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3 検出遺構

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Academic year: 2021

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258

奈文研紀要 2017

1 はじめに

 本調査は、個人住宅建設にともなう事前調査である。

建設予定地は、左京一条二坊十六坪にあたり、木取山古 墳の周濠想定位置にもあたる(図279)。そのため、想定 される周濠に直交する形で南北16m、東西2mの調査区 を設けた。調査面積は32㎡。調査期間は、2016年4月6 日から4月12日までである。

2 基本層序

 現地表から造成土、旧耕作土、床土、暗褐色粘質土

(古代以降の整地土と考えられる)、黄灰色礫混砂質土(地山)

と続く。遺構はいずれも暗褐色粘質土下位の地山上面 で検出した。現地表から検出面までの深さは約1.3mで ある。地山の標高は北では約69.8m、南では約69.6mで、

北から南に向かって緩やかに標高を下げる。

3 検出遺構

 検出遺構は、南北溝とそれに接続する支溝それぞれ1

条と土坑1基である(図280・281)。想定していた古墳の 周濠は認められなかった。以下個別に記述する。

南北溝SD11106  長さ7m以上、幅約60㎝、深さ30~

40㎝で南流する。埋土は上層が褐色砂で、下層は小礫混 じりの粗砂である。条坊方位に沿う。南方では西に弧状 に取り付くとみられる支溝を検出した。奈良時代後半の

平城京左京一条二坊十六坪、

木取山古墳の調査

-第568次

図280 第568次調査区遺構図・東壁土層図 1:100

X-144730 X-144,725

X-144,720

X-144,730 X-144,725

Y-17,760 Y-17,757 H=71.00m

H=70.00m

N S

0 2m

SD11106

SD11106

SD11107

SD11107 SK11108

SK11108

X-144,720

図279 第568次調査区位置図 1:2500 16坪

269-1次 269-13次

151-15次 215-5次

131-8次 151-28次 164-6次

164-6次 151-24次 151-24次

141-13次 141-19次

248-7次

1995年立会 1995年立会 461次

118-4次 507次

413次

472次

568次

(2)

259

Ⅲ-2 平城京と寺院等の調査

土師器、須恵器、瓦片が出土した。

南北支溝SD11107  南北溝SD11106に取り付く弧状の 溝。長さ約4m、幅約25㎝で、深さ約30㎝。埋土は南北 溝SD11106に類似する。土坑SK11108と重複し、これよ り古い。

土坑SK11108  南北約1.2m、東西1.3m以上、径1.5m以 上、深さ約35㎝の不整円形の土坑。東西端は調査区外に 延びる。埋土には木炭片を多く含む。土師器、須恵器、瓦、

磚等が出土した。南北溝SD11106、南北支溝SD11107よ

りも新しい。 (芝康次郎)

4 出土遺物

 調査区から整理用コンテナ1箱分の土器・土製品およ び同コンテナ4箱分の丸瓦・平瓦片が出土した。以下、

土器のみ記述する。

土 器  奈良時代の須恵器・土師器を中心とする。図 282の1~3は土坑SK11108出土。須恵器杯A(1)は焼 成が軟質で、底部外面はヘラ切りの後、軽くナデ調整を 施す。杯B蓋(2)は口縁端部を屈曲させる形態である。

土師器椀A(3)は外面にヘラケズリを施した後、分割 ヘラミガキを施す。4は南北溝SD11106出土の土師器杯

A。内面に暗文はみられず、外面をc手法で調整する。

これらの土器は奈良時代後半の特徴を示す。(小田裕樹)

5 ま と め

 検出遺構は、条坊方位に沿う南北溝とそれに接続する 支溝、そして土坑である。出土遺物から、これらはすべ て奈良時代後半以降に埋没した遺構である。検出が想定 された木取山古墳の周濠は認められず、また古墳に関連 する埴輪等の遺物も全く出土しなかった。

 過去の木取山古墳推定地での調査では、古墳の南端(前 方部)で幅12m、深さ1mの葺石の残存する周濠が検出 されており、埋土からは円筒埴輪、蓋形埴輪片が出土し ている(第131-8次調査、『1981 平城概報』)。また前方部東 方の調査でも、幅10mの南北溝を検出しており(第151- 28次調査、『1983 平城概報』)、前方部西方でも周濠肩とみ られる落込みを確認している(第413次調査、『紀要 2007』)。 しかし、今回の調査区の東方でおこなわれた調査では、

奈良時代の東西溝や土坑状の落ち込みが検出されている のみで、古墳に関連する遺構や遺物は確認されていない

(第141-13次調査、『1982 平城概報』)。

 これらのことと今回の成果をあわせ考えると、木取山 古墳の南方(前方部)では周濠が存在するが、北方(後円 部)では、周濠が古代以降に削平を受けて消失している か、そもそも全周しない可能性がある。今後周辺の調査 をおこなう際には、これらを念頭に置いておく必要があ

る。 (芝)

図281 遺構検出状況(北から)

図282 第568次調査出土土器 1:4 10㎝

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参照

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