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カラム試験における通水方法の違いが移流分散特性に及ぼす影響について

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カラム試験における通水方法の違いが移流分散

青木 一男*、日置 和昭** 1.はじめに 汚染物質の移流分散特性や透過性浄化壁の浄化性 能などを評価するため,カラム試験が広く用いられ ている(本論文では,汚染物質の移流分散特性を求 めるための室内試験法としてのカラム試験について 議論する)。しかし,試験方法(試験仕様,通水方法 など)や評価方法(整理方法,同定方法など)につ いては未だ基準化されておらず,試験方法や評価方 法の違いが移流分散特性に及ぼす影響について十分 に議論されていないのが現状である。 移流分散特性(地盤環境パラメーター)を評価す るためのカラム試験では,トレーサーとして塩化ナ トリウム(NaCl)水溶液が用いられることが多い。 しかし,NaCl水溶液を用いる場合,NaCl水溶液の浸 透過程(NaCl水溶液濃度の増加過程)で拡散二重層 の厚さが徐々に減少するため1) ,通水方法(流量一定 条件,水頭差一定条件)の違いによって求まる移流 分散特性に有意な差が生じる可能性がある。すなわ ち,通常,カラム試験では,バックグラウンド水溶 液(筆者らは,脱気精製水を用いることが多い)を 通水し定常状態を得た後,バックグラウンド水溶液 と同じ通水条件(Darcy流速q)で試験溶液(ここで は,NaCl水溶液)の通水を開始するが,NaCl水溶液 の浸透過程において,粘土鉱物表面のごく近傍に形 成された拡散二重層の厚さが減少し,試料の透水性 が増大する可能性がある。例えば,金ら2)は,ベント ナイトの場合,NaCl水溶液濃度が増加するに伴い液 性限界が減少し,透水性が増大すること,液性限界 とζ電位(拡散二重層の性質を代表する指標)3)の変 化傾向は極めてよく類似すること,などを室内実験 により明らかにしている。また,農学関係4)では,間 隙水をバルク水(比較的スムーズに移動する間隙水) と電気拡散二重層(土粒子近傍の電気化学的な力で 拘束される水膜)に区別し,拡散二重層中の間隙水 はスムーズに移動し難いものと考えられている。こ こで,“NaCl水溶液濃度が増加するに伴い,拡散二 重層の厚さの減少に起因して試料の透水性が増大す る”と仮定すると,流量一定条件下では,NaCl水溶 液通水直後のqを試験中維持できるのに対して,水頭 差一定条件下では,NaCl水溶液の浸透過程で流出水 の流量Q,すなわちqが徐々に増大するものと推察さ れる。 本論文では,まず陽イオン交換容量が異なる 2 種 類の砂質系試料を対象に,NaCl 水溶液を用いたカラ ム試験を実施し,通水方法の違いが破過曲線に及ぼ す影響について検討した。次に,カラム試験により 得られた破過曲線に通水方法を考慮した移流分散特 性を間接法逆問題として定式化し,その同定手法を 示すとともに,通水方法の違いが移流分散特性に及 ぼす影響について議論した。 2.試料および試験方法 今回,カラム試験に用いた砂質系試料は,試料 A: 豊浦標準砂,試料 B:東京都の臨海地区で採取した シルト質細砂の 2 種類である。各試料の諸性質を表 -1 に示す。 表―1 試料の諸性質

特性に及ぼす影響について

(財)日本地下水理化学研究所コーナー 試料A 試料B 2.65 2.65 100 83 0 12 0 5 <0.05 <0.05 6.92 7.16 Ca2+ (meq/100g) 0.193 5.666 Mg2+ (meq/100g) 0.025 0.405 K+ (meq/100g) 0.017 0.211 Na+ (meq/100g) 0.034 0.073 ∑(meq/100g) 0.269 6.355 粘土分 (%) 強熱減量 (%) pH 吸着イオン 組成 土粒子の密度 ρs (g/cm3 ) 砂分 (%) シルト分 (%) * あおき かずお・大阪工業大学 **ひおき かずあき・不動建設株式会社

(2)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 20 40 60 80 100 t (min) C/ C0 流量一定条件(Clイオン) 流量一定条件(Naイオン) 水頭差一定条件(Clイオン) 水頭差一定条件(Naイオン) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 500 1000 1500 2000 2500 t (min) C/ C0 同表には,一般的な土壌に対する代表的な吸着イ オン(Ca2+,Mg2+,K+,Na+)の量を示しており,試 料Bの陽イオン交換容量は試料Aと比較し 24 倍程度 であることを知ることができる。また,各試料にお ける吸着イオン中のカルシウムイオン(Ca2+)の占 める割合は,試料A:72%(0.193/0.269),試料B: 89%(5.666/6.355)となっており,各試料ともに Ca系の土壌であることがわかる。 次に,試験手順の基本的な流れを以下に示す。 ① 直径 5cm,長さ 10cmの浸透カラムに,所定の密 度となるように乾燥試料を入れ,吸引ポンプ(吸 引圧:-100cmH2O)を用いて,脱気精製水にて 飽和状態にした。 ② 所定濃度(35,000mg-NaCl/l)のNaCl水溶液を水頭 差一定条件(オーバーフロー型;動水勾配i=0.1) で通水させ,流出水の塩素イオン(Cl-)濃度を イオン電極法により,またナトリウムイオン (Na+)濃度を原子吸光分析により測定した。な お,NaCl水溶液の通水は,Na+の比濃度(C/C 0) がほぼ 1.0 になるまで続け,流出水の流量Qも併 せて測定した。 ③ 所定濃度(35,000mg-NaCl/l)のNaCl水溶液を流量 一定条件(定流量ポンプ型;水頭差一定条件にお ける通水開始直後のQと同量)で通水させ,流出 水のCl-濃度とNa+濃度を水頭差一定条件と同様 の方法で測定した。なお,NaCl水溶液の通水は, Na+のC/C0がほぼ 1.0 になるまで続け,流出水のQ も併せて測定した。 3.試験結果および考察 流量一定条件(Clイオン) 流量一定条件(Naイオン) 水頭差一定条件(Clイオン) 水頭差一定条件(Naイオン) 試料Aおよび試料Bに対するCl-とNa+の破過曲線 を図-1~2 に,流出水の流量Qの経時変化を図-3 ~4 に示す。また,Qから想定されるDarcy流速qの経 時変化を図-5~6 に示す。まず,試料Aに着目する と,Cl-,Na+ともに,通水方法の違いによって破過 曲線に有意な差は生じていないことがわかる。これ は,流量一定条件下でのqを水頭差一定条件でのqと ほぼ同程度に制御できたためである。次に,試料B に着目すると,Cl-,Na+ともに,通水方法の違いに よって破過曲線に有意な差が生じていることがわか る。これは,流量一定条件下でのqを水頭差一定条件 下でのqと同程度に制御できなかった(水頭差一定条 件下では,時間の経過に伴ってqが徐々に増大する傾 向にあった)ためである。すなわち,陽イオン交換 容量が比較的大きい試料Bでは,NaCl水溶液濃度の 増加に伴って試料の透水性が増大し,qが増大したも のと考えられる。 以上より,試料Aのように陽イオン交換容量が小さ い試料では,通水方法の違いが破過曲線に及ぼす影 響は無視できるほど小さいが,試料Bのように陽イ オン交換容量が比較的大きい試料では,通水方法の 違いが破過曲線に及ぼす影響はかなり大きいことが 明らかとなった。以下に,陽イオン交換容量が比較 的大きい試料Bに対して,通水方法の違いが地盤環 境パラメーター(ne,D,R)に及ぼす影響について 議論する。 図-1 Cl-とNa+の破過曲線(試料A)

図-2 Cl

とNa

+

の破過曲線(試料B)

(3)

0.0 5 0 5 0 0 20 40 60 80 100 t (min) Q  (cm 3 /m in) 0. 1. 1. 2. 流量一定条件 水頭差一定条件 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 500 1000 1500 2000 2500 t (min) Q   (cm 3 /m in) 流量一定条件 水頭差一定条件 0.000 .020 .040 0.060 .080 .100 0 20 40 60 80 100 t min) q  (c m /m in) 0 0 0 0  ( 流量一定条件 水頭差一定条件 0.000 0.005 0.010 0.015 0.020 0.025 0 500 1000 1500 2000 2500 t  min) q  (cm /m in) ( 図-3 Q の経時変化(試料 A) 流量一定条件 水頭差一定条件 図-4 Q の経時変化(試料 B) 図-5 q の経時変化(試料 A) 図-6 q の経時変化(試料 B) 4.地盤環境パラメーターの同定手法 (1) 流量一定条件下での同定手法 流量一定条件下における地盤環境パラメーター(ne, D,R)の同定には,(1)式に示す基礎方程式を(2)式 に示す初期条件と(3)式に示す境界条件のもとで解 かれた理論解(4)式5),および(4)式のうちR=1 とみな した(5)式を用いた(Cl-のような非吸着性トレーサ ーを使った場合,(4)式中のRは 1 とみなすことがで きる)。 x C q x C D n t C R n 2 2 e e ∂ − ∂ ∂ = ∂ ∂ (1) (2) 0 ) 0 t , x ( C = = (3) 0 x , 0 ) t , x ( x C , qC qC x C D n 0 0 x e = ≠ ∂ = ⎥⎦ ⎤ ⎢⎣ ∂ + ∂ − = (4) (5) ここに,ne:有効間隙率,C/C0:比濃度,R:遅延 係数,L:カラム長さ(cm),q:Darcy流速(cm/min), t:経過時間(min),D:分散係数(cm2/min)である。 未知パラメーター(ne,D,R)を同定する手法と しては,定式化の容易さ,追加情報の処理および誤 差評価のし易さなどから間接法を採用し,実験値と してはカラム試験により得られたC/C0を用いた。間 接法による同定問題では,式(6)に示すように,未知 パラメーターを仮定して得られた解析値と実験値と の残差二乗和Eを最小にするパラメーターを推定す るという手法がよく用いられる。本論文では,式(6) ⎡ ⎥ ⎥ ⎦ ⎤ ⎢ ⎢ ⎣ ⎡ + ⎭ ⎬ ⎫ ⎩ ⎨ ⎧ + ⎥ ⎥ ⎦ ⎤ ⎢ ⎢ ⎣ ⎡ = t ) R n )( D n ( 2 qt L ) R n ( erfc ) D n ( qL exp 2 1 t ) R n )( D n ( 2 qt L ) R n ( erfc 2 1 C C e e e e e e e 0 ⎥ ⎥ ⎦ ⎤ ⎢ ⎢ ⎣ ⎡ + ⎭ ⎬ ⎫ ⎩ ⎨ ⎧ + ⎥ ⎥ ⎦ ⎤ ⎢ ⎢ ⎣ ⎡ = t n ) D n ( 2 qt L n erfc ) D n ( qL exp 2 1 t n ) D n ( 2 qt L n erfc 2 1 C C e e e e e e e 0

(4)

0.001 010 100 000 1 10 100 1000 10000 t (min) q  (cm /m in) 0. 0. 1. を最小化する手法として,定式化のし易さから Gauss-Newton法を用いることとした。 実験値 解析値 (6) ここに,E:残差二乗和,L:実験値の数,(C/C0) l 仮定されたパラメーターに基づき得られた解析値, (C/C0) l ob:実験値である。 未知パラメーター(ne,D,R)を同定する手順と しては,まず,Cl-の破過曲線に基づいて(5)式を用 い,2 個のパラメーター(ne,D)を同時に同定した。 すなわち,実験値の中で最も信頼性の高いC/C0を用 いて,実験値とne,Dを仮定して得られた解析値との 残差二乗和を最小にするne,Dを推定した。次に,推 定したne,Dを(4)式に代入し,未知パラメーターをR のみとしたうえで,Na+の破過曲線に基づいてRを同 定した。ne,Dと同様,実験値の中で最も信頼性の高 いC/C0を用いて, 実験値とRを仮定して得られた解 析値との残差二乗和を最小にするRを推定した。な お,本論文では,“カラム試験における流速が比較的 大きい場合には,溶質種に依存する拡散特性は無視 できるため,Cl-とNa+のDは同じ値(ただし,流速 が同じ場合)を示す”6)ものと仮定し,Rの同定を行 った。また,流量一定条件下では,NaCl水溶液濃度 の増加に伴って試料の透水性が増大すると,動水勾 配iが減少するため,各パラメーター(ne,D,R)に 何らかの影響を及ぼす(各パラメーターの値は,時 間の経過とともに変化する)ものと推察されるが, 本論文では試験開始から終了までの平均的な値を同 定した(各パラメーターの経時変化を同定したもの ではない)。 (2) 水頭差一定条件下での同定手法 水頭差一定条件下における地盤環境パラメーター (ne,D,R)の同定には,流量一定条件下と同様, (4)式および(5)式を用いた。ただし,時間経過に伴う qの増大を考慮するため,qとtの関係を電解質物質な どの吸着等温式としてよく用いられる(7)式7)により 定式化することとした。なお,(7)式は,両辺の対数 を取ることにより,式(8)のようなlogqとlogtの線形関 係に変形することができる。 (7) n mt q= (8) t log n m log q log = + 2 L 1 l 1 ob 0 l 0 C C C C E ∑ = ⎪⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪⎩ ⎪ ⎨ ⎧ ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ − ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ = ここに,m,n:定数である。 カラム試験により得られた q と t の関係に対し,(8) 式を適用した結果を図-7 に示す。実験値と解析値 (ただし,m=0.009,n=0.069)は,比較的良い相 関関係を示しており,時間経過に伴う q の増大をほ ぼ的確に表現しているものと考えられる。 図-7 (6)式による解析値と実験値の相関関 なお,未知パラメーター(ne,D,R)の同定手法 および同定手順については,流量一定条件下と同様 とした。また,水頭差一定条件下では,NaCl水溶液 濃度の増加に伴って試料の透水性が増大すると,q が増大するため,各パラメーター(ne,D,R)に何 らかの影響を及ぼす(各パラメーターの値は,時間 の経過とともに変化する)ものと推察されるが,本 論文では試験開始から終了までの平均的な値を同定 した(各パラメーターの経時変化を同定したもので はない)。 (3) 実験値の選択方法 地盤環境パラメーター(ne,D,R)を同定する場合, どの実験値を用いても,正確な同定結果が得られると は限らない。中には不適切問題となる場合もある。そ こで,同定に用いる実験値として,どのデータを選択 するのが最適であるかを判断する一つの指標として, 各パラメーターに対するC/C0の感度分析を行った。こ こで,感度分析とは,各パラメーターが微小変化した ときのC/C0の変化率を求めるものである。

(5)

-3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 比濃度 C/C0 感度 値 流量一定条件 水頭差一定条件 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 比濃度 C/C0 感度値 ( m in / c m ) 図-8 に示すような破過曲線(ただし,ne=0.4,D =0.1(cm2 /min),R=2)について,qを一定とした場 合(q=0.025cm/min),およびqを時間経過に伴い増 大させた場合(m=0.025,n=0.05)における各パラ メーター(ne,D,R)に対するC/C0の感度値分布を 図-9~11 に示す。これらの図より,流量一定条件 と水頭差一定条件では,感度値に大きな差異は認め られないことがわかる。以下に個々のパラメーター の感度値について考察する。 2 流量一定条件 水頭差一定条件 図-8 感度値の算定に用いた破過曲線 図-9 neに対するC/C0の感度値の分布 図-10 Dに対するC/C0の感度値の分布 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 比濃度 C/C0 感度 値 流量一定条件 水頭差一定条件 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 500 1000 1500 t (min) C/ C 図-11 Rに対するC/C0の感度値の分布 まず,neに対するC/C0の感度値(絶対値)は,低比 濃度領域で小さく,中比濃度領域で最大となり,高 比濃度領域で再び小さくなる。このことから,neの 同定に用いる実験値としては,C/C0が 0.20~0.90 の 範囲にある中比濃度領域のデータが適しているもの と考えられる。一方,Dに対するC/C0の感度値(絶 対値)は,低比濃度領域で大きく,中比濃度領域で 最小となり,高比濃度領域で再び大きくなる傾向に ある。これより,Dの同定に用いる実験値としては, C/C0が 0.05~0.60 の範囲にある低比濃度領域のデー タと,C/C0が 0.80~0.95 の範囲にある高比濃度領域 のデータが適しているものと考えられる。したがっ て,これら両者を同時に同定する場合には,低比濃 度領域から高比濃度領域までの幅広い範囲の実験値 が必要となってくる。 次に,Rに対するC/C0の感度値(絶対値)は,neと 同様,低比濃度領域で小さく,中比濃度領域で最大 となり,高比濃度領域で再び小さくなる。したがっ て,Rの同定に用いる実験値としては,C/C0が 0.20 ~0.90 の範囲にある中比濃度領域のデータが適して いるものと考えられる。 以上より,本論文では,ne,Dを同定する場合には 低比濃度領域から高比濃度領域までの幅広い範囲か ら実験値を選択し,Rを同定する場合には中比濃度 領域を中心に実験値を選択した。 5.同定結果および考察 各パラメーターの同定結果(試験開始から終了ま での平均的な値)を表-2 に示す。また,同定され たパラメーターを用いて順解析を行い求めた破過曲 0 流量一定条件 水頭差一定条件

(6)

線と実験値を比較したものを図-12~13 に示す。こ れによると,流量一定条件,水頭差一定条件ともに, 実験値と解析値は良好な一致を示しており,本論文 で示した同定手法の妥当性が明らかとなった。以下 に個々のパラメーターについて考察する。 表-2 各パラメーターの同定結果 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 500 1000 1500 2000 2500 t (min) C/ C 0 実験値(Clイオン) 実験値(Naイオン) 解析値(Clイオン) 解析値(Naイオン) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 500 1000 1500 2000 2500 t (min) C/ C 0 実験値(Clイオン) 実験値(Naイオン) 解析値(Clイオン) 解析値(Naイオン) 図-12 同定結果に基づくC/C0の解析値と実験値 (流量一定条件) 図-13 同定結果に基づくC/C0の解析値と実験値 (水頭差一定条件) まず,流量一定条件下と水頭差一定条件下でのne およびRを比較すると,ほぼ同値となっており,通 水方法の違いがneやRの同定結果に及ぼす影響は小 さいものと考えられる。一方,Dを比較すると,水 頭差一定条件下の方が大きい値(約 1.6 倍)となっ ているが,これはqが大きいためである。一般に,D は(9)式(分子拡散現象に起因する有効拡散係数Ddを 無視した場合)に示すように,qに比例するため,水 頭差一定条件下のDの方が大きい値を示したものと 考えられる(ただし,neがほぼ同値を示すことが前 提である)。以上より,neおよびRに関しては,通水 方法の違いが同定結果に及ぼす影響は小さいものと 考えられるが,Dに関しては,同定結果に及ぼす影 響は比較的大きく,同定結果に有意な差が生じる可 能性がある。 D (cm2/min) Cl- 〔1.000〕 Na+ 1.482 Cl- 〔1.000〕 Na+ 1.508 0.026 0.041 測定イオン 流量一定条件 水頭差一定条件 0.514 0.503 ne R 通水方法 e L n q D α= (9) ここに,αL:分散長(cm)である。 次に,水頭差一定条件下における破過曲線に対して, 流量一定条件下(q=0.010cm/min:試験開始直後の Darcy流速を適用)として各パラメーターの同定(試験 開始から終了までの平均的な値)を行った。その結果, ne=0.384,D=0.034,R=1.443 となり,時間経過に伴 うqの増大を考慮した同定手法(水頭差一定条件下での 同定手法)による同定結果(表-2 参照)と比較して, neをかなり小さく評価してしまうことがわかった。こ のことから,陽イオン交換容量が比較的大きい試料を 対象に,水頭差一定条件でカラム試験を実施する場合 には,流出水のQを測定し時間経過に伴うqの増大を考 慮したうえで,各パラメーターの同定を行う必要があ るものと考えられる。 6.まとめ カラム試験における通水方法の違いが破過曲線や 移流分散特性(地盤環境パラメーター)に及ぼす影 響について実験的,数値解析的に種々の検討を行っ た。得られた結果を要約すると以下のとおりである。 (1) 陽イオン交換容量が異なる 2 種類の砂質系試 料を対象に,流量一定条件下および水頭差一 定条件下でカラム試験を実施し,陽イオン交 換容量が小さい試料では,通水方法の違いが 破過曲線に及ぼす影響は無視できるほど小さ いが,陽イオン交換容量が比較的大きい試料

(7)

では,通水方法の違いが破過曲線に及ぼす影 響はかなり大きいことを確認した。 (2) 通水方法(流量一定条件,水頭差一定条件) を考慮した移流分散特性を間接法逆問題とし て定式化し,その同定手法を示した。また,1 次元移流分散方程式に用いられる各パラメー ター(ne,D,R)に対するC/C0の感度分析を 行い,流量一定条件と水頭差一定条件では感 度値に大きな差異は認められないこと,neとD を同時に同定する場合には低比濃度領域から 高比濃度領域までの幅広い範囲の実験値が必 要になること,Rの同定に用いる実験値として は中比濃度領域のデータが適していること, などを明らかにした。 (3) 本論文で提案した同定手法(流量一定条件 下,水頭差一定条件下)にしたがって,地 盤環境パラメーター(ne,D,R)の同定(試 験開始から終了までの平均的な値)を行い, 同定手法の妥当性について検証するととも に,通水方法の違いが移流分散特性(地盤 環境パラメーター)に及ぼす影響について 考察した。 参考文献 1) Bolt,G.H.and Bruggenwert,M.G.M.編著 /岩田進午・三輪睿太郎・井上隆弘・陽捷行 訳 (1980):土壌の化学,学会出版センター,pp.43 -55. 2) 金亨柱・吉国洋・鶴ヶ崎和博(1991):拡散二重 層理論による超軟弱粘土の圧縮性および透水生 の評価,土質工学会論文報告集,Vol.31,No.3, pp.175-184. 3) 例えば,土質工学編(1978):土質工学における 化学の基礎と応用(「土質基礎工学ライブラリー 15」),土質工学会,pp.34-61. 4) 日本土壌肥料学会(1987):移動現象,博友社. 5) 進士喜英・小橋創一・大山将(2002)・小山孝: 移流分散方程式における分散係数と有効間隙率 に関する一考察,第 37 回地盤工学研究発表会平 成 14 年度発表講演集,pp.2309-2310. 6) 社団法人地盤工学会関西支部(2003):地盤環境 汚染-試験法と活用-,pp.71-72.

7) Sposito,G.(1980):Derivation of the Freundlich

equation for ion exchange reactions in soil,Soil Sci. Soc.Am.J.,Vol.44,pp.652-654

参照

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