学 位 論 文 題 名
博 士 ( 医 学 ) 鐙 谷 武 雄
Response of plasma tlSSuefaCtorpathWayinhibitortodiet
― 1nduCedhyperCh01eSter01emiainCrab ー eatingmonkeyS ( カニ ク イザ ルに お ける 食事誘 導性高コレステロ ール血症での 血 漿組 織 因子 経路 イ ンヒ ビタ ― の反 応)
゛ 学 位 論 文 内 容 の 要 旨
[緒言]
Tissuc facioi.l)atlix,vayi111iibilor (TFPI)は、糸n織区1 f/r7gVlla[jil ‑によりljH始され る 外[人l系 凝 岡 反 ↓ ふを ト ル 害 する プ ロ テ アー ゼ イ ン ヒビ タ ー で 、lL竹I勺 皮 細胞 で 産 ′lt さ れ 、 そ の 大 部 分 が り ポ 蛋 白 も し く は 内 皮 細 胞 表 而 に 結 合 し て 行 化 し て い る 。 そ し て 、 |fIL漿ffiで は 、LDL/VLDL結 合 型 、IIDL結 合 型 、 遊 離 型 の3っ の 行ri! 様 式 が あ る 。 こ の よ う な 抗[fIL栓 性 を 持 つTFPIが 、 動 脈 硬 化 、 |nTI栓 形 成 の 病 態 に お い て ど の よ う に 機 能 し て い る か 、 ま た ど の よ う に 変 動 す る か と い う こ と は ま だf・ 分 解I川 さ れ て い な い 。 そ こ で 今lri、 動 脈 硬 化 の 堪 礎 疾 患 と な り う る | 競 〃RIf‖ .jJFに 苒r1 し 、 サル を 疾患モ デルと して川 い、食 事負荷 により高 二1レフ 、,ア ロー亠 ル101.7^!を誘 導 して、TFPIの変動を倹討した。
[材料と方法]
3か ら8歳 の カ ー ク イ ザ ル リ 匹 を 実 験 に 用 い た 。().3% 二1レ ス テff… ハ 、15弧 バ タ ーを混人した食帝を魚術し、高コレステロール血症を誘導した。
'rrPIの71r1 f゛1: 測,Lは、twc) stageのFluorogcnic assayをJuいた。.リルIm愼にL二ト荊X 旧r と ヒ ト 第viIa閃 r、 ウ サ ギ 脳 組 織 閃 予 、 塩 化Caを 添 カ ‖ 、 ワ い で 篤X閃 ナ の 螢 冫匕 性ベブ チド艇 質を )J‖ え.、 第X仏lrマ 剛!ヒ 化反応 の阻害のf早度でインヒビター→濔rI: を表わした。TFI'Iび)抗原測定にはツ.′レricomnlhi11ant I'FPIのモノクHー→、ブ.,′レ、ポル ク ロ ー ナ ル 抗 休 を 川 い た サ ン ド イ ッ チ 法 に よ るEnzyme ilTlrnunc,assay( EIA) を 開 発 し 、 こ れ を 門Jい て 測 定 し た 。 ま た 、TrPIの 分 別 定 景 を 彳 了 な う た め に 、Sul)cidcx2()() のカラムにてゲル濾1Paを行なったー
[結果]
サ ル6pbの コ レ ス テ ロ ー ル 値 と'rrPI活 性 の sF均 値 の 変 化 を み る と 、I高 コ レ ス テ ロ ー ル食 負 荷 後4週 日で 、 コ レ ステ ロ ー ル 値は 約3倍 に 卜 昇 、ま た 、11ri‑ii(‑´i.fトは 約 1.5倍 に 上 昇 し た 。 そ の 後 20週 ま で そ の . . 亅 . 二 昇 し た レ ベ ル が 続 い て い た 。 ゲ ル 濾 過 後 の 各 分 両 の 検 討 で は 、 分 子 量100万 を 越 え る 分 襾 に 二 二 二1レ ス テ ロ ー ・ ル 、TFPI活 性 と も 大 き い ピ ー ク が 認 め ら れ 、LDL/VLDL結 合 型 ′I'FPIと 考 え ら れ た 。 ま た 、 彡 冫 了 景30万 か ら15万 の 分 画 に 、 コ レ ス テ ロ ー ル の 小 さ な ピ ー ク と TFPI活 性 の ニ ニ 峰 性 の ビ ー ク が 認 め ら れ 、HDL結 合 型rrFriと 考 え ら れ た 。 ま た 、 遊 離 型 の TFI) Iル 痕 跡 的 で あ り 、 明 ら か な ピ ー ー ク を 形 成 し て い な か っ た 。 高 コ レ ス テ 匸 亅 ー ルfflL症 時 に は 、LDLf VLDL分 画 に お い て 、 コ レ7ヽ テHー ルfI轟 と TFPI活 性 は と も に 人 き く 増 加 し て い た 。 こ の 分 画 の 変 化 は 他 の 分 ゛1イ の 変 化 よ り 人 き い こ と よ り 、jf‖ . 漿 巾 の 総TrPrの 変 化 に 最 も 影 響 を 与 え て い る と 考 え ら れ た 。 ま た 、I・IDL分 襾fに お い て はI高分 予IIDLのTFPI活 性 は減 少 し、 低分r IlDI」の'rrP]淅´rト は 増 カ ‖ し て い た 。 遊 離 型 の 'rrPrに っ い て は 、 負 荷 後 も 変 化 は な か っ た 。 LDL/VLDL)J襾 に お け るTFPI活 性 の 増 加 が 、 蛋 白 量 の 増 加 に よ る も の か 、 比 活 性 の‑f ‑釘 。 に よ ろ も の か を 調 べ る た め 、EIAに て 抗 原 景を 氾IJ定Lア一 ー ゲ ル 濾渦 後 の 秤 分 両 で 活rト と 抗 原 最 を 測 定 す る と 、 高 コ レ ス テ ロ ー ルIOL症 時 に は 、LDL/VLDL分
両において、′I.r:i)iの活性と抗原鼠は共に同程度の比率でj閤加していた。このこと より、この分襾fにおいて実際にTFPIの蛋白量が増加しているヰ)のと判断された。
ヒ トに おい て、 ヘパリ ンを投与すると内皮細胞に結合して存在している
TFPI
が 遊離 し、 血漿 中のTFPI
濃 度が増加することが報告されている。しかし、高コレス テ口 ール 血症 時に このへ パリンの効果に変化が生じるかどうかはまだ知られてい ない 。我 々は 今回 のモデ ルを用いこの問題にっいても検討を加えた。今回の検討 では 正常 コン トロ ール時 も高コレステロール血症時も、200
単位/Kg体重の量のへ パリン投与によりTFPI濃度は約5倍に増加し、両者で有意な差を認めなかった。ま た、 ヘパ リン 投与 後血漿 のゲ ル濾 過の 検討 では 、LDLー/VLDL分画、HDL分画、お よ び 遊離 型の いず れの 分画 にお いて も投 与前に 比べTFPI
の増 加を 認め た。 そし て、このへパリン投与後血漿を4度で24時間放置した後に、ゲル濾過を行ってみる とLDL/VLDL
分 画 のTFPI
は 減 少 しHDL
分 画 のTFPI
は 増 加 し て い た 。[考察]
今 回の 検討 にお いて、 高コレステロール血症において
TFPI
活性が増加したが、こ れ は 、
LDL/VLDL
の り ポ プ 口 テ イ ン が 増 加 す る の に 伴 っ て 、LDL/VLDL
結 合型TFPI
の 量 も増 加 す る た め で あ る こ と が明 かと なっ た。 また 、HDL結合 型TFPIで は、 低分 子HDLのTFPI活 性は 増加 して いた が、 この変 動には高コレステロール血 症時のHDLの組成の変化が関与している可能性が考えられた。ゲ ル濾 過に よる サル血 漿
TFPI
の分別定量の結果は、ヒトの結果と良く類似して いた 。ま た、 コレ ステロ ール値の上昇がTFPI
の上昇を来たす点でもサルとヒトの 結果 は一 致し てい た。一 方、齧歯類のウサギ、ラットでは、ゲル濾過の結果も高 コレ ステ ロー ル血 症に対 する反応もヒトとは異なっている事が報告されている。これ はヒ ト、 サル とウサ ギ、ラットの間で
TFPI
の構造に差があることが原因と考 えられる。今回の結果より、動脈硬化における血栓形成゛とTFPIの関係を調べるた めに 動物 実験 をす る場合 、その動物種にっいても考慮すべきことが明らかとなっ た。内 皮結 合型
TFPI
の量を 反映すると思われるへパリン遊離性TFPI
の検討では、正 常時 と高 コレ ステ ロール 血症時で差を認めなかった。この結果は単に数週間の高 コレ ステ ロー ル血 症があ るだけでは、内皮結合型TFPI
の量に変化を来たさない事 を示唆するもの.といえる。この現象の説明としては、(1)今回の程度のコレス テ ロ ール の負 荷で は、TFPI
の産 性能 が低 下する 程の 内皮 損傷 が生 じて いな い、(2)
TFPI
が毛 細血 管、 静脈 で主 で産 生さ れて いて、 そのために動脈で仮に産生 低 下 が 生 じ て も 全 体 で は 変 化 が 認 め ら れ な い 、 な ど が 考 え ら れ る 。高 コレ ステ ロー ル血 症時 に増 加し たLDL/VLDL結合 型TFPIの 由来 につ いて は、
今 回 のへ パリ ン投 与後 血漿 のゲ ル濾 過の 結果で 、ヘ パリ ン遊 離性 の
TFPI
がLDL/
VLDL
分 画 、 ま たHDL
分 画 に も 存 在 し て い た 事 よ り 、 内 皮 結 合 型TFPI
がLDL/
VLDL
結合型TFPIヘ移行した可能性が高いと考えられた。[結語]
(1)サルの高コレステロール血症モデルにおいて、コレステロールの上昇に伴 い 、
TFPI
活性 も上 昇し た。 この 上昇 は比 活性の 上昇 では なく 、LDL/VLDL結 合型TFPI
の蛋白量の増加よることが明らかとなった。(
2
)サ ルのTFPI
の血 中で の性 状、 動態 は他 の動物 種に比ベヒトに近似してお り、 サル は疾 患モ デルと して最適と考えられた。また今回開発した測定系はその 検討に有用である。(3)本モデルでのへパリン投与の検討により、数週間の高コレステロール血症 の負 荷で は、 内皮 結合型
TFPI
の量に大きな変化を来さなかった。また、ヘパリン 遊 離 性のTFPI
がLDL/VLDL結 合型TFPI
に移 行しう るこ とよ り、 高コ レス テロ ール 血 症 時に 増加 したLDL/VLDL
結合 型TFPIの 由来に つい ては 、内 皮結 合型TFPI
であ る可能性が考えられた。学 位 論 文 審 査 の 要 旨
主 査 教 授 阿 部 弘 副 査 教 授 石 橋 輝 雄 副 査 教 授 小 林 邦 彦
学 位 論 文 題 名
Response of plasma tissuef ・ aCtorpathWayinhibitortodiet
― induCedhypereholeSter01emiainCrab ― eatingmonkeyS (カニクイザルにおける食事誘導性高コレステロール血症での 血漿組織因子経路インヒビタ―の反応)
[序 論]
Tissue factor pathway inhibitor (TFPI)は、外 因系凝固 反応を 阻害する プ口テア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー で 、 血 管 内 皮 細 胞 で 産 生 さ れ 、 血 漿 中 で り ポ プ ロ テ イ ン と 結 合 し う る 。 こ の よ う な 特 徴 を 持 つTFPIが 、 血 栓 性 疾 患 で ど の よ う な 変 動 を し めす か 充 分 に 解 明 さ れ て い な い 。 そ こ で 動 脈 硬 化 、 血 栓 性 疾 患 の 基 礎 疾 患 と な り う る 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 を 、 サ ル に 食 事 負 荷 し て 誘 導 し 、TFPIの 変 動 を 検 討 し た 。
[ 材 料 と 方 法 ]
カ ニ ク イ ザ ル9匹 を 実 験 に 用 い た 。0.3% コ レ ス テ ロ ー ル 、15% バ タ ー を 混 入 し た 食 事 を 負 荷 し 、 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 を 誘 導 し た 。TFPIの 活 性 測 定 にtwo sta: のFluorogenic assayを 開 発 し た 。 血 漿 に 第X因 子 、 第VIIa因 子 、 組 織 因 子 、 塩 イ Caを 添 加 し 、 つ い で 第X因 子 の 螢 光 性 ペ プ チ ド 基 質 を 加 え 螢 光 強 度 を 測 定 し 、 第 X因 子 活 性 化 反 応 の 阻 害 の 程 度 で イ ン ヒ ビ タ ー 活 性 を 表 わ し た 。 ま た 、TFPIの 抗 原 量 測 定 に は 、 サ ル リ コ ン ビ ナ ン トTFPIの モ ノ ク 口 ー ナ ル 、 ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 用 い た サ ン ド イ ッ チ 法 に よ るEIAを 開 発 し 、 こ れ を 用 い て 測 定 し た 。 ま た 、 TFPIの 分 別 定 量 を 行 な う た め に 、Superdex200の カ ラ ム に て ゲ ル 濾 過 を 行な っ た 。 ヘ パ リ ン 遊 離 性TFPIの 量 を 検 討 す る た め 、 ヘ パ リ ン 負 荷 テ ス ト と し て 、200単 位 / Kg体 重 の 量 の へ パ リ ン を 静 脈 内 投 与 し 、 5分 後 に 採 mを 行 っ た 。
[ 結 果 ]
分 別 定 量 の た め に サ ル 血 漿 を ゲ ル 濾 過 す る と 、 分 子 量100万 を 越 え る 分 画に コ レ ス テ ロ ー ル 、TFPI活 性 と も 大 き い ピ ー ク が 認 め ら れ 、LDL/VLDL結 合 型TFPIと 考 え ら れ た 。 ま た 、 分 子 量30万 か ら15万 の 分 画 に 、 コ レ ス テ 口 ー ル の 小 さ な ピ ー ク とTFPI活 性 の ニ 峰 性 の ビ ー ク が 認 め ら れ 、HDL結 合 型TFPIと 考 え ら れ た 。 ま た 、 分 子 量4‑5万 に 遊 離 型TFPIの 小 さ な ピ ー ク を 認 め た 。 サ ルTFPIの 分 別 定 量 の 結 果 は 、 マ ウ ス 、 ラ ッ ト の 他 の 動 物 に 比 ベ 、 ヒ ト の パ タ ー ン と よ く 近 似 し て い た 。 サ ル6匹 に お け る 高 コ レ ス テ 口 ー ル 食 負 荷 後 の コ レ ス テ 口 ー ル 値 とTFPI活 性 の 変 化 を み る と 、 高 コ レ ス テ 口 ー ル 食 負 荷 後4週 目 で 、 コ レ ス テ 口 ー ル 値 は 約3倍 に 上 昇 、 ま た 、TFPI活 性 は 約1.5倍 に 上 昇 し た 。 そ の 後20週 ま で そ の 上 昇 し た レ ベ ル が 続 い て い た 。 高 コ レ ス テ 口 ー ルifn症 で のTFPIの 変 化 を ゲ ル 濾 過 で 検 討 し て み る と 、LDL[VLDL結 合 型TFPIの ピ ー ク が 大 き < 増 加 し て い た 。 一 方 、 他 の 分 画 は 、 負 荷 後 も 大 き な 変 化 は な か っ た 。
LDL[VLDL結 合 型TFPIの 活 性 の 増 加 が 、 蛋 白 量 の 増 加 に よ る も の か 、 比 活 性 の 上 昇 に よ る も の か を 調 べ る た め 、EIAに て 抗 原 量 の 測 定 を 試 み た 。 そ の 結 果 、高 コ
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レステロール血症時に、LDL[VLDL 結合型 TFPI の活性と抗原量は同程度の比率で 増加していた。このことより、この分面において実際にTFPj の蛋白量が増加して いるものと判断された。
ペパリン負荷テストを行うと、血漿TFPI は5 倍に増加した。このへパリン遊離性 TFPI についてもゲル濾過を行ってみると、LDL[VLDL 分画、 HDL 分画でもTFPI の 増加を認め、内皮から遊離したTFPI がりポプロテインと結合しうることが明らか となった。また、高コレステロール血症でのヘパリン遊離性 TFPI の量を検討して みたが、正常時と比ベ有意な変化を認めなかった。
[考察] サルTFPI の分別定量の結果は、マウス、ラットに比べるとヒトの結果に近似し ていたが、これは、ヒト、サルとマウス、ラットの間でTFPI やりポプロテインの 構造、存在様式に差があることが原因と考えられる。今回の結果より、生体内で のTFPI の動態を検討する場合、その動物種についても考慮すべきであり、サルは 動物モデルとして最適であると考えられた。
高コレステロール血症においてTFPI 活性が増加したが、これは、 LDL/VLDL の りポプ口テインが増加するのに伴って、 LDL/VLDL 結合型TFPI の蛋白量が増加す るためであることが明らかとなった。また、その増加したTFPI は内皮細胞結合型 TFPI から移行した可能性が考えられた。
内皮細胞結合型TFPI の量を反映すると思われるへパリン遊離性TFPI の検討で は、正常時と高コレステ口ール血症時で差を認めなかった。この結果は単に数週 間の高コレステロール血症があるだけでは、内皮細胞結合型TFPI の量に変動をき たさない事を示唆するものとぃえる。今後長期的な負荷により、動脈硬化を完成 させた時の検討が必要と考えられた。
本研究は高コレステロール血症におけるLDL/VLDL 結合型TFPI の増加を中心と する血漿TFPI の動態を明らかにしたものである。動脈硬化性疾患のm 栓形成の病 態生理を解明する上で、非常に有意義な研究と考えられ、学位授与に値する。
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