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2022年度版 シンガポール投資ガイド

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Academic year: 2022

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(1)

2022 年度版

シンガポール 投資ガイド

KPMG シンガポール

(2)

はじめに

このシンガポール投資ガイドは、シンガポール に投資または シンガポールにて事業を行う こと を検討されている方々へ情報 提供す ることを目的として、

KPMG

が発行しているシンガポール に関する諸出版物の

1

つです。

この投資ガイドは、シンガポールで事業活動を行う にあ たって準拠しなければならない会計制度、税制その他諸法規の 概要 を説 明することを目的としています。

本投資ガイドで説明している情報はすべてを網羅する ものではなく、またそれを目的としていません。外国での投資や 事 業 に関 する意思決定を行う際には 、そのプロ ジェクトに関わる すべての事項を詳細に検討する必要があります。したがって、この投資 ガイ ドに示すシンガポールの投資環境は、初期段階での検討の参考としていただければと思います。

また、本冊子に記載されている内容は、

2021

10

月時点で入手可能な情報に基づいたものです。本冊子の発行後に法令な どが 変更されることもありえます。このため実際にシン ガポール での事業展開等を検討される場合は 、あ らかじめ専門家の詳細 かつ最 新の情報に基づくアドバイスを受けることをお薦めします。

本冊子が、シンガポールビジネスに携わる方々にご活用いただければ幸いです。

詳細についてのお問合せは、最終ページの日本関連事業部担当までご連絡ください。

2022

3

KPMG

シン ガポール事務所

16 Raffles Quay #22-00, Hong Leong Building, Singapore 048581

T

:+65 6213 3388

F

:+65 6225 0984

home.kpmg/sg

(3)

目次

1

章 社会およ び経済の概況

1

1.

社会

1

2.

政治

1

3.

経済

1

2

章 事業拠点の構築

3

1.

外国投資規制

3

2.

規制業種

3

3.

事業認可を必要とする主な業種

3

4.

会社設立および支店の登録

4

5.

パートナーシップおよび個人事業の登録

6

6.

駐在員事務所の登録

6

7.

労働関係

7

3

章 法人税

9

1.

法人税制の特色

9

2.

税率

9

3.

課税年度と基準年度

9

4.

申告・納税手続

9

5.

納税者の区分(居住法人・非居住法人)

10

6.

課税所得の計算

10

7.

損益通算納税制度

14

8.

源泉税

14

9.

外国税額控除

15

10.

利益の送金

16

11.

インセンティブ

16

12.

投資保有会社

17

13.

移転価格税制

17

14.

過少資本税制

17

15.

タックス・ヘイブン税制

17

16.

間接税

17

17.

租税条約

19

18.

税務調査

20

19.

事前裁定制度

21

20.

パートナーシップの税制

21 21.

その他の税金、負担金および賦課金

21

4

章 個人所得税

23

1.

納税者の区分(居住者・非居住者)

23

2.

申告・納税事務手続

23

3.

税率

23

4.

課税対象

24

5.

所得控除

25

6.

課税所得の計算

27

7.

短期滞在者の課税

27

8.

地域駐在員(

Area Representative

27 9.NOR

スキーム(

Not Ordinarily Resident Scheme

27

5

章 会計と 監査

28

1.

シンガポールの会計原則

28

2.

シンガポール

FRS

IFRS

🄬🄬基準との差異

28 3.

帳簿組織・会計帳簿の保存

28

4.

法定監査と監査基準

28

5.

年次報告書

29

(4)

6

章 会社法

30

1.

株式

30

2.

減資

30

3.

金庫株(自己株式の取得)

30

4.

株主総会

30

5.

取締役

31

6.

会社秘書役(カンパニーセクレタリー)

31

7.

会社の決算と配当

31

8.

会社の清算

31

9.

組織再編、合併

32

付録 英語の略語一覧表

33

連絡先

34

(5)

1

社会、政治および経済の概況

1. 社会 (1)

人口

シンガポールの統計局(

DOS: Singapore Department of Statistics

)が発表した統計数字によると、

2021

年におけるシン ガ ポー ルの人口は

5,453.6

千人(うち

3,986.8

千人がシンガポール国民および永住権保持者)になっている。

2021

9

月現在、シン ガ ポー ル国民および永住権保持者の民族構成は、

74.2

%が華人、

13.7

%がマレー人、

8.9

%がインド人でその他が

3.2

%である。

(2)

言語

憲法上、国語はマレー語であ る。公用語は 英語、中国語(北京語)、マレー語およびタミル 語(インドの方言) の

4

ヵ国語になる 。観 光名所ではところによって日本語と韓国語の表記もある。

(3)

宗教

人口調査(

2020

年)によると、

15

歳以上の居住者の中、約

80

%の人が信仰を持ち、

39.9

%が仏教または 道教、

15.6

%がイ ス ラム 教、キリスト教が

18.9

%、ヒンズー教が

5.0

%、その他

0.6

%となっている 。

(4)

教育

2020

年の人口調査によれば、

15

歳以上のシンガポール国民および永住権保持者のうち

97.1

%が読み書き の能力を持っている 。 中学校で成績の優秀な生徒はフランス語、ドイ ツ語または日本語と いった外国語を勉強すること ができる。

学校制度において、一般的な進路は、小学校(

Primary

6

年、中学校(

Secondary

4

年(または

5

年)、高等学校(

Junior College

2

年、大学(

University

3

年(または

4

年)というコースがあり、中学校から専門学校(

Polytechnic

)へ進むコースもある。そ の他 、中 学校から技能教育研究所(

Institute of Technical Education

)へ進学するコースがある。

(5)

通貨

シンガポールの通貨はシンガポール・ドルである。

2. 政治 (1)

歴史

1819

年以降英国の植民地であ ったが、

1959

年に自治権を得た。

1963

年にマレー連邦の一員になったが、

1965

8

9

日に 独立 した。

1965

9

21

日に国際連合の第

117

加盟国となった。

(2)

政治制度

シンガポールの政体は立憲共和制で、元首は 大統領である 。議会制度は一院制であ り、与党の人民行動党(

People’s Action

Party

)が圧倒的な議席を確保している。

(3)

法律制度

基本的に英国の慣習法いわゆるコ モン・ローに依存した法律体制である 。すべての可能性について条文化されている のでは なく 、 実際の運用における慣習および判例の割合が大き いと言える 。

3. 経済

(1)

産業構造

DOS

2020

年に公開した

eBook of Statistics

によれば、

2020

年に登録された会社の数は

63,480

社で、同年に閉鎖され た 会社

の数は

43,335

社である。登録された会社の中、

7.68

%が製造業および建築業で、サービス提供業(卸売・小売、ホテル・ レス トラン 、

交通・通信、財務および諸ビジネスサービス等)が

91.33

%、不動産事業が

0.99

%である 。

(6)

(2)

外資導入政策

1965

年の独立以降、政府が「外資導入を軸とする 工業化」等の政策をもって経済を推進してき た。シン ガポール では一部 の 公益 事業やメディア関係等を除き、

100

%外資の会社や支店等を設立・登録し 、事業を営むこと ができる 。ただし、特定事業に関し ては 営業許認可を取得する必要がある。

(3)

為替管理

為替管理法(

Exchange Control Act

)は現在も有効ではあるが、すべての為替管理(統制)は

1978

年に撤廃されており、外国 送金 または受入に対する制限はない。シンガポール・ドル の安定を図るため、政府はシンガポール・ドル の非国際化政策を維 持し てき たが、

1998

年以降は徐々に規制緩和が進められている 。

なお、銀行が非居住者へシン ガポール ・ ド ル 建ての与信( 融資) を供与する 場合は 、シン ガポール金融庁(

MAS

Monetary Authority of Singapore

)の許可が必要である。

(4)

金融政策・金融市場

1971

年にシンガポールの中央銀行として設立された

MAS

は 、シンガポール をアジア の金融センターに育成すること 等を目 的と し 、 通貨および金融政策から金融機関の規制監督までを管轄している 。

シンガポールでは、

132

行の商業銀行(

Commercial Banks

2020

5

月現在)が営業している。国際的金融市場である ため 国際 通貨での資金調達に関する規制は特になく、金利・通貨スワップ、金利先物などの金融商品が利用できる 。

(7)

2

事業拠点の構築

1. 外国投資規制(現地資本の参加要請)

基本的に限られており、国家の安全保障に係る公益事業、メディア関係等の特定業種(下記

2

およ び

3

を参照) に関する 出資 比率 制限を除いて規制はない。

2. 規制業種

規制業種としては、以下のようなものがある。

(1)

メディア

放送法(

Broadcasting Act

)、新聞・印刷機法(

Newspaper and Printing Presses Act

)による規制

(2)

電気・ガス

電気法(

Electricity Act

)、ガス法(

Gas Act

)による規制

(3)

製造

製造業規制法(

Control of Manufacture Act

)により、ビール やたばこ等の一定の品目を取扱う場合には 、事前に経済 開 発庁

EDB

Economic Development Board

)の事前許可を取得する必要がある。

(4)

光ディスク

光ディスク製造法(

Manufacture of Optical Disc Act

)により、

CD

DVD

等を販売目的で製造する者は、

EDB

よりライセン スを 取得 しなければならない。

(5)

金融

銀行法(

Banking Act

)による規制

(6)

法律サービス

弁護士法(

Legal Profession Act

)による規制

3. 事業認可を必要とする主な業種

所轄官庁から発行される事業認可(ライセンス)を必要と する業種としては、以下のようなものがある。

-

小売業

-

飲食業

-

不動産業

-

建設業

-

運輸・物流業

-

製造業

-

電気通信業

-

教育産業

-

医療・介護サービス

-

その他サービス業

(8)

4. 会社設立および支店の登録 (1)

会社の設立手続

会社名(商号)の決定

会社設立の前に、会社登記を管轄する 会計企業統制庁(

ACRA

Accounting & Corporate Regulatory Authority

)に、社名登 録を申請し、予約する必要がある。なお、既に登録され ている 商号や類似商号は許可され ないため、社名を最低

3

案程 度用意 しておくとよい。

私的有限会社の場合は、組織の形態を表すものとして社名の最後に「

Private Limited

」、「

Pte. Limited

」、「

Private Ltd.

」また は「

Pte. Ltd.

」をつけることが義務付けられている。

会社名登録には

60

日間の有効期限がある 。必要に応じさらに

60

日の延長が可能である 。実務では この期間に会社 設立 を行 えばよいことになる。

主な事業内容の決定

2004

年の会社法改正から、シンガポール法人の定款には会社の事業目的を記載する必要がなくなったが、主な事業内容は

ACRA

にて申請・登記する必要がある。

株主兼発起人の決定

株主は個人または法人を問わず、シン ガポール居住者である 必要はない。最低資本金は

S$1

で、シン ガポール・ドル以 外の 通貨 とすることも可能である。

取締役の決定

取締役は

1

名以上必要であ り、最低

1

名は シン ガポール 居住者でなけれ ばならない。役員候補者が外国人の場合は 、 永 住権

Permanent Residence

)または就業許可証(

EP

Employment Pass

)保持者であれば居住者取締役に就任できる。

登記住所

設立時に

ACRA

にて住所を登記する 。

必要書類

株主代理人任命書(法人が株主の場合に必要)

取締役就任宣誓書(

Form 45

会社定款(

Constitution

登記料

会社設立のための

ACRA

への登記料は 、会社の規模に関わらず

S$300

である。このほか、株式資本が

S$50

万以上の会社は 、シ ンガポールビジネス連合(

Singapore Business Federation

)に登録しなければならず、その年会費とし て資本金の規模 に よ り

S$321

S$856

を支払う。

営業許可申請・取得

前述のとおり、業種により所轄官庁の営業許可が必要となる 。例えば、金融業・保険業は

MAS

、旅行業はシンガポール 政府 観光 局(

STB

)の許可が必要となる。

会社設立後の手続

1

回取締役会での主な議題

-

初代取締役の追認、新取締役の任命ある いは取締役の解任

-

会社名・住所の報告

-

発起人から法人への株式の譲渡(発起人が最初から株主である場合は不要)

-

株券の発行

-

増資、臨時株主総会の招集

-

決算日の決定

(9)

-

銀行口座開設および署名人の決定

-

取締役の会社との間の利害関係宣誓

-

法定会計監査人の選任(設立後

3

ヵ月以内)

-

秘書役(セクレタリー)の選任(設立後

6

ヵ月以内)

臨時株主総会

-

株式割当権限を取締役会に委任

定時株主総会および年次報告書(

Annual Return

設立初年度は、決算期間を

18

ヵ月以内に設定する ことができる。また、当該非上場会社は決算日後、

6

ヵ月以内に株主総会 を 開催し、

7

ヵ月以内に、監査済決算書を含む年次報告書を

ACRA

へ提出する 必要がある。

(2)

支店の開設手続

① 支店名の登録

支店開設は会社設立と同様に、

ACRA

に社名登録の事前申請を行い、承認を得る必要がある 。社名は本店と同じ英文名 称と する か、または本店英文名にシンガポール支店と加えたものと することもできる。例えば、

ABC Co., Ltd.

Singapore Branch

)など。

Authorised Representative

の決定

支店の開設のためには 、最低1 名の

Authorised Representative

が必要となり、シンガポールの居住者でなけれ ばならな い。 なお 候補者が外国人の場合は、永住権または

EP

保持者である必要がある 。

③ 登記住所

設立時に

ACRA

に住所を登記する 。

④ 必要書類

会社定款(英文翻訳証明付)

会社設立証明書(日本法人の場合には英文翻訳証明付の登記簿謄本)

・ Authorised Representative

選任書

・ Authorised Representative

選任に関する宣誓書

登記住所の通知書

本社取締役リスト

⑤ 営業許可申請・取得

会社設立と同様、業種により所轄官庁の営業許可が必要となる。

⑥ 会計監査人の選任

外国会社のシンガポール支店は、原則として会計監査人の選任が必要である。

⑦ 決算書の提出

本社の株主総会後

60

日以内に、シンガポール支店と 本社の監査済決算書を提出する必要がある。なお、書類はすべて 英語 で提 出する必要がある。

(3)

事業年度

会社が自由に決定できるが、支店の場合は本店と同じ事業年度となる 。

(10)

(4)

会社秘書役の職務内容

シンガポール会社法

171

条に基づき、すべての会社は会社設立後

6

ヵ月以内に会社秘書役を選任しなけれ ばならない。会社 秘書 役はシンガポール居住者(外国人であっても永住権、

EP

保持者であれば可能)で、公開会社の場合は会社秘書役として の資格 を 有する者でなければならない。取締役が

2

人以上の場合、取締役が会社秘書役を兼任する ことは可能である。

5. パートナーシップおよび個人事業の登録 (1)

パ ートナーシップ(無限責任組合)

パートナーシップとは、

2

人から

20

人で構成される 法人格を有しない事業体である 。

21

人以上になる場合は、会社法により会社と し て登録しなければならない。

無限責任組合の場合、すべてのパートナーは 事業に関する法律上のすべての責任を負い、通常パ ートナ ーシップの経営 に関し て同じ権限を持つ。なお、パートナーシップ(無限責任組合) の運営については、事業登記法(

Business Registration Act

)におい て規制されている。

(2)

有限責任パートナーシップ(

LLP

:有限責任組合)

有限責任パートナーシップ(

LLP

Limited Liability

)は、上記の無限責任組合とは異なり、独自の法人格を有する 。パートナ ー( 最 低

2

名必要)には、個人、法人、外国法人または他の

LLP

がなる こと ができる。

LLP

の特徴は有限責任制であり、

LLP

が債務 超過と なった場合、パートナーの出資額の範囲までし か責任を負わない。なお、

LLP

の運営は

Limited Liability Partnerships Act

におい て規制されている。

(3)

有限パートナーシップ(

LP

:有限組合)

有限パートナーシップ(

LP

Limited Partnership

)は独自の法人格を有せず、パートナー(最低

2

名必要:

1

名は ジェ ネラ ル パ ー ト ナーで、

1

名はリミテッドパートナー)には、個人、法人、外国法人がなる ことができる。

LP

の特徴は、その権限および責任に応じてジェネラルパートナーとリミテッドパ ートナ ーという

2

種類のパートナーが存在する こと で ある。ジェネラルパートナーは

LP

の経営責任を負うと同時に債務・義務に対して無限の責任を有する一方、リミテッド パー トナ ーは

LP

の経営に関与する権限がなく、その責任も自分の出資額の範囲に限られる 。なお、

LP

の運営は

Limited Partnerships Act

にお いて規制されている。

(4)

個人事業(無限責任)

個人事業(

Sole Proprietorship

)と は個人による 事業であ り、当然ながらパートナ ーは 存在し ない。個人事業主は 事業登記法

Business Registration Act

)に定められている要請に準拠する。

6. 駐在員事務所の登録 (1)

定義

金融業、旅行業等の場合を除き 、シン ガポール 駐在員事務所(

Representative Office

)の開設は企業シン ガポール庁(

ESG

Enterprise Singapore

)の管轄である。その業務内容として、許容される活動と許容されない活動がある 。

(2)

条件

駐在員事務所として行うことのできる業務は、本社のために行う市場調査や進出にあ たっての企業化調査、展示会への 製品 の出 展などで、営業・事業行為とならない範囲の活動が許容されている。

(3)

登録手続

登録手続は、

ESG

のウェブサイ ト(

https://www.enterprisesg.gov.sg/ )からオンラインで行う。登録は通常 1

年間有効で、更 新は 可 能であるものの、原則として最長

3

年で現地法人または支店の設立か撤退の判断を求められる 。登録時に必要な提出書類は 、本 社の直近の監査済財務諸表や本社の会社設立証明書などである 。

(11)

7. 労働関係

(1)

労働市場

労働人口は

2020

6

月時点で

3.71

百万人であり、失業率は

2020

年平均

3.0

%である。

(2)

労働法規および条件

シンガポールでは雇用法(

Employment Act

)により労働者の保護が図られているが、同雇用法の適用対象が限定的であ る ため 、 日本と 比較する と 雇用者に有利な法制度と 言われ ていた 。これ は 、従前、 報酬 が

S$4,500

/月超 の管理職(

Manager or

Executives

)は雇用法の適用を受けず、これらの管理職従業員との雇用条件はすべて雇用契約に基づくものとなっている こと や 、

法律上無理由解雇が可能と なっている こと からも伺え た。この点、

2019

4

1

日から適用され た改正雇用法では 、 報 酬 が

S$4,500

/月超の管理職(

Manager or Executives

)でも雇用法の適用対象(一部除く)となることや、これ らの管理職従 業員 が不 当解雇をされた場合に人材開発省(

MOM

Ministry of Manpower

)に救済を求める権利が与えられ、無理由解雇が行え なくな っ ていることなど、労働者保護の傾向が伺える。

雇用法により保護される従業員のうち、報酬が

S$4,500

/月以下の単純労働者または

S$2,600

/月以下の者については 、通 常勤 務時間および残業時間に関する 制限規定がある が、その他の従業員については単に解雇通知期間や産休、病欠等に関 する 規 定が存在するのみである。

上記のように、シンガポール政府は従来に比べ労働者保護の姿勢を強めており、労働法制を所管する

MOM

が公表する ガイ ド ライ ンの中には労働者保護を図るものもあるため、上記法律のみならずこれらも考慮すること が有用である。

労務に関するその他の法律は外国人労働者雇用法(

Employment of Foreign Manpower Act

)、入国管理法(

Immigration Act

)、

中央年金基金法(

Central Provident Fund Act

)、産業関連法(

Industrial Relations Act

)、労働組合法(

Trade Unions Act

)、定 年退職および再雇用法(

Retirement and Re-Employment Act

)などがある。

(3)

外国人の労働、就業許可証(

EP

の取得手続)

外国人が外国企業のシンガポール支店、駐在員事務所、現地法人等に勤務する場合、

MOM

に就労許可証の発給申請を 行う 必 要がある。就労許可は、一般的には申請者の資格、能力と収入により、

Employment Pass

EP

)または

S

パスの

2

つのカテゴ リ ーに 分類される。

EP S

パ ス

月収

S$4,500

以上

*

*2020

9

1

日以降適用

S$2,500

以上 対象者 所定学歴を有する技能者、専門家、管理職、役員等 技能者 扶養家族ビザ 扶養家族ビザ(

DP

)、長期滞在パ ス(

LTVP

)(内縁 の配 偶者

および継子を対象)の獲得が可能

(月収

S$6,000

以上)

扶養家族ビザ(

DP

)の獲得が可能

(月収

S$6,000

以上)

月収

S$12,000

以上の

EP

保有者には 、両親の長期滞在パスが認められる 。

なお、外国人労働者に対する就労許可証の発給審査は年々厳格化しており、企業が外国人の幹部や専門職の

EP

を新 規に 申請 する場合(

EP

保持者が雇用主を変更する場合を含む)は、

2014

8

1

日より施行された、外国人労働者の雇用抑制政策 の

1

つ であるフェアコンシダレーション 制度によ り、まず労働開発機構(

WDA

Workforce Development Agency

)の求人ウェ ブサイ ト

MyCareersFuture

」に、シンガポール人を対象とした求人を

28

日間

*

掲載しなけれ ばならない。その後の求人応募者の 中に 適任 者がいなかった場合に外国人雇用者の

EP

申請を行うこととなる 。

*2020

10

1

日より、最低

14

日間から

28

日間へ変更。また、以前は 義務化され ていなかった

S

パスの申請にも求人広告 掲載 が 義務付けられた。

ただし、次のいずれかに該当する求人は当該掲載が免除される 。

従業員

10

人以下の企業における求人

月額給与が

S$20,000

以上である求人

・ 1

ヵ月未満の短期就業の求人

・ WTO

のサービスの貿易に関する一般協定で定義される企業内転勤者(

ICT

)の要件を満たす求人

*

しかしながら、免除される場合においても、

MOM

はすべての企業が

MyCareersFuture

に求人広告掲載を行うことを強く推奨している。

*2020

11

月以降、企業内転勤者(

ICT

) と し て就労ビザ (

EP

) を申請する 場合は 、その家族は シン ガポール での在留資格

Dependent’s Pass

Long Term Visit Pass

(長期滞在ビザ)等)を申請することができなくなった。また、

ICT

本人の在 留資格は 一時的であり、

ICT

の期限終了後に、シンガポール での将来の雇用や、永住権(

PR

)の申請資格もないと されている。

(12)

(4)

外国人労働者賦課金(

FWL

)・技能開発基金税(

SDL

労働許可証(

Work Permit

)と

S Pass

保持者の外国人を雇う際には、雇用主は賦課金(

FWL:Foreign Worker Levy

)を銀行口座 自動引落し(

GIRO

General Interbank Recurring Order

)にて毎月支払わなくてはならない。また、雇用主は、国籍を問 わず 全被 雇用者に適用される技術開発基金税(

SDL:Skills Development Levy )を負担しなければならない。(後述の 21.

その他の税金、

負担金および賦課金

(5) (6)

参照))

(5)

年金・基金制度

シンガポールには中央年金基金(

CPF

Central Provident Fund

)という社会保障積立制度がある。当該制度は、対象者であ る シ ンガポール国民または永住権所持者本人(被雇用者)と その雇用者の双方から給与額の一定割合の拠出を義務化し 、当該 拠出 金を基金が運用すること により、年金、住宅の購入等の社会保障を実現する こと を目的としている。なお、拠出率は月額賃 金およ び年齢によって異なる。

(13)

3

法人税

1. 法人税制の特色

シンガポールにおいて、法人の所得は、所得税法(

Income Tax Act

)および経済拡大奨励(所得税免除)法(

Economic Expansion Incentives

Relief from Income Tax

Act

)に基づいて課税され、内国歳入庁(

IRAS

Inland Revenue Authority of Singapore

)が 管轄する。所得税法を執行する権限は一般的に税務官に委ねられている。なお、特定の税務恩典に関しては、

EDB

ESG

なら びに

MAS

等が管轄している。

2. 税率

法人税率は

17

%である。ただし 、

2021

賦課年度において、課税所得の最初の

S$1

万の

75%

および次の

S$19

万の

50%

が 免税と なっている。

3. 課税年度と基準年度

(1) 賦課年度

賦課年度は、前年の

1

1

日から

12

31

日までである。例えば、

2021

賦課年度は、

2020

1

1

日から

2020

12

31

日ま で の暦 年を指す。

(2) 基準年度

各賦課年度の所得は、基準年度にそれぞれの所得源泉から稼得された所得に基づいて算定される。

(例)

賦課年度 基準年度

2021

2020

1

1

日~

2020

12

31

会計年度終了日が

12

31

日以外(例えば

3

月決算) の場合は 、通常暦年に代えてこの会計年度を基準年度と すること が認 め られ る。

(例)

賦課年度 基準年度

2021

2019

4

1

日~

2020

3

31

4. 申告・納税手続 (1) 所得申告手続

法人は、決算日後

3

ヵ月以内に、見積課税所得を

IRAS

に申告しなければならない。その後賦課年度の

11

月末までに税務申 告書

(フォーム

C

、監査済あるいは未監査財務諸表、税金計算書) を

IRAS

に提出しなけれ ばならない。なお、期限延長は原則と し て認 められない。

(例)

賦課年度

基準年度

申告書提出期限

2021

2019

4

1

日~

2020

3

31

2021

11

30

(2) 賦課決定

IRAS

は、前述の見積課税所得申告書および税務申告書に基づき、賦課決定通知書(

NOA

Notice of Assessment

)を発行する。

なお、

IRAS

が詳細なレビューを必要とする場合、見積賦課決定が一旦通知される 場合がある。

また、

NOA

を発行した後であっても、税務官は

4

年間は追加賦課決定を行うこと ができる 。 申告から賦課決定までの流れは以下のとおり。

(14)

(3) 不服申請

賦課税額に異議がある場合は、原則として

2

ヵ月以内の間、賦課決定通知書に対する不服申請を行う こと ができる。ただし 、そ の場 合でも賦課決定額を一旦支払わなけれ ばならない。

(4) 訴願

IRAS

は、すべての必要な情報の提出を受けた後、原則とし て

6

ヵ月以内に不服申請に対する決定を通知する 。納税者は

IR AS

の 決定に同意しない場合には、

30

日以内に訴願をする ことができる。

(5) 納税

納税は、前述の賦課通知書の発行日から

1

ヵ月以内に行わなければならない。期限内に納税が行われなかった場合は、

5

% の延滞 税が課される。さらに支払命令通知書の期日から

60

日以内に納税が行われない場合は、毎月さらに

1

%の延滞税が課され る ( ただ し、

12

%を限度とする)。また、納税は、現金、小切手、インターネットバンキングのほか、自動引落しシステム(

GIRO

)による 月次分 割納税も認められる。

5. 納税者の区分(居住法人・非居住法人)

(1) 居住者の定義

シンガポールにおける税務上の居住者判定は、事業の経営およ び管理がシンガポール国内で行われているかどう かによ って行 わ れる。この「経営と管理」は取締役に委ねられており、企業がシンガポールで取締役会を開催している場合は 、通常、シン ガ ポール 居住法人とみなされる。なお、外国企業のシンガポール支店は 海外本店により経営と 管理がなされているため、通常、居住 法人と はみなされない。

居住法人・非居住法人とも法人税率をはじ めとして適用される税制は同じ である が、国外源泉所得に対する 免税措置、租税 条約 に基づく軽減税率の適用などの税制優遇を非居住法人(外国企業の支店等)は享受でき ない。

6. 課税所得の計算

税額計算の基礎となる課税所得は、監査済財務諸表の税引前利益に会計上の減価償却費や損金不算入項目等を加算し 、 非課 税所得や税務上の減価償却費等を減算して算定される。

(1) 課税の範囲

テリトリアル課税ベースを採用しており、(

1

)シン ガポール で生じ た所得または 源泉のある 所得、(

2

)国外源泉所得のう ちシ ン ガ ポールで受領された所得、が課税対象となる 。

ただし、上記(

2

)シンガポールで受領した国外源泉所得のうち、配当所得、支店所得、サービス所得(特定国外源泉所得) につ い ては、以下の要件を満たした場合に免税となる。

決算日後

3

ヵ月以内:見積課税所得(

ECI

)の申告

ECI

申告後、見積課税所得に基づく課税通知書が発行

課税通知日から

1

ヵ月以内に見込納付

決算日の属する年の翌年

11

30

日:

申告書(

Form C

Tax Computation

)の提出

申告提出後、賦課決定通知(

Notice of Assessment

)が発行

賦課決定通知日から

1

ヵ月以内に、見込納付額との差額を精算

(15)

① 特定国外源泉所得が当該外国で法人税課税されていること(当該外国における優遇措置により免税となった場合には 課税さ れたとみなされる)

② シンガポールにて所得を受領した年度において、海外から所得を受領したその外国の最高税率が

15

%以上である こと

③ この免税措置がシンガポール居住者にと って便益があると認められる こと

(2) 課税の対象

課税対象所得は、通常、事業、専門職業および商売から稼得され た所得、雇用所得、配当金、利息、年金、恩給、賃貸料 、ロ イ ヤ ルティ、プレミアムその他の不動産から稼得された所得ならびに上記以外の収入の性格( レベニューネイチャー) を有する 所得 で ある。

(3) レベニューネイチャーとキャピタルネイチャー

所得税法には、所得(レベニューネイチャー) に対して課税し、資本取引損益(キャピタル ネイチャー)には 課税しない、と 規定 され ているが、同法にはこれ らの定義が明記され ていない。具体的な項目については 、事業としての性質を有する か否かを総 合的 に 判断の上、課税所得または非課税所得と判定される 。

(4) 受取配当金

シンガポール法人から受領し た受取配当金は免税となる 。また、免税または 軽減税率が適用された所得を原資として配 当さ れ た 場合も同様に、受取配当金は免税所得となる。なお、外国法人からの配当については、特定国外源泉所得の免税措置の項目( 下 記(

16

))を参照のこと。

(5) 利子所得

受取利息は、受け取った時点またはそれ を受け取る権利が発生した時点で受取側の所得となる 。ただし、オフショア利息 収入 の場 合は、シンガポールに送金されたまたは送金されたとみなされる時点で課税される。

(6) キ ャピタル・ゲイン(有価証券評価損益を含む)

キャピタル・ゲインは、非課税である。ただし、明確なキャピタル・ゲインの定義がなく、取引ごとに対象資産、資産の保有期間 、取引 の継続性、資産購入時の意図、資産売却時の状況、ファイナンスの方法等を総合的に判断して決定される。

なお、

2012

6

1

日から

2027

12

31

日までの期間の普通株式の売却益については、当該株式を

24

ヵ 月かつ

20

%以 上保有し ていた場合には原則としてキャピタルネイチャーと判断される。

(7) 損金算入項目

収益獲得のために支出され た費用で、借入金の利息、土地や建物の賃借料、回収不能と なった貸倒れ および不良債権 、機 械設 備の修理費用、海外で発生した本社費等を含む。

(8) 損金不算入項目(乗用車に関わる費用を含む)

税法上の規定により、または資本的支出である ことから、損金算入が認められない費用である。

例えば、事業開始日前に発生した費用(ただし、最初の収益を獲得した年度およびその前年度の費用については損金算入 可) 、 個人的費用、所得税、収益を生まない投資または 資産に関わる資金の借入利息、乗用車(

S

プレート)に関わる 費用、従業員 報酬 額の

1

%(ただし、一定の条件を満たす場合は

2

%) を超える医療費負担、ハイヤーに関わる賃借料および関連費用等が含 まれ る 。

(9) 税務上の減価償却費

減価償却費はキャピタルネイチャーに該当し、支出を伴わない費用である ため、損金算入の要件は満たさないものの、 固定 資産 の磨耗は実際の事業コストであることから、一定の固定資産については税務上の減価償却が認められている。

① 機械装置・器具備品

キャピタルアローワンスと呼ばれる税務上の減価償却費の対象となる 。まず初年度に

20

%償却を行い、残存額を税法が 定める 耐用年数表に記載されている耐用年数で償却する 。なお、上記普通償却に代えて、以下の償却を選択することも可能である。

 3

年償却

(16)

コンピューター、オートメーション機器について

1

年償却

 S$5,000

以下の少額資産について

1

年償却(各賦課年度

S$30,000

が限度)

なお、

2021

賦課年度、

2022

賦課年度については 、以下の早期償却が認められている。

 2021

賦課年度または

2022

賦課年度に取得し た機械装置・ 器具備品について、

2

年の早期償却( 取得価額 の 初 年度

75%

、翌年度

25%

の損金算入)

 2021

賦課年度または

2022

賦課年度に支出し た適格な修繕費およ び改修費(所得税法第

14Q

条適用対象のも の) につ いて、

1

年の早期償却

② 知的財産

知的財産に関する税務上の減価償却費としては 、ライティングダウンアローワンスとして

5

年間の均等償却が認められていた が 、

2017

賦課年度以降に係る事業年度において取得し た知的財産については 、償却の対象期間として

5

年、

10

年または

15

年の いずれかを選択することが可能となった。

② 建物

EDB

からの承認に基づき 、食品飲料事業、印刷事業、石油化学製品、薬品事業等の産業分野に属する建物や構築物 につ い て、適格な要件を満たす形で建設された場合に、税務上の減価償却としてラン ドイン テシフィケ ーションアロ ーワンス(

LI A

Land Intensification Allowance

)が、

2025

12

31

日(

LIA

のために建物または構造物が承認される最終日)まで認められ る 。 この場合の償却は、初年度が

25

%償却、以降が

5

%償却となる。

なお、資産処分時には、会計上の処分損益がキャピタル・ゲイン/ロスとして益金不算入/損金不算入となる 一方で、税 務上 の簿 価と 売却価格と の差額が、過去の税務上の減価償却費の過大(戻り)または 不足(追加)として調整される (戻り:バ ランシング チャージ、追加:バランシングアローワンス)。

(10) 外国為替差損益の取扱い

損益項目に関わる為替差損益は、実現、未実現に関わらず、発生賦課年度に損金または益金算入される 。 資本項目に関わる為替差損益は、損金または益金算入は認められない。

ただし、指定外貨建銀行口座(

Designated Bank Account

)残高に関わる為替差損益は、その銀行口座が損益目的に のみ 使用 されている場合、

2020

賦課年度前は、

IRAS

の求めに応じ て、その銀行口座が損益目的にのみ使用され ていること を立証 する た めの裏付けとなる文書(例:資金の動き を示す銀行取引明細書)を提供する等、一定の管理要件等を満たす場合にのみ 、損 金ま たは益金算入が認められていたが、

2020

賦課年度以降は 、資本目的およ び損益目的に使用されている場合においても 、資 本目 的取引がデミニミス制限に達しない際には すべて損益目的として損金または益金算入を認め、制限に達した場合は すべて資 本取 引として損金および益金不算入する ことも認められること になった。ただし、デミ ニミス基準を適用する 場合も、銀行口座取 引 の性 質を特定するための適切な管理の実施や一定の資料の提出等が求められる。

(11) 事業開始日以前に発生した費用の損金算入

原則として事業開始日以前に発生した費用は 損金算入が認められ ない。ただし、事業収益が発生した会計年度の期首を みなし 事業開始日とし、当該年度の発生費用を損金算入する こと ができる。なお、

2012

賦課年度よ り、みなし事業開始日の直前 年度 の 一定の費用の損金算入も認められることとなった(ただし、

Section 10E

に区分される企業(投資企業等)の事業開始日以前に 発生 した費用については、上記規定の適用はない)。

(12) 試験研究開発費の取扱い

シンガポール国内での研究開発で、自社内の研究開発または国内研究開発機関への委託支出ののう ち、適格要件を満 たし た人 件費および消耗品費については

250

%、その他の適格費用については

100

%(研究開発機関がシンガポール国外の場合は 、会 社の事業に関連した研究開発であり、研究開発からの便益がシンガポール 会社に帰属する こと等を要件として

100

%)が 損金と し て認められる(なお

2019

賦課年度から

2025

賦課年度の期間)。

なお、生産性・技術革新優遇スキーム(

PIC

)は、

2018

賦課年度をもって廃止された。

(13) 繰越欠損金等の取扱い

繰越欠損金は、その会社の発行済株式数の少なくとも

50

%以上を同一の株主または同一の最終株主のために保有して いる こと

(株主変動テスト)を条件として、無期限に繰り越すこと ができる 。税務上の未消化減価償却費は 、株主変動テストに加え て同 一事

(17)

業を継続していること(同一事業継続性テスト) を条件に無期限に繰り越すこと ができる 。株主変動テストは 、最終親会社 の上場 、 非上場の別により異なるが、最終親会社または損失等を繰り越すシン ガポール会社の監査人または 取締役等からの証明 書 の提 出が要求される。

(14) 欠損金等の繰戻還付

2006

賦課年度より、当賦課年度に発生した欠損金および税務上の減価償却費を、

1

年だけ前賦課年度に繰り戻すこと が でき る 。 ただし 、

2020

賦課年度およ び

2021

賦課年 度 にお いては 直 前の

3

賦課 年度ま で繰 り戻し 可 能。 繰戻還 付の 上限 は 、 総 額

S$100,000

であり、株主変動テストおよび同一事業継続性テストが適用される 。

(15) 機能通貨会計の税務上の取扱い

2003

1

1

日以降に開始する 会計年度から機能通貨会計が導入され たこと に伴い、シンガポール・ドル以外の機能通 貨で 財務 諸表を作成する会社は、当該機能通貨で税金計算書およ び財務諸表を税務当局へ提出しなけれ ばならない。ただし、 税金 の納 付は、税金計算書で計算され た当該機能通貨での税額に、法人税率と 所定の平均為替レートを乗じて算出したシンガポール ・ ド ルで納付する。

(16) 特定国外源泉所得の免税措置

2003

6

1

日以降にシンガポールで受領した国外源泉配当所得、海外支店の所得(利子、ロイヤルティを除く)、国外源 泉サー ビ ス所得(以下特定国外源泉所得)は、以下の要件を満たした場合は免税となる。

シンガポールにて所得を受領した年度においてその外国の最高税率が

15

%以上であること 、特定国外源泉所得が当該外国 で課 税されているまたは課税されたとみなされること(

2004

7

1

日より当該外国で税優遇措置を取得した結果免税となった場合 も課税 されたとみなされる)、およびこの免税措置がシンガポール居住者にとって便益があると

IRAS

が認めることを条件に免税となる。

(17) リースの取扱い

2019

1

1

日以降に開始する 事業年度から

FRS116

号「リース会計」が適用されたこと により、当該リース会計基準にかかる 税務 上の取扱いを記載したガイダンスが

IRAS

から公表されている。

当該ガイダンスにおいて、リースの貸手の税務上の取扱いについて、従前からの変更はないとされている一方、リースの 借手 の税 務上の取扱いについては変更がなされている。

①リースの貸手

リース契約がオペレーティング・リース、または、売買契約とみなされないファイナンス・リースに分類される 場合、受取リー ス料 が課 税所得となる一方で、リース対象資産の税務上の減価償却費の控除が認められる。

一方、リース契約が売買契約とみなされるファイナンス・リースに分類される場合、受取リース料の利息部分が課税所得となる。

②リースの借手

リース契約がオペレーティング・リース、または、売買契約とみなされないファイナンス・リースに分類される 場合、支払リー ス料 の損 金算入が認められる一方で、リース使用権として計上された固定資産に関して税務上の減価償却費の控除は 認められない。

一方、リース契約が売買契約とみなされる ファイナンス・リースに分類される場合、支払リース料の利息部分の損金算入が認 め られ 、 また、リース使用権として計上された固定資産に関して税務上の減価償却費の控除が認められる。

(18) 貸倒引当金の取扱い

2018

1

1

日以降に開始する事業年度から

FRS109

号「金融商品会計」が適用されたこと により、当該金融商品会計基準 にか か る税務上の取扱いを記載したガイダンスが

IRAS

から公表されている。

当該ガイダンスにおいて、貸倒引当金は信用減損と 認められる 場合にのみ税務上損金算入が認められると されている 。信用 減損 とは、重要な財務上の困難性、デフォル ト、破産の可能性が高いなど、当該債権に対する 将来キャ ッシュ・フロ ーに悪影 響 を及ぼ す事象が

1

つもしくは複数生じている状態を指す、と定義されている。

ただし、金融機関等に対しては、信用減損によらない一般貸倒引当金の損金算入が一部認められる 等の別段の取扱い が存 在す る。

(19) 債務免除益、債権放棄損

債務の免除益は、原則として営業取引に関わるものは課税対象となり、非営業取引に関わる免除益は非課税となる。債権放棄損は 、 原則として営業取引に関わるものは回収可能性を判断し、非営業取引に関わるものは損金不算入となる。

(18)

(20) 交際費

交際費は、事業に関連するものであれば金額に制限なく損金算入が認められる 。

(21) 寄附金

2023

12

月までになされ た適格寄附金( 政府または 指定

Institutions of Public Character

IPC

) への寄附金等) については

250

%の所得控除が認められる。

7. 損益通算納税制度

2003

賦課年度より、同一グループ会社間で、当期の未消化減価償却費、欠損金および寄附金の通算を行う ことが認められ て いる

Group Relief

)。なお、適用のためには、グループ会社がシンガポール で設立された会社であり、期末時点での持株比率 が

7 5

以上であることが要件となる。なお、相殺可能なのは当期発生部分のみである 。また、日本の連結納税とは異なりグルー プ会 社間 の損益を通算するものではないことに留意が必要である 。

8. 源泉税

(1) シンガポールで稼得されたとみなされる所得

非居住者がシンガポールにおいて稼得し た、またはシンガポール において稼得したとみなされる 所得については 、源泉 徴収 の方 法によって課税される。

主なものとしては、非居住者に対する利子等の支払、動産の使用料あるいは使用する権利に対するロイヤル ティの支払、科学 的、

技術的、産業的知識や情報の使用に対する対価ある いはそれらの支援やサービスの提供に対する対価、取引または事 業等 のマ ネジメント・サービスの対価が挙げ られる。

なお、従来源泉税の対象とされていた非居住者のシンガポール支店への利息、テクニカルフィー、マネジメントフィーおよ びロ イ ヤ ルティに関する支払は、

2014

2

21

日以降の支払については源泉税の対象とならず、

Waiver

の申請が不要となった。

ソフトウェアに対する支払については 、

2013

2

28

日よ り権利ベースア プローチ が導入され 、

Copyright right

(取得者が取得し た著作権を商業目的で使用する こと が可能)と

Copyrighted article

(取得者は取得した著作権を個人用または自ら営む 事業 の範 囲内での使用のみに限られる)の

2

つに区分し、前者の

Copyright

の部分的譲渡による対価および使用の対価のみがロイ ヤル ティ に該当し、源泉税の対象になることとされている。

技術支援サービスやマネジメント・サービスに関しては、サービスの提供をシンガポール国外で受ける場合、所定の要件を満たせば シンガポール源泉税の対象とはならない。また、シンガポール国内で業務提供する場合に不随して発生した立替経費(ホテル、食事、

飛行機代等の交通費)についてはその明細を入手し、実費精算されている場合(マークアップ等の利益が乗せられていない場合) に は、源泉税の対象とはならない。

(2) 配当金

シンガポール居住会社が非居住者に支払う配当に対しては、源泉税は課されない。

(3) 支店の利益送金

外国企業のシンガポール支店の海外本店への税引後利益の送金には、源泉税は課されない。

(4) 非居住取締役への役員報酬

非居住取締役への役員報酬は、源泉税が課される。

(5) 源泉税の納税期日

非居住者へ支払った日の翌々月の

15

日までに所定のフォーム にて電子申告を行い、

IRAS

に納付しなけれ ばならない。な お支払 日とは、契約書により支払義務が発生した日、会計上未払計上した日または実際の支払日のいずれか早い日と定義されている 。

(6) 納付遅延に対するペナルティ

源泉税が規定期間内に納付されなかった場合は、未納税額の

5

%のペナルティが課される 。納税期限後

30

日以内に納付 され な かった場合は、

1

ヵ月経過ごとにさらに

1

%の追加ペナルティが課される(最大

15

%を限度とする)。

(19)

(7) 源泉税率

所得の種類 国内法による税率

日星租税条約

借入金や債務に関連する利子、コミッション、手数料その他の支払

15

%(

*1

10

%(

*4

動産の使用の対価としての使用料または一時金

10

%(

*1

10

科学的、技術的、工業的、商業的な知識、情報の使用または使用権の対価

10

%(

*1

10

動産の使用の対価としての賃貸料その他の支払

15

%(

*1

10

%(

*4

テクニカルアシスタントフィー/サービスフィー

法人税率(

17

%)(

*2

)(

*3

) 規程なし(

*4

)(

*5

) マネジメントフィー

法人税率(

17

%)(

*2

)(

*3

) 規程なし(

*4

)(

*5

配当

N/A -

*1

) シンガポールにおいて事業を行わない非居住者に対して支払われる 場合の源泉徴収税率(シン ガポール にお ける 最終税 額)。他方、シンガポールにおいて事業を行う非居住者に対して支払われる場合には 、非居住個人に対して

22

% 、非居住 法人に対して法人税率(

17

%)が適用される。

*2

) 非居住個人に対して支払われる場合には

22

%の税率が適用される。

*3

) シンガポールにおける最終税額ではないため、当該収入に対する直接費用を控除して算定した課税所得によ る 最終税額 を算出することで、源泉税額との差額について還付手続ができる。

*4

) 租税条約の適用を受ける場合には、源泉徴収義務者は非居住者から居住証明書(

COR

Certificate of Residence

)を受 領し、

IRAS

に提出する必要がある。

*5

) 日星租税条約の第

7

条(事業所得)において、当該所得が恒久的施設を通じてシン ガポール国内で事業を行わ ない 限り、

シンガポールにおいて課税なしの規定がある。

9. 外国税額控除 (1) 概要

シンガポールの外国税額控除は、双務協定による 外国税額控除(租税条約を締結している国) 、片務的外国税額控除( 租 税条約 を締結していない国)に区分される。

(2) 双務協定による外国税額控除

租税条約に基づく外国税額控除。シンガポール 居住者にのみ適用される。

(3) 片務的外国税額控除

シンガポール居住者にのみ適用され、租税条約を締結していない国からの所得のうち以下に対して適用される 。

他の国において行なわれたプロフェ ッショナル、コンサル ティングおよびその他のサービスからの所得

シンガポールの居住者または恒久的施設によ って直接または 間接的に負担されていない、またはシンガポール で発生し た 、ま たはシンガポールで稼得した所得から控除されないロイヤルティ

配当

雇用所得

シンガポール居住法人の海外支店の利益

なお、

2009

賦課年度からシンガポール居住者が租税条約非締結国からシンガポール にて受領し たすべての海外源泉 所得 に対 して当該外国税控除が認められる。

(20)

(4) 外国税額控除の計算

控除限度額は、支払外国税額とシンガポールにおける法人税のいずれか低い金額。計算は国ごと、所得の種類ごとに計算する。

(5) 外国税額控除プーリング

2012

賦課年度より、外国税額控除のプーリング 制度が認められている 。この制度を適用した場合、シンガポール へ送金さ れ た海 外源泉所得は国ごと、属性ごとに計算されるのではなく、以下のプーリングベース(合算ベース)で計算することができる。

居住法人は次の条件を満たせば、送金され た海外源泉所得をプーリング制度に含める ことができる。

海外源泉所得に源泉地国での課税がなされていること(当該外国で税優遇措置を取得した結果免税となった場合は 課 税され たとみなされる)

シンガポールで受け取った年度において、源泉地国の最高税率が少なくとも

15

%であること

海外源泉所得にシンガポール税が課せられ 、納税者がシンガポール法人所得税法下で外国税額控除が認められる こと

10. 利益の送金

シンガポールでは、海外への配当の送金または 支店の利益送金に関して追加税は課されない。

11. インセンティブ (1) 概要

税の軽減や免税という方法で、さまざ まな税務インセンティブが所得税法ならびに経済拡大奨励(所得税免除)法に規定 され て い る。主な税務インセンティブの概要は以下のとおり。

① インターナショナル・ヘッドクォーター・アワード(

IHQ

International Headquarters

優遇税率(

5

%または

10

%)および優遇措置期間(

5

40

年)は、

EDB

との交渉により決定される。

② 金融財務センター(

FTC

Finance and Treasury Centre

) 以下について

8

%の軽減税率を適用する。

認可ネットワークカンパニーへの適格

FTC

サービスの提供により受領した所得および自己の勘定で行う適格活動 か ら得 ら れる所得

株式、社債、外国為替売買、金利スワップ、金融先物/オプション等の取引から発生した利息、配当および収益

また、適格

FTC

活動のために使用される 、海外金融機関等からの借入についての支払利息の源泉税の支払が免除され る 。優 遇措置期間は

5

年で延長も認められる。

FTC

の適用期限は、

2026

12

31

日までとなっている 。

③ グローバル・トレーダー・プログラム(

GTP

Global Trader Programme

認可グローバル・トレーダー会社は、適格取引からの所得に対し て

10

%または

5

%の優遇税率が

5

年間(

5

年間延長可能) 、ま たは

10

%の優遇税率が最大

3

年間適用される。

GTP

の適用期限は、

2026

12

31

日までとなっている 。

④ 海運会社の所得

海運会社がシンガポール船籍によ って旅客、郵便、家畜ある いは物品( 以下旅客等) のシン ガポール港の海域外で の輸送 か ら稼得した所得、またはシンガポール船籍によるシンガポール 港海域外での牽引または 海難救助活動からの所得あ る いは シ ンガポール船籍のチャーター所得は免税となる。外国船籍による旅客等のシンガポールへの輸送(ただし、積み替え の目的 の 輸送は除く)からの所得も免税となる。

⑤ 認定国際海運会社

認定国際海運会社が外国船籍によ って旅客等のシンガポール港の海域外からの輸送から稼得した所得、外国船籍 のチ ャ ー

(21)

ターからの所得で当該外国船籍がシンガポール 港の海域外で旅客等の輸送に使用される場合のチャ ーター所得あ る いは 外 国船籍によって積み替えの目的のためのみのシン ガポールへの旅客等の輸送から稼得した所得は免税となる。

⑥ 研究開発(

R&D

)活動にかかるインセンティブ・補助金

A.

適格

R&D

費用にかかる

250%

の損金算入

6

.課税所得の計算

(12)

試験研究開発費の取扱いにおいて記載のとおり、シンガポール 国内での研究開発で、自 社内 の研究開発または国内研究開発機関への委託支出のうち、人件費および消耗品費については

250

%が損金と し て認 め られる制度がある(適用期限は、

2025

賦課年度まで)。

B.

適格

R&D

支出にかかる補助金

EDB

から事前承認された

R&D

プロジェクトにかかる支出( 人件費、

R&D

機械装置、原材料・消耗品等) を対象 と し て 、

30%

(ローカル人件費は

50%

)を上限に補助金を付与する制度がある。

12. 投資保有会社

投資保有会社とは、その会社の主たる活動が投資活動または 不動産の賃貸事業あるいは 不動産信託の受託者であり、 そ の収益 がそれらの活動から発生し ている会社をいう 。投資保有会社は 、投資収益に直接貢献する一定の費用のみ損金算入が認 め られ る。税務上の減価償却(キャピタルアローワンス)は認められず、欠損金の繰越も認められない。

13. 移転価格税制

シンガポールの移転価格税制は基本的に

OECD

ガイドライン に準拠している 。

2006

2

月から

2009

2

月にかけて、

IRAS

よ り

4

つ のガイドライン(

Circular

)が公表されていたが、

2015

1

6

日にこれらのガイドライン を

1

つにまと めたガイドライン(第

2

版) が 公表 され、

2018

年まで毎年版を重ねている 。従前よ り、移転価格の義務化については所得税法とガイド ラインにより、また文書化は ガイ ドラインで明文化されていたが、移転価格文書化要件等を規定した所得税法改正法案が

2017

10

月に国会にて承認され 、 所得 税規則が

2018

2

月に公表・ 発効したこと によ り、

2019

賦課年度より移転価格文書の作成義務が正式に法制化され 、併 せて 、

2018

2

月にガイドライン第

5

版が公表された。

なお、一連の法制化の中で

IRAS

の権限も強化され ている 。取引の実態が形式と 一致しない場合には、所得税法

section34D

( 独 立企業原則に関する条項)により、

IRAS

による更正が行われること になった。また

IRAS

による 更正があ った場合は 、

section34E

に より、移転価格更正所得金額に対する

5

%のサーチャージ(加算税)が

2019

賦課年度より導入されている。

最新のガイドラインは

2021

8

月に公表され た第

6

版で、当該ガイドラインでは堅牢な同時移転価格の作成の重要性を強 調し なが ら、広範囲にわたるガイダンスを提供している 。

世界的に見ても、シンガポールは 移転価格税制の執行について非常に厳し い制度を導入した国の

1

つになってき ており 、留 意が 必要である。

14. 過少資本税制

過少資本税制はない。

15. タックス・ヘイブン税制

タックス・ヘイブン税制はない。

16. 間接税 (1) 概要

Goods and Services Tax

GST

)とは、

GST

登録業者によってシンガポール国内での消費のために供給された物品およ びサ ービ スならびにシンガポールに輸入された物品に対し て課せられる間接税で、現行の標準税率は

7

%である 。

1

年間の課税対 象売上 の金額が

S$1

百万を超える業者は 、

GST

登録する義務がある 。また

1

年間の課税対象売上の金額が

S$1

百万以下の場合 でも 、条 件付きで任意登録を行うことができる。

参照

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