平成 16 年度
スポーツ用自転車に関する
耐久調査事業報告書
目 次
調査の概要……… 2
大会当日に発生したトラブルの具体例…… 3・4・5
参加者のプロフィール……… 6・7
今回の大会で使われた主な自転車の種類………… 8
トラブル経験の有無……… 9
破損した部位……… 10
トラブルの内容……… 11
交換したパーツの有無……… 12
大会風景……… 13・14
質問用紙……… 15
調査の概要
この調査報告書は、「2004 全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば」の参加者 838 人を対象に聞 き取り調査とアンケート調査を行い、回答のあった 650 人の結果を取りまとめたものです(ただし参 加者の年齢についてのみ、公式プログラムに掲載された参加者リストより、全参加者のデータを抽出 しました)。 今年で〓回目を迎えた本大会の会場となった筑波サーキットは、コースの全長が 2070 mでコース 幅は 10 〜 15 m。複雑なコーナーで結ばれたテクニカルなレイアウトとなっているものの高低差は5 mとわずかで、優勝した「ル・マーケ・エスプレッソA」チームの平均速度が 39.37km/h に達するな ど、スピードを出しやすい条件がそろっています。 大会当日は接近する台風 16 号と前線の影響により降雨が予想されていましたが、幸いにも雨が降り 始めたのは翌朝になってからで、それも本降りとはならずにすみました。雨に備えてレイン用のホイー ルを用意したチームでも、交換せずに走り続けたところが多かったようで、各選手の走行に与えた影 響もわずかでした。 本年度の調査では、「高速走行という条件の下での 12 時間に及ぶ耐久走行が、自転車の車体に対し てどのような影響を及ぼすか」に主眼を置き、大会の最中に各チームのピットを訪問し、トラブルが 発生していないかどうか、スタート後に交換したパーツがないかどうかの聞き取り調査を行いました。 また、事前に参加者に配付したアンケートでは、①使用した自転車の種類(車種)、②過去の本大会 を含めてレースやサイクリングの最中に、走行不能(困難)となるトラブルに遭遇した経験の有無、 ③経験がある場合、そのトラブルの内容、④本大会に参加するにあたって安全を考慮して交換したパー ツの有無、などについて回答を得ました。 例年と同様に本調査報告書におきましても、集計した調査結果の一部に自転車関連メーカー名が記 載されております。国内の自転車関連メーカーに活用していただくうえで、メーカー名を伏せず積極 的に公表することが、自転車業界の発展に寄与できるものと判断したためです。あらかじめご承知願 います。 この調査報告書が、わが国の自転車メーカーおよび部品メーカーにとって、なんらかの形で参考に なれば幸いです。 最後に、この調査の実施にあたって、ご協力いただきました(財)日本オートスポーツセンター、 筑波サーキット、日本クローズドサーキット耐久レース協議会には、ここに深く感謝申し上げます。 財団法人 日本サイクリング協会大会当日に発生したトラブルの具体例
概要に記した通り、大会の最中に各チームのピットを訪問し、トラブルが発生していないかどうか、 スタート後に交換したパーツがないかどうかの聞き取り調査を行った。各チーム 1 人ずつに代表して うかがったため、その人が把握していないトラブルやパーツの交換があった可能性がないとはいえな いものの、おおよその傾向をつかむことは可能だ。 参加 174 チーム中、話をうかがうことができたのは 71 チーム。そのうちトラブルが発生したとい う回答があったのは 8 チーム(11.23%)、パーツを交換したという回答があったのは 7 チーム(9.86%) だった。トラブルの具体的な内容は以下の通りである。 ○落車した際に、サドルとブレーキブラケットを破損した。 ○転倒した際にブレーキ本体の左右のバランスが崩れ、ブレーキが片効きになった。 ○タイヤのグリップ力が低下して、コーナーでスリップした。 ○コーナーで後輪がスローパンクした。 ○チェーンに不具合が発生した。○タイヤ(ミシュラン・プロレース 700 × 20C +ビットリア・ラテックスチューブ)がパンクした。 ○周回をカウントするセンサーのブラケットが垂れ下がってしまった。 ○走行している最中にライトの電池が切れたため、電池を交換した。 ○ホイールを交換し、サドルのセッティングを調整した。 ○ホイールを入れ替えた際に、ディレーラーの振り幅を調整した。 ○走行に伴う振動で、ライトの位置が移動してしまったため、テールライトを付け直した。 ○譲り受けたフレームで、ハンドルの高さがライダーの体格に合わないため直そうとしたところ、 ステムナットのウスが錆びヘッドチューブに固着していた。ステムナットをいじるのは 3 年ぶり。 ○ピットでの停車中にパンク。空気を入れて1時間ほど経過。初めは「空気の入れ過ぎか」と思ったが、 実際にチェックしてみたところ、「リムテープの劣化によって、スポークの先でチューブに傷を付 けたのが原因では」と考えている。そのためチューブとともにリムテープも交換した。
○今回、このレースに出るために取り替えてきた新品のペダルクリート(SIDI・テクノ)が、ペダ ルからシューズを外す際に割れてしまった。 ○第 1 コーナーの坂を上っている最中に、ギヤのオーバーストロークでチェーンがロー側に落っこ ちて、スポークとフリースプロケットの間にチェーンがかみ込んでしまった。ライダーが、その 状態のままペダルを踏み込んだため、チェーンプレートが変形してしまった。それ以上走行する ことができなくなったため、自転車を押してピットに戻ってきた。変形したチェーンは、シマノ の HG。リヤディレーラーはシマノ 105。自転車本体も含め、買ってから 10 年が経過している。 このイベントに参加するために借りた自転車で、ライダー自身がロードレーサーに乗るのは初め て。オーバーストロークの原因は、チェーンが長過ぎたためと思われる。
参加者のプロフィール
男女別の内訳は、男性 70.76%(460 人)に対して女性 4.31%(28 人)となっている。記入なし 24.92%(162 人)の回答を差し引くと、男性 94.3%に対して女性 5.7%という男女比となる。 同日、長野県安曇村で行われた「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」参加者の男女比も、男性 92.6%(3092 人)に対して女性 7.4%(244 人)であり、男性が9割以上を占める傾向に変わりはな い。ただ、「全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば」は走行時間が長く、チームでの参加が前提となっ ていることから、男性の比率がよりいっそう高くなったものと考えられる。 一方で年齢別の内訳は、31 歳〜 40 歳が 39.95%(334 人)を占めてトップ。以下、21 歳〜 30 歳 36.48%(305 人)、41 歳〜 50 歳 14.11%(118 人)と続く。 これを同じく「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」と比べると、トップが 31 歳〜 40 歳 46.76%(1565 人)であることに変わりはないが、41 歳〜 50 歳 24.38%(816 人)、21 歳〜 30 歳 17.42%(583 人)となり、2位と3位が入れ替わる。51 歳〜の占める割合も、「全日本 12 時間耐久 サイクリング in つくば」が 5.50%(46 人)であるのに対し、「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」 では 10.10%(338 人)に達する。 「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」のほうが参加者の年齢層が高いのは、上記の内訳から歴然と している。両者を比べると、双方とも「自分自身の限界や記録への挑戦」という性格の大会であるものの、 個人参加のヒルクライム種目である「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」のほうが、それをより 鮮明に示している。年輪を重ねてきたサイクリストにとって、望ましい条件が整っているといえるだ ろう。 逆に「全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば」は、チーム対抗という形にはなるものの競技性 が高いことから、若いサイクリストの支持を集めているものと思われる。全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
参加者の男女比
全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍
参加者の男女比
男 94.26% (460人) 女 5.74% (28人) 男 92.69% (3093人) 女 7.31% (244人)職業に関しては、本調査結果から特に言及できるものはない。 〜20歳3.95%(33人)21歳〜30歳36.48%(305人)31歳〜40歳39.95%(334人)41歳〜50歳14.11%(118人)51歳〜5.50%(46人)
全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
参加者の年齢比
全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍
参加者の年齢比
全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
参加者の職業比
〜20歳 3.95% (33人) 21歳〜30歳 36.48% (305人) 31歳〜40歳 39.95% (334人) 41歳〜50歳 14.11% (118人) 51歳〜 5.50% (46人) 〜20歳 1.34% (45人) 21歳〜30歳 17.42% (583人) 31歳〜40歳 46.76% (1565人) 41歳〜50歳 24.38% (816人) 51歳〜 10.10% (338人) 会社員 349人 自営業 26人 公務員 19人 記入なし 206人 学生 19人 無職 6人 その他 25人今回の大会で使われた主な自転車の種類
ロードレーサーの使用が圧倒的という現状は、従来どおりである。しかも平成 14 年度と平成 15 年 度においてそれぞれ 70%であったものが、平成 16 年度においては 79.23%に達している。その影響 によってロードレーサー以外の各車種は、いずれも比率を減少させている(グラフ参照)。 これは完全鋪装のクローズドサーキットという筑波サーキットの特性に加え、「全日本 12 時間耐久 サイクリング in つくば」の参加者の意識が、より競技志向へとシフトしているためと考えられる。 トライアス ロンモデル 2.2% その他 3% ロードモデル 70% クロスモデル 0.8% MTBモデル 24%全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
で使われた主な自転車の種類(平成 14 年)
トライアスロンモデル0.46%(3台)ロードモデル79.23%(515台)クロスモデル1.38%(9台)MTBモデル18.77%(122台)全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
で使われた主な自転車の種類(平成 16 年)
トライアス ロンモデル 2% ロードモデル 70% クロスモデル 4% MTBモデル 23% その他 1%全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
で使われた主な自転車の種類(平成 15 年)
トライアス ロンモデル 0.46% (3台) ロードモデル 79.23% (515台) クロスモデル 1.38% (9台) MTBモデル 18.77% (122台)トラブル経験の有無
本年度のアンケートでは、過去の 12 時間耐 久サイクリング大会およびそれ以外において、 走行不能もしくは走行が非常に困難となるト ラブルを経験したことの有無を尋ねた。結果 はグラフに示したとおりで、約 10%の参加者 が「トラブルの経験あり」と回答した。 従来のアンケートにはない初めての設問項 目であったため、この数字が多いのか少ない のかの判断はつきかねる。ただし、フレーム の損傷といった深刻なトラブルに見舞われた 例はごく少なく、タイヤのパンク程度の軽微 なトラブルで、「たまたまスペアチューブ(タ イヤ)やメンテナンスキットを持っていなかっ たために走行できなくなった」という例が多 い。 前設問の解説で、「参加者の意識が、より競 技志向へとシフトしている」と述べたが、競 技の中でもロードレース志向の場合には、練 習にしろ大会にしろオンロードとなるわけで、 オフロードと比較して深刻なトラブルが発生する可能性は格段に低下する。 今回の調査結果は、競技志向が強まっている(特にロードレースの)という、本大会参加者の特性 を踏まえたうえで評価を下す必要があるだろう。 過去の12時間耐久中に経験あり8人経験なし589人それ以外に経験あり53人全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
&その他でのトラブル経験の有無
過去の12時間耐久中に経験あり 8人 経験なし 589人 それ以外に経験あり 53人破損した部位
母集団を回答者全体としたため、 破損した部位それぞれを選択した回 答の比率は低い。ただしそのなかに おいては、タイヤ 6.00%(39 人) とホイール 2.77%(18 人)を選択 した回答が目につく。 これは軽微なトラブルも含まれる という理由のほか、重量や空気抵抗 のさらなる軽減や走行感の向上を図 るために、耐久性能に制約が生じて いることが考えられる。例えば従来 のブチルチューブと比較して振動吸 収性やグリップ性能に優れるラテッ クスチューブは、その一方で空気保 持性能が劣るため、空気圧の管理を しっかりしないとパンクを起こしや すい。空気抵抗を減らすためのスポー ク本数の削減も、その分スポーク1 本当たりの役割が増し、テンション バランスが崩れやすいなどの問題点 を抱えている。 逆にブレーキ・駆動系・変速機などはコンポーネント化が進んでいるため、軽量化と耐久性能の向 上をトータルで実現することが可能であり、アンケートの結果で見るように回答の比率が低くなった ものと思われる。 6.00% 4.00% 2.00% 0.00% フ レ ー ム ホ イ ー ル タ イ ヤ ブ レ ー キ 駆 動 系 変 速 機 そ の 他 7人 18人 39人 5人 12人 9人 4人全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
&その他において破損した部位
トラブルの内容
本調査において、トラブルが生じたときの具体的な状況について自由回答式で尋ねた。回答数が少 なかったため全体的な傾向を把握することはできないが、参考となればと考え、以下に列記する。 ○下り坂で、リヤホイールのスポークが破断した。 ○荷物を積んで旅行中、15cm ぐらいの段差を下りたとき、リヤのサイドバッグがキャリアより外 れて後輪にからまり、その結果、スポークが折れ、リムとキャリアが曲がった。それでも無理や り走ろうとしたところ、リヤタイヤ(パナソニックの 26 × 1.95HE)とキャリアが擦れ、タイヤ がバーストした。 ○雨中、マンホールの角に当たってタイヤがパンクした。チューブラータイヤの交換が面倒くさかっ たため、タクシーで帰宅した。 ○直進中、急に飛び出した自転車に激突。フロントホイールが歪んでフォークが曲がり、フロント ブレーキ本体(シマノ)が破損した。幸いにもケガは打撲程度ですんだ。 ○スタートで力を込めて漕ぎ始めたら、スポークが折れた。 ○道路を走行中に、ガラスを踏んでタイヤ(ミシュランの 23C)がパンクした。 ○林道を走行中に、溝でリムを打ってリムが破損し、タイヤ(ビットリアの 26C チューブラー)が バーストした。 ○ペダルを踏み込んだらチェーンが切れた。 ○サイクリング中、何かを踏んで数分後にタイヤ(IRC の 23CWO)がパンクした。チューブにハ の字型に穴が開いていた。 ○チェーン交換作業時にミスをして、チェーンが破損した。 ○一般公道を走行中にパンク。予備タイヤと工具がなかったために走行不能となってしまった。 ○リヤディレーラーが効かなくなった。トップ下のみ。 ○山中を MTB で走行中に、パンク&リムが破断。 ○リフレクターが突然点滅しなくなった。 ○荒川の土手を走行中に後輪(ミシュランの 23CWO)がパンクした。 ○アルミ製スポークが1本切断したために、リムがブレーキに当たってしまい、走行できなくなった。 ○プーリーのネジがゆるんだためリヤメカ(シマノ)本体が分解し、部品を喪失してしまった。 ○ WO タイヤのパンクのほかには、MTB クロスカントリーのレース中にチェーン切れしたことが あるが、その場で修理できた。 ○転倒してサドルが破損したことがあるが、どうにか乗れた。 ○自分を追い抜いた人が、目の前に入ったすぐ後に転倒。巻き込まれて顔から地面に突っ込んだ。 その際にブレーキレバー(シマノ)とリヤメカ本体(シマノ)とサドルが破損した。 ○後輪がちゃんとはまっていなかった。 ○集団落車をして右側に倒れたときに、フロントブレーキ(シマノのデュラエース)本体のアーチ のシャフトが曲がってしまった。交換したパーツの有無
同様の調査は昨年度も行ったが、今年度は 「安全を考慮して」という限定をつけて尋ねた。 その結果 10.92%(71 人)の参加者が、なん らかのパーツを交換していた。さらに交換し たパーツの種類を尋ねたところ、タイヤ(48 人)が群を抜いて多く、以下ブレーキシュー(11 人)、チューブ(8 人)と続いた。 10 人に1人という数は比較的高いものと思 われ、参加者の安全に対する意識の高さがう かがえる。また、本大会では参加者全員に車 検自己申告書の提出を求めており、これがパー ツ交換の動機付けとなっていることも考えら れる。 タイヤやブレーキシューを挙げた人が多 かったのは、大会当日は雨が降ることが予想 されており、濡れた路面でのスリッ プやブレーキの効きの悪化を想定し て交換したものと思われる。全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
への参加に備えて交換したパーツの種類
あり71人なし579人全日本 12 時間耐久サイクリング in つくば
への参加に備えて交換したパーツの有無
あり 71人 なし 579人 7.00% 6.00% 5.00% 4.00% 3.00% 2.00% 1.00% 0.00% 8.00% タ イ ヤ ブ レ ー キ シ ュ ー チ ュ ー ブ ワ イ ヤ 反 射 板 & テ ー ル ラ イ ト ホ イ ー ル チ ェ ー ン そ の 他 48人 11人 8人 5人 6人 4人 3人 9人※差し支えなければ、○年齢( 歳) ○性別(男・女) ○職業( )をお答えください。 ※12時間耐久サイクリングの開催中にみなさんのところにお邪魔して、この大会中にトラブルが発生していな いかどうかをうかがいます。多忙かつお疲れのことと思いますが、ご協力よろしくお願いします。