟成 された人間味あふれる人たるの成長への希求は大である。そこで乱控か ら 生 じた事件か ら問題点 を抽出 し、教育要領 を軸 にしつつ 「仲良 しになることで自己実現で きる幼児 教育指導計画作成」の今 日的一提案 を試みるo
は じ め に
人間関係は人 と人 とが関わ りあ うあ り方 ととらえていいが、人 とは動物学上の ヒ トで、人間 となる と、関わ りあって生 きる人格 を持 った社会性の保持能力を持 って他人 と共存することで人格形成 をし てい く宿命 を負いつつ生 きる晴乳動物 となる。かつては、人 と仲良 くするなどは当然のことだったが、
豊か さの所産が して人間関係 という概念が生みだされ、競争社会の中で、追い詰められた不安 に耐久 できず にとった解決策が、自他への破壊 とい う攻撃行為の多発社会になって しまった。
時代 ごとに養 って きた感性 と悟性 を伴 う行為が薄れ、公共性 を失い、多 くは日常生活で非常識 と矛 盾に苦 しみ、戸惑い と自信喪失が増幅 されて起 きた事件が多い。家庭内の人間関係の乳喋で、再婚同 士の夫婦が、 しつけと称 して体罰 を加えて幼子 を殺す とか、裕福 に育 った女性が、夫 を殺 してば らば らにして遺棄、歯科医の家庭での兄が妹へのばらばら殺人、等である。学校では、い じめ、不登校 は 減 らずに被害者の子 どもの自殺の頻発。万引の中高年者増加等がある0
これ らは、不信感か ら人 との関係 に破綻 を招 き、善良者が旧悪 によって破壊者 に変化す ることを表 し、人間関係の処理力をつけない と豊かな人生に鰐 りが生 まれ、破綻か、精神疲労や、心身症 に陥 り やす くなるという証明である。従 って、人間性 を回復 と、人間味ある情緒 と感性 に裏打ちされた強 さ が必要 になる。これによって成熟する温かな人間関係 を人格形成 に寄与 させねば解消で きない。
2
年間甲子園を熱 くした田中投手は、プロのキャンプインの前 日、インタビューに答 えて、「やれる 自信 はある。一つ心配なのは、年上の人が大勢いるなかで人間関係が うま くい くか心配です。」と答 え、人間関係が自分の成功の鍵であることを明言 している。
企業が求める学生の資質で短大生に求める能力の第‑位 は 「コミニュケ‑シ ョン能力」で、実 に
6 6 ,7
%である。以下、明るさ、熱意、協調性、学力、常識、バイタリティ、マナー、ス トレス耐性、信頼性 という順位 という。(ハ ローワーク調べ平成
1 9
年2
月上小管内)人間関係 をつなげる能力が社 運を荷 っていることを示 し、 コミニュケ‑ションがで きない ものは採用 されないのである。そこで、筆者がかかわって きたで きごとのマイナス要素 を分析 し、「人間み」を深める人間機能が作 用するための必須項 を抽出 し、不安 とス トレスを重ねさせない予防的幼児教育計画を論 じたい。
雪投げをやめない児童 に
40
歳台の男性が暴力 を振 るったとい うことがテレビニュースになる時代 である。原点 を探 ってみるべ きである。‑ よりよい人 間関係 の推進 のため に
まず、「変貌 した 日本人の処世術観」 について明治期から概観す る。
維新政府 の国づ くりのための教育制度や内容は誇っていいが、明治
6
年師範学校が作った 「下等 小学教則」 をもとに各県で規則 を作 る ものの人間関係 に関する内容は、「先生に反抗 してはならない。子 ども同士 は仲良 くすべ き。」とい う規範の押 し付 けが主で、「こうすれば罰するぞ
。
」とい う、学校 に 都合のいい規範であ り封建時代 と変わ らない。複雑な人間関係 はないことを証明 している。明治
6
年青森県発令、「小学生徒心得」は 「遅れるな、よそ見や雑談するな、便所 を汚すな、無用な 所 に寄 るな。人 を誹議 した り、無益の議論 をするな、ただ し、文学問答はその限 りではないが、礼儀を失わず、倣慢不遜の語 を出さない。」等 を成文 し、人間関係面は礼儀 と倣慢 さに触れている。
その後 教育勅語 によって、道徳の徳 目を絶対化 して型か ら入る指導になる。明治
20
年になると 各学校で小学校則 を作るようになるが、上記小学校で も校則の中身は大 きくは変わらず、言行 を正 し 教師の指示 に従 うべ Lと定め、第五章に懲戒が規定 される。 このように初期 は高い教育理念の提示は な く、規範の押 し付 けで始 ま り、国のために行 う教育体制が固定 し敗戟まで続 くことになる。長い間叩 き込 まれた 「善人たれ」 による人付 き合いの基本は、 しが らみの中での義理 とか人情 とか 恥 をもとにする儒教精神保持 は終戦を経て も、昭和
30
年頃までは効力をもち続けた。が、長年の押 し付 けによる権力への欝積 と敗戦後の個人主義 と自由性の取得が、所得倍増実現で拝金主義を産み出 し、処世術 は、わず らわ しい、めんどうくさい と変わ り、家族内では我が家が生 きるための価値観 を 深める人間関係が後退する。社会では、汚い生 き方がはびこり、学校教育 は、虚偽の人間関係の中で 生 きる仕方が進行 中である。今 こそ黙視せず温かな方策を立てねばならない。コミニュケ‑シ ヨンの手段 としての言語 も
、38
年頃か らテレビの影響が色濃 く出始めて、言葉が 短 くな り、その風潮は人間関係 も切 り捨てることにつなが り、拝金主義は言葉 と道徳性の面で も人格 切捨てに加担 した.恥を知 り人情 を詣いあげ、わび、 さびをも包含する高い文化的価値 を一気 に下落させ、自分 を省みるより、悪いのは他人 という外的要因にする妄想が定着 しだ したのである。
しか し、 日本人の中にある謙虚 さと継続力は民族の深奥 に在って滅びてはいない。今は、物 にな り つつある人間に対 しての危機感 を持ち、拝金主義からの切 り替えを願わない ものは皆無 といえる。た だ、あまりに複雑な要素が重 な り合い、多忙な生活の中で達巡中に手遅れになってい くのである。
人間関係 は当た り前のことで論議の余地がなかった時代から、わず らわ しいか ら切 り捨てたい と変 わ り、 どうすべ きか不明だという時代 に入 り、お金による価値換算の世相下で、人 とのかかわ りを、
誠実 さと安心感が生れるように抜本的に見返すために、その前提 に
4
項 目を考えた。1 家族内の人間関係の改善 を子 ども中心から、それぞれが何 をしたいか という願いに沿った 関係作 りへの変換 と父親の威厳の幹拝 と母性の回復の生活化
2
言葉 を伝達だけでな く、通 じあ うことで人格形成 をはかる具 にす るために、正 しい言葉遣い は己 自身の恥 じない生 き方か ら発するものであ り、自身の主体性 と相手 との連帯感の連結の中 で熟成 されることで、 よりよい人間関係を成 り立たたせてい くべ きものであることを体験 させ たい。幼稚園か ら楽 しい会話法 を取 り入れ、何 を言われると楽 しくな り、その道についても理 解 させ ることによって、人 を喜ばせ、自分 を励 ます真諦一意の会話法を会得 させたい。3
心の傷、不安を癒す処理力は幼児期か ら持たせ、受け皿は国民的課題 とすべ きである。4
国民的課題 としての触れ合いの場でのコミニュケ‑ションの推進二 家庭 ・学校 ・社会 にお ける人間関係が主因の事件
18
年のサラリーマン川柳 「妻 ・子 ・俺 格差社会 我が家にも」詠み人不明。広がる格差は、教 育費にお金 をかけられる家庭が より高い専門的教育をつけられる時代 になったといわれる中で、彼の 悲哀は愛すべ き家族の中で最下位のランクの自分の序列を悲 しむ一方で楽 しんでいる姿 も浮かんで くる。ただ、地震、雷、火事、親父、の序列でみた父権の乏 しきは否めず、格差社会が見 えて くる。
人間関係が原因で発生 した事件から、ある共通項が浮かんで くる。例 を挙げる。
学校教育での例で、発達障害 と診断される少年が掃除中に立っていた。彼 にしてみれば、サボろう としているのでな くて、すべ きことが分からないか らそうしている時、「掃除やろうよ。」 と促 された とたん切れて暴れて しまった。
昨年、小学生以下の子 どもの殺害は
105
人。 11
月には、下校途中で7
歳の子 ども二人が殺害 さ れ、岐阜県で5
歳の幼稚園男女が刺殺 された。家庭では、 ドメスティックバイオレンスによる傷害
887
件。 17
年3
月に、中学2
年生が父親に「学校 に行け。」 と言われ、累積 した不安 と不満が して家 に火をかけさせて
2
歳の長女が焼死 した。以上から、人間関係の処理や処置が 「問答無用の一件落着手法」 にあることへの警鐘があ り、言葉 等の作用による逆切れが指摘できる。解決に向けた温かなほぐしと人間味の育成両面が欠かせない。
学校教育下での 「集団で個人を虐待する具体例」 と対応
D
さんは、小学校の時に、鳥を逃が したことをめ ぐるや り取 りでい じわるを受け始める。小学校 1年時、一人遊びが多 く、仲間に入るように誘って も、自分か らは入 らないが、結構楽 しん でいた。2 年、グループ活動で意 に沿わないと外 に出て しまう。3年時男子か ら疎外 され始めた。4 年、学習用具を忘れる。人間関係が うまくいかない。5年、身なりに無関心。6年、入関関係が うま
くいかない。 という傾向にあったことを保護者 は懇談会で も聞かされていたという。
D
さんの危機は3
年時にある。この時の指導が人間味あふれたならば、優秀な児童で過 ご したこと は間違いな く、中学校入学後の二学期から完全 ないたぶ りに発展する。グループ作 りになると、仲間 が逃げ出 した り、後ろから消 しゴムの くずが頭からかけられた りする。特 にクラスで一番成績が よく て元気のいい男子が主導 し、発言でつかえると 「早 く言えよ。」と嫌がらせを言 う。席替の時 には隣に なった人に、大声で 「かわいそう。」 と言った。音楽のパー ト練習中 「仲間に入 りなさい。
」 といって も 「わたしはいい。」と言い、悩みはいつ も晴れず、女子 も勢いのある男子に合わせ、盾になる人はい ない。当然、眠れないから、学校で居眠 りをすると、「寝 るな、馬鹿。
」 と罵声が とぶ。「てめ‑が〜部なんて信 じられない。とっととやめろ
。 」「死ね。
」 と書かれたメモ もまかれた。
これ らの行為 に反発 して、母親が立ち上がろうとしていた時点で
、A
先生は、「男子 には根深い もの がある。彼 らの人間性が疑われる。母親 とのスキンシップが欠落 していたのではないか ?本人は個性 が強いので、協調性は身につけねば。」 と指摘 した。B
教諭は 「教科書を開かないことが多 く、教師の注意が必要。本人 も人に対 してきついことを言 う、身勝手な面 を持っていることに気づいてほしい。現状 をあきらめずに自己主張すること。自分か ら仲
間に入 ってい くこと
。
」 を指摘 した。担任 は、「ルーズな面が 目につ くのでその点を直 し他人 とのかか わ り方 を考 え、友が少 しで もで きるといい。
」 と述べている。教師は多 くの生徒か らノーを突 きつけられることを恐れ、解決策に具体性がな く、本人の欠点 を直 す ことを指摘 し、親身でない。 しか し、筆者 を中心 として生徒 に味方 を作 り、教師が本気 になって、
集団対個人のね じれた関係 をときほ ぐしてい き
、6
ケ月かかってまった く正常 になってい く。その過程で、父親は
、「 D
は集中心がた りない し、す ぐに飽 きて しまう。つ らいことがあっても身に しみないことがある。小学校の時い じめ られて もずっと黙っていた。母親が、D
が言 うことを聞かな いので、大声で怒鳴ったときに 『わた しだってい じめられているんだ。』と、泣 き叫んで、大暴れ した。中学一年の入学式のとき、ばい菌 といわれ続 け、これに反発 してます ます広が った。」と、深い慈愛 を もって述懐 された。結局、母親の活力 と父親の慈愛 と公 にした学校の努力が解決 につながる。
ここか ら学ぶ 「学校教育下の 「集団対個人の人間関係」の改善策は
6
項 目がある。1 い じめの原因は必ずある。長い間にたまった不安や葛藤 は人格にゆがみを起 こしトラウマ と なるので、被害者 と当事者同士が相手 との関係 に置けるかかわ りの目的分析を してよって来る 悩みの分析 を通 して対応 を皆で考 える。このとき遊びやゲームか ら入 り、 もっと仲良 くなる方 法 を討議 して決めだ しつつ次の段階に進み実践する 「輪状のサイクル策」がほ しい。
2
母親が同 じ部に所属す る生徒 に 「仲良 くして。」 とお願い し、相談相手 になったら、その生徒 がい じめ られて不登校 になったので支える人づ くりと人間関係の環境作 りがいる。3
先生は予防に徹 し、初期の段 階での解決が大事 になるので、人間味 にあふれる相談相手 とし て相談のプロとしての技法 を身につけたい。4 D
さん事件の年、メンタルア ドバイザーの聞 き取 り調査 による県内の中間教室の生徒の登校 拒否の原因のナンバーワンは 「友人関係」である。そ う回答する小学生本人が29%
、保護者 が15%
、中学生では本人が50%
、保護者が32%
である。中学生は学業の不振などが これ に続 く。先生が原因 となるというのは小学生の保護者が16%
、中学生の保護者が11
%であ る。(信濃毎 日報道)結局、友人 と先生 との人間関係の もつれや理解不足が不登校やい じめなどと因果関係にあることは軽視で きない。
5
家庭の人間関係の安定 に父親が欠かせない。両親は愛情の伝 え方 を適切 にすべ きである。6
お もいや りや人権感覚は日常のふれあいの中でけんか しなが ら体験 を通 して身につ くもので ある。倫理観を養い、耐えることを教え、事件の後の後付 を大切 にする。多忙夫婦が育てた 「いい子」の急変 と裕福 な家庭の兄の破壊行為
中学校 2年 までのCは完壁な女の子で、働 き者の両親 と弟が一人いる。毎 日二人で夜明けまで 働 き、朝方か ら眠る習慣があるので、小学生の時か ら母親代わ りで朝飯夕飯 を作 り、勉強 も良 くし たが、3年生 になって突然切れる。何で自分だけが、こんなことをしなければならないのかと懐疑 的になると同時に、爪 に色がつ き、金髪、口紅、そ して喫煙 とい う反社会的行動 をとり、言葉は 「う るせ一、 うぜ ‑えんだよ一。」 に変わ り、夜 も帰 らな くなった。親 に失望 し長 く忍耐 を継続 した結 果、自分の人生を恨み、その原因 を作 る親 と弟 を恨み、憎悪することで不満 を爆発 させ る。
この事例は、どうにもや り切れない時は、死、または、代償 としての人への嫌が らせ、か、反社 会的行動 に走 る傾向を示 し、親の後ろ姿 も大切だが、明確な愛情表現の必要性 を示 している。
裕福 な家庭の兄弟の反日の果ての妹殺人が起 きた。妹の短大生が鈍器で殴 られた後 にばらばらに された。兄が犯人で、三年間会話 していなかった果ての事件で、動機は妹か ら、「兄の真似 をして いるだけで
、4
皮 目も受からないダメ男だ。」 となじられた瞬間の決着であるらしい。裕福 な家庭 で、妹は自由奔放で親 も映画に出るような奔放 さを家柄 という面で心配 していたとい う。5
年間会 話 しないなどの家族のかかわ りの仕方や幼児期の しかるべ き育ちの大切 さを暗示 している。そこで、この二つの家庭の人間関係破綻が示唆する課題 とその対応 を考察する。
普段の父親は忙 しく、家族 と触れ合 う時間が短いから、とにか くいいお父 さんを装い、叱れない。
母親は
「
〜しなさい。」とい う一方的指示語が多 くなるので、子 は自分で選択 して動 くことが少な く なり、何か失敗 した時 も、 自分以外 の他に責任があるとする外的統制型にな りやす くな り、厄介な ことに、そのタイプの育ち者は切れやす くなるといっていい。多忙す ぎると、会話が欠け、発達段階でつけるべ きしつけや抱 きしめなどの愛情表現がな くなる。
まだ小学校に入学 したころは、自分の中の育ちの傷に気づけない。 しか し、小学校の高学年か らほころびだし、自分 と他人の性格の違い、動作の相違を通 して、生育暦 を掘 り返 してみると甘え や、 しがみつきがない自分 を発見 して、親をぎょっとさせる行動 をとることがある
。D
さんはまさ にこれに該当する。中村延江は 「子育ての心理学」の中で、「生れたばか りの赤ちゃんも母親が笑 う と笑い返す。乳児は能動的に働 きかけをする、親が応えて くれるか ら満足感や安心感 を得 る、これ によって親子の基本的関係が培われる。」と、指摘する。つまり、子 どもの中に、親子の絶対的信頼 関係が結ばれないと正常に育つことは困難な時代であると認識 を変えねばならない。乳児期のスキンシップは当た り前であ り、いわゆるギャングエイジでの自分勝手 さも経験 させな ければ正常 に育たな くなる。 しか しこの時期 に型にはめ、いい子 にさせる傾向が強す ぎるのではな いだろうか。さらに、幼児期に虐待 を受けた り、いい子過 ぎてそれを装 う生 き方が連続すると、親 に捨てられる恐怖をもって生活するために、自分の中に二面性 を育ててい くことにな り、青春期 に なると生存 していることへの懐疑になった り、アイゼンティティにゆがみがでて暴発 した り、生涯 にわたって苦 しみ、その子 どもも同 じような繰 り返 しになることが多い。
また、家庭の虐待、身体的、性的、心理的、ネグレク トなどを発見 し保護するために、専門機関 の強権が必要であると考える。
社会 においての事例
宗教団体主宰の金 という男が少女
7
人暴行 (平成17
年)' ・45
歳の息子が83
歳の母親 を看護疲 れで殺害 (平成17
年2
月)・出生届を出されないでいた20
歳の仮名をかけない男性の存在。(平 成18
年2
月4
日) ・騒音おばさんという方が、近所の人に 「引っ越せ」 などと大音声の嫌が らせ を毎 日繰 り返 した。政治家の金銭問題、 どんなに罰則を強めて もな くならない酒気帯び運転、育児 放棄やお年寄 りの手 になる殺人事件 と万引 きの増加など枚挙にい とまな しであ り、テレビで誰かが 謝罪 していない日はな く、「殺人がないということがニュースになる時代」 に突入 した感がある。親 しくすべ き人への働 きかけの欠落が多い中で、殺害 とか、暴行、妨害など生命 に直接関係する 結着 となってしまう原因を人間関係面での見直 しがいる。老後保障、健康維持、安心 して子 どもを 産める等の国策は勿論、幼稚園、諸機関学校などは監督下での指導援助の抜本的見直 しをするべ き であ り、家庭では、他人との関係づ くり七 っいての見識のみかえ しがほ しい し、家族単位で人生 に
対 しての我が家の設計図作 りをこそ、 もっときめ細か く作成する必要がないだろうか。
三 幼児期 の人 間関係 の指導企画
夫婦の危機などを抱 える母親は情緒的に不安 を抱 えるので満たされないから、攻撃的になるか、ま った く反対 の無気力 にな りやす く精神 は高ぶっている。従 って、わが子が どうなろうが 目に入 らな く なる。子 は、敏感 にそれを感 じとるか ら、一生懸命に嫌われない ように身を処す ることに徹 しようと す る。この状態が続 くと、いつ も二人の自分の存在 に悩み、心 に傷 を負いなが ら、人間関係で演技せ ざるを得 な くなるであろう。積 もった障害は代償行為 を求めて自分で も分か らない処置 を取 ることに な り易いので、出発点である幼児教育 における人間味育成 という観点で 「人間関係」 を吟味する。
幼稚園教育 と自然な人間関係
幼児が周囲に対する信頼感 を抱けるようになることが幼児教育の前提である。それには周囲の人が、
環境 を作 り変えなが ら自分 を変えてい く能力を発揮 して楽 しくなることを見て、小 さいなが らに、自 分 もその芽の育ちを実感 してい くことがエンジンとなって前進す るという環境整備が必要になる。
1
人間関係 は人が生存す る限 り存在する宿命的潤滑油であ りこれがないと生 きられないことを理 解するために、「仲良 し」をキーワー ドにしたコミュニケーション要領 を集団の中で会得す る場としての幼稚園や学校教育 とその素地力を作 る家庭教育の連携
2 幼児期 において、作 ることで関わ りを深めて友 と和む場 に重点 を置 く保育
3 人 と付 き合 うよさを実感 し敬意 を培 うために、共感ができるための男性の生涯学習への参加促 進 と家庭教育‑の参加への援助
4
身近な人 との関係改善 と他人 との人間関係 を深める能力の育成のための大人への社会教育5
側隠の情 をのせ る言葉の使い方ができるようになるためのボランティア参加の推進6
幼児、児童生徒 の人間味あふれる行為 についての社会全般での称揚7
響 きあい余韻が残 るような人間関係 を遊びや放課後のふれあいで作 る義務教育 と幼児教育8
恐怖 と不安 による仮面 をかぶ らざるを得ず に育 った子 どもの日本社会全体の癒 し9
実際 に自分で体験 し考 えるために、気持ちはどのような動 きになって作用するか、特 にいやな 気持ちになる情況理解 と、遊びの中で感性 と人間味あふれる感情体験がで きる幼児教育 頼れる教師が幼児の人間不信感 を癒 し、 トラウマの解消 をはか りつつ、自立力をつけてい くために 快感情 と逆感情 を体験する場 を仕組み、問題が起 きた ら早 く対応 し処置をしたい。領域 「人間関係」 と究極の仲良 し形成の原則
幼稚園教育の 目標 は 「生涯にわたる人間形成の基礎 を養い、生 きる力の基礎 を育成すること
。 」
と定め、続けて五項 目のE]標 を示 している。概略は 「基本的生活習慣 と態度。人への愛情や信頼感育 成 と自立共同の態度 と道徳性の芽生 え。身近な事象‑の興味関心育成。言葉への興味関心を育て、喜 んで話 し聞 く態度 と感覚の育成。豊かな感性、創造性 を豊かにす る。」である。この目標は、そのまま
①健康 ②人間関係 ③環境 ④言葉 ⑤表現 の五領域に、対応 している。
目標
(2
)は 「人‑の愛情や信頼感を育て、自立 と共同の態度及び道徳性の芽生えを培 うようにす ること。」と規定 して、領域 「人間関係」に対応 させている。領域 「人間関係」の目標は 「他の人々と 親 しみ、支えあって生活をするために、自立心 を育て、人 とかかわる力を養 う。
」 ことにある。ねらいは
3
項 目があ り (1)幼稚園生活を楽 しみ、自分の力で行動することの充実感 を味わう。(2)
進んで人 とかかわ り、愛情や信頼感 をもつ。(3
)社会生活における望 ましい習慣や態度を身につける。と規定する。それを実施するための 「内容」は
1 2
項 目がある。その概略は、「決まりや用具 を大切 に して先生や友 とかかわって、自分で考え行動 し、できることやすべ きことを通 して、喜びや悲 しみを 共感 し合 う中で、友のよさにきづ き自立する力をつける。
」ということになろう。以上をふまえて、人 間関係の指導を 「仲良 くなるために」 という本論の趣旨にアプローチするために指導計画立案の留意 事項 を決め出 したい。そのために、個の発達程度や行動や処理様式 を精査分析することから始めたい。1
各人の生育暦をふまえ、園の教育目標 と教師のその児童‑の願い、家庭の方針、園児の仲良 し についての決意や願いをもとに一人一人の園生活設計図を書いて、週ごとにカンファレンスを 通 して次の育成方針を定め実践 し、常に大勢の目で評価 してい くこと。評価のない ところに策 は立たない。指導その もの‑の評価は次の手立てを生み出す もとになることを再吟味 したい。2
五領域一つずつにおける個人の指導計画をつけるべ き力 との接点でカルテの作成がいる。3
年齢別発達状況について見返 しと実態の記録が必要である。教育課程の改善への提案
1
生活体験 を通 して自我の形成 をはか り、生 きる力を培 うことの中身の理論形成① 自然体験、社会体験をした後の評価から次の段階の目標 とその推進手立ての作成 (参 幼児期 にふさわ しい知的発達を促すための個の発達段階の再分析
③ 自我が芽生え、自己を抑制 しようとする気持ちが生れる幼児期の発達の特性‑の対応 とし ての会話教室のカリキュラムへの導入
④ 集団とのかかわ りを通 しての自己実現ができたという成就感の実感ができた事例累積
2
人‑の愛情を育てるためにルールがあることをもっと厳 しく教 える一方で、気持ちいいこと、してはならぬことを理解する道徳性の酒毒の重視 と推進
① 道徳性 を身につける場面の設定。正々堂々とぶつかれる勝負 とその結果のフォロー。
② 仲良 しになるための遊びや活動 を通 して、もっとうまく遊ぶにはどのようにす るか考え させて幼児自らが修正 していけるような場の企画
3 人間関係をつなげる手段で もある会話について領域 「言葉」、領域 「表現」 との一体化の授業
① 思ったこと、考えたことを相手 に伝 える力、特に、生活の中で自分がつらくなった時の 気持ちや気持ちが良かった ときの体験を個や集団に伝える機会をとる。
② 視聴覚教材、本などで仲良 しの持つ良さを味わい、お年寄 りや障害を持った幼児、動物 との交流を通 していたわ りの心情 と社会性 を養 う。
③ 疑問のことは聞 く習慣をつける。感動することの限 りない体験の機会 とその表現する力 をつける。
④ 地域の人や文化に触れる。
4
家庭や地域 との連携 と家庭教育への援助の見返 し家庭 との連携はお互いに錐 しい情況になりつつあるが、体 にある斑点まで理解 しない と心 にし みこむ援助は厳 しい といわざるを得 ない。特 に、虐待 と大切 にされす ぎの幼児はその成育暦 をつ かむこと、それを話せ るような両親 との温かみのある人間関係作 りが根底 にある。
お わ り に
領域 「人間関係」は、自立心 をつけることを目標 に他の人 と親 しみ、支え合 って生活することを通 して、仲良 くなる力 を養 うことが自立につながることを事例 をもって述べてきた。
人間関係 は煩わ しい、避けたい もの として定着 しそ うな現今であ り、人間関係の決着の仕方が暴力 とか死 とい うことも気 になる。心 に傷 を持った人の心身症や精神症発症 も増 えている。 しか も、最近 は、人間関係 を互いに関係 ない間柄では成立 させたが らないのに、人生を豊かにできた り成功するに は、人付 き合いのうまい方が有利 に作用することに対する多 くの苛立ちもあるといえる。
小 さい時か らスキンシップがあ り、豊かな会話があった人は、 コミニュケ‑シ ョン能力は豊かだ。
しか し、誰で も信頼感 にのっとって感情や思考伝達や意思疎通 を しあうことは難 しい問題ではない。
ただ、人間関係 をよくする仲良 くなることをただの技術 としてとらえるのでな く、仲良 しは自我形成 の条件であ り、信頼関係作 りの可否 にかかって くるので、 とにか くかかわ り、自他を繋げる能力 とし ての心情の深化や優 しさの形成 をはか りたい。さらに、自分の可能性や希望の実現には人 と付 き合 う ことによって発展することを確認 したい。特 に、乳幼児か ら幼児期は家族のまともな愛情によって基 礎はできる。なかんず く夫婦の仲良 しこそ子 どもの人格形成のコアであることは間違いない。ゆえに 若い夫婦の国家的援助 も急務 といえる。不安からくるとげとげしさか ら解放 させねばならない。
人間の変容は難 しい、 しか し、共感 したときには自己の本音の部分で、等質的快さの触れ合いによ って異質の質的変化 を起 こす ことがで きる。 この とき、葛藤やつ まず きをより多 く体験 させ、これを じっ くり問いかえし余裕の中で笑顔 に変 えるような幼児教育が必要で、これによって、生涯にわたっ て生 きる力 をつけて、優 しさ発揮が期待できよう。幼児期か らの自我形成 に質的変容がない と人間破 壊 に対応で きない時代である。その人間 らしい変化は、関係ない人 とも関われるようになる世の中を 皆で作 り、その大海で幼子 を遊 ばせ ることで発展できよう。まえが さの雪の男性のように方法は別 と
して も関わることは必要である。
参考文献
子育ての心理学
人間関係が楽になる会話心理学 困ったときのコミニュケ‑シ ョン 人間関係
保育内容人間関係第
2
版保育内容シリーズ人間関係第
2
版 幼稚園教育要領解説人間関係 理解 と誤解
中村延江 池田朝子 菅原裕子 柴崎正行 友松諦道編著
谷田公昭監修
文部省 加藤英俊KK
ベス トセラーズ 日本医学出版PHP
研究所 ひか りの くに建吊社
一重社中公新書 その他