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情報学教育における教育コンテストとハッカソン

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Academic year: 2021

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情報学教育における教育コンテストとハッカソン

Educational Contests and Hackathons in Information Science Education

ネットワーク情報学部 飯田周作

School of Network and Information Shusaku IIDA Keywords: Science Education, Educational contest, Hackathon

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オリンピック(国際数学オリンピックではなく通常良 く知られたスポーツ競技)を教育コンテストに含めない のであれば、教育コンテストというものは、通常あま り目立たないものである。多くは、大学や高等学校、 学会等が主催者となって開催され、参加者もそのコミ ュニティに閉じたものであった。しかし近年、情報 学、特にプログラミングやセキュリティーの分野にお いては、そういった認識が変わってきていると感じら れる。 例えば、ICPC(International Collegiate Programming Contest)[1]というプログラミングコン テストやDEFCON[2]というセキュリティコンテスト は、多くの有名企業がスポンサーとなり、コンテスト の入賞者は「特別に優秀な技術者」として企業の採用 活動の対象となっている。また、日本においては独立 行政法人情報処理推進機構が、コンテストと競争的研 究資金を合体させたような未踏IT 人材発掘・育成事業 (以降、未踏事業)を 2000 年から実施している。未踏事 業の特徴は、研究に対してというよりも人に対して資 金を投下するという点にある。プロジェクトで良い成 果をあげた「クリエータ」(未踏事業ではプロジェクト 参加者をクリエータと称する)は「スーパークリエー タ」と認定されて表彰される。このスーパークリエー タの称号も、就職活動や起業活動において一定のネー ムバリューを持つようになっている。 ICPC や未踏事業のような半公的な活動の他に、純 粋に民間企業・団体が行うコンテストも多数出現して いる。Google は code jam[3]、Microsoft は Imagine Cup[4]と呼ばれるコンテストをそれぞれ開催してい て、世界中から多数の参加者を集めている。どちらも プログラミングを中心としたシステム・サービス開発 を競うコンテストである。Imagine Cup については、 実際に筆者が学生チームのコーチとして参加した経験 があるので、詳細を後述する。code jam も Imagine Cup も参加者の規模は数万人という大規模なもので、 入賞者は特別な存在として扱われている。

民間企業が行うコンテストとして、もう一つ異色な ものを追加するとすればTop Coder であろう。Top Coder を主催する Top Coder 社はクラウドソーシング を本業とする企業である。クラウドソーシングとは、 プログラムやアプリ開発を特定の下請け企業に委託す るのではなく、多数のフリーランスの集団に委託する という新しい事業形態である。Top Coder 社は、開発 を委託する企業と、それを受託するフリーランスの間 を結びつけることで収益を得る。競技としてのTop Coder は、参加者が日々出題される問題を解く速さと 質を競うというもので、特定の期間はなく、実績によ ってランク分けがなされる。そのランクがクラウドソ ーシングにおける受託と報酬につながるという仕組み である。

3. ハッカソン

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ハックという言葉が賞賛の意味合いを強く持っている ことからも伺える。ハッカソンとは、能力を持つ者同 士がお互いにそれを示しながら協働し賞賛し合うとい うイベントなのである。そのため、表彰の制度を採用 していても、それは1 位、2 位、3 位というような順 位ではなく、○○賞、××賞などと並列的になっているこ とが多い。栄誉は互いの賞賛の中にある。

4. 教育コンテストの事例

著者はこれまで何度か教育コンテストに学生を参加 させてきた。詳細については[5, 6, 7]を参照されたい。 参加年 コンテスト 成果 2004 年 MDD ロボット チャレンジ システム分析・設計モデ ル部門 最優秀賞 2004 年 UML ロボット コンテスト シルバーモデル賞 2005 年 MDD ロボット チャレンジ エクセレントモデル賞 2005 年 ET ロボコン 2006 年 MDD ロボット チャレンジ 2006 年 ET ロボコン 総合19 位 モデル部門 JASA(組込みシステム技 術協会)賞 2007 年 ET ロボコン 2010 年 Imagine Cup 国内予選準優勝 2011 年 Hamana Project 2018 年 Gugen ここでは2010 年に参加した Imagine Cup を取り上 げる。より詳細な内容は[8]を参照されたい。Imagine Cup には地域予選があり、地域予選を勝ち抜いたもの が世界大会の出場権を得る。世界大会の会場は、毎年 世界中の都市から別の場所が選ばれ、出場者の旅費等 はMicrosoft から支給される。 2010 年のテーマは国際連合の Millennium Development Goals (MDGs )[9]を IT の力で解決する というものであった(MDGs は 2015 年に Sustainable Development Goals: SDGs に引き継がれた)。MSGs は大まかに以下のようなリストで示される。 1. 極度の貧困と飢餓の撲滅 2. 普遍的な初等教育の達成 3. ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上 4. 幼児死亡率の引き下げ 5. 妊産婦の健康状態の改善 6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防 止 7. 環境の持続可能性の確保 8. 開発のためのグローバルパートナーシップの構 築

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が可能となる。企業で活躍する技術者や経営者の前で 自分たちのアイディアをプレゼンテーションすること も日頃の学習では得られない体験となる。 8.2 今後の課題 大学において教育コンテストやハッカソンを開催す ることには、大きな教育的意義がある。これをより効 果的にしていくには、いくつかの課題が存在している と考えている。 著者は、プログラミング能力を競うというプログラ ミングコンテストには大いに意義があると認める一 方、ゆるく競い合いつつも最終的には文化やコミュニ ティーの醸成を目的とするハッカソンに大きな可能性 を感じている。大学が継続的にハッカソンを開催する ことによって、どのような教育効果が得られるのか、 どのような学生文化が生じるのかについて長期的に考 察を続けたい。 最後にハッカソンを継続的に開催し、その内容を高 めていくための課題を挙げておきたい。まず参加者の 多様性をより高めていく必要がある。できれば複数の 大学で連携したイベントが開催できると良い。さらに 専修大学を訪れている交換留学生なども含められれば さらに有意義なものとなるはずである。協賛企業もで きるだけ増やす方向で進めたい。 協賛企業を増やす努力をしていかなければならない が、そのためには協賛企業にとってのメリットをより 明確にしていかなければならない。それが曖昧である と継続性が損なわれることになる。 協働を促進させるためにどのような情報ツールを活 用することが有効であるかを検証していかなければな らない。ビジネスチャットやSNS、GitHub の活用は もちろんのこと、オンライン上でアイディアを共有す る仕組みやタスク管理を行うシステムなど、現在では 多種多様なツールがほぼ無料で利用可能である。これ らをハッカソンの仕組みに組み合わせていく研究が重 要となるはずである。

謝辞

学部ハッカソン開催に関しては、学部内に実行委員 会が作られている。開催に際して本学部教員小林隆先 生、山下清美先生、上平崇仁先生、栗芝正臣先生、石 井健太郎先生、上松大輝先生にご協力いただいた。 学部ハッカソンには、協賛企業の技術者の他、卒業 生も審査委員等で協力いただいた。協力いただいた技 術者・卒業生の所属企業名を挙げると、株式会社 LisB、株式会社グッドパッチ、株式会社 IIJ、ヤフー 株式会社、Hamee 株式会社、チームラボ株式会社、有 限会社リズムタイプ、クックパッド株式会社である。 本稿は平成22 年度 専修大学研究助成 個別研究「教 育コンテストを応用した組込みシステム開発教育に関 する研究」の研究成果の一部である。 参考文献 [1] ICPC: https://icpc.baylor.edu/ [2] DEFCON: https://www.defcon.org/ [3] code jam: https://codingcompetitions.withgoogle.com/codeja m

[4] Imagine Cup: https://imaginecup.microsoft.com

[5] 「MDD ロボットチャレンジ2004 参加報告: チームFC専士」, 萩原裕志, 上島大輔, 奈良原規, 五十嵐純, 三宅貴章, 中村信彦, 宮田智行, 一ノ 瀬創, 岩清水美里, 川崎恵久, 小林裕典, 下麥博雅, 高橋歩, 長岡俊平, 平田大祐, 村山真也, 山口道子, 山田高敬, 吉田剛, 渡邊さやか, 飯田周作, MDD ロ ボットチャレンジ2004, 情報処理学会, C3040, 65-72, 2005. [6] 「第 2 回 MDD ロボットチャレンジ 参加報告: チーム ねこねこ専FU」, 片山敬介, 飯田周作, 五 十嵐純, 石丸真理, 今村佳那子, 萩原裕志, 加山未 来, 下麥博雅, 滝侑也、奈良原規之, 藤井俊平, 三宅 貴章, 宮田智行, 向川尚志著, MDD ロボットチャレ ンジ2005, 情報処理学会, C3040, 99-106, 2006-08-25. [7] 「MDDチャレンジにみる組込みソフトウェアモ デル中心開発の工学と教育」,鶯崎弘宜, 久保秋 真, 小林 靖英, 渡辺 晴美, 小倉 信, 飯田 周作, 情報処 理学会研究報告組込みシステム(EMB)、 2007(52(2007-EMB-005)), 95-102, 2007-05-29. [8] 「Imagine Cup 2010 : Green Island 活動報告」,

栗橋 翠、武林 冬樹、高野 葉子、和田 泰幸、江端 航、綱島 俊晃、喜島 雅士、南場 勝規、飯田 千 代、飯田 周作著、専修ネットワーク&インフォメ ーション/Network and Information, 19, 59-70 (2011-03-20)

参照

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