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インド タイ 韓 国 台 湾 特 別 経 済 区 域 電 子 ハードウェア 技 術 パーク ソフトウェア 技 術 パ ーク 工 業 団 地 自 由 地 域 投 資 開 発 区 外 国 人 投 資 地 域 経 済 自 由 区 域 企 業 都 市 済 州 島 開 発 区 自 由 貿 易 港 国 際 空

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(1)



アジアにおける

経済特区制度と

優遇税制の概要

 多くの新興国が存在する東アジア及び東南

アジア地域において,1970年頃から各国政府

は先進国資本の導入及び先進国からの技術移

転による自国の経済発展,並びに自国産業の

育成を目的として,優遇税制を有する経済特

区を設置し,外国資本誘致の経済政策が採ら

れている。外国企業の投資意思決定上,現地

の税制は重要事項であるため,一般に,経済

特区の設置と優遇税制の適用は不可分の関係

となっている。

 なお,外国資本誘致による技術移転及び産

業育成という所期の目的が達成された中国に

おいては,経済特区に進出した外資企業に対

する全般的優遇税制を廃止し,研究開発等特

定事業に対する優遇税制への移行が生じてい

る。

 アジア各国における経済特区制度の概要及

び納税のしやすさをまとめると次のとおりで

ある。

特集

アジア各国の経済特区制度の概要と現状を紹介

簗瀬正人

◉ 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 監修/

岡田至康

◉ 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース顧問

5

アジアにおける特区制度

税制を中心として

国名 経済特区名称 目的 優遇税制 納税のしやすさ( 1 ) 中国 ・経済特区 ・経済技術開発区 ・沿海経済開発区 ・保税区 ・輸出加工区 ・先進技術導入 ・輸出拡大   (外資誘致) ・企業所得税減免及び軽減税率   (2008年改正にて原則廃止,2012年終了) ・関税,付加価値税(VAT)免除 121位 インドネシア ・経済統合開発地域 ・保税地区 ・自由貿易地域 ・経済発展 ・輸出促進 ・産業育成 ・所得控除 ・VAT免除 ・輸入諸税免除 130位 フィリピン ・特別経済区 ・外資誘致 ・雇用創出 ・法人税減免 ・VAT免除 135位 マレーシア ・自由地域 ・国際金融地区 ・奨励地区 ・産業育成 ・法人税減免 28位 ベトナム ・奨励投資地域 ・特別奨励投資地域 ・経済区 ・ハイテクパーク ・輸出加工区 ・工業団地 ・地域発展 ・産業育成 ・法人税減免 ・VAT免除 ・特別売上税免除 ・輸出入関税免除 151位

(2)

税制における特区制度の現状と展望

れ,外国投資企業・外国企業所得税の減免及

び軽減税率を柱とする優遇税制が適用されて

いたが,所期の目的である自国産業の育成及

び技術移転が概ね達成できたと判断された段

階で,経済特別区域に進出する外資企業に対

する優遇税制の適用は終了(2008年廃止,

2012年経過措置期間終了)し,現在の優遇税

制は,研究開発活動等特定事業を対象とする

優遇税制に移行されている。また,2012年に

中西部(開発)地区に対する優遇税制が新た

に制定された。



アジア各国の経済特区と

優遇税制の現状

ⅰ)

中国

 中国では,1978年の対外経済開放政策に基

づき,外資誘致(先進技術導入及び輸出拡大)

を目的として1980年代に“経済特区”(1980

年),“経済技術開発区”(1984年)及び“沿

海経済開放区”(1985年)等の優遇税制が適

用される経済特別区域が中国全土に設置さ

経済特別区域の概要と優遇税制

名称・設立時期 地域名 目的 外資優遇税制 ※外資企業所得税標準税率30% 経済特区: 5 ヶ所 (1980年当初 4 ヶ所) 深圳,珠海,汕頭,厦門, 海南島 先進技術の導入 輸出拡大 軽減税率: 一般企業15%,輸出企業10% 経済技術開発区:35ヶ所 (1984年当初14ヶ所) 大連,天津,青島,上海, 武漢,重慶,広州,他(中 国全土の地区) 先進技術の導入 軽減税率: 生産型企業15%,輸出企業10% 沿海経済開放区: 3 ヶ所 (1985年当初) 華東長江三角州,華南珠 江三角州,(福建省)閩 南厦漳泉三角州 (華東・華南地域の市) 輸出拡大 軽減税率: 生産型企業24% 上海浦東新区 (1990年建設開始) 上海浦東地区 金融貿易 輸出加工区 保税区 軽減税率: 生産型企業15%,輸出企業10% 高新技術開発区:52ヶ所 (1991年当初27ヶ所) 瀋陽,北京,済南,南京, 杭州,成都,武漢,他(中 国全土の地区) 産業のハイテク化 軽減税率: 生産型企業15%,輸出企業10% インド ・特別経済区域 ・電子ハードウェア技 術パーク ・ソフトウェア技術パ ーク ・工業団地 ・輸出拡大 ・産業育成 ・法人税減免 ・関税,VAT免除 147位 タイ ・自由地域 ・投資開発区 ・産業育成 ・法人所得税減免 ・輸入諸税減免 ・VAT免除 97位 韓国 ・外国人投資地域 ・経済自由区域 ・企業都市 ・済州島開発区 ・外資誘致   (大規模投資) ・都市開発 ・法人税減免 44位 台湾 ・自由貿易港 ・国際空港パーク ・輸出加工区 ・サイエンスパーク ・貿易自由化 ・国際競争力強化 ・産業育成 ・関税・貨物税・営業税免除 67位 香港 経済特区無し ー ー 3位 シンガポール 経済特区無し ー ー 4位

(3)

の企業所得税改正及び増値税改正により営業

税の優遇税制を除き基本的に廃止された

(2012年度までの経過措置あり)。

り,2007年 4 月26日付法律第25号(投資法)

により現在の奨励業種が定められた。また,

FTZは,バタム島は島全体が保税区,ビン

タン島は工業団地が保税地区などとされてい

たのを,税務規則の整合性を図るために自由

貿易地域としてまとめられたもので,シンガ

ポールの製造子会社が多く進出している。

外資企業全般に対する旧優遇税制

 奨励事業等に従事する外資企業全般に対し

て次の優遇税制が適用されていたが,2008年

ⅱ)

インドネシア

経済特区制度の概要

 インドネシアでは,経済統合開発地域

(KAPET)といった地域別優遇措置と保税

地区の優遇措置があり,国内各地に自由貿易

地域(FTZ)が設置されている。2000年 4

月 7 日付大統領令第20号によりKAPETにお

ける税制面での取り扱いは保税地区並みとな

保税区:15ヶ所 外高橋,天津港,福田(深 圳)保税区,他 軽減税率: 生産型企業15%,輸出企業10% 関税,VATの免除 弾力的外貨決済(厳格な外為規制) 輸出加工区:62ヶ所 北京,蘇州,昆山,松江 (上海),成都,深圳,他 (中国全土の地区) 輸出拡大 軽減税率: 生産型企業15%,輸出企業10% 中西部(開発)地区 山西省,吉林省,安徽省, 湖南省,四川省,陝西省, 他(内陸部) 内陸部の開発(経済発展) 軽減税率: 生産型企業15%,輸出企業10% 税種目 (制定期間) 外資企業所得税 (1991年~ 2008年) 源泉税 (外資企業所得税法) 営業税 (1994年~) 関税・輸入増値税 (1994年~ 2008年) 1 )減税・免税措置 生産型企業に対しては, 2 年 間 免 税 3 年 間 半 減 税措置 ※地方企業所得税の免税 権限は地方政府帰属 国外配当に対する免 税措置 奨励技術ライセンスロイヤルティー及 び技術サービス料に対する免税措置 奨励事業用輸入設備 機器の関税及び輸入 増値税免税措置 ※設備仕入増値税の 仕入控除は不可 2 )税額還付 剰余金再投資に対して納 税額40%を出資者に還付 (再投資還付制度) 適用無し 適用無し ソフトウェア産業に 対する還付制度(仕 入控除制限対応) 3 )所得控除 増加技術研究費控除 適用無し 適用無し 適用無し 特区名称 地域名 目的 関連法 経済統合開発地域(KAPET) 14ヶ所 経済発展のため 2007年 4 月26日付法律第25号(投資法) 保税地区(KB) その最終製品が主に輸出に向 けられる,輸入物品または関 税地区内の他の場所から調達 された物品を,加工もしくは 組付のために在庫するために 指定された地域 輸出促進のため 2007年 4 月26日付法律第25号(投資法) 自由貿易地域(FTZ) バタム島,ビンタン島,カリ ムン島 国内及び輸出産業の発 展を促進するため 2000年 9 月 1 日 付 法 律 代 用 政 令 第 1 号 (2000年第36号法律)/2007年法律代用政 令第 1 号(2007年第44号法律)

(4)

税制における特区制度の現状と展望

 保税地区に関しては,これまで50%相当の

国内での販売を認める規則があったが,2011

年 9 月 6 日 付 財 務 省 規 則 第147号 に よ り,

2012年以降の保税ライセンスの更新後は国内

への販売が25%に制限された。しかしながら,

本規則は,反対が強く,2014年まで適用は延

期されている。

ⅲ)

フィリピン

経済特区制度の概要

 フィリピンでは,1987年8月13日に優遇措

置を伴う外国及び内国の投資に関する基本的

な法律であるオムニバス投資法(共和国法第

226号)が発効し,投資に関する奨励措置が

規定された。また,1995年 2 月24日に特別経

済区法(共和国法第7916号)が発効し,輸出

加工区及び特別経済区に関する多くの奨励措

置が規定された。現在,フィリピンにおける

優遇措置は「業種を基準として付与される優

遇措置」,「特定地区での事業に対する優遇措

置」,「企業形態を基準として付与される優遇

措置」に区分され,法人税及び関税等の優遇

措置が付与されている。

経済特区における優遇税制の概要

特区名称 要件 法人税 関税 (第22条)前払税金 付加価値税 高級品売上税 経済統合開発地域 (KAPET) ・国税総局(DGT) による承認 ・雇用促進,イン フラ開発,地域発 展,自然保護,研 究開発などの促進 に寄与する事業が 対象 ・投資総額の30 %相当の所得控 除 ・税務上の加速 度減価償却 ・欠損金の繰越 期間の延長(最 長10年間) ・支払配当に係 る源泉税の軽減 資本財等に係る 輸入関税の延期 生産活動に直接 関係する資本財 等の輸入時前払 税金の免除 生産活動に関係 する資本財等に 係る付加価値税 の免除 生産活動に関係 する資本財等に 係る高級品売上 税の免除 保税地区(KB) 輸出志向の製造会 社からの要請に基 づき財務省が付与 する保税ステータ ス企業 - 資本財等に係る 輸入関税の延期 生産活動に関係 する資本財等の 輸入時前払税金 の免除 生産活動に関係 する資本財等に 係る付加価値税 の免除 生産活動に関係 する資本財等に 係る高級品売上 税の免除 自由貿易地域(FTZ) FTZに入る物品と FTZ内の会社間で 引き渡される物品 - 免除 免除 免除 免除 特区名称 地域名 目的 関連法 PEZA特別経済区 フィリピン経済区庁(PEZA)が 開発,運営,管理を行っているエ コゾーン 産業を都市以外の地域 に誘致し,そこでの雇 用の創出 共和国法第7916号(PEZA法)(1995 年 2 月24日発効) スービック特別経済・自由港区 (SBF) オロンガボ市 スービック特別経済区 への投資の促進及び雇 用の創出 行政令(EO)第675号(2007年11月 28日発効) 共 和 国 法 第7227号(1992年 3 月13 日発効) クラーク特別経済区(CSEZ) アンヘレス市 クラーク特別経済区へ の投資の促進及び雇用 の創出 行政令(EO)第675号(2007年11月 28日発効)

(5)

別々に管理する必要がある。また,優遇措置

の適用を受けるには,監督庁への定期的な書

類提出が求められる。

ⅳ)

マレーシア

経済特区制度の概要

  マ レ ー シ ア で は,1986年 投 資 促 進 法

(PromotionofInvestmentAct,1986),1967

年所得税法,関税法,1972年販売税法,1976

年物品税法,1990年自由地域法などが制定さ

れ,製造業,農業,観光業その他奨励業種を

対象とした優遇措置が付与されている。経済

特区制度に類似した制度として,「 5 奨励地

区制度」と第10次 5 カ年計画で導入された「首

都クアラルンプールの国際金融地区制度」の

二つがある。

 上記の他,オーロラ特別経済区,カガヤン

特別経済区(ルソン島),ザンボアン特別経

済区(ミンダナオ島)等の特区が存在し,そ

れぞれの地域への投資の促進及び雇用創出を

目的として,法人税等の優遇措置が設けられ

ている。

 また,PEZAによると,2012年 2 月末時点

における主要国のPEZA登録企業数は,日本

632社,韓国275社,アメリカ262社,イギリ

ス54社,台湾53社,中国50社,オーストラリ

ア48社,香港29社等であり,ほとんどの企業

で上記の優遇措置を享受している。PEZA登

録企業の場合,優遇措置の対象となる適格プ

ロジェクトはプロジェクト単位で承認される

ため,理屈上,同一会社内において,適格プ

ロジェクトと非適格プロジェクトとが共存す

ることがあり得る。その場合,適用される税

制が異なることになるため,帳簿を分けて

経済特区における優遇税制の概要

特区名称 要件 法人税 関税 付加価値税 PEZA特別経済区 PEZA(フィリピン経済 区庁)登録企業 ・商業生産開始後, 4 年~ 6 年間(最長 8 年間)の 法人税免除 ・免除期間終了後は総所得の 5 %相当額の納付のみ 免除 免除 スービック特別経 済・自由港区 (SBF) スービック湾自由港登録 企業 総所得の 5 %相当額の納付のみ(国内販売が総所得の 30%以下の場合に限る) 免除 免除 クラーク特別経済 区(CSEZ) クラーク特別経済区登録 企業 総所得の 5 %相当額の納付のみ(国内販売が総所得の 30%以下の場合に限る) 免除 免除 特区名称 地域名 目的 関連法 自由地域(FZ) 財務省が認定した特別の地域 輸出の促進 自由地域法(1990年制定) マルチメディア・スーパー・コ リドー(MSC) クアラルンプール近郊 国際的な観点からの, 情報産業の育成支援 投資促進法(1986年制定,10年 間有効) クアラルンプール国際金融地区 (KLIFD) クアラルンプール クアラルンプールの銀 行金融及び関連サービ スの国際的ハブ化 2012年度予算案(未施行) 5奨励地区 イスカンダール開発地区(IDR),北部 コリドー開発地域(NCER),東部コ リドー開発地域(ECER),サラワク 再生エネルギーコリドー(SCORE), サバ開発コリドー(SDC) 地域の発展 所得税法/投資促進法

(6)

税制における特区制度の現状と展望

ⅴ)

ベトナム

経済特区制度の概要

 ベトナムでは,2006年 7 月 1 日に施行され

た共通投資法及び統一企業法により,外国資

本による投資,国内資本による投資にかかわ

らず,「奨励投資分野」及び「奨励投資地域

に進出する企業」に対し,優遇措置が付与さ

れている。このうち,「奨励投資地域に進出

する企業」に対する優遇措置が特区制度に相

当するものと考えられるが,奨励投資地域は

国内全土に多数設定されている。

経済特区における優遇税制の概要

特区名称 要件(*) 法人税 関税 物品税 売上税 サービス税 その他 自由地域(FZ) 輸出企業 - 免除 免除 免除 免除 マルチメディア・ スーパー・コリド ー(MSC) マレーシア政府に よ り 認 定 さ れ た MSC企業 ・ 5 年または10年 間の法定所得100 %免税 ・ 5 年以内の適格 資 本 支 出 に 係 る 100%投資控除 マルチメディア関 連機器の輸入関税 免除 - - - - クアラルンプール 国 際 金 融 地 区 (KLIFD) KLIFDステータス 企業 10年間の100%免 税 - - - - ローン契約 などの印紙 税免除 5奨励地区 各ステータス取得 企業 パイオニア・ステ ー タ ス( 2 )ま た は 投資控除( 3 )と同 様の優遇 機械設備等に係る 輸入税免除 機械設備等 に係る売上 税免除 - - (*)上記優遇措置の適用対象企業については,最低資本金等の各種の要件が定められている。 特区名称 地域名 目的 関連法 奨励投資地域 54地域 社会経済状況が困窮して いる地域への投資促進 法人税法施行細則,政令(2009年 1 月 1 日) /輸出入関税法施行細則,政令(2010年10 月 1 日) 特別奨励投資地域 54地域 社会経済状況が特に困窮 している地域への投資促 進 法人税法施行細則政令(2009年 1 月 1 日) /輸出入関税施行細則,政令 (2010年10月 1 日) 経済区(国境ゲート経済区 を含む) 29地域(国境ゲート経済区は 11地域) 戦略的地域への投資促進 法人税法施行細則,政令(2009年 1 月 1 日) /通達(2009年 1 月 1 日)/国境ゲート経 済区に対する財務政策に関する決定(2009 年 5 月 1 日) ハイテクパーク サイゴン・ハイテクパーク,ク アンチュン・ハイテクパーク, ホアラック・ハイテクパーク ハイテクノロジーの投資 促進 法人税法施行細則,政令(2009年 1 月 1 日) 輸出加工区 タントアン輸出加工区,リンチ ュン輸出加工区,ハイフォン96 輸出加工区等 投資家への産業基盤及び 環境整備 法人税法施行細則,政令/輸入関税法施行 細 則, 政 令(2010年10月 1 日 )/付 加 価 値税法 (2009年 1 月 1 日) 工業団地 ハノイ市14 ヶ所,ホーチミン 市19 ヶ所,ハイフォン市 7 ヶ 所,ダナン市 5 ヶ所 投資家への産業基盤及び 環境整備 法人税法施行細則,政令

(7)

 上記のうち,工業団地入居を条件とする法

人税の優遇措置は,2009年 1 月 1 日から撤廃

されている。また,ベトナムのWTO加盟時

のコミットメントにより,輸出加工企業など,

特定の輸出比率を満たすことを条件として享

受していた法人税の優遇措置は2011年末をも

って撤廃されている。これらの企業は2012年

以降,輸出比率以外の条件を満たしているこ

とによる優遇措置を選択し,税務当局に通知

の上適用することになる。

 また,奨励投資分野への投資については,

法人税優遇措置の適用対象にかかる規定が明

確でないことから,税務調査時に適用対象外

とされ,優遇措置の適用が否認されることも

ある。経済区についても特定の経済区に対す

る個別のガイドラインが存在するため詳細に

ついては該当ガイドラインを確認する必要が

ある。

ⅵ)

インド

経済特区制度の概要

 インドでは,内資・外資を問わず,インフ

ラ開発,電力開発・送電,再生可能エネルギ

ー,科学研究開発などの分野に対する投資に

ついて優遇措置が設けられているが,特別経

済区域(SEZ)を開発する企業及び入居する

企業にも法人税減免などの優遇措置が適用さ

れている。

経済特区における優遇税制の概要

特区名称 要件 法人税 輸入関税 付加価値税 特別売上税 奨励投資地域 奨励地域における新 規投資プロジェクト など ・優遇税率(20%)適用(10 年間) ・新規企業は 2 年間の免除 及び 4 年間の50%減税 特定の固定資産につき 免除 - - 特別奨励投資地域 特別奨励投資地域に おける新規投資プロ ジェクトなど ・優遇税率(10%)適用(15 年間) ・新規企業は 4 年間の免除 及び 9 年間の50%減税 特定の固定資産につき 免除 経済区(国境ゲー ト経済区を含む) 経済区における新規 投資プロジェクトな ど ・優遇税率(10%)適用(15 年間) ・新規企業は 4 年間の免除 及び 9 年間の50%減税 国境ゲート経済区の非 課税区域内で使用され る輸入品及び非課税区 域からの輸出品につき 免除 国境ゲート経済 区の非課税区域 内で生産消費さ れる物品・サー ビスにつき免除 国境ゲート経済 区の非課税区域 内で生産消費さ れる物品につき 免除 ハイテクパーク ハイテクパークにお ける新規投資プロジ ェクトなど ・優遇税率(10%)適用(15 年間) ・新規企業は 4 年間の免除 及び 9 年間の50%減税 - - - 輸出加工区 輸出品,輸出加工区 内で使用される輸入 品など - 輸出品,同区内で使用 される輸入品などにつ き免除 外国または他の 非関税地域との 物品販売・サー ビスにつき免除 - 工業団地 - - - - 特区名称 地域名 目的 関連法 特別経済区域(SEZ) アーンドラ・ブラデーシュ州,マハー ラーシュトラ州などに583 ヶ所 輸出企業に対して国際的競 争力のある円滑な環境を提 供するため 2005年特別経済区域法(SEZ法) 及び2006年SEZ規則 電子ハードウェア技術パー ク(EHTP)/ソ フ ト ウ ェ ア技術パーク(STP) - 電子機器産業の輸出強化及 び効率的な電子部品並びに IT産業の発展のため -

(8)

税制における特区制度の現状と展望

ⅶ)

タイ

経済特区制度の概要

 タイでは,主に,1997年に制定された投資

奨 励 法(InvestmentPromotionAct) 及 び

1991年・2001年の同法の改訂に含まれている

ガイドラインに基づいて,内外の投資家に対

し,奨励業種に対する投資を促進するための

優遇措置が設けられている。優遇措置の適用

の詳細はタイ投資委員会(BOI)により規定

されている。BOIは,タイの産業高度化,雇

用促進に寄与する投資奨励対象業種に対して

税制及び税制以外の特典を付与しているが,

産業の地方分散,地方産業の振興,所得格差

の解消を目的として,1987年以降,全国を三

つのゾーンに分け,首都圏から遠ざかるに従

って,厚い特典を付与している。また,タイ工

業団地公社法(IndustrialEstateAuthority

Act)に基づき,タイ工業団地公社(IEAT)

が実施運営する優遇制度がある。

工業団地 ウッタラカンド,ヒマチャルプラデシ ュ,北東部の州(シッキム州を含む) - -

経済特区における優遇税制の概要

特区 要件 法人税 関税 物品税 中央売上税 サービス税 特 別 経 済 区 域 (SEZ) SEZ入居企業または SEZ開発業者 ・100%税額控除(10年間) ・配当分配税(DDT)免除 ・最低代替税(MAT)免除(※) 免除 免除 免除 免除 電子ハードウェ ア 技 術 パ ー ク (EHTP) ITを使ったコールセ ンター,データ処理, 医療記録など輸出指 向サービス ・輸出所得の 5 年間100%所 得控除(次の 5 年間は50%) ・MATの免除(※)など 資本財の輸入 につき免除 国内調達につ き免除 国内調達時に は償還 - ソフトウェア技 術パーク(STP) ITを使ったコールセ ンター,データ処理, 医療記録など輸出指 向サービス ・輸出所得の 5 年間100%所 得控除(次の 5 年間は50%) ・MATの免除(※)など 資本財の輸入 につき免除 国内調達につ き免除 国内調達時に は償還 工業団地 一定の要件を満たし た工業団地開発業者 ・100%税額控除(10年間) 一定の場合に 払戻 免除 免除 - ※最低代替税(MAT)免除は2011 ー 2012会計年度より廃止され,現行では18.5%のMAT及び付加税が課税されている。 特区 地域名 目的 関連法 IEATフ リ ー ゾ ー ン 工業事業,サービス事業等に寄与する事業に使用さ れるゾーン 工業団地を使用する 企業の競争力強化 タイ工業団地公社法(2008年 1 月 8 日) BOIゾーン 1 )バンコク首都圏 6 県(バンコク,サムットプラ カーンなど) 2 )首都圏周辺11県(アユタヤ,チャチューンなど)・ プーケット 3 )低所得とインフラの開発度が低い残りの58県 奨励業種に対する投 資促進 投資奨励法(Investment Promotion  Act)

経済特区における優遇税制の概要

特区 要件 法人税 輸出税 関税 付加価値税 物品税 IEATフ リ ー ゾ ー ン 工業事業,サービ ス事業等に寄与す る事業に使用され る物品 - 生産用機械,設 備等に係る免税 生産用機械,設 備等に係る免税 生産用機械,設 備等に係る免税 生産用機械,設 備等に係る免税

(9)

なければならなくなる場合もある。

ⅷ)

韓国

経済特区制度の概要

 韓国では,外国人投資企業について,租税

特例制限法及び外国人投資促進法の規定によ

り,法人税減免等の優遇措置が設けられてい

る。立地支援としては,外国人投資地域,経

済自由区域,自由貿易地域に分けられるが,

産業団地内の特定地域または別の立地を確保

し,外国人投資に必要な環境を提供している。

 優遇措置によって受けられる特典の内容が

異なり,また,特典にはさまざまな条件が付

されているため,将来を見据えた上で事業に

適した恩典を慎重に選択する必要がある。

BOIの税務恩典を受けている製造業について

言えば,在庫の管理,機械装置の管理が毎年

のBOI監査を通じてレポートする義務を負う

ため,この管理を徹底しないと輸入関税の免

除枠が無くなることもあり得る。また,輸入

関税の免除を受けた機械装置,在庫の廃棄に

ついて歳入局だけでなく,BOIの許認可が必

要となり,条件によっては輸入関税を納付し

BOIゾーン 第 1 ゾーン BOIの判断による 投資資本が1,000万 バーツ以上かつ事業 開始から 2 年以内に ISO9000認 証 を 受 け,工業団地内等に 所在する場合に 3 年 間の免除 - ・BOIが 認 可 す る 機 械 に 係 る 50%減税 ・輸出用資材等 の免税( 1 年間) - - 第 2 ゾーン BOIの判断による 投資資本が1,000万 バーツ以上かつ事業 開始から 2 年以内に ISO9000認証を受け た場合に 3 年間(工 業団地内等に所在す る場合は 7 年間)の 免除 - ・BOIが 認 可 す る機械に係る免 除 ま た は50 % 減税 ・輸出用資材等 の免税( 1 年間) - - 第 3 ゾーン BOIの判断による ・ 投 資 資 本 が1,000 万バーツ以上かつ事 業開始から 2 年以内 にISO9000認証を受 けた場合または工業 団地内等に所在する 場合は 8 年間の免除 ・免除期間後 5 年間 は50%軽減 - ・BOIが 認 可 す る機械に係る免 除 ・輸出用資材等 の免税( 5 年間) - - 特区名称 地域名 目的 関連法 外国人投資地域 団地型18ヶ所,個別型27ヶ 所 外国人による投資の誘致 外国人投資促進法,租税特例制限法及び同 法施行令 経済自由区域 仁川,釜山・鎮海など 6 ヶ所 外国人による投資の誘致 経済自由区域の指定及び運営に関する法律 自由貿易地域 産業団地型 4 ヶ所,空港・港 湾型 5 ヶ所 製造及び物流を営む企業を入 居させ,相互連携によるシナ ジー効果を生み出すことを目 的に指定する特別区域 自由貿易地域の指定及び運営に関する法律 /租税特例制限法 企業都市 外国人による投資の誘致 租税特例制限法及び同法施行令 済州投資振興地区開発者 済州島 済州特別自治道の設置及び国際自由都市造 成のための特別法

(10)

税制における特区制度の現状と展望

ⅸ)

台湾

経済特区制度の概要

 台湾には以下のような経済特区が設けられ

ており,それぞれの法律において,優遇措置

が規定されている。また,下記以外にも農業

ハイテクパーク,環境テクノロジーパークと

いった経済特区が設けられており,税制優遇

が付与されている。

経済特区における優遇税制の概要

特区 要件 法人税 関税 付加価値税 外国人投資地域 業種ごとに定められた投資金額等の指定基準を満た し,外国人投資地域内で新しく施設を設置する場合 ・ 団 地 型 は 3 年 間100%, その後 2 年間は50%減免 ・ 個 別 型 は 5 年 間100%, その後 2 年間50%減免 資本財につき 3 年間免除 個別型は資本 財につき減免 経済自由区域 経済自由区域の入居企業または開発事業施行者で, 製造,観光,物流業に限り,一定の基準を満たす場 合(企業都市への入居企業についても適用) 5 年間100%,その後 2 年 間50%減免 資本財につき 3 年間免除 資本財につき 3 年間免除 自由貿易地域 輸出を主な目的とする製造業を営む企業,輸出入取 引を主な目的とする卸売業を営む企業など 5 年間100%,その後 2 年 間50%減免 免除 ゼロ税率 企業都市 企業都市の入居企業または開発事業施行者で,一定 の基準を満たす場合 5 年間100%,その後 2 年 間50%減免 資本財につき 3 年間免除 資本財につき 3 年間免除 済州投資振興地区 開発者 済州投資振興地区の開発事業施行者に該当する外国 人投資企業が営む事業 5 年間100%,その後 2 年 間50%減免 資本財につき 3 年間免除 資本財につき 3 年間免除 特区名称 地域名 目的 設立の条件 関連法 自由貿易港 5 ヶ所(基隆港,台北 港, 台 中 港, 高 雄 港, 桃園空港) グローバル・ロジスティク スの経営方式の発展,貿易 の自由化・国際化の推進, 国際競争力の強化 自由貿易区において許可を得て貿 易,倉庫,物流,コンテナ(物品) 集散,海外への積替,国内への積 替,請負輸送,通関代行,組立, 再生,梱包,整備,加工,製造, 展示,保守または技術サービスな どの業務に従事する事業 自由貿易港区設置管理 条例(2003年制定) 国際空港パーク 台 湾 桃 園 国 際 空 港 な ど,空港の専用区と隣 接する自由貿易港区 国際競争力の強化のための 国際空港パークの発展 国際空港パーク内の事業者に保 管・加工を委託した貨物の販売(国 内販売について一定の制限あり) 国際空港パーク発展条 例(2010年 5 月 1 日 施行) 輸出加工区 台中港,高雄港,小港 空港に隣接 ワンストップサービス等に よる輸出促進 貿易業,倉庫,中継輸送業のみ参 入可 輸出加工区設置管理条 例 サイエンスパーク 技術発展 科学技術工業のみ参入可 科学工業園区設置管理 条例

経済特区における優遇税制の概要

特区名称 対象取引 営利事業所得税 関税 (物品税)貨物税 営業税 その他 自由貿易港 国外からの輸入原料・国 外輸入燃料,材料,半製 品,機械設備 - 免除 免除 免除 酒タバコ税,タバコ健康福利 付加税,貿易推進サービス費, 商港サービス費の免除 物品/労働力の国外輸出, 課税地域から購入した原 材料,燃料,材料,半製 品,機械設備 - - - ゼロ税率 - 国際空港パーク 外国の営利事業で国際空 港パーク内の自由貿易港 区で貨物の搬入及び簡易 な加工を行い,国内・国 外に販売した貨物 免除 - - 免除 -

(11)

にあり,経済特区の設置に当たっては,優遇

税制の制定権限を有する中央政府の積極的関

与が重要であり,この点,東アジア及び東南

アジア各国の中央政府は,経済特区の設置を

国家政策として位置付け,積極的に関与して

いるものと解される。

 これらの国においては,旧来より税務上各

種の投資奨励策を講じてきているが,とりわ

け近時における社会環境の変化やインフラ整

備,更には資本や労働力の流動性の高まりと

ともに,租税政策のもつ意義がより重要な要

素となっているといえよう。

 なお,当然のことながら,外国資本誘致に

よる技術移転及び産業育成という所期の目的

が達成された場合には,中国における優遇税

制の改正事例のように,経済特区進出の外資

企業全般に対する優遇税制から研究開発等の

特定事業(ハイテク産業の育成)に対する優

遇税制への移行が生じている。これは,全般

的な産業育成からハイテク産業の育成への国

家政策の重点の移行によるものと解される。

総括

 東アジア及び東南アジアでは,上述のよう

に中国等の新興国に加え,先進国とされる韓

国,台湾に至るまで,殆どの国が外国資本の

誘致及び先進技術の導入のために,経済特別

地域を設置し,優遇税制を整備,供与してお

り,所期の目的である自国経済の発展を達成

しているといえる。なお,香港,シンガポー

ルは,ともに一般的な投資環境が既に良好な

ことから,他国におけるような経済特区は特

段設置されていない。

 外国資本の誘致及び先進技術の導入を推進

するに当たっては,経済活動の効率性及び政

府管理の有効性の観点からは,一定地域に投

資を集約させる経済特区の制定が有効であ

り,一方,外国資本の誘致に当たっては,優

遇税制の供与が有効であると思われる。経済

特区の設置と優遇税制の適用は不可分の関係

*    *    *

〔脚注〕 ( 1 )PayingTax2012(PwC調 査 報 告 書:http://www.pwc. com/gx/en/paying-taxes/download-order.jhtml): 世 界 銀 行,国際金融公社(IFC)およびプライスウォーターハウ スクーパース(PwC)の国際的指標分析グループによる世 界183ヶ国の「納税のしやすさ」を測定し順位付けした報告 書。モデル企業が,調査対象国で負担する税金費用及び税 務申告・納付に関する事務負担を対象とし,主要な税金(法 人所得税,雇用関連税と負担金,消費税)の納付に要する 時間,及び納税の回数を調査比較。 ( 2 )パイオニア・ステータス(PioneerStatus):1986年投資 促進法で規定された奨励事業を営むかまたは奨励製品を生 産する会社(製造業,食品加工業,農業,ホテル業,観光 業その他の商工業)を対象として付与されている優遇措置。 生産開始日から原則として 5 年間の法定所得の70%免税及 び免税所得から分配された配当金の免税となる。 ( 3 )投資控除(InvestmentTaxAllowance:ITA):1986年 投資促進法で規定された奨励事業を営むかまたは奨励製品 を生産する会社(製造業,食品加工業,農業,ホテル業, 観光業その他の商工業)を対象として付与された優遇措置。 承認日から 5 年間に行った適格資本的支出の60%相当額を 各年度の法定所得の70%まで控除(未使用分は繰越)でき, 免税所得から分配された配当金については免税となる(パ イオニア・ステータスとの選択適用)。 加工輸出区 サイエンスパーク 国外からの輸入原料・国 外輸入燃料,材料,半製 品,機械設備 - 免除 免除 免除 - 物品/労働力の国外輸出, 課税地域から購入した原 材料,燃料,材料,半製 品,機械設備 - - - 免除 -

参照

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