家庭用個別分散型電熱源機器と温水式床暖房の併用効果に関する研究
青木 博子 1. はじめに 現在、発電と給湯を合わせ約 80%の総合効率を達成 できる家庭用個別分散型電熱源機器が、家庭における 新たなエネルギー供給機器として期待されている。 我々はこれまで、家庭用固体高分子形燃料電池の導入 効果算出プログラム1)を構築し、一般的な住宅での導入 効果の算出を行ってきた。電熱源機器を導入する際に は、いかに排熱を有効利用できるかでその効果が大き く左右される。そこで本報では、電熱源機器の排熱を 温水式床暖房の熱源に使うことで排熱の有効利用を図 り、家庭用個別分散型電熱源機器と温水式床暖房の併 用効果を数値シミュレーションによって明らかにする。 2. シミュレーションプログラムの構築 2.1 家庭用個別分散型電熱源機器概要 本報では、家庭用個別分散型電熱源機器として、家 庭用固体高分子形燃料電池CGS(以下、PEFC-CGS)、 家庭用固体酸化物形燃料電池CGS(以下、SOFC-CGS)、 家庭用ガスエンジンマイクロCGS (以下、GE-μCGS) を取りあげる。表 1 に各機器の仕様2) 3) 4)を示す。 PEFC-CGSの導入効果算出プログラムは、既往の研究 1)で構築したものであり、温度成層型貯湯槽モデルが導 入されている。SOFC-CGSは現在研究段階のものが多く、 詳細なデータを得ることが困難であるため、シミュレ ーションプログラムを構築する際に必要となる部分負 荷運転時の発電効率及び排熱回収効率には、既往の研 究1)で明らかにしたPEFC-CGSの特性曲線を表 1 に示す SOFC-CGSの定格効率まで嵩上げしたものを使用した。 GE-μCGSについては、参考文献4)から得られた部分負 荷効率を基にプログラムを構築した。GE-μCGSは PEFC-CGS、SOFC-CGSに比べ発電効率が低く、部分負 荷運転を行うことでさらに効率が低くなる。そこで本 報では、参考文献4)を基に最低部分負荷率を 0.5 と設定 し、余剰電力が発生した場合は電熱ヒーター(効率 0.9) により市水を加熱し、温水を貯湯槽に蓄える設定とし た。 以降のシミュレーションにおいては、系統からの買 電及びガスボイラー(高位発熱量での効率 0.72)によ り需要を賄うシステム(以下、従来システム)との比 較により 1 次エネルギー削減率を算出する。 表 1 家庭用個別分散型電熱源機器仕様PEFC-CGS SOFC-CGS GE-µCGS
定 定 定 定 貯 貯 サ 格発電出力 1kW 1kW 1kW 格熱出力 1.36kW 0.89kW 3.25kW 格発電効率(HHV) 33% 41% 18% 格排熱回収効率(HHV) 45% 36% 59% 湯温度 60℃ 70℃ 70℃ 湯槽容量 200L 150L 150L ブボイラー効率(HHV) (潜熱回収型)95% (潜熱回収型)95% 72%
燃料 都市ガス13A 都市ガス13A 都市ガス13A
2.2 併用システム概要 図 1 に各電熱源機器と床暖房の併用システムの概要 図を示す。各電熱源機器は、発電及び排熱回収を行う 電熱源機器ユニットと、排熱回収後の温水を貯める貯 湯タンクユニットで構成される。 家庭内で発生する電力負荷は、各電熱源機器による 発電でまず賄い、不足分は系統からの買電によって補 う。発電の際に電熱源機器ユニットで発生した排熱は、 所定の貯湯温度の温水として回収され、貯湯槽に貯め られる。給湯負荷は貯湯槽からの出湯で賄い、ミキシ ングユニットで出湯温度(40℃)に調節される。貯湯 槽出湯温度が 40℃に満たない場合には、サブボイラー によって追い炊きを行う。 床暖房運転時は、まず貯湯槽に貯められた温水と床 暖房の循環水を熱交換することで床暖房の循環水を温 める。床暖房循環水の熱交換器出口温度が床暖房循環 水温度(50℃)に満たない場合は、サブボイラーで追 炊きされる。その後、室内に敷設された床暖房温水パ イプ内を循環する。 既に市場に投入されているPEFC-CGS、GE-μCGSは、 機器に学習機能が付加されており、以前の負荷発生パ ターンから最適運転時刻を算出し、その時間帯で運転 を行う設定となっている。これは、既往研究1)で行った、 予め最適な運転時刻を算出しその時刻内で運転を行う DSS(Daily Start & Stop)運転と同様の手法であると考 え、本報では、PEFC-CGS、GE-μCGS の運転方法とし てDSS運転を採用した。最適な運転時刻は、冬期、夏期、 中間期の期間ごとに定めた。SOFC-CGSは作動温度が極 めて高く起動に要する時間が長いこと、また、作動温 度まで機器を昇温させるのに必要なエネルギーの消費 量が大きいことから、24 時間連続運転を行うものとし た。 48-1
現在、各電熱源機器 CGS は都市ガス等の化石燃料を 使用していることなどから、余剰電力を逆潮流させる ことが困難であるため、本報ではいずれの CGS におい ても電力負荷追従運転による検討を行う。CGS は発電 時に発生する排熱を回収しながら運転を続けるため、 貯湯槽の蓄熱量が一定値を越えると運転を停止しなけ ればならない。PEFC-CGS、GE-μCGS は、貯湯槽の最 下層水温が貯湯温度以上になった場合に停止指令を発 令する設定としている。一方、SOFC-CGS は 24 時間連 続運転を行うために、貯湯槽の蓄熱量が満蓄になった 時点で放熱ファンを作動させ、排熱を空気中に放熱す ることで運転を続行させる設定としている。 3. 入力負荷データの作成 本報では、シミュレーションの対象住宅として福岡 市西区の西部ガス株式会社総合研究所内に建つ「西部 ガス・創エネハウス(以下、創エネ住宅)」を設定した。 図 2 に創エネ住宅の平面図を示す。シミュレーション の入力に用いるデータは、空調負荷、一般電力負荷、 給湯負荷、気象データである。各データは 1 年間のデ ータで、12 月から 3 月までを冬期、6 月から 9 月まで を夏期、それ以外を中間期とした。空調負荷は動的熱 負荷計算プログラムTHERB5)により算出した。空調は全 ての場合で在室時運転とし、冬期の設定値を室温 22℃、 夏期の設定値を室温 26℃とした。表 2 に空調スケジュ ールを示す。一般電力負荷、給湯負荷は生活スケジュ ール自動生成プログラムSCHEDULE Ver.2.06)を用い、標 準的な 4 人家族(夫婦共働き、小学生、中学生)を想 定して算出した。表 3 に給湯量スケジュールを示す。 気象データは、福岡市の拡張アメダス気象データ7)(標 準年)と福岡市の市水温度データ8)を用いた。 図 3 に LDK の冬期室内環境を示す。case-a はエアコ ンを使用した場合、case-b は床暖房を使用した場合であ る。床暖房は立ち上がりが遅く、設定値である室温 22℃ に達するまでに時間を要する。床表面温度は case-b の 方が高く推移しており、運転開始からしばらくすると、 PMV も case-b の方が高くなる。LDK の冬期積算暖房負 荷は case-a が 2773kWh、case-b が 3336kWh となった。 4. ケーススタディによる床暖房併用効果の検討 併用システムの効果を明らかにするために、表 4 に 示す条件でケーススタディを行った。case1 が従来シス テムの場合、case2 が PEFC-CGS を導入した場合、case3 がSOFC-CGS を導入した場合、case4 が GE-μCGS を 導入した場合である。また更に、導入する電熱源機器 に対して LDK の暖房機器にエアコンを使用するか(a)、 床暖房を使用するか(b)で条件を分け、検討を行った。 エアコン 照明 機器ユニット 都市ガス 熱交換器 発電機 貯湯槽 市水 40℃出湯 ・風呂 ・炊事 系統電力 電熱源機器 からの発電 MU: SB: 排熱回収用ポンプ ( 変流量 ) 床暖房用ポンプ ( 一定流量 ) ミキシングユニット サブボイラー 市水都市ガス 50℃出湯 ・床暖房 熱交換器 P2 P2: P1: P1 MU SB 図 1 併用システム概要図 洋室1 洋室2 便所 ファミリールーム 吹抜 (居間上部) (台所) (食堂) (居間) L D K 洗面所 浴室 便所 ホール 出居 納戸 デッキ 洋室3 サン 3600 3600 7200 3600 3600 7200 36 00 18 00 18 00 36 00 10 800 3600 1800 1800 7200 3600 2700 900 7200 18 00 54 00 36 00 10 800 10 800 36 00 36 00 36 00 →床暖房敷設部分 子供室 1 子供室 2 (a) 1 階 (b) 2 階 図 2 平面図 期間 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 冬期 28 49 250 90 84 42 7 夏期 40 250 83 82 42 中間期 28 43 250 85 83 42 7 給湯量スケジュール[ℓ] *空白は0 表 2 空調スケジュール 表 3 給湯量スケジュール 対象室 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 LDK 主寝室 子供室1 子供室2 空調スケジュール *色塗りの時間が空調運転時 室内空気温度 室内床表面温度 室内PMV 主寝室 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 温度[ ℃] -2 -1 0 1 2 3 P M V [-] 室内空気温度 室内床表面温度 室内PMV -5 (a)case-a (b)case-b 図 3 LDK 冬期室内環境 電熱源機器 暖房機器 冷房機器 case1-a なし LDK以外:エアコンLDK:エアコン エアコン case1-b なし LDK:床暖房 LDK以外:エアコン エアコン case2-a あり(PEFC) LDK:エアコン LDK以外:エアコン エアコン case2-b あり(PEFC) LDK以外:エアコンLDK:床暖房 エアコン case3-a あり(SOFC) LDK:エアコン LDK以外:エアコン エアコン case3-b あり(SOFC) LDK:床暖房 LDK以外:エアコン エアコン case4-a あり(GE) LDK:エアコン LDK以外:エアコン エアコン case4-b あり(GE) LDK:床暖房 LDK以外:エアコン エアコン 表 4 検討ケース 2 月 6 日 2 月 6 日 0 5 10 15 20 25 30 35 温度 [ ℃ ] -2 -1 0 1 2 3 P M V [-] 48-2
4.1 運転状況 図 4 に各電熱源機器の冬期運転状況を、図 5 に夏期 運転状況を、図 6 に中間期運転状況を、図 7 に PEFC-CGS と GE-μCGS の日平均運転時間を、図 8 に 発電寄与率を、図 9 に給湯寄与率を示す。ここで寄与 率とは、電熱源機器由来の電力及び熱で家庭の需要を どれだけ賄えたかを評価する指標である。 冬期の運転状況を見ると、PEFC-CGS に関しては、 case2-b(PEFC-CGS と床暖房を併用した場合)は case2-a (エアコンのみで暖房を行う場合)に比べ PEFC-CGS の運転時間が長くなり、PEFC-CGS がほぼ 24 時間稼動 していることがわかる。そのため、発電寄与率も、 case2-a が約 40%であるのに対して case2-b は約 80%と、 約 2 倍になっている。しかし、case2-b では、床暖房運 転時に床暖房循環水を温めるための熱を PEFC-CGS か らの排熱だけでは賄い切れず、サブボイラーの稼動が case2-a と比べ大幅に増える。そのため、case2-b の給湯 寄与率は case2-a に比べ低下する。SOFC-CGS に関して は、常に 24 時間連続運転を行うため、PEFC-CGS のよ うに case3-a(エアコンのみで暖房を行う場合)と case3-b (SOFC-CGS と床暖房を併用した場合)で運転時間に 差は無い。発電寄与率は、case3-a ではエアコンのみで 全空調対象室の暖房を行うために電力負荷が大きくな り、SOFC-CGS からの発電のみでは負荷を賄い切れな い割合が多くなるため、case3-b よりも低くなる。給湯 寄与率は、PEFC-CGS の場合と同様に、case3-b では床 暖房の熱負荷を排熱だけでは賄えず、サブボイラーの 稼動が増えるため、case3-a よりも低くなる。GE-μCGS に関しては、case4-b(GE-μCGS と床暖房を併用した場 合)は case4-a(エアコンのみで暖房を行う場合)に比 べ運転時間が約 2 倍程度長くなる。そのため、発電寄 与率も、case4-b の方が case4-a に対し高くなっている。 給湯寄与率は、大きな差は無く、他の機器と比べて高 い排熱回収効率のため、稼働時間は PEFC-CGS、 SOFC-CGS と比べると短いが、負荷の発生時間帯に合 わせタイミング良く運転を行っている。 電熱源機器と床暖房を併用することで、電熱源機器 の排熱利用が促進され、電熱源機器の稼動時間も長く なる。しかし、どの電熱源機器も、床暖房の熱需要を 排熱だけでは賄えておらず、サブボイラーの稼動が増 加するという結果となった。 夏期、中間期では、空調機器に違いが無いため、 case2-a と case2-b、case3-a と case3-b、case4-a と case4-b、 はそれぞれ同一の負荷を入力として用いることになり、 電熱源機器ごとに同じ運転状況、導入効果となってい る。夏期の運転状況を見ると、給湯負荷が小さく、貯 湯槽の熱損失も少ないことから、運転を開始してから 満蓄になるまでの時間が短く、冬期に比べ PEFC-CGS、 0 2 4 6 0 10 20 30 40 50 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 電力 負荷 [k W ] 給湯 負荷 [k W ] 電力負荷 給湯負荷 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 発電量 [k W] PEFC発電量 電力負荷 PEFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 発電 量 [kW ] SOFC発電量 電力負荷 SOFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス 消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 発電量 [k W] GE発電量 電力負荷 GE ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 10 20 30 40 50 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 電力 負荷 [k W] 給湯 負荷 [k W] 電力負荷 給湯負荷 床暖房用 給湯負荷 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 発電量 [k W] PEFC発電量 電力負荷 PEFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 2月5日 2月6日 発電量 [k W] SOFC発電量 電力負荷 SOFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 図 4 冬期運転状況 2月 日5 2月 日6 発電量 [k W] 電力負荷 GE GE発電量 ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 10 20 30 40 50 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 8月6日 8月7日 電力 負荷 [k W] 給湯 負荷 [k W] 電力負荷 給湯負荷 0 2 4 6 0 10 20 30 40 50 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 5月7日 5月8日 電力 負荷 [k W] 給湯 負荷 [k W] 電力負荷 給湯負荷 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 8月6 8月7日 発電量 [k W] PEFC発電量 電力負荷 PEFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 5月7日 5月8日 発電量 [k W] PEFC発電量 電力負荷 PEFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 8月6 8月7日 発電量 [k W] SOFC発電量 電力負荷 SOFC ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 5月7日 5月8日 発電量 [k W] SOFC発電量 電力負荷 SOFC ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 8月6 8月7日 発電量 [k W] GE発電量 電力負荷 GE ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] 0 2 4 6 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0 6 12 18 0 6 12 18 24 (時) 5月7日 5月8日 発電量 [k W] GE発電量 電力負荷 GE ガス消費量 サブボイラー ガス消費量 ガス消費量 [N m 3] (b) 入力負荷データ case2-b, case3-b, case4-b (a) 入力負荷データ
case2-a, case3-a, case4-a (a) 入力負荷データ (a) 入力負荷データ
(b) 発電量・ガス消費量 case2-a, case2-b:PEFC (c) 発電量・ガス消費量 case2-a:PEFC (d) 発電量・ガス消費量 case2-b:PEFC (b) 発電量・ガス消費量 case2-a, case2-b:PEFC (c) 発電量・ガス消費量 case3-a, case3-b:SOFC (c) 発電量・ガス消費量 case3-a, case3-b:SOFC (f) 発電量・ガス消費量 case3-b:SOFC (e) 発電量・ガス消費量 case3-a:SOFC (h) 発電量・ガス消費量 case4-b:GE (d) 発電量・ガス消費量 case4-a, case4-b:GE (d) 発電量・ガス消費量 case4-a, case4-b:GE (g) 発電量・ガス消費量 case4-a:GE 図 5 夏期運転状況 図 6 中間期運転状況 48-3
case2-a case2-b case4-a case4-b GE-μCGS の運転時間は短い。SOFC-CGS は 24 時間連 続運転のため、常に十分な熱が蓄えられており、給湯 負荷のピーク時ですら、サブボイラーは稼動しない。 特に 7 月、8 月の給湯寄与率は 100%に近い値である。 発電寄与率は、エアコンの使用により電力負荷が大き くなるため、また、PEFC-CGS、GE-μCGS においては 前述したように運転時間が短くなるため、他の期間に 比べ低下する。中間期の運転状況を見ると、GE-μCGS の運転時間は、冬期より短く、夏期より長い。PEFC-CGS では case2-b の場合は GE-μCGS と同様の傾向だが、 case2-a の冬期運転時間よりは長くなる。これは給湯負 荷が冬期より小さいものの、電力負荷が小さい影響で 満蓄になるのに時間を要するからである。電力負荷の 小ささから、発電寄与率は他の期間よりも高くなる傾 向が見られる。 0 5 10 15 20 25 30 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年 削 減率[ % ] case1-aに対するcase2-aの削減率 case1-bに対するcase2-bの削減率 case1-aに対するcase3-aの削減率 case1-bに対するcase3-bの削減率 case1-aに対するcase4-aの削減率 case1-bに対するcase4-bの削減率 0 20 40 60 80 100 120
case1-a case1-b case2-a case2-b case3-a case3-b case4-a case4-b
年間1 次エ ネル ギ ー 消費量 [ G J/ 年・ 戸] -10 -5 0 5 10 15 20 c as e 1 -aに 対す る 削減率 [ % ] ガス 電気 削減率 0 20 40 60 80 100 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年 給湯寄 与率 [ % ]
case2-a case2-b case3-a case3-b case4-a case4-b 0 20 40 60 80 100 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年 発電寄与 率[ %]
case2-a case2-b case3-a case3-b case4-a case4-b 0 4 8 12 16 20 24 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年 日平均運転時間[ h / 日] 図 7 日平均運転時間 図 8 発電寄与率 4.2 省エネルギー効果 図 10 に全てのケースの年間 1 次エネルギー消費量を、 図 11 に従来システムに対する月別 1 次エネルギー削減 率(LDK の暖房機器にエアコンを使用する case2-a、 case3-a、case4-a の場合は case1-a に対する削減率を表し、 LDK の暖房機器に床暖房を使用する case2-b、case3-b、 case4-b の場合は case1-b に対する削減率を表す)を示す。 従来システム、PEFC-CGS 導入後、SOFC-CGS 導入後、 GE-μCGS 導入後のどの場合においても、LDK の暖房 機器に床暖房を使用する方が 1 次エネルギー消費量は 大きい。また、どの電熱源機器を導入しようとも従来 システムに比べ電熱源機器導入後は 1 次エネルギー消 費量が削減される。消費量の比較では、SOFC-CGS を 導入し全ての空調をエアコンで行う case3-a が最も少 なくなった。一般的な家庭の状況に近いと思われる case1-a に対する各ケースの削減率は case3-a が最も高く、 次いで case3-b、PEFC-CGS 導入の 2 ケース、GE-μCGS 導入の 2 ケースとなった。case1-a に対する case2-a、 case3-a、case4-a の 1 次エネルギー削減率はそれぞれ通 年で 11.6%、15.7%、4.3%となり、冬期に限ると 12.5%、 19.8%、4.3%となった。case1-b に対する case2-b、case3-b、 case4-b の 1 次エネルギー削減率はそれぞれ通年で 18.0%、19.1%、7.3%となり、冬期に限ると 25.3%、26.0%、 10.4%となった。電熱源機器と床暖房を併用することで、 高いエネルギー削減率が得られている。 図 9 給湯寄与率 図 10 年間 1 次エネルギー消費量 図 11 月別 1 次エネルギー削減率 8. おわりに 本報では、数値シミュレーションを用いて家庭用個 別分散型電熱源機器と温水式床暖房の併用効果を明ら かにした。併用システムの導入効果は高いものの、電 熱源機器からの排熱だけでは床暖房の熱負荷を賄えず、 サブボイラーの消費が増加する結果となった。今後は、 夏期や中間期における排熱利用促進方法に関しても検 討を行い、年間を通して更に効果的な家庭用個別分散 型電熱源機器の導入手法について提案をしていきたい。 【参考文献】 1) 黒木洋,他 3 名:家庭用固体高分子形燃料電池 CGS の運転方法と導入 効果 家庭用分散型電熱源の導入効果に関する研究 その 1,日本建築 学会環境系論文集,No.610,pp.67-73,2006 年 2) 京セラ株式会社:http://www.kyocera.co.jp/ 3) 日立アプライアンス株式会社:http://www.hitachi-ap.co.jp/index.html 4) 田中英紀,他 3 名:ガスエンジンシステムに対する発電機と貯湯槽の容 量設計法 家庭用コージェネレーションシステムの計画・設計手法に関 する研究 その 1,日本建築学会環境系論文集,No.595,pp.65-72,2005 5) Ozaki A., Watanabe T. and Takase S. : Simulation Software of the
Hydrothermal Environment of Buildings Based on Detailed Thermodynamic Models, eSim 2004 of the Canadian Conference on Building Energy Simulation, pp.45-54, 2004 年 6) 空気調和・衛生工学会:シンポジウム 住宅における生活スケジュール とエネルギー消費 テキストと付属プログラム SCHEDULE Ver.2.0, 2000 年 7) 赤坂裕,他 7 名:拡張アメダス気象データ,日本建築学会,2002 年 8) 福岡市水道局浄水部水質試験所:水質試験年報/第 29 集,2004 年 48-4