『釋 摩訶 衍論 亅と 『大宗 地玄文本 論亅に於い て共通する記述 を め ぐっ て
序
文
『釋
摩
一訶
衍
論
』と
『大
宗
地
玄
文
本
論
』に
於
い
て
共
通
す
る
記
述
を
め
ぐ
って
也愚
藤
純
一
郎
『 釋摩
訶
衍
論
』 ( 以 下 『 釋 論 』 ) と 『 大宗
地 玄 文 本 論 』 ( 以 下 『 玄 論 』 ) の 奇 妙 な 関 係 、 つ まり
『 釋 論 』 中 に 『玄
論
』 か ら の 引 用 と し て 示 さ れ る 一 文 が 現行
の 『 玄 論 』 のう
ち に見
い だ さ れ な い と い う事
実 を考
察 す る に当
た っ て は 、 そ の 基 礎 作業
と し て 最 初 に 『釋
論 』 と 現 行 の 『 玄論
』 の 両 者自
身
が 如 何 に 関 連 し て い る の か を 調査
す る 必 要 が有
る 。 そ れ を受
け て 既 に こ れ ま で 、 両論
に 於 け る馬
鳴
像
の 共 通 性 に 関 す る考
察
を 通 し て そ の 不 可 離 な 関 係 に つ い て は確
認 し た ( − ) 。 し か し こ れ は あ く ま で 関係
の存
否 と い う こ と に 終 始 し て おり
、 「如
何
に 関 連 し て い る の か 」 と いう
範
囲 に 及 ぶ も の で は な か っ た 。 そ こ で 今 回 は 、 両 論 に共
通 す る 思 想 的 記 述 内容
に踏
み 込 み、 「 如 何 に 共 通 し て 、 な お か つ 相 違 す る の か 」 と考
察
す る こ と に よ り 、 「如
何 に 関 連 し て い る の か 」 と い う 問 題 に対
す る 一 つ の解
答
を 試 み よう
と 思 う の であ
る 。森
田 龍僊
氏も
既
に 『 釋 摩 訶衍
論 之研
究 』 に於
て 両 論 の共
通性
に 関 し て 、 「 玄文
論 の 内 容 が論
と 最 も 親 し く 共 通 す る 一241
一NII-Electronic Library Service 智山学 報第四十七 輯
點
に 對 し て は 、 私 に 案 ず る に 、 ( 一 )大
海
部 藏 道 路大
決 擇 分第
七 、 及 深 里 出 興 地 藏大
龍 王大
決
擇
分第
八 に お け る 生 滅 門 の 思 想 と 、( 二 ) 一 種 金
剛
道 路大
決擇
分 第 三 に お け る 金剛
五 位 中 の第
二 総 持位
及 び 、第
四倶
非 位 の 眞如
門 思 想 と 、 ( 三 ) 大 不 可 思議
重 々 不 可 稱 量 阿 説 本 王 大 決 擇 分第
三 十 六 に 於 け る 性 徳 圓滿
海 の 思 想 と 、( 四 ) 正
宗
分 に貫
通 す る 五 十 一 位 の 思 想 と 、( 五 )
現
示 本 因 決 定 證 成 除 疑 生 信大
決 擇 分 第 三 十 九 に お け る 釋 迦 馬鳴
本
願
繋
屬 の 因 縁 こ れ で あ る 」 ( , ) と し て 、 五 つ の 共 通 点 を掲
示
し て い る 。 し か し森
田 氏 は そ の 五 つ の 項 目 の 何 れ に つ い ても
、簡
明 に 共 通 す る 文 章 に 関 し て 触 れ る に と ど ま り 、 そ の 極 め て 相似
す る文
章 の背
後 に 潜 む も の に つ い て は 十 分 に解
明 さ れ て い な い と 言 わ ね ば な ら な い 。 こ こ で は 両 論 に 於 け る 共 通 す る 記 述 と し て 上 転 ・ 下 転 、 及 び 龍 王 海水
の喩
の 二 つ に 関 し て 取 り 扱 う が 、 そ の 一 方 の龍
王 海水
の喩
つ い て は 、 上 に 示 し た 引 用 文 の ( 二 ) に て既
に 指摘
さ れ て い る も の の 、 こ の譬
喩 は 両 論 共 に 法 體 に 関 係 す る 箇所
に 特 に 関 っ て お り 、 な れ ば 、 そ こ で構
築 さ れ る 思想
内 容 を 吟味
す る こ と に よ っ て こ そ 、 そ の 記 述 の 共 通 性 の持
つ 意味
が 初 め て 闡 明 に な る の で は な か ろう
か と 考 え る の で あ る 。 一242
一N工工一Electronlc Llbrary Servlce
一
上
転
と
下
転
0
『 釋 論 』 に 於 け る 上 転 と 下 転 『 釋 論 』 に 於 て 上 転 と 下 転 が 両者
相 対 の 関 係 の元
で 述 べ ら れ て い る処
は 二箇
所 あ る 。梨
耶 識 門 〔 3 ) と 巻 第 三 の 廣説
随
染 本 覺決
擇 分 の 本有
性 智 清 淨 門 〔 、 ) であ
る 。 先 ず 最 初 に前
者 の 場 合 より
見
て み る こ と に し よう
。 そ こ に 於 て は 、 端 的 に 以 下 の よ う な 偈頌
に よ っ て 上 下 二転
の 概要
を 説 明 し て い る 。 そ の 二 箇 所 と は 、巻
第
二 の 阿『釋 摩訶衍 論亅 と 「大宗地 玄文 本論」に於い て共 通 す る記述 を め ぐっ て 諸 染 法
有
力諸 浄 法
無
力
背 本 下 下
転
名
為
下 転 門 諸 浄法
有
力諸 染 法
無
力
向
原 上 上転
名
為
上 転 門 つ ま り 染法
と浄
法 と に各
々有
力 ・ 無 力 と いう
関
係
が有
り 、 一 方 が有
力 で あ る 時 は 必 ず やも
う
一 方 が 無 力 で あ る こ と で 、影
響力
の主
導
権 が 移行
す る こ と に よ り 下 転 門 と 上転
門 が 成 立 す る と いう
の で あ る 。 こ の よ う な 両 者 の 力 学 関 係 は 、 『 釋 論 』 に於
て 如 何 な る意
味
を 発 揮 す る の で あ ろう
か 。 こ の 上転
と 下転
は 『 大 乘起
信
論 』 ( 以 下 『 起信
論 』 ) の 「 不 生 不 滅 與 生 滅 和 合 」 ( 且 な る 一文
の 解釈
を 巡 っ て 用 い ら れ て い る 。 『 釋 論 』 で は 「 不 生不
滅 」 を 一法
界
心 と 真 如 無為
・本
覚
無 為 ・ 始 覚無
為 . 虚空
無 為 か ら な る 四 種無
為
法
、 「 生滅
」 を根
本
無 明有
為
・ 生 相有
為
・ 住 相有
為 ・異
相
有 為 ・滅
相 有 為 か ら な る 五 種有
為
法 と 規 定 し 、 そ の 両 者 の 間 の 熏 習 関 係 を認
め て お り 、 上掲
の 偈文
が直
接 「不
生 不 滅 與 生 滅和
合 」 の解
釈 に 関 わ っ て い る の で あ れ ば 、染
法11
有 為法
11
生 滅 と浄
法
11
無為
法
肪 不 生 不 滅 と い う 図式
が導
き だ さ れ る こ と に な る 。 ま た 『 釋論
」 で は 「 謂 五 有爲
法 。 能 熏 四 種 無 爲法
及
一法
界 心 。 所熏
五 法 随 來 。 而 與 五 能熏
共 會 和合
同 時倶
轉 。 」 ( 弖 と 言 い 、 「 不 生 不 滅 與 生 滅 和合
」 や 「 生 滅 與 不 生 不滅
和
合 」 と言
う
場
合 の 「A
與B
和 合 」 は 「所
熏
のA
が 能熏
のB
と和
合 す る 」 と 理 解 し て お れ ば 、 有為
法
が 有 力 、 無為
法
が 無力
で あ る 時 の 上 転 門 は 「 不 生 不 滅 與 生 滅和
合 」 と 記 述 さ れ、 そ の 逆 に 有 為法
が 無力
、 無 為法
が有
力 で あ る時
の 下 転 門 は 「 生 滅 與 不 生 不 滅 和 合 」 と 描 写 さ れ る こ と に な る わ け で あ る 。 『起
信
論
』 に 後者
の 「 生 滅 與 不 生 不 滅 和合
」 に つ い て は 示 さ れ な い と いう
点
に 関 し て 、 『 釋 論 』 で は 「若
欲 成 立 上 轉 門 者 。 可言
生 滅與
不 生 不滅
和 合 。 以 此義
故
玄 理論
中 則存
斯
詞 。馬
鳴 菩 薩 本安
世 耶 。 此 來 次第
分 明顯
了
。 」 〔 , ) と 述 べ て 、 そ の 重 要 性 を力
説 し て い る の で は あ る が 、確
か に そ こ で は 四 種無
為
・ 五種
有
為 と い う 独自
の 解釈
、 ま た そ れ に 加 え て両
者
の 熏 習 に 関 し て 通 依 ・ 別 依 や 通 用 ・ 別 用 な る新
た な 概念
を 用 い る 等 、 従 来 の解
釈 よ り も 一 層 複 雑 な 独自
の 構 造 を構
築
し て 『 起 信 論 』 本文
の 「 不 生 不滅
與 生 滅和
合 」 を説
明 し よう
と す る態
度
が 認 め ら れ る 。 し か し 、 『 大 一 243 一NII-Electronic Library Service 智山学報第四十七輯
乘
起 信論
義
記 』 ( 以 下 『 義 記 』 ) で 「 此 是 不 生滅
心 與 生 滅 合 。 以 是 随 縁 門 故 。非
是 生 滅 與 不 生 滅合
。 以 此非
是向
本
眞如
門故
。 」 ( 8 } と 言 っ て い る よ う に 、 『 釋論
』 の 上 転 ・ 下 転 の 基 本角
な ア イ デ ア に つ い て は既
に 示 さ れ て お り 、 そ れ は 『義
記 』 に親
し く 、従
来 の 『 起 信論
』 解釈
を 大 き く 踏 み 越 え る も の で あ る と は 言 え な い の で あ る 。 目 を転
じ て 後 者 の 場 合 を 見 て み よ う 。 そ こ で は次
の よう
に 述 べ て い る 。 何故
始 覺 背 凡 向 聖 。 上 上 去 去 爲次
第
轉 。 随 染 本 覺 背 聖向
凡 。 下 下 來 來爲
次第
轉 。 以 法 爾故
。 如 是 二轉
當 一 時 耶 。 當前
後
耶 。 決定
一 時 即 無前
後 。 こ こ で は 上 転 す る 場 合 を始
覚
と し 、 下 転 す る 場合
を 随 染本
覚 と し て い る 。 こ の 際 新 た に 、 そ れ ぞ れ 上 下 二 転 が 始覚
.随
染 本覚
で あ る こ と を 明 か さ れ る こ と に な る が 、 上 転す
れ ば 本源
に向
か い 、 下転
す れ ば 本源
に背
く と す る の で あ れ ば 、 前 者 の場
合 に 示 し た よ う な 本覚
と無
明 の 熏 習 関 係 が 想定
さ れ て い る わ け で あ り 、 基 本的
に前
者 の 立 場 が継
承 さ れ る 。 し か し な が ら 、 前 者 の 場 合 に は無
明 に 熏 習 を受
け て い る 随 染 本 覚 を 無 明 の 側 よ り 記述
し て い る の で あ る が 、 こ こ で は そ の本
覚 の 側 面 ( 能 随 本 覺體
性 ) よ り 描 写 し て い る の で あ り 、 上 転 ・ 下 転 を 描 写す
る際
の 視点
の 差 異 が 確 認 さ れ る 。 以 上 に て 『釋
論
』 に 於 け る 上 転 ・ 下 転 に 関 し て 見 て き た が 、後
者 に於
け る 上 転 ・ 下 転 も 前者
の そ れ を 敷 延 し て い る にす
ぎ な い と 見 る こ と が で き 、 ま た後
者 に て 初 め て 示 さ れ る 上転
・ 下 転 の 「 決 定 一 時 即 無 前 後 」 と い う こ と に 関 し て も 、 あ る 心 の 在 り方
を 二 つ の 方向
、 つ ま り 理 想 の 状態
で あ る悟
り に 向 か っ て 現実
の 状 態 を脱
却
し て ゆ く 過 程 で あ る 上 転 と、 ま た そ れ を 本覚
か ら の展
開 と し て み る 下 転 と に より
位 置 付 け る こ と が 同 時 に 可 能 で あ り 、 こ の 限 り で は 上 下 二 転 の 両 者 は表
裏 を な す も の で あ る と 了 解 す れ ば 、 以 上総
じ て 『 釋 論 』 に 独 自 な概
念 で あ り な が ら、 同 時 に 少 な く と も 『起
信論
』 に 極 め て従
属
的 で あ る と 判 じ る こ と が で き る の で あ る 。 一 244 一 N工工一Electronlc Llbrary『釋摩訶 衍論 亅と 「大 宗地 玄文本論 』に於い て共通する記 述を めぐっ て
○
『 玄 論 』 に於
け る 上転
・ 下 転 『 玄論
』 に 於 て 上轉
と 下轉
の 用 語 が 用 い ら れ る箇
所 は 、 大 正 蔵巻
三 二 の 六 七 五 頁 上 段 す ) 及 び 下 段 ( . 〕 、 六 七 七 頁 下段
( 冂 〉 、 六 八 三 頁 中 段 ( E ∀及
び 下 段 ( B ) 、 六 八 四頁
( 回 〕 、 六 八 七 頁 中 段 ( 晒 )等
で あ る ( 而 ) 。 そ の中
で も 上 転 ・ 下転
自体
に関
し て 言 及 し て い る箇
所
は 巻 第 四 大 海 部 藏道
路 大決
擇
分 第 七^ 旦 に於
て の み で あ り 、 そ の 他 の 箇 所 に 於 て は 『 玄論
』 の あ る 場 面 に 上 下 二転
の 組 み 込 み が な さ れ る の み で あ る 。大
海
部 藏 道 路大
決 擇 分第
七 で は 上 転 と 下 転 に 関 し て 「 初 信 心 以 爲其
始
。 後 柵 陀 地 以 爲 其 終 。次
第
漸 轉 。 是 故 建 立趣
高
上 上 轉 去位
。 後 楞 陀 地 以爲
其 始 。 第 一 信 心 以 爲 其終
。 次 第 漸 轉 。 是故
建
立向
焉
下 下 轉去
位 。 」 〔 ワ ) と 言 い 、 そ れ ぞ れ の 展 開 の 方向
に つ い て 明 か さ れ る が 、 そ れ に 関 す る か ぎ り は 上 記 の 『 釋 論 』 の 場合
と 同様
で あ る と 言 っ て よ い 。 以 上 の よ う な展
開 を な す 上 下 二 転 は 如 何 な る 意 義 を有
す る の であ
る か に つ い て は 、 そ の 組 み 込 み が な さ れ て い る各
箇 所 に於
て看
取す
る こ と が で き よう
。 し か し な が ら 、 『 玄論
』 は 五 十 一 種 金 剛位
を 基軸
に 論 を 展 開す
る の で あ る が 、 そ の 五 十 一 種 金剛
位 に つ い て 言 及 す る 各 場 面 が如
何 に他
と 関 連 し 、如
何
な る 意義
の 元 で 建 立 さ れ て い る の か 極 め て 不 明 瞭 で あ り 、 そ も そ も 論 全 体 が 統 一 的 な 理 解 に堪
え う る も の で あ る か今
以 て 甚 だ 疑 問 で あ る 。 そ の 場合
、 た と え 同様
の 記 述 が存
し た と し て も 、 そ れ を 統 合 し て 理解
す る こ と は 必ず
し も妥
当 で は な い 。 そ れ 故 に 、 上 下 二転
が 上 下 と 言 わ れ る 所 以 で あ る 「 互 い に 正 反 対 の 方向
に 展 開 す る 」 と い う 基 本 的 な 部 分 に 関 し て は 、 論 全 体 を 通 じ て 共 通 す る と考
え る に し て も 、各
場 面 が 明 確 に 定義
さ れ て い な い か ぎ り 、 そ の各
所 に 散在
す る 断 片 的 な 記 述 に 関 し て は 個 々 に先
ず 理 解 す べき
で は な か ろ う か ( 陷 } 。1
裂 回 陀 尸
梵
迦 諾 道 路 大 決擇
分
第 十 九 の 場 合 こ こ で は 「爲
欲 現 示 貍 回 道 路 中 。 唯 以 七變
對
爲 其 界 量 。 無 餘相
故 【中
略 】 現變
相 者 五 十 一 種 金 剛 位 中 。 向 上 上 轉245
一NII-Electronic Library Service 智 山学 報第四十 七輯 向 下 下 轉 具 足 七 變 。 増 長
功
徳 増 長 過 患廣
大轉
故 。 」 と 言う
が 、 そ の 「 七 變 」 な る も の と 上 転 ・ 下 転 の 関 連 の み が 示 さ れ る 。 そ の 「 七 變 」 に は 三 種 類 あ り 、 そ れ は 「功
徳 七變
」 ・ 「 過 患 七 變 」 ・ 「等
量 七變
」 で あ る が 、 そ れ ぞ れ と 上 転 ・ 下 転 と の 関 連 は 以 下 の 通 り で あ る 。「 過 患 七
變
」 の 場 合 第 一 変 の際
・ 上 転 の時
に は 、 そ れ ぞ れ の 位 に 於 て各
々 百 数 の 煩 悩品
類 を 増 し て 、 一 つ の 浄法
を 障 害 す る 。 ・ 下 転 の時
に は 、 そ れ ぞ れ の 位 に 於 て各
々 千 数 の 煩 悩品
類 を 増 し て 、 二 つ の 浄法
を 障 害 す る 。 ・ 第 二 変 以降
の 六 変 に 於 け る 功 徳 と 過患
は 、 そ の 順 番 通 り に倍
に し た 数 を 増 し て い く 。「 功 徳 七 變 」 の 場 合 第 一 変 の 際 ・ 上 転 の 時 に は 、 そ れ ぞ れ の 位 に 於 て
各
々 一 億 数 の 功徳
品 類 を 増 し て 、漸
々 に 転 じ る 。 ・ 下 転 の 時 に は 、 そ れ ぞ れ の 位 に 於 て各
々 二 億 数 の 功徳
品 類 を 増 し て 、 漸 々 に 転 じ る 。 ・第
二 変 以降
の 六 変 に 於 い て は 、 そ の 順番
通 り に倍
に し た 数 を 増 し て い く 。「
等
量 七 變 」 の 場 合第
一 変 の 際 ・ 上 転 の 時 に は 、 そ れ ぞ れ の 位 に 於 て各
々 一 千 ( の 功徳
と 過 患 の 両 方 ) を 増 し て 、 漸 々 に 転 じ る 。 ・ 下 転 の 時 に は 、 二 万 ( の 功 徳 と 過患
の 両 方 ) を増
し て 、 漸 々 に転
じ る 。 ・第
二 変 以降
残
り の 六 変 に つ い て は 、 そ の 順 番 通 り に 倍 に し た数
を 増 し て 転 じ る 。 一246
一 N工工一Electronlc Llbraryr
釋摩訶衍論』と 『大宗地 玄文本論亅に於いて共通 する記述 を め ぐっ て2
翻 回 陀 尸
梵
迦 諾本
王本
地 大 決 擇 分 第 二 十 の 場 合 こ こ で は 「 就 此本
王 體 中 。 則有
三 種 百 變 修行
。 名 及次
第
如 前 所 説 。 」 と言
う が、 そ の 三種
百
変
修行
と 上 転 ・ 下転
の関
連 に つ い て は 以 下 の 通 り で あ る 。 ・ 過 患 百 変 門 中 に は 上転
と 下 転 が あ り 、第
一 変 の う ち に 十 億 数 を 増 し 、次
第 に漸
転 し て い く 。 ・ 功 徳 百 変 門 中 に は 上転
と 下 転 が あ り 、第
一 変 の う ち に 千 億 数 を 増 し 、 次 第 に漸
転 し て い く 。 ・等
量 百 変 門 中 に は 上転
と 下 転 が あ り 、第
一 変 の う ち に 百 億 数 を 増 し 、 次 第 に漸
転 し て い く 。 ・残
り の 九 十 九 変 に つ い て は 、 そ の 順番
通 り に倍
に し た 数 を 増 し て 、 転 じ て いく
。3
竸 尸 梵 諾
本
王道
路
大
決
擇
分 第 二 十 一 こ こ で は 「 就 聶 尸 梵 諾 本 王道
路 分 中 。 則 有 三 種 千變
修
行
。 其 名 次第
同前
所 説 。 」 と 言 う が 、 そ の 三種
千 変修
行
と 上卸
転
・ 下 転 の 関 連 に つ い て は 以 下 の 通 り で あ る 。 ・ こ れ ら の 三 種 類 の 第 一変
に 於 て そ れ ぞ れ 順番
通 り に 百 億 ・ 千 億 ・ 萬 億 の 数 を増
や し て 上 下 共 に等
し く ( 上 転 も 下 転も
共 に 等 し く 同 じ 数 を 増 や し つ つ ) 次第
に 転 じ て い く 。 ・ そ れ ぞ れ の残
り の 諸 々 の位
に つ い て は 、 (各
々 の種
類 に お い て ) そ の 順番
通 り に 倍 に し た 数 を 増 や し て転
じ て い く 。4
繋
縛
地 地自
然 本 王摩
訶
縞
品 大 決擇
分第
二 十 八 こ こ で は 「 就自
然
本 王摩
訶
縞
品 分 中 。則
有 二 轉 。 云 何 爲 二 。 一者
有
爲轉
。 二者
無 爲 轉 。 是名
爲
二 。 【 中略
】 亦有
二轉
。 云 何爲
二 。 一者
上 轉 。 二者
下 轉 。 是 名 爲 二 。 」 と 言 っ て お り 、 上 転 の 際 に 関 し て は コ 一 位位
無
爲 法 主 。 皆 悉 各NII-Electronic Library Service 智 山学 報第四十七 輯
各
出 生 増長
一萬
本 始清
妙 覺 慧 」 と 言 い 、 下転
の 際 に関
し て は コ 長 」 と 言 っ て い る 。 一 位 位 皆悉
各
各 二 億本
始 清妙
覺 慧 具足
圓
満 出 生 増 以 上 、 『 玄 論 』 に 上転
・ 下 転 が 如 何 に 組 み込
ま れ て い る か を 概 観 し た わ け で あ る が 、例
え ば2
と3
に挙
げ た 部 分 に 関 し て は 、3
が2
に 示 さ れ る各
項 目 を そ れ ぞ れ十
倍 し た に 過 ぎ な い等
々 、 他 の 場 面 (決
擇 分 ) と の 思想
的 内 容 的 関 連 性 が 示 さ れ な い か ぎ り 、 本 文 で 述 べ ら れ て い る 以 上 の 内 容 に つ い て は 看取
さ れ え な い の で あ る 。 い ず れ に せ よ、 『 玄 論 』 の 文 脈 に組
み 込 ま れ た際
の 上 下 二転
の意
味
は 、 そ こ に 『起
信
論 』 の 思想
の 断 片 を 見 い だす
こ と が で き ず 、 『 釋 論 』 の そ れ と 大 き く異
な る と結
論付
け ね ば な ら な い 。 二龍
王
海
水
の
喩
一248
一N工工一Electronlc Llbrary Servlce
0
『 釋論
』 に 於 け る 龍 王 海 水 の喩
『 釋 論 』 に於
け る 龍 王 の 譬喩
は 『 起 信 論 』 で 示 さ れ る 海 水 の 譬喩
に 伴 っ て 登 場 す る 。 こ こ で直
接 こ の龍
王 の 譬喩
に 関 し て 見 る前
に 、 先ず
『 釋 論 』 が龍
王 の 譬喩
に 至 る ま で の 海水
の 比喩
に 対す
る 解 釈 を 見 て み よ う と 思 う 。 『 釋 論 』 の海
水
の 譬 喩 に 対 す る 解釈
は 『義
記
』 に 於 け る そ れ を ほ ぼ 確 実 に踏
襲
し て い る 。 両者
を 並 列 し て 見 て み る と 以 下 の通
り で あ る 。 「 大 海 」 「 水 」 「 風 」 「 波動
」 に 関 す る 解釈
『 釋 論 』大 海
者
喩
阿 梨 耶 識 。 比 識有
二種
義
。廣
大
圓 滿 如 大 海故
。 水者
喩
本
覺 心 自 性清
淨
心 顯 了 明 白 。 如淨
水『釋摩訶 衍論亅 と 「大 宗 地玄文本論』に於いて共通 する記 述 をめ ぐっ て 『 義 記 』
故
。 風 者 喩 根 本無
明 。 根 本 不覺
能
起 動 轉慮
知 之 識 。 如 彼 風 故 。 波 動者
喩 諸 戯 論 識 。 如 是 諸 識 遷動
流轉
。 往 來 無 常如
海 波故
。 冖 . ) 以 四句
辨 之 。 一 以 如 來 藏 唯 不 生 滅 。如
水
濕 性 。 二 七 識 唯 生 滅 。如
水 波浪
。 三 梨 耶 識 亦 生 滅 亦 不 生減
。 如 海含
動
靜
。 四 無 明 倒執
非 生 滅非
不 生 滅 。 如 起浪
猛 風 非水
非
浪
。 羣 「 水 相 風 相 不 相 捨 離 」 に対
す
る 解釈
『 釋 論 』水
相
風相
不 相 捨離
者
。 喩眞
妄相
資
倶
行
合轉
。 謂 本覺
心 不自
起 故 。當
資 無 明 之 力 方得
而起
。 根 本 無 明 不自
轉故
。 要 因眞
心 之 力 。方
得
而 轉 如水
不 自 作 波 浪故
。當
因 風 之力
方 得 作 波 。 風 不 自 現動
相
故 。 要資
彼
水
方 得 而 現 動 轉相
故 。 〔 . 〕 『義
記 』次
水
風 不 相 離 者 。 眞妄
相 依 喩 。羣
「 而水
非
動
相 」 に 対 す る解
釈
『 釋 論 』而
水
非 動 性 者 。喩
本 覺 心 離 有爲
相
。謂
本
覺 眞 心 從 本 已 來 。 遠 離 動念
解
脱 結 縛 。 體 性清
淨
相 用自
在
。 而 不守
自
性
故 。 随無
明
之 縁 作 種種
相
。 如 水 非動
性 而 不守
自 性故
。 随 風 之縁
作 種 種 波故
。産
『 義 記 』水
非 動 性者
。眞
體 不變
喩 。 此 顯非
自 性 動 但 随他
動 也 。 冖 、 一 「若
風 止 滅 動 相則
滅
濕
性 不壊
故
」 に 対 す る解
釈
『 釋 論 』若
風
止 減 動 相 則 滅者
。喩
根
本無
明滅
戯
論 諸 識皆
滅
無
餘
。 本 覺斷
障 先對
治
根 本 無 明 。 後 對 治慮
知
撃
縁之
諸
識 故 。 濕性
不 壊 者 。喩
本 覺 之智
離 断 滅 法故
。 謂 無 明滅
諸 識 皆 盡 。 本 覺 眞 心無
有 壊 滅 。如
彼
風
滅 一249
一NII-Electronic Library Service 智 山学報 第四十七 輯 『 義 記 』
諸
波
皆
息
而清
白 終 不 壊 滅故
。 〔 卩 ) 若 風 止 滅 下息
妄
顯
眞喩
。 此 明若
自 性 動 者 。 也 Q篳
動
相 滅 時 濕性
随 滅 。 而 但随
他動
故
。動
相 滅 時 濕 性 不壞
「水
相 風 相 不 相 捨 離 」 に 対 す る 『義
記
』 の 解釈
に つ い て は 当該
の 箇 所 に て 十 分 に 闡 明 さ れ て お ら ず 、 『 釋 論 』 の 解釈
と の 正確
な 比 較 が 不 可 能 で あ る よう
に も 思 わ れ る が 、他
の 箇 所 に て 「 此 中水
之動
是 風 相 。動
之 濕 是 水 相 。 以 水 墨 體 動 故 。水
不 離於
風 相 。 無 動 而 非 濕 。 故 動 不 離於
水
相 。 心亦
如 是 。 不 生 滅 心擧
體動
故
。 心 不 離 生 滅相
。 生 滅 之 相 莫 非眞
故 。 生滅
不 離 於 心相
。 」 〔 四 ) と 述 べ て お り、 両 者 と も に 同様
の 解 釈 を施
し て い る こ と が確
認 でき
る 。 な れ ば 、 『 起 信 論 』 の 「如
大 海 水因
風
波 動水
相 風 相 不 相 捨 離而
水
非 動 性若
風 止 滅 動 相 則滅
濕 性 不 壊故
」 ( 、。 ) と いう
一 文 に対
す る 随文
釈 の 箇 所 に 関 し て は 、 『 釋 論 』 『 義 記 』 の 両 者 は 例 外 なく
そ の 解 釈 を 内 容 的 に 一致
さ せ て い る と言
え る 。 し か し 『義
記
』 が 以 上 の 解 釈 で 海水
の 譬喩
に対
す る 言 及 を終
え て い る の に 対 し て 、 『 釋 論 』 は 更 に続
け て 「 大 海 の 風 と水
は 何 か ら 生 じ る の で あ ろ う か 。 」 と いう
質
問 を 起 こ し 、龍
王 の 譬喩
を 展 開 さ せ る に 至 る の で あ る 。 そ の龍
王 の 譬 喩 と は 以 下 の 通 り で あ る 。 大 海 風水
從
誰
而
生 。 謂 從 龍 王 生 故 。各
從 何 處 而 生 。 所 謂 若 水從
其 頭 頂 而 出 。若
風
從其
尾 末而
出 。何
故 海 水 爲 風所
動
。作
種種
波
不 断 絶 耶 。 謂 由 二事
故 。 云 何 爲 二 。 一 者優
同 類大
種
故 。 二 者 由法
爾
故
。 此義
云何
。 彼水
大
中 亦有
風大
。彼
風
大
中 亦有
水大
。 互 相 有 故 。而
共 和合
作
種 種波
。 常恒
相績
不 断 絶焉
。若
水
大
中 無 彼 風 大 。 風 當 不 能 令水
動
。若
風
大
中無
彼 水大
。水
當 不 能 随 風 轉 。何
以 故 。 以 四 大 種 倶 生倶
轉 不 相 離故
。 而 随 一 大 分 明 現 知 不了
餘 大 者 。 増 相 減 相 不 同 故 。復
次
從 無 始 來 由法
爾 故 。 無 明 本 覺 亦 復 如 是 。 大 龍 王者
喩 一 心法
。 風 者喩
無
明 住 地 。從
尾末
出 者 顯 示 此 法 下 劣形
相
。水
者
喩
本覺
眞 心 。 從 一250
一 N工工一Electronlc Llbrary「釋 摩訶 衍論』と 『大宗地玄文本 論』に於い て共通 する記述 をめ ぐっ て 頭 頂 出 者 顯
示
此法
勝
妙 形 相 。彼
水 大 中 亦 有 風 大 者 喩自
性
清 淨本
覺 心 中 有根
本
無
明 。 彼 風 大 中 亦有
水 大 者 喩根
本
無
明 藏 中 有本
覺
佛
性
。 此 論本
意 異 相 爲 初 同 相 爲 後 ( 乙 こ の 龍 王 の譬
喩 に 於 て は 、 頭 よ り 出 る水
を 本 覚真
心
、 尾 よ り 出 る 風 を無
明 住 地 と し て本
覚
と 無 明 が 異 相 で あ る こ と を示
し 、ま
た 本 覚 と無
明 の両
者 は 共 に 一 方 が もう
一方
を 互 い に 含 包 し て い る と し て 、本
覚 と 無 明 が 同 相 で あ る こ と を示
し て い る 。 そ の譬
喩
の モ チ ー フ は 他 の 『 起信
論
』 の注
釈
書
に 見 ら れ な い 極 め て 独 特 な も の で あ る に も か か わ ら ず 、 そ の譬
喩
の 言 わ ん と す る 所 は 、 無 明 と本
覚
の 間 に関
し て 『義
記 』 で 言 う 「 此 無 明 之 相 與彼
本 覺 之 性 非 一非
異 。 非異
故
非 可壞
。 非 一故
非
不 可 壊 。 若 依 非 異 非 可壊
義
。 説 無 明 即明
。故
涅槃
經 云 。 明 與無
明 其 性 不 二 。 不 二 之 性 即 是實
性
。若
就非
一非
不
可 壞 義 。 説無
明 滅 覺性
不
壊
。 」羣
に見
ら れ る よ う な 解 釈 か ら な ん ら 離 れ る も の で は な い の で あ る 。 こ の こ と か ら 『 釋論
』 の 龍 王 の 譬喩
は従
来 の 『 起 信 論 』 解釈
の 延 長線
上 に あ る と見
る こ と が で き 、 そ の 意味
で は 、 そ れ は 『 起信
論 』 オ リ ジ ナ ル の 海 水 の 譬喩
に対
し て付
加
的 で あ り 、従
属 す る も の で あ る と 言 え る の で あ る 。 ○ 『 玄論
』 に 於 け る龍
王 海水
の喩
『玄
論
』 に 於 け る海
水
・ 龍 王 の譬
喩
は、 ほ ぼ例
外
的 に 心 に 関 し て 言 及 し て い る 「 深 里 出 興 地藏
大 龍 王 大 決 擇 分 第 八 」 ( 32 〉 に於
て 用 い ら れ る 。 し か し な が ら 『 玄 論 』 独 自 の 用 語 の 定義
は 定 め が た く 、 そ の た め 必 ず し も 如 何 に彼
の 論 が 心構
造 を考
え て い た か は 明瞭
で は な く 、 こ こ で は専
ら 『 釋 論 』 側 か ら の 視 点 に よ り 、 そ の記
述 が 如 何 に 相 違 共 通 す る の か を見
て い く よ り他
に な い 。 こ こ で多
少
冗 長 に な る が 忠実
に 本 文 よ り 当該
箇所
を 引 用 す る と 、 以 下 の 通 り で あ る 。 次 當 説深
里 出 興 地藏
大
龍
王大
決擇
分 。 其相
云 何 。 偈 日 地藏
龍
王 中総
有
二種
義
所 謂 徳
藏
義并
及患
藏義
251NII-Electronic Library Service 智 山学 報 第四 十 七輯
論
日 。 就 深 里 出 興 地 藏 大 龍 王 體 中 。 則 有 二義
。 云 何 爲 二 。 一者
功
徳 本 藏義
。 二 者 過 患 本 藏 義 。 言 功 徳 本 藏義
者
。 此大
龍
王爲
四 非 空 根 本 藏故
。言
過
患 本 藏義
者 。 此 大 龍 王爲
四 無常
根
本
藏 故 。 如 偈 地 藏龍
王 中 総 有 二 種義
。 所 謂 徳藏
義
并
及
患 藏 義故
。 具 二 藏義
。 地藏
龍
王居
住 何 處 。 其 里 幾 量長
短
大
小 等 諸 形 相 。 當 如 何耶
。 偈 日 處庵
婆
尸尼
里 五 十 一 量
長 一 千
由
句
頭 有
婆
多
提 則 出 四種
水
尾 有
舎
伽 必則 出 四
種
風色 如 玻 璃 珠
論
日 。今
此 偈 中 爲 明 何 義 。爲
欲
現 示舉
事 現 理 開 演本
法大
海
故
。 此 大龍
王 居 於 何 處 。 謂 居 俺 婆 尸 尼 中 故 。 如偈
處俺
婆
尸 尼故
。 出 水 入 地 去 隔 幾 量 。 謂從
水
底向
地 下 入 。 五 十 一由
旬
之 量故
。 如 偈 里 五 十 一 量 故 。 彼 大龍
王 身 長 幾 量 。 一 千由
旬 無 増 減 故 。 如 偈長
一 千 由 旬故
。 彼 大 龍 王於
其
頭
上 。 有 清白
毫 名 日婆
多
提 。 從 此毫
端
出 四 種水
。 云 何 爲 四 。 一 者 中 空 水 。 共 出 水塵
。 空 以 爲 内 有 以 爲 外 。而
出 生 故 。 二 者方
等 水 。 其 出 水 塵 四角
量等
無
差 違 故 。 三 者 常 熟水
。 其 出 水 塵 。於
一 切 處於
一 切 時 。常
恒
煖 故 。 四 者 耀 明 水 。其
出水
塵 。 光 明 清 自 常 恒今
故 。 是名
爲 四 。 如 偈 頭 有 婆多
提
則
出 四 種水
故
。 亦彼
龍 王 於 其 尾末
。 有 一 毛蓁
名
日舎
伽 。 必從
此 毛末
。 出 四 種 風 。 云何
爲 四 。 一者
發
塵 風 。 此風
起 時 經 多 中 間 。 發起
無 量 無 邊 塵故
。 二 者 持 塵風
。 此 風 出時
。 止 住 諸塵
令
安 住故
。 三 者 變 珍 風 。 此 風 出時
經多
中 間 。 變 諸 金 玉 作 砂 石故
。 四 者 壊珍
風 。 比 風 出 時 經多
中 間 。 壊 減 金 玉 作無
有
故 。 是名
爲
四 。 如 偈 尾有
舎
伽
必 則 出 四種
風 故 。 彼龍
身
色譬
如 玻璃
無 有 定 色 。如
偈
色 如玻
璃
珠
故 。處
俺婆
尸 尼 者 。 喩 本 性 王 無 住 本 處 。 里 五 十 一 量者
。 喩 眞 金位
定
數 量 品 。長
一 千 由 旬 者 。 喩本
性 王 具千
種
徳 。頭
有
婆多
提
者
。喩
本 性 王 於諸
淨 品 有 作方
使
。 則 出 四 種水
者 。喩
四 非 空 。 尾 有舎
伽 必 者 。喩
本 性 王於
諸 染 品 有作
業
用 。 則 出 四種
風 者 。 喩 四無
常
色 。 如玻
璃
珠 者 。 喩 本 性 王 染淨
不 攝 。 如 其次
第應
審
思 擇 。 復 次 住處
大
海
水
底 相 去 中 間 。 喩 五 十 一種
金 剛 位 已 具 。 出 現 至 大 海 時 。喩
雜 顯 趣 。 息 海浪
時 喩起
盖 甲 心 時 。 常起
浪
一252
一 N工工一Electronlc Llbrary『釋摩訶 衍論」と 『大 宗地玄文本論 』に於い て共通 する記 述 をめ ぐっ て 時 喩 悪 心 興
時
。亦
復
住
心應
審
觀 察 。羣
『玄
論 』 に 於 け る 海水
・龍
王 の譬
喩 は、 『 釋 論 』 で示
さ れ る こ と の な い龍
王 の 姿 ・住
處 等 に関
し て も 述 べ て い る が 、 「 頭頂
より
水
を 出 し 、 尾 よ り 風 を 出 す と いう
」 モ チ ー フ に 於 て ほ ぼ 『 釋論
』 と 一致
す る 。 ま た 、 こ こ で は そ の龍
の 出 す と い う 水 と風
に よ り 譬喩
さ れ る 法 は そ れ ぞ れ 四非
空 と 四無
常 で あ る と し 、非
空 法 に つ い て は 功 徳 、 四 無 常 に つ い て は過
患 であ
る と規
定
し て い る が 、 『 釋 論 』 で は 本 覚 と無
明 住 地 の 関 係 を そ れ に あ て は め て 考 え て お り 、 必 ず し も 両 論 の譬
喩 の 指 し示
す所
の内
容
は 一 致 し て い な い 。 た だ し水
と 風 と が 正 反 対 の性
格 を 有す
る 二 項 の 対 立 と し て捉
え ら れ て い る点
に於
て 一致
し て い る と も 言 え よう
。 こ の よう
に 極 め て相
似 し た譬
喩 の モ チ ー フ を 両論
は 有 し な が ら も、 そ の譬
喩 の 背 景 と な る各
々 の 思想
内 容 に つ い て は 以 下 の 点 に 於 て 両 論 を完
全 に 隔 絶 せ し め る の で あ る 。 → 、 龍 王 所喩
の法
と 功徳
・ 過 患 と の 関係
に 於 て 相 違 す る 点 『 玄 論 』 で は 「 就 深 里 出 興 地 藏 大 龍 王 體 中 則有
二義
。 云 何 爲 二 。 一 者 功 徳 本藏
義
。 二者
過 患本
藏
義 。 」 ( 墅 と 言 い 、 ま た 「就
功
徳本
藏
之 體 中 則 有十
法
。能
攝 一 切無
量 功 徳 。 【 中略
】 就 過患
本 藏 之 體 中則
有 十 法 。能
攝 一 切 無 量 過 患 。 【 中 略 】其
本
藏 中如
是 道 理自
然
常 有 。 」 ( 鱒 ) と 言 い 、大
龍
王 に譬
喩
さ れ る本
性 王 は → 切 の 功 徳 及 び 過患
を本
よ り 摂 す る と さ れ る 。 「釋
論
』 の 「 爾時
文
殊
師
利白
佛 言 。 世 尊 阿梨
耶 識 具 一 切法
備
→ 切法
過 於恒
沙
過 於恒
沙 。 如 是 法 以誰
爲
本 生 於 何 處 。佛
言 。如
是有
爲
無 爲 一切
諸 法 生處
殊
勝
不 可 思議
。何
以故
。 於非
有 爲非
無 爲 處 是有
爲
法
是 無 爲 法 而 能 生 故 。 【 中 略 】 非有
爲 非無
爲 處者
所
謂即
是 一心
本 法 。非
有爲
故 能作
有
爲
。 非無
爲
故
能
作
無 爲 。 」 ( 刀 ) と いう
記 述 は 、龍
王 ( 一 心法
) が海
水 (無
為
) と 風 ( 有為
) を 生 じ る と い う モ チ ー フ と 合致
し て おり
、 そ の 記 述 と 龍 王 の譬
喩
は関
連 を有
す る も の で あ る と考
え ら れ る が 、 そ こ で は 一 心法
は あ く ま で も 一 切 法 の 生處
で あ り 、 そ れ を 具 備 す る の は 「大
海
」 に譬
喩 さ れ253
NII-Electronic Library Service 智 山学 報 第四 十 七輯 る
阿
梨
耶 識 で あ る と 峻 別 さ れ て い る 。 更 に 「爲
明 何義
故
建 立 異相
門 。 爲 欲 顯 示 唯 一 眞 如作
一 切 法 名 相各
別 義 用 不 同故
。 當 生 滅 門 。 」 〔 認 v と 言 い 、 = 者 所 依 総相
門 。 二 者 能依
別相
門 。 此 中有
二 重 住 思 應 觀 察 。 謂 生 滅 門 一 心 爲 依 。 生 滅 門 攝覺
義 不 覺義
。梨
耶爲
依故
。 」 { ” } と 言 い 、 生 滅 門 、 つ ま り真
如 門 に お い て 顕 示 さ れ る 唯 一 真 如 と し て の 一 心 が 一 切 法 な る多
様
態 に 展 開 し た 場 に 於 て 、 ま さ に そ の 中 で覚
不覚
は 阿 梨耶
識 に 依 拠 す る と い う 構 造 を有
す る と し て い る が 、 ま た 覚 不覚
に 関 し て 「 此 識有
二 種義
。能
攝
能 生 一 切 法 。 云 何爲
二 。 一者
覺義
。 二 者 不 覺義
者 。 而 総 顯示
本 識 殊 勝 圓 満 相 故 。 此義
云 何 。 所 謂 具 足 二 種 圓 満 。 云何
爲
二 。 一 者功
徳 圓 満 。 二者
過 患 圓満
。 功 徳 圓 満 者 覺 義字
句
能 攝 一 切 無 量無
邊
過於
恒 沙 不 離不
断 諸 功 徳故
。 過 患 圓満
者
不 覺 字句
能 攝 一 切 無量
無 邊 過於
恒沙
若 離 若脱
諸 過 患故
。 能 生 一 切無
量無
邊 過 於 恒 沙若
離若
脱 諸 過 患 故 。 」 〔 鱒ど
言 っ て い る が 故 に 、覚
不覚
が 阿 梨 耶識
に依
拠 す る と い う こ と は 、 功 徳 と 過 患 に つ い て も 阿 梨 耶 識 に 依 拠 す る と い う こ と に な る の で あ る 。 同時
に 「有
爲 無 爲 一 切 諸 法 通 以 一 心 而 爲 共 體 」 〔 . 〕 と 言 う の で あ れ ば 、 過 患 と 功徳
は 一 心 に 摂 せ ら れ る こ と に な る が 、 そ の 體 であ
る 一 心 の あ り 方 を 見 る か ぎ り、 こ の 場 合 は 「爲
明 何義
故 建 立 同 相 門 。爲
欲 顯 示 一 切 諸法
唯 一眞
如無
餘
法
故 。 當 眞 如 門 。 」 ( . 〕 と 言 う よ う に 、 過 患 ・功
徳 を 含 む 一 切 法 が 唯 皿 真 如 で あ る 一 心 に収
斂 さ れ る と いう
こ と に な る 。 つ ま り そ れ は 同 相 門 (真
如
門 ) の観
点 か ら 取 り扱
わ れ る べ き な の で あ り 、 ま た 「 無 明 本 覺 有 二 義 故 。 云何
爲
二 。 一 者 同 體 同 相義
。 二 者 異 體 異 相 義 。 言 同 義者
一 切 諸 法 皆 是 理 。 言 異 義者
一 切 諸法
功
徳 過 患各
差 別 故 。 」 〔 . ) と言
い 、 そ の 際 、 同 相 門 で あ る 限 り に 於 て は 『 玄 論 』 で 言 う様
に 過 患 な り 功 徳 な り の 性 質 を有
し つ つ 蔵 さ れ る と いう
こ と は な い の で あ る 。 要 約 す る と 、 一 心 法 を 様 々 な 次 元 に於
て多
様
な 相対
的 差 別 相 を有
す る 一 切 法 と し て 見 る場
合 ( 唯 一 真 如↓
一 切 諸 法 / 生滅
門 ) 、 そ の 一 切 法 と い う 地 平 上 で 功徳
・ 過 患 は 阿梨
耶 識 に 依 拠 す る と い う 構 造 を 有 す る わ け で あ る が 、 ま た 一 254一 N工工一Electronlc Llbrary「釋摩訶衍 論 亅と
r
大宗地玄文本論 亅に於い て共通 する記述 をめ ぐっ て そ の本
質
( 體 ) と し て の 一 心 を 見 れ ば ( 一 切諸
法 ↓ 唯 一 真 如 / 真如
門 ) 、 一 切 諸法
は 唯 一 真 如 であ
り
、 そ こ で は 一 切 諸 法各
別 の差
別 相 を有
さず
、 い ず れ の観
点 か ら 求 め て も 、 功徳
・過
患 は 一 心 に 蔵 さ れ る と いう
こ と は な い 。 但 し、 「次
説 假説
開 相 眞 如 門 。 此 中 有 二 門 。 云 何爲
二 。一
者
如實
空 眞如
門 。 二 者 如實
不 空 眞 如 門 。 如 實 空者
如如
體 中 過 於 恒 沙 一切
染
法
皆 悉 空 空 無 所有
故
。如
實
不 空 者 如如
體 中過
於恒
沙
一 切淨
法皆
悉 具 足 無 所 少故
。 」羣
等
と言
い 、 一 心 に 功徳
を 蔵す
る と いう
考
え 方 も 同 時 に 存 す る の で は あ る が 、 「於
無 過法
立 諸 過 患 断 除 障故
。於
無
徳
法
立 諸 功 徳 證得
理故
。 」 ( 循 ) と 言う
の であ
れ ば 、 そ れ は あ く ま でも
仮 説 にす
ぎ ず 、 原則
と し て は 以 上 の 通 り で あ る が故
に、 「玄
論
』 の龍
王所
喩
の法
で あ る本
性 王 と 『釋
論
』 の 龍 王 所 喩 の 一 心 法 は内
容 的 に 相違
す る も の で あ る と 考 え ら れ る 。二 、
波
浪
の 譬 喩 が相
違 す る点
『
玄
論 』 で は 「息
海
浪 時喩
起 善 心時
。 常 起浪
時 喩 悪 心 興時
。 」 ( 善 と 言 い 、 波 浪 の息
起 を そ れ ぞ れ 心 の 善 悪 に 対 応 さ せ て い る 。 一 方 『 釋 論 』 で は 、 「 波 動者
喩諸
戯
論 識 」 ( η v と 言 い 、 波 浪 の 息 起 を そ れ ぞ れ 生 滅 す る 戲 論 識 の 有無
に 対応
さ せ る の であ
り
、 心 の 状態
が た と え 戯論
識 で あ っ て も 、例
え ば始
覚 の活
動等
、衆
生 は単
に悪
を なす
の み で は な い 限り
、 こ こ で 言う
「戲
論
識 」 は 『 玄論
』 の 「善
心 」 「 惡 心 」 を含
むも
の で あ る と 考 え ら れ る 。 こ の意
味
か ら 、 両 者 は波
浪
の 譬 喩 の モ チ ー フ に 共 通す
る も 、 そ の 内容
に 於 て 相違
す る と言
いう
る の で あ る 。ま
と
め
森
田龍
僊氏
は 『 玄論
』 を評
し て 「 こ は 全 く 如 來藏
縁 起 の 思 想 」 ( 囲 ) で あ る と し 、 「 玄 文 論 の離
礙 、有
實
、 生 火 、 今 光 の 四非
空
は 即ち
次
で の如
く 虚 空 、眞
如 、本
覺 、 始覺
の 四無
爲
に 配 す べ く 、 深 里 出興
は の ち に引
く 一法
界
心 に 配 す255
一NII-Electronic Library Service 智山学報第四十七 輯 べ き で あ り 、 又 玄
文
論
の動
起 、 止 持、易
變 、散
壞
、 大 力 無 明 の 五 無 常 は 即 ち 次 で の如
く 生、 住 、 異 、 滅 、根
本 無 明 の 五 有爲
に 配す
べ き で あ る 。 」 璽 と 述 べ 、 『 玄 論 』 の 思 想 を 『 釋論
』 の そ れ と 同 一視
し て い る 。確
か に 四 非 空 の 「 離 礙 」 以 下 の 諸 用 語 や 四 無常
の 「 動 起 」等
は 『釋
論
』 の 四 無為
・ 五有
為
の表
現 に 似 て い る や も し れ な い が 、氏
も 以 下 に て 両論
の 相違
点
と し て 「 玄 文 論 に 五 非 空 を も つ て 五 無 常 を 對 治 す る を 説 い て、 性 火 (本
覺 ) を も つ て動
起 ( 生相
) を治
し 、 今 光 ( 始 覺 ) を も つ て 止 持 ( 住 相 ) を治
し 、 離 礙 ( 虚 空 ) を も つ て 易 變 ( 異 相 ) を治
し 、 有 實 ( 眞 如 ) を も つ て散
壊
( 滅 相 ) を治
し、 地 蔵 龍 王 ( 如 來 藏 ) を も つ て 大 力無
明 を 治 す る 」亜
と い う 点 を挙
げ て お り、 『 玄論
』 と 「釋
論 』 の 思 想 を 直 ち に 同 一 視 す る こ と に つ い て は 疑 問 が 残 る 。 以 上 に於
て 両 論 の共
通 点、 並 が に そ の 共 通 点 に 於 け る 相 違点
を 指 摘 し た わ け で あ る が 、 そ の 共 通 性 に つ い て は 言 語 上 の表
現 に 於 て の み 確 認 さ れ 、 思想
内 容 的 に は両
論 は 決定
的 に 相 違 し て い る こ と 、 つ ま り 、 『 釋 論 』 は表
現 的 に は 自 由奔
放 に 様 々 な モ チ ー フ や 一 見奇
妙 な 概 念 を多
数援
用 す る こ と に よ り自
説
を 展 開 さ せ て い る が、 そ こ で描
写
さ れ る 思 想 は そ れ と は 裏腹
に 極 め て 『 起 信 論 』 に 従 属 的 であ
り 、 ま た多
く の 場合
、 従 来 の 『 起 信 論 』 解釈
に親
和
的
で さ え あ る よ う で、 『 玄 論 』 が所
謂 『 起 信 論 』 思 想 か ら自
由
で あ る の と 大 きく
異 な っ て い る こ と が確
認
さ れ た 。 こ の 思 想 内 容 の相
違 に 関 し て 概 略 的 に 述 べ る と す れ ば 、 こ の こ と は 、 所 謂 『 起 信 論 』 思 想 の 中 で も 「無
明
と 真 如 の 間 の熏
習 関 係 」 を 認 め て い る か 否 か の抜
本
的 問 題 に 偏 に由
来
す る と換
言 す る こ と が で き よ う 。 こ の よ う に 『 玄 論 』 に は 「 無 明 と 真如
の 間 の 熏 習 関係
」 が 想 定 さ れ て お ら ず 、 ま た 過 患 に つ い て も 「 本 藏 」 と い う 概 念 に よ っ て 説明
し て い る な ど 、 生相
〜滅
相
と い う 重 層 的 惑 の 展 開 を そ こ に 見 い だ す こ と が で き な い 。 ま た 加 え て 、 『 玄 論 』 で 「 治 障照
覆 對 量 形 相如
其次
第 。動
起
無
常 性 火 住 法 。 止 持 無 常今
光 住法
。易
變 無 常 離礙
住
法 。散
壞
無 常 有實
住 法 。 大 力 無常
出 興 龍 王 。 以 之 爲 量 」直
と 述 べ て い る よ う に 、 五 非 空 と 五 無 常 の各
々 一 つ 一 つ が 相 対 す る と い う こ と は 『 玄 論 』 に と っ て第
一 義 な の で あ り 、 な れ ば 『 玄 論 』 の 四 非 空 ・ 五無
常 と 『釋
論 』 の 四 無 為 . 五 有為
を 引 一256
一 N工工一Electronlc Llbrary『釋摩訶衍論』と 『
戈
宗 地玄文本 論』に於い て共 通す る記述 を め ぐっ てヱ弖ε εε 互£
註 合き
わ せ る 結 果 生 じ ら れ る 「 玄 文論
に 五非
空 を も つ て 五 無 常 を對
治 す る を 説 い て 、 性 火 ( 本 覺 ) を も つ て動
起 ( 生 相 ) を治
し 」 云 々 と い う 問 題 は寧
ろ 問 題 と さ れ る べ き で は な く 、 そ の非
空 と 無常
の 対 治 関 係 を問
題 と す る よ う な 両 論 の 思想
内
容 の 混 同 自 体 に 疑惑
が 向 け ら れ る べ き な の で あ る 。 両論
は確
実 に 接点
を 有 し 、 且 つ共
通 す る記
述 が 散 見 さ れ る等
と し て も、 思 想 的 に は そ れ ら は と も に そ れ ぞ れ 異 な る 発 想 を有
し て お り 、 な れ ば、 む や み に 両 論 の 思 想 傾向
を 同 一視
す べ き で は な く、 そ の 差 異 を 確 実 に 認 識 し た 上 で、寧
ろ そ の 差 異 に よ り 特 徴付
け ら れ る べ き 両 論 の 関係
に こ そ 注意
が 向 け ら れ ね ば な ら な い の で あ る 。 既 に こ れ ま で 表 現 上 の 共 通 性 と いう
観
点 か ら 両論
の 関 係 を確
認 し て き た が 、 そ の 両 論 の 関 り 方 こ そ が 引 用 を 巡 る事
情 を 如 実 に反
映 し て い る は ず で あ り 、 延 い て は 「 『 釋 論 』 中 の 『 玄論
』 の 引 用 文 が 『 玄 論 』 に存
在 し な い 」 と いう
事
態 を 引 き 起 こ す 一 つ の 要 因 と し て 一翼
を 担 っ て い る は ず であ
る 。 こ の こ と は多
角
的 に 分析
考 察 さ れ ね ば な ら な い が、 こ の 問 題 に 関 し て は 後 の 機会
に委
ね る こ と に し た い 。 拙 論 「釈
摩 訶 衍 論 』 と 『 大 宗 地 玄 文本
論 』 に 於 け る 馬 鳴像
『 釈 摩 訶衍
論 之 研 究 』 森 田龍
僊
山 城 屋 文 改 堂五 八 二 頁 大 正 蔵 巻 三 二
大
正 蔵 巻 三 二大
正 蔵 巻 三 二大
正 蔵 巻 三 二大
正 蔵 巻 三 二 一 六 六 八 一 六 六 八 一 六 六 亠 ハ=
ハ 六 八 一 六 六 八 六 一 〇 a 〜 六 一 一 a 六 一 九 c 〜 六 二 〇b
五 七 六b
六 一 〇b
六 一 〇b
大 正大
学
大 学 院 研究
論
集 第 二 十 一号
257 一NII-Electronic Library Service 智 山学 報第四 十 七輯 A A A
ユ
9
£
旦
(11
) (12
) (13
) 大 正 蔵巻
四 四一 八 四 六
二 五 四 c 大 総 相
位
総 有 幾 數 。 遍 幾處
耶 偈 日 。 「 総位
有
三 種謂 上 中 下
故
唯 遍 五 種
處
非 餘 位 應 知 」
論
日 。大
性 総 地 根 本 體位
。 総 有 三種
。 云 何 爲 三 。 一 者 趣 高 上 上轉
去位
。 二 者 自然
安
住 中 中位
。 三 者 向焉
下 下 轉去
位 。 是 名 爲 三 。如
偈
総 位 有 三 種 。謂
上 中 下 故 。 (大
海
部
藏
道 路大
決擇
分 七 ) 三種
総相
金 剛 位 中 。 云 何安
立 。 謂初
信
心 以 爲其
始 。 後禍
陀 地 以 爲 其終
。 次 第 漸轉
。 是 故建
立 趣高
上 上 轉 去 位 。後
褐 陀 地 以爲
其 始 。 第 一 信 心 以 爲 其 終 。 次第
漸轉
。 是故
建 立 向 焉 下 下 轉 去 位 。 上 下 二 門位
位
各
各 離邊
中 道 決定
安 立 。 是 故建
立 自 然安
住
中 中 位 。 以 此 義 故 十種
別 相 唯 有 上 下 不有
中 焉 。 ( 大海
部 藏 道 路 大 決擇
分
第 七 ) 次 當 説安
立 金 剛 位 地 門 。其
相 云 何 。 偈 日 。 「 此 本法
門 中亦
有
金 剛 位依
位有
三 門謂 上 中 下 門 」
論
日 。 就 此本
法 門 中 。 亦有
五 十 一 金 剛 位 。 如 上 所 説 二 十 種法
。依
法安
立 。 云 何安
立 。 謂諸
位
中 皆 具 二 十 。 無有
前
後 → 時 轉故
。然
則
此 中 有 三 種 門 。 云 何爲
三 。 一者
一向
上 蹕 門 。 二 者 一向
下 轉 門 。 三 者 一 向 中 轉 門 。 是名
爲 三 。 如 是 三 門各
各
一 → 位 中 具 足倶
轉 。 不待
初後
際
故
。 ( 深 里 出 興 地 藏 大 龍 王道
路
大 決擇
分第
九 ) 本轉
形相
當
如 何 耶 。 偈 日 。 「 向本
一 下 轉一 空 一
有
轉乃 至
第
五 百餘
位
亦 如 是 」論
日 。 今 此 偈 中爲
明 何義
。爲
欲 現示
依
本
一 門向
下 下 轉 。有
一 金 剛 空 一金
剛 。如
其次
第
一 一 現 前 。漸
漸 轉 入乃
至 第 五 百 。無
有
窮 盡 無 有 邊際
無有
始
終 。 具 足 具 足 圓 滿廣
大 常 恒 轉故
。 如 偈 向本
一 下 轉 一 空 →有
轉
乃 至 第 五百
餘 位亦
如
是故
。 上 轉 形 相 例 此 應知
。 ( 獨 一無
二 山 王自
在
道 路 大 決擇
分
第
十 七 ) 云 何 名爲
七 變修
行
。形
相 云何
。 偈 日 。 「 七 變有
三 種功 徳 過
患
等
五 十 一
位
中
上 下 七 變 轉
増 長 功
徳
品 及 諸 煩 惱 海 」 論 日 。 七 變修
行
総有
幾 數 。有
三 種 故 。 云何
爲
三 。 一者
功
徳 七變
。 二 者 過 患 七 變 。 三 者等
量 七 變 。 是 名 爲 三 。如
偈 七 變有
三 種 功徳
過 患 等 故 。 言 變相
者 。 五 十 一 種 金 剛 位 中 。向
上 上 轉 向 下 下轉
具
足 七 變 。 増 長 功 徳 増 長 過 患廣
大 轉故
。 如 偈 五 十 一位
中 上 下 七變
轉 増 長 功 徳 品 及 諸 煩惱
海故
。 ( 翻 回 陀 尸梵
迦諾
道 路大
決
擇
分第
一258
N工工一Electronlc Llbrary『釋摩訶 衍論亅と 『大 宗地玄文 本論亅に於い て共 通する記述を めぐっ て
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