ELISA ガイド
ELISA 実験を行う上で
知っておくべきポイント
目次
ELISA の原理
...5
ELISA
のメリットとデメリット ...6
ELISA の種類
...7
直接
ELISA
...7
間接
ELISA
...7
サンドイッチ
ELISA
...8
SimpleStep ELISA
®キット ...8
競合
ELISA
...8
各種
ELISA
のメリットとデメリット ...9
SimpleStep ELISA
®キット ...10
洗浄ステップ
1
回の90
分プロトコール ...10
高い感度も同時に実現 ...
11
生体試料で検査済み ...
11
幅広いターゲット ...
11
CatchPoint
®SimpleStep ELISA
®キット ...11
抗体ペア・キット ...
12
適切な
ELISA
キットを選ぶ ...13
ELISA
の感度 ...13
ELISA
のダイナミックレンジ ...13
ELISA
の変動係数 ...14
ELISA
の特異性 ...14
ELISA
の回収率 ...14
ELISA
の希釈直線性 ...14
ELISA
のサンプル調製法 ...15
ELISA
実験前のサンプル調製におけるポイント ...15
サンプル調製方法 ...
15
細胞培養上清 ...
15
細胞抽出物 ...
15
培養上清 ...
15
乳汁 ...
15
血漿 ...
15
尿 ...
16
唾液 ...
16
血清 ...
16
組織抽出物 ...
16
一般的な推奨内容 ...
16
4
ELISA
に必要なコントロールサンプル ...17
ポジティブ・コントロール ...
17
ネガティブ・コントロール ...
17
スタンダード ...
17
添加コントロール(スパイクコントロール) ...
18
内在性ポジティブ・コントロール...
18
サンドイッチ
ELISA
プロトコール ...19
はじめに ...
19
捕捉抗体の固相化(コーティング) ...
20
ブロッキングおよびサンプルの添加 ...
20
検出抗体や二次抗体とのインキュベーション ...
20
検出 ...
21
データ解析 ...
21
ELISA
分析 ...22
ELISA
検量線 ...22
ELISA
データの計算と評価 ...24
結果の計算 ...
24
変動係数の計算 ...
25
添加回収試験 ...
26
ELISA
トラブルシューティングのヒント ...27
問題のある検量線 ...
27
シグナルがない...
27
変動係数
(CV)
が大きい ...28
バックグラウンドが高い ...
29
感度が低い. ...
29
マトリックス効果 ...
30
ELISA の原理
ELISA
とはEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay
の略語で、「酵素結合免疫吸着測定法」や「酵 素免疫測定法」とも呼ばれます。 他の免疫測定法と同様に、ELISA
も抗体の検出能力が重要で、特異 性の高い抗原抗体反応を利用して標的抗原を検出します。ELISA
アッセイでは、抗原は必ず固相表面 に固定化する必要があります。固定化は直接行うこともできますし、表面に固定化された捕捉抗体を 利用して行うこともできます。これにより、抗原は酵素や蛍光色素といった、検出に必要な分子と結合し た検出抗体と複合体を形成します。ELISA
アッセイは通常、マルチウェルプレートで行います (96
または384
ウェル)。 マルチウェルプレー トには固相面があり、抗原を固定化できます。分析物を固定化することで、サンプル内の残りの成分か ら抗原を分離しやすくなります。ELISA
はこのような特徴を有することから、複数サンプルを同時にア ッセイする上で最も簡便な手法の1
つと考えられています。捕捉抗体
標的タンパク質 ビオチン ストレプトアビジン
-HRP
検出抗体
6
ELISA のメリットとデメリット
メリット デメリット
高感度と特異性: 抗体を使用することで、ピコグ ラムレベルで存在する抗原を特異的に検出でき ます。
結果の取得時間が限定的: 検出は酵素と基質 の反応に基づいて行われるため、データはその 場ですぐに読み取る必要があります。
ハイスループット: 商業用
ELISA
キットの多くは96
ウェルプレートで販売されていますが、アセイ 自体は384
ウェルプレートにも対応可能です。得られる抗原情報が限定的: 得られる情報はサ ンプル内の抗原の量や状態次第となります。
操作が簡単: 簡便なプロトコールで、実際の操 作時間も長くありません。
定量性:
ELISA
ではサンプル内の抗原濃度を定 量的に評価できます。さまざまな試料に対応: 血清、血漿、細胞/組織 抽出物、尿、唾液をはじめとしたさまざまな試料 を用いることができます。
以上が
ELISA
の一般的なメリットとデメリットとなります。後述の章で説明する各種ELISA
には、上記 以外のメリットとデメリットがあります。ELISA の種類
ELISA
アッセイはさまざまなタイプがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。下図では、ELISA
の主要な4
タイプを紹介しています。直接 ELISA
抗原はマルチウェルプレートの表面に固定(固相化)されており、その抗原に特異的な抗体によって検 出され、
HRP
もしくはその他の検出分子がその抗体に直接付加されています。間接 ELISA
直接
ELISA
アッセイと同様、抗原をマルチウェルプレートの表面に固定します。しかし、間接ELISA
では 検出に2
段階のプロセスが必要です。まず、抗原に特異的な一次抗体が標的に結合し、続いて、ホスト 動物種特異的に)一次抗体を認識する、標識済み二次抗体が一次抗体に結合して標的を検出します。間接
ELISA
はまた、一次抗体の代わりに血清を用いて、血清中の特定の抗体を検出することにも使用できます。
間接
ELISA
キット全種は、ウェブサイト (www.abcam.co.jp/indirect-ELISA-kit
s) にてご覧になれ ます。捕捉抗体 標識済み一次抗体 抗原
阻害抗原
直接 ELISA 間接 ELISA
サンドイッチ ELISA 競合 ELISA 標識済み二次抗体
8
サンドイッチ ELISA
サンドイッチ
ELISA
(別名サンドイッチ免疫測定法) は、最も広く用いられているタイプのELISAです。このタイプには抗原の異なる抗原決定基に特異的な抗体
2
種類が必要です。これら2
種類の抗体は 通常、抗体ペアと呼ばれます。抗体の1
つはマルチウェルプレートの表面にコーティングされており、抗原を固定するための捕捉抗体として使用します。 もう一方の抗体は標識されており、抗原の検出を 行います。
サンドイッチ
ELISA
キット全種は、ウェブサイト (www.abcam.co.jp/sandwich-ELISA-kits
) にてご 覧になれますSimpleStep ELISA
®キットアブカムの
SimpleStep ELISA
® キットの使用により、いつものプロセスや従来のELISA
キットの標準 データアウトプットを維持しつつ、スピードと性能をあげることができます。SimpleStep ELISA
® キット は、サンドイッチ構造をワンステップで形成できるため、洗浄ステップの回数を減らすことができます。総所要時間は
2
時間未満です。SimpleStep ELISA
® キット全種は、ウェブサイト(www.abcam.co.jp/simplestep-ELISA-kits)
にて ご覧になれます。競合 ELISA
競合
ELISA
は、ELISA
競合法 もしくは阻害法とも呼ばれています。同アッセイでは、シグナルへの干渉 を検出することで抗原の濃度を測定します。前項までで紹介した形式はそれぞれ、競合型に応用させる ことができます。 サンプル抗原は、特定量の標識抗体との結合において、参照(リファレンス)抗原と競合 させます。 参照抗原はマルチウェルプレートにプレコートされています。 サンプルは標識抗体とプレイン キュベートされ、ウェルに添加されます。 サンプルに含まれる抗原の量に応じて、参照抗原に結合できる 遊離抗体の量が増えたり減ったりします。つまり、サンプル中の抗原が多ければ多いほど、参照抗原の検 出量は少なくなり、シグナルも弱くなります。競合
ELISA
キットの中には、標識された抗体の代わりに標識された抗原を用いるものもあります。標識された抗原とサンプル抗原 (未標識) が、一次抗体への結合を競います。サンプル内の抗原量が少なけ れば少ないほど、ウェル内の標識された抗原が多くなるため、シグナルが強くなります。
競合
ELISA
キット全種は、ウェブサイト (www.abcam.co.jp/competitive-ELISA-kits
) にてご覧に なれます。各種
ELISA
のメリットとデメリットメリット デメリット
直接 ELISA 少ないステップ数:時間と試薬を節 約できます。
二次抗体との交差反応が ありません。
バックグラウンドが高くなる可能性 性あり:サンプル内のタンパク質はす べて固相表面に固定されます。
シグナル増強ができない。
柔軟性が低い:標識済み一次抗体を 使用する必要があります。
間接 ELISA シグナルの増強が可能:複数の二次 抗体が一次抗体に結合します。
高い柔軟性:複数の一次抗体に同 じ二次抗体を使用できる場合があ ります。
直接
ELISA
と比べプロトコールが 長い。二次抗体との交差反応が生じる可 能性があります。
サンドイッチ ELISA 高い特異性:同一の抗原上の異な る部位を認識する
2
種類の抗体を 使用。クルード(未精製)サンプルに適して います。
高い柔軟性と感度:直接法・間接法 どちらも適用可能です。
競合 ELISA 選択したベースとなる
ELISA
に依存 します。小さな抗原に適しています。
選択したベースとなる
ELISA
に依存 します。10
SimpleStep ELISA ® キット
高いパフォーマンスと実験時間の短縮化を同時に実現させませんか
? SimpleStepELISA
® キットなら、洗浄ステップ
1
回のプロトコールで、特異性と感度の高い結果が得られます。– 洗浄ステップ
1
回のプロトコールで、アッセイ時間を90
分以下に抑えることができます – 他社同等製品と比較して、同等もしくはより高い感度示します– 生体試料で検証済みです – 特別な装置は不要です
ELISA
のアップグレード従来の
ELISA
キット
SimpleStep
ELISA
® キット感度 液相反応システムにり高い感度を
実現
再現性 リコンビナント抗体により高い再現
性を実現
検証性 生体サンプル(試料)で検証済み、
内在性タンパク質との反応を確認 済み
迅速・簡単なプロトコ
ール 洗浄ステップ
1
回、90
分のプロトコールで、 操作ステップが少ない
洗浄ステップ 1 回の 90 分プロトコール
SimpleStep ELISA
キットでは、ターゲット(標的分析物)を捕捉した抗体と検出抗体のサンドイッチ複 合体が溶液中で形成されます。1
回のインキュベーションと洗浄のステップで、完全なサンドイッチ複 合体がウェル内に形成され、免疫アフィニティタグでプレートに固定されます。SimpleStep ELISA
®キットの使用法については、動画
(www.abcam.com/simplestep-elisa-video)
をご覧ください酵素反応による発色 標的分析物 基質
マトリックスタンパク質
固定化抗体 捕捉抗体 検出抗体
分
高い感度も同時に実現
時間短縮によって感度が犠牲になることはありません。
ELISA
でよく測定されている75
種類のヒトま たはマウスのターゲット・タンパク質について、SimpleStep ELISA
キット・シリーズと、他社の代表的 なELISA
のキット・シリーズの感度を比較しました。 その結果、75
製品中56
製品、すなわち約4
分 の3
の製品で、SimpleStep ELISA
キットの方が高感度であるということが分かりました。感度
SimpleStep ELISA
® キット vs 競合品生体試料で検査済み
すべての
SimpleStep ELISA
キットが、スタンダードで用いられているリコンビナント・タンパク質だけ でなく、生体由来のネイティブなサンプルとの反応が確認され、評価されています。 そして血清や血漿 中の分泌型タンパク質についてはすべてのターゲットについて、WHO
(世界保健機関)の血液検査の 参考基準値に入ることを確認しています。 また、可能な限りNIBSC
(国立生物学的製剤研究所)の国 際標準品をSimpleStep ELISA
キットで測定し、データの比較のための換算係数を公表しています。幅広いターゲット
SimpleStep ELISA
キットは、広く測定されているIL-6
などの各種サイトカインやフィブリノーゲンなど の凝固系タンパク質の他、PD-L1
や GFP などの注目ターゲットを含む、約700
の製品をラインアップ し、これをさらに日々拡充しています。SimpleStep ELISA
® キット全種は、ウェブサイト (www.abcam.co.jp/simplestep-ELISA-kits
) にて ご覧になれますCatchPoint
®SimpleStep ELISA
®キットCatchPoint SimpleStep ELISA
® キットは、蛍光基質を用いて開発されており、比色ELISA
キットより 精度の高い直線性を広範なダイナミックレンジを実現します。広範なダイナミックレンジが利用できる ので、曲線の最大・最小値における定量化をより正確に実施できます。詳しくは、ウェブサイト (
www.abcam.co.jp/catchpoint-simplestep-elisa-kits
) を参照願います。ヒトペントラキシン 3 マウスレチノール結合タンパク質 4 ヒト IL-17A マウス VCAM1 (CD106) マウス VEGF ヒト IL-4 ヒトトロンボモジュリン ヒト CXCL5 マウス乳脂肪球 1 マウス MIG (CXCL9) マウス P-セレクチン (CD62P) マウス IL-1 ベータ ヒト IL-1ra ヒト IL-8 マウス IL-Ta ヒト PCSK9 マウス IL-33 マウス EGFR マウス sTNF RI (TNFRSF1A) マウス TARC (CCL17) ヒト IGFBP3 マウス MDC (CCL22) マウス MIP1b マウス KIM-1 (TIM1) マウスレジスチン ヒト VGEF 受容体 2 ヒト IL-3 ラットシスタチン C マウス G-CSF (CSF3) ヒト VE カドヘリン マウス BCA1 マウス TIMP1 マウス E-セレクチン (CD62E) マウスエオタキシン (CCL11) ヒト IL-5 マウスアンジオポエチン 2 ヒトメソテリン マウス PF4 (CXCL4)
標的タンパク質
-500 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 低感度 高感度
感度の差 (%)
12
抗体ペア・キット
高性能の抗体ペアを用いて、独自の
ELISA
を作成しませんか?抗体ペア・キットと試薬を用いると、再現性があり特異性と感度の高い結果が得られます。
– ロット間の一貫性:アブカムの抗体ペアには、リコンビナントモノクローナル抗体のみを使用しています。
– 特異性:こちらの抗体ペアは血漿と血清でスクリーニングしているので、複雑なサンプルでも特異性 を確保できます。
– 感度:市販の抗体ペアと比較評価して、競合製品と同等もしくはより優れた感度を持つことを確認し ています。
抗体ペア・キットには、滴定された捕捉抗体とビオチン標識済み検出抗体のペアに加え、校正された標 準タンパク質(スタンダード)が入っています。キットには
2
サイズあり、標準サンドイッチELISA
法で用 いる96
ウェルプレート2
枚もしくは10
枚に十分な量の試薬が入っています。ヒト
IL-1Ra
抗体ペア・キット(ab210888)
の感度は、サンドイッチELISA
を用いてヒトIL-1Ra
標準 タンパク質を測定する場合、ウサギポリクローナル抗体ペアより10
倍高いことが分かっています。アブカムの抗体ペアすべては、ウェブサイト (
www.abcam.co.jp/matched-antibody-pair
s) に てご覧になれます。ヒト
IL-1Ra
抗体ペア・キット(ab210888)
ヒト IL-1Ra に対するウサギポリクロ ーナル抗体ペア
10
1
0.1
1
10
100
1000 10000
ヒト
IL-1Ra (pg/mL)
O . D . (450 nm)
適切な ELISA キットを選ぶ
ELISA
キットを新たに選ぶ際には、アッセイの性能をしっかりと確認することが重要な第一歩となります。 重視すべきパラメーターには、感度、 ダイナミックレンジ、精度などがあり、これらはほとんどの
ELISA
キットでその情報が公開されています。 その他のパラメーターは、一般的なサンプルに関してELISA
の性能を予測する際に用いられます。 血漿、血清、細胞培養培地など、実際の試料中の標的タンパク質は、回収率(
%
)と希釈直線性で評価できます。本章では、サンプルに適した
ELISA
キットを見つける際に役立つ、各種バラメーターの読み方について 解説しています。ELISA
キットを選ぶ際に重視すべきパラメーターのまとめパラメーター 許容水準
感度 標的タンパク質による*
ダイナミックレンジ
アッセイ内の精度に関する変動係数 (
% ) ≤ 10%
アッセイ間の精度に関する変動係数 (
% ) ≤ 15%
特異性 相同性の高いタンパク質との反応性を確認
回収率 (
% ) ≥ 80%
希釈直線性 未希釈サンプルとの差
≤ 20%
ELISA の感度
感度とは、
ELISA
キットの抗体ペアが検出可能なタンパク質の最低量を指します。ELISA のダイナミックレンジ
ダイナミックレンジとは、アッセイが正確に定量できる標的タンパク質の上限と下限の濃度のことです。
*サンプル中に標的タンパク質がどれくらいの量存在するのかを事前に予想し、対象とする
ELISA
キッ トの感度とダイナミックレンジが適切であることを確認することが重要です。 標的タンパク質の濃度が高いサンプルは、希釈することで、測定値がアッセイのダイナミックレンジ内に収まります。
これらの
2
つのパラメータの報告値は、多くの場合、シンプルなバッファー中の標準タンパク質を使用 して決定されるため、生体試料中の内在性タンパク質の動態を反映しない可能性があります。14
ELISA の変動係数
変動係数または
CV (%)
は、アッセイの一貫性を表します。一般的に
CV
は、アッセイ間の精度(プレート間の一貫性)と、同一実験での反復測定の精度(アッセイ 内の一貫性)を評価するために算出されます。– アッセイ間の
CV (%)
が15
未満であれば、一般的に許容範囲内です。– アッセイ内の
CV (%)
は10
未満になるようにします。ELISA の特異性
ELISA
キットで使用する抗体は、非標的タンパク質と交差反応しないことが重要です。これらのタンパク質は、種を超えて高い相同性を持つタンパク質などが考えられます。
例えば、
Human Factor IX SimpleStep ELISA
®キ ット(ab188393)
は、ヒトの第Ⅸ因子に特異的 で、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウシ、イヌ、ブタのサンプルとは反応しません。ELISA の回収率
回収率(
%
)は、既知の量の精製済み標的タンパク質を生体試料(サンプルマトリックスとも呼ばれる)に添加することによって決定されます。 サイトカインのような分泌タンパク質の場合は血漿や血清が、
キナーゼのような細胞内タンパク質の場合は培養細胞ライセートなどが典型的なサンプルマトリック スとなります。
添加済みサンプルを
ELISA
で測定し、検量線から濃度を算出します。この算出された濃度を、既知のタ ンパク質濃度と比較し、パーセンテージで表せます。例えば、100%
の回収率は、観測された濃度がサン プル中の添加されたタンパク質の実際の濃度と同じであることを意味します。 これは、サンプル中の他 のタンパク質や分子が、標的タンパク質の定量化に干渉しなかったことを意味します。回収率が
80%
未満の場合、定量化には別のELISA
キットを選択すべきでしょう。ELISA の希釈直線性
希釈直線性は、生体試料中の添加されたタンパク質ではなく、天然のタンパク質を測定することから、
回収率(
%
)と併せて検証できます。 希釈直線性は、既知の陽性サンプルをELISA
で複数回希釈して測 定することで決定されます。 標的タンパク質の濃度は、計算された濃度に希釈倍率を乗じて決定され ます。 最良の結果を得るためには、全ての希釈液においてサンプルの濃度が均一に近い必要がありま す。 希釈前のサンプルとの差が20%
以上ある場合は、他のELISA
キットを選択するべきです。ELISA のサンプル調製
ELISA 実験前のサンプル調製におけるポイント
お手持ちのキットに同梱されているプロトコールを参照し、サンプルの調製や互換性のあるサンプルタ イプについて、製品情報の詳細をご確認ください。 このガイドラインは、
ELISA
に使用する一般的なサ ンプル調整のための教育資料として作成されています。 最適なサンプル調製法は、対象となるターゲッ トやアッセイによって異なります。 新しいアッセイを開発する際には、類似した実験例がないか文献を検索してみることをお勧めいたします。
サンプル調製方法
細胞培養上清
– 細胞培養培地を遠心分離用チューブに分注し、
4˚C
で10
分間、1,500 rpm
で遠心分離します。– 上清をすぐに一定分量に分け、サンプルを
-80˚C
で保管します。 凍結・解凍のサイクルは最小限に抑 えてください。細胞抽出物
– 組織培養プレートを氷上に置きます。
– 培地を吸いとって捨て、氷冷
PBS
で細胞を軽く洗います。–
PBS
を吸いとって捨て、100 mm
プレート 1 枚につき完全抽出バッファ―(細胞・組織抽出物バッフ ァーレシピを参照)0.5 mL
を加えます。– プレートを傾け、集めた細胞をこすり取り、あらかじめ冷やしておいたチューブに移します。
– 軽くボルテックスし、氷上で
15-30
分インキュベートする。–
4˚C
で10
分間、13,000 rpm
で遠心分離し、不溶性の内容物をペレット化させます。– 上清 (可溶性の細胞抽出物) を氷上に準備した清潔で冷たいチューブに一定分量入れ、サンプルを
-80˚C
で保管します。凍結・解凍のサイクルは最小限に抑えてください。培養上清– 細胞を(血清を含む)増殖培地に入れ、目的のコンフルエンスレベルまで細胞を増殖させる。
– 増殖培地を取り、数 mL の温かい
PBS
でそっと洗浄します。 この洗浄ステップを繰り返します。– 残った
PBS
を取り除き、無血清の増殖培地を静かに加えます。–
1 - 2
日培養します。– 培地を遠心分離用チューブに分注し、
4˚C
で10
分間、1,500 rpm
で遠心分離します。– 上清をすぐに一定分量に分け、サンプルを
-80˚C
で保管します。 凍結・解凍のサイクルは最小限に抑 えてください。乳汁– サンプルを回収し、
4˚C
で2
分間、10,000 x g
で遠心分離します。– 上清を一定分量に分け、サンプルを
-80˚C
で保管します。 凍結・解凍のサイクルは最小限に抑えてく ださい。血漿– 全血を凝固阻害剤の入ったチューブに入れます。もしくは、クエン酸ナトリウム
0.1 M
を最終容量の1/10
加えます。–
4˚C
で10
分間、3,000 rpm
で遠心分離します。– 上清 (血漿) をすぐに一定分量に分け、サンプルを
-80˚C
で保管します。凍結・解凍のサイクルは 最小限に抑えてください。16
尿– サンプルを回収し、
4˚C
で2
分間、10,000 x g
で遠心分離します。– 上清を一定分量に分注し、サンプルを
-80˚C
で保管します。凍結・解凍のサイクルは最小限に抑えて ください。唾液– サンプルを回収し、
4˚C
で2
分間、10,000 x g
で遠心分離します。– 上清を一定分量に分け、サンプルを
-80˚C
で保管します。凍結・解凍のサイクルは最小限に抑えてく ださい。血清– 全血を未処理のチューブ、もしくは凝固阻害剤の入っていないチューブなどにいれます。
– 室温で
20
分間インキュベートする。–
4˚C
で10
分間、3,000 rpm
で遠心分離します。– 上清 (血清) をすぐに一定分量に分け、サンプルを
-80˚C
で保管します。 凍結・解凍のサイクルは最 小限に抑えてください。組織抽出物
– 清潔な器具で組織を切除します。プロテアーゼによる分解を防ぐため、できるだけ氷上で、可能な限 り手早く実施します。
– 丸底の微量遠心チューブに組織を入れ、液体窒素に浸して急速冷凍します。サンプルは、後日使用す るために
-80˚C
で保存するか、すぐにホモジナイズするために氷上に置いておく。–
5 mg
までの組織片は、最大300 μL
の完全抽出バッファー (細胞・組織抽出物バッファーレシピを 参照) を試験管に加え、電動ホモジナイザーで均質化します。–
300 μL
の完全抽出バッファーを用いてブレードを2
回洗い、4˚C
で2
時間、一定の撹拌を続ける(例:低温室のオービタルシェーカーに置くなど)。
–
4˚C
で13,000 rpm
、20
分間遠心します。 氷上に置き、上清(可溶性タンパク質の抽出液)を新たに 冷やしたチューブに一定量分注し、サンプルを-80˚C
で保存する。 凍結融解のサイクルは最小限に 抑えてください。細胞溶解(
Lysis
)バッファーの容量は、組織の量に応じて決定する必要があります。 最終的なタンパク 質抽出物の濃度は通常 >1 mg/mL
となります。細胞・組織抽出物バッファーのレシピ – トリス
100 mM
、pH 7.4
–
NaCl 150 mM
–EGTA 1 mM
–EDTA 1 mM
–1%
トリトンX-100
–
0.5%
デオキシコール酸ナトリウム完全抽出バッファーを作成するには、以下の試薬を追加する必要があります。
– ホスファターゼ阻害剤カクテル – プロテアーゼ阻害剤カクテル –
PMSF
使用直前に、細胞抽出バッファーにホスファターゼ阻害剤とプロテアーゼ阻害剤のカクテルを
(製造元の説明書に従って)添加し、続いて
PMSF
は最終濃度が1mM
になるよう加えます。一般的な推奨内容
– タンパク質抽出物の推奨濃度は
1 - 2 mg/mL
以上です。– 通常、血清、血漿、組織抽出物は、結合バッファーで半分に希釈します。
– 解凍したサンプルは使用前に
4˚C
で5
分間、10,000 rpm
で遠心分離してあらゆる沈殿物を除去 します。ELISA に必要なコントロールサンプル
適切なコントロールをとることで、「真に陽性」の結果と「偽陽性」の結果を正確に判別することができま す。 お使いのプロトコールに修正が必要な場合にも、ポジティブ・コントロールとネガティブ・コントロー ルは重要です。 ここでは、
ELISA
を行う際に有用な、様々なタイプのコントロールについてご紹介します。ポジティブ・コントロール
ポジティブ・コントロールはその名の通り、必ずポジティブとなる(シグナルが得られる)サンプルで、そ
の
ELISA
系のターゲット物質を含むことが明らかである生体サンプルか、または使用する抗体の免疫原性配列を含む物質(精製タンパク質、リコンビナント・タンパク質、ペプチドなど)を使用します。 市販 のキットでは製品に付属していることもあります。 例えば、ポジティブ・コントロールが陽性であれば、
サンプルの測定結果が陰性の際、そのアッセイ自体は問題なくワークしていたということを示すことが でき、陰性結果の正当性を実証することができます。
キットにポジティブ・コントロールが含まれておらず、自分で探さなくてはいけない場合には、まずは製 品のデータシートをご確認ください。 ポジティブ・コントロールの具体例の記載がある場合は、それに 従ってください。 記載がない場合は下記をご参照ください。
– 抗体について、
Abreviews
®がないか調べてみましょう。過去に成功例のある組織、細胞、ライセート はどれも、ポジティブ・コントロールに適していると考えられます。–
Swiss-Prot
やOmnigene
のデータベースへのリンクがデータシートに記載されていないか見てみ ましょう。これらのデータベースには通常、そのタンパク質が発現している組織のリストが含まれてい ることが多く、これら組織もポジティブコントロールとして適していると考えられます。–
GeneCards
のエントリーに対象のタンパク質がないか調べてみましょう。 このデータベースでは通常、各組織における発現量の相対レベルが分かります。
– 上記を試しても、適切なコントロールが見つからないという場合には、
PubMed
で文献検索を行い、どの組織や細胞が対象のタンパク質を発現しているかを調べることをお勧めします。
ネガティブ・コントロール
ネガティブ・コントロールとしては、ターゲット物質を全く含まないサンプルを使用します。 キット製品 添付の希釈バッファーやスタンダードの 「
0
」 を使用することもあります。 ネガティブ・コントロールは、得られたシグナルが偽陽性ではなくターゲット物質由来のものであることを示し、アッセイの妥当性を 判断するために必ず必要です。 複数の
ELISA
プレートを使用する場合には、各プレートに必ず1
箇所 はネガティブ・コントロールを置くことをお勧めします。スタンダード
スタンダードは、得られたサンプルの測定値をその系のターゲット物質の濃度に換算するための検量 線(標準曲線)を描くために使用する、ターゲット物質の濃度が既知のサンプルです。 例として、濃度が
15.6 - 500 μg/mL
の、アブカムのマウスIL-6 ELISA
キット (ab46100
) から得られる一般的な検量線 を以下に示します。 検量線に問題があるということは、使用した抗体が適切に結合しなかったか、ある いは標準タンパク質を検出できていないことを意味します。 検量線のR2
値は>0.99
になるはずです。18
10
1
0.1
10
100
1000
マウス
IL-6 (pg/mL)
O . D .
添加コントロール(スパイクコントロ―ㇽ)
血清サンプルを
ELISA
で測定する場合、スタンダードを希釈用バッファーで希釈したものと、実際に試 験する生物種の血清で希釈したものを同時に作成します。 この2
種類の溶液を比較して、血清内の他 のタンパク質が検量線作成に影響していないことを確認できます。 これは添加コントロールと呼ばれ、標的タンパク質がサンプルマトリックスに添加後も回収できることを示します。 許容可能な結果の範囲 は
80 -120%
です。内在性ポジティブ・コントロール
リコンビナントタンパク質サンプルをテストする場合には、内在性ポジティブ・コントロールを用いるこ とをお勧めします。 内在性ポジティブ・コントロールは実験には欠かせない要素です。
リコンビナントタンパク質の抗体検出において、必然的に伴う固有の問題を考慮する必要があります。
リコンビナントタンパク質の折りたたみ構造は、 天然型の形状と異なる場合があり、エピトープへの 抗体のアクセスを妨げている恐れがあります。 これは、タグ付きタンパク質の場合には特に注意する 必要があります。 タグは必ず、リコンビナントタンパク質の
N
またはC
末端に付加するようにして ください。最も確認すべき重要なことは、リコンビナントタンパクに、使用する抗体の免疫原性配列が必ず含まて いるかどうかというこです。 内在性ポジティブ・コントロールは、結果の検証に加え、試薬(例:抗体)や 手順がどれだけうまく機能しているかを示すためにも重要になります。
サンドイッチ ELISA プロトコール
はじめに
サンドイッチ
ELISA
では、2
種類の抗体 (捕捉抗体と検出抗体) で挟んだ抗原を測定します。 対象と なる抗原には、抗体と結合することのできる抗原部位が2
ケ所以上必要です。サンドイッチ
ELISA
では、モノクローナル抗体やポリクローナル抗体を、捕捉抗体や検出抗体として使 用できます。モノクローナル抗体は単一のエピトープを認識するため、抗原のわずかな違いを定量化す ることができます。 ポリクローナル抗体は、抗原をできるだけ多く取り込むための捕捉抗体として使用 されることが多いです。サンドイッチ
ELISA
では、分析前のサンプル精製は行わず、感度を高めています (感度は直接ELISA
や間接ELISA
より2 - 5
倍高い)。PBS 0.2% Tween 20 でプレートを 2 回洗浄
PBS 0.2% Tween 20 でプレートを 2 回洗浄
PBS 0.2% Tween 20 でプレートを 4 回洗浄
PBS 0.2% Tween 20 でプレートを 4 回洗浄 5% 血清または BSA で室温 2 時間もしくは
一晩 4℃でブロッキング
検出抗体と 室温で 2 時間 インキュベート サンプルをウェルに加える プレートで希釈 捕捉抗体を 重炭酸バッファーで 4℃ 一晩インキュベート
しプレートに固相化 抗原
捕捉抗体(一次抗体)
検出抗体(一次抗体)
標識済み二次抗体
標識済み二次抗体で 室温、30 分 - 2 時間 インキュベート
基質 酵素反応による発色
ELISAプレートリーダーで吸光度を読み取り、結果を分析 酵素による検出
製造元のガイドに 従ってください
20
サンドイッチ
ELISA
法は、最適化が難しい場合があり、テスト済みのマッチした抗体ペアを使用する必 要があります。 これにより、抗体が標的タンパク質上の異なるエピトープを検出し、他の抗体の結合を 妨害しないことが保証されます。 弊社では、専用のテストを実施しない限り、サンドイッチELISA
の抗 体を保証することはありません。テストされたアプリケーションの情報については、抗体のデータシートをご覧ください。
捕捉抗体の固相化(コーティング)
1. PVC
マイクロタイタープレートのウェルを、炭酸/重炭酸バッファー (pH 9.6
)で1–10 μg/ml
に 希釈した捕捉抗体溶液を加えます。精製されていない抗体(腹水や抗血清など)の場合、特異的な抗体の濃度が低くなるため、サンプル タンパク質の濃度を高く設定する必要があります(
10 μg/mL
が目安)。2.
プレートを粘着式のプレートシールで蓋をし、4˚C
で一晩インキュベーションします。3.
固相化用溶液を除去し、ウェルをPBS 200 μL
で満たしてプレートを2
回洗浄します。溶液や洗浄液 は、シンクでプレートを振って除去します。 残った水滴はペーパータオルを使用して取り除きます。ブロッキングおよびサンプルの添加
1. ブロッキングバッファー (
5%
スキムミルク/PBS
)200 μL
を各ウェルに加え、コーティングされたウ ェルに残っているタンパク質結合部位をブロックします。2. プレートに粘着式のプレートシールを貼り、室温で
1 - 2
時間以上、もしくは4˚C
で一晩インキュベ ーションします。3. プレートを
200 μL
のPBS
で2
回洗浄します。4.
希釈済みサンプル100 μL
を各ウェルに加えます。 未知のサンプルの値は、検量線のものと常に比 較します。各プレートにはスタンダード溶液(duplicates
またはtriplicates
で準備)とブランクを 入れておきます。37˚C
で90
分インキュベーションします。スタンダード溶液の濃度は、抗体結合の検出範囲(ダイナミックレンジ)をカバーするよう設定してく ださい。 適切な検量線を得るためには、濃度範囲を最適化する必要があるかもしれません。 サンプ ルと標準溶液は常に、二重反復測定(
duplicate
) または三重反復測定(triplicate
)で測定するよ うにします。5.
液を取り除き、プレートをPBS 200 μL
で2
回洗浄します。検出抗体および二次抗体とのインキュベーション
1.
各ウェルに希釈した検出抗体を100 μL
ずつ加える。検出抗体が捕捉抗体と(同一標的タンパク質上の)異なるエピトープを認識していることを確認 します。 これにより、結合への干渉を防ぐことができます。 可能な限りテスト済みの抗体ペア(組み 合わせ)を使用してください。
2.
プレートに粘着式のプレートシールを貼り、室温で2
時間インキュベーションします。3. PBS
でプレートを4
回洗浄します。4.
使用直前にブロッキングバッファーで希釈した標識二次抗体100 μL
を加えます。5.
プレートに粘着式のプレートシールを貼り、室温で1 - 2
時間インキュベーションします。6.
プレートをPBS
で4
回洗浄します。検出
ELISA
においては様々な標識酵素が検出に利用されていますが、特に広く用いられているのはホースラデッシュ・ペルオキシダーゼ(
HRP
)とアルカリ・フォスファターゼ(ALP
)です。ペルオキシダーゼは赤血球に、アルカリ・フォスファターゼは肺胞細胞や腸管組織に、それぞれ内在 するため、バックグラウンドが高くなる可能性があります。 用いるサンプルにおいて問題とならない標 識酵素を選択するか、または必要に応じて内在酵素を失活させる処理を行ってください。 この処理の 方法としては、例えばペルオキシダーゼに対する
0.3%
過酸化水素溶液 / メタノール処理、アルカリ・フォスファターゼに対するレバミゾール処理などがあります。
ALP
用の基質・発色剤ALP
用の基質・発色剤として最も広く用いられているのはpNPP (p-Nitrophenyl-phosphate
; ニトロフェニルリン酸)
です。室温で15–30
分間反応させた後0.75 M
水酸化ナトリウム溶液を加え て反応を停止させ、405 nm
の吸光度を測定します。HRP
用の基質・発色剤HRP
の基質は過酸化水素H2O2
です。過酸化水素の還元と発色剤(
水素供与体)
の酸化が共役し、その結果として発色剤が発色します。
TMB
(3,3’,5,5’-tetramethylbenzidine
)最も広く用いられている
HRP
用の発色剤です。15–30
分反応させた後、等量の2 M
硫酸(H2SO4)
を加えて反応を停止させ、450 nm
の吸光度を測定します。OPD
(o-phenylenediamine dihydrochloride
)TMB
よりも感度が高い発色剤です。 光に感受性が高いので暗所での保存が必要となります。発色後は
492 nm
の吸光度を測定します。ABTS
(2,2’-azino-di-[3-ethyl-benzothiazoline-6 sulfonic acid] diammonium salt
)TMB
やOPD
と比較して、長い反応時間が必要となります(一晩など)。 発色後は緑色で、通常停止液 を加えず416 nm
の吸光度を測定します。基質・発色剤の中には、手袋をするなど安全には十分注意して扱ってください。 有害と見なされるもの があります。 手袋をするなど安全には十分注意して扱ってください。
データの解析
一連の濃度希釈を行ったスタンダードを
X
軸に、吸光度をY
軸にそれぞれプロットし、検量線(標準 曲線)を作成します。 この検量線とサンプルの吸光度の値から、サンプルの濃度を求めてください。22
ELISA 分析
ELISA
アッセイは、得られるデータの種類によって、以下のように分類できます。– 定性的
ELISA
:サンプル内に抗原が存在するかどうかのみを調べます。 抗原の入っていないブランクウ ェルまたは関連性のないコントロール抗原が必要となります。– 半定量的
ELISA
:サンプル間で抗原濃度を相対的に比較できます。– 定量的
ELISA
:サンプル内に存在する抗原の量を算出できます。 サンプルの測定値を、既知濃度の精製 抗原を連続的に希釈して作成した検量線と比較する必要があります。 こちらは、最も一般的なELISA
アッセイです。ELISA 検量線
検量線(標準曲線)は、定量
ELISA
において、サンプル内の抗原濃度を算出するために必要です。検量線は 、既知濃度の参照(リファレンス)抗原と、各濃度で得られた読み値(通常は
450 nm
での光 学濃度)をプロットして得られます。ほとんどの
ELISA
プレートリーダーでは、曲線フィッティングやデータ解析用のソフトウェアが使用で きます。 サンプル中の抗原濃度は、検量線の直線部分を外挿することで算出されます。ヒト
ICAM1 SimpleStep ELISA
®キット (ab174445
) から描いた定量的ELISA
検量線の例。10
1
0.1
0.01
10
100
1000
10000
ICAM-1 (pg/mL)
O . D . (450 nm)
曲線フィッティング用のソフトウエアを使用すると、データのプロットにさまざまなモデルを適用できます。
– 直線プロット: 一方の軸に抗原の濃度を、もう一方の軸に読み取り値を表示します。ここでは通常、
R2
値を用いて適合性を判断し、0.99
以上の値であれば非常に良好な適合性を示します。 ただし、直線プ ロットでは、曲線の下端のデータポイントが圧縮され、分解能が低下する傾向があります。– 片対数プロット:直線プロットで生じた下寄りのプロットを改善するのに役立ちます。 片対数プロットで は、読み取り値に対して濃度の対数を使用します。 この方法を用いると通常、データポイントがより均 等に分布する
S
字状の曲線が描かれます。– 両対数プロット:低~中レベルの濃度の範囲で、良好な直線性が得られます。 高濃度域では直線性が 損なわれる傾向にあります。
–
4
または5
パラメータ・ロジスティック (4PL
または5PL
) 曲線: 最大値・最小値といったその他のパラ メーターも考慮する洗練された手法である一方、複雑な計算が必要となります。4PL
は変曲点を中心とし た対称性を想定していますが、5PL
は非対称性を考慮しており、通常、イムノアッセイにはこちらの方が適 しています。ソフトウエアの機能次第ですが、
4PL
と5PL
はほとんどのELISA
の検量線(標準曲線)に適合します。そう でない場合は、片対数または両対数プロットを使用するのが最良の方法となります。24
ELISA データの計算と評価
ELISA
データに基づく結果の計算と統計的アッセイバリデーションの推奨ガイドライン。結果の計算
ELISA
サンプルは必ず、duplicates
またはtriplicates
で測定してください。 こうすることで、結果を 統計的に検証するのに十分なデータが得られます。 この方法でELISA
の結果を処理できるソフトが 数多くあります。スタンダード溶液とサンプルの各セット(
duplicates
またはtriplicates
)の吸光度の平均値を算出し て下さい。 ただし2
点あるいは3
点それぞれの値が平均値から20 %
以上離れている場合はバラツ キが大きすぎます。 平均値自体も疑わしいと判断せざるを得ません。検量線
一連の希釈した検量線の濃度を
X
軸に、吸光度の平均値をY
軸に、それぞれプロットし、ソフトウェア を使用して近似曲線 (回帰曲線) を描き、検量線を作成します。1
回のアッセイで複数のプレートを使用する場合には、検量線はプレートごとに設定してください。代表的な検量線を下図に示します。 ヒト
HIF1
αSimpleStep ELISA
®キット(ab171577)
のものです。グラフ上の各点は、反復測定値の平均を表しています。
既知濃度のサンプルをポジティブコントロールとして使用することをお勧めします。 ポジティブコント ロールサンプルの濃度は、検量線の直線部分に収まるようにすることで、有効かつ正確な結果が得 られるようになります。
10
1
0.1
0.01
0.10
1
10
100
HIF1
タンパク質(ng/mL)
O . D . (450 nm)
サンプル内の標的タンパク質濃度
各サンプルの標的タンパク質(ターゲット物質)濃度を算出するにはまず、サンプルの吸光度の平均値 を求めます。グラフの
Y
軸上のその平均値をから、検量線に向けて水平線を引きます。例えば、吸光度の読み取り値が
1
の場合は、Y
軸の吸光度の点から線を引きます(a)
。線が交差する点で、垂直線を
X
軸に向かって引き、対応する濃度を読みます(b)
。サンプルの吸光度が検量線の最高点を超えた場合
サンプルを希釈した上でアッセイを行います。 得られた濃度に希釈した倍率を乗じた値が元の濃度と なります。
変動係数の計算
バラツキの評価は変動係数
(Coefficient variation; CV)
で行います。CV
は平均値μ
に対する標 準偏差σ
の割合で、%
で表します。CV= —
これは、平均に対するバラツキの割合を表し、結果の不一致や不正確性を示しています。 (大きいほど バラツキが大きいことを示す)。 ただし
σ
は値 (濃度) そのものが大きいほど大きくなる数字である ため、異なる濃度のサンプル間でσ
を比較するのは無意味です。 そこでσ
を測定値の平均値で 割った値をパーセント表示したCV
が広く用いられます。CV
が10 %
よりも小さければ、優れたアッ セイ系と言えます。 コンピュータープログラムの中には、ELISA
の結果からCV
値を計算できるものも あります。σ μ
10
1
0.1
0.01
0.10
1
10
100
HIF1 α
タンパク質(ng/mL) a
O . D . (450 nm)
10
1
0.1
0.01
0.10
1
10
100
HIF1 alpha protein (ng/mL) a
O . D . (450 nm)
10
1
0.1
0.01
0.10
1
10
100
HIF1 alpha protein (ng/mL) a
b
*
O . D . (450 nm)
10
1
0.1
0.01
0.10
1
10
100
a
b
*
O . D . (450 nm)
HIF1 α
タンパク質(ng/mL)
26
高 CV の原因
– 不正確なピペッティング操作:正しい容量の液体を吸い上げられるよう、ピペットを使用する前に、
チップがピペットに密着していることを確認します – ウェル間での試薬の飛散
– スクリーニング用サンプルや試薬のいずれかが細菌や真菌に汚染されている – 試薬間のクロス・コンタミネーション
– プレート間で温度などの反応条件が不均一:プレートは必ず、気温が安定し、すきま風が入らない環 境でインキュベーションします
– ウェルの一部が乾燥している。インキュベーション時には必ずプレートにカバーをかけてください
添加回収試験
ターゲット物質の濃度が同じであっても、それが含まれる溶液の成分・組成によって
ELISA
の反応系 が影響を受け、測定結果が異なってしまうことがしばしばあります。 添加回収試験は、血清、培養上清 などのサンプル溶液成分が測定に与える影響を評価する方法です。サンプル希釈バッファーと、ターゲット物質が含まれないサンプル溶液( サンプルが培養上清の場合細 胞培養していない培地など) を用意し、それぞれに既知濃度のターゲット物質を等量加えます。
アッセイを行って濃度を算出し、両者を比較します。測定値がほぼ同じ (
80-120%
程度) であれば、サンプル成分の影響は少ないと判断します。
添加回収試験でサンプルの溶液成分の影響が無視できないことが明らかになった場合は?
サンプルの溶液成分で希釈したスタンダード溶液を用いて検量線を作成することをお勧めします。
サンプルの溶液成分による結果への影響はすべて、スタンダードにおいても見られます。 したがって、
検量線とサンプルをより正確に比較できます。 アブカムの
ELISA
キットの多くには、標準血清希釈液 が入っています。別の解決策としては、サンプルの溶液成分を変更することです。 例えば、希釈処理を行っていない生体 試料を使用している場合は、これをスタンダード溶液の希釈バッファーで希釈してみましょう。 ただし、
この方法では、結果を分析する際に希釈率を考慮し、濃度が検量線の直線部分に収まっていることを 確認する必要があります。
ELISA トラブルシューティングのヒント
問題のある検量線
原因 解決策
適切なスタンダード溶液を使用していない 希釈がきちんと行われているか確認してく ださい。
スタンダード溶液がきちんと再構成されてい
ない バイアルを開ける前に軽くスピンします。 再構成
後に溶解していない部分がないか調べて ください。
スタンダード溶液の劣化 スタンダード溶液は指示通りに保管し、取り扱う ようにしてください。
曲線がスケールに合っていない 両対数曲線や、
5
パラメーターロジスティック曲 線など、異なるスケールを使用してプロットして みてください。ピペット使用時のミス 校正済みのピペットを、適切な操作法で使用し してください。
シグナルがない
原因 解決策
インキュベーション時間が短すぎる サンプルを
4˚C
で一晩インキュベーション するか、製造元のガイドラインに従ってください。ターゲット物質がアッセイの検出限界値未満 希釈倍率を下げるか、サンプルを濃縮して ください。
互換性のないサンプルタイプ 未検証のサンプルタイプは、検出レベルが下が ったり、検出ができなかったりします。
アッセイがポジティブコントロールを検出できる ことが分かっているサンプルを使用してください。
プレートへの吸着により、抗原決定基の認識が
妨げられている 直接・間接
ELISA
によるペプチドの検出感度を 増強するには、マイクロタイタープレートにコー ティングする前に、ペプチドを大きな担体に結合 させる必要があります。アッセイバッファーの互換性 アッセイバッファーが対象のターゲット物質と互 換性を有していることを確認してください (酵素 活性が維持されているかや、タンパク質相互作 用が維持されているか、など)。
検出試薬が不足している 製造元のガイドラインに従い、検出試薬の濃度 または使用量を増やしてください。
28
原因 解決策
サンプルが誤った方法で調製されている サンプルが適切に調製・希釈されていることを確 認してください。 サンプルが、マイクロタイタープ レート・アッセイの形式と互換性を有していない 場合があります。
抗体が不足している 別の濃度や希釈率の抗体を使用してください。
インキュベーション温度が低すぎる 適切な温度でインキュベーションされているか 確認してください。 手順の開始前に、プレートも 含め、試薬すべてを室温もしくは製造元が指示す る温度の状態にしてください。
誤った波長設定での測定 波長設定を確認して、プレートを再度読みなお してください。
プレートの洗浄が強すぎた 自動洗浄システムで正しい水圧が設定されてい るか確認します。 手動で洗浄する場合は、ウォ ッシュバッファーをそっとピペットで加えてくだ さい。
ウェルが乾燥した アッセイを開始したら、ウェルが乾燥しないよう に注意しましょう。 インキュベーション時には常 に、フィルムやシールを使用してプレートを密閉し てください。
酵素反応時の色の発生が遅い 基質溶液は試用直前に調製してください。 溶液 原液の使用期限が切れていないか、もしくは汚 染されていないか確認してください。 または、イ ンキュベーション時間を延長してください。
変動係数 (CV) が大きい
原因 解決策
ウェル内の気泡 プレートを読む前に、気泡がないことを確認して ください。
ウェルが均一・完全に洗浄されていない プレート洗浄機のポートで妨げられているもの がないか確認します。推奨された通りにウェルを 洗浄してください。
試薬がきちんと混合されていない 試薬がすべて完全に混合されているか確認して ください。
ピペット、チップ、またはピペッティング操作に
問題がある 校正済みのピペットと適切な手法を用いて、
正確にピペッティングしてください。
エッジ効果 プレートと試薬がすべて室温であることを確認
してください。
サンプルの調製や保管が一定していない サンプル調製の一貫性を確認し、サンプルの 保管条件が最適化されているかも確認してくだ さい (例: 凍結・解凍のサイクルを最小限に 抑える)。
バックグラウンドが高い
原因 解決策
ウェルをしっかり洗浄できていない をしっかり洗浄できていないプロトコールに従っ てウェルを洗浄してください。
ウォッシュバッファーが汚染されている 新しくバッファーを調製しなおしてください。
検出試薬の量が多すぎる 試薬がきちんと希釈されていることを確認する か、検出試薬の濃度を推奨濃度より下げてくだ さい。
しっかりとブロッキングできていない(例:検出 試薬とブロッキング剤が反応し、ウェル内が完 全にブロックされていない)
別のブロッキング試薬を試すか、ウォッシュバッフ ァーにブロッキング試薬を加えてください。
反応、または洗浄バッファーの塩濃度 塩濃度を上げることで、非特異的な相互作用や 標的以外との弱い相互作用を抑えることができ る場合があります。
反応停止から吸光度測定までの時間が
空きすぎている 反応停止液で発色反応を止めたら、直ちに吸光
度を測定してください。
抗体の非特異的な結合 適切なブロッキング・バッファーを選択してくだ さい。ブロッキング・バッファーとしては
BSA
溶 液、あるいは二次抗体のホスト動物種の血清5-10 %
を含む溶液の使用をお勧めします。 事 前にウェルをブロッキング処理することで、非特 異的な結合を防ぐことができます。抗体濃度が高い 抗体の希釈倍率を変更してください。
発色反応を明るい場所で行っている 発色反応は、製造元の指示に従い暗所で行う必 要があります。
基質添加後に生じた沈殿物 サンプルの希釈倍率を上げるか、基質の濃度を 下げてください。
プレートが汚れている プレートの底面をきれいにしてください。
感度が低い
原因 解決策
ELISA
キットの保管方法が不適切 試薬はすべて、推奨された方法通りに保管してください。 試薬の保管条件は試薬ごとに異なる可 能性があるので、注意してください。
サンプルに含まれる抗原
(標的タンパク質)の量が少ない サンプルを濃縮するか、サンプルの希釈度を下 げてください。
検出試薬の活性がない レポーター酵素・蛍光色素の活性があるか確認し てください。
プレートリーダーの設定に誤りがある プレートのリーダーが、正しい波長の吸光度を 読むように設定されているかを確認してくださ い。 また、蛍光検出で正しい励起・発光波長が 設定されているかを確認してください。
30
原因 解決策
アッセイタイプによる感度不足 より感度の高い検出システムに切り替えてくださ い (例: 比色から化学発光/蛍光へ)。 より感度 の高いアッセイに切り替えてください。 (例: 直接
ELISA
からサンドイッチELISA
へ)。 インキュベ ーション時間を延長するか、温度を上げて ください。ターゲット物質(標的タンパク質)がマイクロタイ
タープレートにしっかりと吸着していない 標的をマイクロタイタープレートに共有結合させ てください。
基質の不足 加える基質の量を増やしてください。
サンプルタイプに互換性がない
(例: 血清 vs 細胞抽出液) テストされていないサンプルタイプでは、検出 レベルが低かったり、検出できなかったりしま す。 アッセイがポジティブコントロールを検出 できることが分かっているサンプルを使用して ください。
バッファーやサンプルの原料が干渉を起こして
いる 試薬をチェックして、干渉の原因となる化学物質
がないか調べてください。例えば、抗体製品の防 腐剤として添加されている場合があるアジ化ナ トリウムは、
HRP
酵素を阻害します。 血漿を採 取する際に使用される抗凝固剤のEDTA
は、酵 素反応を阻害します。異なるキットの試薬を混ぜたり入れ替えたり
した 別キットの試薬を混ぜないでください。
マトリックス効果
ELISA
での血漿や血清の定量化では、マトリックス効果による問題が生じる場合があります。マトリックス効果は、以下に挙げるサンプル成分(マトリックス)やその他の成分により生じることがあります。 リ ン脂質、炭水化物、代謝物
(
ビリルビン)
といった内在性の成分間で生じる相互作用、もしくは、血漿タ ンパクへの共有結合など、対象の分析物とマトリックス間の相互作用です。 サンプル検出の際に、マト リックス効果が読み取りエラーを引き起こす可能性があります。サンプルを
2
-5
倍で希釈するだけで、マトリックス効果を抑えることができます。 サンプルを希釈する 際には、検量線作成時に用いた希釈液と同一のものを使用してください。32
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