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オムロンにおける「ものづくり開発設計技術者研修」

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Academic year: 2021

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オムロンにおける「ものづくり開発設計技術者研修」

1. はじめに

 近年,市場における顧客の品質要求 は高まる傾向にあるにも関わらず, 製 品ライフサイクルは短くなり,かつ,

価格競争は激化の一途を辿っている.

これらの市場変化に伴い,設計開発部 門に対する品質・コスト・納期(QCD)

の要求も高まる一方であり,失敗によ る後戻りが許されない状況にある.

 このため,開発現場では,経験豊か な技術者が設計せざるを得ず,未習熟 な若手技術者が設計を経験できる機会 が減少してきている.このような開発 現場の状況により,若手がいつまでも 育成されず,さらに,経験豊かな技術 者に仕事が集まるといった悪循環を生 んでいる.

 この悪循環を断ち切るため,弊社で は,若手技術者に設計を経験させなが ら教育する「ものづくり開発設計技術 者研修」を2008年度から実施している.

 研修では,企画から試作開発,設計 検証までの一連のものづくりを経験さ せ,その中でものづくりの考え方,設 計品質を担保するためのプロセスを教 えている.

 また,研修の設計に際しては,弊社 が求める技術者に育成するための工夫 を随所に施した.

2. 弊社が求める開発設計技術者

 弊社の製品は,電子部品のリレーか ら公共インフラの駅務システムまで幅 が広く,技術者に求められる要件も多 岐に渡る.しかし,ものづくりの観点 で開発プロセスを類型化していくと,

その事業は,大きく摺り合わせ開発と 組み合わせ開発に分類することができ る.

①摺り合わせ開発

 リレーなどの電子部品開発は,メカ,

エレキ,ソフト間の摺り合わせが重要 な要素となり,摺り合わせ開発に該当 する.これらの事業では,国外のグロー バル市場における価格競争に打ち勝つ ため,開発工程から量産を意識した設 計を行い,製造原価を下げることが重 要となる.そのため,技術者は,生産

方法を設計工程で創りこむことが求め られている.

②組み合わせ開発

 駅務システムなどのシステム製品開 発は,機器やモジュールを組み合わせ てシステムを実現する組み合わせ開発 に該当する.これらの事業では,真の 顧客のニーズを適切に汲み取って実現 することが課題である.顧客の真の ニーズを引き出すために,単に提案す るだけでなく,実システムを試行する 中でニーズを引き出し,そのニーズを 実現し,また,試行するというサイク ルを回すことが重要となる.そのため,

技術者は,開発サイクルを高速に回し ながら,真の顧客のニーズを適切に汲 み取ることが求められている.

3. PBL を用いたものづくり研修

  本 研 修 で は,PBL(Project Based Learning)と呼ばれる「学んだ知識 を活用し,課題をチームで解決してい く課題解決型学習」を採用し,ものづ くりを実際に体験しながら,知識,ス キルを身に付けるようにした.また,

弊社が求める技術者を育成するため,

以下のような工夫を取り入れた.

①生産方法を創り込める技術者を育成 するために

 ・ 生産を熟知した OB を講師に迎え て,座学と演習にて指導

 ・ 先輩社員を交えた設計レビューの 場を設定し,生産を意識するよう にコメントを行った

 ・ メカ,エレキ,ソフトの擦りあわ せが必然的に必要となるよう,自 律走行型ロボットの製作を課題に 設定

②開発サイクルを高速に回しながら,

真の顧客のニーズを適切に汲み取るこ とができる技術者を育成するために  ・ 顧客を意識し易いようにファミ

リーレストランに導入するシステ ムを課題に設定

 ・ 高速に開発サイクルを回すための 基本技術となるモジュール設計を 意識できるように,基本機能が同 じで,役割の異なるロボットを製

作する課題とした

4. おわりに

 研修後,受講生を評価したところ,

ものづくりの流れを理解できたこと や,摺り合わせ開発,組み合わせ開発 においてキーポイントとなる「情報共 有,コミュニケーションの重要性」,「顧 客視点の商品開発」を気づきとして得 たという結果が出ており,研修の狙い を満足することができたと感じている.

(原稿受付 2010 年 6 月 3 日)

〔上田 忠一 オムロン(株)〕

図1 設計レビュー

図 3 製作した自律走行ロボット 図 2 設計検証風景 日本機械学会誌 2010. 8 Vol. 113 No.1101

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参照

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