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本格焼酎の品質向上と酵母育種に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

本格焼酎の品質向上と酵母育種に関する研究

工藤, 哲三

https://doi.org/10.11501/3088191

(2)

第5章 優良キ ラー焼酎酵母の造成及び その遺伝 ・ 育種と実用化試験

5 . 1 緒 日

雑菌の混入防止策は 、 微生物を取り扱う生産工程には 必要不可欠な技術であるが 、 開放発酵方式による清酒や 焼酎等の伝統的な醸造工業に おい ては 、 雑菌の混入を完

全に防止する こ とはかなり難しい 。 発酵系に侵入する雑 菌は細菌 、 糸状菌及び野生酵母等多種多様であり 、 中で も優良培養株と同種の野生酵母に対しての有効な侵入防 止法はほとんどない

醸造酵母はそれ ぞれの酒類に応じ て長年かけて選抜さ れた 優良株であり 、 焼酎酵母である宮崎酵母もその 一 つ である 。 前章で述べたように焼酎穆より検出される野生

酵母は大部分が キ ラー感受性酵母であり 、 野生キ ラー酵 母の存在は稀であ っ た 。 本章では 、 こ のような状況を考 慮に入れて 、 野生酵母の混入を防止し移管理を容易にす る こ とを目的として 、 キ ラー プラ ス ミドの宮崎酵母への 導入を行い 、 野生酵母の増殖を抑制する機能を有する酵 母の造成を試み た 。

プラ ス ミドの導入法としては 、 性的援合や細胞融合等 の細胞質のみならず核の融合を伴う方法や 、 細胞質のみ を目的の菌株に導入する細胞質導入( C y t 0 d u c t i 0 n )法な

どがある 。 一般的な↑生的接合や細胞融合法では 、 両者の

- 130 -

(3)

核の合体により雑種が生まれ優良性が損なわれる危険性 がある 。 大内らは 、 こ の雑種化を防ぐ方法とし て反復戻 し交配法14 4 )や核融合欠損変異株( karl)を利用する

Cytoduction 145)法により優良清酒酵母のキラー化を実 現し てい る

本研究では 、 核融合欠損変異株を用いたCe 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n g法と Cy t 0 d u c t i 0 n法により焼酎酵母のキラー化を

試みるこ とにした 。 キラー形質とし てK 1及びk 2を選んだ 。 K 1のキラートキシ ン はK 2のキラートキシ ンに比較し て耐

熱性はないがキラー活性は強く 、 一方K 2トキシ ン は30 OC におい ても失活しにくい 。 焼酎穆では穆温度が30 OCを超

えるこ ともあるので 、 育種したキラー宮崎酵母の野生酵 母に対する淘汰能力に つい て試験醸造を行い検討するこ とにした

5 . 2 実験方法 5 . 2 . 1 使用 菌株

表5- 1に使用した菌株を示す 。

5 . 2 . 2 C e 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n g法による焼酎酵母

のキラー化

ホモ タリズム酵母である宮崎酵母を胞子形成培地にお い て胞子形成させ 、 その菌体 の一白金耳をZ y m 0 1 y a S e

1 0 0 T (生化学工業; 1 m g / 10m 1 )液に懸濁させ 、 30 OC 、 15分 処理後Y P D薄層プレ ート上に接種し た 。 胞子嚢中に4個の

(4)

用使

表5-1

現 型 型 - 表

子伝

株 遺 菌

KIL-b(k1)]

KIL-b (k2)] [next-o]

a/α pho 3 α his4,kar1^'1[

a his4,kar1^'1[

a leu-1,kar1^'1 α his4^'15,kar1^'1

a/α 5055

T-101 (野生焼酎酵母) 宮崎酵母

5038 5 170 5044

-山山『守』

択 培

表5-2 選

%

%

% 0.67 2.0 5.0 base

nitrogen グルコース

AB混液残 寒天 Yeast

2.0 %

※AB混液100ml中の組成

Tryptophan,Arginine,Methionine 各48mg Tyrosine,Leucine,Isoleucine,Lysine 各72mg Phenylalanine 1 20mg,Aspartic acid 200mg,

Valine 300mg,T hreonine 400mg ,Uracil 48mg Adenine sulfate 200mg

132 -

(5)

胞子を形成し てい る胞子嚢を 、 L e i t z製ミク ロ マニ プレ ーターを用い て胞子解剖を行い 、 単胞子をYPDプレ ート

上に4 m m間隔で碁盤目状に並べた 。 こ のプレ ートを 、 3 0 OCで4 6時間ふ卵器中で培養した 。

ホ モタリズム酵母の単胞子は 、 胞子発芽後2度目ある

い は3度目の分裂に おい て性の転換が起こ り 、 未転換の 細胞と転換 した細胞の問で接合が起こ る 。 従 っ て 、 胞子 は発芽後2回目の出芽までは接合能を有し 、 ヘテ ロ タリズ ム酵母の a(または α)型単相株と α(または a)型胞子と の間のC e 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n gが可能である 。

単胞子培養後 、 プレ ート上に並べた単胞子のそれぞれ に 、 キラー親株の単相株をミク ロ マニ プレ ータ で援触

させ 、 3 0 OC 、 4 8時間培養した 。 各交雑で得られる コ

ーを最少培地(グル コ ー ス2 % 、 y e a s t n i t r 0 g e n b a s e o . 6 7 % 、 寒天2 % )に移植し3 0 OC 、 4 8時間培養後キラー検 出用YP D - M Bプレ ートにレ プリカを行 った 。 キラー活性を 有し最少培地で生育する コ ロ ー をキラー導入株とし て

選択した 。

5 . 2 . 3 細胞質導入(C y t 0 d u c t i 0 n )法による焼酎酵母の キラー化

C y t 0 d u c t i 0 nの方法はおおむね西谷ら1 '" 6 )の方法に従 い 菌体調製 、 プロ トプラ スト形成 、 融合 、 細胞壁再生及

ぴ融合株の濃縮を行 った 。 すなわちYP D培地で3 0 OC 、 24

(6)

時間培養した前培養菌体o . 2 m 1を同培地50 m 1に後種し、

3 0 OC 、 9時間振と う培養を行 った 。 培養液を3000 r p mに て遠沈集菌し、 滅菌水で2回洗浄後、 2. 5 m 1のS T溶液(1 M

S 0 r b i t 0 1、10mM T r i s -H C 1 p H 7 . 4 )に懸濁後、 o . 5 M E D T A

(pH 7.5) O.lml、 β-m e r c a p t 0 e t h a n 0 1 O. 0 5 m 1を添加し 3 0 OC 、 10分間加温した 。 遠沈集菌後2. 5 m 1のS T溶液で洗 浄し、 o . 25m g Z y m 0 1 y a s e 1 0 0 Tと10mM E D T Aを含むS T溶液 2 . 3 m 1加え 、 30 OCにて10 "-' 3 0分間浴菌した 。

集菌後S T溶液で2回洗浄しS T C溶液(1 M s 0 r b i t 0 1、 10mM T r i s -H C 1、 10mM C a C 1 2 、 pH 7 . 4 ) 1 m 1に懸濁させた 。 融合

相手株も同様の処理を行い 、 両者をほぼ同じ菌数でS T C 溶液に 混合し30 OC 、 1 5分間振と うした 。

集菌後1 m 1のP T C溶液(3 5 %ポリエチレ ン グリ コ ー ル40 o 0、 10mM T r i s -H C 1 p H 7 . 4 10m M C a C 1 2 )を加え 、 30 OC 、 2 0分間融合処理した 。 集菌後S T C溶液で2回洗浄しo . 5 m 1 のS T C溶液に懸濁した 。 そのo . 1 m 1を1 M s 0 r b i t 0 1を含む ヒ スチジ ン を抜い た選択培地(表5 - 2 )に塗沫し 、 同培地 を重層後30 OC 、 7日間培養し細胞壁の再生を行 った 。

次に再生プレ ートを破砕しヒ スチジ ン を抜い た選択培 地50 m 1に入れて25 oc 、 4 8時間培養した 。 こ の1m 1をとり 、 融合相手のキラー親株の培養液1m 1とともにpH 4 . 5 のY P D 培地10 0 m 1に加え て25 oc 、 4 8時間培養し、 キラー化して

- 134 -

(7)

い ない 宮崎酵母を殺し 、 次にヒ スチジ ンを抜い た選択培 地に上記のY P D液体培地の培養液より1 m 1加え 、 添加した キラー親株数を減少させた 。 こ の操作によりキラー化し た宮崎酵母を濃縮し 、 目的の融合株の遺伝標識である酸 性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有せずキラー活性のみを有する

コ ロ ニーを選抜した 。 5 . 2 . 4 4 分子解析

得られた融合株の遺伝解析は胞子解剖により行 った 。 胞子形成及びミク ロ マニピ ユ レ ー シ ヨ ンは第3章に記載

した方法に準じた 。 融合株の核融合はヒ スチジ ン要求性 、 酸性ホ ス ブ ア ター ゼ活性及びキラー活性によ っ て確認し た 。

5 . 2 . 5 D N A含量の測定

D N A含量の測定はBurtonの方法を改変したAiglel-47)ら の方法に従 った o Y P D液体培地5 0 m 1を用い て28 oc 、 24時 間培養後 、 遠沈集菌し9%NaCl溶液2 0 0 m 1に懸濁し てヘ マ

トメ ーターで菌数計測した 。 約1 x 1 0 9の細胞数を遠沈集 菌し て採取した 。 こ れにo OCに冷却した2m 1のH C 1 0 4と2m 1

の蒸留水を加えo OC下2 0分間振と うした 。 遠沈集菌後同 操作を繰り返した 。 次に7 0 OCに て2m 1の1 . 5 M 日C1 0 4を加

え3 0分間D N Aの抽出を行 った 。 遠沈沈殿に つい ては同操 作を繰り返した 。 両者を合わせた全上澄液を6 m 1と し 、

(8)

こ の2 . 5 m 1に1 . 5 m 1の4 %ジ フ エ ニ ルア ミ ン及びo . 01%の パ ラア ルデヒ ドを含む酢酸溶液 を加え 、 室温で24時間発色 させ 、 6 0 0 n mの吸光度よりDN A含量を測定した 。 DN A標品

はS 1 G M A 社 製さけ精 子 DN A N a s a 1 tを用いた 。 なお細胞数

測定の際 、 出芽したばかりの細胞のうち親細胞の大きさ の約1/3以下の細胞はl個とし て計測せず 、 それ以上の細 胞を1個とみなした 。

5 . 2 . 6 二重鎖- R N Aのア ガロ ー スゲル電気泳動 第4章4 . 2 . 1 2に記載した方法で行 った 。

5 . 2 . 7 発酵試験

5 0 0 m 1容三角フ ラ ス コに麹1 5 0 g 、 水220m 1及び酵母培養 液o . 5 m 1を添加し 、 M e i s s e 1管を付け2 8 ocに て発酵させた 。

また酵母エキ スo . 3 % 、 ペプト ンo .6 %及びグル コー ス 1 5 . 0 %のYP D培地を 、 クエ ン酸によりp H 4 . 0に調整した培 地でも同様な発酵試験を行 った 。

5 . 2 . 8 中間工業規模によ る焼酎仕込試験

宮崎酵母とK 1キ ラー プラ ス ミド を導入した宮崎酵母を 使用し て 、 総原料6 0 k gの焼酎仕込試験を行 った 。 仕込配

合を表5 - 3に示す 。 製麹は河内源一郎商店(株)製自麹 菌を使用し て4 8時間製麹を行 った 。 一次修は25 OCで仕込 を行い 、 30 OC以下で7日間発酵させ二次仕込に供した 。

二次仕込は仕込温度2 6 OCで行い14日開発酵させ 、 熟成謬

- 136 -

(9)

を蒸留した 。

5 . 2 . 9 工業規模による焼酎仕込試験

一日に米 1 6 t及び甘藷 8 0 tを処理する工場におい て試

験醸造を行 った 。 K 1及びK 2を導入した宮崎酵母と鹿児島 工試酵母を使用して甘藷製穆を造りエタ ノー ル収量及び

修中の酵母の純度を検討した 。

5 . 3 結 果

5 . 3 . 1 C e 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n g法によるキラー酵母の 造成

C e 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n g法で宮崎酵母のキラー化を行う

ために使用したキラー親株は核融合欠損株( k a r 1 )である

が 、 こ のka r 1変異株の核融合欠陥は不完全なため雑種の

形成もかなりの頻度で生ずる1., 8 ) 。 従 って 、 選択培地で 生育しキラー活性を有する コ ロ ニ ーは 、 宮崎酵母にキラ ー プラ ス ミドが導入されたか もしくはキラー親株と宮 崎酵母が核融合をしてい る可能性が考えられる 。 表5- 4 に示すように 、 得られたキラー活性のある コ ロ ニーは 、 酸性ホ ス フ ァ ター ゼ、活性を有する コ ロ ニ ーと同活性のな い コ ロ ニ ーに分かれた 。

宮崎酵母は高リン酸培地で酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を 有しない 。 こ の劣性の遺伝標識は 、 核の融合まで起きて い るのならキラー親株が同活性を有しており 、 核融合株 でキラー活性を有する株は同活性があると考えられる 。

(10)

表5-3 中間工業規模焼酎仕込試験の仕込配合

原料

米 大麦

くみ水

一次穆 20 kg

24 L

二次回参

40 kg

66 L

20 kg 40 kg 90 L

表5-4 Cell to spore mating法による宮崎酵母のキラー化

回収コロニー 表現型

組み合わせ接合数回収コ 酸性ホスファターゼ(+ ) 酸性ホスファターゼ( - ) ロニー数・余 キラー ( + ) キラー ( + )

宮崎酵母

x 5038(K1) 140 12 10 2

※回収コロニー数はhis-の培地で、生育し、 キラー活性をもっコロニー数

- 138 -

(11)

こ のCe 1 1 t 0 s p 0 r e m a t i n g法で得られた10株のうち8株 は同活性があり核融合株と考え られた 。 こ のこ とを確認 するためにD N A含量を調べたとこ ろ 、 表5 - 5に示すように 同活性のある株は宮崎酵母の約1 . 8倍にな っ て おり 、 核 が融合し ていると判断した 。 一方 、 同活性のない株は宮 崎酵母とほぼ同じD N A含量であ った 。

キ ラー活性を有する株の4分子解析を行 ったとこ ろ 、 キ ラー性を有し酸性ホ ス フ ァ ター ゼ活性のない株は

h i s一:his+ =0:4及びKILL+:KILL- = 4:0に分離した こ とか ら宮崎酵母の細胞質にキ ラー プラ ス ミドが導入され 、 核 は融合し ていないと判断した 。 大島ら1 '" 9 )もこ の方法に よりウイ スキー酵母のキ ラー化を行い 、 同様な結果を得

ている 。

方 、 酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有するキラー株の4 分子解析では 、 同活性を有する単胞子培養株と活性のな い 単胞子培養株に分かれた 。 またヒ スチジ ン要求性に つ い ては要求性のある単胞子培養株と要求性のない 単胞子 培養株に分かれた 。 こ れらに つい ては4分子をそ ろ っ て

回収できた胞子嚢はないが 、 以上の結果より核が融合し ていると判断した 。

Cell to spore mating法による目的株の取得数は2株 のみであ った 。 こ の2株はキ ラー活性が弱いか生育の遅

(12)

る よ て

し ら1 " " )も指摘 は大内

‘" と

L-

ー..,.

L-

い 株であ

ヰAい の形で

中広その

も し に胞子形成の際親株の形質が必ず

る焼酎

よ る

細胞質導入( C y t 0 d u c t i 0 n )法に 酵母のキ ラー化

られ

と 考 い ない ため

して 胞子に移行

5 . 3 . 2

再生率 と

ト化率 ス

プラ ト

,, ‘•• 、 プロ

r--、 1i

Z y m 0 1 y a s e処理前後の生菌数

ス ト化率は トプラ

ロ プ

再生率は 、 た

一数で計算 し ロ

をYP D平板培地上の

をZ y m 0 1 y a s e処理前菌数

ロ 一数 の

ト上 レ

再生プ

の結果を表5-6

そ 求めた

して ト化率で除 プラ ス

ト プロ

と再生率は ト化率を高める

ス プラ プロ ト

よ うに 、

に示す

も同様の結果 が 、 本実験で

る 言われて い る3 g}と

低下す

が得 られ

融合株の濃縮 ( 2 )

酵母の細胞融合に おける融合率は10 -" 以 下 1 5 0 )と かな イ マ ン チ

ス で細胞壁再生後の ヒ

L-ー.,.

そ り低頻度である

一 親株の 培 養

一フキ

り1 m 1採取 し 液体培地培養液 よ

ス ナ

句"

L-

で混合培養す にpH 4 . 5のYP D液体培地中

も 液1 m 1 とと

した 添加 し

い ない 宮崎酵母を殺 て

一化 し

一フキ

よ り と

菌数を て

培地で培養 し ナ ス

マ イ ン チ

ス 一親株は ヒ

一フキ

-フ

宮崎酵母にキ

し 目的株を濃縮 方法で

せ る

さ減少

ト ア フ YPD-MBプレ か っ酸性ホ ス て

し し と る株を分離

目的株 れた

を有す

さが導入

一 活 性 ド

一フ ス 上でキ

プ 一フ

- 140 -

(13)

表5-5 Ce11 to spore mating法により造成した キラー宮崎酵母のDNA 含量

供試菌株 酸性ホスファターゼ DNA含量 活性 μg/ 10 Bce 11

宮崎酵母 - 4.34

キラー宮崎酵母(Kt-42) - 4.28

キラー宮崎酵母(K ト3) + 7.43

表5-6各菌株のプロトプラスト化率と再生率

菌株 プロトプラスト 再生率 b 化率 岨(% ) ( % )

宮崎酵母 72.4 2.0

6 5.0 16.2

90.8 1.4

99.2 0.3

5038 (Kt) 48.0 2 5.0

5170 (K2) 45.0 12.3

95.3 8.7

B-86 95.0 4.6

5045 90.2 14.4

a (1-溶菌後生菌数/溶菌前生菌数) x 100

b 再生菌数/(溶菌前生菌数×プロトプラスト化率/100) X100

(14)

ター ゼ活性を有しない コ ロ - 5 - 7 )。

( 3 ) 融合株の4分子解析

を選抜した(図5 - 1 、 表

得られた融合株に胞子を形成させ4分子解析を行 った。

表5 - 8に示すように 、 酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有せず キラー活性を保持する単胞子培養株は 、 すべてヒ スチジ

ン要求性がなく最少培地において生育し 、 4胞子全てが キラー性を保持していた。 それ らの単胞子培養株中に は 、 4胞子中キラー活性の脱落した単胞子培養株等も存

在したが 、 大部分はキラー活性を保持していた。

一方 、 酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有しキラー活性も保 持する融合株は 、 胞子回収率が悪く4胞子まとめて回収 できたのは2組のみであ ったが 、 多くの単胞子培養株に ついて調べたと こ ろ 、 ヒ スチジ ン要求性のある単胞子培 養株とそうでない単胞子培養株は 、 ほぼ2 : 2に分かれた 。

こ の こ とから酸性ホ ス ブ ア ター ゼ、活性を有する融合株は 、 核融合し雑種化していると判断した。

( 5 ) 融合株のD N A含量

D N A含量を調べてみると表5 - 9に示すように 、 酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を保有しないキラー活性の融合株は 、 宮 崎酵母と ほとんどD N A含量が変わらなか ったが 、 同活性 を有する株は宮崎酵母の約1 . 7倍と な った。 こ の こ と か

- 142 -

(15)

表5-7 融 合 株 の 濃 縮 出 現 率残

親株 宮崎酵母 宮崎酵母

濃縮処理 5038(K1) 5170 (K 2)

キラー親 2.6 % 2. 1 % 株の添加

hisマイナス 22.5 % 96.9 % 培地による培養

※キラー活性をもち、 酸性ホスフアターゼ、活性のない コ口ニーの出現率

図5-1キラー宮崎酵母のキラー作用

プレート右:YPD-MB培地;キラー活性を示す。

プレート左:酸性ホスフアターゼ活性検出用培地

両プレートの右上:しキラーを導入した宮崎酵母(酸性ホスブアターゼ活性+) 両プレートの左上:しキラーを導入した宮崎酵母(酸性ホスフアターゼ活性ー) 両プレートの右下:んキラーを導入した宮崎酵母(酸性ホスフアターゼ活性+) 両プレートの左下:K2キラーを導入した宮崎酵母(酸性ホスファターゼ活性ー)

(16)

表5-8 キラー宮崎酵母の4胞子解析

供試菌株 酸性ホスフア his- : his+

ターゼ活性

宮崎酵母 4

キラー宮崎酵母(Kl-27) 4

キラー宮崎酵母(Kl-12) + 2 キラー宮崎酵母(K2-67) 4 4胞子全て回収した胞子嚢数は上から、 4ヶ、6ケ、2ヶ、5ヶ

表5-9 融合株の DNA 含量

酸性ホスファターゼ DNA含回

KILL +: KILL-

o : 4 4 : 0 4 : 0 (0:4) 4 : 0

供試菌株 活性 μg/108cell

5038 + 2.45

宮崎酵母 - 4.34

キラー宮崎酵母(K1-1) - 4.28

キラー宮崎酵母(K2-58) 4.54

キラー宮崎酵母(K 2-5 ) + 7 . 69

- 144 -

(17)

ちも核が融合し てい る こ とが確認された 。 以上の結果か ら 、 酸性ホ ス フ ア ターゼ活性を有せずキラー活性を保持

する株が 、 目的とする宮崎酵母のキラー化した株である

と判断した 。 なお細胞の大きさも親株である宮崎酵母と ほとんど変わらなか った 。

( 6 ) 二重鎖RN A ( d s -R N A )のアガロ ー ス ・ ゲル電気泳動

図5 - 2 にキラー形質を支配するds-RNAのアガロ ー ス ・ ゲ ル電気泳動の結果を示す 。 キラ一発現に必須のM-d s R N A 及びL 、 Mを含むウイ ル ス様粒子の主要な外被蛋白を コ ー

ドし てい るL-dsRNAが融合株に存在する こ とを確認でき

。た

5 . 3 . 3 キラー焼酎酵母による発酵試験

( 1 ) 発酵経過

図5- 3にY P D培地及び米麹を使用し ての発酵試験の経過 を示す 。 キラー導入株の発酵は その初期におい てやや親 株より遅れた以外ほとんど変わらなか った 。

( 2 ) 香気成分

発酵終了後蒸留を行い 、 蒸留液の成分分析をした 。 表

5 - 1 0に示すように 、 エタ ノー ル収量はキラー導入株の方

が高くなり 、 香気成分の一 つの指標であるA/ B比 1 5 1 )が低

くな ったが 、 官能評価は親株の宮崎酵母を使用した場合 とほとんど区別できない 香気を有し てい た 。

(18)

、‘,a''LU LKM ,,Et、

M -d s R N A _-þ. 1 .93

2.23

�- 4.26 L-dsRNA ー炉

�- 6.4 6

�- 9.31

.- 23.3

2 4 5 6

図5-2 キラー宮崎酵母のアガロースゲル電気泳動

1:5170(K2キラー酵母) 2 :キラー宮崎酵母(K2-68) 3 :宮崎酵母

4 :キラー宮崎酵母(Kl-5) 5:5038(K1キラー酵母)

6 : マーカー(HindIII fragment ofλD N A )

- 146 -

(19)

� 3 4

5 培養時間(日)

(-EC∞円\切)醐湾代決鎚巡

仁αJ

培養時間(日)

」111114lil-- ー寸111!

「te F HJ

3

250円\切)酬策代決鐙巡

1HA斗l

図5-3 キラー宮崎酵母の発酵試験

( a) : YPD培地(グルコース15%,pH4.0)培養温度:280C

( b) :焼酎麹培地(焼酎麹7旬、 水110ml)培養温度: 280C

0:宮崎酵母

ム:キラー宮崎酵母(Kt-5) 企:キラー宮崎酵母(んー58)

: 5038(Ktキラー親株)

(20)

表5-10 発 酵 試 験 結 果

菌株 エタノー 酢酸 n-C30H iso-C40H iso-C50H A/B ル収量(ml)エチル P B A

宮崎酵母 45.6 68 190 238 459 1. 93 2.42 1. 25

キラー宮崎

酵母(Kt-5) 47.6 88 181 278 478 1. 72 2.64 1. 54

キラー宮崎

酵母(Kz-58) 51.7 77 183 232 413 1. 78 2.25 1. 27

エタノール以外は、 25%エタノール濃度中の濃度表示mg/L

- 148 -

(21)

5 . 3 . 4 キラー焼酎酵母と野生酵母の混合培養試験 宮崎酵母にK 1及びK 2プラ ス ミドをそれ ぞれ導入した融 合株が 、 実際の焼酎穆におい てキラー作用を発揮し て野 生酵母を淘汰する こ とができるかどうかを確認するため 、

Y P D培地及び全麹式発酵におい てキラー宮崎酵母と野生

酵母を1 : 1の割合の初発菌数を接種し て 培養を行い 、 相 対菌数の変化を検した 。 図5 - 4に示すように 、 K 1より耐 熱性のあるK 2のほうが穆温度3 0 OC以上になる こ ともある 焼酎穆におい て 、 キラートキシ ン は安定したキラー作用 を発揮できるのではないかと考え られた 。 しかし 、 キ フ 一作用の強いK 1は2 5 ocよりキラートキシ ン の失活が始ま るが 、 一度キラー感受性酵母に吸着されたキラートキシ

ン は失活しにく いと言われ ており 1 4 2 ) 、 L- の混合培養試 験の結果でも耐熱性のあるK 2キラープラ ス ミドを導入し た宮崎酵母よりK 1キラープラ ス ミドを導入した株のほう が 、 穆中における野生酵母の増殖を抑え る こ とが明らか にな った 。

5 . 3 . 5 中間工業規模による焼酎仕込試験

総原料6 0 k gの仕込試験を行 ったと こ ろ 、 宮崎酵母もキ

ラ一宮崎酵母ともに発酵経過は順調であり 、 酵母数は両 者とも10 Bオ ーダーに達し 、 二次官要最終まで発酵が進ん だ 。 一次穆及び二次穆の最終穆の分析結果を示す表5 - 1 1

(22)

100

50

25 渓 75

hw罰Q議掴衣回特 ( a)

100

戸、75

hwb抑Q籍組夜回特

-l

∞O1

5 6

培養時間(日)

培養時間(日)

キラー宮崎酵母と野生酵母の混合培養における菌数の変化

培地:YPD(pH4.3) , 培養温度:30 OC

(a) 0:キラー宮崎酵母(Kl-5) o:T-I0l(野生焼酎酵母) (b) 0:キラー宮崎酵母(K2-58) o:T-I0l(野生焼酎酵母) 図5-4

(23)

のように 、 キラー宮崎のほうが若干穆中のエタ ノー ル濃 度が高くなり 、 エタ ノー ル収量は宮崎酵母の23 . 9 Lに対 し24 . 2 Lにな った 。

キラー形質の脱落に つい ては表5 - 1 2に示すように 、 一 次穆におい てはほぼ100 %の コ ロ ニ ーがキラー活性を保 持し てい た 。 二次穆におい ては次第にキラー形質を脱落 したが 、 最終穆では50 %の コ ロ ニ ーはキラー活性を保持 してい た 。

5 . 3 . 6 工業規模による焼酎仕込試験

工業規模で行 った試験では 、 対照とした鹿児島酵母を

使用した穆よりもエタ ノー ル収量が多か った(表5- 1 3 )。

こ の場合 、 親株である宮崎酵母を同工場におい て同条件 下で試験してい ない ので 、 明確にはできない が 、 こ れま

でに記述したように発酵試験や中間工業規模での試験で もキラー化した宮崎酵母の方がエタ ノー ル収量が上昇す る傾向があ った こ と 、 工場規模の試験に対照として用い

た鹿児島工試酵母は 、 鹿児島県のみならず多くの焼酎

場で使用されて 、 エタ ノー ル収量の高い こ とはよく知ら れて おり 、 それを上回 った こ となどから 、 本キラー醇母 は ア ル コ ー ル収量に関して良好と推測した 。

試験醸造では甘藷穆を使用したため品温は二次穆の2

日目及び3日目は30 OCを こ え35 oc前後ま で上昇した 。 し

(24)

表5-1 1 一 次、二次最 終穆の分析結 果

供試酵母 pH 酸度工タ)-)�(覧) 直糖(%) 全糖(%) 穆量(L) 酵母 数 ( /ml)

一次謬 宮崎酵母 3.8 13.5 14.8 3.0 7.6

キラ ー宮崎酵母(Kl-5) 3.7 13.7 15.3 2.2 6.9

二次穆 宮崎酵母 4.2 5.4 16.6 O. 11 1.3

キラ ー宮崎酵母(Kt-5) 4.3 5.2 16.5 0.10 1.5 酸度は穆10 mlあたりのO.lN NaOH滴定 数

表5-1 2 穆中における キラ脱落率

キラ ー脱落率 a

測定結果 一次官参 二次穆

3日目 最終 3日目 5日目 最終

測定 3/197 0/146 70/434 58/135 32/63 コロニ数 b

脱落率 (% ) 1.5 16.0 43.0 50.7

a YPD培地上に形成したコロニをレプリカによりYPD-MB培地 に移し キラ感受性酵母を噴霧して2 0 0Cで培養しコロニ

のキラ活性を判定した

bキラ脱落率 : キラ活性のないコロニ数/全コロニ

- 152 -

42.9 6.0X10B 43.8 3.1X10B 149.0 3.5X10B 153.3 2.1X10B

(25)

エタノール収量 表5-1 3

使用菌株 収量

201 205 192 キラー宮崎酵母(K 1-5)

キラー宮崎酵母(K 2-67) 鹿児島工試酵母

原料1tあたりの収量(L)

二次穆 ーう

一次醸 →そ一

3.0 2.0

(泊。[)()

安否

尻Jtロミ

E 時

士十i

d

n川v ・v

10 14

間(日)

6

発 酵

2

的変化※

ll.:キラー宮崎酵母(K1-5),�:キラー宮崎酵母(K2-67) 0:鹿児島工試酵母

※メチレンブルー染色法により判定した。

図5-5目夢中における生細胞数の経

(26)

そ一一次醸

100← i

i

→←

二次穆 ータ

,_ 75

・ー

色目

標50

時金 It

25

6 nHU

14

発 酵 時 間(日)

図5-6 キラー宮崎酵母の純度の変化※

※YPD培地上に検出されるコロニーの酸性ホスファタ ーゼ活性の有無により判定した。

0:キラー宮崎酵母(Kt-5)・:キラー宮崎酵母(Kz-67)

一 154 -

(27)

かし 、 K 1及びK 2を保有するキラー宮崎酵母は穆末期にお い ても対照の鹿児島工試酵母よりも生細胞数が多か った (図5 -5 )。 エタノ ー ル収量の増加は こ の穆末期におい て も生細胞数の多い こ とによると推察した。

また 、 キラー宮崎酵母の純度は 、 図5 - 6に示すように 、 一次穆におい てはK 1を持つ酵母もK 2を持つ酵母もほぼ

100 % であ ったが 、 二次穆につい てはK 2を保有する酵母 の純度が下がる傾向がみられた。 こ の こ とから 、 野生酵 母を淘汰するためにはK 1を保有する酵母のほうが有効と 考え られた。 官能評価につい ては 、 親株の宮崎酵母が雑 味のない す っきりした香味を有する焼酎を造る傾向があ るが 、 キラー宮崎酵母も親株同様な性質が認められた。

5 . 4 考 察

焼酎酵母とし て選抜された優良株である宮崎酵母を使 用し てい る工場の焼酎穆より検出される野生酵母は大部 分がキラー感受性酵母であり 、 野生キラー酵母の存在は 稀であ った。 本章では 、 こ のような特性と状況を利用し 、 キラー プラ ス ミドの宮崎酵母への導入を行い 、 野生醇母 の増殖を抑制する機能を有する焼酎酵母のキラー宮崎酵 母の造成を行 った次第を論述した。 キラー形質とし てK J 及びK 2を選んだが 、 K 1 のキラートキシ ン はK 2のキラート キシ ン に比較し て耐熱性はない がキラー活性は強く

(28)

方K 2トキ シ ン は3 0 OCに お い ても失活しにくい 。 焼酎穆で は穆温度が3 0 OCを超えるこ ともあるので 、 K 7のキラー プ ラ ス ミドを保有するキラー酵母の方が有利と推測された が 、 K 1のキラー プラ ス ミドを保有する酵母の方が野生醇 母抑制力や増殖力等に優れ てい た 。

造成したキラー宮崎酵母にキラ一発現に必須のM - d s R N A及びL 、 Hを含むウイル ス様粒子の主要な外皮蛋白を

コ ー ドし てい るL-dsRNAが融合株に存在するこ とを確認 できた 。 キラ一発現にはこ の二重鎖RN Aだけでなく多く の染色体遺伝子が必要であり 、 少なくとも3 0個のM A K遺 伝子がM - d s R N Aの複製に関与し てい ると考えられ てい る 。

旦企1 変異株ではキラー感受性株になると報告され てい る 。

大内1 4 4 )等は清酒酵母協会7号をC y t 0 d u c L i 0 n法に よりキ

ラー化した際 、 こ の酵母がM A K遺伝子に関し ては野仕 即J と判断し てい る 。 宮崎酵母のM A K遺伝子に関し ては不明 であるが 、 キラー プラ ス ミドを導入したとこ ろ キ ラー 活性を保有しか っキラー感受性にならなか った こ となど

から 、 野生型と推考した 。 清酒酵母協会7号同様M A K遺伝 子に関し ては 、 やはり野生型と考えられ てい る 。

焼酎酵母とキラー化焼酎酵母を使用し て試験醸造を実 施したとこ ろ 、 キラー化焼酎酵母では エタ ノ ール収量が 増加する傾向がみられた 。 エタ ノ ール収量が増えるのは

一 156 -

(29)

謬末期におい ても生細胞数の多い こ と が原因のー っと考 え られる 。 焼酎におい ても 、 清酒醸造と同様に百夢中のエ タ ノー ル濃度が上昇するに つれ死細胞数が増加すると推

測された 。 原らI 52>は協会7号酵母からエタ ノー ル耐性 変異株を分隊し その変異株がキラートキシ ンに対し て も抵抗性を示すこ とから 、 細胞壁になん らかの相違があ ると推論し てい る 。 穆末期におい てもキラー化した宮崎 酵母に生細胞数が多か っ たこ とは 、 Cytoductionの際細 胞壁を酵素で溶解し融合再生させるとい う手段を用い て おり 、 L-ーヲ・降 の時に細胞壁に変化が起 こ りエタ ノー ル耐性が 増大したと推測も可能である 。

5 . 5 小 括

キラー プラス ミドの宮崎酵母への導入を行い 、 焼酎謬 中の野生酵母の増殖を抑制する機能を有するキラー宮崎 酵母を造成した 。 キラー形質とし てはK 1及びK 2を選ぴ

遺伝 マー カとし ては宮崎酵母が高リン酸培地におい て酸 性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有しない とい う性質を利用した 。 造成に当た っ ては 、 宮崎酵母の雑種化を避けるために核 融合欠損キラー株を使用し 、 Cy t 0 d u c t i 0 n法に よるキラ

プラス ミドの導入を行い 、 酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性が なくキラー活性を保持する コ ロ ニ ーを分離した 。 融合処

理及び再生後キラー親株を添加し て培養するこ とに より

(30)

キラー形質を有する融合株を濃縮し 、 分隊効率を上げる こ とができた 。 一方 、 宮崎酵母の胞子嚢胞子とキ ラー親 株との接合によるC e 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n g法では良好なキ ラー宮崎酵母は得られなか った 。

得られた融合株は酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性のある単胞 子と活性のない 単胞子に分かれ 、 宮崎酵母とキラー親株 が核融合してい る こ とが分か った 。 こ れ らのうち酸性ホ

ス フ ア ター ゼ活性の認め られない 融合株のD N A含量は親 株とほぼ同量であり 、 4分子解析の結果K 1 L L + : K 1 L L - =

4 : 0とな った 。 単胞子培養株は全て 酸性ホ ス フ ア ター ゼ 活性を有せずキラー活性を有した 。 また アガ ロ ー ス ・ ゲ

ル電気泳動の結果か ら 、 キラープラ ス ミド( d s - R N A )を保 有して い る こ とが確認された 。 造成したキラー焼酎酵母 を使用して発酵試験を行 ったと こ ろ 、 発酵経過及び香気 成分等は親株とほぼ同様の性質を示した 。

中間工業試験規模及び工業規模の焼酎試醸でも造成酵 母は発酵経過も良く 、 特に穆末期におい ても酵母生細胞 数も多く 、 エタ ノ ー ル収量も多か った 。 またK Iキラープ ラ ス ミドを有する焼酎酵母のほうが百夢中の酵母純度も高 く 、 K 2キラープラ ス ミドを有する酵母より野生酵母の淘

汰には有効であ った 。

- 158 -

(31)

終 主早

酒類の中では ロ ー カルなイ メ ー ジが強く 、 地場で消費 される こ とが多か った本格焼酎は 、 昭和5 0年頃に広ま つ

った焼酎ブー ムによ っ て全国的に消費されるようなり 生産量も大幅に増加した 。 こ のブー ムにも昭和6 1年頃よ り陰りが見えはじめ 、 しかも平成2年度の酒税法の改正 による焼酎の酒税率の引上げは 、 本格焼酎にと っ て ウイ

スキーや清酒との競合を余儀なくされ 、 品質の向上及び 製造工程の合理化に つい て 一層の努力が求められ てい る 。 本論文では 、 こ のような状況を鑑み 、 本格焼酎製造技術 及ぴ品質の向上を図る こ とを目的とし て 、 用水や蒸留法 の検討 、 焼酎穆における培養酵母と野生酵母のやj別法及

び野生酵母の挙動の確立さらに焼酎酵母の育種などに つ い て追究した次第を記述した 。

第1章では 、 宮崎県内の焼酎工場におい て使用され て いる用水の水質分析を行い水質を把握した 。 さらに得ら れた調査結果に基ずい て県内を 4 つの地区に分け 、 それ ぞれの地区における水質及び水量に つい て考察した 。 県 北部は湧水の利用が多く 、 溶解成分が比較的少ない軟水 で水質は良好であるが 、 水量は十分とは言えず 、 今後水 量確保に留意しなければならない 。 県東部は沖積平野に 焼酎工場が点在し 、 深度30m 以下の浅井戸を多く利用し

(32)

ている 。 水量は豊富であるが 、 水質的にはN0 3 -N等の多 い井水もあり 、 環境の汚染からくる水質悪化が懸念され る 。 県南西部では 、 深度1 0 0 m 前後の深井戸も多く水 も豊富であるが 、 水質的にはシ ラスと火山性の地質の影 響下にあり 、 S i 0 2が多いという特徴がある 。 浅井戸に つ い ては 、 県東部と同様N0 3 - N が多く割水等の使用には

十分注意が必要である 。 深井戸の中に鉄分の多い井水も あり 、 S i 0 2の共存下での効果的 な除鉄法は今後の課題で ある 。 県南部では 、 海岸近くの工場におい て 一部塩水化 し ている井水もあ ったが 、 河川の伏流水を利用し ている 用水は概し て良好.な水質であ った 。

第2章では本格焼酎の品質に大きな影響を及ぼす蒸留 工程に つい て検討した 。 減圧下で蒸留を行う減圧蒸留法 は 、 常圧で蒸留を行う従来の蒸留法と異なり 、 低い 混度 で蒸留が進行するために フ ル フ ラールなどの蒸留時の二 次生成物が少なく 、 蒸留終了時におい てもガス臭がほと んどない留液が得られた 。 高級脂肪酸エ ステルの留出 も従来の常圧蒸留法よりかなり少なくな った 。 こ の製法 による品質の官能評価は穀類製焼酎に つい ては淡麗な酒 質になり評価が高く 、 一方 、 甘藷製焼酎では逆に評価が

低か った 。 還流機能を有する蒸留機は蒸留歩合を上げる こ とができ 、 βー フ ェ ネチル ア ル コ ールや有機酸など後

- 160 -

(33)

留部に多く留出する成分の留出が少なくな った 。 高級脂 肪酸エ ス テ ルの留出 パター ン も 、 後留部に留出量が多く なるなど従来の常圧蒸留機と異なる留出経過となるこ と が明らかにな った 。 官能評価に つい ては還流部を終始使 用し て蒸留した場合には評価が低くなる傾向があり 、 穀

類焼酎では後留部のみ還流機を使用した場合の評価が高 い こ とが分か った 。 次に 、 蒸留 により分離除去できない 甘藷焼酎の苦味物質を活性炭処理による除去を試み 、 黒 斑病甘藷由来の苦味物質イポメ ア マ ロ ンは活性炭添加量

o . 03% 、 29時間処理により94%除去でき 、 官能評価でもほ

とんど苦味を感じない こ とが分か った 。

第3章では焼酎穆中の野生酵母に つい て 検討した 。 焼

酎製造では野生酵母と添加培養酵母の判別法が見い だ さ

れ ておらず 、 謬に於ける酵母の挙動は把握できなか った

が 、 宮崎酵母は高リン酸培地におい て酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有しない こ とを見い だし 、 こ の性質を利用する

こ とで 野生酵母の検出が可能にな った 。 さらに 、 α ー メ

チルグル コ シ ドを糖源とするT T C染色法を併用するこ と によ っ て 、 野生酵母との識別がより明確になるこ とを示

した 。 次い で 、 こ の判別法を採用するこ とにより 、 " 差 しもと " により酒母を育成する工場におい ては 、 " 差し

もと " を繰り返すうちに添加された培養酵母が次第に淘

(34)

汰され野生酵母に置き換る こ とを明らかにした 。 また

本判別により 、 焼酎自夢中の野生酵母の挙動が明白になり 微生物管理が容易になる こ とを示した 。 さらに 、 本方法 を用い て焼酎穆より分離した野生酵母1 9株に つい て諸性 状を検し 、 い ずれもs. c e r e v i s i a eに属すると同定した 。

それらの生活環は大部分が H 0型ホモタリズム株であ った が 、 そのうち2株は胞子嚢胞子の単胞子培養株にa型接合 能を有する単相株が存在し 、 H q型ホモタリズム株と推測 できた 。

焼酎修中からのキラー酵母の検出に つい ては 、 清酒穆 か ら多くの検出事例があるにもかかわらず報告が なか っ た 。 焼酎穆中の野生キラー酵母の検索を行 ったと こ ろ ほとんどがキラー感受性酵母であ ったが 、 一工場よりキ ラー酵母を分離した 。 分離したキラー酵母B - 8 6株は

s. c e r e v i s i a eに属しH 0型ホモタリズム株であ った 。 B -

8 6株の生産するキラートキシ ンは 、 至適p Hが4 . 5前後で 3 0 OCで はキラー活性がほとんどなか ったが 、 グリセリン

添加により3 0 OCに おい ても活性が保持された 。 B - 8 6株は キラー酵母同志の殺し合い パターンからK 1タイプのキラ ー酵母と推考され 、 4分子分析の結果K 1 L L + : K 1 L L - = 4 : 0 に分隊しキラートキシ ン生成の遺伝子本体は細胞質に存 在する こ とが明らかにな った 。 アガ ロ ー スゲル電気泳動

- 162 -

(35)

により二本のRN Aの バンドが検出された 。 そのH-dsRNAの 分子量はK 1やK 2のH-dsRNAのほぼ中間の約1 . 8 k bであ った 。 B - 8 6株は4 0 OC培養によるキ ュ ア リン グ試験の結果 、 清酒

野生 キラー酵母K L 8 8株と同様100 %キラー性を失 った 。 濃度O.lppmのシ ク ロ ヘキシ ミド処理では 、 K L 8 8株は4 1 % キラー性が脱落したが 、 B - 8 6株は9 %と同処理に抵抗性 があ った 。 培養温度3 1 ocで鹿児島工試酵母と本B - 8 6株と の混合培養を行 ったと こ ろ 、 B - 8 6株がキラートキシ ンを 産生し て鹿児島酵母の増殖を抑え 、 優位に増殖する こと が確証できた 。

第5章ではキラー焼酎酵母の育種を試み 、 その酵母を 使用した実地醸造試験の結果に つい て述べた 。 キラー プ ラ ス ミドの宮崎酵母への導入を行い 、 焼酎百夢中の野生酵 母の増殖を抑制する機能を有するキラー宮崎酵母を造成 した 。 キラー形質とし てK 1及びK 2を選ぴ 、 遺伝子 マー カ

とし ては宮崎酵母が高リン酸培地に おい て酸性ホ ス フ ア ターゼ活性を有しない とい う性質を利用した 。 造成に 当 た っ ては 、 宮崎酵母の雑種化を避け るために核融合欠損 キラー株を使用し 、 C y t 0 d u c t i 0 n法によるキラー プラ ス

ミドの導入を行い 、 酸性ホ ス フ ア ターゼ活性がなくキラ ー活性を保持する コ ロ ニーを分離した 。 融合処理及び再 生後キラー親株を添加し て培養する ことによりキラー形

(36)

質を有する融合株を濃縮し 、 分離効率を上げる こ とがで きた 。 一方 、 宮崎酵母の胞子嚢胞子とキラー親株との援 合によるC e 1 1 t 0 S P 0 r e m a t i n g法では良好なキラー宮崎 酵母は得られなか った 。 得られた融合株は酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性のある 単胞子と活性のない単胞子に分かれ

宮崎酵母とキラー親株が核融合し ている こ とが分か った こ れらのうち酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性の認められない融 合株のDNA含量は親株とほぼ同量であり 、 4分子解析の結

果K 1 L L + : K 1 L L一 = 4 : 0とな った 。 また 、 単胞子培養株は全

て酸性ホ ス フ ア ター ゼ活性を有せずキラー活性を有した 。 アガロ ー スゲル電気泳動の結果から 、 キラープラ ス ミド

( d s - R N A )を保有し ている こ とが確認された 。 造成したキ

ラー焼酎酵母を使用し て発酵試験を行 ったと こ ろ 、 発酵 経過及び香気成分等は親株とほぼ同様の性質を示した 。 中間工業試験規模及び工業規模の焼酎試醸でも造成酵母

は発酵経過も良く 、 特に穆末期におい ても酵母生細胞数 も多く 、 エタ ノール収量も多か った 。 またK 1キラープラ

ス ミドを有する焼酎酵母のほうが穆中の酵母純度も高く K 2キラープラ ス ミドを有する酵母より野生酵母の淘汰に は有効であ った 。

- 164 -

(37)

謝 辞

本稿をまとめるにあたり 、 懇切なる御指導を賜 った九 州大学 、 緒方靖哉教授をはじめ問 、 江藤守総教授 、 |司 、 林田晋策教授 、 問 、 藤尾雄策教授に対し深甚の謝意を表 します 。

また 、 研究遂行にあたり終始御指導い ただい た国税庁 醸造試験所長 、 西谷尚道博士ならびに多くの御助言をい ただい た宮崎大学 、 三浦道雄教授 、 岡 、 太田一良博士 、 同 、 水光正仁博士に深謝い たします 。

さ らに研究に御援助い ただい た宮崎県食品加工研究開 発セ ン タ一 、 永野和良所長 、 岡 、 中山法親副所長 、 岡 、 柏田雅徳微生物応用科長 、 問 、 日高照利主任研究員 、 同 、 柚木崎千鶴子主任技師 、 演川悟特別研究員(現宮崎県消 防防災課主幹) 、 南九州大学 、 中山貫三教授 、 宮崎県技 術情報セ ン ター 、 日高輝夫研究員 、 山田和史氏 、 都築太 左衛門氏 、 高橋勝南氏 、 金丸一平氏 、 下中野健氏ならび に試料採取や実験に御協力い ただい た宮崎県酒造組合連 合会 、 渡辺慎助会長 、 向 、 永山久春専務ほか同組合傘下 の組合員の皆様に感謝い たします 。

(38)

文 献

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- 166 -

(39)

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菅間誠之助:醸協,67, 672 ( 1 972 )

告,3 , 2 8 ( 1 952 ) 日高輝夫:宮崎 工試報

W . A r n 0 1 d : J . B a c t e r i 0 1 . , 112 , 134 6 ( 1 972 )

W . A M L i n n e m a n s P . B 0 e r , P . F . E 1 b e r s : J . B a c t e r i 0 1 . , 131 638 ( 197 7 )

2 4 )

正明 , 服部裕子:醸 三 , 稲橋

村上英也 , 吉田 清, 野呂 協,77, 181 ( 198 2 )

工 ,33, 441 ( 1 955 ) 小田雅夫, 若林謙太郎:醗

工 ,62, 193 ( 1 984 )

E . A . B e v a n , M . M a k 0 W e r : P r 0 c . 1 n t e r . C 0 n g . G e n e . X 1 , 1 202 ( 1 963 )

久 , 塚原寅次:醗

正田

中里厚実, 竹

宏:醸協,69, 629 ( 1 974 )

K K i t a n 0 , M . S a t 0 , T . S h i m a z a k i S . H a r a : J . F e r m e n t . T e c h n 0 1 . ,62 , 1 ( 1 984 )

大内弘造 ,川島 2 9 )

E . A . B e v a n , A . J . H e r r i n n g , D J . M i t c h e 1 1 : N a t u r e ( L 0 n - d 0 n ) 245 , 8 1 ( 1 973 )

N G u n g e A . T a m a r u F . 0 z a w a , K . S a k a g u c h i : J . B a c t e -

r i 0 1 . , 145 , 382 ( 198 1 )

岩田博, 新里修一 ,高宮義治, 志垣邦雄,中尾俊幸, 田 中 康:醸協,76, 123 ( 198 1 )

K A . B 0 s t i a n , Q E 1 1 i 0 t , H . B u s s e y , V . B u r n S . S m i t h , D . J . T i p p e r : C e 1 1 ,36 , 741 ( 1 984 )

3 4 )

(40)

工 藤哲三 , ?費川 悟 ,日高照利 , 松尾千鶴子:宮崎工 試 報告 ,28, 5 9 ( 198 3 )

1 F S , F e r m e n t . T e c h n 0 1 . Y . 0 s h i m a , 1 . T a k a n 0 : P r 0 c . N

t 0 d a y , 847 ( 197 8 ) 3 6 )

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