• 検索結果がありません。

企業制度の進化 と本質

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "企業制度の進化 と本質"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

研究論文

企業制度の進化 と本質

小 島 大 徳

アブス トラク ト

本稿 では、 これ まで論 じてきた企業 の本質的理解 か ら紐解 いた、新 しい企業制度 を展望 す ることを 目的 とす る。そのために、今 までの議論 をま とめるとともに、現代の株式会社 を中心 とした企業制度の検討 を行 い、新 しい企業制度 を検討す るための現代的課題 と実践 を検討す る。

企業経営は、2つの原理 によ り支 え られている。第1に、論理的な企業制度 は、全ての 者 が納得す る経営 に繋が る。 これ を企業論 の本質 とい う。第2に、効率的な企業経営は、

全ての者 に利益 をもた らす経営 に繋が る。 これ を経営学の本質 とい う。 この2つの本質 か ら、企業 を運営 し観察す る力が、経営にお ける経営者能力であ り市民能力 なのである。本 稿 では、 この 2つの原理か ら、新 しい経営学お よび企業制度 を模索す るための基礎理論 を 提示 し、今後 にお ける企業発展 を展望 しよ うとす るものである。

キ ー ワー ド :営利企業、非営利企業、経営機構 、 コーポ レー ト・ガバナ ンス、ステー ク ホル ダー

1.

株式会社 と企業制度

将来 にわたって変化す ることのない組織や制 度 はあ り得ない。 その ことは、幾度 もな く進化 し成長 し続 けてきた組織や制度 を、深 く検討す れ ばす るほ ど納得す る。 この ことは、経営学の 世界で も、 もちろん同 じである。経営学の中心 的な検討物である株式会社 も、今後、未来永劫、

今 日の姿のまま存在す ることは無い。 しか し、

絶対的に変わ らない もの も存在す る。 それ は、

有史以来の人 としての葛藤 か ら生まれ た人の本 質であ り、人 と社会 の関係 についての身分 と契 約 なのである。 ただ、その よ うに考 えると、本 質 を探究す る進化 を、人 は企業制度 を通 じて続 けていると認識す るのが正確 なのかも しれない。

実の ところ、新 しい会社制度 の興 りは、世界 の各地で確認す ることができる。 それが認識 で

きない、あるいは拡大 しないのは、新 しい会社 制度の興 りが、今 までの社会制度 に馴染 んでい ないか らである。今まで、数 百年 かけて成長 を 続 けてきた株式会社制度 を中心に経済が組 まれ てい る今 日、株式会社 に変わ る企業制度 を、一 朝一夕に作 り上げることは不可能である.だが、

新 しい生命 が常に芽生 え、それ を育てるのが、

将来 に対す る役割 の一つであるとす るな らば、

私たちの重要な使命 として付 け加 えなければな らないのである。

本稿では、 これまで論 じてきた企業の本質的 理解 か ら紐解いた、新 しい企業制度 を展望す る ことを 目的 とす る。そのために、今までの議論 をま とめるとともに、現代 の株式会社 を中心 と した企業制度の検討 を行 い、新 しい企業制度 を 検討す るための現代的課題 と実践 を検討す る。

企業制度の進化 と本質 75

(2)

表1 株式会社 と非営利企業の設置機 関

営利企業 非営利企業

株式会社 (一般社団法人公益社団法人) (一般財団法人公益財団法人)

最高意思決定機関 株主総会 社員総会 評議会

業務意思決定機関 取締役会 理事会 理事

業務執行機関 代表取締役 (執行役*) 代表理事 代表理事 監査機関 監査役会 (監査委員会*) 不要 (の場合理事会設置会社1名) 監事

* 委員会設置会社 の機 関 (出所)筆者作成。

2.

日本の営利企業 と非営利企業

2.1 営利企業 における企業倫理問題 と社会的 責任論

今 日の経営学において、企業倫理 の問題や社 会的責任論が声高 らかに叫ばれ 、根本思想 とし て営利 を保 持 してい る企 業 に、 非 営利 活動 を

「責任

「倫理」 として押 しつ ける傾 向にある。

しか し、非営利活動 は、ボ ランテ ィア思想 とい う営利 とは根本 的に異 なった発祥地か ら生まれ た活動 である。 そ して、非営利活動の核 となる ボランテ ィア思想 は、企業の営利活動 にそ ぐわ ないため、 自由の留保 によって営利企業か ら切 り離 された。 この よ うな、営利企業 に対す る非 営利活動 の押 しつ けは、現代 の企業 システムで 解決す るには、あま りに営利企業の根本思想 と 掛 け離れてい る。

自由の留保 が行 われ ることによって、ボラン テ ィア思想 を根本 とす る非営利活動 は、NPOや NGO、公 益法人や財 団法人 、 な どの市 民社会 や 国家機構 レベル で実践 されてきた。 この よ う

に、営利企業か ら切 り離 されてきた非営利活動 を、営利企業の経営活動 に組み込むのであれば、

営利 ・非営利 の壁 を越 えて非営利法人特有の法 人 システムをも営利企業の経営に取 り入れてい く必要があるのである。 しか し、今 日の経営学 において、営利活動 と非営利活動 に適 したガバ ナ ンス構造 を論 じることな く、企業倫理 の問題 76 国際経 営論集 No.38 2009

や社会的責任論が声高 らかに叫ばれてい るのに は、大きな問題 がある と言 わ ざるを得 ない。

コーポ レー ト・ガバナ ンスの中核 をな してい るのは、経営機構改革である。経営機構改革 と は、経営陣の組織体制 を整備す ることによって、

企業不祥事‑の対処、企業競争力 の強化 の姿勢 を企業内部か ら構築す ることを 目的 としてい る。

そ して、企業に とって最 も重要 なガバナ ンス機 能 とマネ ジメン ト機能 を制度化 し、組織化 した トップマネ ジメン ト機構 であるとい うことがで きる。

2

.

2

営利企業 と非営利企業のガバナンス機構

日本 の営利企業の主役である株式会社 と非営 利企業1の経営機構 は、それぞれ、 「会社法」 と

「一般社 団法人お よび一般財 団法人 に関す る法 律 (一般法人法)」に規定 され てい る。 日本 の 株式会社 と非営利企業の経営機構 に設置できる 機 関を比較 した ものが表 1である。株式会社 と 非営利企業 は、主 として、 (1)最高意思決定機 関、 (2)業務意思決定機 関、 (3)業務執行機 関、

(4)監督機 関、な どの機 関が法律 によって規定 されてい る。営利企業 と非営利企業 に設置でき る機 関は名称が異なるものの、大枠 の役割 だけ を比較す ると違いはみ られない。

これ らの機 関の組み合 わせ によって、経営機 構が決定す る。株式会社 は、会社法の規定では、

39通 りの経営機構 を構築す ることができるが、

(3)

図1 非営利企業 の経営機構 の種類

理事のみ

理事会非設置 ・監事設置型

一般社団法人 (公益社団法人)

一般財団法人 (公益財団法人) EiE営利 l亡業 ■

(出所)筆者作成。

一般社団法人 (公益社 団法人)

一般財団法人 (公益財団法人)

(出所)筆者作成。

理事会 ・監事設置型

理事会 ・監事 ・会計監査人設置型

監事 ・会計監査人設置型

会計監査人設置型

会計監査人非設置型

図2 各経営機構の設置機 関

理事 のみ 社員総会 理事

理事会非設置 .監事設置型 社員総会 理事 監事 理事会 .監事設置型 社員総会 理事 理事会 監事

理事会 .監事 .会計監査人設置型 社員総会 理事 理事会 監事 会計監査人

会計監査人設置型 評議員会 理事 理事長 監事 会計監査人

おおむね、①監査役会設置会社 、(診委員会設置 会社 、の2つ に分 け られ る。 これ と同様 に、非 営利企業のガバナ ンス構造 も設置 され る機 関に よって分 け られ る。表 1に表 され るよ うに、非 営利企業は、大 き く社 団法人2と財 団法人3に分 け られ る。 まず、社 団法人 は、①理事 のみ、② 理事会非設置 ・監事設置型、③理事会 ・監事設 置型 、④理事会 ・監事 ・会計監査人設置型、⑤ 監事 ・会計監査人設置型、の 5つ に分 けること ができる。つ ぎに、財 団法人は、①会計監査人

設置型 、②会計監査人非設置型、の2つに分 け ることができる。

さて、図 1で分類 された非営利企業の各経営 機構 の設置機 関を示 した ものが、図2である。

社 団法人 において、社員総会 と理事 を必ず設置 しなけれ ばな らない (一般法人60条1項)。その 他 の、理事会、監事、会計監査人、は任意で設 置す ることができる (一般法人60条2項)。また、

財 団法人 は、評議会、理事、理事会、監事、を 必ず設置 しな くてはな らない (一般法人170条1

企業制度の進化 と本質 77

(4)

図3 株式会社 と非営利法人の経営機構

理事会 ・監事 ・会計監査 人設置一般社 団法人

要具会設置会社

(出所)筆者作成。

項)。 そ して、会計監査人 は任 意 で設置す るこ とができる (一般法人170条2項)。

2.3 営利企業 と非営利企業の経営機構

社 団法人の経営機構 は、 5つ に分類 され、財 団法人 の経営機構 は2つに分類 され る。そのな かで も、最 も監視力が強い経営機構 は、社 団法 人 においては、理事会 ・監事 ・会計監査人設置 型 であ り、一般財 団法人 においては、会計監査 人設置型 であろ う。 これ らの経営機構 と株式会 社 の経営機構 を比較 した ものが図3である。

社 団法人 と財 団法人の経営機構 は、株式会社 の監査役設置会社 の経営機構 に近い といえるで あろ う。 これ らの経営機構 の最高意思決定機 関 は、業務意思決定機 関4と監査機 関5、会計監査 78 国際経営論集 No.38 2009

監査役設置一般財団法人

人 を選任 ・解任す ることができる。株式会社 に おいて、最高意思決定機 関である株 主総会 は、

株主が出資を権限の根拠 として組織す る。また、

社 団法人 において、最高意思決定機 関である社 員総会 は、社員 による経費の支払いを権 限の根 拠 として組織す る (一般 法人27条)。 そ して、

財 団法人 において、最高意思決定機 関である評 議員会 は、財 団法人 と委任 関係 にある評議員 に よって組織 され る (一般法人172条 1項)。 ここ か らも分か るよ うに、財 団法人の最高意思決定 機能 を担 う評議員は、株 主や社員 とは性格が異 なる。

業務意思決定機関は、最高意思決定機関によっ て選任 ・解任 され、業務執行機 関を選定 ・解職 す ることができる。株式会社 において、業務意 思決定機 関である取締役会 は、株主総会で選任

(5)

図4 株式会社の非営利企業への影響

(出所)筆者作成。

された3人以上の取締役で組織 され る (会社331 条4項)。 また、社 団法人 と財 団法人 の業務意 思決定機 関である理事会 は、社員総会 または評 議会で選任 された3人以上の理事 によって組織

され る (一般法人65条3項,173条3項).

監査機関は、最高意思決定機関によって選任 ・ 解任 され、会計監査人 を解任す ることができる。

また、監査役設置会社 において、監査機 関であ る監査役会 は、株 主総会で選任 され た3人以上 の監査役 で組織 され、その半数以上が社外監査 役 によって組織 され る (会社335条3項)。 そ し て、社 団法人 と財 団法人 の監査機 関である監事 は、 1人以上の監事で組織 され る。

この よ うに、一般法人 の構造が株式会社 の構 造 と類似 してい るのは、 「一般法人 の規律 の多 くは新会社法の規律 が援用 され ・‑(中略)‑・理 事 、監事、会計監査人 の権限 ・職務 、任期 、義 務 と責任 は株式会社 における取締役、監査役 に、

社員総会、理事会 は、株 主総会、取締役 にそれ ぞれ類似 した制度 となってい る6」か らである。

そのため、 「ガバナ ンスに関連す る規律 、役員 の損害賠償責任 とその免 除の制度、情報 開示 、 大規模法人が必ず講 じなけれ ばな らない内部統 制制度 な ど一般法人の根幹 となる規定は会社法 の影響が色濃い もの7」となるのである。株式会 社制度 が非営利法人制度 に影響 を与 え、株式会 社 と非営利企業の経営機構 にはそれ ほ ど大きな 違いはみ られ ない。 そ うであるな らば、営利企 業 を中心 として深化 してきた コーポ レー ト・ガ バナ ンスの中核 をなす経営機構改革は、営利企

業や非営利企業の垣根 を越 えて議論 され るべ き である。

3.

非営利企業 と利害関係者の関係

3.1 株式会社の経営機構

経営機構 改革は、営利企業や非営利企業の垣 根 を越 えて議論 され るべきであるが、類似す る 各経営機構 の違いを正確 に把握す るために、今 一度、詳細 な経営機構 の構造 を検討す る。株式 会社 の経営機構 は、先 に確認 した よ うに、おお むね、①監査役会設置会社、②委員会設置会社、

の2つ に分 け られ る。 それぞれの経営機構 は、

それぞれ監査役設置会社 を図5、委員会設置会 社 を図6、 として表す ことができる。

第1に、監査役設置会社 と委員会設置会社の 共通点 を検討す る。それぞれの経営機構 におい て、共通の役割 を担 ってい るは、株主総会 と会 計監査人である。最高意思決定機 関である株 主 総会は、 (1)株式会社 の組織 、運営、管理、そ の他株式会社 に関す る一切 の事項 についての決 議、 (2)取締役 、監査役お よび会計監査人の選 解任 、の2つ の権 限を有 してい る (会社295条 1項,329条 1項)。 また、株 主総会 は、 (1)刺 余金配 当請求権、 (2)残余財産分配請求権、 (3) 株主総会 の議決権、 (4)株主提案権、の4つの 権利 を有 している (会社105条,302条)。そ して、

株主総会の決議 は、株主の議決権の過半数 を有 す る株主が出席 し、出席 した株主の議決権の過 企業制度の進化 と本質 79

(6)

図5 監査役設置会社の経営機構

株主総会の権限 1株式会社の組鞍 、運営、

管理、その他株式会社 に関 す る一切 の事項についての 決議

2取締役 、監査役及び会計 監査人の選解任

株 主総会

最高意思決定機関

株主の権利 1剰余金配 当請求権 2残余財産分配請求権 3株主総会の議決権 4株主提案権

株主総会の決謙

株 主の譲決権 の過半数 を有す る株 主が出席 し、出席 した株主の議決 権の過 半数 をもって行われ る。

∴ 鳥

:I

: ,

取締役会

業務意思決定及び業務監督機関

取締役会の構成 取締役会は,3人以上の取締 役 か ら構成 され る。

取締役会の決議 議決 に加 わることのできる取 締役 の過半数が出席 し、その 過半数 をもって行 う。

締役の権 限 1業務行の決定 (1)重な財産の処分及 び譲

(3)支人その他の重要 な 使人 の選任及び解任 (5)社を引 き受ける者 の募集 (7)定規 定 に基づく取締

等の責任の一部免 除 2取締役の株務の執行の監督

・ i i , ‑ : : ‑ ‑ ' ' i : ; ‑ I . : =

代表取締役

取締役

二藍 ̲ = :

(2)額 の借財 (4)店 そのの重要な組

の設置変更及び廃止 (6)ンプ ラア ンス体制の構 築 (8)の他 の要 な業務意思決定

3表取締役の選 定

; 主 ご 1 ; =:

4内部統制システムの構築

(1)取締役 の職務 の執行 に係 る情報管理体制 (2)リス ク管理体制

(3)取締役 の職務執行が効率的に行われ る体制 (4)コンプライアンス体制

(5)グループ管理体制

代表取締役

業務執行機関

代表取締役の権限 株式会社の業務 に関す る 一切 の裁判上又は裁判外 の行為 をす る権 限を有 し ている。

代表者の損害賠償暮任 株式会社は、代表取締役 その他 の代表者 がその職 務 を行 うについて第三者 に加 えた損害を牌償す る 責任 を負 うO

企 業

表 取 締

(出所)筆者作成。

80 国際経 営論集 No.38 2009

監 査 役

業務 (適法性)及び会計監査機関

監査役会の構成 監査役会は3人以上の監査 役 で構成 され、その うち半

数以上が社外監査役で構成

:‑:‑̲

されなけれ ばな らない。

外社

外社内

監査役会の決謙

監査役の過半数 をもって行 う

監査役の権限

1取冶役の港務の執

監 査 ・ 監 査 報 告 の :

行 の

̲ ̲

i.‑

2 (1)取締役及び会計参与並び

二 : : I ‑ : 幸 三

計 監 査 人 会 計 監 査 報

3

子 会 社 へ の 監 査 請 求 監 査 役

監 1 査 監 役 査 会 報 の 告 権 の 作 限 成

〝 二作 東 ・ 」

監査役 監査報告 3監査方針、業務及び財産の 状況の調査方法、その他の監 査役の牡務執行に関する事項 の決定

にその他の使用人に対し て事兼の報告を求める (2)兼務及び財産の状況を調

査する

子会社

2常勤の監査役の選定及び解鞍

B

;

:

'i

:

i

‑ :

i?̲

常 勤 監 査 役

会計監査 人

会計監査機関

会 計 監

の権限

1 計 井 書 類 等

の手

及び会

計 監 査 報 告

暮の請求

二言

'

2 会 計 帳簿の槻覧

I

i

計 3 ( 書 類

及び付属明細書

瞳 時 計 井 書 類 連 清 書 十 井 暮 類

会計監査報告

3子会社に対すは兼

務 及 び 財 産 る の 報 状 告 況 請 の 求 調 ま 査 た

代 表 執 行 役 ( 執 行 役 含 む )

(7)

6

委員会設置会社 の経営機構

株主総会の権限 1株式会社の組織、運営、

管理、その他株式会社に関 する一切の事項 についての 決議

2取締役、監査役及び会計 監査人の選解任

株 主総会

最高意思決定機関

株主の権利 1剰余金配 当請求権 2残余財産分配請求権 3株主総会の議決権 4株主提案権

株主総会の決議

株主の議決権の過半数 を有す る株 主が出席 し、出席 した株主の議決 権の過半数 をもって行われ るO

取 締 役 の 選 解 任 譲 葉

取締役会

業務意思決定及び業務監督機関

取締役会の構成 取締役会は、3人以上の取締 役 か ら構成 されるQ

取締役会の決議 議決に加わることができる取 締役の過半数が出席 し、その 過半数 をもって行 う。

取締役の権限

委員会設置会社の取締役は一 定の例外 を除いて、委員会設 置会社の業務 を行 うことがで きないC

取締役会の権限 1業務意思決定

(1)経営の基本方針 (2)監査委員会の職務 の執

行のため必要なもの と して法務省令で定める 事項

(3)執行役 の職務の分掌及 び指揮命令の関係 その

取 締 役 会 及 表 び 執 執 行 行 役 役

他の執行役相互の関係に関す る事項 3

代 表 執 行 役 の 選 解 任

(4)取締役会の召集の請求 を受ける取締役 (5)コンプライアンス体制

の整備

っ 役 か て ら は 選 取 . 定 戟 締 執

代表執行役

代表執行役の権限 株式会社の業務 に関す る一 切の裁判上又は裁判外 の行 為 をす る権限を有 してい る。

執 行役

執行役の権限

1芸琵芸喜蓋雷雲差蓋蓋重

取 蘭 手 帝 会 執 行 役

2委員会設置会社の業務の 執行

(出所)筆者作成。

監 査 d

F コ こ

取締役会 内委員会

指名委員会

指名委員会の権限 株主総会に提出す る取締役の 選任及び解任 に関す る議案の 内容 を決定する。

兼L' i

i L

j

指名委鼻会 選解任議案

指名委員会の補成 指名委員会は、 3人以上の 委員で組殺 され、その うち の過半数は、社外取締役で なければな らないo

M

̲̲

社外 社外 社内

報酬委員会

報酬委員会の権限 執行役等の個人別の報酬 等の内容を決定す るD

舵 ‑ 一 斗撃

報酬重点会

報酬委員会の構成 報酬委員会は、 3人以上の 委員で組織 され、その うち の過半数は、社外取締役で なければな らない。

州1

監査委員会

監査委員会の権限 監査季長会の構成 1執行役等の職務の執行の監 監査委員会は、 3人以上の

査及び監査報告の作成 委員 で組織 され、その うち 2株主総会に提 出す る会計 の過半数は、社外取締役で

監査人の選任及び解任並 なければな らない。

びに会計監査人を再任 し ないことに関す る議案の 内容の決定

会計監査 人

会計監査機関

会 計 監

の権限

1 計 算 書 類 等 の 審 査 及 び 会 計 監 査 報 告 書 の

請求

星 意

2会計帳簿の閲算

i

I

計 井 書 類 及 び

付属明細暮

臨 時 計 井 書 類 連 結 計 算 暮 類

会計監査報告

3子会社に対する報告請求また

は業務及び財

. 産 ̲ の ̲ 状 況 ‑ の V 調 査

代 表 執 行 役 ( 執 行 役 含 む )

企業制度 の進化 と本質 81

(8)

半数 をもって行 われ る (会社309条1項)。会計 監査機 関である会計監査人は、計算書類お よび 付属明細書、臨時計算書類、連結計算書類 、を 監査 し、会計監査報告 を作成 しなければな らな い (会社396条 1項)。 また、会計監査人 は、会 計帳簿等 の閲覧お よび謄写、または取締役 、執 行役お よび会計参与な らび に支配人その他 の使 用人 に対 して、会計 に関す る報告 を求 めること ができる (会社396条2項)。 そ して、会計監査 人は、子会社 に対す る報告請求または業務お よ び財産 の状況 の調査 を行 うことができる (会社 396条3項)。

第2に、監査役設置会社 の機 関を検討す る。

監査役設置会社 は、株主総会 と会計監査人の他 に、取締役会、代表取締役 、監査役会、 を有す る経営機構 である。業務意思決定機 関お よび業 務監督機 関である取締役会 は、株 主か ら経営 を 委任 された取締役 が3人以上集 まって構成 され る (会社330条,331条4項)。取締役会 は、 (1) 業務執行 の決定、 (2)取締役 の職務 の執行 の監 督 、 (3)代表取締役 の選定 ・解職 、 (4)内部統 制 システムの構築、の4つの権 限を有す る (会 社362条)。業務お よび会計監査機 関である監査 役会 は、3人以上の監査役 で構成 され、その う

ち半数以上が社外監査役 で構成 され なけれ ばな らない (会社335条3項)。 また、監査役 は、 (1) 取締役 の職務 の執行 の監査お よび監査報告 の作 成 、 (2) 会計報告 の請求 と調査 、 (3)子会社

‑の監査請求、の3つの権限を有す る (会社381 条)。 また、監査役会 は、常勤 の監査役 の選定 お よび解職 を行 う権 限を有す る。業務執行機 関 である代表取締役 は、会社 の業務 に関す る一切 の裁判上または裁判外 の行為 をす る権限を有 し てい る (会社390条)。 また、代表取締役 は、そ の職務 を行 うについて、第三者 に加 えた損害 を 賠償す る責任 を負 ってい る (会社350条)。

第3に、委員会設置会社 の機 関を検討す る。

委員会設置会社 は、株主総会 と会計監査人の他 に、取締役会 、取締役会 内委員会、執行役 、 を 有す る経営機構である。業務意思決定機 関お よ び業務監督機 関である取締役会 には、株主か ら 82 国際経 営論集 No.38 2009

経営 を委任 された取締役 が3人以上集 まって構 成 され る。取締役会は、 (1)業務執行 の決定、

(2)執行役等の職務 の執行 の監督 、 (3)代表執 行役 の選定 ・解職 、 (4)内部統制 システムの構 築、の4つの権 限を有す る (会社416条)。取締 役会 内委員会 には、お もに指名委員会、報酬委 員会、監査委員会の3つの委員会がある (会社 2条12号)。 指名委員会 は、株 主総会 に提 出す 5取締役 の選任お よび解任 に関す る議案 の内容 を決定す る (会社404条 1項)。報酬委員会 は、

執行役 等 の個 人別 の報酬等 の 内容 を決 定す る (会社404条3項)。監査委員会 は、 (1) 執行役 等の職務 の執行 の監査お よび監査報告の作成 、 (2)株主総会 に提 出す る会計監査人の選任 お よ び解任 な らびに会計監査人 を再任 しない ことに 関す る議案 の内容 の決定 、 を行 う (会社404条 2項)。 業務執行機 関で ある執行役 は、 (1)敬 締役会 の決議 によって委任 を受 けた委員会設置 会社 の業務 の執行 の決定、 (2)委員会設置会社 の業務 の執行 、 を行 う権 限 を有す る (会社418 条)。 また、取締役会 で選定 され た代表執行役 は、代表取締役 と同様 に、株式会社 の業務 に関 す る一切 の裁判上または裁判外 の行為 をす る権 限を有 してい る (会社420条3項)。

3.2 社団法人の経営機構

社団法人の経営機構 は、先 に確認 した よ うに、

①理事 のみ、②理事会非設置 ・監事設置型 、③ 理事会 ・監事設置型 、④理事会 ・監事 ・会計監 査人設置型 、⑤監事 ・会計監査人設置型 、の 5 つに分 けることができる。 そのなかで も、最 も 監視力 が強いガバナ ンス構造 を有す る経営機構 は、理事会 ・監事 ・会計監査人設置型 である。

理事会 ・監事 ・会計監査人設置社団法人の経営 機構 は、図7の よ うに表す ことができる。

一般社団法人 の最高意思決定機 関である社員 総会 は、社 団法人の組織、運営、管理、その他 社団法人 に関す る一切 の事項 について決議す る こ とがで きる (一般 法人35条 1項)。 しか し、

株式会社 とは異 な り、社員 に剰余金 を分配す る

(9)

図7 理事会 ・監事 ・会計監査人設置社団法人の経営機構

社員総会の権限 1社団法人 の組織 、運営、管

理 、そ の他 社団法人 に関す る一切 の事項 について決議 す るこ とがで きる。

2社員 に剰余金 を分配す る旨 の決議 をす ることがで きな い。

社 員総会

社員総会の決議

最高意思決定機関 ①警 は各 1個の議 決権 を有す 社 員の義務

社員 は、定款 で定め る ところに よ り、一般社 団法人 に対 し、経費 を 支払 う義孝 を負 う。

社 員提案権 昌慧監禁 誓 社員は、理事に対 し、

一定の事項 を社員総会 の 目的 とす ることを請 求す る こ とがで きる。

当該社員 の議決権 の過 半数 を もって行 われ る。

③社員は、代理 人又は諸決権行 使書面に よって行使 できる。

理事会

業務意思決定及び業務監督機関

理事会の決諸

1議決 に加 わ るこ とので きる 理事 の過 半数 が出席 し、そ の過 半数 を もって行 う。

2理事会 の決譲 において、特 別 の利 害関係 を有す る理 事 は、議決 に加 わ るこ とが で きない。 理事会の権 限

1業務執行の決定

(1)重要 な財産 の処分及び (2)多額 の借財 譲受 け

(3)重要 な使用人の選任及 び解任

(5)コンプ ライ ア ンス体制 の整備

(7)代表理事の選 定及 び解

2蒋務の執行の監督 (妥 当性 )

t l : . :

.

!I:'

: 蛋 . . .

代表理事 4内部統 制システムの構築

(1)デ ィス クロー ジャー体制 (3)効率向上の為 の体制 (5)使用 人の管理体制 (7)監事 ‑の報告体制

(4)従 た る事務所 その他 の 重要な機 関の設置 、変 更及び廃止 (6)損 害賠償 責任 の免 除 (8)その他 の重要 な業務

執行 の決定

3代表理事 の選 定 ・解織

選定 張 代表理事

(2)リス ク管理体制 (4)コンプライ ア ンス体制 6)理事 の独 立性 (8)実効的 な監査体制

代表理事

業務執行機関

代表理事の権限 1理事会設置一般社団法

人 の業務 を執行す る。

23か月 に1回以上、 自己 の職務 の執行状況 を理 事会 に報告 しなけれ ば な らない。

代表者の損害尭鎌暮任 社団法人 は、代表理事そ の他 の代表者 が第三者 に 加 えた損害 を賠債す る責 任 を負 ってい る。

般財団

法人

(出所)筆者作成。

隻 査 戟 上 ⊂ ヒ コ .

監事

業務 (適法性)及び会計監査機関

監事の決議 監事の過 半数 をもって行 うb

事 の義 務 1理事会‑の報告義務 2理事会‑の出席義務 3社員総会 に対す る報告義務 監事 の権限

1職務執行

の 監 査 及 び 監 査 報 告 の 作

≡ ! ̲ 三 主 セ

2 報 状 告 況 の の 請 調 査 求 ・ 業 務 及 び 財 産 の

理 事

の服務の執行を監査

す る

監査報告

3子会

社 へ の

会計監査人 会計監査機関

会 1 計 計 井 査 及 び 会 計 監 査 報 告 の 作 成

i I

計 井 書 類

及び付属明細暮

会 計

監査報告

3 子 会 社

に対する会計報告又は

実 務 及 び

財産の調査

企業制度の進化 と本質 83

(10)

図8 会計監査人設置財団法人の経営機構

評議員会の権限 1一般 法人法 に規定 され る

事項お よび定義 に定めた 事項 に限 り、決議 で き る。

評議 員会 最高意思決定機 関

評議員と法人の関係 評議員提案権 評議員 と財 団法 人の関係

は、委任 に関す る規 定に 従 う.

評 議 員 は 、 理 事 に 対 し、一 定 の事 項 を評 議 員会 の 目的 とす るこ と を 請 求 す る こ と が で き る。

評津具会の決議

①評議 員 は、議 決 に加 わ る事 の で き る評 議 員 の過 半数 が 出席 し、そ の過 半数 を もっ て行 う。

(診特別 決護 にお い て、特別 な 利 害 関係 が あ る評議 員 は、

議論 に加 わ る こ とが で きな い。

理事会

業務意 思決定及び業務監督機 関

理事会の決議

1議 決 に加 わ るこ とので きる 理事 の過半数 が出席 し、その 過半数 をもって行 う。

2理事会 の決議 にお いて、特 別 の利 害関係 を有する理事 は、

議決 に加 わ る ことがで きない。

理事会の権限

1業務執行の決定

(1)重要な財産 の処分及 び (2)多額 の借財 譲受 け

(3)重要 な使 用人 の選任及 び解任

(5)コンプ ライ ア ンス体制 の整備

(7)代表理事 の選 定及 び解

(4)従 た る事務所 その他 の 重要 な機 関の設置 、変 更及 び廃止 (6)損害賠償斉任 の免 除 (8)その他 の重要な業務

執行 の決定

2職務の執行の監督 (妥 当性 )

3 代 表 理 事 の 選 定 ・ 解 織

農 . 解 職

代表理事

表理事

4内部統制システムの輔車

(1)デ ィスク ロー ジャー体制 (2)リス ク管理体制 (3)効率 向上の為 の体制 (4)コンプ ライ ア ンス体制 (5)使用人 の管理体制 (6)理事 の独立性 (7)監事への報告体制 (8)実効的な監査体制

代表理事

業務執行機 関

代表理事 の権限 1理事会設置一般社 団法

人の業務 を執行す る。

23か月 に1回以上、 自己 の職務 の執行状況 を理 事会 に報告 しなけれ ば な らない。

代表者の損害賠ttt任 社 団法人 は、代表理事 そ の他 の代表者 が第三者 に 加 えた損害 を賠償す る斉 任 を負 ってい る。

一般財団 法人

(出所)筆者作成。

84 国際経 営論集 No.38 2009

監事

業務 (法性

) 及

び 会計監査機関

監事 の決議 監事 の過 半数 をもって行 う。

事 の 義 務 1の報 告義 2の出席義務 3に対す報告義

監事の権限

1枚務執行の監査及び監査報告 の作成

理事 の特務の執行を監 する

監査報告

3子会社‑の監査請求

会 会

計 監 査 機 関

会 計 監 査 人 の 権 限

1 計 井 暮 類 等 の 手 套 及

び会計監壬報告の作成

l l

会 2 計 会 監 計 査 帳 人 簿 の 作 閲 成 覧

会 頭 使 用 人

書 十 井 暮 類 及 び 付

属明細書

会 計 監 査 報 告 3 子 会 社 に 対 す る

会計報告

又 は 兼 務 及 び 財 産

の調査

会 計 監 査 人

(11)

旨の決議 をす ることができない (一般法人35条 3項)。 また、社員 は、定款 で定 め る ところに よ り、一般社 団法人 に対 し、経費 を支払 う義務 を負 う (一般法人27条)。 そ して、社員 は、理 事 に対 し、一定の事項 を社員総会 の 目的 とす る

ことを請求す る権利 を有 してい る。

会計監査機 関である会計監査人 は、 (1)計算 書類等 の審査及び会計監査報告 の作成、 (2)会 計帳簿の閲覧、 (3)子会社 に対す る会計報告 ま たは業務及び財産 の調査、を行 う権 限を有 して い る。会計監査人 は、株式会社 にお ける会計監 査人 とほ とん ど同 じ役割 を有 してい るとい うこ

とができよ う (一般法人107条)。

業務意思決 定機 関お よび業務監督機 関である 理事会 は、社 団法人か ら経営 を委任 された理事 が3人以上集 まって構成 され る (一般法人64条, 65条 3項)。理事会 は、 (1)業務執行 の決定、

(2)職務 の執行 の監督、 (3)代表理事 の選定 ・ 解職、 (4)内部統制 システムの構築、の4つの 権 限を有す る (一般法人90条)0

業務お よび会計監査機 関である監事 は、 (1) 理事会‑の報告義務、 (2)理事会‑の出席義務、

(3)社員総会 に対す る報告義務、の3つの義務 を負 ってい る。 また、監事は、 (1)職務 の執行 の監査及び監査報告 の作成、 (2)報告 の請求 と 業務及び財産 の状況 の調査、 (3)子会社‑の監 査請求、の3つの権限を有す る (一般法人99条)。

業務執行機 関である代表理事 は、理事会設置 社 団法人の業務 を執行す る権 限、一般社団法人 の業務 に関す る一切 の裁判上または裁判外 の行 為をす る権限を有 している (一般法人77条4項)。 また、代表理事が行 う職務 について、第三者 に 加 えた損害 を賠償す る責任 は社 団法人が負 って いる (一般法人78条)。

3. 3

財団法人の経営機構

財 団法人 は、先 に確認 した よ うに、①会計監 査人設置型、②会計監査人非設置型 、の2つ に 分 けることができる。そのなかで も、最 も監視 力 が強いガバナ ンス構造 を有す る経営機構 は、

会計監査人設置型である。会計監査人設置財 団 法人 の経営機構 は、図8の よ うに表す ことがで きる。

財 団法人の経営機構 は、原則 として、社団法 人 と大 きな違いはみ られない。 なぜ な らば、一 般法人法において、財団法人の、理事、理事会、

監事 、会計監査人、に関す る規定は、社団法人 の規定が準用 され るか らで ある (一般法人197 条)。財 団法人 において、異 なる機 関は、最高 意思決定機 関である。財 団法人 において、最高 意思決定機 関は、評議員会 とい う。評議員会は、

株式会社 の株主や社団法人の社員 と異 な り、出 資 を前提 としないため、財 団法人 とは委任 関係 にある (一般法人172条 1項). そのため、株主 や社員 ほど大きな権限を有 している訳ではない。

社 団法人 と財 団法人の違いは、社員 と評議員 の権 限か ら読み取 ることができる。一般社 団法 人の最高意思決定機 関である社員総会 は、社団 法人 の組織 、運営、管理、その他社 団法人 に関 す る一切 の事項 について決議す ることができる (一般法人35条1項)。一方、財 団法人 の最高意 思決定機 関である評議員会 は、一般法人法 に規 定 され る事項及び定款 に定めた事項 に限 り決議 できる (一般法人178条2項)。つま り、社員 は 社団法人 に関す る一切 を決議できるのに対 して、

評議員 は決議できる内容が限 られてい るのであ る。 しか し、評議員 は、出資 を前提 としないた め、出資以外 の利害関係 を持つ者 によって構成 す ることが可能である。

以上で検討 してきた よ うに、各法人 の経営機 構 は、非常に類似 してい るが、最高意思決定機 関は、多少 の違いのあることを確認できた。つ ま り、株式会社 においては、法人が営利 を 目的 として設立 され るため、株 主には剰余金 の分配 を行 うことができる。 また、株 主は出資 を背景 として、大 きな権限を有 してい る。一方、非営 利企業である社 団法人 と財 団法人 は、剰余金 の 分配 をす ることができない。 また、財 団法人 に おいて、評議員 の権限は、株 主や社員 よ りも小 さいが、その構成員の選 出には、出資 を必要 と しないため、株主や社員 の選 出よ りも自由度が 企業制度 の進化 と本質 85

(12)

接 近

接 近

(出所)筆者作成。

認 め られてい る。

しか し、今 日の株式会社の実態 を検討す ると、

剰余金の分配 を しない企業や、社会貢献活動な どの非営利活動 を行っている企業が少なくない。

また、非営利法人 と称 しなが らも、営利活動 を 行 っている非営利法人 も少な くない。営利活動 を行 う非営利法人の代表的なものには、事業型 NPOな どが挙げ られ よ う。 このよ うに、経営機 構が類似 している株式会社 と非営利企業は、活 動内容までも接近 し始 めているといえるであろ

う。

4

新たな企業制度の構築にむけて

4.1 コーポ レー ト ・ガバナンスの非営利企業 への影響

株式会社の企業競争力 と企業不祥事‑の対処 を 目的 として構築 されてきたコーポ レー ト・ガ バナ ンスは言及す るまでもな く、株式会社 のた めに論 じられてきた。 しか し、株式会社 を中心 として論 じられてきたコーポ レー ト・ガバナ ン スは、今やイギ リスな どの国において、非営利 企業 に も制度 的活用 がな され てい る。 小 島愛 [2008]は、図10に表 した よ うに、 「『サーベ ン ス ・オクスレ一法 (Sarbanes一〇XleyActof2002)

』 の影 響 を受 けた 『ヒ ッグス報告 書 (Higgs report)』 と 『新統合規範 (Combined Code of Corporate Governance)』 とによって、『新NHS 86 国際経 営論集 No.38 2009

プ ラン (TheNHSImprovementPlan)』 が公表 されたのであった。それが、病院における原則 として確 立す る 『ガバナ ンス ・ハ ン ドブ ック (Integrated Govemance Handbook)』 を導 いた のである8」と指摘す る つま り、 コーポ レー ト・ガバナ ンス原則 (原則)が、非営利企業の 代表格である病院経営に影響 を与えていること を明 らかに したのである。

イギ リスにおいて、原則が病院経営に影響 を 与 えることで、ガバナ ンス ・ハ ン ドブ ックが策 定 され、コーポ レー ト・ガバナンスの実践 を促 進 している。特に、ガバナ ンス ・ハ ン ドブ ック は、病院の経営機構改革 を中心 としてい る9。

これ によって、イギ リスの病院は、多発す る医 療過誤 と経営の赤字化の解決 を図っている。イ ギ リスにおいて、株式会社制度が非営利法人の 経営機構 に影響 を与 えたよ うに、 日本 において も、株式会社 のコーポ レー ト・ガバナンスが非 営利企業である病院に影響 を与えるのは、ほぼ 確実であろ う。

4.2 利害関係者 による経営参画

イギ リスの病院経営において、株式会社のコー ポ レー ト・ガバナ ンス とは、異なるコーポ レー ト・ガバナンスの深化 をみせているものがある。

小 島愛[2008]は、病院の潜在的な患者 であるコ ミュニテ ィ、つま り、地域住民や患者 な どが、

病院の第1義的利害関係者であるとされ、コミュ

(13)

図10 病 院 経 営 と コ ー ポ レ ー ト ・ガ バ ナ ン ス 原 則

コー ポ レー ト ガ バ ナ ン ス 原 則 と病 院 ‑ の 浸 透 策定の経緯 内容 と各時期の特徴

EUのコーポ レー ト・ガバナンス全般 に影 響

2003ヒッグ ス 報 告 書

NHSのガバナ ンスに重 大な インパ クト

提 案

2003新統 合規範

2004新NHSプ ラン

(2000NHSプ ラン の 改 訂 版 )

アメ リカでは、 1990年代末に始まるエン ロンや ワール ド・コムを代表 とす る大型不 祥事を契機 として、2002年のサーベンス ・ オクス レ一法 (the Sarbanes‑OxleyAct) が制定 された。

イギ リスでは、 1992年のキヤ ドバ リー報 告書以降、脈 々 と原則が策定 されていた。

そのようななか、2003年、 ヒツグス報告書 が、サーベンス ・オウス レ一法か ら直接影 響 を うけ発表 された。そ して、この報告書 、 1998年発表の統合規範 (キヤ ドバ リー 報告書や グ リー ンプ リ‑報告書、ハ ンベル 報告書を統合 した原則)の改訂 を提案する。

2003年には、主に、 ヒツゲス報告書の影 響 を受け、新統合規範が策定 され る。 これ を実践的にす るためのガイ ドラインも作 ら れたC

2000年に発表 されたNHSプラン(The Nevr NHS P一an)は、社会保障や 医療な ど、す べてを刷新 しよ うとす るものであった。そ して、 これ の応用版 として、保健省 は、

2004年 、新NHSプラ ン (The Improvement P一an)を発表す る。 これの一環 として、同 年、より民営化 された経営を行 うファンデー シ ョン ・トラス ト(FoundatlOn Trust) 設立 された。そこでは、 コーポ レー ト・ガ バナ ンスをめざしなが ら、社会に開かれた 病院経営が展開 されている。

ファンデー シン・トラストの ガバナンス

2006ガ バ ナ ン ス リ \ン ドブ ック

(出所)小 島愛[2008]89

新NliSプラン以降、第一次医療 の病院に も、第二次医療の病院においても、コーポ レー ト・ガバナンスを実践す る法律が策定 されてい る。 このよ うななか、民間企業 と の相違点を認めなが らも、 とりわけ、 コー ポ レー ト・ガバナンスにおける手段 を生か しなが ら、経営を行 うための、実践的なガ バ ナ ンス ・ハ ン ドブ ック (lntegrated Governance Handbook)が発表 された。

内容

取締役会内における監査人の独立性の 強化、取締役の責任 と義務の強化や情報 開示の徹底な どが盛 りこまれた。

特徴

この法律 は、内部統制の重要性 を説い たことや、EUにおけるコーポ レー ト・ガ バナンスの再検討‑波及 した ことが特徴 とされ る.

内容

ここでは、取締役会内の少なくとも半 数は、非執行役であるべきことや、取締 役会が有効に機能す るための規模が強調 された。

特徴

この報告書は、統合規範の改定を促す ばか りか、NHSその もののガバナ ンスに も重大な影響 を与えた。

内容

1998年の統合規範 に、 ヒッグス報告書 やス ミス報告書の内容 を加 え、取締役会 のあるべき姿を定義付 けなが ら、構築す るための規定。

特徴

統合規範 を契機 として、病院‑、コー ポ レー ト・ガバナンスとコーポ レー ト・

ガバナンス原則の応用が示 され ることに なる。そ して、病院における原則が策定 されてい く。

内容

新NHSプランでは、患者 のための医療 をさらに促進す るために、第一次 ・第二 次医療のあ らゆる レベルにおける問題点 の解明を した。

特徴

新NHSプランでは、 トラス ト病院お け る民営化 と地域住民の参画な どを進 めた ものの、 コーポ レー ト・ガバナンス こそ なかった。 しか し、 この新NHSプランを きっかけに誕生 したファンデーシ ョン ・

トラス トを中心 として、コーポ レー ト・

ガバナンスの実践を理念 として明記 しな が ら、 トップ ・マネジメン ト改革 を中心 としたコーポ レー ト.ガバナンスが展開 され始めた。

内容

経営者が、患者のいる地域のために、

病院における目的や安全性、質の向上を 高めるためのシステム、過程、行動が書 かれている。

特徴

ついに、保健省が、 トラス ト病院な ど の経営者に向けて、コーポ レー ト・ガバ ナンス原則 を提示 し、それの実践をも推 奨 した。 このことは、国際機 関と機 関投 資家、国内機 関において策定 されたコー ポ レー ト・ガバナンス原則が、各企業に 浸透 し、企業独 自原則が作 られ るよ うに なったことと類似 しているQ

企業制度の進化 と本質 87

(14)

図11 非営利法人制度の株式会社制度への影響

(出所)筆者作成。

ニテ ィが病院の経営に参加 していることを明 ら か に した10。 小 島愛[2008]に よる と、イ ギ リス の病院形態の 1つであるファンデー シ ョン ・ト ラス ト日において、経営の基盤 は、地域 の病院 に登録 した地域住民が担ってお り、病院の最高 意思決定機 関である評議会 (Members'council) は、主に、登録者 のなかか ら選 出 された者が理 事会 (ExecutiveDirectors)の支援 をしている12。

株式会社 において、監視 ・牽制 を強化す るた めに、社外取締役制度や取締役会内委員会制度 な どが採用 されてきた。 しか し、株式会社 にお いて、イギ リスの病院に根付いているコミュニ テ ィな どの利害関係者 を経営の意思決定に参加 させ るとい う試みは、ほとん ど無い といえる。

このよ うに して、株式会社か ら非営利企業に輸 入 されたコーポ レー ト・ガバナ ンスは、イギ リ スの病院において、非営利企業の公益性の概念 を吸収 し、株式会社 におけるコーポ レー ト・ガ バナ ンス とは異なる深化 をみせてい る。

このよ うなイギ リスにおける病院経営の取 り 組みは、一見、第 1義的利害関係者 の違いか ら 生まれ るもので しかない よ うにもみえる。 しか し、今や営利性 を追求す る株式会社が、社会貢 献活動 を積極的に実施 した り、病院が赤字経営 を克服す るための営利性 を追求 した経営をす る ことが必要な社会 となったのである。つま り、

営利企業 と非営利企業の経営活動の範囲が広ま り、双方の差が徐 々にな くな りつつあるといえ る。そ うであるな らば、図11に表 したよ うに、

88 国際経営論集 No.38 2009

株式会社制度の非営利法人制度 に与えた影響が 非営利法人制度のなかで改善 され、それ を株式 会社が再度取 り入れ る必要があるだろ う。その よ うに して、営利企業 と非営利企業は、相互に 影響 を受 けて深化 してい くべきなのである。

4.3 営利企業におけるステークホルダー ・ボー ドの役割

イギ リスにおいて、病院経営でみ られたよ う な、ステークホルダーが経営の意思決定に影響 を与えている株式会社が存在す る。その企業は、

オ ックス フォー ド ・バ ス会社 (The City of OxfordMotorServicesLtd)である。 オ ックス

フォー ド・バス会社は、イギ リスにおいて、バ ス会社の5大メージャーの1つであるゴー ・ア‑ ツ ド・グルー プ (TheGo‑Ahead Groupplc.)が 株式 を100%所有す る完全子会社である。 注 目 すべきことに、オ ックスフォー ド・バス会社は、

経営を監視する機関として、ステークホルダー ・ ボー ドを有 しているのである。

表2に表 したように、ステークホルダー ・ボー ドの役割は、経営活動の監視 ・助言を行 うこと である。また、ステークホル ダー ・ボー ドは、

顧客 ・従業員 ・コミュニテ ィのメンバーのニー ズに即応 し事業を改善す ることを 目的 とす る。

ステークホルダー ・ボー ドは、①永久職務会員、

②顧客代表、③オ ックスフォー ド市内の大雇用 主、④地域の圧力団体代表、6)従業員代表、な

(15)

2

ステークホルダー ・ボー ドの詳細 役割 経営活動の監視 .助言

目的 顧客 .従業員 .コミュニティのメンバーのニーズに即応 し事業を改善すること

会員 ①永久職務会員

②顧客代表

③オックスフォー ド市内の大雇用主

④地域の圧力団体代表

⑤従業員代表

参加方法 電話もしくはE‑mailによる申込 任 期 2‑3年

報酬 無報酬

(出所)筆者作成。

表3 ステークホルダー ・ボー ドの原則 基本規約

バスのサー ビスの提供に関する決定において、乗客、大雇用主、会社代表の見解や関係が考慮に入れ られ ることを保証すること

目的 と展望

① 顧客、従業員およびマネージャーの主な要求についての協定を定めること

② 監視 し意見 と勧告をすること

③ 顧客 とスタッフ両方のためにできる改善方法を関係当局と共に調査すること

④正当な配慮がスタッフおよび顧客の健康および安全性に対 して与えられることを保証すること

⑤顧客の見解が聞かれ、適切な処置が講 じられることを保証すること

⑥標準手順内で十分に解決 されていないステークホルダー ・ボー ドの注意に対 してもた らされた顧客の苦 情を調査 し解決を要求すること

⑦障害のある乗客に対する方策に従事することを保証 し、潜在的な改善点を見つけ出すこと (勘ステークホルダー ・ボー ドの業務を詳 しく述べる年次報告を編集すること

(出所)oxfordBusCompany[2008a]p4.を参考に筆者作成O

どに よって構成 され る。潜在 的な乗客である地 域住 民が、ステー クホル ダー ・ボー ドに参加す る場合 は、電話 も しくはE‑mailで 申 し込む こ と が必要であ る。会員 の任期 は、 2年 か ら 3年 と されてい る。 ステー クホル ダー ・ボー ドに参加 す る会員は、ボランテ ィアでステークホルダー ・ ボー ドに参加 す るた め、会員 に報酬 は支払 われ ない。 これ に よって、ステー クホル ダー ・ボー ドの独 立性 が保 たれ るので ある。 ステー クホル ダー ・ボー ドの開催頻度 は、2か月 に1度 で、

会員 の出席 率 は高い といわれ てい る13。

また、表3で表 したように、ステークホルダー ・ ボー ドは、バ スのサー ビスの提供 に関す る決定 において、乗 客、大雇 用主、会社代表 の見解や

関係 が考慮 に入れ られ ることを保証す ることを 基本規約 としてい る。 そ して、オ ックス フォー ド ・バ ス会社 が定 めるステー クホル ダー原則 に ステー クホル ダー ・ボー ドの 目的 と展望が記載 され てい る。 ステー クホル ダー ・ボー ドの 目的 と展望 は、①顧 客、従業員お よびマネー ジャー の主 な要求 についての協定 を定 めること、②監 視 し意見 と勧告 をす るこ と、③顧 客 とスタ ッフ 両方 のためにで きる改善方法 を関係 当局 と共 に 調査す ること、④正 当な配慮 がスタ ッフお よび 顧客 の健康お よび安全性 に対 して与 え られ るこ とを保 証す ること、⑤顧 客の見解 が聞かれ、適 切 な処置が講 じられ るこ とを保証す ること、⑥ 標準手順 内で十分 に解決 されていないステー ク 企業制度の進化 と本質 89

表 1 株式会社 と非営利企業の設置機 関 営利企業 非営利企業 株式会社 ( 一般社団法人 公益社団法人) ( 一般財団法人 公益財団法人) 最高意思決定機関 株主総会 社員総会 評議会 業務意思決定機関 取締役会 理事会 理事 業務執行機関 代表取締役 ( 執行役* ) 代表理事 代表理事 監査機関 監査役会 ( 監査委員会*) 不要 (の場合 理事会設置会社1名) 監事 * 委員会設置会社 の機 関 ( 出所)筆者作成。 2
図 1 非営利企業 の経営機構 の種類 理事のみ 理事会非設置 ・ 監事設置型 一般社団法人 ( 公益社団法人) 一般財団法人 ( 公益財団法人)EiE営利 l亡業 ■ ( 出所)筆者作成。 一般社団法人 ( 公益社 団法人) 一般財団法人 ( 公益財団法人) ( 出所)筆者作成。 理事会 ・ 監事設置型理事会 ・監事 ・ 会計監査人設置型監事 ・会計監査人設置型会計監査人設置型会計監査人非設置型図2各経営機構の設置機 関理事 のみ社員総会理事理事会非設置 .監事設置型社員総会理事監事理事会 .監事設置型社
図 3 株式会社 と非営利法人の経営機構 理事会 ・ 監事 ・ 会計監査 人設置一般社 団法人 要具会設置会社 ( 出所)筆者作成。 項)。 そ して、会計監査人 は任 意 で設置す るこ とができる ( 一般法人1 70 条2 項) 。 2
図 4 株式会社の非営利企業への影響 ( 出所)筆者作成。 された 3 人以上の取締役で組織 され る ( 会社 3 31 条 4 項)。 また、社 団法人 と財 団法人 の業務意 思決定機 関である理事会 は、社員総会 または評 議会で選任 された 3 人以上の理事 によって組織 され る ( 一般法人 6 5 条 3 項 , 1 7 3 条 3 項)
+7

参照

関連したドキュメント

今回の授業ではグループワークを個々人が内面化

目的 これから重機を導入して自伐型林業 を始めていく方を対象に、基本的な 重機操作から作業道を開設して行け

う東京電力自らPDCAを回して業 務を継続的に改善することは望まし

本事業を進める中で、

シンガポール 企業 とは、シンガポールに登記された 企業 であって 50% 以上の 株 をシンガポール国 民 または他のシンガポール 企業

なお︑本稿では︑これらの立法論について具体的に検討するまでには至らなかった︒

本市の公共下水道事業は、平成に入ってから本格

 5つめは「エンゲージメントを高める新キャリアパス制度の確