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新たな筋横断面積指標の確立 Establishing a new index of muscle cross-sectional area

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Academic year: 2021

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【課程内】

 

 

博士(スポーツ科学)学位論文  概要書   

 

新たな筋横断面積指標の確立   

Establishing a new index of muscle cross-sectional area

   

                       

2009年1月

 

   

早稲田大学大学院  スポーツ科学研究科 

赤木  亮太  Akagi, Ryota

 

研究指導教員:  矢内  利政  教授 

 

(2)

 

【研究背景】

筋横断面積は,ヒトの身体運動を生み出す骨格筋の力発揮能力の最も基本的なパラメータである筋力に 比例する (Bamman et al. 2000).磁気共鳴画像 (MRI) 法およびコンピュータ断層撮影法は筋横断面積を正 確に評価できる半面,数多くの人を対象とした骨格筋の力発揮能力の計測場面での調査には適していない.

このような場面では,より簡便な方法で筋横断面積を評価することが必要となり,超音波法や巻尺が利用 されることが多い.

超音波法あるいは巻尺による測定値を用いて筋横断面積を推定する際に,筋厚の2乗 (Martinson and Stokes 1991) や体肢周径囲の2乗 (de Koning et al. 1986) がその指標として考案されてきた.しかし,前者は 筋幅 (筋厚と垂直方向の長さ) を反映せず,筋横断面積を推定する指標としての精度は対象筋の形状に依 存する.また,後者は対象筋の横断面積を過大評価する.筋横断面積をより反映した指標が新たに考案さ れれば,単位横断面積あたりの力 (固有筋力) をより精度よく算出することができ,骨格筋の力発揮特性 の評価にも応用可能である.

肘関節屈筋群のような平行筋では,等尺性収縮に伴い筋厚が増加し (Hodges et al. 2003),筋横断面積指標 における収縮要素の横断面積の占める割合の増加が示唆される.それ故,筋力との関係を検討する際には,

収縮時の筋横断面積指標を測定すべきであると考えられるが,収縮中の筋横断面積と筋力との関係につい てはこれまで検討されていない.

本学位論文は,肘関節屈筋群を対象に,新たな筋横断面積指標を作成し,等尺性最大随意収縮 (MVC) 中の筋横断面積指標と筋力の関係を検討することを目的とした.そのために,1) 最大下収縮に伴う筋横断 面の変化を定量し (研究1),2) 安静時,MVC時双方の筋横断面積を評価できる指標を作成し (研究2),そ して3) 安静時,MVC時双方での筋横断面積指標と筋力の関係を検討した (研究2,研究3).

【研究内容】

・研究1

安静時および30%MVC時における肘屈筋群の横断面の定量をMRI法により行った.その結果,収縮に伴 い,筋横断面積および筋厚は増加し,筋幅は減少した.このことは,収縮に伴う筋横断面積の変化を筋厚 だけでは説明できないことを意味するものである.それ故,筋幅も反映している指標である筋厚と体肢周 径囲の積 (MT×C) は,筋厚の2乗よりも筋横断面積を正確に評価できることが示唆された.

・研究2

初めに,超音波法および巻尺により得られた安静時の筋厚 (MTr) および体肢周径囲 (Cr) の積 (MTr×Cr) とMRI法により得られた筋横断面積の関係を検討した.その結果,MTr×Crは上腕長60%部位の筋横断面積 (CSA60) および筋横断面積の最大値 (CSAmax) の双方と高い相関関係がみられ,両者の回帰直線のy切片は0 と有意な差がみられなかった.つまり,超音波法および巻尺により得られたMT×Cが筋横断面積の指標と して適切であることが示された.次に,若年齢者を対象に,安静時およびMVC時の筋横断面積指標 (MTr×CrおよびMTm×Cm) と筋力 (F) の関係を検討した.その結果,ともに有意な相関関係がみられ,両者 の相関係数間に有意な差はみられなかった.しかしながら,ステップワイズ法による重回帰分析により,

MTm×CmのみFの有意な説明変数として選定された.以上のことから,MTm×CmとFの関係は,MTr×CrとFの それと同等あるいはそれ以上に密接であることが示唆された.

・研究3

中高年齢者を対象に,MTr×CrおよびMTm×CmとFの関係を検討した.その結果,ともに有意な相関関係が みられたものの,MTm×CmとFの間の相関係数はMTr×CrとFの間のそれよりも有意に高かった.この結果は,

研究2で示された若年齢者の結果と異なった.その要因として,中高年齢者のMTr×Crの筋横断面積の推定 精度が若年齢者と比べて低く,それに応じて,MTm×CmとMTr×Crの筋横断面積の推定精度の差が若年齢者 よりも顕著になることが推察された.

【結論】

収縮に伴い筋横断面積および筋厚は増加し,一方で筋幅は減少した (研究 1).超音波法および巻尺によ り得られた MT×C は,筋厚および筋幅の両方を反映しており,安静時,収縮時の双方で適用可能な筋横断 面積指標であることが示された (研究2).そして,MTm×CmとF の関係は,MTr×Crと Fのそれよりも密接 であった (研究2,研究3).これらの知見から,MT×Cは筋横断面積を簡便に推定する指標として適切であ り,MVC 時のそれは安静時のものよりも骨格筋の力発揮特性を正確に表し得る指標となると結論付けられ た.

 

参照

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