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医療安全を考える 藤原 優子

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Academic year: 2021

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(1)

Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 32(4): 259260 (2016)

© 2016 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 巻 頭 言

医療安全を考える

藤原 優子1, 2

1町田市民病院小児科

2東京慈恵会医科大学小児科学講座

Patient Safety Masako Fujiwara

1, 2)

1) Division of Pediatrics, Machida Municipal Hospital, Tokyo, Japan

2) Department of Pediatrics, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan

2015

10

月に医療事故調査制度が稼動し,侵襲的治療を多く行う日本小児循環器学会会員の皆様は,より緊張 感をもって日常の診療を行っていると思う.小児循環器領域では胎児期から胎児診断・胎児治療でご家族と接し,

インフォームドコンセントを得て,まだ生まれぬ赤ちゃんの診療を開始している.重症心疾患では生後早期より治 療介入し,よりよい

QOL

を目指し,治療に当たる.心疾患の治療は患者さんごとにリスクが異なり,ほぼテーラー メイドである.どの治療がお子さんに最善か,医療チームで議論を尽くし,必要があればセカンドオピニオンにも ご紹介する.日本小児循環器学会という小児科・心臓外科の共通のフィールドがあるため,小児科医から院外の心 臓外科医へのお願いもスムースに進んでいると感じている.このように病院の有形無形の最大のリソースを尽くし ても医療事故は一定の頻度で発生する.

小児循環器学会の医療安全セミナーは開始当初は空席が目立ったが,ここ数年は立ち見が出るようになった.

医療安全文化が浸透してきたと感じる.そこでよく取り上げられているのが

TeamSTEPPS

Team Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient Safety

)である.

TeamSTEPPS

という名前は出てこないが,ゴリラが出 てくる動画,複数回答の得られるだまし絵などで,

Basic course

がより身近なものとして扱われている.米国国防 省(

DOD

),米国医療研究品質局(

AHRQ

)により開発されたパフォーマンスと患者安全性を向上させるための 戦略と手段で,どのようにチーム力をあげるか,を主眼にしている.患者を頂点とし,核となるチーム,調整する チーム,補助的なサービス,経営管理で患者ケアチームは構成され,時に非常事態対応チームとも協働する.リー ダーシップ,状況観察,相互支援,コミュニケーションという

4

つの核がこのシステムを動かしている.

私が医師になった頃,上級医を頂点として看護師,その下に研修医という構造があった.今は医師・看護師・

ME

等が小児循環器領域の核のチームになり,同等の立場である.

新人でも,この患者さんのここが心配だ,と声を発し(スピークアップ),医師が大丈夫だ,と言っても,「

2

チャ レンジルール」にのっとり,もう

1

回声にする.患者さんが急変したら,全体を俯瞰し,どこに負荷がかかり,ど こを「相互支援」しないといけないのか考える.

A

チームの急変時,

B

さんの

IC

で両親がそろっている.

B

さん 家族は下のお子さんのお迎えの時間が迫っている.外来主治医の

C

A

チームと協働して

B

さんの

IC

をしよう.

MRSA

の患者さんの患者エリアを出た先生が手指消毒をしていない.相互監視で気づいたら,手指消毒をしてく ださい,と声をかける.こんな細かいことから,医療チームのコミュニケーション,医療安全文化が醸成される.

日ごろ,

TeamSTEPPS

のなかで一番難しいと感じているのが,「メンタルモデルの共有」である.

A

B

が考え

ていることが一致していないと当然良好な医療が行えない.術前評価は十分に行っているものの,メンタルモデル の共有が不十分だとよいアウトカムに結びつかない.メンバー間で目標や価値観が一致していることの確認や指導 医に対しても何でも聞ける雰囲気作りが指導医には必要だ.

IT

時代になり,コミュニケーションをとるのが苦手な世代が働き手になってきている.○○が……と話すと次 doi: 10.9794/jspccs.32.259

(2)

260

日本小児循環器学会雑誌 第32巻 第4

に出てくるのがスマホである.

50

代,

60

代のスタッフは円滑に物事を進めるためには根回しが大事,というコミュ ニケーション重視の世代である.父母,祖父母,兄弟など患者家族はさらに年齢幅が大きくなる.何か事例が発生 すれば,より厳しいご発言をいただくのが祖父母からである.患者・家族の話を傾聴し,家族を含めた医療チーム としてのコミュニケーション能力は医療技術とともに重要なスキルである.

5S

活動はどうだろうか? 以前は整理・整頓・清潔・清掃・しつけの順であったが,最近はしつけがトップに きている.

High quality organization, high reliability organization

は小児循環器領域では必須の条件である.チーム医療,

患者安全を十分に配慮した組織構築をしていこう.

参照

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