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抗不安薬について

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(1)

抗不安薬について

薬剤師 PHD 坂井 一明

(2)

不安の材料

転変地異、生老病死、肉親の死等の

様々なストレスがあり、

時代によっても変わる。

その解消法として、昔から、祈祷、宗教が役割を演じ、今日まで続いている。 不安は生きるためのエネルギー。病的不安が医学の対象となる。

2

(3)

個人的な不安は薬によって対

処した。

不安に効く漢方薬 桂枝加竜骨牡蠣湯 虚証 柴胡加竜骨牡蠣湯 実証 その他 半夏厚朴湯 神経性胃炎等 薬理学的には、カルシウムの神経安定効果を 漢方の考え方から、他の生薬と混合することによって相乗効果を期待して作られて いる。 エビデンスは、あるが、客観的な薬理作用は不明な点がある。GABA受容体の安定 化との論文がある。(日本薬理学雑誌 2016) 従って、人には効果があるが、動物に対する効果は不明。 服用法が、限られていることで、治療目的での使用は少ない。 しかし、薬物依存とかの副作用の面ではすぐれている。

3

(4)
(5)

西洋医学での精神安定剤の開発

19世紀の半ばまでは、臭化カリウム、包水クロラールが使われ

たが毒性が強かった。

1903年バルビタールが合成され、ついで1912年フェノバルビ

タールが合成された。1930年から1940年にフェニトイン、トリメ

タジオンが合成され、てんかん薬としてつかわれたが主な睡眠

薬は1960年までは、このバルビタール系の薬が主なものだっ

た。

戦後、製薬会社 ロッシュの化学者、レオ・スターンバックにより、

クロロジアゼポキシド(商品名コントロール(武田)バランス(アス

テラス))が合成され1960年アメリカで発売が許可され、製薬会

社ロッシュは、一躍大企業となった。

今日、抗不安薬といえば、このベンゾジアゾピン系の薬を指す

までに至っている。

5

(6)

薬物の投与方法

局所投与 皮膚、鼻、咽頭、直腸、膣粘膜、角質 (全身に回らない) 胃液に対する抗酸剤、緩下剤。 全身投与 経口投与 消化管から吸収される。胃酸の影響を受けるため、腸で働くものは、腸で溶けないようにし ある。また、腸内細菌の影響を受ける。吸収された薬物は、門脈を通過し、肝臓での代謝を受け るため効果が減少することが多い。 舌下、頬内 ニトログリセリン口腔内崩壊錠。10%が大静脈に入ると言われる。ODと書かれているものは口のなかで溶ける。 座薬 門脈を通らないので、大静脈に入る薬剤量が多い。肛門だけでなく、膣粘膜でも可能。 経皮投与 皮膚は、角質層、上皮細胞のため全身投与は期待できないものが多いが、脂溶性の薬 物は可能である。 点滴静脈内注射 直接、静脈に入りため、全身投与に優れている。点滴は、はじめは低濃度で、長時間、一定濃度を保てるため、 頻用されている。 筋肉内注射 脂肪組織よりも、筋肉組織の方が、血流量が多いため、小児など、静注がむずかしい場合に上腕、臀筋に行わ れる。 皮下注射 筋肉注射よりは、吸収は遅い。 動脈注射 抗癌剤など標的細胞に効果的に投与する場合。動脈造影剤などがある。 髄腔内注射 局所麻酔剤 吸入 喘息、吸入麻酔薬、また、ペプチドホルモンなど脳内に投与したい場合は、副鼻腔を利用する。

6

(7)

ベンゾジアゼピンの体内動態

医科薬理学 2005 南山堂 ベンゾジアゾピン類 静脈注射 医薬品相互作用 リファジピン CYP3A4 の代謝亢進により、血中濃 度の減少 シメチジン イソニアジド ジスルフィラム 経口避妊薬 脱メチル化、3位水酸化反応により、薬 理反応の増強と作用時間の延長

7

(8)

バルビツール酸誘導体の体内動態

医科薬理学 2005 南山堂 ビタミンD,K 経口避妊薬、トリブタミド、 フェニトイン テトラサイクリン系抗生物質 副腎皮質ホルモン 経口抗凝固剤 ジギトキシン Βアドレノレセプター遮断薬 グルセオフルビン

8

(9)

薬の細胞への吸収

細胞膜での受容体との結合で細胞の働きをコントロールするものも多いが、 細胞核に働いて、遺伝子の発現を制御するものも多い。

(10)

薬物動態学(薬物が、生体から受け

る影響)PHARMACOKINETICS

薬物代謝(肝細胞の中) 経口投与された薬物は、小腸から吸収された後、門脈を通り肝臓に入り、 生体内異物として主にCYP3Y4により代謝される。 しかし、最近の研究では、小腸にもCYP3Y4が発現しており、小腸で代謝 されることもわかっている。 その間、薬物は、血液により全身に行き、30分後ほどで、最高濃度に達 しその後、減少する。薬の効果を考える上で、血中濃度は重要な指標で ある。 超短期作用型(半減期2時間以内)トリアゾラン、ゾルピデン 短期作用型(半減期6時間以内)エスゾピクロン 中間作用型(半減期6-24時間以内)エスタゾラン(ユーロジン)、テマゼ パム 長期作用型(半減期24時間以上)フルラゼパム(ダルメート)、ジアゼパム (セルシン)、クアゼパム(ドラール)

10

(11)

経口投与回数と安定的血中

濃度

安定した血中濃度の状態 投与は、吸収と排泄の関係で、安定的な血中 濃度になるのは、約4回の投与が必要 血 液 中 濃 度 投 与 回 数

Goodman & Gilman’s The Pharmacological

(12)

代謝産物

医科薬理学 2005 南山堂

ジアゼパムの脱メチル化はCYP2C19、トリアゾラムの水酸化は、CYP3A1、グルクロンサ ン抱合は、UDP(ウリジン2リン酸)グルクロン酸転移酵素よって行われる。薬物は、核内受

(13)

血液中半減期と臨床使用

長時間作用性

中時間作用性

短時間作用性

(14)

不安の生理学

前頭前野 扁桃体、縫線核 視床下部ーホルモンー自律神経 従って、抗不安薬は、脳の神経、つまり中枢神経系の神経細胞に 作用するものである。

14

(15)

病的不安

1 将来を予測する認知面の症状 ○不安に満ちた予測(何か危険なことがおこりそうだという予感・心配) ○心配の対象は漠然としているが、将来どうなるかわからないことに関連があ る ○心配な気持ちが強く、緊張して落着けない 2.自律神経系の症状 ○動悸・心悸亢進 ○発汗 ○早期射精 ○ 口渇○胃腸障害、胃酸過多 ○悪心や嘔吐 3. 身体的緊張ー筋肉運動系に現れる。 ○肩こり ○緊張性頭痛 ○背部痛 ○手足の震え ○目の周りの痙攣 ○顎関節症など 4 精神的緊張感 ○イライラ感 ○集中困難 ○疲れやすさ ○不眠

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(16)

症状から見る不安障害

DSM-IVから(DIAGNOSTIC AND STATISTICAL MANUAL MEDICAL OF

MENTAL DISORDER) パニック障害 パニック障害(広場恐怖あり) パニック障害(広場恐怖なし) 特定の恐怖症、 社会恐怖 強迫性障害 外傷後ストレス症候群 急性ストレス障害 全般性不安障害 一般身体疾患による不安障害 物質誘発性不安障害 特定不能の不安障害

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ICDー10(国際疾病分類)

F40 恐怖症性不安障害 F40.0 広場恐怖 .00 パニック障害を伴わないもの F40.1 社会恐怖[症](社会不安障害) F40.2 特定の(個別的)恐怖症 F41 他の不安障害 F41.0 パニック[恐怖性]障害 (エピソード[挿間]性発作性不安) F41.1 全般性不安障害 F41.2 混合性不安抑うつ障害 F42 強迫性障害 F43 重度ストレス反応および適応障害 F43.0 急性ストレス反応 F43.1 外傷後ストレス反応 F43.2 適応障害

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(18)

抗不安薬とは?

以前は、マイナートランキライザーとか 精神安定剤との呼び方も用いられたが、 現在では、抗不安薬という呼び方が定着している。 しかし、抗不安作用と静穏、睡眠作用との関係は、よくわからず、ベン ゾジアゾピン受容体の多様性と関係するかもしれない。 抗不安薬の中で、睡眠作用の強いものを睡眠薬、睡眠導入剤と呼ぶ。

18

(19)

不安障害と関係のある物質

ノルアドレナリン セロトニン GABA コルチコトロピン放出ホルモン(副腎皮質刺激ホルモン) ストレスと関 係がある。 その他 ニューロペプチドY(NPYは視床下部青斑核に発現するが、 不安緩解の可能性が高い),コレシストキニン(脳内で神経伝達物質と して働き小脳から不安を引き起こす。アンタゴニストはまだ、開発され ていない。)、サブスタンスP(タキキニン受容体のアンタゴニストは、動 物実験では、パロキセチンと同等な効果を示したが、臨床試験では、 効果がなかった。

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(20)

抗不安薬の種類

ベンゾジアゾピン系(GABA受容体に作用するもの) セロトニン系(5HT1A受容体に作用するもの) ブスピロン、タンドステロン ジフェニルメタン類(抗ヒスタミン作用) ヒドロキシジン、ブクリジン、メクリジン 脂肪族アルコール類 エタノール アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素がないと効果はない。 依存症、慢性、急性中毒がある。

20

(21)

不安障害に用いられる薬剤

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI):パロキセチン(パキシル) ベンゾジアゼピン系抗不安薬:コンスタン(アルプラゾール) 5HT1Aアゴニスト:アルプラゾラン(セディール) 三環系抗うつ薬:アミノトリプチン(トリプタノール) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):ミルナシプラン(トレドミン) モノアミン酸化酵素阻害薬 MAO阻害薬:モクロベミド 選択的ノルアドレナリン取り込み阻害薬 レボキセチン 受容体拮抗薬 NaSSA ミルタザピン(リフレックス) 定型精神病薬 ハロペリドール 非定型精神病薬 オランザピン 抗けいれん薬 ガバペンチン 気分安定薬:リチウム Βブロッカー:プロプラノール 抗ヒスタミン薬:ヒドロキシジン(アタラックス)

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(22)

現在処方箋薬として使用されている抗不安薬

ベンゾジアゾピン受容体 抗不安、 鎮静、 筋弛緩、抗けいれん、抗うつ 短時間 トフィソパム(グランダキシン) クロチアゼパム(リーゼ) 弱 ++ + ± ± - エチゾラム(デパス) 中 +++ +++ ++ - + フルタゾラム(コレミナール) ++ + ± - - 中間型 アルプラゾパム(ソラナックス、コンスタン) 中 ++ ++ ± - - ロラゼパム(ワイパックス) 強 +++ ++ + - - ブロマゼパム(レキソタン、セラニン) +++ ++ +++ +++ - 長時間型 オキサゾラム(セレナール) 弱 ++ ++ ± + - メダゼパム(レスミット) 弱 ++ ++ ± + - クロルジアゼポキシド(バランス、コントロール) 弱 ++ +++ + ± - フルジアゼパム (エリスパン) 中 ++ ++ ++ ± - メキサゾラム(メレックス) 中 ++ ++ ± - - クロキサゾラム(セパゾン) 強 +++ + + - - ジアゼパム(セルシン、ホリゾン) 中 ++ +++ +++ +++ - クロナゼパム(リボトリール、ランドセン) 強 +++ +++ ++ +++ 超長時間型 ロフラゼプ酸メチル(メイラックス) 中 +++ ++ ++ - - フルトラゼパム(レスタス) 強 ++ + ± ++ - セロトニン受容体 タンドスピロン(セディール) 弱 臨床精神神経薬理学 改訂第3版 2014 カプラン精神科薬物ハンドブック 2003 今日の治療薬 2016

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薬理学から見る不安。

第1選択薬である抑制系神経

GABA神経の分布(γーアミノ酪酸を神経伝達物質とする神経)

海馬、嗅球、小脳プルキンエ細胞に多く分布する。

(24)

不安の動物モデル

Getter 型抗コンフリフトテスト 餌と電撃 Vogel型抗コンフリクトテスト 飲水と電撃 Light/bark test(明暗試験)

Hole-board test(穴を覗き込む込む行動) Social interaction test (社会行動)

高架式迷路法 高架式十字迷路法 高架式“O“迷路法 高架式T字迷路法 ビー玉埋め法 日本薬理学雑誌 2010

24

(25)

高架式迷路法

(26)

薬力学(薬が生体に及ぼす影響) PHRMACODYNAMICS GABA(γ-アミノ酪酸)受容体のリガンド GABA アゴニスト(ムッシモール) ベニテングタケの成分 アンタゴニスト(ビククリン) ベンゾジアゾピン アゴニスト(フルニトラアゼパム)睡眠導入剤 アンタゴニスト(フルマゼニル)ベンゾジアゼピンの中毒に対して使用 インバースアゴニスト(DMCM)不安を引き起こす物質。 ピクロトキシン GABA受容体ブッロカー 痙攣薬 Ⅳ類 麻酔薬 バルツール酸 ステロイド アルファキサロン、アルプレグラノロロン 麻酔薬 揮発性麻酔薬 ハロタン

26

(27)

GABA

受容体の分布と機能

ベンゾジアゼピン GABA バルビツール酸 ステロイド(麻酔薬、痙攣惹起) アルコール ピクロトキシン(痙攣薬、G ABAA アンタゴニスト)

Goodman & Gilman’s The Pharmacological

Basis of Therapeutics 12 the edition.

27

Clイオン

(28)

ベンゾジアゾピン受容体作動薬の依存性

副作用 骨折、転倒、認知機能の低下 離脱症状 不安、不眠、イライラ、焦燥 動悸、嘔気、頭痛、震戦 依存のメカニズム α―サブユニット 中脳腹側被蓋野から側坐核に到るドーパミン神経にダウンレギュレーション によるものといわれる。 適正使用 長期間の服用は避ける。減薬は段階的に行う。

28

(29)

非ベンゾジアゾピン系

(ベンゾジアゼピン様、ZCOMPOUNDS)

ピラゾロピリミジン 抗不安薬として研究中 バルツール結合部位 ゾルピデム(マイスリー) イミダゾピリジン系 GABA ω1受容体に作用 イミダゾピリジン ザレプロン(日本では未発売、sanata(米)) ゾピクロン(アモバン) エスゾピクロン(ルネスタ)

29

(30)

構造相関

ジアゼパム ゾルピデム(マイスリー) ベンゾジアゾピン系 非ベンゾジアゼピン系

(31)

GABA

受容体の構成

サブユニット の構成 分布 機能 コメント Α1β2γ2 広範囲のGABA神経 静穏、抗痙攣作用 BZに感受性 Α2β3γ2 前頭葉、脊髄 抗不安、筋弛緩 神経細胞の軸索 起始部、BZ感受性 Α2β1γ1 グリア細胞 Α3β3γ2 皮質 抗痙攣作用 BZ感受性 Α4β2γ2 視床 アゴニストBZ非感受性 Α4β2/3γ2 歯状回 Α4β2δ 視床 持続性抑制 Α4β2/3δ 歯状回 Α5β3 γ2 海馬CA1, 知覚神経節 持続性抑制

Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 12 the edition.

a

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GABA受容体の構造

GABAA とGABAB

GABAA は4回膜貫通型、Clイオンが細胞内に入ることにより、神経伝達作 用を行う。

(33)

ɤーアミノ酪酸(GABA)の生合

成経路

GAD グルタミン酸デ カルボキシラーゼは、ビ タミンB6を補酵素として いるため、VB6の欠乏は、 中枢神経の興奮、痙攣を 引き起こすと言われてい る。

33

(34)

GABA

7回膜貫通型、G蛋白と共役し、細胞内のシグナ

ル伝達に関係する。そのため、カルシウムチャン

ネルや、カリウムチャンネルと共役する。

(35)

ベンゾジアゼピン結合部位

中枢性 BZ ω1 BZ ω2 末梢性 BZ ω3 ベンゾジアゼピン系薬物は、ω1、ω2に作用するが、非ベンゾジアゾ ピン系は、ω1だけに作用する。 受容体 ω1は静穏作用で非ベンゾジアゼピン系は、主に睡眠薬とし て使われる。受容体 ω2は抗不安作用がある。

35

(36)

幸せ神経伝達物質

調節型 セロトニン神経

セロトニン神経は脳幹(橋)の縫線核に集中している。 受容体 5-HT1Aは抗不安作用がある。 日本では、タンドスピロンだけが、抗不安薬として投与されるが、海外 ではブスピロンもある。 また、セロトニン再吸収抑制物質(SSRI)は、セロトニン神経の伝達を よくする。セロトニンは、日周期によって増減する。

36

(37)

セロトニン作動性神経の分布

(38)

セロトニン5H1受容体

5HT1A

海馬、扁桃体、

アデニルシクラーゼの阻害

嗅内皮質、視床下部

カリウムチャンネルの開口

縫線核

5HT1Aは摂食の調節、性行動、体温調節を制御する。副腎皮質刺激 ホルモン(ACTH)の放質を刺激する。5HT1Aは不安やうつ症状のよう な情動的障害に関係する。

Basic Neurochemistry , Eight

(39)

抗鬱剤の人間におけるノルエピネフィリン、セロトニン、ドーパミンの輸

送に関する効力について

39

(40)

等価換算値

ジアゼパム5mgに対する等価換算値(mg) 稲垣、稲田(2014) 抗不安薬 睡眠薬 アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン) 0.8 アモバルビタール(イソミタール) 50 ブロマゼパン(レキソタン、セラニン) 2.5 バルビタール 75 クロルジアゼポオキシド(コントロール) 10 ブロモワレリル尿素 500 ブロチゾラム(レンドルミン) 0.25 クロナゼパム (ランドセン) 0.5 ブトクタミド クロラゼペート (メンドン) 7.5 抱水クロラール 250 クロチアゼパム (リーゼ) 10 エスタゾラム(エスタゾラム) 2 クロキサゾラム (セパゾム) 1.5 エスゾピクロン ジアゼパム(セルシン) 5 フルニトラゼパム(サイレース) 1 エチゾラム (デパス) 1.5 フルラゼパム(ダルメート) 15 フルジアゼパム(エリスバム) 0.5 ロルメタゼパム(エバミール) 1 フルタゾラム (コレミナール) 15 ニメタゼパム(エリミン) 5 フルトラゼパム (レスタス) 1.67 ニトラゼパム (ベンザリン) 5 ロフラゼペート (メイラックス) 1.67 パシフローラ ロラゼパム (ワイパックス) 1.2 ペントバルビタール(ラボナ) 50 メダゼパム (レスミット) 10 フェノバルビタール(フェノバール) 15 メキサゾラム (メレックス) 1.67 クアゼパム (ドラール) 15 オキサゾラム (セレナール) 20 リルマザフォン(リスミー) 2 セコバルビタール(アイオナール 50 タンドスピロン (セディール) (25) トリアゾラム(ハルシオン) 0.25 トフィソパム (グランダキシム) 125 ゾルピデム(マイスリー) 10 ゾピクロン(アモバン) 7.5 臨床精神神経薬理学 改訂第3版 2014

40

(41)

第四相臨床試験(発売後の

効果、副作用の検証)

動物実験の後、新薬は、臨床試験を行わないと公的機関から 国家の医薬品検査機関より、使用の許可がおりない。 臨床試験はヘルシンキ宣言(1964)に乗っ取り、人権を尊重して行わ れる。 第1相試験 人に対する毒性試験。 第2相試験 小人数での治療効果試験。投与量の決定等。 第3相試験 より多い患者の投与し、効果、副作用等を確認する。

41

(42)

精神ストレス(カラーワードテスト)による

心循環器系への影響に対する抗不安薬について

新潟大学大学院医歯学研究科医科学専攻分子薬理学分野

坂井 一明

(43)

緒言

現代はストレス社会であり、その影響を受けた疾患(心身症)も 多い。ストレスが自律神経系、免疫機能低下に影響するのは周知 の事実である(ストレス徴候)。 私達の教室では、精神ストレスの実験にカラーワードテストに よるストレス徴候の定量実験を行っている。また、ストレス・心身症 には抗不安薬が頻用される。 以前に、抗不安薬タンドスピロン(セロトニン5-HT1A受容体作動 薬)が精神ストレスによる心循環器系への影響(特に心機能)を 与えることを報告した。 今回は、GABAA受容体に作用するベンゾジアゼピン系抗不安薬 であるジアゼパムについて、心循環器系に対する影響(安静時と 精神ストレス負荷時に対する効果)を検証した。

43

(44)

抗不安薬ジアゼパムについて

半減期は、20-200時間。血中濃度は、1 時間後に最大になる。

主に大脳辺縁系、視床、視床下部に分布するGABA作動性

神経に作用している。作用点はベンゾジアゼピン受容体である

が、より正確にはGABA

A

受容体-Clチャンネルのベンゾジアゼピ

ン結合部位であり、結合の結果として神経の抑制作用が増強さ

れる。抗不安薬としての投与量は成人で1日当たり 5-10 mgであ

る。

44

(45)

実験の目的

○精神ストレス(カラーワードテスト)による 心循環器系の変化(ストレス徴候)を計測する。 ○抗不安薬ジアゼパムが安静時の心循環器系機能 に影響を与えるかどうかを検討する。 ○抗不安薬ジアゼパムが精神ストレス負荷時の 心循環器系機能に影響を与えるかどうかを 検討する。

45

(46)

カラーワードテストについて

カラーワードテストは、正式にはStroop color word conflict testと

呼ばれている。1935年 Stroop が認知機能評価に開発したものを、

我々(Watanabe et al. 2003)が改良を加えて精神ストレスとして

使っている。

視覚情報の背景色を判断することを目的にするが、誤情報として

同時に文字情報と聴覚情報を与えることでヒトの脳に葛藤(精神

ストレス)を生じさせることを利用した検査法である。渡辺らは

短時間に多量のストレス情報を与えて行った。本来は認知機能の

障害検査に使われるが、ストレス徴候の研究にも使用される。

46

(47)

精神ストレス研究としてのカラーワードテスト

STEP 1 あか あお きいろ みどり あか きいろ あお きいろ あか みどり きいろ あお STEP 2 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

47

(48)

STEP 3

できるだけ速くインキの色を命名してください

みどり あか きいろ あお きいろ あか あお みどり あか みどり あお あか きいろ あか みどり きいろ あお

精神ストレス研究としてのカラーワードテスト

今回実験に使用したコンピュータ化したカラーワードテストは

文字ではなく背景色を答える形式で、4分で200問にした。

さらに同時に聴覚からの誤情報も加えている。

当薬理学教室で使用しているカラーワードテスト

48

(49)

1

(50)

2

(51)

3

(52)

4

(53)

6

(54)

7

(55)

8

(56)

9

(57)

10

(58)

実験方法

ヒトに対する臨床治験として行った。 対象者 20-31歳の健康正常人 48人(男子 39人、女子 9人) 投与薬剤 プラセボ群 ビオフェルミンR 一錠 ジアゼパム群 ジアゼパム 2 mg 一錠 脈拍測定 橈骨動脈で脈拍数を被験者自らが測定 血圧測定 シチズン電子血圧計で被験者自らが測定 一時間半の安静後、ヒトに抗不安薬としてジアゼパムを投与し、 その後精神ストレス負荷(カラーワードテスト)を行い、ストレス徴候(脈拍数 増加と最大血圧、最小血圧の増大)に対するジアゼパムの効果を検討した。 投与量は通常投与量の 1 回分の 2 mgを投与した。 カラーワードテストはコンピューター化したものを使用し、4分間で200問と した。

58

(59)

( 練 習 ) カ ラ ー ワ ー ド テ ス ト カ ラ ー ワ ー ド テ ス ト テ ス ト 前 脈 拍 ・ 血 圧 測 定 ジ ア ゼ パ ム 投 与 テ ス ト 後 脈 拍 ・ 血 圧 測 定 0 時間 カ ラ ー ワ ー ド テ ス ト テ ス ト 後 脈 拍 ・ 血 圧 測 定 テ ス ト 前 脈 拍 ・ 血 圧 測 定 テ ス ト 後 脈 拍 ・ 血 圧 測 定 1 時間 3 時間 カ ラ ー ワ ー ド テ ス ト テ ス ト 前 脈 拍 ・ 血 圧 測 定 テ ス ト 後 脈 拍 ・ 血 圧 測 定

実験プロトコール

テ ス ト 前 脈 拍 ・ 血 圧 測 定

(60)

55 60 65 70 75 -1 0 1 2 3 Be at s/m in

Time after administration (hour)

Pulse rate after administration

Placebo Diazepam

結果 1 ストレス負荷前(安静時)の脈拍数の変化

(61)

100 105 110 115 120 -1 0 1 2 3 BP ( m m Hg )

Time after administration (hour)

Systolic blood pressure after administration

Placebo Diazepam 60 65 70 75 80 -1 0 1 2 3 BP ( m m Hg )

Time after administration (hour)

Diastolic blood pressure after administration

Placebo Diazepam

結果 2 ストレス負荷前(安静時)の血圧変化

(62)

0 1 2 3 4 5 Placebo Diazepam ⊿ B eat /m in

Increase in pulse rate by CWT one hour after

*

結果 3 投与1 時間後の精神ストレス負荷時に

おける脈拍数の変化

(63)

0 2 4 6 8 10 12 Placebo Diazepam ⊿ BP ( m m H g )

Increase in systolic blood pressure by CWT * 0 1 2 3 4 5 6 7 Placebo Diazepam ⊿ BP ( m m H g )

Increase in diastolic blood pressure by CWT

結果 4 投与1 時間後の精神ストレス負荷時に

おける血圧の変化

(64)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 Placebo Diazepam ⊿ Beat/min

Increase in pulse rate by CWT

結果 5 投与3 時間後の精神ストレス負荷時に

おける脈拍数の変化

*

p < 0.05 vs placebo, Student’s t-test

(65)

0 2 4 6 Placebo Diazepam ⊿ m m Hg

Increase in diastolic blood pressure by CWT 0 2 4 6 8 10 Placebo Diazepam ⊿ m m Hg

Increase in systolic blood pressure by CWT

結果 6 投与3 時間後の精神ストレス負荷時に

おける血圧の変化

*

:p < 0.05 vs placebo, student’s t-test

(66)

結果と考察

1.抗不安薬ジアゼパムは、安静時に心循環器系の働きに影響しなかった。 2.精神ストレス(カラーワードテスト)により、脈拍数、血圧が上昇した。 3.抗不安薬ジアゼパムは、精神ストレスによる脈拍数の増加、最小血圧上昇を 抑制した。 4.以前に使用したタンドスピロン(セロトニン5-HT1A受容体作動薬)は、迷走 神経中枢に作用し、脈拍数の増加を抑制するが、 ジアゼパム (GABA A 受容体作動薬)は迷走神経中枢に加え血管運動交感神経中枢にも作用し 脈拍数増加抑制と最小血圧増加抑制があると考えられる。

本研究では、タンドスピロン同様、抗不安薬ジアゼパムも安静時

心循環器系に影響がなく、ストレス徴候に対して有効であることが

わかった。このことは、ストレス疾患に対する抗不安薬の薬理作用

及び薬物治療に対して興味ある知見を与えている。

66

(67)

カラーワードテストでのストレ

ス負荷

視覚

一次視覚野

文字認識中枢 ブローカ野 視床 視床下部 脳下垂体 ストレス 副腎 アドレナリン 自律神経 交感神経優位 延髄 迷走神経 副交感神経

67

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