• 検索結果がありません。

白血病(2)急性白血病

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "白血病(2)急性白血病"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

今までは総論的なところを話しましたけれども、これから各論の部分に入ります。

(2)

それでは急性白血病ですけれども、急性白血病は、年間に数万人あたり1人の割 合で発症します。大人では骨髄性が多いのですが、小児ではリンパ性が多いです。

診断後すみやかな治療の開始が必要で、治療が遅れると致命的になることがある ため、注意が必要です。

(3)

急性白血病には、大きく分けて2つの分類があります。1つ目はFAB分類と いって、1976年に登場し、これは形態学的、すなわち白血病細胞を顕微鏡 で見たときの白血病の形や、白血病の割合を調べることによって分類してい きます。この分類の方法ですと、どのような施設でも診断の一致率が80%以 上あるとされています。ただ、FAB分類でせっかく分類しても、その後の治 療内容や予後の分類にあまり影響を与えないということで 、1999年には WHO分類が登場しました。この分類では予後に関連すると言われている特 徴的な染色体や遺伝子異常を組み入れた分類になっています。この2つの 分類ですが、もう1つ大きな違いがあって、骨髄中の白血細胞の割合が、

FAB分類では30%以上の場合に急性骨髄性と定義していますけれども、

WHO分類では20%に引き下げられました。

(4)

続いて、白血病の分類の表になります。この全部を覚える必要は全然ない のですが、一応載せています。FAB分類では、急性の骨髄性白血病、AML というように呼んでいますが、M0からM7まで8種類に分けられます。また、急 性のリンパ性白血病、ALLと呼んでいますが、L1からL3まで3種類に分けら れます。WHO分類では、このように染色体異常を加味した分類になってい ます。ここで勘違いしないでいただきたいのですが、現在、FAB分類は使わ れなくて、WHO分類と入れ替わった、取り替わったというわけではありませ ん。両方使うということです。今でもFAB分類は、形態学的にはとても重要な 分類で使っていますし、染色体異常を加味したWHO分類も、最近では使っ ています。カルテには、初診の患者さんで、FAB分類では何々、WHO分類 ではこれこれというように記載するようにしています。

(5)

続いて、急性白血病の治療の基本的な理念ですけれども「Total Cell Kill」

という考え方で行っています。白血病細胞を徹底的にたたくということです。

徹底的とは何かというと、もちろん患者さんが耐えられる範囲で、より強力な 治療を、1回だけではなく、繰り返し行うというのが、基本的な白血病の治療 の考え方になっています。

(6)

これは、急性白血病の治療の流れになります。白血病が発症したときに一番最初 に行う初回治療のことを、寛解導入療法と呼びます。寛解とはどういうことかという と、採血をしても、骨髄の検査をしても、白血病細胞が少なくなっていて、正常な赤 血球・白血球・血小板などの血球がつくられるような状態を寛解と呼んでいます。治 療を始める前、寛解導入療法前には、縦軸に10の12乗個という白血病細胞があり ます。これを数えると1兆個になります。かなり多い数の白血病細胞が体の中にある のですが、寛解に到達すると、10の9乗個まで減ります。寛解という状況になって も、まだ体の中にはたくさん白血病細胞が残っていますので、この時点で治療をや めてしまうと、確実に再発します。そのため、寛解後療法というものを3~4コース行う ことが多いです。

急性骨髄性白血病の場合は、その寛解後療法でいったん治療は終わるのです が、急性リンパ性白血病の場合は、その後、外来で約2年間、抗がん剤の治療を継 続していきます。このように、複数回に及ぶ抗がん剤治療で、白血病細胞が少なく なって消失すると治癒、残念ながら途中でふえてしまうと再発ということになります。

寛解導入療法、寛解後療法というのは、大体1ヵ月に1回ペースで行っていきます。

この表でいうと、4回、棒が引っ張ってありますが、4コース治療すると4~5ヵ月くらい はかかります。この間は、ずっと入院になります。そのため、急性白血病の寛解導 入療法、その後の寛解後療法を含めると、おおまかに言って、半年近くの入院が必 要になる計算になります。

(7)

続いて、急性白血病の治療法をアルゴリズムに分けて示しました。急性白血 病には、先ほどFAB分類でも少し言いましたが、骨髄性の白血病と、リンパ 性の白血病があります。骨髄性の白血病は、FAB分類のM3とM3以外で大 きく治療方法が異なってくるため、それぞれ分けて解説していきます。

(8)

まずM3以外のタイプから話していきます。寛解導入療法はイダルビシン、あ るいはダウノルビシンという抗がん剤に、シタラビンという抗がん剤を併用し て行います。寛解率は大体70~90%に及びます。寛解後療法としては、シ タラビン大量療法、あるいはそのほかの抗がん剤の併用療法を3~4コース 行います。再発・再燃した場合は、このあとまた説明しますけれども、マイロ ターグという薬や、造血幹細胞移植などを行っていきます。まとめますと、い きなり移植をするのではなく、まず化学療法が基本になります。化学療法と いうのは、抗がん剤が基本になります。再発例や、予後不良の患者さんに 対しては、同種移植、骨髄移植を考慮していきます。

(9)

これは難しいのですが、急性骨髄性白血病は、染色体異常によって予後分類がな されていて、このような染色体異常を3群、予後良好群、中間群、不良群というように 分けています。予後良好群の人の生存率のグラフになりますけれども、予後良好群 の人は5年後55%の生存率があり、中間群の人は約40%、予後不良群の人は10%

と、このようにはっきりと生存率が分かれてきます。

(10)

先ほどマイロターグという言葉が出てきたのですが、そのマイロターグの話を少しさ せていただきます。一般名は、ゲムツズマブ オゾガマイシン、約してGOと、呼んで います。これはどういう薬かというと、急性骨髄性白血病は、多くCD33という抗原が 発現しているのですが、そのCD33に対する抗体がマイロターグです。この薬には 抗腫瘍効果のあるカリキアマイシンという物質が結合されていて、抗腫瘍効果を高 めています。日本では、2005年に再発・治療抵抗性の急性骨髄性白血病に対し て、単剤での認可が下りました。再発患者の寛解率は約25%あり、一定の効果が 期待できる薬です。アメリカで行われた初発患者を対象にした化学療法に、GOを 併用した第Ⅲ相試験があったのですが、その試験ではマイロターグの有益性が確 認できず、むしろ致死的な有害事象の発現率が高かったため、アメリカでは昨年の 10月から販売中止となって使用できないような状況になっています。ただし日本で は、このアメリカで行われた試験とは全く違って、白血病の患者さんですけれども、

対象の患者さんが違うということと、あとは単剤、つまり投与の方向が違うということ で、現在もマイロターグを使用することができます。

(11)

これは急性骨髄性白血病の移植適応の表になります。聞き慣れない言葉が多いと 思いますが、先ほど話したように、予後不良群、高リスクの患者さんに関しては、初 回治療を行って、寛解に到達した第一寛解期に、積極的に移植が行われます。た だし、初発時、低リスクの患者さんは、化学療法のみで、ある程度治癒が期待でき るので、第一寛解期での骨髄移植は基本的には行わず、再発後に寛解に到達し た第二寛解期での移植を考慮していきます。

骨髄移植というのは、骨髄を提供してくれるドナーがどうしても必要になってくるの ですが、ドナーの種類としては血縁、おおまかには兄弟と思っていただいていいの ですが、血縁です。骨髄バンクでドナーを探す場合は、非血縁です。あとは赤ちゃ んのへその緒を使ったさい帯血、と、自分の幹細胞を使った自家移植などがありま す。自家移植というのは、現在、急性骨髄性白血病ではあまり行っていないので、

基本的には左の3つになります。ドナーをどのように選んでいくかというと、優先順位 としては、移植の効果と副作用の観点から、血縁ドナーを1番にして、その次にバン クの非血縁、その次にさい帯血というように順位をつけて探します。

(12)

続いて、急性白血病、骨髄性白血病のM3の治療の内容について解説して いきます。FAB分類のM3なのですが、急性前骨髄球性白血病とも呼ばれて います。この病気の原因はある程度わかっていますので、これもわかりにく いかもしれないのですが、図を使って病気の原因について解説していきま す。

(13)

このように2本の棒がありますけれども、両方とも染色体です。15番目の染色 体と17番目の染色体がここには描かれているのですが、この部分とこの部 分で染色体が切れて、それぞれが入れ替わってしまうと、このような図になり ます。このM3 という病気の患者さんは、この染色体異常があることが1つの 特徴です。

この少し長くなった染色体ですけれども、この部分にはPML/RAR α融合遺 伝子があって、それがつくり出す蛋白があるのですが、その蛋白は、実は血 球の分化を障害します。血球の分化を障害するというのは一体何かという と、骨髄の中で幹細胞から血球が成長していくのですが、それが一定の段 階で成長が止まってしまい、白血病細胞としてふえてくるということです。

(14)

この病気には、オールトランスレチノイン酸という、ATRAという薬がよく効くの ですが、そのATRAがどのように効いていくかといいますと、その蛋白に結合 することによって分化障害を解除します。分化障害が解除されると、その白 血病細胞が分化、要するに成長していって、普通の成熟した好中球、少し 形は違うのですが、好中球まで分化していって細胞が壊れるという、こういう ところで治療の効果が出てくる薬です。今話した内容は全然覚える必要は ありませんが、わかっていただきたいことは、ATRAという薬はとてもよく効き ますが、これは抗がん剤ではありません。これはビタミンA の一種で、分類 すると、分化誘導体と呼ばれます。よろしいでしょうか。

急性前骨髄球性白血病の治療をもう一度、寛解導入療法からまとめます と、オールトランスレチノイン酸、先ほど話したATRA 抗がん剤の併用療法を 行います。それによって寛解率は90%以上と良好で、その後、寛解後療法 を同じように3~4コース行います。再発・再燃した場合は、これもあとで解説 しますが、亜ヒ酸や、造血幹細胞移植が考慮されていきます。まとめますと、

まず分化誘導療法を行い、抗がん剤を併用していきます。再発・予後不良 群は、自家・同種移植を考慮していくということです。

(15)

これは、M3の初発に対するATRAと抗がん剤併用療法の治療の成績になり ます。まだ説明はしていませんが、実はこのM3というタイプの白血病は、診 断されたときにDICという病態になっている患者さんが多いです。DICという のはとても出血しやすい病気で、脳出血などで亡くなってしまう患者さんが いますが、治療を開始して、ここで少し生存率が落ちていますが、出血など で治療初期に亡くなる患者さんがいます。そこを乗り越えると、この病気は おおむね生存率は良好で、白血病という病名ですが、長期の生存率が 84%あります。白血病の中では、今最も生存率が高い病気になっています。

(16)

今は初発の話をしたのですけれども、今度は再発に対する亜ヒ酸の話をし ようと思います。先ほど少し亜ヒ酸の話が出てきましたが、亜ヒ酸というのは、

ATRAとは少し違いますが、同じように白血病細胞を分化させていく分化誘 導療法で、誘導剤です。これによって再発時の寛解率は80~90%ととても 良好で、再発に対する第一選択薬になっています。

(17)

続いて、今度は急性リンパ性白血病の治療について話します。急性リンパ 性白血病というのは、Phが陽性か陰性かで治療方針が変わります。Phという のは、あとでまた解説していきますが、フィラデルフィア染色体というもので す。

(18)

Ph陰性の化学療法について説明していきます。急性リンパ性白血病、Ph陰性の治 療についてですが、このように多剤を使った併用療法を行っていって、寛解割合は 70~90%と、まずまず良好です。その後、地固め療法を3~4コース行います。行っ たあとに、外来で維持療法を約2年間行っていきます。この病気は、中枢神経への 浸潤が多い病気なので、中枢神経への予防的な抗がん剤投与が必須になります。

どのように予防しているかというと、抗がん剤の髄腔内投与、もしくはプロトコールに よっては、中枢神経への移行のいい抗がん剤であるメトトレキサートとか、シタラビン という薬を点滴で大量投与していきます。

(19)

これは急性リンパ性白血病の初回治療の成績です。この左のものは生存率 になります。寛解率は、先ほど言ったように85%と高いのですが、再発が多 く、全生存率も良好とは言えません。年齢的に見てみると、30歳以下の患者 さんでは大体70%くらいの生存率が期待できますが、それよりも年齢が進ん でいくと、このように生存率が低下していきます。

(20)

続いて、Ph陽性、フィラデルフィア染色体陽性の白血病について解説して いきます。

(21)

Ph陽性の急性リンパ性白血病ですが、これは9番染色体と22番染色体の転座によ り、Bcr/Abl融合遺伝子が構成されます。この遺伝子からAblチロシンキナーゼとい う酵素ができて、これが恒常的に活性化されると、白血病細胞が増殖します。この 病気は、予後、治りにくさですが、予後が絶対的に悪いと言われています。ただ、イ マチニブという薬が開発されて使われるようになってから、化学療法の成績が格段 に上がりました。

(22)

そのイマチニブのことについて少し話をします。左側のほう、これがPh陽性の白血 病の患者さんの持っている酵素です。この緑のチロシンという部分と、リン酸塩とい う部分がくっつくことによって酵素が活性化され、白血病細胞がふえていきます。で すが、イマチニブというのは、ちょうどこの部分に結合することによって、チロシンに リン酸化が起こらずに、白血病細胞が増殖しないような形になります。こういうことで、

イマチニブは治療効果を発揮します。

(23)

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療のグラフです。これは、イ マチニブを使った場合と使わない場合の比較試験になっています。イマチニブを 使わないと、これは月単位ですけれども、長期生存は望めません。ほぼ全例で亡く なってしまいます。移植を行わない患者さんでは、さらに早期に生存率が悪くなりま す。ただ、イマチニブを使った場合は、これだけ治療成績が上がる、という画期的な データです。

(24)

続いて、急性リンパ性白血病の移植適応の表に移ります。急性リンパ性白血病の 予後不良因子ですけれども、この左下にあるような、いろいろな因子があると予後 不良と言われます。こういう因子があると、高リスク群に当てはめられて、高リスク群 の患者さんでは、第一寛解期に積極的に移植が勧められます。予後不良因子がな い標準リスクの患者さんでは、同種移植を行うことがメリットとしてはっきりとは確認さ れていませんので、第一寛解期での移植は慎重に考える必要があります。ただ、第 二寛解期以降に骨髄移植を行った場合は、第一寛解期に移植を行ったときと比べ ると成績が落ちるので、いいドナーがいたりした場合は、第一寛解期からの移植も 選択肢に上がって考えていきます。

参照

関連したドキュメント

(注妬)精神分裂病の特有の経過型で、病勢憎悪、病勢推進と訳されている。つまり多くの場合、分裂病の経過は病が完全に治癒せずして、病状が悪化するため、この用語が用いられている。(参考『新版精神医

注:一般品についての機種型名は、その部品が最初に使用された機種型名を示します。

それでは資料 2 ご覧いただきまして、1 の要旨でございます。前回皆様にお集まりいただ きました、昨年 11

ピンクシャツの男性も、 「一人暮らしがしたい」 「海 外旅行に行きたい」という話が出てきたときに、

しかしながら、世の中には相当情報がはんらんしておりまして、中には怪しいような情 報もあります。先ほど芳住先生からお話があったのは

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

したがいまして、私の主たる仕事させていただいているときのお客様というのは、ここの足

○平山委員 ありがとうございます。.