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氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与番号
学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目 論文審査委員
窪
コ斐 子(昭
医学博士 歯応51号
昭和44年7月4日
学位規則第5条第1項該当(医学研究科耳鼻咽喉科学専攻,博士課程修了者)
中耳手術患者の術前,術後におけるENG検査成績
(主査)教授 岩本彦之悪
(副査)教授 菊地 鎌二,教授 村瀬 正雄
論 文 内 容 の 要 旨
1. 目的
臨床応用が盛んに行なわれるようになった電気的眼振 記録法(Electronystagmography)bよ,その著しい異 常所見の検出率によって注目されている.
これに関し,上村(1966)はその利点について,1)
眼振所見が客観的に表示される,2)眼振所見の正確な 分析が可能である,3)閉眼時および暗所開眼時の眼振 所見がえられることを報告した.
これをさらに頭位を変えることによって迷路に負荷を 与え,眼振出現の有無およびその性状の変化を調べる体 位検査を組合わせて実施し,臨床的になお一層活用され
るようになった.
したがって,このENG検査を慢性中耳炎患者に行な えば,従来行なわれていた平衡機能検査では得られなか った異常所見の検出が可能であり,さらにこれを中耳手 術後の患者に行なうことによって,手術侵襲の内耳に与 える影響についても知ることが可能となる.
また,これらの眼振所見より逆にENG記録における 末梢迷路性眼振の性状を明らかにすることができる.
以上の目的から,最近3年間に施行された中耳手術患 者126例を対象に,ENG検査を行なった.
2.方法
眼振記録は4チャンネルの電気的眼振記録装置(EN G)を用い,眼球運動の水平および垂直成分を同時誘導 記録した.さらに,体位検査一側位検査,頭位変換眼振 検査一を視性条件の異なる閉眼時,および暗所開眼下に 加えてFrenzel眼鏡下に観察記録した.
3.検査成績および考按
慢性中耳炎患者126例について,その術前および術後 3~7日目(術後1),術後3週間目(術後∬)の3回,
ENG検査を行ない次の結果をえた.
1)病的眼振陽性率は,術前54%,中耳手術後の術後 1では89%,術後llでは69%であった.
2) この病的眼振を分類すると,自発眼振,頭位眼 振,頭位変換眼振がみられ,とくに術後1では頭位変化 によって影響される傾向がみられた.
術側との関係においては,術前自発眼振および背位に おいて眼振を認める症例では健側向きが多く,頭位およ び頭位変換眼振では患側向きが多い.この関係が術後1 ではみられなくなり,術後1では術前の関係に戻る傾向 がみられた.
3)病的眼振の性状については,術前水平性眼振が大 部分を占め,術後1では垂直成分をもつ眼振が増加し,
術後llでは術前の関係に近づいた.
4)ENG記録に際し,頭位変換眼振検査においてそ の視性条件,即ち暗所開眼およびFrenzel眼鏡下のE NG記録を比較し,前者が2倍弱の眼振陽性率を示し
た.
5)これらの慢性中耳炎患者のうち再手術例,真珠腫 性中耳炎例,迷路炎例,めまい自覚の有無および耳鏡所 見から鼓膜穿孔部位,耳漏の有無などについて検討した.
a.病的眼振陽性率は迷路炎併発例の 100%につい で,めまい自覚例62%,再手術例並びに真珠腫性中耳二炎 例の59%となっており,とくにめまい自覚例と無自覚例 では統計上有意の差を認めた.
b.病的眼振の分類と術側との関係について,迷路炎
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例では術前の自発眼振はすべて健側向きであったが,頭 位眼振および頭位変換眼振は患側向きが多く,鼓膜弛緩 部穿孔例でもこの傾向がみられた.
c.暗所開眼時のENG記録について,正背位におけ る自発眼振緩徐相速度を測定し,眼振の大きさは迷路炎 例〉めまい自覚例〉真珠腫性中耳炎例であった.
6) 中耳手術後に著明な眼振を観察および記録し,こ
れを1年以上にわたって追跡した4例のうち,1例は術 後4年たってもなお方向変化性頭位眼振が記録された.
7) ENG検査のほかに行なった遮眼書字検査の結 果,術前52%に5度以上の偏書を示した.中耳手術後に
も同様の検査を行ない術後1では56%,術後皿では50%
であった.偏書方向については患側向き,健側向きにと くに差はみられなかった.
論 文 審 査 の 要 旨
本論文は中耳病変およびその手術的操作が前庭迷路にいかなる影響を及ぼすかを,
解明したもので,学術上価値大なるものと認める.
主論文公表誌
中耳手術患者の術前,術後におけるENG検査成績 日本耳鼻咽喉科学会会報 72(9)1695~1720 (1969年9月)
副論文公表誌
ENGによつて分析
1.垂直性眼振の2例
耳鼻咽喉科40(9)651~657(1968)
2.ハント氏症候群の3症例
東女医大誌 38(7)492~498(1968)
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