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Ⅲ. 招集通知が IR の重要なツールになる 株式会社バリュークリエイトパートナー佐藤明 私たちは IR の視点から 株主総会を通じた企業の情報発信に注目しています 今回のプロネクサス総合研究所による調査は 株主総会における重要な対話のツールである招集通知の現状を分析した数少ない資料として 興味深く

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Academic year: 2021

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プロネクサス総合研究所 実務調査レポート

Ⅰ.はじめに

上場会社と投資家との対話を促進するため、2009 年、各証券取引所の適時開示に関する規則が一部改 正され、上場会社は株主総会の招集通知及び添付書類を、その発送日までに証券取引所へ電磁的方法に より提出することが義務化された。このため、2010 年 3 月期決算会社の定時株主総会分から、招集通 知及び添付書類が取引所のサイトにおいて公衆縦覧に供されることとなった。また、英文招集通知につ いても、取引所に提出するよう要請されており、提出されたものは公衆縦覧に供されている。 従前、株主総会の招集通知は株主のみに送付され、株主のみ知り得る情報であったが、最近では、自 社の IR サイト等で開示する例も増えており、招集通知や株主総会の内容を、株主以外の投資家にも公 開していこうとする流れが加速している。それは、招集通知や株主総会の内容を広く公開することで、 個人株主を増やしていきたいという企業の意図があるためと考えられる。 プロネクサス総合研究所では、今年度から招集通知が取引所のサイトで公開されることをきっかけに、 情報の開示の仕方や株主総会の運営の仕方が、個人投資家をさらに意識したものになるのではないかと 考え、2010 年 3 月期決算上場会社の招集通知や IR サイトを調査することとした。 当調査レポートより、主要項目を以下にご紹介したい。また、株式会社バリュークリエイトパートナ ーの佐藤明氏にも IR の視点から、各社の取組みや今後の課題等についてご寄稿いただいたので、その 全文を掲載する。 担当者の皆様をはじめ関係者の方々にとって、当調査レポートが少しでも参考になればと願っている。 なお、当調査レポートの全文は、弊社有料会員サイトPRONEXUS SUPPORT に掲載している。

Ⅱ.調査実施概要

〈調査対象〉 ・2010 年 3 月期決算上場会社全社のうち、5~6 月に定時株主総会を開催した 2,603 社。 ※ただし、期末日に上場していても、総会開催日までに上場廃止になった会社は除いている。 ・2,603 社の中から、カラーのものや、1 色や 2 色刷りであっても、写真やグラフ等を用いるなどして ビジュアル的に工夫のある157 社の招集通知(和文)をピックアップし、詳細を調査した。 〈調査方法〉 ・招集通知(和文) 各取引所のサイトを閲覧し、掲載されている招集通知を調査。 ・招集通知(英文) 和文招集通知と同様、各取引所のサイトに掲載されているものを調査。 ※ただし、大阪証券取引所とジャスダック証券取引所の経営統合の関係で、調査時点ではまだジャス ダック市場のサイトが整備されていなかったため、EDINET を閲覧し、有価証券報告書に添付さ れている招集通知を調査した。そのため、ジャスダック上場会社に関しては、英文招集通知作成会 社が不明である。 ・IR サイト IR(投資家・株主向け)サイトがある場合は、そのページを調査。IR サイト がない場合には、企業情報や会社概要のページを調査。 〈調査期間〉 ・招集通知(和文・英文) 2010 年 6 月 7 日(月)~7 月 9 日(金) ・IR サイト 2010 年 8 月 2 日(月)~8 月 6 日(金)

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Ⅲ.招集通知が IR の重要なツールになる

株式会社バリュークリエイト

パートナー 佐藤 明

私たちは、IR の視点から、株主総会を通じた企業の情報発信に注目しています。今回のプロネクサス 総合研究所による調査は、株主総会における重要な対話のツールである招集通知の現状を分析した数少 ない資料として、興味深く読ませていただきました。 私たちが、今、株主総会を通じた企業の情報発信に注目する理由は、以下の二点です。 第一に、株主総会が企業価値を考える上で最も大切なコーポレート・ガバナンスの原点であるからで す。株主総会は、国にたとえれば、選挙の場であり、立法の場であり、司法の場でもあります。憲法(定 款)を変えることもできます。経営者が語る美辞麗句よりも株主総会がどのように運営されているかに よって会社のガバナンスの本質が見えてきます。 第二に、この十年間で株主総会が「株主総会屋対策のセレモニーの場」から「経営者と株主の対話の 場」に変わりつつあるという時代認識もあります。さらに、これから数年間で大きく変わるという予想 もあります。特に、IFRS 等の時価会計の進展による持合解消の加速、海外投資家の日本離れ(=アジ アシフト)、リスクを取りにくいサラリーマン機関投資家の投資期間の短期化・同質化を考えれば、一 人ひとりは少額投資でも多様性のある自らリスクを取れる個人投資家の必要性が益々高まっていきます。 株主総会は、個人投資家向けIR の第一歩として重要性を益々高めていくと思われます。 今回の調査で、3 月決算約 2,600 社の内、カラーやビジュアル表現などを使った招集通知(以下、「ビ ジュアル招集通知」)を株主に送っている157 社の招集通知の取り組みが見えてきました。全体の 6% に過ぎませんが、この比率は徐々に高まり、数年後には主流になっている可能性が高いと思っています。 以下、今回の調査の私なりの注目点です: ・ ビジュアル招集通知の157 社は、様々な工夫をしており、一般の招集通知が、事業環境、業績等の 形式的な説明と経営成績の報告、配当、役員の選任などの決議案を文章で掲載しているだけである のと対照的です。

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・ 最も充実しているのは、カラーの写真、グラフなどを使った228 ページの招集通知を出しているエ ーザイです。昨年まではそうした取り組みはエーザイぐらいでしたが、CSK ホールディングス、ツ ムラ、アイダエンジニアリング、三菱マテリアル、参天製薬(順不同、「株式会社」略、以下同じ) など80 ページ以上の招集通知を出している会社も全体の約 1 割程度まで広がっています。 ・ B2C の企業ばかりではなく、B2B の企業でも取り組みが進んでいます。たとえば機械商社のトラス コ中山は、事業内容の説明、想定Q&A、設備投資、役員のメッセージなどにおいて、工夫が感じら れます。 ・ 一部の大企業ばかりではなく、あらゆる業種の大企業・中堅企業でも工夫が見られます。たとえば、 東証一部のオーハシテクニカ、バンドー化学、みらかホールディングス、東証二部のブルボン、亀 田製菓、ボーソー油脂、ソントン食品工業、ニフティ、鈴木金属工業、不二サッシ、富士通フロン テック、FDK、都築電気、広島ガス、JASDAQ の富士通ビー・エス・シー、フォトロン、八千代工 業、情報技術開発、タナベ経営、大証二部の遠藤照明などです。 招集通知で最も重要なことは、株主総会の開催日時・場所及び会議の目的事項等の法定開示事項を正 しく伝えていることですが、これは必要条件であり、同時に、読者の視点で書かれているかどうかが問 われます。個人投資家を中心とする株主が、読みたいと思うかどうか、株主総会に足を運んでみようと 思うかどうかです。具体的には、わかりやすく書かれているか、会社が開示したいかどうかではなく株 主が知りたいことが開示されているか、社外役員以外の取締役・監査役候補者に関しても選んだ理由が 書かれているかなどです。 たとえば、エーザイ、オートバックスセブンなどの招集通知では、取締役候補者の詳細な経歴、写真、 本人からのメッセージ、社外役員以外の取締役・監査役候補者の選任理由についても掲載されています。 また、トラスコ中山では、取締役候補者の年始の言葉を手書き文字入りで記載するなど工夫しています。 これらの会社の招集通知は、株主が取締役に経営を委任できるかどうかの判断をするための情報がしっ かり伝えられています。経営者が企業価値を高める経営をしているかどうかを理解するために有効です。 株主でなくとも投資判断に役立てることができます。現在株主でなくとも潜在株主として読むことがで きるということです。 もうひとつのポイントは、HP 等で広く公開されているかどうかです。実際に株主総会に参加されて いるのは全株主の数%に過ぎません。しかし、総会参加者以外にも、総会に関わる情報を入手できるよ うにしている会社もあります。三菱商事、カゴメ、リコー、東芝、エヌ・ティ・ティ・ドコモ、双日、 三井物産などは、HP 上の個人投資家向けページや株主総会のページで、招集通知、総会で使った会社 紹介や経営戦略などのパワーポイント資料、経営者の説明、会社説明の動画などをいつでも閲覧できる ようにしています。これらの資料は、数字の詳細な説明が中心の決算説明会資料よりも、会社全体のこ とを理解する上で役に立つことがあるので要注目です。決算説明会の資料や動画の開示が充実している、 IR に積極的に取り組んでいる会社でも、株主総会の情報は掲載されていないことが多く、改善・工夫の 余地があると思います。

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特に、経営理念・ビジョンとメッセージの一貫性、事業のわかりやすい説明、配当などの株主還元の 考え方の説明に注目しています。株主だけではなく個人投資家のファンを増やす意味でも「共感を呼ぶ かどうか」は重要な要素です。また、個人投資家の最大の関心は配当です。配当の考え方を話すという ことは、将来の事業展開、投資、バランスシートの姿、ROE の目標を伝えることと同義なので、重要で す。 招集通知を大きく変えていくことについては、社内から慎重な声などが出てくることが予想されます が、コーポレート・ガバナンスの原点である株主との対話をより良くするという目的を共有しながら、 良い会社の事例を参考に、少しずつでも工夫していくことをお勧めします。毎年、毎年の改善の積み重 ねが、数年間で大きな変化をもたらすことになるからです。来年の招集通知を楽しみにしております。 12 (C)2009ValueCreate Inc.

株主総会:IRの重要な場になる

従来

• 短いほど良い • セレモニー • 総会屋 • 総会屋対策 • 説明 • 説明責任 • 想定問答の質疑応答 • 招集通知は法定開示の範囲 内で紋切り型

これから

• 株主の満足度 • ガバナンスの原点 • 一般個人 • レピュテーション向上 • 対話 • 説得責任 • ロジック+共感の質疑応答 • 招集通知はIRのツールの役 割も兼ねる

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Ⅳ.調査結果 (対象:ビジュアル的に工夫のあった157社)

プロネクサス総合研究所では、調査対象とした2010 年 3 月期決算会社 2,603 社のうち、カラーのも のや、1 色や 2 色刷りであっても、写真やグラフ等を用いるなどして、ビジュアル的に工夫のある 157 社の招集通知(和文)の内容について、詳細を調査した。 また、2010 年 3 月期決算会社 2,603 社全社については、総会開催日、招集通知発送日、英文招集通 知の作成有無を調査し、上場市場や業種などの属性とクロス集計し、傾向を分析した。クロス集計につ いては、概要紹介を割愛している。 以下の内容は、ビジュアル的に工夫のあった157 社についての調査結果概要である。 1.企画項目 ■目次は約9 割の会社が掲載している。ページ数が多い場合には、目次があったほうが読みやすいと考 えられる。 ■株主メモは約8 割の会社が掲載している。 ■巻頭の代表者挨拶は約7 割の会社が掲載しており、今後増えていくのではないかと思われる。 ■経営理念、トピックスは約4 割の会社が掲載している。 ■トピックスやHP(IR サイト)案内、株主優待制度案内、株価チャートは、招集通知と株主通信を兼 用している会社に多く見られた。 ■インタビュー、事業内容の説明、総会想定問答(Q&A)、総会事前質問受付の案内、総会後の懇談会 等のイベント案内、株主アンケート・結果報告は、掲載している会社が1 桁と少ない。 3.2% 96.8% 総会想定問答(Q&A)の有無 社数 割合 総会想定問答(Q&A)あり 5 3.2% 総会想定問答(Q&A)なし 152 96.8% 157 100.0% 総会想定問答(Q&A)あり 総会想定問答(Q&A)なし ※総会で想定される質問に関する答えを、あらかじめ記載している場合にカウントしている。 総会想定問答(Q&A)がある会社 総会想定問答(Q&A)の主な内容 情報技術開発 当期の業績 役員報酬決定方針・株式報酬制度 トラスコ中山 次期の見通し 買収防衛策 カゴメ 中期経営計画 持合株式の状況 エーザイ 経営方針 株主還元・配当性向等 野村ホールディングス IFRS 対応 コーポレート・ガバナンス 総会運営 有価証券報告書の総会前提出 CSR・環境への取り組み

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2.事業報告 (1)企業集団の現況 ■部門別概況で、部門ごとの売上高等の構成比を掲載している会社は4 割を超えた。また、経年比較の グラフや写真を用いている会社は約35%ある。このようなセグメント情報のビジュアル化は、電気機 器業界に多く見られた。 ■業績予想は、8%の会社しか掲載していなかった。 ■直前3 事業年度の財産及び損益の状況の、売上高や利益等の主要な財務数値をグラフ化している会社 は8 割を超え、今後も増えていくと思われる。 (2)会社の現況 ■「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(以下、「改正府令」)が施行 され、今年度の有価証券報告書から株式保有状況を開示することが義務付けられている。この改正府 令は招集通知での開示を求めるものではないが、この流れを汲み、持合株式の状況を掲載した会社は、 エーザイ、資生堂、富士通の3 社のみであった。 ■改正府令では、有価証券報告書で、役員報酬等の種類別内訳の開示を義務付けている。また、報酬等 が1 億円以上である者に関しては、個別に開示することも求めている。招集通知で、有価証券報告書 と同様に個別開示を行っていた会社は、対象の157 社の中では資生堂のみであった。種類別の開示は、 25%の会社が行なっていた。 3.計算書類 ■計算書類は、当期分の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書の開示が義務付けられている が、前期の数値も掲載している会社は 43 社(27%)あった。前期の数値に加え、増減比較も掲載し ている会社は6 社あり、さらに主な数値に関してコメントを付している会社は JSR と京セラの 2 社 であった。 コメントを付して、大幅に増減があった勘定科目について説明することは、読み手にとって有益な情 報と考えられるので、各社のさらなる工夫が望まれる。 ■キャッシュ・フロー計算書は約3 割の会社が掲載していた。 当期のみ 計算書類の掲載期数 社数 割合 当期のみ 106 67.5% 当期・前期 43 27.4% 当期・前期・増減比較 6 3.8% 当期・前期・増減比較・コメントつき 2 1.3% 157 100.0% 67.5% 27.4% 3.8%1.3% 当期・前期 当期・前期・増減比較 当期・前期・増減比 較・コメントつき ※コメントとは、当期の業績や、前期と比較して著しく増加・減少した勘定科目に関して、付されている説明を指す。

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4.参考書類 ■役員候補者の抱負・株主へのメッセージを掲載している会社は、トラスコ中山、オートバックスセブ ン、エーザイの3 社のみであった。 ■役員候補者の写真を掲載している会社は 20 社あった。写真やコメントを掲載することは、株主にと って候補者の人となりを知る手段のひとつであると考えられる。 ■役員候補者名にルビをふっている会社は64%にのぼった。 ■新任候補者に※等の印を記載している会社は、約3 割あった。 ■今年度から、取引所への「独立役員届出書」の提出が義務付けられている。約6 割の会社が、独立役 員として届け出た役員に、注記を付していた。 62.4% 37.6% 独立役員の注記の有無 社数 割合 独立役員の注記あり 98 62.4% 独立役員の注記なし 59 37.6% 157 100.0% 独立役員の注記あり 独立役員の注記なし ※役員選任議案・役員に関する事項において、取引所に独立役員として届け出た役員に、注記が付されている場合をカウントして いる。 5.IRサイト ■IR サイトで、約 8 割の会社が招集通知を掲載していた。 ■総会の資料は17%(27 社)、動画は 15%(23 社)の会社が掲載しており、21 社が資料と動画の両方 を掲載していた。 ■四半期ごとに株主通信を発行している会社は、10%(15 社)あった。 ■IR サイトに株主通信を掲載していない会社が 20%(32 社)あった。この中には、株主通信を発行し ているが、IR サイトに掲載はしていない会社もあると思われる。 ■招集通知を分冊で発行している会社130 社のうち、約 7 割(88 社)が年次株主通信と兼用している。 ■議決権行使結果は、改正府令により、今年度から臨時報告書において開示することが義務付けられて いる。IR サイトにおいて、約 5 割(73 社)が議決権行使結果を公表している。そのうちの 9 社は、 昨年もIR サイトで公表していた。それ以外の 64 社は、改正府令に併せて、今年から公表したと思わ れる。 ■総会の決議結果を掲載している会社は、約7 割だった。そのうち、約 9 割が決議通知(PDF)を掲載 しており、残りの1 割は総会ページ等に HTML で掲載していた。 ■決議結果も議決権行使結果も掲載していない会社は、39 社(24.8%)あった。 ■決議結果は開示しているが、議決権行使結果までは開示していない会社は45 社(28.7%)だった。

参照

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