論文内容要旨
論文題名 Relationship between islet autoantibodies and pancreatic volume in type 1 diabetes in a Japanese population
(日本人 1 型糖尿病における膵島関連自己抗体と膵体積の関係)
掲載雑誌名 Diabetes and Endocrinology(DE) (2019 年 掲載予定)
内科系内科学 (糖尿病・代謝・内分泌内科学分野) 深瀬 絢子 内容要旨(1200 字以内)
1 型糖尿病(Type 1 diabetes;T1D)は、膵β細胞の選択的破壊により 生じる。過去の研究では、T1D の膵外分泌腺の形態、病理、および機能異 常が報告され、急性発症 T1D および緩徐進行 1 型糖尿病(SPIDDM)の膵外 分泌腺炎と膵重量減少が確認されており、T1D の膵萎縮の原因は、インス リン分泌能の欠如による膵外分泌腺組織への影響が考えられている。一方 で、インスリン分泌が残存している T1D においても膵萎縮が認められてお り、見解は一致していない。
CT 検査や MRI 検査などの画像診断法を用いた近年の研究で、急性発症 T1D で罹病期間とは関係なく膵体積(Pancreatic Volume;PV)の減少が 報告された。また、他の研究では、成人の新規発症急性発症 T1D と膵島関 連自己抗体陽性の非糖尿病ドナーにおいても膵萎縮を認め、T1D 発症以前 に膵萎縮が始まっている可能性が示唆された。さらに、発症早期の T1D と 非糖尿病患者を対象とした我々の研究では、急性発症 T1D では有意に PV 減少を認めたが、劇症 T1D では減少を認めず、急性発症 T1D の膵萎縮には 自己免疫を介した機序の関与が推測された。
抗 GAD 抗体(GADAb)、抗 IA-2 抗体(IA-2Ab)、抗 ZnT8 抗体(ZnT8Ab)、 およびインスリン抗体などの膵島関連自己抗体は、破壊された膵β細胞に 対する抗体であり本質的な T1D の病因とは言えないが、発症と強く関係し ている。急性発症 T1D と SPIDDM では、成因および残存β細胞機能が明ら かに異なるが、膵萎縮および膵島関連自己抗体の存在は両型に共通してお り、本研究では T1D の PV と膵島関連自己抗体の関係を調べた。
方法:T1D 71 例(急性発症 T1D 32 例、SPIDDM 39 例)と年齢、BMI が
合致した非糖尿病患者 39 例を対象に、CT 検査を用いて膵体積を測定した。
膵島関連自己抗体は、GADAb、IA-2Ab、および ZnT8Ab を測定した。
結果:PV は、T1D、非糖尿病患者の両群で体重と正相関したため、
Pancreatic volume index(PVI;膵体積/体重)を用いて検討した。T1D の PVI は、非糖尿病患者に比べ約 40%減少していた。SPIDDM では、罹病 期間と PVI は負の相関を示した。T1D 全体で、GADAb および ZnT8Ab と PVI とは関連を認めなかったが、IA-2Ab と PVI は負の相関を示した。IA-2Ab 抗体価別での PV 比較では、IA-2Ab 高抗体価群(≧10 U/ml)で陰性群に 比べ PVI が有意に低かった。IA-2Ab 高抗体価群は、急性発症 T1D の割合 が高く、GADAb および ZnT8Ab が高抗体価であった。
結論:IA-2Ab 高抗体価は、特に急性発症 T1D における膵サイズ減少を 反映している。T1D における膵萎縮の潜在的なメカニズムは、急性発症 T1D と SPIDDM で異なる可能性がある。