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代中期には徳島県のヤマモモ果実生産額は 温州ミカン カキ ウメに次いで第 4 位の地位を占めていたが 大正時代以降は他の果樹の隆盛に圧倒されて次第に衰退した 平成 15 年における栽培面積は 50.9ha で 収穫量は 53t その内加工向けが 21.6t である 徳島県の栽培面積は 37.1ha

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ヤマモモ

1.原生地と産地形成

1 ) 分 類 と 来 歴 ヤ マ モ モ は ヤ マ モ モ 属 に 属 す る 常 緑 樹 で あ る 。ヤ マ モ モ 属 に は 亜 熱 帯 地 方 を 中 心 に 30 余 種 が 分 布 す る 。 ヤ マ モ モ の 野 生 樹 の 分 布 は 中 国 大 陸 東 南 部 、台 湾 、フ ィ リ ピ ン 、朝 鮮 半 島 南 部 、 日 本 西 南 部 に 自 然 分 布 す る 。 ヤ マ モ モ は 、中 国 で は 新 石 器 時 代 、7000 年 前 の 遺 跡 か ら 種 子 が 出 土 し て お り 、ま た 、唐 の 時 代 に 多 く 植 栽 さ れ て い た よ う で あ る 。わ が 国 で も 縄 文 時 代 初 期 の 遺 跡 か ら 出 土 し て い る 。わ が 国 に お け る ヤ マ モ モ の 記 録 は 、『 万 葉 集 』( 780 年 頃 成 る )、『 古 事 記 』( 712)に は な く 、『 出 雲 風 土 記 』、 『 続 日 本し ょ く に ほ ん紀ぎ 』( 797 年 撰 進 ) に 「 楊 梅 」 と し て 現 れ 、『 本 草 和 名 』( 918、 深 江 輔 仁 の 撰 )に「 也 米 毛 毛 」と 表 現 さ れ て い る こ と か ら 、平 安 時 代 以 前 に 和 名 と し て 定 着 し て い た も の と 推 察 さ れ て い る 。 2 ) わ が 国 に お け る 栽 培 概 況 現 在 の 主 産 地 で あ る 徳 島 県 の ヤ マ モ モ 栽 培 の 歴 史 は 極 め て 古 い と 思 わ れ る が 、残 念 な が ら 記 録 に 乏 し い 。徳 島 県 の ヤ マ モ モ に つ い て は 、元 禄 15 年 ( 1702) の 阿 波 藩 御 触 れ 書 で “ 五 木 ”( マ ツ 、 ス ギ 、 ヒ ノ キ 、 ク ヌ ギ 、ヤ マ モ モ )の 植 林 を 村 々 に 命 じ た の が 、現 在 残 る 記 録 と し て 最 古 の も の の よ う で あ る 。当 時 は 食 用 と し て は 勿 論 で あ る が 、用 材 、樹 皮 の 採 収 が 目 的 で あ っ た と 思 わ れ る 。 嘉 永 年 間( 1850)に は 阿 波 藩 の 喜 田 辰 吉 と 住 吉 兼 五 郎 の 2 人 が 、ヤ マ モ モ の 改 良 を 図 り 、優 良 種 の 選 抜 、接 ぎ 木 繁 殖 を 研 究 し て い る 。藩 主 に 献 上 し た こ と か 名 付 け ら れ た と さ れ る‘ 御 前 ’や 採 草 地 で 見 つ け た と さ れ る‘ 肥 山 ’等 、現 存 す る 在 来 品 種 の 多 く が こ の 時 期 に 選 抜・ 命 名 さ れ て い る 。 明 治 23 年 ( 1890) 頃 、 こ れ ま で 徳 島 市 場 を 限 度 と し て い た も の が 、 初 め て 阪 神 市 場 へ 進 出 し 、需 要 の 増 加 か ら 栽 培 面 積 も 急 増 し た 。明 治 時

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代 中 期 に は 徳 島 県 の ヤ マ モ モ 果 実 生 産 額 は 、温 州 ミ カ ン 、カ キ 、ウ メ に 次 い で 第 4 位 の 地 位 を 占 め て い た が 、大 正 時 代 以 降 は 他 の 果 樹 の 隆 盛 に 圧 倒 さ れ て 次 第 に 衰 退 し た 。 平 成 15 年 に お け る 栽 培 面 積 は 50.9ha で 、 収 穫 量 は 53t、 そ の 内 加 工 向 け が 21.6t で あ る 。 徳 島 県 の 栽 培 面 積 は 37.1ha で 73% を 占 め 、 次 が 高 知 県 の 6.7ha、兵 庫 県 と 岡 山 県 の 2.2ha、鹿 児 島 県 、愛 媛 県 等 で あ る 。

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2.分類と品種

1 ) 分 類

ヤ マ モ モ ( 楊 梅 ) の 学 名 は 、Myrica rubra Sieb.et Zucc.で 、 常 緑 の 高 木 で 大 き い も の は 高 さ 15m、幹 径 1m 以 上 に も 及 ぶ 。ま た 、果 面 が「 シ ロ モ モ 」 と 称 す る 白 色 果 の 変 種 も あ る 。 ヤ マ モ モ の 染 色 体 数 は 2n= 16 で あ る 。 2 ) 品 種 品 種 は 、一 般 的 に は 、果 実 の 色 で ク ロ モ モ 、ア カ モ モ 、シ ロ モ モ に 区 分 し て い る 。ヤ マ モ モ の 品 種 に は 、在 来 系 を 中 心 に 極 め て 多 数 の 品 種 が 成 立 し て い る 。 し か し 、 異 名 同 種 と い わ れ る も の も 多 く 、 ま た 、 識 別 が 困 難 な 系 統 も あ る 。こ れ ら の う ち 、実 際 に 商 品 栽 培 さ れ て い る も の は 、 在 来 系 で 伝 統 的 に 栽 培 さ れ て き た 系 統 数 種 と 、近 年 特 に 苗 木 の 生 産 の 多 い ‘ 瑞 光 ’‘ 森 口 ’ 等 に 限 ら れ て い る 。 ○ 瑞 光 ( 近 藤 も も ) 中 国 福 建 省 温 州 か ら 、大 正 2 年 頃 導 入 さ れ た 中 ~ 晩 生 の 品 種 で 、‘ 森 口 ’ と 並 ん で 主 力 品 種 と な っ て い る 。 果 実 は 直 径 2.5 ㎝ 位 で 大 き い が 、 酸 味 が 強 い 品 種 で あ る 。接 ぎ 木 後 の 結 実 開 始 は 早 く 、4~ 5 年 で あ る 。ま た 、 連 年 よ く 結 実 す る 。 ○ 森 口 ‘ 森 口 ’ と ‘ 広 東 ’ は 類 似 性 が 高 く 同 種 と も い わ れ る 。 中 国 広 東 な い し 台 湾 か ら 導 入 さ れ た 系 統 で あ る 。‘ 森 口 ’ は 、 わ が 国 に 現 存 す る 品 種 で は 極 大 粒 、暗 赤 色 の 中 生 種 で 酸 味 は 少 な く 、ま た 、果 汁 は 多 く 爽 や か で 甘 み が あ り 、 現 在 最 も 有 力 な 品 種 で あ る 。 接 ぎ 木 後 4~ 5 年 で 結 実 を 開 始 し 、 ま た 、 連 年 結 実 を 維 持 し や す い 等 の 栽 培 上 の 特 徴 も あ る 。 広 東 系 の 品 種 に は 、‘ 西 村 ’‘ 小 橋 ’等 が あ る 。‘ 西 村 ’に つ い て は 、‘ 森 口 ’よ り 樹 を 開 張 さ せ や す く 、結 果 年 齢 が や や 早 い 。ま た 、大 果 に な り や す い 。し か し 、‘ 西 村 ’は 台 木 、生 育 環 境 に よ っ て 熟 期 、大 き さ 、色 、 ヤ ケ の 発 生 が 異 な る た め 、‘ 森 口 ’と 同 一 と 見 る む き も あ る 。ま た 、‘ 小 橋 ’は‘ 西 村 ’よ り 玉 揃 い が よ く 、他 の 広 東 系 に な い ピ ン ク 色 に 仕 上 が る 等 の 特 徴 も あ る 。 い ず れ に し て も 、 詳 細 な 比 較 検 討 が 必 要 で あ る 。

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○ 中 山 早 生 高 知 県 十 市 で 安 永 年 間( 1772~ 1781)に 発 見 さ れ た 、早 生 の 黒 い 大 果 系 統 で あ る 。 高 知 県 で 人 気 の あ る 早 生 品 種 で あ る 。 ○ 紅 玉 ( 肥 山 、 日 の 出 ) 推 定 200 年 前 、 現 徳 島 県 小 松 島 市 櫛 淵 町 で 発 見 さ れ た 早 生 品 種 で 、 収 穫 期 は 6 月 中・下 旬 で あ る 。果 実 は 大 き く 、完 熟 す る と 暗 紫 色 に な る 。 樹 勢 は 強 い が 、枝 は 水 平 に 張 り や す い 傾 向 が あ り 、採 取 に は 便 利 と さ れ る 。 ○ 御 前 ( 白 だ ん ご 、 白 妙 ) 約 200 年 前 、現 徳 島 県 勝 浦 郡 勝 浦 町 の 山 林 で 発 見 さ れ 、殿 様 に 献 上 さ れ た こ と か ら 御 前 と 呼 ば れ る 。 熟 期 は 6 月 下 旬 ~ 7 月 に か け の 中 生 種 で 、果 実 は 大 粒 で 、果 面 は や や 白 い 淡 紅 色 で あ る 。味 は 淡 白 で 肉 質 は 軟 ら か い 。 ○ 阿 波 錦 ( お に 、 お に だ ん ご ) 元 禄 時 代 に 現 徳 島 県 小 松 島 市 櫛 渕 町 の 山 林 で 発 見 さ れ た 品 種 で 、果 実 が 大 き く 、ま た 、強 く と が っ て 硬 く 他 の 品 種 よ り 日 持 ち が よ い こ と か ら 、 鬼 団 子 の 別 名 も 付 け ら れ た (‘ お に だ ん ご ’ と は 同 系 異 種 と い う 意 見 も あ る )。 熟 期 は 7 月 上 旬 か ら 中 旬 に か け て の 晩 生 種 で 、 果 面 は 暗 紫 色 で あ る 。隔 年 結 果 性 を 示 し 、ま た 、結 実 量 も 少 な い た め 、栽 培 性 に 難 が あ る 。 ○ 亀 蔵 高 知 県 南 国 市 十 市 の 島 田 亀 蔵 の 樹 に 由 来 す る 。果 実 は 大 き く は な い が 、肉 厚 で 可 食 部 分 は 多 い 。甘 味 強 く 、果 肉 は 硬 い の で 輸 送 に は 耐 え る 方 で あ る 。 7 月 上 ・ 中 旬 の 晩 生 種 で 、 果 面 は 暗 紫 色 で あ る 。 ○ 晩 稲 楊 梅 浙 江 省 原 産 。 果 形 は 円 球 形 、 果 実 重 は 平 均 11.2g、 最 大 15g 以 上 と な る 。肉 柱 の 先 端 は 円 鈍 で 、や や 太 い 。熟 期 は 7 月 上 旬 で あ る 。成 熟 時 に 果 面 は 紫 黒 色 と な る 。甘 酸 適 和( 可 溶 性 固 形 物 12.6% )で 多 汁 、果 実 が 核 か ら 離 れ や す い の で 好 ま れ る 。 樹 勢 は 強 勢 で あ る 。 ○ 東 魁

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浙 江 省 原 産 。 7 月 初 旬 の 成 熟 時 に 、 果 面 は 紫 紅 色 と な る 。 果 形 は 不 正 円 形 、果 実 重 は 20~ 25g に 及 ぶ 超 大 果 系 統 で あ る 。果 肉 は 甘 酸 適 和 で あ る ( 可 溶 性 固 形 物 12% )。 ○ 青 蔕 斗 大 楊 梅 浙 江 省 に 主 産 す る 。樹 勢 強 く 、枝 葉 が 密 生 し 、葉 は 大 き く 葉 緑 に 波 状 が あ る 。果 実 は 極 め て 大 き く 、果 形 は 不 正 円 球 形 で あ り 、果 実 重 は 20g 以 上 に 達 す る 。甘 酸 適 和 し( 可 溶 性 固 形 物 13.4% )、風 味 は 濃 厚 で あ る 。 7 月 上 旬 に 成 熟 す る 晩 生 種 で あ る 。 そ の 他 、 わ が 国 の 品 種 と し て‘ 天 鵞 絨 ’‘ 与 川 内 ’‘ 十 六 ’等 が 、 中 国 の 品 種 と し て ‘ 種 楊 梅 ’‘ 中 葉 青 ’‘ 丁 香 梅 ’‘ 大 炭 梅 ’ 等 が あ る 。

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3.形態と生理・生態

1 ) 形 態 ( 1 ) 枝 、 葉 葉 は 、互 生 し て 、倒 卵 状 の 長 楕 円 形 な い し 倒 披 針 形 で 、基 部 が 楔 状 に 細 く な り 、革 質 で 、裏 面 に 小 さ い 油 点 が あ り 、普 通 全 縁 で あ る が 幼 木 で は 鋭 鋸 歯 が あ る 。 葉 柄 が 短 く 、 葉 の 長 さ は 12cm 位 で あ る 。 葉 芽 の 萌 芽 は 花 芽 よ り 遅 く 、 3 月 に 入 っ て か ら と な る 。 新 梢 の 伸 長 は 幼 木 期 で 3~ 4 回 、 成 木 期 に な る と 、 春 、 夏 、 秋 の 3 回 と な る 。 ( 2 ) 果 実 果 実 の 形 態 等 に つ い て は 、「 分 類 と 品 種 」 の 項 を 参 照 。 2 ) 生 理 と 生 態 ( 1 ) 結 果 年 齢 と 花 芽 分 化 ヤ マ モ モ の 結 実 ま で に か か る 期 間 は 一 般 に 極 め て 長 く 20 年 を 要 す る と も い わ れ る 。在 来 系 の も の で は 、接 ぎ 木 苗 に し た 場 合 で も 、結 実 ま で 長 年 月 を 要 し 、 環 状 剥 皮 し て も 10 年 で は 結 実 し な い と い う 調 査 結 果 も あ る 。 一 方 、‘ 瑞 光 ’‘ 森 口 ’ 等 で は 、 結 果 年 齢 が 比 較 的 早 く 4~ 5 年 と い わ れ る 。品 種 の 導 入 に 当 た っ て は 、こ の 点 を 十 分 考 慮 に 入 れ て お く 必 要 が あ る 。 花 芽 の 着 生 は 、多 く は 春 枝 の 葉 え き に 形 成 さ れ る 。内 部 形 態 的 に 花 芽 が 分 化 す る の は 、 雄 花 で 7 月 中 旬 、 雌 花 で 7 月 下 ~ 8 月 上 旬 と さ れ 、 11 月 下 旬 ~ 12 月 上 旬 に か け て 完 成 す る 。秋 に は 肉 眼 で 十 分 識 別 で き る よ う に な り 、冬 に は 大 き く 発 育 す る 。し か し 、夏 秋 梢 へ の 花 芽 の 分 化 は 、年 次 、栄 養 条 件 及 び 品 種 に よ っ て 著 し く 異 な る 。在 来 系 品 種 で は 夏 枝 の 花 芽 の 分 化 が 少 な く 、表 年 に は 春 枝 の 伸 長 が な く 、花 芽 の 分 化 は 極 め て 少 な く な る 。 し か し 、‘ 瑞 光 ’ 等 で は 比 較 的 夏 枝 に も 花 芽 が 分 化 し 、 裏 年 に も 比 較 的 結 実 し や す い 。 ( 2 ) 花 芽 の 着 性 と 受 粉 花 は 単 性 で 、雌 雄 異 株 で あ る 。極 少 数 で あ る が 、雄 花 を 着 け る 雌 株 が あ る 。雄 花 、雌 花 と も 非 常 に 小 さ く 開 花 に 気 が 付 き に く い が 、わ が 国 で は 3 月 下 旬 ~ 4 月 の 初 め に 両 方 と も 開 花 す る 。

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花 粉 の 数 は 多 く 各 葯 嚢 で 7,000 以 上 と い わ れ る 。ヤ マ モ モ は 風 媒 花 で あ る 。ど の 程 度 花 粉 が 飛 ぶ か は 明 ら か で は な い が 、一 説 で は 4 ㎞ 程 度 と あ る が 、 半 径 10 ㎞ 以 内 に 雄 株 が な く て も 結 果 し て い る 事 例 も あ る こ と か ら 、飛 散 距 離 は か な り 長 い と 思 わ れ る 。生 産 安 定 の た め に は 受 粉 樹 の 混 植 が 必 要 で あ り 、雌 株 30~ 40 本 に 対 し て 1~ 2 本 の 雄 株 が 必 要 で あ る 。 ( 3 ) 果 実 の 形 態 と 発 育 果 実 は 球 形 な い し 卵 形 で 、乾 質 ま た は 多 肉 の 核 果 で 、普 通 ロ ウ 質 の 分 泌 物 で 覆 わ れ 、 内 部 に 1 個 の 種 子 が 入 っ て い る 。 外 果 皮 及 び 中 果 皮 は 、 核 の 外 側 に 発 達 し た 可 食 部 を 形 成 し 、内 果 皮 が 硬 い 核 と な る 。可 食 部 は 、 核 か ら 外 側 に 伸 び た 細 長 い 肉 柱( 果 瘤 )が 極 め て 多 数 集 合 し た も の で あ る 。こ の 肉 柱 の 太 さ 等 の 形 状 に は 、品 種 に よ る 相 違 が あ り 、食 味 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 。 成 熟 果 の 全 糖 含 量 は 7.4~ 8.4% で 、特 に ブ ド ウ 糖 の 増 加 が 著 し い 。酸 は 0.5~ 1.6% で あ り 、 そ の 殆 ど が ク エ ン 酸 で 97% 以 上 含 ま れ る 。 果 色 の 主 成 分 は 、ア ン ト シ ア ン の シ ア ニ ジ ン 系 の ク リ サ ン チ ミ ン と さ れ る 。 ( 4 ) 気 象 と 土 壌 種 子 や 幼 樹 の 耐 寒 性 は 弱 い と し た が 、成 木 で は 耐 寒 性 が 強 く 、ユ ズ 並 み で あ り 、 徳 島 県 で は - 5℃ 以 下 で 20 時 間 、 最 低 - 9℃ で も 生 育 し て い る 。 ま た 、 仙 台 市 、 弘 前 市 に も 栽 植 さ れ て い る 。 ヤ マ モ モ の 耐 干 性 は 中 程 度 と 思 わ れ る が 、瘠 は く な 乾 燥 地 に も 自 生 す る が 、土 壌 の 乾 燥 が 品 質 劣 化 に も つ な が る の で 、や や 耕 土 の 深 い 、風 当 た り の 少 な い 礫 質 埴 土 が よ い 。土 壌 の 強 酸 性 に も よ く 耐 え る が 、好 適 土 壌 pH は 4.5~ 5.5 程 度 で あ り 、 6.0 以 上 は 余 り よ く な い 。 ヤ マ モ モ の 栄 養 特 性 と し て 、マ ン ガ ン 吸 収 量 が 多 く 、常 緑 果 樹 の 中 で は 最 高 で 、カ キ 、 ク リ に 次 ぐ 。 根 に は 、窒 素 固 定 菌 の 着 生 に よ る 根 粒 の 形 成 が 観 察 さ れ る 。ヤ マ モ モ に 限 ら ず ヤ マ モ モ 属 植 物 に 広 く 観 察 さ れ る が 、こ の 場 合 、マ メ 科 植 物 に 着 生 す る 根 粒 菌 と は 異 な り 、放 線 菌 の 一 種 で あ る 。ヤ マ モ モ は 、窒 素 固 定 ば か り で な く 、土 壌 の 酸 性 、置 換 酸 度 の 改 善 に も 役 立 つ と さ れ て い る 。

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こ の こ と は 、古 く か ら 、ヤ マ モ モ は 痩 せ 地 に よ く 育 つ 、あ る い は 、土 地 を 肥 や す と し て 、 新 植 地 に 植 え た こ と と 関 連 す る 。

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4.栽培管理

1 ) 苗 木 の 繁 殖 繁 殖 は 接 ぎ 木 、 挿 し 木 等 に よ る が 、 通 常 は 接 ぎ 木 を 行 う 。 ( 1 ) 台 木 の 育 成 台 木 に は 共 台 が 用 い ら れ 、 一 般 に は 在 来 種 ( 中 山 、 亀 蔵 等 ) と 中 国 種( 広 東 、瑞 光 等 )に 分 か れ る が 、播 種 し て か ら の 初 期 生 育 は 中 国 種 が 優 れ て い る 。 具 体 的 な 台 木 の 育 成 方 法 と し て は 、果 実 を 収 穫 後 、果 肉 を 洗 っ て 落 と し 、直 射 日 光 を 避 け て 陰 干 し す る 。乾 燥 す る と 極 端 に 発 芽 率 が 低 下 す る 。 よ り 長 期 に 貯 蔵 す る 場 合 、低 温 貯 蔵 期 間 が 長 く な る と 休 眠 に 入 り 、発 芽 ま で に 長 期 間 を 要 す る よ う に な る の で 注 意 が 必 要 で あ る 。 播 種 床 は 予 め 消 毒 し て お く が 、失 敗 例 の 多 く は 腐 敗 に よ る 。播 種 は 取 り 播 き と 貯 蔵 後 播 く 方 法 が あ る が 、発 芽 後 、本 葉 が 2~ 3 枚 程 度 な っ た 頃 に 定 植 し て 育 苗 し 、順 調 に 生 育 す れ ば 1~ 2 年 後 に 接 ぎ 木 が 可 能 と な る 。 ( 2 ) 接 ぎ 木 接 ぎ 穂 に は 、 成 熟 し た 直 径 0.5~ 0.8cm の 枝 を 採 る 。 葉 を 取 り 除 い た 後 、1~ 2 日 放 置 し て 乾 か す か 、5℃ 下 で 10~ 20 日 前 後 経 過 し た も の の 方 が 活 着 が よ い 。接 ぎ 穂 は 10 芽 位 で 8~ 9 ㎝ の 長 い 穂 を 用 い る 場 合 と 4~ 5 芽 で 5cm 位 の 短 い 穂 を 用 い る 場 合 と あ る 。 接 ぎ 木 の 方 法 は 、 切 り 接 ぎ や 腹 接 ぎ を 用 い 、 4 月 上 ・ 中 旬 、 樹 液 が 動 き 出 し た 時 に 行 う が 、 遅 れ る ほ ど 活 着 が 悪 く な り 、 6 月 に 入 る と 活 着 し な い 。 高 接 ぎ の 注 意 点 と し て 、ビ ニ ル 切 り の 時 期 が 早 過 ぎ る と 失 敗 し 、穂 木 の 芽 が 1cm 以 上 伸 び た 後 、少 し ず つ 切 り 開 く こ と が 肝 要 で あ る 。‘ 瑞 光 ’ で は 、高 接 ぎ 2 年 目 に 着 果 し 、高 接 ぎ に よ る 結 果 促 進 効 果 は 極 め て 大 き い 。切 り 接 ぎ で は 生 育 旺 盛 で 着 果 が 少 な い が 、腹 接 ぎ で は 多 く 着 果 す る 。 2 ) 整 枝 ・ 剪 定 ( 1 ) 樹 形 幼 木 の 時 か ら 将 来 の 樹 形 を 3~ 5m に 抑 え る こ と を 目 標 に し て 、枝 が 混 ん で 光 が 入 ら ず 、樹 冠 内 が 禿 げ 上 が り そ う な 部 位 に つ い て 枝 の 間 引 き を

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主 体 に し 、一 部 、骨 格 と な る 枝 を 軽 く 切 り 返 す 程 度 に 留 め 、枝 を ロ ー プ で 下 に 引 っ 張 る 等 の 作 業 に よ り 、樹 形 を 開 か せ る 技 法 も 組 み 合 わ せ る こ と に な る 。 な お 、ヤ マ モ モ は 切 り 口 の 癒 合 が 悪 い の で 、大 き い 切 り 口 に は 接 ぎ ロ ウ を 塗 る 必 要 が あ る 。 ( 2 ) 成 木 の 枝 管 理 連 年 、品 質 の よ い 果 実 を 着 果 さ せ る に は 、枝 の 管 理 が 重 要 で あ る 。側 枝 は 結 果 さ せ る と 弱 る の で 、更 新 枝「 待 ち 枝 」を 予 め 用 意 し 、結 果 さ せ て 弱 っ た 枝 を 切 り 落 と し て 取 り 換 え て 行 く 。こ の 考 え 方 は カ キ 、ナ シ 等 と 同 様 で あ る 。結 果 枝 は 先 端 か ら 1/5 程 度 は 切 り 返 し 、先 端 よ り 若 い 枝 を 出 さ せ 、枝 全 体 の 勢 い を 保 つ よ う に す る 。徒 長 枝 が 主 幹 の 上 部 に 密 生 し て い る 場 合 は 、下 枝 が 弱 る の で 除 去 す る か 間 引 き を 行 う 。徒 長 枝 に な り そ う な 芽 を 摘 む の が 望 ま し い 。ま た 、主 枝 、亜 主 枝 が 疎 ら な 箇 所 か ら 徒 長 枝 が 出 た 場 合 に は 、切 り 返 し て 主 枝 等 の 候 補 と す る 。ま た 、側 枝 と し て 使 え る 場 合 に は 残 す 。 結 果 過 多 の 場 合 や 連 年・ 結 果 さ せ て い る と 、枝 が 下 垂 し て 来 る が 、枝 が 弱 る の で 切 り 返 す か ま た は 余 り 下 が ら な い 内 に 吊 り 上 げ る 。 3 ) 肥 培 管 理 ヤ マ モ モ は 、 強 酸 性 土 壌 に も 耐 え ら れ る が 、 徳 島 で は 好 適 な 土 壌 pH を 4.5~ 5.5 と し て い る 。 ま た 、 根 に 窒 素 固 定 能 の あ る 根 粒 菌 が 共 生 し て い る の で 窒 素 施 肥 は 行 わ な い が 、早 く 樹 冠 拡 大 を 図 り た い 幼 樹 の 場 合 、 10a 当 た り 10~ 15Kg の 窒 素 を 、油 粕 等 で 施 肥 す る 。施 肥 成 分 の 中 で 特 に 問 題 に な る 成 分 は リ ン 酸 で 、 リ ン 酸 の 過 多 に よ り 着 果 が 多 く な り 過 ぎ 、 小 玉 果 、奇 形 果・ 不 成 熟 果 が 増 加 す る 。し か し 、適 正 な リ ン 酸 施 用 の 場 合 ( 土 壌 中 の 有 効 リ ン 酸 が 5mg 以 下 、 10mg 以 上 に な る と 危 険 )、 着 実 数 の 増 加 、隔 年 結 果 防 止 の 効 果 が あ る 。リ ン 酸 の 施 肥 量 は 、隔 年 に 成 分 で 10a 当 た り 5Kg 程 度 が よ い 。 カ リ ウ ム に つ い て は 、 果 実 肥 大 に も 好 影 響 を 及 ぼ し 、隔 年 結 果 の 是 正 効 果 も あ る の で 、10a 当 た り 成 分 で 10Kg 程 度 施 用 す る 。 4 ) 病 害 虫 防 除

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ヤ マ モ モ は 本 来 、病 虫 害 に 抵 抗 力 の 強 い 果 樹 で 致 命 的 な 害 を 及 ぼ す 病 害 虫 は お ら ず 、無 農 薬 で 栽 培 し 、問 題 は 生 じ て こ な か っ た 。し か し 、 近 年 栽 培 面 積 が 増 加 す る に つ れ て 、著 し い 被 害 を 生 じ る 病 害 虫 が 発 生 し 始 め て い る 。 病 害 と し て 、こ ぶ 病 、疫 病 、ペ ス タ ロ チ ア 病 、褐 斑 病 、す す 病 、炭 疽 病 、 白 も 病 、 褐 色 す す 病 等 が あ る 。 害 虫 と し て 、 ミ ノ ガ 類 、 枝 幹 害 虫 ( コ ウ モ リ ガ 等 )、 イ ラ ガ 類 、 ハ マ キ ガ 類 、ゴ マ フ リ ド ク ガ 、マ イ マ イ ガ 、マ メ コ ガ ネ 、ウ ス ア カ オ ト シ ブ ミ 、 カ イ ガ ラ ム シ 類 、 シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ 類 等 が あ る 。 古 く か ら の 基 本 的 問 題 と し て 、シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ が 収 穫 の 後 期 に 産 卵 す る 問 題 が あ る 。商 品 と し て 扱 う 時 、小 売 や 消 費 者 の 段 階 で 幼 虫 が 出 て き て は 果 物 と し て の 価 値 は な く な る 。こ の 意 味 か ら 早 生 の 優 良 品 種 に よ り 、シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ が ヤ マ モ モ に 移 っ て 来 る 前 に 多 く の 果 実 を 収 穫 す る 方 法 を 考 え る 必 要 が あ る 。

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5.消費

ヤ マ モ モ は 他 の 果 樹 に 比 べ て 、樹 上 で 全 果 実 が 短 期 間 に 収 穫 期 を 向 か え る 。こ の よ う な 特 性 か ら 収 穫 期 に つ い て は 様 々 な 指 標 が 使 わ れ て お り 、 わ が 国 で は 、果 実 の 一 部 が か な り 成 熟 し た 時 、あ る い は 小 枝 上 で 完 熟 果 が 3 個 程 度 生 じ た 時 と し て い る 。 遠 距 離 出 荷 用 や ヤ マ モ モ 酒 用 に は や や 早 め に 採 り 、ジ ャ ム 等 の 加 工 用 に は 過 熟 で 採 ら れ て い る 。 収 穫 期 間 は 早 生 が 6 月 中 ・ 下 旬 か ら 始 ま り 、 晩 生 が 7 月 下 旬 ま で 継 続 し て 、こ の 間 が 出 荷 期 間 と な る が 、こ の 時 期 は 雨 季 で あ り 、雨 中 で の 収 穫 は で き な い の で 、生 果 と し て の 利 用 で は 全 果 実 の 3 割 も 収 穫 で き れ ば よ い 方 で あ る 。 ヤ マ マ モ モ は 、果 実 に 何 か が 触 れ る と 落 下 し や す い こ と 、木 が 折 れ や す い こ と 、 果 実 が 軟 ら か い の で 潰 れ や す い こ と 等 、 収 穫 効 率 が 悪 い 。 加 工 品 と し て 、ジ ュ ー ス 、ジ ャ ム 等 が あ る 。ま た 、梅 酒 の よ う に ヤ マ モ モ : 焼 酎 : 砂 糖 を 1: 1: 1 ま た は 1: 1: 5 で 漬 け 、 赤 い 果 実 酒 と し て 利 用 さ れ る 。 な お 、 ヤ マ モ モ も そ れ 自 体 、 繊 維 に 富 み 、 ビ タ ミ ン C、 糖 、 ク エ ン 酸 等 に も 富 ん で い る 。宮 崎 で は 十 分 な 塩 で ピ ン ク 色 の 未 熟 果 を 用 い て 塩 漬 け を 作 り 、 3 年 目 の 真 っ 黒 く 変 色 し た 果 実 を 薬 と し て 常 備 し 、 破 傷 風 予 防 、 中 耳 炎 、 扁 桃 腺 炎 、 化 膿 止 め と し て 利 用 し て い る 。 そ の 他 の 利 用 と し て 、ヤ マ モ モ は 常 緑 で 樹 形 が 美 し く 、葉 が 厚 く 排 気 ガ ス や 潮 風 に も 強 く 、刈 り 込 み に 耐 え る た め 街 路 樹 と し て の 利 用 価 値 が 高 い 。

参照

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