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GABA B

ドキュメント内 抗不安薬について (ページ 34-67)

7回膜貫通型、G蛋白と共役し、細胞内のシグナ ル伝達に関係する。そのため、カルシウムチャン ネルや、カリウムチャンネルと共役する。

34

ベンゾジアゼピン結合部位

中枢性 BZ

ω

1 BZ

ω

2 末梢性 BZ

ω

ベンゾジアゼピン系薬物は、

ω

1、

ω

2に作用するが、非ベンゾジアゾ ピン系は、

ω

1だけに作用する。

受容体

ω

1は静穏作用で非ベンゾジアゼピン系は、主に睡眠薬とし て使われる。受容体

ω

2は抗不安作用がある。

35

幸せ神経伝達物質

調節型 セロトニン神経

セロトニン神経は脳幹(橋)の縫線核に集中している。

受容体 5-HT1Aは抗不安作用がある。

日本では、タンドスピロンだけが、抗不安薬として投与されるが、海外 ではブスピロンもある。

また、セロトニン再吸収抑制物質(SSRI)は、セロトニン神経の伝達を よくする。セロトニンは、日周期によって増減する。

36

セロトニン作動性神経の分布

脳単 2005 エヌ・ティー・エス

37

セロトニン5H1受容体

5HT1A

海馬、扁桃体、 アデニルシクラーゼの阻害 嗅内皮質、視床下部 カリウムチャンネルの開口 縫線核

5HT1Aは摂食の調節、性行動、体温調節を制御する。副腎皮質刺激 ホルモン(ACTH)の放質を刺激する。5HT1Aは不安やうつ症状のよう な情動的障害に関係する。

Basic Neurochemistry , Eight

Edition(2012) 38

抗鬱剤の人間におけるノルエピネフィリン、セロトニン、ドーパミンの輸 送に関する効力について

39

医科薬理学 2005 南山堂

等価換算値

ジアゼパム5mgに対する等価換算値(mg)

稲垣、稲田(2014)

抗不安薬 睡眠薬

アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン) 0.8 アモバルビタール(イソミタール) 50

ブロマゼパン(レキソタン、セラニン) 2.5 バルビタール 75

クロルジアゼポオキシド(コントロール) 10 ブロモワレリル尿素 500 ブロチゾラム(レンドルミン) 0.25 クロナゼパム (ランドセン) 0.5 ブトクタミド

クロラゼペート (メンドン) 7.5 抱水クロラール 250

クロチアゼパム (リーゼ) 10 エスタゾラム(エスタゾラム)

クロキサゾラム (セパゾム) 1.5 エスゾピクロン

ジアゼパム(セルシン) フルニトラゼパム(サイレース)

エチゾラム (デパス) 1.5 フルラゼパム(ダルメート) 15

フルジアゼパム(エリスバム) 0.5 ロルメタゼパム(エバミール)

フルタゾラム (コレミナール) 15 ニメタゼパム(エリミン)

フルトラゼパム (レスタス) 1.67 ニトラゼパム (ベンザリン) ロフラゼペート (メイラックス) 1.67 パシフローラ

ロラゼパム (ワイパックス) 1.2 ペントバルビタール(ラボナ) 50 メダゼパム (レスミット) 10 フェノバルビタール(フェノバール) 15 メキサゾラム (メレックス) 1.67 クアゼパム (ドラール) 15

オキサゾラム (セレナール) 20 リルマザフォン(リスミー)

セコバルビタール(アイオナール 50 タンドスピロン (セディール) (25) トリアゾラム(ハルシオン) 0.25 トフィソパム (グランダキシム) 125 ゾルピデム(マイスリー) 10

ゾピクロン(アモバン) 7.5

臨床精神神経薬理学 改訂第3版 2014

40

第四相臨床試験(発売後の 効果、副作用の検証)

動物実験の後、新薬は、臨床試験を行わないと公的機関から 国家の医薬品検査機関より、使用の許可がおりない。

臨床試験はヘルシンキ宣言(1964)に乗っ取り、人権を尊重して行わ れる。

第1相試験 人に対する毒性試験。

第2相試験 小人数での治療効果試験。投与量の決定等。

第3相試験 より多い患者の投与し、効果、副作用等を確認する。

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精神ストレス(カラーワードテスト)による

心循環器系への影響に対する抗不安薬について

新潟大学大学院医歯学研究科医科学専攻分子薬理学分野

坂井 一明

緒言

現代はストレス社会であり、その影響を受けた疾患(心身症)も 多い。ストレスが自律神経系、免疫機能低下に影響するのは周知 の事実である(ストレス徴候)。

私達の教室では、精神ストレスの実験にカラーワードテストに よるストレス徴候の定量実験を行っている。また、ストレス・心身症 には抗不安薬が頻用される。

以前に、抗不安薬タンドスピロン

(

セロトニン

5-HT

1A受容体作動 薬

)

が精神ストレスによる心循環器系への影響(特に心機能)を 与えることを報告した。

今回は、

GABA

A受容体に作用するベンゾジアゼピン系抗不安薬 であるジアゼパムについて、心循環器系に対する影響(安静時と 精神ストレス負荷時に対する効果)を検証した。

43

抗不安薬ジアゼパムについて

半減期は、 20-200 時間。血中濃度は、 1 時間後に最大になる。

主に大脳辺縁系、視床、視床下部に分布する GABA 作動性 神経に作用している。作用点はベンゾジアゼピン受容体である が、より正確には GABA

A

受容体 -Cl チャンネルのベンゾジアゼピ ン結合部位であり、結合の結果として神経の抑制作用が増強さ れる。抗不安薬としての投与量は成人で 1 日当たり 5-10 mg であ る。

44

実験の目的

○精神ストレス(カラーワードテスト)による

心循環器系の変化(ストレス徴候)を計測する。

○抗不安薬ジアゼパムが安静時の心循環器系機能 に影響を与えるかどうかを検討する。

○抗不安薬ジアゼパムが精神ストレス負荷時の 心循環器系機能に影響を与えるかどうかを 検討する。

45

カラーワードテストについて

カラーワードテストは、正式には Stroop color word conflict test と 呼ばれている。 1935Stroop が認知機能評価に開発したものを、

我々( Watanabe et al. 2003 )が改良を加えて精神ストレスとして 使っている。

視覚情報の背景色を判断することを目的にするが、誤情報として 同時に文字情報と聴覚情報を与えることでヒトの脳に葛藤(精神 ストレス)を生じさせることを利用した検査法である。渡辺らは

短時間に多量のストレス情報を与えて行った。本来は認知機能の 障害検査に使われるが、ストレス徴候の研究にも使用される。

46

精神ストレス研究としてのカラーワードテスト

STEP 1

あか あお きいろ みどり あか きいろ あお きいろ あか みどり きいろ あお

STEP 2

● ● ● ● ● ●

● ● ● ● ● ●

47

STEP 3

できるだけ速くインキの色を命名してください

みどり あか きいろ あお きいろ

あか あお みどり あか みどり あお あか きいろ あか みどり きいろ あお

精神ストレス研究としてのカラーワードテスト

今回実験に使用したコンピュータ化したカラーワードテストは 文字ではなく背景色を答える形式で、4分で200問にした。

さらに同時に聴覚からの誤情報も加えている。

当薬理学教室で使用しているカラーワードテスト

48

1

49

2

50

3

51

4

52

6

53

7

54

8

55

9

56

10

57

実験方法

ヒトに対する臨床治験として行った。

対象者

20-31

歳の健康正常人

48

人(男子

39

人、女子

9

人)

投与薬剤 プラセボ群 ビオフェルミン

R

一錠 ジアゼパム群 ジアゼパム

2 mg

一錠

脈拍測定 橈骨動脈で脈拍数を被験者自らが測定 血圧測定 シチズン電子血圧計で被験者自らが測定

一時間半の安静後、ヒトに抗不安薬としてジアゼパムを投与し、

その後精神ストレス負荷(カラーワードテスト)を行い、ストレス徴候(脈拍数 増加と最大血圧、最小血圧の増大)に対するジアゼパムの効果を検討した。

投与量は通常投与量の

1

回分の

2 mg

を投与した。

カラーワードテストはコンピューター化したものを使用し、

4

分間で

200

問と した。

58

0

時間

1

時間

3

時間

実験プロトコール

55 60 65 70 75

-1 0 1 2 3

Be at s/m in

Time after administration (hour)

Pulse rate after administration

Placebo Diazepam

結果 1 ストレス負荷前(安静時)の脈拍数の変化

60

100 105 110 115 120

-1 0 1 2 3

BP (mmHg)

Time after administration (hour) Systolic blood pressure after administration

Placebo Diazepam

60 65 70 75 80

-1 0 1 2 3

BP (mmHg)

Time after administration (hour)

Diastolic blood pressure after administration

Placebo Diazepam

結果 2 ストレス負荷前(安静時)の血圧変化

61

0 1 2 3 4 5

Placebo Diazepam

⊿ B eat /m in

Increase in pulse rate by CWT one hour after

*

結果 3 投与 1 時間後の精神ストレス負荷時に おける脈拍数の変化

62

0 2 4 6 8 10 12

Placebo Diazepam

BP (mmHg)

Increase in systolic blood pressure by CWT

*

0 1 2 3 4 5 6 7

Placebo Diazepam

BP (mmHg)

Increase in diastolic blood pressure by CWT

結果 4 投与 1 時間後の精神ストレス負荷時に おける血圧の変化

63

0 1 2 3 4 5 6 7 8

Placebo Diazepam

⊿ Beat/min

Increase in pulse rate by CWT

結果 5 投与 3 時間後の精神ストレス負荷時に おける脈拍数の変化

* p < 0.05 vs placebo, Student’s t-test

64

0 2 4 6

Placebo Diazepam

⊿mmHg

Increase in diastolic blood pressure by CWT

0 2 4 6 8 10

Placebo Diazepam

⊿mmHg

Increase in systolic blood pressure by CWT

結果 6 投与 3 時間後の精神ストレス負荷時に おける血圧の変化

*

p < 0.05 vs placebo, student’s t-test

65

結果と考察

1.抗不安薬ジアゼパムは、安静時に心循環器系の働きに影響しなかった。

2.精神ストレス(カラーワードテスト)により、脈拍数、血圧が上昇した。

3.抗不安薬ジアゼパムは、精神ストレスによる脈拍数の増加、最小血圧上昇を 抑制した。

4.以前に使用したタンドスピロン

(

セロトニン

5-HT

1A受容体作動薬

)

は、迷走 神経中枢に作用し、脈拍数の増加を抑制するが、 ジアゼパム (

GABA

A 受容体作動薬)は迷走神経中枢に加え血管運動交感神経中枢にも作用し 脈拍数増加抑制と最小血圧増加抑制があると考えられる。

本研究では、タンドスピロン同様、抗不安薬ジアゼパムも安静時 心循環器系に影響がなく、ストレス徴候に対して有効であることが わかった。このことは、ストレス疾患に対する抗不安薬の薬理作用 及び薬物治療に対して興味ある知見を与えている。

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ドキュメント内 抗不安薬について (ページ 34-67)

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