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学位論文の題目 論 文 審 査 委 員

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Academic year: 2021

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氏 名 授 与 し た 学 位 専攻分野の名称 学 位 授 与 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文の題目 論 文 審 査 委 員

張 超群 博 士 工 学

博甲第5551号 平成29年 3月24日

自然科学研究科 産業創成工学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

水潤滑における DLC 膜およびサーメット溶射被膜のトライボ性能に関する研究 教授 藤井 正浩 教授 岡田 晃 教授 大橋 一仁

学位論文内容の要旨

本研究ではDLC膜およびサーメット溶射被膜を水環境下で高い耐摩耗性,低摩擦性,耐腐食性が求められる摺動機械要 素への適用することを目的として,水潤滑下での摺動試験を行い,そのトライボロジー特性を評価している。さらに,DLC 膜およびサーメット溶射被膜の硬度,弾性率,ぬれ性などの機械的性質の観点から水潤滑下における硬質被膜の摩擦・摩 耗挙動を考察し,水潤滑下における機能性被膜設計の考え方を示している。

DLC膜では,その成膜方法により摩擦特性が異なり,CVD法で成膜したa-C:H膜には水潤滑下で優れた摩擦特性を有す ことを示している。また,膜内の水素の有無も摩擦特性に大きく影響し,水素フリーDLC膜が高い摩擦係数ならびに大き な摩擦変動を示すことを明らかにしている。さらに,DLC膜の表面濡れ性を代表する接触角が大きいほど摩擦係数が小さ いことを示している。一方,摩耗特性についてはDLCの硬度および弾性率が支配的で,PVD法で成膜したDLC膜がとくに 優れた耐摩耗性を有すことを示している。

サーメット溶射被膜について,含有金属とセラミックスの成分比や使用する材料の粉末粒度により摩擦特性が異なる ことを実験的に究明している。摩擦・摩耗挙動には摺動面の酸化摩耗粉の移着状態が大きく影響することを見出し,被膜 を高硬度とすることで耐摩耗性は向上し,移着摩耗粉を抑制することで摩擦を低減できることを示している。移着摩耗粉 の抑制にはCrによる不動態膜の形成が重要な役割を果たすことを見出し,また,機械的特性の観点からは接触角で摩擦 特性を代表させることができる可能性を示している。摩耗特性についてはサーメット溶射被膜の硬度が支配的で,摩耗量 は水潤滑下で溶射被膜の硬度の増加とともに減少し,金属含有量が少なく粉末粒度が大きいWC-12Ni被膜が,水潤滑下で 優れた耐摩擦性を有すことを示している。

第1章では,水潤滑下における硬質被膜の摩擦・摩耗について述べ,水潤滑における硬質被膜の実用性に関する研究に ついて総括し,水潤滑下の問題点について,水潤滑下における硬質被膜の必要な特徴に関しての基本的認識を述べ,それ を踏まえて本研究の指針をしている。

第2,3章では,DLC膜およびサーメット溶射被膜の水潤滑下の摩擦・摩耗特性に比較するため,水潤滑における未成 膜金属材料の摩擦・摩耗試験を行い,これらの摩擦・摩耗特性を検討する上に最適な材料に母材を選択している。また,

本研究で使用した摩擦・摩耗試験装置について述べている。

第4,5章では,水潤滑下におけるDLC膜の摩擦・摩耗特性を検討し,DLC膜は水潤滑下で低摩擦係数と優れた耐摩耗 性を明らかにしている。成膜方法によって摩擦・摩耗特性に強く影響されている。中間層を最適化することなどによって 高速でも剥離しないDLC膜の検討を明らかにしている。DLC膜の硬度,弾性率,ぬれ性などの機械的特性を調べ,高い接 触角が低い摩擦係数の傾向を示している,摩耗量は硬度の増加とともに増加する傾向を示している。水潤滑下で硬度,弾 性率,ぬれ性などの機械的特性にはDLC膜の摩擦・摩耗挙動の影響にも明らかにしている。

第6,7章では,水潤滑下における粉末の粒度およびセラミックスと金属の成分比を変えたサーメット溶射被膜の摩擦・

摩耗挙動を調べ,金属材料を10~15%程度含有したWC-14CoCr,WC-12NiおよびWC-15NiMoCrFeCoには優れた摩擦特性を 明らかにしている。水潤滑下で硬度,ぬれ性などの機械的特性には溶射被膜の摩擦・摩耗挙動の影響を明らかにしている。

第8章では結論であり,実験的に明らかにしたDLC膜およびサーメット溶射被膜のトライボロジー特性から,水潤滑下 で適用する膜設計の考え方を示しており,高機能硬質被膜の応用により,従来の金属材料では耐食性ならびに耐摩耗性の 観点から困難であった水潤滑システムの適用拡大に寄与できる成果を得ていることについて述べている。

(2)

論文審査結果の要旨

本研究では DLC 膜およびサーメット溶射被膜を,水環境下で高い耐摩耗性,低摩擦性,耐腐食性が求めら れる摺動機械要素への適用することを目的として,水潤滑下での摺動試験を行い,そのトライボロジー特性 を評価している。 硬質被膜の硬度,弾性率,ぬれ性などの機械的性質の観点から水潤滑下における硬質被膜 の摩擦・摩耗挙動を考察し,水潤滑下における機能性被膜設計の考え方を示している。

DLC 膜では,その成膜方法により摩擦特性が異なり, CVD 法で成膜した a-C:H 膜には水潤滑下で優れた摩 擦特性を有すことを示している。また,膜内の水素の有無も摩擦特性に大きく影響し,水素フリーDLC 膜が 高い摩擦係数ならびに大きな摩擦変動を示すことを明らかにしている。さらに,DLC 膜の表面濡れ性を代表 する接触角が大きいほど摩擦係数が小さいことを示している。一方, 摩耗特性については DLC の硬度および 弾性率が支配的で,PVD 法で成膜した DLC 膜がとくに優れた耐摩耗性を有すことを示している。

サーメット溶射被膜について,含有金属とセラミックスの成分比や使用する材料の粉末粒度により摩擦特 性が異なることを実験的に究明している。摩擦摩耗挙動には摺動面の酸化摩耗粉の移着状態が大きく影響す ることを見出し,被膜を高硬度とすることで耐摩耗性は向上し,移着摩耗粉を抑制することで摩擦を低減で きることを示している。移着摩耗粉の抑制には Cr による不動態膜の形成が重要な役割を果たすことを見出 し,また,機械的特性の観点からは接触角で摩擦特性を代表させることができる可能性を示している。摩耗 特性については,被膜の硬度が支配的で,溶射被膜の硬度の増加とともに摩耗量は減少し,金属含有量が少 なく粉末粒度が大きい WC-12Ni 被膜が水潤滑下で優れた耐摩擦性を有すことを示している。

以上のように,実験的に明らかにした DLC 膜およびサーメット溶射被膜のトライボロジー特性から,水潤

滑下で適用する被膜設計の考え方を示しており,高機能硬質被膜の応用により,従来の金属材料では耐食性

ならびに耐摩耗性の観点から困難であった水潤滑システムの適用拡大に寄与できる成果を得ている。以上の

結果から,本論文は博士(工学)に値するものであると考える。

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