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身内の死を経験した看護師の「死後の処置」に対する思いの変化 (研究ノート)

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Academic year: 2021

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(1)人 間 看護 学 研 究. 89. 2:89-92(2005). 研 究 ノー 卜. 身 内 の死 を経 験 した看 護 師 の 「 死 後 の処 置 」 に対 す る思 い の変 化. 1)滋賀県 立大 学大 学 院人 間文化 学研 究科 背景. 比 嘉 肖江1)、比 嘉勇 人2) 、2)滋賀 県立 大学 人間 看護 学部. 日本 の医 療 現 場 で は、 患 者 が亡 くな る と主 に看 護 師 に よ って 「死 後 の 処 置」 が行 わ れ る。 そ こ で は、. 看護 師 自身 の死(一 人 称 の 死=主 体 の 死)に っ いて 述 べ られ る こ と は少 な く、 患者 との距 離 を保 っ た 客 観 的 な立 場 か ら死(三 人 称 の 死e客 体 の死)と 接 して い る こ とが 多 い。 しか し、流 動 的 な感 情 交 流 が 看 護 師 と患 者 に起 こ る と互 い に親 近感 が わ き起 こ り、 あ る程 度 の 関 係 性 が構 築 され て患 者 と死 別 した場 合 に は看 護 師 の 内面 に動 揺 が 引 き起 こ され るで あ ろ う。 こ の感 情 の 揺 れ は、 「 二 人 称 の死=間 主 体 的 な 死 」 が 看 護 師 に体 験 され た事 態 で あ る と思 わ れ る。 目的. 看 護 師 と患 者 関 係 にお け る 「 二 人称 の死(身. 方法. S県 に あ る 「200床以 上 の96病 院」 に 勤務 す る看 護 師 を 対 象 と し質 問紙 調 査 を実 施 す る。 調 査 用 紙. 内的 な患 者 の 死 に対 す る感情 体 験)」 の契 機 を探 る。. の 自由記 述 部 分 「死 後 の 処 置 に 伴 う独 特 な 慣習 あ る い は死 後 の 処 置 に ま っ わ るエ ピ ソー ド」 に注 目 し、 記 述 内容 の仮 説 生 成 的 な分 析 を 行 う。 結果. 回 収数 は3267名(回. 収 率:92.7%)、. 有 効 回答 数 は3080名(有. 効 回 答 率:94.3%)で. あ った。 そ の3. 080名 の うち 自 由記 述 に回 答 した554名 か ら 「 身 内 の死 を経 験 した 看護 師 」 とい う見 出 しが っ け られ る48名 が 抽 出 さ れ、 〈 最 終 的 な 死 後 の 処 置 の 場面 〉 に よ り 「病 院:16名 」 「自宅:31名 」 「 病 院 と 自 宅:1名. 」 に. 分 類 さ れ た。 考察. 代 表 事 例 と して 「病 院:16名 」 の二 事例 と 「病 院 と 自宅:1名 」 の一 事 例 を選 出 し考 察 した 。 三 事. 例 と も、 身 内 の死 と その 死 に立 ち 会 って死 後 の処 置 を経 験 した 思 い を肯 定 的 に捉 え、 看 護 師 と して の 自分 の ケ ア に生 か して い る背 景 が 読 み 取 れ る。 身 内 の死 を経 験 した こ とで、 自分 の ケアを見 直す きっか け にな っ て い るが、 同 時 に死 後 の 処 置 時 の 患者 身 内 へ の配 慮 の必 要 性 に っ い て も示 唆 を与 え て い る。 従 来 よ り、 死 後 の処 置(湯 灌 あ る い は儀 礼 的 施 し)を 行 う ことで 、 遺 族 は死者 で あ る 故人 の生 物 学 的 な死 を確 認 し、 共 同 体 内部 は死 者 の社 会 的 な 死 を 確 認 した で あ ろ う。 要 す る に、 「 死 後 の処 置」 は遺 族 や 共 同 体 内 部 に と っ て 心 的変 換 装 置 で あ り、 この 場 に 参与 す る こ とで喪 の作 業 が 発動 し 「こ ころ の持 ち替 え の 契 機 」が起 こ る。 看 護 師 は身 内 の死 へ の 「死 後 の 処 置」 を体 験 す る こ とで 、 患 者 の死 を二 人 称 の死 と して 知 覚 す る感 受 性 が 高 ま る と考 え られ る。 キ ー ワー ド 死 後 の 処 置 、 一 人 称 の死 、二 人称 の死 、 三 人 称 の死. 遺 族(血 縁)・ 共 同 体 内部 の者(地 1.は. じめ に. 1970年 代 頃 よ り、 か っ て は 自宅 で 死 を迎 え て い た 時 代 か ら逆 転 現 象 が起 こ り、 現 在 で は お よ そ80%の 人 が病 院. 縁)、 特 に遺 族 で は. 長 男 ま た は息 子 た ちが そ の役 割 を 担 い、 共 同 体 で は 男 性 の役 割 と され て き た。 しか し今 日で は、 病 院 お よ び 施 設. や 施 設 な ど い わ ゆ る 自宅 外 で 死 を迎 え て い る。 多 くの 日. 内 で 看 護 師 と して 働 くの は、 女 性 が 過 半数 を 占 めて い る。 こ の よ う な看 取 りの場 の状 況 と も連 動 し、 日本 人 の 「死. 本 人 が 「最 期 は畳 の 上 で 迎 え た い」 「自宅 で 死 に た い 」 と い う希 望 も虚 し く、 自宅 外 の死 と い う現 状 は今 後10年. て きて い る こ とが 推 察 さ れ る。 社 会 通 念 と して は 、 「死. 間 で は大 き な変 化 が 見 込 まれ な い。 こ の こと は っ ま り、. 後 の処 置 」 は看 護 師 に よ る看 護 行 為 で あ る と いえ よ う。. 多 くの 場 合 、 病 院 や 施 設 な どで 働 く看 護 師 に よ って看 取 りが 行 わ れ て い る こ とを 意 味 す る。 か っ て、 死 者 儀 礼 は. 死 後 の 処 置 の 目的 につ い て、 国 内 の ター ミナル ケ ア の 教. と の関 わ り よ う」 「死 との 向 き合 い方 」 も次 第 に 変 化 し. 科 書 で 「患 者 が 病 院 で 亡 くな った場 合 、 患 者 の 死 亡 後 に 行 う最 後 の 看 護 行 為 で あ る。 死 後 処 置 は患 者 の 身 体 を 清. 2004年9月30日. 受 付 、2005年1月6日. 連絡 先:比. 勇人. 住. 嘉. 滋 賀 県 立 大 学 人 間看 護 学 部 所:彦 根 市 八 坂 町2500. E-mail:higa@nurse.usp.ac.jp. 受理. 潔 に し、 死 に よ って 生 じる外 観 の変 化 を で き るだ け 目立 たせ な い よ う に、 そ の人 ら し く整 え るた め に行 う も の で あ る。」 と示 さ れ て い る1)O 一 方 、 欧 米 諸 国 の 病 院 で は 「死 後 の処 置 」 は看 護 師 以.

(2) 90. 比嘉肖江. 外 の 者 に よ って施 さ れ て お り、 看 護 助 手 や 補 助 員 とい う 立 場 の人 間 が 「死 体 の処 置(梱. 包)」 を 行 っ て い る2)。. 具 体 的 に は、 患 者 が 死 ぬ と看 護 助 手 や 補 助 員 が 病 院 の 「死 後 手 続 き マ ニ ュ ア ル」 に従 って 器 具 や 宝 石 類 を 全 て. 処 置 に伴 う独 特 な 慣 習 あ るい は死 後 の 処 置 に まっ わ る エ ピソ ー ドな ど あ り ま した らお書 き くだ さ い」 の 内容 に注 目 し、 分 析 の 概 念 や 枠 組 み な どあ らか じめ設 定 せ ず 仮 説 生 成 的 な作 業 と して 進 め る。. 取 り外 し、 四肢 を束 ね て綿 で コ ーテ ィ ング した紐 で縛 り. ①. 閉 眼 させ た あ とカ ッ ト綿 を 目の 上 に 置 き、 特 別 に準 備 さ れ た 「死 体 用 シー ッ」 で あ る重 いガ ーゼ綿 の シー ッで ぴ っ. ②. 記 述 部 分 の 全 て を セ ンテ ンス毎 に区 切 り、 重 要 だ と思 わ れ る語 句 を抜 き出 しカ ー ドを作 成 す る。 その 語 句 の 意 味 す る内 容 が 類 似 して い る カ ー ドを. た り と覆 い、 大 きな安 全 ピ ンで 前 を 留 め包 み上 げ る。. 集 めて カ テ ゴ リー を作 り、 各 カ テ ゴ リー に は そ の 内. 森 宮3)は この よ う な米 国 の事 情 を あ げ て死 後 の 処 置 を 看 護 師 の仕 事 に包 含 す る こ と にっ いて 問 題 提 起 を して い る。 つ ま り、 日本 で 看 護 師 が 行 って い る死 後 の処 置 の 非 雫 合 理 性 を訴 え て い るの だ が 、 波 平4)は 死 後 の 処 置 、 特 に 死 後 の清 拭 に注 目 し、 病 院 で の 患 者 死 亡 が増 え るに 従 っ て清 拭 が病 院 で も施 され る よ う にな り、 これ が 「病 院 の. 比嘉勇人. 容 を表 す 見 出 しを つ け る。. 皿.結 1.回. 果 収 数:3267名(回. 3080名(有. 収 率:92.7%)有. 効 回 答 率:94.3%)で. 効 回答 数 は. あ った 。. 民 俗 」 「医 療 者(看 護 師)の 民 俗 」 と して 定 着 した 経 緯 を述 べ て い る。 これ らの 先 行 研 究 で は、 看 護 師 が 行 う業 務(三 人 称 の 死)と られ て い る。 藤 腰)は. して の 「死 後 の 処 置 」 に焦 点 が 当 て. 2.結. 、 看護 師個人 の宗教 的背景 が死. く影 響 す る と考 察 し自分 の死(一 人 称 の死)に. の う ち 自 由記 述 に回 答 し た554名 の 計1322. セ ンテ ンス を対 象 に し 「身 内 の死 を経験 した看 護 師」. 後 の 処 置 時 の看 護 師 の気 持 ち に何 らか の影 響 を 及 ぼ して お り、 看護 師 の死 生 観 が 死 後 の処 置 に対 す る態 度 に大 き. 果 の 整 理:. ①3080名. と い う見 出 しの っ い た48名 を 抽 出 した。 ②. つ いて 深. 「身 内 の死 を経 験 した 看 護 師 」 とい う見 出 しのっ い た48名 をく 最 終 的 な 死 後 の 処 置 の場 面 〉 で分 類 し. く考 え る こ とが 死 生 観 を形 成 す る と結 ん で い る。 ただ し、. た結 果 、 「病 院:16名. 家 族 ・身 内 ・愛 す る人 の死(二 人 称 の死)が. 1名 」 で あ っ た。. 、 死 後 の処. 置 へ の看 護 師 の態 度 に及 ぼす 影 響 に つ い て は触 れ て い な い◎ そ こで 本 研 究 で は、 病 院 で身 内 の死 を 経 験 し 「死 後 の. 3.上. 」 「自宅:31名. 」「 病 院 と 自宅:. 記 の分 類 結 果 か ら、 さ らに 「病 院:16名. 例(5-2209、S-2066)と. 「病 院 と 自 宅:1名. 」 の二 事. 」 の一 事例. 処 置 」 に対 す る思 い が変 化 した看 護 師 の 事 例 か ら、 看 護. (5-1518)を. 選 出 し、 病 院 内 で行 わ れ た 身 内 の 死 後 の 処. 師 と患 者 関 係 に お け る 「二 人 称 の死 」 の 契 機 が 読 み と れ た文 脈 にっ い て述 べ た い。. 置 に 関 す る 自分 の感 情 や 処 置 に対 す る思 い の変 化 が表 現 さ れ て い る部 分 を抜 粋 し 【】 内 に提 示 した。 事 例A(S-2209) 【自分 が看 護 婦 と して 病 院 で 処 置 を す る時 に は、 儀 礼. II.研 究 方 法 1.対. 象:S県. に あ る 「200床 以 上 の96病. 的 と思 って い た が、 他 の 病 院 で 実 父 が亡 くな った時 に は、 院」 に勤 務 す. る看 護 師. や さ し く きち ん と処 置 を して 欲 しい と思 って し ま った。 そ れ以 後 、 私 の 中 に は亡 くな った方 へ の気 持 ち と共 に遺 族 に対 して も きち ん と満 足 の い くよ う に して あ げた い と. 2.手 ① ②. 続 き: 病 院代 表者 宛 に調 査主 旨 ・協 力 依頼 文 を送付 す る。. 思 うよ うに な った。 】 事 例Aは 、 父 親 の 死 を 転 機 に死 後 の処 置 へ の 思 いが変. 協 力 の承 諾 が得 られ た 看護 師3524名 を対 象 に、 改. 化 して い る こ とが わ か る。 父 親 の死 亡 と同 時 にお そ ら く. め て調 査主 旨 ・協 力依 頼 文 お よ び 調 査 用 紙 を送 付 す. 看護 師 と して で は な く、 娘 と して遺 族 の ひ と り と して の. る。. 心理 が働 い た の で あ ろ う。 看 護 師 と して 処 置 に参 加 を し た とい う記 述 が な い た め、 明 確 で はな いが 、 父 親 の 死 の. 3.倫. 理 的配 慮:研 究参 加 は 自由意 志 で あ る こ と、 デ ー. タは研 究 目的 以 外 に は使 用 しな い こ と、 個 人 情 報 が保 護. 前 と死 後 で 明 らか に 死 後 の処 置 へ の思 いが 変化 して い る。 事例B(5-2066). さ れ る こ とを書 面 上 で 明 示 す る。 質 問 紙 記 入 後 は、 各 個. 【自分 が看 護 者 と して 死 後 の処 置 を行 う と き は、 時 間. 人 が封 筒 を 厳 封 し研 究者 の 元 に郵 送 す る よ う依 頼 す る。. も迫 って い て 焦 りな が らぱ っと行 って しま うことが多 か っ た が 、 祖母 が死 ん だ と き ナ ー ス が家 族 の 方 も一 緒 に ど う. 4.分. 析 の 手 順:今 回 使 用 した 調 査 用 紙 の 「選 択 肢:死. 後 の処 置 に っ い て お き き し ます 」 と 「自 由記 述:死 後 の. ぞ と声 を か け られ、 優 し く一 緒 に行 って い ただ い た と き 感 動 しま した。 そ れ か ら娘 さ ん とか が い らっ しゃ る と き.

(3) 91. 身 内 の死 を 経 験 した 看護 師 の 「死後 の処 置」 に対 す る思 いの 変 化. は声 をか け化 粧 を や って も ら った り して い ま す 。 】. 師 に生 起 した 三 事 例 を と りあ げ、 「二 人 称 の 死 」 が 生 起. 事 例Bで は、 身 内 が 亡 くな り遺 族 にな った と き に改 め て、 看 護 師 と して死 後 の 処 置 を行 う と きの 自 らの 姿 勢 を. した契 機 にっ いて 考 察 す る。. 思 い返 し、 そ の ト リガ ー と な った看 護 師 の 「家 族 の 方 も 一 緒 に ど うぞ」 と い う一 言 に よ って 、 以 後 の 看 護 師 と し. 事 例A(S-2209)は 、 父 親 の 死 を 迎 え る前 まで は 、 看 護 師 と して 死 後 の処 置 に対 して 、 「儀 礼 的 」 と い う 「三 人 称 的 な 死 」 と して、 比 較 的 フ ラ ッ トで 中 性 的 な心 理 状. て の姿 勢 、 態度 に変 化 を き た して い る。 一 方 で 、 死 後 の. 態 で 臨 ん で い た。 そ れ が 、 父 親 の処 置 が 行 わ れ る場 面 に. 処 置 に は様 々 な 処 置 が 含 ま れ て い る。 そ れ まで 装 着 さ れ て い た 医療 器 具 を 取 り外 し、 清 拭 を 行 う。 そ して 創 が あ. な って 「や さ し く きち ん と処 置 を して ほ しい と思 つ て し. る場 合 に は、 縫 合 した りガ ー ゼ で 保 護 した り医 療 処 置 も 時 に は必 要 に な って くる。 さ らに鼻 腔 や 口腔 ・肛 門 等 に. 段 階 で す で に、 看 護 師 で は な く、 娘 の眼 差 しに移 行 して い るの で は な い か と思 わ れ る。 ま た 「思 っ て しま っ た」. 綿 を 詰 め る と い う処 置 が あ る。 そ して、 化 粧 を施 す の だ. と い うの は、 た だ単 に 「思 っ た」 で は な く、 そ こに は陰. が 、 事 例Bは 様 々 な死 後 の 処 置 の 中 で も 「化 粧 」 に限 定 して ご家 族 に、 特 に娘 さ ん に声 をか けて い る こ とに注 目. 性 感 情 の存 在 が うか が え る。 こ の感 情 は 、 「思 っ て は い けな い と思 い っ っ 、 思 って しま っ た」 と い う ブ レー キ の. した い。. か か っ た状 態 で あ る。 そ れ は、 自分 が 看 護 師 と して 行 っ. 事 例C(S-1518):. ま った 」 と心 境 に変 化 が 生 じた こ と を述 べ て い る。 こ の. て き た死 後 の処 置 を 思 い浮 か べ て の こ とで あ ろ う。 自分 は儀 礼 的 に行 って きた が 、 父 の処 置 に は 「や さ し く き ち. 【私 事 で す が 、 現 在 ま で に祖 父 母 、 父 、 兄 と何 度 か の 「死 」 に 直面 して き ま した。 家 で処 置 を 行 う場 合 、 病 院. ん と処 置 を して欲 しい」 と い う感 情 が浮 上 して きた よ う. で 処 置 を行 う場 合 と どち ら も経 験 しま した が、 家 族 の立. で あ る。 以 後 、 家 族 ・遺 族 の立 場 を経 験 した こ とに よ り、. 場 に な って み る と人 生 最 後 の時 を最 も清 潔 な姿 で送 って. 事 例Aに. あ げ る こ とは、 喜 び に 等 し くな る気 が しま す。 職 務 と し. 遺 族 に対 して も き ちん と満 足 の い くよ うに して あ げ た い と思 うよ うに な っ た」 と死 後 の処 置 に対 す る眼 差 し と態. て死 後 の処 置 を行 って い る時 、 度 々 自分 の家 族 の 時 と ダ ブ る こ とが あ りま す 。 そ ん な時 は、 清潔 に して あ げた い、 美 しい姿 で送 って あ げ た い と思 い ま す 。 家 族 の方 か ら 「きれ い に な って 、 元 気 な 時 の 様 だ 」 と言 わ れ た 時 は、 自 己満 足 か も しれ ませ ん が ホ ッ と し ます。 】 事 例Cは 、 死 後 の 処 置 を看 護 師 と して、 また 家 族 ・遺 族 と して、 病 院 と在 宅 と違 う空 間 で 経験 して い る。 そ し て そ こか ら紡 ぎ出 され た言 葉 「家 族 の立 場 にな って み る. は 「私 の 中 に は亡 くな った方 へ の気 持 ち と 共 に. 度 に変 化 が生 起 して い る こ とが わ か る。 事 例B(5-2066)は 、 死 後 の処 置 を看 護 師 と一 緒 に 行 い、 そ の経 験 に よ って 転 機 を迎 え た ケ ー ス で あ る。 ト リ ガ ー とな った の は 「家 族 の方 も一 緒 に ど うぞ」 とい う看 護 師 の言 葉 で あ っ たが 、 そ の看 護 師 と一 緒 に死 後 の 処 置 を行 う とい う 「場 」 と 「体 験 」 を共 有 した こ とで、 今 ま で の看 護 師 と して 「自分 」 の患 者 へ の距 離 感 に 変化 を き. と人 生 最 後 の 時 を 最 も清 潔 な姿 で送 って あ げ る こ と は、. た して い る。 「医療 者 と して の 立 場(三. 喜 び に等 し くな る気 が します 」 は、 非 常 に温 か さを 感 じ る。 さ らに 「職 務 と して 死後 の処 置 を行 って い る時、度 々. す る看 護 師 と して の立 場)」 か ら 「家 族 に よ り近 い 距 離 の立 場(二 人 称 の 死 を経 験 す る看 護 師 の 立 場)」 の 側 に. 人 称 の死 と対 面. 自分 の家 族 の 時 と ダ ブ る こ とが あ り ます 」 と い う言 葉 に つ い て は 、 看 護 師 で あ る前 に ひ と り の人 間 存 在 と して 、. 移 り、 患 者 の 家 族 、 特 に娘 と関 与 して い る。 死 後 の 処 置. 死 後 の処 置 に か か わ る姿 が浮 か び上 が って くる。. 験 に伴 った感 動 が な けれ ば 「それか ら娘 さん とか が い らっ. を看 護 師 と 「優 し く一 緒 に行 って い た だ い た」 とい う経 し ゃ る と きは 声 を か け化 粧 を や って も ら った り して い ま す」 に は至 らな か っ たか も しれ な い。. IV.考. 察. 「死 後 の 処 置 」 に対 して もっ思 い は、看護 師個 々 によ っ て さま ざ まで あ るが 、 大 き く は三 っ の カ テ ゴ リー に分 類. 事 例C(5-1518)で は、 「職 務 と して 死 後 の処 置 を 行 っ て い る時、 度 々 自分 の家 族 の時 と ダ ブ るこ とが あ り ます」 と表 現 され て い る よ う に、 いっ の 間 に か主 観 が 入 り 混 じ. す る こ とが 可 能 で あ る。 す な わ ち、 「否 定 的 な 思 い 」 と. る 「看 護 師 と して の二 人 称 の死 」 に転 換 さ れ て い る 。 こ. 「肯 定 的 な思 い」、 そ して そ の二 っ に分 類 で き な い 「判 別. れ は、 自分 の 家 族 の こ と、 家 族 を看 取 った経 験 が 想 起 さ. 不 能 あ る い は中 性 的 な思 い」 で あ る。 しか し、 こ の よ う な 分 類 法 は瞬 間 的 に思 い を切 断 して しま う方 法 で あ り、. れ る もの で あ るが 、 同 じ転 換 で も、 看 護 師 が 「家 族 と し て の二 人 称 の 死 」 と い う立 場 に す り替 わ って しま う こ と. 「死 後 の処 置 」 に 対 して もっ 思 い は、 常 に 変 化 す る可 能. が あ る。 そ れ は、 老 人 病 院 な ど で長 期 に入 院 して い る患. 性 を も って い る と考 え るの が 現 実 的 で臨 床 現 場 の流 動 性 に も即 して い る。 こ こで は、 通 常 は親 しい間 柄 の み で生. 者 に対 して 、 ほ とん ど面 会 に来 な い家 族 よ り、24時 間 ケ ァ を行 って い る看 護 師 の方 が 家 族 に近 い存 在 にな っ て し. 起 す る 「二 人 称 の死 」 とい う体 験 が 、 患 者 と の関 係 に お い て 中 立 的 あ る い は客 観 的 な ポ ジ シ ョ ンを保 持 す る看 護. ま い、 そ の 方 が 亡 くな る と親 近 者 と して泣 い て しま う例 に み て とれ る。.

(4) 92. 比嘉 肖江. 比嘉勇人. これ ら三 事 例 は、 身 内 の死 とそ の死 に 立 ち 会 って 死 後 の処 置 を経 験 した 思 い を 、 肯 定 的 に捉 え 看 護 師 と して の. され て い た よ うで あ る。 「湯 灌(死 後 の 処 置)」 を 行 う こ. 自分 の ケ ァ に生 か した 事 例 と い え るだ ろ う。 そ して 、 身. 共 同 体 内部 は死 者 の社 会 的 な死 を確 認 した の で あ ろ う。. 内 の死 を経 験 した こ とで 、 自分 の ケ ア を 見 直 す き っか け に な って い るが、 同 時 に死 後 の処 置 時 の 身 内 へ の 配 慮 の. 要 す るに、 「死 後 の処 置 」 は遺 族 や 共 同 体 内 部 に と っ て. 必 要 性 に っ い て も示 唆 を与 え て い る。 身 内 の 死 を 経 験 し て い な い と良 い ケ アが で き な い か とい う とそ う い うわ け. とで 、 遺 族 は死 者 で あ る故 人 の生 物 学 的 な死 を 確 認 し、. 心 的 変 換 装 置 で あ り、 この場 に参 与 す る こ とで 喪 の 作 業 が 発 動 し 「こ こ ろ の持 ち替 え の契 機 」 が起 こ るの だ と考 え られ る。. で は な い が、 重 要 な 点 は、 亡 くな った 患 者 を 「死 体 」 と み るか 「遺 体 」 とみ るか で あ ろ う。 波平6)が 述 べ る よ うに、 「遺 体 」 とい う言 葉 は、 「 死 体」 と同 じよ うに 、死 ん だ 人 の身 体 を示 す言 葉 で はあ るが 、 そ の意 味 は異 な り、 そ れ が 用 い られ る時 の文脈 は異 な る。 「遺 体 」 は 「死 ん だ後 に残 され た身 体 」 と い う意 味 を 含 む が 、 「死 体 」 は死 ん だ 状 態 の 身 体 を意 味 す る。 ま た 、 「残 され た身 体 」 を 「残 した 」 主 体 は死 ん だ人 で あ るが、. V.お. わ りに. 本 研 究 は、 質 問 紙 を用 い て調 査 を行 い、 そ の 自由 記 述 にっ い て質 的 な デ ー タ解 釈 を行 った。 した が って 、 デ ー タ はす べ て質 問 紙 法 の回 答 結 果 の み とな り、 多手 法 を 併 用 して の 回答 内 容 の 追 求 が で き な か った。 そ の た め 、 本. そ こに は残 す 相手 が 想 定 さ れ て い な けれ ば な らな い。 そ. 研 究 の考 察 は静 的 に ま と め た もの か らの抽 出 を根 拠 と し た もの に す ぎな い。 「死 生 」 を 基 軸 とす る看 護 構 造 の 理. れ はっ ま り、 死 ん だ 人 と生 前 、 明確 な 社 会 的 関 係 にあ っ. 論 化 を 目指 す た め に は、 フ ォ ー カ ス グ ル ー プ の設 定 や 個. た 人 、 ほ とん どが 家 族 や 血 縁 者 で あ るが 、 そ の 人 た ち に. 人 面 接 等 に よ る デ ー タ の追 加 ・検 証 の積 み上 げ を 図 って いか な け れ ば な らな い。. 残 され た 身 体 で あ り、 そ して そ の人 た ち が 処 理 を す る こ とが 期 待 され た 身 体 と い う こ とで あ る。 看 護 師 は、 患 者 に と っ て家 族 で も血 縁 者 で もな いが 、 亡 くな った 患 者 と は、 明 らか に病 院 と い う空 間 にお いて 社 会 的 関 係 にあ っ た。 こ の状 況 か ら、 病 院 にお いて 行 わ れ て い る 「死 後 の 処 置 」 は、 亡 くな った 患 者 と社 会 的 関 係 が あ った 家 族 ・血 縁 者 そ して、 患 者 と二 人 称 的 な関 係 にあ った 看 護 師 が 行 う こ とに何 ら不 自然 さ は な い と いえ. 文献 1)藤. 一 ミナ ル ケ ア に お け る 看 護 の 基 本,. 腹 明 子 編:系. ミナ ル ケ ア,p.82,医 2). David. る。 今 回 検 討 した看 護 師 の記 述 回 答 にお いて 、 「死 体 」 と い う いわ ば 「三 人 称 の 死 」 で は な く、 「遺 体 」 で あ る. 腹 明 子:夕. 柏 木 哲 夫,藤. of. Sudnow,. Dy魚g,岩. 統 看 護 学 講 座 別 巻10:タ. 学 書 院,2002. Passing. 田 啓 靖,志. On:The. 森 宮 圭:看. 護 婦 は,な. ぜ. よ う に 受 け 止 め て い る の か,エ. 後 の ケ ア」 が 行 わ れ て い る と思 わ れ た 。 昭 和 初 期 以 前 の. (9):42-45,照 4)波. 平 恵 美 子,死. 湯 川 洋 司 編:暮. 日本 古 来 の 「死 者 儀 礼 」 と具 体 的 な 「死 体 処 理 」 と観 念. 吉 川 弘 文 館,2003.. と して 枕 元 や 屋 根 の上 に の ぼ りそ の 人 の 名 前 を大 声 で 呼 ぶ 「魂 呼 び(た ま よ び)」8)、 臨 終 の 際 に死 に 臨 ん だ 者. 5). 平 恵 美 子, 一 生,p.179,. 死 後 の 処 置 」 に関 す る ナ ー ス の 意 識 キ ス パ ー トナ ー ス,11(9):30-33,. 波 平 恵 美 子:日. 8). 福 田 ア ジ オ,新 大事典. 上,p.972,吉. 福 田 ア ジ オ,新. 保 全 と死 者 の霊 魂 の鎮 め と魔 除 けが 中 心 の儀 礼 で あ る。. 民 の た め に寺 の 境 内 に 「湯 灌 場 」 と いわ れ る場 所 が 用 意. 谷 尚 紀,波. 本 人 の 死 の か た ち,p.81,朝. 日新. 聞 社,2004.. 内 の もの に よ る 「湯 灌 」 が行 わ れ 、 そ れ が 済 む と 白 い死 に装 束 に着 替 え させ 納 棺 が な され る。 こ の間 は、 死 体 の. 志 倭 人 伝 」 に遡 る。 江 戸 時代 に は、 持 ち家 を持 た な い庶. キ ス パ ー トナ ー ス,11. 照 林 社,1995. 6). 7). 替 え させ て い た。 死 体 を清 め る行 為 自体 は、 古 くは 「魏. 「死 後 の 処 置 」 を 当 然 の. ら し の 中 の 民 俗 学3. 藤 腹 明 子:「. 水 を と らせ る」9)が あ る。 そ し て 、 納 棺 前 に な る と身. 体 内 部 の 者 が 盟 に湯 を汲 ん で そ れ で 死 体 を 清 め仏 衣 に着. と 葬 送,新. の 移 り 変 わ り,エ. の 唇 を水 で 湿 らせ る 「末 期 の 水(ま つ こ のみ ず)」 「死 に. 日本 で は も と も と、 自宅 で亡 くな った 場 合 、 遺 族 や 共 同. 院. 林 社,1995.. 迎 え る こ とが 一 般 的 で あ った 。 民 俗 学 的 に は、 そ こで は 的 な 「死 者 の霊 魂 の送 り」 とい う多 義 的 な作 業 が 並 行 し て 行 わ れ て い た7)。例 え ば、 死 の 前 後 に 生 き返 らせ よ う. 田 富 秋 訳,病. り か 書 房,1992.. 「二 人 称 に近 い死 」 と して 、 「死 後 の 処 理 」 で は な く 「死 日本 にお いて は、 家 族 に見 守 られ な が ら自宅 で 「死 」 を. Social Organization. 村 哲 郎,山. で つ く ら れ る 死P.132,せ 3). ー. 大事典 9). 下,p.63,吉. 新 村 拓:在 P.123,法. 谷 尚 紀,湯. 川 洋 司 他 編:日. 本 民 俗. 川 弘 文 館,2000. 谷 尚 紀,湯. 川 洋 司 他 編:日. 本 民 俗. 川 弘 文 館,1999.. 宅 死 の 時代 一 近 代 日本 の タ ー ミナ ル ケ ア,. 政 大 学 出 版 局,2001..

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